JP5874125B2 - ポリフェノール寒天結合物 - Google Patents

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Description

本発明は、ポリフェノールと寒天が結合した水に不溶の性質を有するポリフェノール寒天結合物に関する。
赤ワイン、茶、リンゴ、ブルーベリー、ゴマなどのポリフェノール(polyphenol)は、近年、動脈硬化や脳梗塞を防ぐ抗酸化作用、ホルモン促進作用等の機能性を有することから、様々な食品の分野で使用されている。しかしながら、これらのポリフェノールは、渋味物質がほとんどで、特に機能性を高めるために抽出物として成分濃度を上げると渋味成分が多くなり食品の味を壊すなどの問題がある。そこで、例えば、特許文献1には、ポリフェノールの一種であるプロアントシアニジンを主成分とするブドウ種子抽出物に粉末寒天又はうるち米粉を添加するブドウ種子抽出物の渋味低減方法が記載されている。この方法によれば、プロアントシアニジンと多糖類の疎水結合(又は水素結合)に基づきブドウ種子抽出物の渋味が低減される。
ところで、本出願人は以前より、寒天のゲル強度調整剤としてタンニンに着目し、寒天とポリフェノールとの関係に関し研究を続けてきた(特許文献2参照)。特許文献2記載の発明は、寒天にタンニンを含ませることによって、寒天のゲル強度の強弱を調整することができ、従来用途だけでなく、化粧品用途、日用雑貨、水漏れ防止用途、汚泥処理用途などの工業用途など、従来寒天のゲル化温度においては、その用途に適合できなかった用途にも利用することができるというものである。
特許第3616286号公報 特開2006−182922号公報
しかしながら、特許文献1に記載の方法で渋味を低減させた渋味低減化品(結合体)は、添加する寒天の割合が多いため、生体内で不溶性である寒天によりポリフェノールがコーティングされた状態になり、生体内(小腸内)での吸収が悪くなるため、ポリフェノールの生理機能を発揮させるためには十分ではない。また、特許文献2は、寒天のゲル強度を調整するためにタンニンを用いているので、使用するタンニンが寒天に比べて非常に少量の場合しか開示されていない。
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、経口時のポリフェノールの渋味を低減させるとともに、生体内での生理機能を十分発揮させることのできる、水に不溶の性質を有するポリフェノール寒天結合物を提供することを目的とする。
本発明者らは、以上の目的を達成するために、鋭意検討した結果、ポリフェノールを寒天と結合させ、水不溶性とすることで、経口時のポリフェノールの渋味を低減させるとともに、生体内での生理機能を十分発揮させることのできるポリフェノール寒天結合物を見出し、本発明に至った。すなわち本発明は、寒天と、ブドウ種子ポリフェノール、リンゴポリフェノール、緑茶ポリフェノール、紅茶ポリフェノール及びウーロン茶ポリフェノールのいずれか1以上のポリフェノールとを、水溶液状態で寒天とポリフェノールの重量混合比が1:1〜1:30で混合することにより得られる沈殿物であることを特徴とするポリフェノール寒天結合物に関する。
また、本発明は、寒天と、ブドウ種子ポリフェノール、リンゴポリフェノール、緑茶ポリフェノール、紅茶ポリフェノール及びウーロン茶ポリフェノールのいずれか1以上のポリフェノールとを含有するポリフェノール寒天結合物であって、37℃のイオン交換水に対する1分後の溶出試験における下記式(1)で示される割合(相対渋味)が50%以下、かつ37℃の日本薬局方第2液(人工胃液)に対する15分後の溶出試験における下記式(1)で示される割合が80%以上であることを特徴とするポリフェノール寒天結合物に関する。
Figure 0005874125
以上のように、本発明によれば、経口時のポリフェノールの渋味を低減させるとともに、生体内での生理機能を十分発揮させることのできる水に不溶の性質を有するポリフェノール寒天結合物を提供することができる。
実施例1における味覚センサーによる評価結果を示すグラフである。 実施例2における味覚センサーによる評価結果を示すグラフである。 実施例3における味覚センサーによる評価結果を示すグラフである。 実施例4における味覚センサーによる評価結果を示すグラフである。 比較例1における味覚センサーによる評価結果を示すグラフである。 比較例2における味覚センサーによる評価結果を示すグラフである。 比較例3における味覚センサーによる評価結果を示すグラフである。 比較例4における味覚センサーによる評価結果を示すグラフである。 実施例1〜4、比較例1〜4における味覚センサーによる評価結果を示すグラフである。 実施例5〜9、比較例8、9における味覚センサーによる評価結果を示すグラフである。 実施例5〜9、比較例8、9における味覚センサーによる評価結果を示すグラフである。 実施例10〜14、比較例10における味覚センサーによる評価結果を示すグラフである。 実施例10〜14、比較例10における味覚センサーによる評価結果を示すグラフである。
本発明に係るポリフェノール寒天結合物において、原料となるポリフェノールとしては、ブドウ種子ポリフェノール、リンゴポリフェノール、緑茶ポリフェノール、紅茶ポリフェノール、ウーロン茶ポリフェノールが挙げられる。上記ポリフェノールは、ブドウ種子ポリフェノール(グラヴィノール−SE,キッコーマン食品社製)、リンゴポリフェノール(アップルフェノン,アサヒビール社製)、緑茶ポリフェノール(ポリフェノンG,三井農林社製)、紅茶ポリフェノール(ポリフェノンPF,三井農林社製)、ウーロン茶ポリフェノール(ウーロン茶エキスM粉末,丸善製薬社製)など、上市されているものを用いることができる。これらのポリフェノールは、一般に強い渋味を有する。例えば、ポリフェノールの一種であるタンニン・カテキン成分は、茶を濃く抽出するとその割合が高くなり、脂肪を燃焼させる機能が特定保健用食品としても知られているが、タンニン・カテキン成分は強い渋味を有する。そのため、強い渋味から苦味を感じ、より苦いお茶になってしまう。本発明によれば、このように、強い渋味を発現するポリフェノールを寒天と結合させることにより、渋味を低減させ、感じる渋味や苦味を抑えることができる。
また、本発明に係るポリフェノール寒天結合物において、原料となる寒天は、特に制限はなく、テングサやオゴノリなど一般に寒天製造に使用される海藻を原料にしたものであればよい。また即溶性に加工された寒天や高融点寒天でもよい。重量平均分子量Mwは、20,000〜1,500,000が好ましく、100,000〜1,000,000がより好ましい。重量平均分子量Mwが20,000より小さいと、渋味のマスキング効果が減少するため、好ましくない。そのため、中でもオゴノリから抽出した分子量150,000〜1,000,000の寒天が特に好ましい。
本発明に係るポリフェノール寒天結合物において、上記寒天とポリフェノールの重量混合比は、1:1〜1:30であり、1:1〜1:10が好ましい。寒天の割合が1:1より大きいと消化管中でのポリフェノールの溶出が悪くなるため、好ましくない。
上記寒天とポリフェノールの混合方法は、混合の際に水溶液状態であれば特に制限はない。ここで、水溶液状態で混合とは、1.寒天粉末とポリフェノール粉末を水に分散し、加熱溶解する方法、2.寒天を水に分散し加熱溶解(A液)させ、ポリフェノールを水に溶解(B液)させ、A液とB液を混合する方法、3.寒天を水に分散し加熱溶解させ、これにポリフェノール粉末を溶解する方法、が挙げられる。ただし1の方法では、ポリフェノール溶液が酸性のため、寒天と同時溶解すると寒天が加水分解を起こし低分子化して効果が低下してしまうため、より好ましくは、2及び3の方法が挙げられる。また、寒天水溶液は、上記のように寒天が加熱溶解していなければならず、通常は90℃以上に加熱し、寒天を溶解させてから使用する。ただし、溶解温度は使用する寒天の種類によって適宜変更できる。ポリフェノール水溶液と寒天水溶液との混合時の寒天濃度は、0.1重量%以上が好ましく、0.5重量%以上がより好ましく、1重量%以上が特に好ましい。また、混合時の温度は、50℃以上が好ましく、60〜80℃が特に好ましい。50℃未満では、寒天溶液がゲル化してしまうため好ましくない。また、温度が高すぎると寒天の加水分解を起こし低分子化して効果が低下してしまうため好ましくない。混合時間は、沈殿が生じれば特に限定されない。
混合物は、水不溶性のポリフェノール寒天結合物として凝集する。この結合物を含む混合水溶液は、遠心分離やろ過により、結合物を沈殿させ、分離することができる。さらにこの結合物を水やpHが6以下の酸性側の水で洗浄し、回収することもできる。また、上記混合水溶液を、40℃以下に冷却し、寒天をゲル化させて結合物がゲル中に分散した状態で結合物を得ることもできる。
回収した沈殿物は、渋味のほとんどない物質に変化する。また、この沈殿物を水に懸濁させた後または直接日本薬局方第2液に入れて中性〜アルカリ側にpHを変えたところ、ポリフェノールと寒天の結合が離れ、ポリフェノールが水溶化して、また、寒天は凝固点以下の場合はゲル化をはじめることが分かった。生体内では、胃内で胃酸によりpHが酸性領域に保たれる。しかし小腸内ではpHは中性〜アルカリ性に上がる。そのため、本発明によれば、経口時には渋味を低減した水不溶性のポリフェノール寒天結合物が腸内で水溶化して吸収されやすくなり、ポリフェノールとしての本来の機能を発現するようになると考えられる。また、寒天は、腸内でゲル化して不溶性の粒子となり不溶性食物繊維として有効に機能し、寒天としての本来の機能を発現するようになると考えられる。
上記ポリフェノール寒天結合物が日本薬局方第2液に水溶化する際に、上記ポリフェノールと寒天の重量混合比において、寒天が1:1〜1:30であると、寒天量が過剰な場合に比べて水溶化が早くなるため好ましい。寒天の割合が高いと、水溶化が進まず、ポリフェノールとしての本来の機能を発現することができないため、好ましくない。
本発明に係るポリフェノール寒天結合物は、37℃のイオン交換水に対する1分後の溶出試験における下記式(1)で示される割合が50%以下、かつ37℃の日本薬局方第2液に対する15分後の溶出試験における下記式(1)で示される割合が80%以上であることを特徴とする。37℃のイオン交換水に対する1分後の溶出試験の方法は、具体的には、溶出試験機(TMB−8,NTR−1000,富山産業社製)にイオン交換水1000mLを入れ、ポリフェノール量として0.5g分のポリフェノール寒天結合物を添加後、パドル回転数50rpm、37℃にてポリフェノール寒天結合物の溶出試験を行い、1分後にサンプリングを行う。サンプル量は50mLとする。溶出試験の対象となるポリフェノール寒天結合物は、60メッシュ篩で篩過を行い粉末化された乾燥物が用いられる。この乾燥物は、例えば、ポリフェノールと寒天をそれぞれ水に溶解(寒天は沸騰溶解)した後、混合し、この溶液を遠心分離機(3000rpm,10分,H−103N,KOKUSAN社製)にて凝集物を沈殿させ、上澄み液を捨てた後、沈殿物を0.1%クエン酸水溶液で洗浄し、ろ紙にてろ過を行い沈殿物を回収し、温風乾燥させることによって得ることができる。また、上澄みを除去するかまたは残した状態で真空乾燥や真空凍結乾燥して乾燥物を得ることもできる。溶出液は味覚センサー(味認識装置SA402B、インテリジェントセンサーテクノロジー社製)にてポリフェノールの渋味の量を定量化する。これとは別にポリフェノール原末(無処理品)(ポリフェノールとして0.5g)を同様に溶出試験機により溶出試験を行い渋味の定量化を行う。ポリフェノール無処理品の渋味を100とした場合のポリフェノール寒天結合物の渋味の割合を以下の式(1)により算出し、判断する。但し、寒天を加えずポリフェノールだけで溶出試験サンプリング用に同様の加工をしたものは、下記式(1)において、(ポリフェノール寒天結合物の渋味)を(ポリフェノール加工品の渋味)と読み替える。また、37℃の日本薬局方第2液に対する15分後の溶出試験の方法は、試験液を第2液に代え、15分後にサンプリングを行うこと以外は上記イオン交換水を使用した時と同様に測定し、算出する。
Figure 0005874125
本発明に係るポリフェノール寒天結合物において、37℃のイオン交換水に対する1分後の溶出試験における上記式(1)で示される割合は、50%以下であるが、20%以下が好ましく、10%以下がより好ましい。また、37℃の日本薬局方第2液に対する15分後の溶出試験における上記式(1)で示される割合は、80%以上であるが、90%以上が好ましく、95%以上がより好ましい。
本発明に係るポリフェノール寒天結合物は、沈殿物のままの状態でも、さらに乾燥させて粉砕し、粉末・顆粒状にしても、錠剤、カプセル状にしてもよい。乾燥は、温風乾燥、真空乾燥、真空凍結乾燥など、公知の方法により行うことができる。
本発明に係るポリフェノール寒天結合物は、経口時のポリフェノールの渋味を低減させ、生体内での生理機能を十分発揮させることができるため、酸性飲料、錠剤・カプセル化した健康商品、栄養補助食品、お茶やコーヒー、粉末のお茶やコーヒー、スティック状のバランス栄養食品、パン、焼き菓子、うどん・そばなどの麺類、チョコレート、羊羹などの和菓子類、水産製品、畜肉製品など多くの用途に利用することができる。
以下、本発明を実施例に基づいて具体的に説明するが、これらは本発明の目的を限定するものではない。
実験例1(実施例1〜4、比較例1〜7)
先ず、表1、2に示した配合にて寒天ポリフェノール結合物を作製した。
具体的には、下記に示すブドウ種子ポリフェノールまたはリンゴポリフェノールを20℃の水30gに溶解した。別に寒天1.6gを水70gに分散した後、加熱し沸騰溶解させ前記ポリフェノール水溶液を混合した。比較として寒天16gを同様にして溶解させ前記ポリフェノール水溶液を混合した。なお、寒天は2種類を使用した(寒天1は通常の寒天であり、寒天2は低分子量の寒天である)。寒天混合液の温度は65℃であった。この溶液を30℃以下に冷却後、真空凍結乾燥機(TF10−85ATNNN,宝製作所社製)にて乾燥させ、60メッシュ篩で篩過を行い粉末とした(実施例1〜4、比較例1〜4)。また、ポリフェノールのみで寒天を加えない比較例5、6も同様に作製した。
さらに、寒天1の1.6gを水100gに分散した後、加熱し沸騰溶解させた。この溶液に下記に示すコーヒーポリフェノールを10g加え溶解させた。しかし、溶解液にはポリフェノール寒天結合物は生成されなかった(比較例7)。
溶出試験機(TMB−8,NTR−1000,富山産業社製)に日本薬局方(JP16)の第2液(人工腸液)1000mLを入れ、ブドウ種子ポリフェノールまたはリンゴポリフェノール量として0.5g分の上記粉末を添加後、パドル回転数50rpm、37℃にてポリフェノールの溶出試験を時間ごとにサンプリングし行った。サンプリング時間は15分,30分,45分,60分とし、サンプル量は50mLとした。溶出したポリフェノール量は味覚センサー(味認識装置SA402B、インテリジェントセンサーテクノロジー社製)にてポリフェノールの渋味の量を定量化することにより測定した。味覚センサーによる評価は、ポリフェノールのみの渋味(0.5gのポリフェノール原末(無処理品)を1000mLの第2液に溶出試験機を使用して15分間溶解し、完全に溶解したことを確認後、50mLサンプリングを行い、味覚センサーにて同様に渋味を測定した値)を100としてそれに対する相対的な値として示した。結果を図1〜8に示す。また、寒天を加えずポリフェノールのみをサンプリング用に加工した比較例5、6についても同様に図1〜8に示す。
さらに第2液の代わりにイオン交換水を使用して同様にして溶出試験を行い、1分後にサンプリングを行い、同様に渋味の測定を行った。ポリフェノールのみの渋味(0.5gのポリフェノール原末(無処理品)を1000mLのイオン交換水に溶出試験機を使用して1分間溶解した後、50mLサンプリングを行い、味覚センサーにて同様に渋味を測定した値)を100として、実施例1、3はブドウ種子ポリフェノール原末と、実施例2、4はリンゴポリフェノール原末とそれぞれ相対させ示した。結果を図9に示す。
Figure 0005874125
Figure 0005874125
図9に示した通り、実施例1〜4及び比較例1〜4において、溶出液がイオン交換水の場合は短時間においては、共に渋味は抑えられ口中でも渋味が抑制されることが示された。しかし図1〜8に示した通り、第2液(人工腸液)中の場合は、実施例1〜4においてはポリフェノールが寒天と速やかに解離してポリフェノールが効率的に腸から吸収されることが示されたが、比較例1〜4ではポリフェノールの量に対し寒天の割合が多く、腸内でも不溶性である寒天にポリフェノールがコーティングされた状態になっているため、寒天結合物からのポリフェノールの溶出が悪く吸収が悪いことから、生物学的利用効率が悪くなってしまうことが示された。なお、比較例5、6では、図1〜8に示したようにポリフェノール原末を水に溶解し乾燥加工したものでも、ポリフェノール原末と渋味の差異は認められず、単に加工による影響ではないことも示された。
実験例2(実施例5〜9、比較例8、9)
次に、表3に示した配合にて寒天ポリフェノール結合物を作製した。
具体的には、下記に示すリンゴポリフェノールを50℃の水40gに溶解した。別に寒天を水60gに分散した後、加熱し沸騰溶解させ、前記ポリフェノール水溶液を混合した。混合液の温度は70℃であった。この溶液を遠心分離機(3000rpm,10分,H−103N,KOKUSAN社製)にて凝集物を沈殿させた。上澄み液を捨てた後、沈殿物を0.1%クエン酸水溶液で洗浄しろ紙にて沈殿物を回収した。沈殿物を60℃にて温風乾燥した。乾燥後、60メッシュ篩で篩過を行い粉末とした(実施例5〜9、比較例8)。またポリフェノールのみで寒天を加えない比較例9も同様に作製した。
溶出試験機(TMB−8,NTR−1000,富山産業社製)に日本薬局方(JP16)の第2液(人工腸液)1000mLを入れ、リンゴポリフェノール量として0.5g分の上記粉末を添加後、パドル回転数50rpm、37℃にてポリフェノールの溶出試験を行った。サンプリング時間は15分としサンプル量は50mLとした。溶出したポリフェノール量は味覚センサー(味認識装置SA402B、インテリジェントセンサーテクノロジー社製)にてポリフェノールの渋味の量を定量化することにより測定した。味覚センサーによる評価は、ポリフェノールのみの渋味(0.5gのポリフェノール原末(無処理品)を1000mLの第2液に溶出試験機を使用して15分間溶解し、完全に溶解したことを確認後、50mLサンプリングを行い、味覚センサーにて同様に渋味を測定した値)を100としてそれに対する相対的な値として示した。結果を図10に示す。
さらに第2液の代わりにイオン交換水を使用して同様にして溶出試験を行い、1分後にサンプリングを行い、同様に渋味の測定を行った。ポリフェノールのみの渋味(0.5gのポリフェノール原末(無処理品)を1000mLのイオン交換水に溶出試験機を使用して1分間溶解した後、50mLサンプリングを行い、味覚センサーにて同様に渋味を測定した値)を100としてそれに対する割合として表した。結果を図11に示す。
Figure 0005874125
図10、11に示した通り、寒天とポリフェノールの比は1:1〜1:30が好ましく、1:1〜1:10がさらに好ましかった。
実験例3(実施例10〜14、比較例10)
次に、表4に示した配合にて寒天ポリフェノール結合物を作製した。
具体的には、重量平均分子量の異なる5種類の寒天をそれぞれ水に分散した後、加熱し沸騰溶解させ、80℃まで冷却した。これに緑茶ポリフェノール粉末を加え溶解した。この溶液を遠心分離機(3000rpm,10分,H−103N,KOKUSAN社製)にて凝集物を沈殿させた。上澄み液を捨てた後、沈殿物を0.1%クエン酸水溶液で洗浄しろ紙にて沈殿物を回収した。沈殿物を60℃にて温風乾燥した。乾燥後、60メッシュ篩で篩過を行い粉末とした(実施例10〜14)。またポリフェノールのみで寒天を加えない比較例10も同様に作製した。
溶出試験機(TMB−8,NTR−1000,富山産業社製)に日本薬局方(JP16)の第2液(人工腸液)1000mLを入れ、緑茶ポリフェノール量として0.5g分の上記粉末を添加後、パドル回転数50rpm、37℃にてポリフェノールの溶出試験を時間ごとにサンプリングし行った。サンプリング時間は15分としサンプル量は50mLとした。溶出したポリフェノール量は味覚センサー(味認識装置SA402B、インテリジェントセンサーテクノロジー社製)にてポリフェノールの渋味の量を定量化することにより測定した。味覚センサーによる評価は、ポリフェノールのみの渋味(0.5gのポリフェノール原末(無処理品)を1000mLの第2液に溶出試験機を使用して15分間溶解し、完全に溶解したことを確認後、50mLサンプリングを行い、味覚センサーにて同様に渋味を測定した値)を100としてそれに対する相対的な値として示した。結果を図12に示す。
さらに第2液の代わりにイオン交換水を使用して同様にして溶出試験を行い、1分後にサンプリングを行い、同様に渋味の測定を行った。ポリフェノールのみの渋味(0.5gのポリフェノール原末(無処理品)を1000mLのイオン交換水に溶出試験機を使用して1分間溶解した後、50mLサンプリングを行い、味覚センサーにて同様に渋味を測定した値)を100としてそれに対する割合として表した。結果を図13に示す。
Figure 0005874125
図12、13に示した通り、寒天の種類は、重量平均分子量(Mw)が大きい方が渋味の抑制効果、小腸内での放出効果共に良好であった。実施例11および実施例13(Mw70000の寒天2およびMw20000の寒天4)は、効果はあったが分子量の大きいものに比べ効果は低下した。また、テングサ原料とオゴノリ原料ではオゴノリ原料のほうが良好な結果であった。

Claims (3)

  1. 寒天と、ブドウ種子ポリフェノール、リンゴポリフェノール、緑茶ポリフェノール、紅茶ポリフェノール及びウーロン茶ポリフェノールのいずれか1以上のポリフェノールとを水溶液状態で寒天とポリフェノールの重量混合比が1:1〜1:30で混合することにより得られる沈殿物であって、
    前記寒天の重量平均分子量(Mw)が、100,000〜1,000,000であることを特徴とするポリフェノール寒天結合物。
  2. 寒天と、ブドウ種子ポリフェノール、リンゴポリフェノール、緑茶ポリフェノール、紅茶ポリフェノール及びウーロン茶ポリフェノールのいずれか1以上のポリフェノールとを含有するポリフェノール寒天結合物であって、
    37℃のイオン交換水に対する1分後の溶出試験における下記式(1)で示される割合が50%以下、かつ37℃の日本薬局方第2液に対する15分後の溶出試験における下記式(1)で示される割合が80%以上であることを特徴とするポリフェノール寒天結合物。
    Figure 0005874125
  3. 寒天とポリフェノールの重量混合比が、1:1〜1:10であることを特徴とする請求項1又は2記載のポリフェノール寒天結合物。
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