JP6145941B2 - 消化管の粘度上昇剤 - Google Patents

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本発明は、大麦の葉の加工物を有効成分とすることを特徴とする、消化管内の粘度上昇剤に関する。
経口より摂取された成分は、酵素等の作用によって分解され、胃や小腸、大腸等の消化管より体内へ吸収される。しかしながら、短時間に成分が過剰に吸収された場合、体液中の成分濃度が過剰となることがあり、このような状態が継続することによって様々な病気が誘発され、健康が害されるおそれがある。
また、胃切除手術を受けた患者は、胃から腸に排出される時間が短くなるため、一度に大量の栄養剤が投与されると、栄養剤が急速に胃から腸まで通過することがある。このような場合、投与された栄養剤の一部がそのままあふれるように急速に腸内へ排出されることに起因して、下痢等の症状を伴う早期ダンピング症候群が発生するおそれがある。さらに、胃の内容物が急速に排出されることにより腸管からの成分吸収が急激に増大することに起因して、頭痛や倦怠感、発汗、めまい、呼吸の乱れ等の症状を伴う後期ダンピング症候群も発生するおそれがある(特許文献1)。
このような事態を防ぐための手段として、消化管内の粘度を高める方法が挙げられる。消化管内容物の粘度が高まることによって、経口摂取された成分の消化管粘膜への接触速度が遅くなり、さらに、成分や酵素の拡散速度低下に起因して分解反応も遅くなることから、消化管からの吸収速度が遅くなり経口摂取された成分が急激に吸収されることを防ぐことができるためである。また、消化管内容物の粘度が高まることにより、胃内における貯留時間が長くなることから、胃内容物の急激な排出が抑制されダンピング症候群の予防にも寄与すると考えられる。
したがって、消化管内容物の粘度を高めることができる粘度上昇剤の開発が求められてきた。そして、このような消化管内の粘度上昇剤としては、化学的に合成した新規化合物よりも、人によって長い期間摂取されてきた実績がある植物由来の素材の方が、安全性の観点から望ましい。しかしながら、このような消化管内の粘度上昇剤は、まだ十分に開発されていない。
特開2010−138181号公報
このような事情を鑑み、本発明は、消化管内容物の粘度を高めることができる消化管内の粘度上昇剤を提供することを目的とする。
本発明者らは、鋭意研究した結果、大麦の葉の加工物が消化管内の粘度を上昇させる作用を有することを見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明は、大麦の葉の加工物を有効成分とすることを特徴とする、消化管内の粘度上昇剤に関する。
本発明によれば、大麦の葉の加工物を有効成分とすることを特徴とする消化管内の粘度上昇剤を用いることにより、消化管内容物の粘度を上昇させることができる。その結果、経口摂取された成分が急激に吸収されることを防ぐことができ、また、消化管内容物の貯留時間を長くすることにより消化管内容物が急速に排出されることに伴う諸症状を緩和できることが期待される。
水添加前後におけるセルロースの比較写真 水添加前後における小麦ふすま乾燥粉末の比較写真 水添加前後における大麦の葉乾燥粉末の比較写真 走査型電子顕微鏡によるセルロースの表面写真(倍率400倍) 走査型電子顕微鏡による小麦ふすま乾燥粉末の表面写真(倍率500倍) 走査型電子顕微鏡による大麦の葉乾燥粉末の表面写真(倍率400倍) 胃内容物の粘度測定結果 小腸内容物の粘度測定結果 盲腸内容物の粘度測定結果
以下、本発明の実施形態について説明する。なお、本発明は、後述の実施形態の記載により限定されるものではなく、特許請求の範囲における記載の範囲内で種々の変更が可能である。
大麦(Hordeum vulgare L.)は中央アジア原産とされ、イネ科に属する一年生又は越年生草本であり、穂形により、二条大麦と六条大麦等に大別される。また、品種も様々あり、二条大麦の例として、ニシノホシ、はるか二条、ニシノチカラ、はるしずく等が挙げられ、六条大麦の例として倍取、シュンライ、サヌキハダカ、ダイシモチ、イチバンボシ、ファイバースノウ、シルキースノウ、はがねむぎ、カシマゴール、赤神力(登録商標)、ミノリムギ、マサカドムギ、すすかぜ、カシマムギ等が挙げられる。
本発明の消化管内の粘度上昇剤は、大麦の葉を原料として用いる。原料には大麦の葉が含まれていれば良く、大麦の葉に加えて茎や穂、根等の他の部位が含まれていても良いし、大麦の葉を含む全草を用いても良い。本発明に用いられる大麦の葉は、通常入手可能なものであれば特に制限はなく、二条大麦と六条大麦等のいずれの大麦の葉を用いても良い。また、いずれの品種の大麦の葉を用いても良い。
本発明に用いられる大麦の葉は、成熟期前、すなわち分けつ開始期から出穂開始前期に収穫されることが好ましい。具体的には、品種の違いによっても異なるが、一般に、背丈が30〜60cm程度である大麦から、若葉を収穫することが好ましい。大麦の背丈が30cm未満の場合、葉の大きさが小さいため収穫時の収量が悪くなる。一方、大麦の背丈が60cmを超える場合、大麦が出穂してしまい収穫物に穂が混入するため、収穫物に占める大麦の葉の比率が低くなる。大麦の葉は、収穫後、直ちに処理されることが好ましい。処理までに時間を要する場合、大麦の葉の変質を防ぐために低温貯蔵等の当業者が通常用いる貯蔵手段により貯蔵される。
本発明において、「大麦の葉の加工物」とは、大麦の葉に乾燥処理、粉砕処理、搾汁処理、抽出処理等の処理を施すことにより加工された物のことを意味し、何ら処理を施されていない生葉は該当しない。具体的には、例えば、大麦の葉の乾燥粉末、大麦の葉の細片化物及びその乾燥粉末、大麦の葉の搾汁及びその乾燥粉末、大麦の葉の抽出物及びその乾燥粉末等が挙げられる。なお、本発明において、粉末とは、必要に応じて賦形剤等を添加し顆粒化したものを含むものとする。
大麦の葉を乾燥粉末化する方法としては、当業者が通常用いる方法により乾燥粉末化すれば良く、従来公知の方法を用いても良い。例えば、大麦の葉を切断した後、ブランチング処理を行い、次いで水分含量が10質量%以下、好ましくは5質量%以下となるように乾燥し、その後粉砕する方法(特開2004−000210号を公報参照)、大麦の葉を切断した後、ブランチング処理を行い、次いで揉捻し、その後、乾燥し、粉砕する方法(特開2002−065204号公報を参照)、大麦の葉を乾燥し、粗粉砕した後、110℃以上で加熱し、更に微粉砕する方法(特開2003−033151号公報を参照)等が挙げられる。
大麦の葉を細片化する方法としては、当業者が通常用いる方法により細片化すれば良く、従来公知の方法を用いても良い。例えば、植物体をスライス、細断等により細片化する方法が挙げられる。細片化の一例として、スラリー化しても良い。スラリー化は、大麦の葉をミキサー、ジューサー、ブレンダー、マスコロイダー等にかけ、大麦の葉をどろどろした粥状(液体と固体の懸濁液)にする方法により行っても良い。
大麦の葉の細片化物を乾燥する方法としては、当業者が通常用いる方法により乾燥すれば良く、従来公知の方法を用いても良い。例えば、天日で乾燥する方法、乾燥機を用いて噴霧乾燥、凍結乾燥、減圧乾燥、流動乾燥等により乾燥する方法等が挙げられる。
大麦の葉を搾汁する方法としては、当業者が通常用いる方法により搾汁すれば良く、従来公知の方法を用いても良い。例えば、大麦の葉又はその細片化物を圧搾する方法、大麦の葉の細片化物を遠心又はろ過する方法等が挙げられる。なお、搾汁物は必要に応じて濃縮しても良い。また、大麦の葉から搾汁処理を行った後に残る搾汁残渣を大麦の葉の加工物として用いても良い。
大麦の葉の搾汁物を乾燥粉末化する方法としては、当業者が通常用いる方法により搾汁物を乾燥粉末化すれば良く、従来公知の方法を用いても良い。例えば、搾汁物をそのまま乾燥して粉末化しても良いし、搾汁物に適切な結合剤や賦形剤等を添加してから乾燥して粉末化しても良い。また、搾汁物又は搾汁物の乾燥粉末に必要に応じて賦形剤等を添加して、公知の湿式、乾式等の顆粒造粒法によって顆粒に成形して粉末化しても良い。
大麦の葉を抽出する方法としては、当業者が通常用いる方法により抽出すれば良く、従来公知の方法を用いても良い。例えば、大麦の葉若しくはその細片化物に、エタノール、水、含水エタノール等の当業者が通常用いる抽出溶媒を加え、必要に応じて加温して抽出する方法等が挙げられる。なお、抽出物は必要に応じて濃縮しても良い。また、特定成分の濃度を高めるため、当業者が通常用いる方法により抽出物を分画しても良いし、当業者が通常用いる方法により特定成分を精製しても良い。また、大麦の葉から抽出処理を行った後に残る抽出残渣を大麦の葉の加工物として用いても良い。
大麦の葉の抽出物を乾燥粉末化する方法としては、当業者が通常用いる方法により抽出物を乾燥粉末化すれば良く、従来公知の方法を用いても良い。例えば、抽出物を乾燥して粉末化しても良いし、抽出物に適切な結合剤や賦形剤等を添加してから乾燥して粉末化しても良い。また、抽出物又は抽出物の乾燥粉末に必要に応じて賦形剤等を添加して、公知の湿式、乾式等の顆粒造粒法によって顆粒に成形して粉末化しても良い。
以上の通り、本発明の大麦の葉の加工物としては、大麦の葉に何らかの加工処理を施した物であればいずれも用いることができるが、中でも大麦の葉の乾燥粉末は高い保水力を有することから、大麦の葉の乾燥粉末を用いることが特に好ましい。
本発明の大麦の葉の加工物は、通常の気流殺菌、高圧殺菌、加熱殺菌等の方法により、殺菌しても良い。
本発明の消化管内の粘度上昇剤において、大麦の葉の加工物の含有量は、本発明の課題の解決を妨げない限り特に限定されないが、例えば、0.002質量%以上、好ましくは0.1質量%以上であり、より好ましくは1質量%以上であり、さらに好ましくは10質量%以上であり、最も好ましくは20質量%以上である。大麦の葉の加工物の含有量が0.002質量%より少ない場合、消化管内容物の粘度上昇作用が十分に発揮されない場合がある。
本発明の消化管内の粘度上昇剤は、前記の加工物を用い、任意の形態とすることができる。本発明の消化管内の粘度上昇剤の形態としては、経口摂取に適した形態、例えば、粉末状、粒状、顆粒状、錠剤状、棒状、板状、ブロック状、固形状、丸状、液状、飴状、ペースト状、クリーム状、ハードカプセルやソフトカプセルのようなカプセル状、カプレット状、タブレット状、ゲル状、ゼリー状、グミ状、ウエハース状、ビスケット状、クッキー状、チュアブル状、シロップ状、スティック状等の各形態が挙げられる。本発明の消化管内の粘度上昇剤は、これが固体の形態である場合、水と混合して懸濁又は溶解させ液状体として経口摂取こともでき、また、摂取する者の好み等に応じて、固体のまま経口摂取しても良い。また、水だけでなく、お茶、牛乳等の液状体に添加しても良いし、ヨーグルト等に添加して摂取しても良い。
本発明の消化管内の粘度上昇剤は、他の成分を配合することに特に制限はなく、必要に応じて、大麦の葉以外の成分を配合しても良い。大麦の葉以外の成分としては、例えば、ビタミン類(A、C、D、E、K、葉酸、パントテン酸、ビオチン、これらの誘導体等)、ミネラル(鉄、マグネシウム、カルシウム、亜鉛、セレン等)、α−リポ酸、レシチン、ポリフェノール(フラボノイド類、これらの誘導体等)、カロテノイド(リコピン、アスタキサンチン、ゼアキサンチン、ルテイン等)、キサンチン誘導体(カフェイン等)、脂肪酸、タンパク質(コラーゲン、エラスチン等)、ムコ多糖類(ヒアルロン酸等)、アミノ糖(グルコサミン、アセチルグルコサミン、ガラクトサミン、アセチルガラクトサミン、ノイラミン酸、アセチルノイラミン酸、ヘキソサミン、それらの塩等)、オリゴ糖(イソマルトオリゴ糖、環状オリゴ糖等)、リン脂質及びその誘導体(フォスファチジルコリン、スフィンゴミエリン、セラミド等)、植物乾燥粉末、動植物抽出物、含硫化合物(アリイン、セパエン、タウリン、グルタチオン、メチルスルホニルメタン等)、糖アルコール、糖類、リグナン類(セサミン等)等を配合しても良い。また、クエン酸、乳酸、グルコン酸、リンゴ等の酸味料、酸化チタン等の着色料、アラビアガム、キサンタンガム等の増粘剤、ソーマチン、還元麦芽糖等の甘味料、シェラック等の光沢剤、タルク、二酸化ケイ素、セルロース、ステアリン酸カルシウム等の製造用剤等を配合しても良いし、種々の賦形剤、結合剤、滑沢剤、安定剤、希釈剤、増量剤、増粘剤、乳化剤、着色料、香料、添加物等を配合しても良い。なお、大麦の葉以外の成分の含有量は、本発明の消化管内の粘度上昇剤の形態等に応じて適宜選択することができる。
以下、実施例を挙げて本発明をより詳細に説明する。なお、本発明の範囲が以下の実施例に限定されないことは言うまでもない。
(保水力が高い素材のスクリーニング)
消化管内の粘度上昇剤としては、保水力の高い素材が適すると考えられる。投与する物質の保水力が高ければ、消化管内で水を取込むことによって粘性を持った状態となり、消化管内容物の粘度を高めることができると考えられるためである。そこで、消化管内の粘度上昇剤として適した素材をスクリーニングするために、以下の試験により各素材について保水力の評価を行った。
(実施例1:水添加時の体積増加率の測定)
保水力の高い素材は水を取込みやすいため、水に接触した際に体積が大きく増加すると考えられる。したがって、水に接触した際の体積増加率は保水力の指標となる。そこで、以下の方法により、各素材について、水添加時の体積増加率を比較した。
大麦の葉乾燥粉末(商品名「大麦若葉末」:株式会社東洋新薬製)、小麦ふすま乾燥粉末又はセルロースを、試験管中にそれぞれ250mgずつ入れ、各素材の体積を測定した(体積Aとする)。その後、各試験管に水を2.5mLずつ添加した。ボルテックスミキサーを用いて試験管を30秒間攪拌した後、試験管を10分間放置し、懸濁物を沈殿させた。その後、沈殿物の体積を測定し(体積Bとする)、下記式(1)により水添加時の体積増加率を算出した。
体積増加率の測定結果を表1に示す。また、各素材について水添加前と添加後の比較写真を図1〜3に示す(図1はセルロース、図2は小麦ふすま、図3は大麦の葉)。表1に示す通り、体積増加率はセルロースが7.1%、小麦ふすま乾燥粉末が6.5%であったのに対し、大麦の葉乾燥粉末は53.7%であり、他の素材に比べて大麦の葉乾燥粉末の保水力が非常に高いことが示唆された。
(実施例2:結合水の量の測定)
素材と強く結合して一体化した状態となる結合水は、容易にはその素材から分離せず、素材と一体化した状態で留まり続ける。このような結合水を多く保持できる素材は保水力が高いことが多いため、保持できる結合水の量は保水力を示す指標の1つになると考えられる。そこで、以下の方法により、各素材が保持できる結合水の量を測定した。
大麦の葉乾燥粉末(商品名「大麦若葉末」:株式会社東洋新薬製)又はセルロースを、ポリプロピレン製の遠心分離用チューブ(容量1.5mL)にそれぞれ30mgずつ入れて重量を測定した(重量Aとする)。その後、各チューブに1mLの精製水を添加した。各チューブを手で良く振った後、30分間放置した(37℃)。その後、2,000gにて遠心分離を10分間行った(4℃)。結合水以外の水分(自由水)を取り除くため、傾斜法及びキムワイプを用いた拭き取りによる水分の除去処理を行った後、それぞれのチューブの重量を測定し(重量Bとする)、下記式(2)により各素材が保持できる結合水の量を算出した。なお、測定はそれぞれ3回行い、平均値を算出した。
保持できる結合水の量の測定結果(平均値)を表2に示す。セルロースが保持できる結合水の量が3.3mg/gであったのに対し、大麦の葉乾燥粉末は4.4mg/gであった。このことから、セルロースに比べて大麦の葉乾燥粉末の保水力が高いことが示唆された。
(実施例3:各素材の表面観察)
大麦の葉乾燥粉末の保水力が高い理由を検討するため、走査型電子顕微鏡(商品名「Miniscope TM−1000」;株式会社日立ハイテクノロジーズ社製)を用いて、大麦の葉乾燥粉末、小麦ふすま乾燥粉末及びセルロースの表面を観察した。その結果、セルロースの表面(図4)や小麦ふすま乾燥粉末の表面(図5)に比べて、大麦の葉乾燥粉末の表面(図6)には、細かい起伏が多いことが分った。推測ではあるが、この細かい起伏によって水が捕らわれ易くなることが大麦の葉乾燥粉末が高い保水力を有する要因の1つとなっている可能性が考えられた。
(消化管内の粘度上昇作用の評価)
上述の通り、植物由来の素材を対象として保水力に優れた素材をスクリーニングした結果、大麦の葉が保水力に優れた素材であることが示唆された。そこで、大麦の葉が消化管内の粘度上昇作用を有するか否かを確認するために、以下の試験による評価を行った。
(実施例4:ラットを用いた消化管内容物の粘度測定試験)
大麦の葉を投与した場合と投与しない場合において、消化管内容物の粘度に差が認められるかを確認するため、以下の方法により、ラットに被験物質を投与して消化管内容物の粘度を測定する試験を実施した。
(1)馴化方法
6週齢のWistar雄性ラット(日本エスエルシー株式会社より購入)をそれぞれ別々のケージに入れ、一定の環境下(室温24±4℃;湿度30〜70%;明暗周期12時間ごと)にて、3週間馴化した。なお、馴化期間中は、MF飼料(オリエンタル酵母工業株式会社製)及び蒸留水を自由摂取させた。
(2)被験物質の投与方法及び評価方法
馴化後の9週齢のWistar雄性ラットを平均体重がだいたい均一となるように2群に分けた(各群3匹ずつ)。表3に示すように、そのうちの1群はコントロール群として、AIN−76精製飼料を3日間自由摂取させた。残りの1群は試験群として、スクロースの一部を大麦の葉乾燥粉末(株式会社東洋新薬製)にて置き換えたAIN−76精製飼料を同様に摂取させた。その後、自由摂取を終了し、暗期に切り換えて3時間経過してからラットを屠殺して、胃、小腸及び盲腸の内容物を回収した。回収した内容物については、CPE−51スピンドルコーンを用いたデジタルコーンプレート型粘度計(HBDV−1 Prime;ブルックフィールド・エンジニアリング・ラボラトリーズ社製)を使用して、粘度を測定した。
粘度測定結果を図7〜9に示す(図7は胃内容物、図8は小腸内容物、図9は盲腸内容物)。大麦の葉乾燥粉末を含む飼料を摂取した試験群においては、大麦の葉乾燥粉末を含まない飼料を摂取したコントロール群に比べて、胃内容物、小腸内容物及び盲腸内容物のいずれについても粘度の増加傾向が認められた。特に、小腸内容物及び盲腸内容物においては、試験群とコントロール群の粘度に有意差(p<0.05)が認められた。このことから、大麦の葉は消化管内の粘度上昇作用を有することが確認された。したがって、大麦の葉加工物は、消化管内の粘度上昇剤として用いることが可能である。
(本発明の製造例)
本発明の消化管内の粘度上昇剤は、様々な形態として用いることが可能である。例えば、以下に記載する製造例1〜9の形態として用いることができる。なお、本発明の実施形態が以下に限定されないことは言うまでもない。
(製造例1:液剤)
表4に記載される割合で各成分を配合し、液剤を製造した。
(製造例2:顆粒剤)
表5に記載される割合になるように各成分を混合し、流動層造粒によって造粒を行った。得られた造粒物を30メッシュの篩いにて篩別し顆粒剤とした。
(製造例3:ソフトカプセル)
表6に記載される割合になるように内容液を調製した。また、表7に記載される割合になるようにカプセル皮膜を調整し、前記内容液を充填することでソフトカプセルとした。カプセル化は、カプセル皮膜液を流延しフィルム化すると共に、内部に内容液を充填させてヒートシールを行い、成形されたソフトカプセルを乾燥させることにより行った。
(内容液)
(カプセル皮膜)
(製造例4〜6)
大麦の葉乾燥粉末に換えて、大麦の葉搾汁物の乾燥粉末を用いた以外は、上記製造例1〜3と同様にして、それぞれ製造例4〜6を作成した。
(製造例7〜9)
大麦の葉乾燥粉末に換えて、大麦の葉抽出物の乾燥粉末を用いた以外は、上記製造例1〜3と同様にして、それぞれ製造例7〜9を作成した。

Claims (1)

  1. 大麦の葉の乾燥粉末を有効成分とすることを特徴とする、消化管内の粘度上昇剤(健常者の下痢抑制に用いられる場合を除く)
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