JP2007262400A - ポリフェノール含有植物抽出物・キトサン複合体とその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】渋味、苦味を抑えて、カテキン等のポリフェノール含有植物抽出物を大量に摂取可能とし、食品等への利用拡大を図ることが可能な多糖類複合体および該複合体の製造方法を提供する。
【解決手段】ポリフェノール含有の植物抽出物、例えばカテキン含有の茶抽出物の水溶液に、含水ゲル状体のキトサンあるいは粉末状のキトサンを混合し、乾燥して得られるポリフェノール含有植物抽出物・キトサン複合体。さらに、該複合体を食品添加剤として含有する菓子、パン、ゼリー、ソフトクリーム、アイスクリーム、煎餅、飴、豆腐、かまぼこ等の食品。
【選択図】なし
【解決手段】ポリフェノール含有の植物抽出物、例えばカテキン含有の茶抽出物の水溶液に、含水ゲル状体のキトサンあるいは粉末状のキトサンを混合し、乾燥して得られるポリフェノール含有植物抽出物・キトサン複合体。さらに、該複合体を食品添加剤として含有する菓子、パン、ゼリー、ソフトクリーム、アイスクリーム、煎餅、飴、豆腐、かまぼこ等の食品。
【選択図】なし
Description
本発明は、カテキン類等を含有する茶抽出物をはじめとする各種のポリフェノール含有植物抽出物とキトサンとの複合体、並びにそれらの製造方法、さらにはそれらの添加食品に関するものである。
緑茶は嗜好飲料として最も一般的なものの一つである。緑茶の効能は古くから知られているが、近年、その主成分であるカテキン類が、抗酸化作用、抗突然変異作用、抗癌作用、抗菌作用、血圧上昇抑制作用等の、色々な薬理的効果を示すことが明らかにされて来た。その為、カテキンの摂取、即ち緑茶を飲用することが、健康維持や疾病の予防に有効であると考えられるようになった。古くから信じられていた保健飲料としての緑茶の効能が、科学的な根拠を与えられたということである。
一日に緑茶を何杯飲めば充分なカテキンを摂取出来るのか、ということに関する明確な答えは無いが、10杯以上という意見や、多ければ多いほど良いとする意見もある。カテキンを摂取する目的の為ならば、濃いお茶を飲んだり、緑茶の抽出液を乾燥させた粉末を飲めば良い訳だが、カテキン類は強い渋味と苦味を持つ為に、高濃度で摂取することが困難である。特にガロイル基の付いたエピカテキンガレート(ECG)とエピガロカテキンガレート(EGCG)ではその性質が著しい。従って適当な方法を用いてカテキンの渋味と苦味を抑えることが出来れば、大量摂取が容易になる。たとえば、シクロデキストリンを用いる方法はその一つである。これはシクロデキストリンとカテキンの包接化合物を作ることにより、渋味苦味を抑えるもので、これまでにも各種のものが提案されている(特許文献1−4)。そして、これらのいくつかのものは飲料等として実用化されてもいる。たとえば緑茶飲料がある。これは高濃度カテキン茶と呼ばれ、一般的に飲まれるお茶の2倍量のカテキンが含まれていると説明されている。
特開平3−168046号公報
特開平10−4919号公報
特開平14−238518号公報
特開平16−254511号公報
以上のように、カテキンをはじめとする各種のポリフェノール含有植物抽出物への関心の高まりと、シクロデキストリンを用いてのその飲料等への利用の拡大が注目される一方で、実際には抽出物に含まれるポリフェノール特有の性質である渋味や苦味が、これらのさらなる利用拡大のための阻害要因であることには相違はなかった。シクロデキストリンの場合にもこのものによる包接化合物の生成とその利用にはおのずと制約があった。シクロデキストリンそのものを大量に食品等に利用することも実際的ではないからである。
そこで、本発明は、このような従来の問題点を解消し、渋味、苦味を抑えて、カテキン等のポリフェノール含有植物抽出物を大量に摂取可能とし、食品等への利用拡大を図ることが可能な、新しい技術手段を提供することを課題としている。
本発明は、上記の観点から、以下の手段を提供する。
第1:ポリフェノール含有の植物抽出物とキトサンとの固体状態で不可分の一体化物であることを特徴とするポリフェノール含有植物抽出物・キトサン複合体。
第2:ポリフェノール含有の植物抽出物がカテキン含有の茶抽出物であることを特徴とする上記の複合体。
第3:上記のいずれかの複合体の製造方法であって、ポリフェノール含有の植物抽出物の水溶液に含水ゲル状体のキトサンを混合し、乾燥して複合体を生成させることを特徴とするポリフェノール含有植物抽出物・キトサン複合体の製造方法。
第4:上記のいずれかの複合体の製造方法であって、ポリフェノール含有の植物抽出物の水溶液に粉末状のキトサンを混合し、乾燥して複合体を生成させることを特徴とするポリフェノール含有植物抽出物・キトサン複合体の製造方法。
第5:上記の複合体を含有していることを特徴とする食品添加材。
第6:上記の複合体を含有していることを特徴とする食品。
第7:菓子、パン、ゼリー、ソフトクリーム、アイスクリーム、煎餅、飴、豆腐、かまぼこ、またはその他の加工食品に含有していることを特徴とする上記の食品。
上記のとおりの本発明によれば、カテキン等のポリフェノールを含有する植物抽出物の渋味や苦味を抑えて、大量にこれを摂取可能にすることや、利用拡大を図ることが可能とされる。特に、本発明において用いられるキトサンはカニやエビ等の甲殻類の殻から採れる多糖であり、免疫増強作用、皮膚再生作用、抗菌性、抗アレルギー性、血中コレステロール値低下作用等、色々な薬理的作用を持っている。他の食品と一緒に摂ると脂肪の吸収を抑える為に、最近ダイエット食品としての利用が盛んである。茶カテキン−キトサン複合体は、茶カテキンの渋味苦味を抑えて摂取し易くすると同時に、機能性食品としてのキトサンも同時に摂ることが出来る、新規の食材或いはサプリメントとして利用することが期待される。
本発明は上記のとおりの特徴をもつものであるが、以下にその実施の形態について説明する。
本発明におけるポリフェノール含有植物抽出物・キトサン複合体は、固体状態においては破砕や粉砕、あるいは剥離等では各々分離できないものであって、不可分の一体化物としてある。この場合のポリフェノール含有植物抽出物としては、これまでに知られているカテキン含有の茶抽出物をはじめ、ぶどう液等の各種のものであってよい。抽出物は、水溶性であれば、液状であっても、粉末等の固体状であってもよい。これらの抽出物の取得方法にも特に制限はない。
茶抽出物に含まれるカテキンはその分子構造が明らかにされており、そのバリエーションも数種類に限定されている。また、エピガロカテキンガレートが総カテキン中の50%以上を占めている。
カテキン含有の茶抽出物の代表的なものとして、緑茶抽出物がある。緑茶中には、エピカテキン、エピガロカテキン、エピカテキンガレート、エピガロカテキンガレートなどの約4種類のカテキンが含まれている。
緑茶抽出物として市販されているものにはポリフェノン(登録商標 三井農林製)、サンフェノン(登録商標 太陽化学製)、オールカテキン(馬場製菓製)などがあり、純度は製品により異なるが、本発明ではいずれも好適に用いることができ、本発明の方法によりキトサンとの複合体とすることで、その渋味や苦味を抑えて、大量にこれを摂取可能にすることができる。
キトサンは、その分子量によって、分子量10,000以上の高分子キトサン、分子量10,000以下の低分子キトサン、およびグルコサミンが2〜10個程度結合したキトサンオリゴ糖に分類される。本発明では市販されている脱アセチル化度70〜100%のものが使用でき、たとえば、焼津水産化学工業、キミカ、甲陽ケミカル、片倉チッカリンなどから市販されているものが使用できる。
分子量10,000〜1,000,000の高分子キトサンはゲル化することができ、キトサンの含水ゲルをポリフェノール含有の植物抽出物の水溶液と攪拌混合して乾燥する本発明の方法に用いることができる。さらに、他の食品と一緒に体内に摂取し、腸に移行したときにゲル化してその内部に脂肪を取り込む脂肪吸収作用を本発明の複合体に与えることができる。
一方、分子量10,000以下の低分子キトサンおよびキトサンオリゴ糖は、水溶性が高くゲル化することができない。ただし、緑茶抽出物と混合すると、苦味を落とす効果があるので、その溶液を凍結乾燥して粉末として使用することが可能である。
本発明の複合体を製造する方法として各種のものが考慮されてよいが、本発明では特に以下の方法を新たに提供する。
<1>ゲルを用いる方法
キトサンの含水ゲルを上記抽出物の水溶液と攪拌混合して乾燥する方法である。キトサンの含水ゲルはこれまで公知の方法をはじめとして各種の方法で調製することができる。
<1>ゲルを用いる方法
キトサンの含水ゲルを上記抽出物の水溶液と攪拌混合して乾燥する方法である。キトサンの含水ゲルはこれまで公知の方法をはじめとして各種の方法で調製することができる。
たとえば、酸を用いてキトサンを水に溶解し、アルカリ添加により中和してゲル化する方法である。より具体的には、キトサン粉末を塩酸に溶解した後、NaOH水溶液を徐々に加えていく。するとキトサンの水和ゲルが沈殿する。NaOH水溶液の濃度は、好ましくは0.5N以下、より好ましくは0.05−0.5Nであり、このNaOH水溶液を、溶液を充分に攪拌しながら徐々に加えていく。
NaOH水溶液の濃度が高過ぎると結晶が沈殿し、その後のポリフェノール含有の植物抽出物との混合工程において吸着形態が変化し、得られる複合体の品質に影響を与える場合がある。たとえば色や風味に違いが生じ、特に、渋味や苦味に影響する場合がある。また、NaOH水溶液の濃度が低過ぎるとゲルが沈殿しにくくなる。
また、溶液を充分に攪拌しながらNaOHを徐々に加えていかないと、溶液の一部分のpHが上昇し、結晶が沈殿する。したがって、NaOH水溶液の濃度等に応じて、結晶の沈殿を防止するのに充分な速度で溶液を攪拌する必要がある。
このような条件でゲルを沈殿させることで、95〜98%の含水率をもつゲルが得られる。沈殿したゲルは、濾布等を用いて集め、繰り返し純水で洗浄する。この含水ゲル状体のキトサンを、ポリフェノール含有の植物抽出物の水溶液と攪拌混合する。カテキン含有の茶抽出物の場合、キトサン含水ゲルと茶抽出物水溶液の混合比は重量比で0.1/1−10/1とするのが好ましく、この混合物をホモジナイザー等を用いて、条件によるが通常は5−10分間、均一な状態を維持しながら撹拌することが望ましい。
その後、必要に応じて静置した後、乾燥して水分を除去する。混合後の乾燥については、風乾等の自然乾燥や、加熱乾燥等でもよいが、凍結乾燥の手段が好適に考慮される。
ゲルを用いる方法により製造される複合体における茶抽出物の配合量は、キトサンの重量に対して好ましくは1.5倍量以下、より好ましくは1.0〜0.25倍量である。このような配合量でキトサンとの複合体を形成することで、食品添加剤や食品に含有させた場合においても渋味や苦味を充分に抑制することができる。
<2>粉末を用いる方法
固体粉末状のキトサンはそれ自身が多孔質であることから、これをそのまま使用し、上記抽出物の水溶液と攪拌混合して乾燥する方法である。なお、固体粉末状のキトサンはこれまで公知の方法をはじめとして各種の方法で調製することができる。たとえば、カニ、エビ由来の殻を原料として、希水酸化ナトリウム水溶液で脱蛋白、希塩酸水溶液で脱カルシウムしてキチンを得る。ついで、このキチンを水酸化ナトリウム水溶液で脱アセチル処理化し、水洗、乾燥、粉砕して、目的とする固体粉末状のキトサンを得る。
<2>粉末を用いる方法
固体粉末状のキトサンはそれ自身が多孔質であることから、これをそのまま使用し、上記抽出物の水溶液と攪拌混合して乾燥する方法である。なお、固体粉末状のキトサンはこれまで公知の方法をはじめとして各種の方法で調製することができる。たとえば、カニ、エビ由来の殻を原料として、希水酸化ナトリウム水溶液で脱蛋白、希塩酸水溶液で脱カルシウムしてキチンを得る。ついで、このキチンを水酸化ナトリウム水溶液で脱アセチル処理化し、水洗、乾燥、粉砕して、目的とする固体粉末状のキトサンを得る。
この固体粉末状のキトサンを、ポリフェノール含有の植物抽出物の水溶液と攪拌混合し、必要に応じて静置した後、乾燥して水分を除去する。混合後の乾燥については、風乾等の自然乾燥や加熱乾燥、あるいは凍結乾燥の手段が好適に考慮される。
そこで以下に実施例を示し、さらに詳しく説明する。もちろん、以下の例示によって発明が限定されることはない。
<実施例1>
(キトサンゲルを用いた複合体の製法)
キトサン(10g、焼津水産製PSH)を1000mlの純水中で撹拌しながら、0.5N塩酸100mlを徐々に加える。キトサンの大半は溶解するが、一部溶解していない粉末が残る。溶液をホモジナイザーで粉砕、撹拌すると全体が均一な溶液になる。この溶液を撹拌しながら0.5NのNaOH水溶液を滴下して中和する。NaOH水溶液の量は塩酸の量より少し多めで、溶液のpHが9−10になるまで加える。キトサンは白色のゲル状になって沈殿する。濾布を用いてゲルを集め、繰り返し純水で洗浄する。ゲルの含水率は95−98%程度である。このゲルを緑茶抽出物(太陽化学製サンフェノン、三井農林製ポリフェノン、馬場製菓製チャカテキン等)の水溶液300mlに加えた後、ホモジナイザーで撹拌し、均一にする。この混合物を凍結乾燥すると茶抽出物−キトサン複合体が出来る。茶カテキンの量はキトサンに対して任意に変えることが可能である。
<実施例2>
(茶抽出物の量と渋味苦味との関係)
キトサンの重量に対して0.25,0.5,1.0,1.5,2.0倍量の茶抽出物(馬場製菓製)を用い複合体を作り、外観、味について検討した。茶抽出物自体は深緑色の固体であるが、キトサンとの複合体にすると、淡緑色の固体粉末になる。しかし茶抽出物の割合の増加と共に色は濃くなっていった。原料の茶抽出物はその粉末を少量舐めると強い苦味を感じ、長時間舌の上に味が残る。しかし0.25,0.5,1.0倍量で作った複合体は僅かな渋味苦味が感じられるだけで、その粉末を食べることが出来た。1.5倍量のものは幾分渋味苦味が濃く感じられた為に、1.0倍量のものが適当であると判断された。
<実施例3>
ゲル状のキトサンが茶カテキンをどの程度吸着するかを、分光光度法で調べた。茶抽出物1gを、含水率98.5%のキトサンゲル50g、水50gと混合し、吸着させた後、遠心してゲルを沈め、上澄液の吸光度(270mu)を測定した。この波長の吸収は各種のカテキンの吸収が重なったものである。同様に茶抽出物1gを水100mlに溶解した溶液の吸光度を参照にし、吸光度の減少の程度から、カテキンの平均の吸着量を求めた。その結果は次の表1のとおりであった。
(キトサンゲルを用いた複合体の製法)
キトサン(10g、焼津水産製PSH)を1000mlの純水中で撹拌しながら、0.5N塩酸100mlを徐々に加える。キトサンの大半は溶解するが、一部溶解していない粉末が残る。溶液をホモジナイザーで粉砕、撹拌すると全体が均一な溶液になる。この溶液を撹拌しながら0.5NのNaOH水溶液を滴下して中和する。NaOH水溶液の量は塩酸の量より少し多めで、溶液のpHが9−10になるまで加える。キトサンは白色のゲル状になって沈殿する。濾布を用いてゲルを集め、繰り返し純水で洗浄する。ゲルの含水率は95−98%程度である。このゲルを緑茶抽出物(太陽化学製サンフェノン、三井農林製ポリフェノン、馬場製菓製チャカテキン等)の水溶液300mlに加えた後、ホモジナイザーで撹拌し、均一にする。この混合物を凍結乾燥すると茶抽出物−キトサン複合体が出来る。茶カテキンの量はキトサンに対して任意に変えることが可能である。
<実施例2>
(茶抽出物の量と渋味苦味との関係)
キトサンの重量に対して0.25,0.5,1.0,1.5,2.0倍量の茶抽出物(馬場製菓製)を用い複合体を作り、外観、味について検討した。茶抽出物自体は深緑色の固体であるが、キトサンとの複合体にすると、淡緑色の固体粉末になる。しかし茶抽出物の割合の増加と共に色は濃くなっていった。原料の茶抽出物はその粉末を少量舐めると強い苦味を感じ、長時間舌の上に味が残る。しかし0.25,0.5,1.0倍量で作った複合体は僅かな渋味苦味が感じられるだけで、その粉末を食べることが出来た。1.5倍量のものは幾分渋味苦味が濃く感じられた為に、1.0倍量のものが適当であると判断された。
<実施例3>
ゲル状のキトサンが茶カテキンをどの程度吸着するかを、分光光度法で調べた。茶抽出物1gを、含水率98.5%のキトサンゲル50g、水50gと混合し、吸着させた後、遠心してゲルを沈め、上澄液の吸光度(270mu)を測定した。この波長の吸収は各種のカテキンの吸収が重なったものである。同様に茶抽出物1gを水100mlに溶解した溶液の吸光度を参照にし、吸光度の減少の程度から、カテキンの平均の吸着量を求めた。その結果は次の表1のとおりであった。
<実施例4>
ゲル状のキトサンが茶カテキンを吸着することは上の実験より明らかとなったが、粉末のままのキトサンでも吸着する可能性はある。特にキトサンはその製造工程から考えて多孔性であり、表面積が大きいと考えられる。そこで粉末での吸着量を調べた。茶抽出物1gを100mlの水に溶かし、その中へ1gの粉末キトサンを混入し、時々撹拌しながら放置した後、上澄み溶液の吸光度(270mu)を測定し、吸光度の減少の程度からカテキンの平均の吸着量を求めた。その結果は次の表2のとおりであった。
ゲル状のキトサンが茶カテキンを吸着することは上の実験より明らかとなったが、粉末のままのキトサンでも吸着する可能性はある。特にキトサンはその製造工程から考えて多孔性であり、表面積が大きいと考えられる。そこで粉末での吸着量を調べた。茶抽出物1gを100mlの水に溶かし、その中へ1gの粉末キトサンを混入し、時々撹拌しながら放置した後、上澄み溶液の吸光度(270mu)を測定し、吸光度の減少の程度からカテキンの平均の吸着量を求めた。その結果は次の表2のとおりであった。
また、粉末キトサンを2g用いた場合の結果は、次の表3のとおりであった。
以上のことから、粉末状のキトサンを用いても、カテキンが吸着されることが確認された。従って茶抽出物の水溶液にキトサン粉末を混合したあと、全体を凍結乾燥しても複合体を作ることができることがわかった。ただ、ゲルを用いて作った複合体と、粉末を用いて作った複合体は色や風味に違いが感じられた。苦味に関しては、ゲルから作ったものの方が苦味が少なかった。
<実施例5>
(消化管内での挙動に関する検証)
茶抽出物−キトサン複合体が苦味を感じなくなるのは、それが水不溶性であることに因っているが、食品として摂った場合、消化管内でも不溶性のままでは、機能を発揮せず、意味が無くなる。そこで複合体が胃や腸の中でどのような挙動を示すかを検証した。胃液は塩酸によりpH1−2程度の強酸性になっている。そこで、胃液への複合体(キトサンゲルと馬場チャカテキンから作った)の溶解性を粉末状キトサンの溶解性と比較した。その結果複合体の方は10秒程度で、粉末状のものより速い速度で溶解した。このことは、複合体は胃に入ると、元の茶抽出物とキトサンに分かれ、それぞれが本来持っている機能を発揮することを意味している。胃から腸に移行するとpHは8程度の弱アルカリ性になり、キトサンはゲル化してその内部に脂肪を取り込むことが知られている。そこで塩酸で溶解した複合体及び粉末状のキトサンの溶液にNaOH水溶液を加えて弱アルカリ性にした。両溶液ともにキトサンがゲル状に沈殿した。このことから複合体を用いても、キトサンは本来の機能を発揮することが推定された。
<実施例6>
(緑茶抽出物−キトサン複合体を用いた茶飴の製造)
緑茶抽出物−キトサン複合体を添加した茶飴を常法に従い製造した。砂糖と水飴を容器内に加えて加熱下に煮詰め、その後、実施例1の方法で製造した緑茶抽出物−キトサン複合体を添加しながら冷却し、一定の温度まで下がったところで成形を行い、一粒当たり複合体200mg(緑茶抽出物100mg相当)を含有する茶飴を得た。得られた茶飴は、口に入れても渋みや苦味はほとんど感じられなかった。
<実施例5>
(消化管内での挙動に関する検証)
茶抽出物−キトサン複合体が苦味を感じなくなるのは、それが水不溶性であることに因っているが、食品として摂った場合、消化管内でも不溶性のままでは、機能を発揮せず、意味が無くなる。そこで複合体が胃や腸の中でどのような挙動を示すかを検証した。胃液は塩酸によりpH1−2程度の強酸性になっている。そこで、胃液への複合体(キトサンゲルと馬場チャカテキンから作った)の溶解性を粉末状キトサンの溶解性と比較した。その結果複合体の方は10秒程度で、粉末状のものより速い速度で溶解した。このことは、複合体は胃に入ると、元の茶抽出物とキトサンに分かれ、それぞれが本来持っている機能を発揮することを意味している。胃から腸に移行するとpHは8程度の弱アルカリ性になり、キトサンはゲル化してその内部に脂肪を取り込むことが知られている。そこで塩酸で溶解した複合体及び粉末状のキトサンの溶液にNaOH水溶液を加えて弱アルカリ性にした。両溶液ともにキトサンがゲル状に沈殿した。このことから複合体を用いても、キトサンは本来の機能を発揮することが推定された。
<実施例6>
(緑茶抽出物−キトサン複合体を用いた茶飴の製造)
緑茶抽出物−キトサン複合体を添加した茶飴を常法に従い製造した。砂糖と水飴を容器内に加えて加熱下に煮詰め、その後、実施例1の方法で製造した緑茶抽出物−キトサン複合体を添加しながら冷却し、一定の温度まで下がったところで成形を行い、一粒当たり複合体200mg(緑茶抽出物100mg相当)を含有する茶飴を得た。得られた茶飴は、口に入れても渋みや苦味はほとんど感じられなかった。
一方、緑茶抽出物−キトサン複合体の代わりにこの複合体の製造に用いた緑茶抽出物をそのまま添加した以外は上記と同じ方法により緑茶抽出物を含有する茶飴を得た。一粒当たり緑茶抽出物50mg程度含有するものでは口に入れても渋みや苦味はほとんど感じられなかったが、一粒当たり緑茶抽出物100mg程度含有するものでは苦味が強く感じられた。
さらに、緑茶抽出物−キトサン複合体を用いると共にかんきつ類の味付けをした茶飴を上記と同様の方法で製造し、一粒当たり複合体200mg(緑茶抽出物100mg相当)を含有する茶飴を得た。得られた茶飴にはかんきつ類の風味が加わり、渋みや苦味もほとんど感じられなかった。
<実施例7>
(緑茶抽出物−キトサン複合体を用いたアイスクリームの製造)
緑茶抽出物−キトサン複合体を添加したアイスクリームを通常の抹茶アイスを得る方法に従い製造した。実施例1の方法で製造した緑茶抽出物−キトサン複合体を生乳中に分散させ、冷却しながら撹拌し固化させることで複合体入りアイスクリームを得た。
<実施例7>
(緑茶抽出物−キトサン複合体を用いたアイスクリームの製造)
緑茶抽出物−キトサン複合体を添加したアイスクリームを通常の抹茶アイスを得る方法に従い製造した。実施例1の方法で製造した緑茶抽出物−キトサン複合体を生乳中に分散させ、冷却しながら撹拌し固化させることで複合体入りアイスクリームを得た。
得られたアイスクリームは、1個当たり数100mg添加したものでも渋みや苦味はほとんど感じられず、高濃度カテキン茶である市販の緑茶と同程度のカテキンを摂ることができた。
<実施例8>
(緑茶抽出物−キトサン複合体を用いたクッキーの製造)
緑茶抽出物−キトサン複合体を添加したクッキーを常法に従い製造した。実施例1の方法で製造した緑茶抽出物−キトサン複合体を、小麦粉、バター等の原料と混ぜて生地を作り、これをオーブンで焼き上げて複合体入りクッキーを得た。
<実施例8>
(緑茶抽出物−キトサン複合体を用いたクッキーの製造)
緑茶抽出物−キトサン複合体を添加したクッキーを常法に従い製造した。実施例1の方法で製造した緑茶抽出物−キトサン複合体を、小麦粉、バター等の原料と混ぜて生地を作り、これをオーブンで焼き上げて複合体入りクッキーを得た。
得られたクッキーは、1個当たり300mg添加したものでも渋みや苦味はほとんど感じられなかった。
Claims (7)
- ポリフェノール含有の植物抽出物とキトサンとの固体状態で不可分の一体化物であることを特徴とするポリフェノール含有植物抽出物・キトサン複合体。
- ポリフェノール含有の植物抽出物がカテキン含有の茶抽出物であることを特徴とする請求項1記載の複合体。
- 請求項1または2記載の複合体の製造方法であって、ポリフェノール含有の植物抽出物の水溶液に含水ゲル状体のキトサンを混合し、乾燥して複合体を生成させることを特徴とするポリフェノール含有植物抽出物・キトサン複合体の製造方法。
- 請求項1または2記載の複合体の製造方法であって、ポリフェノール含有の植物抽出物の水溶液に粉末状のキトサンを混合し、乾燥して複合体を生成させることを特徴とするポリフェノール含有植物抽出物・キトサン複合体の製造方法。
- 請求項1または2記載の複合体を含有していることを特徴とする食品添加材。
- 請求項1または2記載の複合体を含有していることを特徴とする食品。
- 菓子、パン、ゼリー、ソフトクリーム、アイスクリーム、煎餅、飴、豆腐、かまぼこ、またはその他加工食品に含有していることを特徴とする請求項6記載の食品。
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