JP2010173962A - 小麦胚乳部由来の糖分解酵素阻害物質及び食物繊維を含有するコレステロール低下用組成物 - Google Patents

小麦胚乳部由来の糖分解酵素阻害物質及び食物繊維を含有するコレステロール低下用組成物 Download PDF

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Abstract

【課題】安全・安価かつ簡便に日常的に継続して摂取することができ、かつ少量の食物繊維量でも十分なコレステロール低下作用を示し、従来の食物繊維の欠点である、風味が悪い、適切な摂取量が決められないといった欠点を解消したコレステロール低下用組成物を提供すること。
【解決手段】小麦胚乳部に由来する糖分解酵素阻害物質及び小麦胚乳部に由来する食物繊維を含有するコレステロール低下用組成物。
【選択図】なし

Description

本発明は、小麦胚乳部由来の糖分解酵素阻害物質及び食物繊維を含有することを特徴とするコレステロール低下用組成物及び該組成物の用途に関する。
近年、食の欧米化に伴い、高脂肪食、特に動物性の高脂肪食を摂取する機会が日本においても増加してきており、日本人の平均的な体内脂質量が増加し、各種代謝性疾患の原因ともなっている。
特にコレステロールは、細胞膜の機能性脂質となったり、胆汁酸の原料となって食物の消化・吸収に機能するなど重要な働きをもった脂質であるが、血液中のコレステロールが増加すると、血管内壁に沈着して、長期的な血管の柔軟性低下や閉塞、及び血管破裂の原因となるといわれている。このような血管変性が進行すると、高血圧、心疾患、脳血管疾患などの各種生活習慣病が合併するため、体内のコレステロール量を低値に保つことは、予防医学上からも重要である。
平成19年に厚生労働省により公表された平成17年国民健康・栄養調査報告によれば、日本人のうち、血清コレステロール濃度が220mg/dL以上の高コレステロール血症者の割合は、男女でそれぞれ25.0%及び36.1%である。しかも、若年や小児のうちから高コレステロール血症となったり、肥満症を伴わない高コレステロール血症の症例が増加してきており、特にこれらは自覚症状や周囲からの注意もないまま高コレステロール状態が慢性的に持続し、症状がかなり進行してから発見されることが多いので、大きな問題となっている。
従って、上記のような高コレステロール血症者及び高コレステロール血症になる恐れのある者に対して、日常的に、習慣的に、かつ持続してコレステロールを低下させる手段が切望されている。
そしてそのような作用が期待でき、しかも医薬品のような副作用がなく、煩雑な投薬コントロールが不要な食品素材として、食物繊維が期待されている。しかしながら、食物繊維は穀類や野菜・果実類に含まれているが、1日に20〜30gを目安に摂取する必要があるといわれており、自然食品からそれだけの食物繊維を摂取する場合には、大量の食物を摂取する必要がある。
一方で、各種の食品より食物繊維分を取り出してその効果が検討されており、食物繊維の2〜10g/日程度の摂取により、コレステロール値を低下させるとの報告がされている。しかしながら、その効果は食物繊維の質、由来する食物の種類や摂取する形態などによって大きく異なり、しかも決して高いものではない。
かといって、食物繊維の摂取量を単純に増加させると、食物繊維が人体に必要なビタミンやミネラルなどの栄養成分を排泄してしまい、それらの栄養成分が吸収されず、欠乏症状が発生したり、下痢や便秘などの消化器症状が起こり、体重の不要な増減や、栄養不足といった副作用が発生するという問題がある。そのため、適切な食物繊維の質、量、摂取形態や摂取方法を十分に検討する必要があり、このことが食物繊維の効果を実感できない原因となっている。
しかも食物繊維、特にセルロースやヘミセルロースなどの水に不溶性の食物繊維は、独特の風味を有し、硬質で食感も悪いため、単独で食するのは極めて困難である。そのような風味をマスキングするためには、食物繊維を、食物繊維に対して多量の食物繊維以外の食品成分に配合する必要がある。従ってコレステロール低下効果を得るためには食物繊維を含む食品を多量に摂取する必要があるが、摂取する食物繊維を含む食品の量は出来るだけ少なくしたいという要望があり(食品にコレステロールが含まれる場合があり、またエネルギーの過剰摂取にもつながるからである)、そのために継続して有効量の食物繊維を摂取することは極めて困難な状況にある。
そこで、ペクチン、オートブラン、グアーガム、サイリウム、キトサンなどの水溶性食物繊維を抽出して、ゼリー、飲料、シリアルなどの形態で摂取する食品が提案されている。しかしながらこれらの食品にしても風味は必ずしも良いものではなく、製造コストが高いため、所要量の食物繊維を日常的に継続して摂取することが困難であるという問題は解決されていない。
また、コレステロール低下効果が高い食物繊維として、小麦ふすまより抽出したヘミセルロースを用いるという提案がされている(特許文献1)。しかしながら、このようなヘミセルロースを得るためには、小麦ふすまを酵素処理後に塩基性条件下で抽出を行い、トリクロロ酢酸による蛋白質の除去の後、3日間の脱塩透析処理を行う必要があり、手間とコストがかかるとともに、製造工程時に混入、残留する人体に有害な薬剤に十分に注意を払う必要がある。
そのため、安全性が高く、日常的に摂取が可能で、しかも効果的にコレステロール低下作用を示す組成物などに対する要望は依然として高い。
特許文献2には、小麦の水抽出液の上澄みを加熱処理し、夾雑する不要蛋白質を変性し、生成した変性蛋白質を遠心分離または静置により除去し、そしてその水溶液を限外濾過膜による濃縮処理に付し、α−アミラーゼインヒビター含有の水溶液を得、さらに必要によりこれを乾燥処理に付することからなる水溶液状または粉末状のα−アミラーゼインヒビター含有物質を取得する方法が開示されている。特許文献2には、前記方法で得られたα−アミラーゼインヒビター含有物質について、肥満及び高血糖に有効であるとの記載があり、またα−アミラーゼ阻害活性の測定を行っている。しかしながら、該物質が体内のコレステロールに対して何らかの作用を有するかについては、何ら検討がなされていない。
特開昭58−41824号公報 特許第2757404号公報
本発明の課題は、安全・安価かつ簡便に日常的に継続して摂取することができ、かつ少量の食物繊維量でも十分なコレステロール低下作用を示し、従来の食物繊維の欠点である、風味が悪い、適切な摂取量が決められないといった欠点を解消したコレステロール低下用組成物を提供することである。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意研究した結果、小麦の胚乳部に由来する糖分解酵素阻害物質と小麦の胚乳部に由来する食物繊維とを含有する組成物が、一般的な食物繊維と比較して、食物繊維量として極めて少量の摂取で、高いコレステロール低下作用を示すことを見出して本発明を完成させた。
すなわち、本発明は以下の事項に関する。
[1]小麦胚乳部に由来する糖分解酵素阻害物質及び小麦胚乳部に由来する食物繊維を含有するコレステロール低下用組成物。
[2]前記糖分解酵素阻害物質がα−アミラーゼインヒビターであることを特徴とする[1]に記載のコレステロール低下用組成物。
[3]前記糖分解酵素阻害物質の含有量が0.5〜40質量%であり、前記食物繊維の含有量が0.5〜60質量%であることを特徴とする[1]または[2]2に記載のコレステロール低下用組成物。
[4][1]〜[3]のいずれかに記載のコレステロール低下用組成物に剤形を付与してなるコレステロール低下剤。
[5][1]〜[3]のいずれかに記載のコレステロール低下用組成物を含有するコレステロール低下用飲食品または飼料。
本発明の組成物は、一般的な食物繊維を有効成分として配合する剤と比較して、食物繊維量として少量で高いコレステロール低下作用を示す。この組成物は水溶性で取扱いが容易であり、しかも主食(パン、麺)として日常的に食されている小麦の胚乳部、すなわち小麦粉を原料として簡便に調製が可能であるため、安全性が高く、極めて風味がよく、コストがかからないため日常的に継続して摂取することが可能である。本発明により、体重の不要な増減及び栄養成分の欠乏症状などの副作用がなく、安全・安価かつ簡便に日常的に継続して摂取することができ、かつ顕著なコレステロール低下作用を有し、各種の高コレステロール血症及び高コレステロール血症に付随する症状の予防及び/又は改善に有効な組成物が提供される。
[コレステロール低下用組成物]
本発明のコレステロール低下用組成物は、小麦胚乳部に由来する糖分解酵素阻害物質及び小麦胚乳部に由来する食物繊維を含有する。以下これら二つの成分について説明する。
〔小麦胚乳部に由来する糖分解酵素阻害物質〕
本明細書において糖分解酵素阻害物質とは、α−グルコシダーゼインヒビター、α−アミラーゼインヒビター及びβ−アミラーゼインヒビターのいずれか1種以上をさす。上記の中でも、得られる効果、物質としての安定性及び製造工程が簡便であるという点から、α−アミラーゼインヒビターが好ましい。
小麦の胚乳部にはこれらの糖分解酵素阻害物質が含まれているが、小麦胚乳部やこれを粉砕した小麦粉の状態では、摂取しても糖分解酵素阻害物質が効果的に作用を示さないため、本発明は、これを抽出することによって利用したものである。
α−アミラーゼインヒビターとしては、蛋白性のものが好ましく、小麦由来のα−アミラーゼインヒビターとして知られている、電気泳動度が0.19であるアルブミン(以下単に0.19アルブミンという、電気泳動度の異なるアルブミンについても同様である)、0.26アルブミン(0.26aアルブミンまたは0.26bアルブミンと言われることがある)、0.53アルブミン及び0.28アルブミンのいずれか1種以上であって、小麦の胚乳部から得られるものを使用することが好ましいが、これら以外の構造が特定されていない小麦胚乳部由来の糖分解酵素阻害物質を本発明のコレステロール低下用組成物に用いてもよい。なお、本明細書において電気泳動度とは、試料をDavisの方法[Annals New York Academy of Science,121, 404−427(1964)]に従って、ポリアクリルアミドゲル電気泳動にかけた際の移動度をさす。
本発明のコレステロール低下用組成物には、上記の糖分解酵素阻害物質を高度に精製して配合してもよいし、粗精製物または複数のアミラーゼインヒビターの混合物として配合してもよい。
上記の小麦の胚乳部から糖分解酵素阻害物質を抽出する方法としては、特許第2757404号公報に記載の方法が好ましく用いることができる。すなわち、小麦胚乳部を適宜粉砕や破砕処理したもの、好ましくは小麦粉(ただし全粒粉は除く)の水性液体抽出液の上清液を加熱処理し、夾雑する不要蛋白質を変性除去し、残った液を限外ろ過膜によって濃縮することによって、小麦胚乳部由来の糖分解酵素阻害物質を得ることができる。前記水性液体とは、たとえば水、酸性水溶液、塩基性水溶液などをさす。
この他にも、公知の糖分解酵素阻害物質を取得する方法を用いることができ、例えば、特許第3504719号公報に記載の方法、特許第3480965号公報に記載の方法、特許第3999825号公報に記載の方法などを採用できる。
〔小麦胚乳部に由来する食物繊維〕
本明細書において、小麦胚乳部に由来する食物繊維には、製造工程上、不可避的に混入する、小麦外皮すなわち小麦ふすまに由来する食物繊維が含まれていてもよい。小麦の胚乳部に含まれる食物繊維の割合は0.3%程度と量的に極めて低く、小麦粉食品をそのまま摂取してもコレステロール低下効果は殆ど期待できないが、本発明においては、これを抽出し、小麦胚乳部に由来する糖分解酵素阻害物質と組み合わせることにより、意外なほど高いコレステロール低下作用を示すため、有用である。
小麦胚乳部に由来する食物繊維を抽出する方法としては、小麦胚乳部を適宜粉砕や破砕処理したもの、好ましくは小麦粉(ただし全粒粉は除く)から、水性液体、好ましくは塩基性の水性液体を用いて抽出する方法が挙げられる。必要に応じて、抽出の際、または抽出後に不溶性食物繊維の加水分解酵素を適用させると、混入する難溶性の食物繊維や不溶性の食物繊維を除去することができ、物性上及び取扱上好ましい形態で小麦胚乳部由来の食物繊維を得ることができる。前記加水分解酵素としては、セルラーゼ、ヘミセルラーゼなどが挙げられ、前記混入する不溶性の食物繊維を除去するには、これを常法に従って適用すればよい。
また、前記の特許第2757404号公報に記載の方法を用いると、小麦胚乳部由来の糖分解酵素阻害物質と同時に小麦胚乳部由来の食物繊維を水性液体中に抽出することができるため、本発明のコレステロール低下用組成物を製造するための工程数を大幅に削減できることから、特許第2757404号公報に記載の方法を採用することが好ましい。
〔コレステロール低下用組成物の製造方法〕
本発明のコレステロール低下用組成物において、小麦胚乳部に由来する糖分解酵素阻害物質の含有量は、通常0.5〜40質量%、好ましくは1〜30質量%であり、より好ましくは1.5〜20質量%である。小麦胚乳部に由来する食物繊維の含有量は、通常0.5〜60質量%、好ましくは1〜40質量%であり、より好ましくは5〜30質量%である。小麦胚乳部由来の糖分解酵素阻害物質及び食物繊維は、別々に調製したものを上記の含有量範囲になるように配合してもよいし、両者を予め含有している組成物に片方、または両方を適宜添加して上記の含有割合としてもよい。
また本発明のコレステロール低下用組成物は、小麦胚乳部以外の部位由来の糖分解酵素阻害物質及び食物繊維や、小麦胚乳部由来の糖分解酵素阻害物質及び食物繊維を得る過程で夾雑する物質、たとえば糖類、蛋白質類、脂質類などを、本発明の効果を損なわない範囲で含有していてもよい。
本発明のコレステロール低下用組成物の調製に用いられる原料としては、小麦の胚乳部や小麦粉に水性液体を添加混合して得られる水抽出液を好ましい例として挙げることができる。また、工業的な小麦澱粉の製造において、小麦粉から澱粉やグルテンを採取する際のドゥまたはバッターの水洗液をそのまま原料として用いてもよい。
以下、本発明のコレステロール低下用組成物の製造方法の一例として、小麦胚乳部由来の糖分解酵素阻害物質及び食物繊維を同時に得て本発明のコレステロール低下用組成物を製造する方法である、特許第2757404号公報に記載された、小麦粉の水性液体抽出液から熱変性により不要物を除去した後、濃縮して前記組成物を得る方法を詳細に説明する。
特許第2757404号公報に記載の方法では、小麦の水抽出液の上澄みを加熱処理し、夾雑する不要蛋白質を変性し、生成した変性蛋白質を除去して得られる水溶液を必要によって濾過及び除菌処理に付し、次いで同水溶液を限外濾過膜による濃縮処理に付し、更に必要によってはこの水溶液を乾燥処理に付することによって極めて容易に水溶液状または粉末状の本発明のコレステロール低下用組成物を得ることができる。
前記方法は、具体的には、次のような工程からなる。
(a)小麦粉と水とを、0〜40℃の温度で、30分〜3時間混練して水抽出液を得、その後遠心分離(例えば3000G、30分)または静置により、上澄液を得る。この上澄液中には、可溶性蛋白質、可溶性殿粉、無機塩類、色素などの可溶性物質が含まれている。
(b)上記水抽出液を70〜95℃、好ましくは85〜90℃に加熱し、不要蛋白質を変性させ、生成した変性蛋白質を遠心分離(例えば、3000G、30分)または静置により除去する。加熱方法としては、製造量などに応じて適宜公知の方法を用いればよく、ヒーター、恒温漕、加熱蒸気を用いる方法などが挙げられる。
(c)場合により、得られた上澄液を熱いうちにフィルター好ましくは3μm及び/または1μmの径を有するフィルターで濾過する。
(d)次いでさらに場合により好ましくは径0.2μmの精密濾過膜を通過させる。
(e)得られた水溶液を限外濾過膜(分子量10万カット、好ましくは、分子量3万カット、さらに好ましくは分子量1万カットの膜)を用いて濃縮する。本操作により、多くの無機塩類、不要低分子量物質は濾過膜を透過するが、糖分解酵素阻害物質及び食物繊維は該膜を透過しない。
(f)得られた濃縮液を、必要によって噴霧乾燥、凍結乾燥、減圧乾燥などの既知の方法により乾燥し、粉末状にする。
上記した(a)工程の上澄液は、小麦胚乳部由来の糖分解酵素阻害物質及び食物繊維の取得を目的として、小麦胚乳部、好ましくは小麦粉に水を加えて混練し上澄液として分離されるものであってもよいが、小麦からグルテン及び殿粉を採取した後の廃液であってもよい。すなわち、グルテン及び小麦殿粉製造工業では、現在多くの工場でマーチン法またはバッター法が採用されており、不溶性の澱粉やグルテンを取得する際の水洗液は、その大部分が廃水として排出されている。かかる廃水には、生の状態の炭水化物、蛋白質などの高分子有機物が多量に含まれており、その有効利用を図ることはコスト面や廃水処理の上から有用である。
上記マーチン法及びバッター法は、小麦を小麦粉とし、その小麦粉に水を加え混練しドゥ(生地)またはバッターをつくり、これをねかせてグルテンを充分に水和させた後に、加水しながら生地の洗浄を繰り返し、グルテンと殿粉乳(グルテン洗液)とに分離し、この殿粉乳から機械的分離などにより殿粉を得ることからなる方法である。この際発生する廃液中には、小麦粉に含まれていた小麦胚乳部由来の糖分解酵素阻害物質及び水溶性の食物繊維が含まれることになり、この廃液が本発明における有力な原料物質となりうるものである。したがって、本明細書にあっては前記水抽出液とは、かかる廃液をも含めた意味である。
小麦胚乳部から得られる糖分解酵素阻害物質は耐熱性成分であることから、本方法ではこの性質を巧みに利用して夾雑した蛋白質及び他の酵素物質を除去するものである。すなわち、上記した(b)工程において水抽出液を70〜95℃に加熱するが、この際に多くの蛋白質は変性して浮遊物や沈殿となり、この変性蛋白質は容易に静置または遠心分離の手段によって分離し得るのである。この工程によって、小麦胚乳部由来の糖分解酵素阻害物質及び食物繊維の損失を伴うことなく夾雑する蛋白質含量を減少させることができる。
この(b)工程のあと、小麦胚乳部由来の糖分解酵素阻害物質及び食物繊維を含む液は任意的に(c)及び(d)の工程に付される。これらの工程は、(b)工程で除去できなかった固形夾雑物や菌体などを除去するための工程である。
(e)工程では限外濾過が行なわれ、多くの無機塩類、糖類、アミノ酸類、その他不要の低分子量物質は除去されるが、小麦胚乳部由来の糖分解酵素阻害物質及び食物繊維は濾過されないで残り、濃縮される。ここで使用する限外濾過膜としては、ポリアクリロニトリル系、ポリオレフィン系、ポリスルホン系、ポリイミド系あるいはポリプロピレン系の素材よりなる、分画分子量が5000、6000、8000、1万、2万、3万、5万、10万及び20万ダルトンの膜が挙げられる。これらの中で、ポリスルホン系の分画分子量が10万ダルトンの膜、3万ダルトンの膜、1万ダルトンの膜(たとえば、ロミコン社製PM−100、日東電工製NYU35,100、ダイセンメンブレンシステムズ製MOLSEP)が好ましい。
(e)工程のあと、濃縮液は必要によって(f)工程に付される。この(f)工程によって取扱いが容易で保存性が高い、粉末状の形態の本発明のコレステロール低下用組成物が得られる。
このようにして得られた本発明のコレステロール低下用組成物は、小麦胚乳部由来の糖分解酵素阻害物質及び食物繊維の含有量が高く、かつ通常は本方法では小麦からグルテン及び澱粉を採取した後の廃液を原料とするので、安価である。
〔コレステロール低下用組成物の用量〕
本発明のコレステロール低下用組成物は、通常の場合、成人1日当たり、小麦胚乳部に由来する糖分解酵素阻害物質を乾燥質量基準として、0.005〜1g、好ましくは0.01〜0.6gの範囲で適用され、小麦胚乳部に由来する食物繊維を乾燥質量基準として、0.045〜4g、好ましくは0.09〜1.9gの範囲で適用される。本発明のコレステロール低下用組成物は、安全性の高いものであるため、その摂取量をさらに増やすこともできる。1日当たりの摂取量は、1回で摂取してもよいが、数回に分けて摂取してもよい。
[本発明のコレステロール低下剤]
本発明のコレステロール低下用組成物に剤形を付与することにより、コレステロール低下剤とすることができる。前記剤形としては、例えば、錠剤、カプセル剤、顆粒剤、散剤、シロップ剤、ドライシロップ剤、液剤、懸濁剤などの経口剤、吸入剤、坐剤などの経腸製剤、点滴剤、注射剤などが挙げられる。これらのうちでは、経口剤が好ましい。
このような剤形は、本発明のコレステロール低下用組成物に、慣用される添加剤、例えば、賦形剤、崩壊剤、結合剤、滑沢剤、界面活性剤、アルコール、水、水溶性高分子、甘味料、矯味剤、酸味料などを剤形に応じて配合し、常法に従って製造することができる。なお、液剤、懸濁剤などの液体製剤は、服用直前に水または他の適当な媒体に溶解または懸濁する形であってもよく、また錠剤、顆粒剤の場合には周知の方法でその表面をコーティングしてもよい。
本発明に係るコレステロール低下剤における、小麦胚乳部に由来する糖分解酵素阻害物質及び食物繊維の合計含有量は、その剤形により異なるが、乾燥質量を基準として、通常は、0.1〜99質量%、好ましくは0.5〜80質量%の範囲である。上述した成人1日当たりの摂取量を摂取できるよう、1日当たりの投与量を規定することが望ましい。
[コレステロール低下用飲食品または飼料]
本発明のコレステロール低下用組成物を飲食品に配合してコレステロール低下用飲食品とする場合、前記飲食品の形態は特に制限されず、健康食品、機能性食品、特定保健用食品などの他、本発明のコレステロール低下用組成物を配合できる飲食品のいずれの形態であってもよい。
本発明のコレステロール低下用組成物の構成成分である、小麦胚乳部由来の糖分解酵素阻害物質及び食物繊維は、いずれも水性液体に溶解できるものであるため、飲食品に容易に配合することができる。具体的には、本発明のコレステロール低下用飲食品は、錠剤、チュアブル錠、粉剤、カプセル剤、顆粒剤、ドリンク剤、経管経腸栄養剤流動食などの各種製剤形態とすることができる。製剤形態の飲食品は、上述のコレステロール低下剤と同様に製造することができる。
さらに本発明のコレステロール低下用飲食品は、緑茶、ウーロン茶や紅茶などの茶飲料、清涼飲料、ゼリー飲料、スポーツ飲料、乳飲料、炭酸飲料、果汁飲料、乳酸菌飲料、発酵乳飲料、粉末飲料、ココア飲料、精製水などの飲料、マーガリン、ジャム、ふりかけ、マーガリンなどのスプレッド類、マヨネーズ、ショートニング、カスタードクリーム、ドレッシング類、パン類、米飯類、麺類、パスタ、味噌汁、豆腐、牛乳、ヨーグルト、スープまたはソース類、菓子(たとえばビスケットやクッキー類、チョコレート、キャンディ、ケーキ、アイスクリーム、チューインガム、タブレット)などであってもよい。
また上記コレステロール低下用飲食品とほぼ同様の組成・形態で、本発明のコレステロール低下用組成物を家畜、競走馬、鑑賞動物などの飼料、ペットフードなどに配合して、コレステロール低下用飼料とすることもできる。飼料は飲食品とほぼ同様の組成・形態で利用できるからである。
本発明のコレステロール低下用飲食品または飼料にはさらに、飲食品や飼料の製造に用いられる他の食品素材、各種栄養素、各種ビタミン、ミネラル、アミノ酸、各種油脂、種々の添加剤(たとえば呈味成分、甘味料、有機酸などの酸味料、界面活性剤、pH調整剤、安定剤、酸化防止剤、色素、フレーバー)などを配合してもよい。
本発明に係るコレステロール低下用飲食品または飼料において、小麦胚乳部に由来する糖分解酵素阻害物質及び小麦胚乳部に由来する食物繊維の合計含有量は、飲食品または飼料の形態により異なるが、乾燥質量を基準として、通常は、0.1〜50質量%、好ましくは0.5〜30質量%、より好ましくは1〜15質量%の範囲である。
本発明のコレステロール低下用飲食品の1日当たりの摂取量は、小麦胚乳部に由来する糖分解酵素阻害物質及び小麦胚乳部に由来する食物繊維の乾燥質量を基準とした場合に、本発明のコレステロール低下剤の摂取量と同じである。また、飼料として動物などに適用する場合には、体重に応じて適宜増減するなど、常套手段を用いて1日当たりの摂取量を決定することができる。1日当たりの摂取量は、1回で摂取してもよいが、数回に分けて摂取してもよい。また、上述した成人または動物1日当たりの摂取量が飲食できるよう、本発明のコレステロール低下用飲食品または飼料の1日当たりの摂食量や1日当たりの摂食回数を規定することが好ましい。
上記の各成分を含有する本発明のコレステロール低下用組成物、コレステロール低下剤または飲食品もしくは飼料は、小麦胚乳部由来の糖分解酵素阻害物質及び食物繊維の併用により、少ない食物繊維の摂取で、高いコレステロール低下作用を達成することができる。なお、当然のことながら小麦粉にも小麦胚乳部由来の糖分解酵素阻害物質及び食物繊維は含まれている。小麦粉はそのままでは摂食できず、一般に水に溶解し、混練し、さらに加熱するなどして加工することにより摂食できる形態にするが、その際にグルテン蛋白の網目状の構造物が生成される。本発明で効果を示す糖分解酵素阻害物質及び食物繊維は、このグルテン蛋白や不溶性食物繊維の構造物中に埋没して利用されにくい形になっていると考えられる。その結果、小麦粉(摂食できる形態にされたもの)を摂食しても、本発明のコレステロール低下用組成物などを摂取することによる高いコレステロール低下作用は得られない。
本発明のコレステロール低下用組成物、コレステロール低下剤または食品もしくは飼料には、上記以外にたとえば、共役リノール酸、タウリン、グルタチオン、カルニチン、クレアチン、コエンザイムQ、グルクロン酸、グルクロノラクトン、トウガラシエキス、ショウガエキス、カカオエキス、ガラナエキス、ガルシニアエキス、テアニン、γ−アミノ酪酸、カプサイシン、カプシエイト、各種有機酸、フラボノイド類、ポリフェノール類、カテキン類、キサンチン誘導体、フラクトオリゴ糖などの難消化性オリゴ糖、ポリビニルピロリドンなどを配合してもよい。
以下、実施例に基づいて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は以下の実施例のみに限定されるものではない。
[実施例1]本発明のコレステロール低下用組成物の製造
(1)小麦粉からグルテン及び澱粉を除いた後の水抽出液を原料として用いた。水抽出液800Lをタンクに投入し、タンク内に水蒸気を導入して90℃まで加熱した。その後、得られた水溶液900Lを連続遠心処理し、変性蛋白質を除去した。得られた上清を径3μm、及び1μmのフィルタに通過させ、透明な水溶液850Lを得た。この液を径0.2μmのフィルタを通過させ、除菌処理を行った。その後、限外濾過膜(MOLSEP;ダイセンメンブレンシステムズ製)を用いて濃縮処理を行った。
(2)次いで、濃縮液を噴霧乾燥し、3.3kgの粉末を得た。得られた粉末は下記表1の組成を有していた。
Figure 2010173962
(3)この粉末の膵臓由来α−アミラーゼ阻害活性を調べた。測定はアミラーゼ-テストワコー(和光純薬株式会社)を用い、試薬としてα-アミラーゼ (From Human pancreas)(0.1mg;SIGMA)、Bovine serum albumin(SIGMA)を用いた。
上記粉末の溶解、希釈には0.25Mリン酸ナトリウム緩衝液(pH7.0;緩衝液A)を用い、粉末を緩衝液Aに溶解して濃度10mg/mLにした後、9500rpm・10分間遠心分離を行い、適宜希釈し、測定に供した。
α-アミラーゼ試薬の溶解、希釈は2%牛血清アルブミン含有0.25Mリン酸ナトリウム緩衝液(pH7.0;緩衝液B)を用いて行い、試薬全量(0.1mg)に1mLの緩衝液Bを加えて溶解し、さらに180倍希釈して使用した。
(4)α‐アミラーゼ活性は、ヨードデンプン反応をキット化したアミラーゼ-テストワコーにより測定した。まず、緩衝液A70μLにα‐アミラーゼ希釈液20μL及び上記粉末の希釈液10μLを添加し、37℃で30分予備加熱した。
ブランクではα‐アミラーゼの代わりに緩衝液B、上記粉末の希釈液の代わりに緩衝液Aを用いた。対照では上記粉末の希釈液の代わりに緩衝液Aを用いた。
酵素反応は、200μLの基質緩衝液(0.25Mリン酸ナトリウム緩衝液(pH7.0)可溶性デンプン400μg/mL)を各サンプル液(上記粉末の希釈液を含有する試験液、ブランクまたは対照)に添加することにより開始した。37℃で7.5分間反応後、1Nヨウ素溶液300μLを添加し、次に蒸留水1.5mLを添加した。次いで、攪拌を行い、反応溶液の各300μLを96穴プレートに分注し、660nmの吸光度を測定した。
(5)膵臓由来α−アミラーゼ阻害活性は、アミラーゼ-テストワコー(和光純薬株式会社)の説明書の記載にしたがって、下記数式1により算出した。
数式1
アミラーゼ阻害活性(units/ml)=[(ODBlank−ODSample)/ODBlank]×800
ODBlank:ブランクの吸光度
ODSample:各濃度(0.00μg/ml、0.03μg/ml、0.33μg/ml、1μg/ml、3.33μg/ml、10μg/ml、33.33μg/ml及び333.33μg/ml)の上記粉末の希釈液の吸光度。
(6)次に(5)で得られた数値から、対照のα−アミラーゼ活性に対する上記粉末含有サンプルのアミラーゼ活性の相対活性(%)を算出した。各濃度の上記粉末の相対活性は、独立した4回の実験の平均値とした。結果を下記表2に示す。
Figure 2010173962
X軸に上記粉末の濃度、Y軸に相対活性をとってプロットし、これを2次曲線に回帰近似して、50%阻害濃度を求めた。
(7)上記粉末は0.33μg/mL 以上の濃度において、膵臓由来のα‐アミラーゼ活性を濃度依存的に阻害し、50%阻害濃度は3.55μg/mLであった。
[実施例2]本発明のコレステロール低下用組成物の製造
実施例1と同様に処理を行い、本発明のコレステロール低下用組成物である粉末を製造した。ただし、除菌処理された水溶液を限外濾過膜に適用する前に、その水溶液にセルラーゼ(HBI製)を添加して攪拌した。その結果、水溶液の粘度が低下し、濾過に時間がかからず良好な操作性が得られた。得られた粉末は、実施例1の粉末と同様の組成を有していた。
[試験例1]コレステロール低下作用
SD系ラット(♂、5週齢)25匹をそれぞれ個別ケージに収容し、12時間明条件、12時間暗条件にて飼育した。対照(Cho)群9匹及び試験(α−AI)群8匹の2群に群分けし、通常飼料(MF:オリエンタル酵母工業)にて1週間予備飼育した後、表3に示す各種試験食に切り替えて2週間飼育した。給餌は制限給餌とし、前日のα−AI群の平均摂餌量をCho群に給餌した。
測定項目は体重、摂餌量、肝臓重量、脂肪重量、血清パラメーター(総コレステロール、血糖値)及び肝臓総コレステロールとした。
Figure 2010173962
各結果を下記表4に示す。
Figure 2010173962
表4から明らかなように、本発明のコレステロール低下用組成物は、コレステロールを低下させること、特に血液中のコレステロールを強く低下させることがわかる。
特許文献1として挙げた特開昭58−41824号には、小麦ふすま、または小麦ふすまダイエタリーファイバーをそれぞれ食物繊維(NDF:中性洗剤処理繊維)として約5%含むようにしたコレステロール食でラットを飼育すると、それぞれ対照群に比して血清コレステロールは2%増加及び13%低下すること、すなわち、小麦ふすま単独ではコレステロール低下作用を示さず、酵素処理によって、食物繊維を抽出した小麦ふすまダイエタリーファイバーとすることによって、13%程度の低下作用が得られるということが記載されている。一方本発明のコレステロール低下用組成物を用いると、約1%(計算式:5%×19.0÷100。表1及び3参照)の食物繊維量でも24%の血清コレステロール低下作用を示した。このことから、本発明のコレステロール低下用組成物は、少ない食物繊維含有量であっても、高いコレステロール低下作用を示すという、従来にない格別に優れた効果を持つものであることがわかる。
[製造例1]糖分解酵素阻害物質の製造
(1)小麦粉800kgに水400リットルを加え、混練して生地を形成した。この生地を6000リットルの水を用いて洗浄して、グルテン400kg及び小麦澱粉500kgを回収した。その際に、5780リットルの洗浄廃液が生じたので、この洗浄廃液(水抽出液)に塩酸を加えてpH3に調整し、30分放置した後、アンモニアでpHを6.5に調整すると不溶物が沈殿した。沈殿を除去して上澄み液4850リットルを回収した。
(2)上記(1)で回収した上澄み液1トンにアルギン酸ナトリウム300ppmを添加した後、pHを4.0に調整して生成したゲル40リットルを回収した。回収したゲルに、カルシウム濃度が400ppmとなるように塩化カルシウム(2水和物)を加え充分に撹拌した後1時間放置した。次いでゲルをドラバル型遠心分離機にかけ約10Lの沈殿物を回収した。沈殿物にさらに30リットルの水を加えて沈殿物を充分に洗浄し、再びドラバル型遠心分離機にかけて6.5kgの沈殿物を得た。
(3)上記(2)で得られた沈殿物に25Lの水を加え、カルシウム濃度が3000ppmとなるように塩化カルシウム(2水和物)を加え充分に撹拌した後、ドラバル型遠心分離機を使用して上澄み液25リットルを回収した。
(4)一方、上記(3)でドラバル型遠心分離機により分離された沈殿物5Lは、12Lの塩化カルシウム溶液(カルシウム濃度3000ppm)でさらに充分洗浄し、洗浄液をドラバル型遠心分離機にかけて回収し、上記(3)で回収した上澄み液25Lと一緒にして、合計で39Lの溶出液を得た。
(5)上記(4)で得られた溶出液39Lに、リン酸水素二ナトリウム塩29.1gを加えて、更にpHを7.2に調整した。この液を80℃に加熱して、熱に不安定な物質をドラバル型遠心分離機で分離除去して上澄み液を回収し、この上澄み液を限外濾過膜[日東電工(株)製;NTU−3250CIR]を用いて濃縮し、併せて余剰カルシウム塩の脱塩を行って濃縮液を得た。
(6)上記(5)で得られた濃縮液14LをアンモニアでpH7.5に調整し、フィルタープレスにて不純物を除去した後、3kgの陽イオン交換樹脂[ダイヤイオンHPK−55;三菱化成(株)製]で処理し、処理液にクエン酸を加えてそのpH4に調整した。pHを4に調整した液を80℃に加熱して殺菌処理をし、凍結乾燥して約250gの乾燥粉末を得た。
(7)上記(6)で得られた乾燥粉末の総蛋白質含量、及び0.19アルブミン含量を測定したところ、総蛋白質含量が90%、0.19アルブミンの含量が32%であった。
[実施例3]錠剤の製造
実施例1と同様にして得られた粉末84g、結晶セルロース(旭化成)10g及びポリビニルピロリドン(BASF)5gを混合し、これにエタノール30mLを添加して、湿式法により常法にしたがって顆粒を製造した。この顆粒を乾燥した後、ステアリン酸マグネシウム1.2gを加えて打錠用顆粒末とし、打錠機を用いて打錠し、1錠が1gの錠剤100個を製造した。
[実施例4]顆粒剤の製造
実施例2と同様にして得られた粉末80g、製造例1と同様にして得られた粉末20g、乳糖(DMV)100g及び結晶セルロース(旭化成)40gを混合し、これにエタノール130mLを練合機に添加し、通常の方法により5分間練合した。練合終了後、10メッシュで篩過し、乾燥機中にて50℃で乾燥した。乾燥後、整粒し、顆粒剤240gを得た。
[実施例5]シロップ剤の製造
精製水400gを煮沸し、これをかき混ぜながら、白糖750g及び実施例1と同様にして得られた粉末100gを加えて溶解し、熱時に布ごしし、これに精製水を加えて全量を1000mLとしてシロップ剤を製造した。
[実施例6]流動食の製造
約65℃の純水700gにカゼインナトリウム(DMV)40g、マルトデキストリン(三和デンプン)160g及び実施例1と同様にして得られた粉末50gを添加して溶解させ、ついでビタミンミックス及び微量ミネラルの各成分混合液を添加した。得られた混合液をホモミキサーに投入し、約8,000rpmにて15分間粗乳化した。得られた乳化液を約20℃に冷却し、香料を添加後、最終メスアップを行い、この液をパウチへ本液230g充填後、窒素置換を行いながらパウチを密封し、121℃で15分間殺菌を行って流動食を得た。
[実施例7]パンの製造
小麦粉(強力粉)160gとドライイースト2gを混合した。これとは別に、実施例1と同様にして得られた粉末5g、砂糖25g、食塩3g、脱脂粉乳6gを温湯70gに溶かし、鶏卵1個を添加してよく混合した。これを上記の小麦粉とドライイーストの混合物に加え、よく手でこねた後、バター約40gを加えてさらによくこね、20個のロールパン生地を作り、次いで、これらのパン生地を発酵させた後、表面に溶き卵を塗り、オーブンにて180℃で約15分焼き、ロールパンを作成した。
[実施例8]レトルトご飯の製造
お米2合を用いて一般的な水量に対し、実施例1と同様にして得られた粉末2gを加えて炊飯し、これを慣用の方法に従ってレトルト用パックに填した後、窒素置換を行いながら密封し、121℃で15分間殺菌を行ってレトルトご飯を得た。
[実施例9]パスタ用ソースの製造
パスタ用のミートソース一人前(150g)を鍋に入れ、これに実施例1と同様にして得られた粉末1g、及び製造例1と同様にして得られた粉末0.5gを加えて加温混合した。このソースをパウチへ充填した後、窒素置換を行いながらパウチを密封し、121℃で15分間殺菌を行って、パスタ用ミートソースを得た。
[実施例10]野菜ジュースの製造
市販の野菜ジュースに実施例1と同様にして得られた粉末を5質量%になるよう添加・混合し、野菜ジュースを調製した。
[実施例11]コンソメスープの製造
タマネギ100g、ニンジン100g、長ネギ100g、セロリ50g、及びトマト100gの各スライスを鍋に入れ、ここに牛の挽き肉500g、卵の白味2個分、ビーフブイヨン1kgを加え、火にかけて沸騰したら火を弱め、表面に浮いてきたアクや脂肪分を除去しながら弱火で1時間煮て、実施例1と同様にして得られた粉末50gを加えてさらに30分間煮て、布でこし、コンソメスープを得た。

Claims (5)

  1. 小麦胚乳部に由来する糖分解酵素阻害物質及び小麦胚乳部に由来する食物繊維を含有するコレステロール低下用組成物。
  2. 前記糖分解酵素阻害物質がα−アミラーゼインヒビターであることを特徴とする請求項1に記載のコレステロール低下用組成物。
  3. 前記糖分解酵素阻害物質の含有量が0.5〜40質量%であり、前記食物繊維の含有量が0.5〜60質量%であることを特徴とする請求項1または2に記載のコレステロール低下用組成物。
  4. 請求項1〜3のいずれかに記載のコレステロール低下用組成物に剤形を付与してなるコレステロール低下剤。
  5. 請求項1〜3のいずれかに記載のコレステロール低下用組成物を含有するコレステロール低下用飲食品または飼料。
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