JP2007182395A - 脂肪低下組成物 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】イネ科植物由来、好ましくは小麦ふすま由来のアラビノキシラン分解物を有効成分として含有し、肥満、脂肪肝、高脂血症の予防および/または改善に好適な脂肪低下組成物、ならびにこの脂肪低下組成物を含有してなる飲食品。
【選択図】なし
Description
例えば、小麦ふすまから得られるヘミセルロースが、血清コレステロールの上昇を抑制する事が報告されている(特許文献1)。またトウモロコシコーンファイバーのヘミセルロースが、血清コレステロールの上昇を抑制する事が報告されている(特許文献2)。このような食物繊維摂取による血清コレステロールの上昇抑制効果は、食物繊維により消化管内の胆汁酸濃度が低下し、コレステロールの腸管循環量が低下することにより、体内のコレステロールから胆汁酸の合成が増加するためとされている。しかし、上記の食物繊維の摂取効果には個人差があり、また効果を維持するために大量の食物繊維の摂取が必要であるのに、その風味や食感が悪いため、継続して大量に摂取するには問題がある。
飲食品を提供することを課題としている。
本発明に係る脂肪低下組成物は、アラビノキシラン分解物を有効成分として含有してなることを特徴としている。
前記アラビノキシラン分解物は、分子量500〜50,000Daの水溶性アラビノキシ
ランを主成分として含有することが好ましい。
ビノキシランを50〜90質量%の量で含有することが好ましい。
前記脂肪低下組成物は、血液中および肝臓中の中性脂肪低下作用を有する。
アラビノキシランは、植物細胞壁等の成分であるヘミセルロースを構成する主要な多糖類であり、β1−4結合したキシロース鎖にアラビノースが側鎖として結合したものである。本発明の脂肪低下組成物に有効成分として用いられるアラビノキシラン分解物は、高純度のアラビノキシラン単独の分解物でもよいが、植物などの天然原料を分解および抽出等することによって得られる、アラビノキシランの分解物を主成分として含む組成物であってもよく、生産効率や価格の点からは後者が望ましい。
量分布を有する、アラビノキシランの分解物を主成分としており、原料に含まれていた不純物由来のタンパク質やアラビノキシラン以外の糖類の成分をさらに含有していてもよい。該アラビノキシラン分解物は、好ましくは、キシロース55〜75質量%およびアラビノース5〜25質量%から構成される糖組成を有する。
キシランの分解物を50〜90質量%の量で含有している。該アラビノキシラン分解物が、上記範囲内の量で上記分子量範囲の、アラビノキシランの分解物を含有していると、水溶性となり、水性媒体に溶解しても沈殿せずに安定であり、また澄明な水溶液が得られる
ため、食品のみならず飲料等にも好適に利用する事ができる。また、該アラビノキシシラン分解物は、食物繊維特有の食味がなく風味がよいため好ましい。
質量%、好ましくは0.05〜0.5質量%の量の酵素を用いて行う事が、反応効率および経済性の観点から望ましい。また、反応時間については、上記の酵素量を用いる場合、1〜120分、好ましくは15〜60分の時間反応させることにより、充分に植物細胞壁を崩壊させ、効率的にアラビノキシラン分解物を抽出する事ができる。酵素反応をとめるには、反応液を80〜100℃にすることで、酵素を失活させればよい。
分解物を得る事ができる。これらの処理によって得られる水溶性区分中には、小麦ふすま由来の水溶性のアラビノキシラン分解物が含有されているので、この水溶性区分をそのまま目的物として取り出してもよい。しかしながら、取り扱いの容易性、保存性等を考慮すると、この水溶性区分から水分を除去し、固体状の形態とする事が好ましい。この水分除去は、アラビノキシラン分解物が変性や熱分解を起こさない条件下であれば、どのような方法でもよく、例えばろ過、遠心分離、遠心ろ過、スプレードライ、スプレークール、ドラムドライ、真空乾燥、凍結乾燥等のいずれの方法も使用できる。
本発明の脂肪低下組成物は、アラビノキシラン分解物を含有する事を特徴とするが、アラビノキシラン分解物は脂肪低下作用、すなわち血液中の中性脂肪およびリン脂質、ならびに肝臓のコレステロール、中性脂肪およびリン脂質の低下作用を有するため、これを単独、あるいは様々な飲食品に添加して継続的に摂取すると肥満、脂肪肝および高脂血症(とくに高中性脂肪血症)の予防および/または改善に有用である。また本発明のアラビノキシラン分解物は、小麦等のイネ科植物を原料としているため、安全性が高く、また風味もよいことから、そのまま単独でも充分に摂取することが可能であり、長期間の継続的摂取が可能である。さらに水溶性であり、様々な飲食品に添加してもその飲食品の風味および食感を阻害しないため、本発明の飲食品は長期間の継続的摂取も容易である。
脂肪血症)の予防方法および/または改善方法がそれぞれ提供される。
康食品、機能性食品、特定保健用食品等の他、上記脂肪低下組成物を配合できる、全ての飲食品が挙げられる。また、該飲食品には、人間を対象とするもののみならず、動物を対象とする飼料なども含まれる。
[アラビノキシラン分解物の糖組成の測定]
アラビノキシラン分解物5mgを蒸留水1mLに溶解し、50%(v/v)トリフルオロ酢酸溶液1mLを加えて、105℃、2時間の条件で加水分解を行った。加水分解終了後
、不溶物を除去し、減圧下に残留する酸を除去したものを高速液体クロマトグラフィー(使用カラム;Shodex Sugar KS-801 昭和電工)に供した。
アラビノキシラン分解物10mgを蒸留水1mLに溶解し、サイズ排除高速液体クロマトグラフィー(使用カラム;Shodex Sugar KS-803 昭和電工)に供し、次に0.1%(
v/v)トリフルオロ酢酸溶液/40%(v/v)アセトニトリル水溶液を使用して1.0mL/分の流速で溶離させた。溶離してきた液の220nmにおける紫外吸収を測定して、測定された吸光度を、分子量既知のマルトース、マルトトリオース、マルトペンタオー
スおよびプルラン(分子量5,000および10,000のもの)から作成した検量線に当てはめてアラビノキシラン分解物に含まれる糖類の分子量を決定した。
(1)反応釜に小麦ふすま(日清製粉)200g、水1.4Lを仕込み、50℃でミキサ
ーを用いて3分間攪拌洗浄した。洗浄後、小麦ふすまを、ガーゼを用いてろ過し、水分を除去した。再度小麦ふすまを反応釜に戻し、水1.4Lを加えて50℃でミキサーを用い
て3分間攪拌洗浄した。これを更にもう一度繰り返し行い、合計3回洗浄操作を行った。(2)ついで、洗浄、ろ過後の小麦ふすまをメディウムびんに移し、蒸留水600mLを
加えて、オートクレーブ(TONY SS-325)で120℃、10分間加熱・加圧処理した。処
理終了後、室温にて放冷した。
(3)放冷後、残った水分をガーゼを用いたろ過により除去した小麦ふすまを、10Lバケツに投入した。
(4)該バケツに蒸留水4Lを加え、50℃に加熱後、ヘミセルラーゼ(セルラーゼオノヅカ3S ヤクルト薬品工業)を0.6g(原料小麦ふすまに対して0.3質量%)投入して50℃、60分間反応させた。
(5)反応液を90℃に加熱し、10分間酵素失活させた。
(6)蒸留水を加えて反応液の温度を下げ、脱脂綿でろ過してろ液を分取した。残渣には蒸留水2Lを加えて10分間攪拌し、脱脂綿でろ過してろ液を分取した。
(7)ろ液を合一し、減圧下に水分を除去し、その後、凍結乾燥し、さらにこれをミキサーで粉砕して、固形の形態のアラビノキシラン分解物(約20g)を得た。
(8)このアラビノキシラン分解物は、糖成分約80%、その他の成分約20%からなり、糖成分の約80%が平均分子量10,000Da以下(分子量500〜5,000:65.6%、5,000〜10,000:6.6%)の範囲にあった。糖成分の95%以上はアラビノース、キシロースおよびグルコースであり、その糖組成(質量比)はキシロース:アラビノース:グルコースが65:15:20であった。また、この固形のアラビノキシラン分解物は、わずかに甘味のある風味の良い粉末であり、これを水性媒体に添加すると、容易に溶解し清澄な液体が得られた。
錠剤の製造
製造例と同様にして得られたアラビノキシラン分解物84g、結晶セルロース(旭化成)10gおよびポリビニルピロリドン(BASF)5gを混合し、これにエタノール30mLを添加して、湿式法により常法にしたがって顆粒を製造した。この顆粒を乾燥した後、ステアリン酸マグネシウム1.2gを加えて打錠用顆粒末とし、打錠機を用いて打錠し、1錠が1gの錠剤100個を製造した。
顆粒剤の製造
製造例と同様にして得られたアラビノキシラン分解物100g、乳糖(DMV)100gおよび結晶セルロース(旭化成)40gを混合し、これにエタノール130mLを練合機に添加し、通常の方法により5分間練合した。練合終了後、10メッシュで篩過し、乾燥機中にて50℃で乾燥した。乾燥後、整粒し、顆粒剤240gを得た。
シロップ剤の製造
精製水400gを煮沸し、これをかき混ぜながら、白糖750gおよび製造例と同様にして得られたアラビノキシラン分解物100gを加えて溶解し、熱時に布ごしし、これに精製水を加えて全量を1000mLとしてシロップ剤を製造した。
流動食の製造
約65℃の純水700gにカゼインナトリウム(DMV)40g、マルトデキストリン(三和デンプン)160gおよび製造例と同様にして得られたアラビノキシラン分解物50gを添加して溶解させ、ついでビタミンミックスおよび微量ミネラルの各成分混合液を添加した。得られた混合液をホモミキサーに投入し、約8,000rpmにて15分間粗乳化した。得られた乳化液を約20℃に冷却し、香料を添加後、最終メスアップを行った。この液をパウチへ本液230g充填後、窒素置換を行いながらパウチを密封し、121℃で15分間殺菌を行って流動食を得た。
パンの製造
小麦粉(強力粉)160gとドライイースト2gを混ぜた。これとは別に、製造例と同様にして得られたアラビノキシラン分解物8g、砂糖25g、食塩3g、脱脂粉乳6gを温湯70gに溶かし、鶏卵1個を添加してよく混ぜた。これを上記の小麦粉とドライイーストの混合物に加え、よく手でこねた後、バター約40gを加えてよくこね、20個のロールパン生地を作った。次いで、これらのパン生地を発酵させた後、表面に溶き卵を塗り、オーブンにて180℃で約15分焼き、ロールパンを作成した。外観、味、食感ともに良好であった。
レトルトご飯の製造
お米2合を用いて一般的な水量に対し、製造例と同様にして得られたアラビノキシラン分解物2gを加えて炊飯し、これを慣用の方法に従ってレトルト用パックに充填した後、窒素置換を行いながら密封し、121℃で15分間殺菌を行ってレルトご飯を得た。得られたレトルトご飯の米飯は、外観、味、食感ともに良好であった。
パスタ用ソースの製造
パスタ用のミートソース一人前(150g)を鍋に入れ、これに製造例と同様にして得られたアラビノキシラン分解物5gを加えて加温した。このソースをパウチへ充填した後、窒素置換を行いながらパウチを密封し、121℃で15分間殺菌を行って、パスタ用ミートソースを得た。
[試験例]
SD系雄性ラット(4週齢:日本クレア)を6匹ずつ標準食群、試験食群に分けてそれぞれの群に表1に対応する高脂肪飼料を15日間摂取させた。飼料及び水道水を自由摂取させ、明暗12時間サイクルにて飼育した。試験期間終了後、1晩絶食させた。エーテル麻酔下で腹部大動脈より採血後、肝臓を採取した。肝臓は測定に供するまで-80℃にて保
存した。
(総コレステロール値−HDLコレステロール値)÷HDLコレステロール値
これらの結果を表2に示した。
イズ後、遠心上清(3000×g)を採取した。さらに残渣をクロロホルム:メタノール(
2:1、v/v)8mLで再度ホモジナイズし、遠心上清を回収、先の上清と併せた抽出
液を調製した。この抽出液を濃縮乾固後、重量を測定して総脂質量とした。肝臓総コレステロール、リン脂質、トリグリセライドの測定は上記の脂質サンプルをtert-butyl-alcohol:TritonX100:メタノール(3:1:1、 v/v)にて溶解後、血清と同様に測定した。
Claims (6)
- アラビノキシラン分解物を有効成分として含有してなる脂肪低下組成物。
- 前記アラビノキシラン分解物がイネ科植物由来である、請求項1に記載の脂肪低下組成物。
- 前記アラビノキシラン分解物が、分子量500〜50,000Daの水溶性アラビノキシ
ランを主成分として含有する、請求項1に記載の脂肪低下組成物。 - 前記アラビノキシラン分解物が、分子量500〜10,000Daの水溶性アラビノキシ
ランを50〜90質量%の量で含有する、請求項1に記載の脂肪低下組成物。 - 血液中および肝臓中の中性脂肪低下作用を有する、請求項1に記載の脂肪低下組成物。
- 請求項1〜5のいずれかに記載の脂肪低下組成物を含有してなる飲食品。
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