JPH11322606A - 易嚥下性抗悪性腫瘍製剤 - Google Patents

易嚥下性抗悪性腫瘍製剤

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JPH11322606A
JPH11322606A JP13181998A JP13181998A JPH11322606A JP H11322606 A JPH11322606 A JP H11322606A JP 13181998 A JP13181998 A JP 13181998A JP 13181998 A JP13181998 A JP 13181998A JP H11322606 A JPH11322606 A JP H11322606A
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container
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JP13181998A
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Kozue Suzuki
小津江 鈴木
Kenichi Kanamaru
賢一 金丸
Kiyoshi Mitake
清 三武
Isamu Takahashi
勇 高橋
Hiroshi Yamaga
洋 山我
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KOBAYASHI SEIYAKU KOGYO KK
Original Assignee
KOBAYASHI SEIYAKU KOGYO KK
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 抗悪性腫瘍製剤を長期服用し、
口内炎等の副作用により嚥下障害、嚥下困難を生じてし
まった患者又は高齢化に伴い器官機能低下により嚥下困
難となってしまった患者にテガフール及びウラシルを配
合した抗悪性腫瘍製剤として咽ごしの良い服用し易いゼ
リー状の製剤を提供する。 【解決手段】 テガフール及びウラシルにゲル
化剤を加えることにより得られるゼリー状の易嚥下性抗
悪性腫瘍製剤及びこのゼリーを適当な容器又は注射器型
の容器に入れ、凍結乾燥することで得られる、服用時に
水でゼリー状に戻すことが可能な保存安定性の高い易嚥
下性凍結乾燥抗悪性腫瘍製剤。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は経口の抗悪性腫瘍剤
の新規剤型に関するものである。詳しくは種々の癌の自
他覚的症状の寛解に用いられてきたテガフールとウラシ
ルの構成比がモル比で1:4である配合製剤(以下本配
合剤という)の副作用として生じる口腔内障害(口内
炎、食道粘膜炎症等)による嚥下障害患者又は高齢化に
より器官機能低下のため嚥下困難をひきおこした患者に
おいて既存の剤型であるカプセル及び顆粒が飲みにくい
製剤となっているのに対し、テガフール及びウラシルに
ゲル化剤を含有させることによりゼリー状とした服用し
易い新規剤型に関するものである。
【0002】
【従来の技術】嚥下障害又は嚥下困難等の症状に対して
の経口製剤の形状に関する研究は一部の機関で進められ
ている。嚥下障害をひきおこしている高齢者の対策につ
いて、厚生省の高齢者社会に備えた「厚生省厚生科学研
究シルバーサイエンス研究」(1988)が実施され
た。一般に高齢者は老化現象により各器官機能低下を生
じ、その中で嚥下障害又は嚥下困難等の症状は食事や投
薬治療及び機能回復の上で大きな障害となっている。
【0003】現在の国内の経口製剤のほとんどは、液
剤、カプセル剤、顆粒剤、丸剤、散剤、錠剤及びシロッ
プ剤で日本薬局方にその剤型の定義が記載されており、
これらは嚥下障害患者にとって服用し易い剤型とは言い
難い。すなわち、水と共にそれらの製剤を飲むとむせて
しまったり、散剤や顆粒剤が口中に残ってしまったり、
錠剤や丸剤の大きさによっては咽に詰まることがあり、
服用が困難とされている。
【0004】このような状況において嚥下困難患者が容
易に服用できる剤型として要望の高いものはゼリー、ヨ
ーグルト及びプリンなどの半固形状のものや固形状のド
ロップ、キャンディー、ウエハース、ビスケット及びチ
ューイングガムであった。また、味の希望は大半が無味
又は甘味であった。
【0005】更に剤型と合わせ製剤の包装について高齢
者が薬を取り出す際の繁雑さも問題とされ、扱い易さや
誤飲防止等の要望が挙げられた。
【0006】現在、嚥下困難患者を対象とした経口製剤
の検討は上記のことを鑑みて一部の医療現場において院
内製剤の調製時に患者の状態に合わせ高粘度の液剤やゼ
リー製剤の用時調製が行われている。しかし、これら製
剤は形状の維持及び含量維持の安定性の面から短期の使
用期限に限られている。
【0007】また、包装形態の面では、薬剤を外袋から
簡単に取り出せること、容器から直接服用できること、
誤飲せずに確実に服用できること、更に廃棄性が良いこ
とが求められている点である。
【0008】本発明で取り上げる薬物は抗悪性腫瘍剤
で、すなわちテガフール(5−フルオロ−1−(2−テ
トラヒドロフリル)−2,4(1H,3H)−ピリミジ
ンジオン)とウラシル(2,4(1H,3H)−ピリミ
ジンジオン)の配合剤である。テガフールは1966年
にHiller.S.A.等により合成された抗悪性腫
瘍剤であり、生体内において徐々に5−fluorou
racil(5−FU)に変換され作用を発揮する薬物
(化1)で、ウラシルは核酸構成成分であるピリミジン
塩基の1つで、単独では薬効を示さない物質(化2)で
ある。
【0009】
【化1】
【0010】
【化2】
【0011】テガフールの合成より先に1960年代に
は、フッ化ピリミジンとピリミジンの併用による抗腫瘍
効果の増強に関して研究が進められたが、抗腫瘍効果が
強くなると共に毒性も増強することが判明した。197
8年に藤井等はフッ化ピリミジンとピリミジンの作用に
関する実験から、テガフールとウラシルのモル比1:4
の配合により毒性作用を強めずに抗腫瘍作用が最も増強
することを見い出した。現在臨床で広く使用されている
本配合剤で1983年にカプセル剤(硬カプセル)が、
1992年に顆粒剤が承認されている。
【0012】本配合剤の投与を受ける患者においては病
状の進行に伴い諸機能の低下や薬剤による口内炎、食道
粘膜炎症などの副作用が生じ、嚥下障害、嚥下困難とな
る可能性がある。患者にとって本配合剤のカプセル剤及
び顆粒剤の服用はかなり苦痛を伴うこととなる。また、
寝たきり患者で介護人を必要とする場合、本配合製剤を
服用させる時には介護人にはかなり手間がかかることに
なる。しかし、現在、当薬剤の服用感を高め、コンプラ
イアンス向上を計った製剤開発は進められてはいない状
況である。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】本発明は上記のような
問題点が提起されている現状において、抗悪性腫瘍製剤
を服用し嚥下障害、嚥下困難を生じてしまった患者又は
高齢化に伴い器官機能低下による嚥下困難を生じた患者
に対しテガフール及びウラシルを配合した抗悪性腫瘍製
剤を咽ごしの良い服用し易いゼリー状の製剤として提供
するものである。
【0014】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題
を解決するために鋭意研究を重ねた結果、テガフール及
びウラシルを配合したゼリー製剤について種々の処方及
び製造方法を検討し、最も咽ごしが良く服用し易いと考
えられるゼリー状製剤を完成させることができた。
【0015】しかし、主成分であるテガフールはゼリー
中の水分により加水分解を受け、保存により含量低下を
起こし、院内製剤等での用時調製による使用には耐えう
るが、医薬品として通常の流通保存下には耐えられな
い。そこで当該製剤を凍結乾燥することにより安定性を
確保し、更に服用する際に水を含ませることにより、凍
結乾燥前と変わらないゼリー状製剤を完成することがで
きた。
【0016】また当製剤に使用する容器は、ゼリー状で
あることによる易嚥下性の特徴を高めるため、一定量を
確実に服用させるため、服用させる介護人の手間の軽減
や薬物への接触回避のため、更には廃棄性を考慮し、適
当な使い捨て容器あるいは胴部とピストン部からなる注
射器型の押し出し可能な使い捨て容器とすることを勘案
したものである。
【0017】本発明の易嚥下性抗悪性腫瘍製剤は服用の
際に水を含ませゼリー状の形態とすることが特筆する点
であり、ゼリー状となった易嚥下性抗悪性腫瘍製剤中の
主剤の存在は分散、懸濁、溶解した状態となっている。
【0018】主剤の含量に関してはテガフール及びウラ
シルの合計濃度が製剤全体の3.24〜6.48重量%
であり、更にテガフールとウラシルの比率は1:4のモ
ル比である。抗悪性腫瘍製剤をゼリー状とするためにそ
の基剤にゲル化剤を用いることができる。それは、例え
ばアルギン酸又はその塩、カラギーナン、ペクチン、カ
ードラン、キサンタンガム、ゼラチン、ローカストビー
ンガム、グアーガム、デンプンでありこれらの1種又は
2種以上を組み合わせて用いることができる。本発明の
易嚥下性抗悪性腫瘍製剤にはアルギン酸ナトリウム、カ
ラギーナン、キサンタンガム、ペクチン、ローカストビ
ーンガム等を組み合わせることが好ましい。
【0019】上記アルギン酸ナトリウムはその構成がD
−マンヌロン酸(M)とL−グルロン酸(G)の2種の
ウロン酸から構成される直鎖状多糖類のナトリウム塩
で,MとGの比率からその固有の粘性特性を得ることが
できる。本発明で好ましいのは、Mの比率の比較的高い
アルギン酸ナトリウムである。上記カラギーナンは、カ
ッパ(κ)、イオタ(ι)、ラムダ(λ)のタイプがあ
り本発明で好ましいのはκカラギーナンである。
【0020】ここで、本発明の易嚥下性抗悪性腫瘍製剤
における上記ゲル化剤の含有量は製剤全量に対して0.
05〜5重量%であることが好ましく、より好ましくは
0.1〜3.5重量%である。
【0021】また、本発明の易嚥下性抗悪性腫瘍製剤の
ゲル化剤成分以外に矯味剤、香料等を加えることができ
る。これは、通常食品に用いられているものである。更
に、保存剤を加えることにより本発明の保存安定性を高
めることができる。
【0022】例えば保存剤として、安息香酸ナトリウ
ム、ソルビン酸カリウム、パラヒドロキシ安息香酸メチ
ル及びパラヒドロキシ安息香酸プロピル等を用いること
ができる。
【0023】本発明の易嚥下性抗悪性腫瘍製剤は上記基
剤各成分を配合する他に主剤の安定性及び製剤中の均一
性を高めるために分散剤、界面活性剤、溶解補助剤等の
医薬品添加物を加えることが可能である。
【0024】本発明の易嚥下性抗悪性腫瘍製剤は、以下
の方法によって調製することができる。主剤と分散剤を
少量の水を加え良く混和させた後、撹拌機で均一に分散
させる。別の適当な容器に温水をとり、これにゲル化
剤、矯味剤、保存剤等の添加剤を加え必要ならば加熱し
ながら強く撹拌し溶解させる。この液をゼリー化しない
程度の温度に冷却し、主剤分散液を加え十分混ぜ合わせ
均一な液とした後、全量を水で100重量%とし、更に
良く混ぜ合わせる。
【0025】次に、易嚥下性抗悪性腫瘍製剤の調製液を
一回の投与量毎に適当な容器あるいは、押し出し可能な
図1のような注射器型の容器中に分注し、冷却固化後ゼ
リー化させ、これを凍結乾燥することにより、服用の際
に一回の使い切り容器入りの製剤包装とする。
【0026】本発明の易嚥下性抗悪性腫瘍製剤を充てん
する図1の容器は、合成樹脂製のもので、胴部は内径1
5.00〜25.00mmの円筒状をしておりその両端
は開放している形状である。その開放している片端は内
部の医薬組成物が押し出される口部で細く内径1.50
〜4.50mmとし、反対側の片端は胴部の内部にピス
トン状の押し出し用樹脂を挿入できる形状をしているこ
とが好ましい。容器胴部内部の容積は凍結乾燥した医薬
組成物に口部より少量の水分を含ませられるように1
4.00〜25.00mlとするのが良く、これは、口
部より必要量の水を吸い上げるのに十分な容積である。
【0027】上記容器中の抗悪性腫瘍製剤の凍結乾燥物
は服用時に水を口部より一定量吸い上げ内部を湿潤させ
ゼリー状とし、服用し易い形態を形成することが可能と
なる。すなわち、ゼリー状の抗悪性腫瘍製剤は容器口部
より押し出され適当な大きさに粉砕された状態で患者の
口中に直接入れられ、この時に本易嚥下性抗悪性腫瘍製
剤に手指の皮膚等が直接触れることなく操作できるた
め、接触皮膚炎等の危険を回避することができ、その上
使用後のこの容器は容易に廃棄することができるもので
ある。
【0028】本発明の易嚥下性抗悪性腫瘍製剤は長期保
存においてその性状、外観、主剤の含量、溶出性等に変
化はなくその流通において品質の保証が確保できるもの
である。特に、凍結乾燥により水分を含まないので水に
よる分解・溶解等の恐れがなく医薬品としての安定性に
優れている。
【0029】本発明における易嚥下性抗悪性腫瘍製剤は
適当な使い捨て容器、あるいは図1の容器中に充てんし
た抗悪性腫瘍製剤の凍結乾燥物であり、服用時に水分を
含ませることにより嚥下障害及び嚥下困難の患者が飲み
込み易いゼリーの形態となり、特に別に水と共に飲まな
くても服用できるものである。容器中のゼリー状となっ
た抗悪性腫瘍製剤はこの容器より押し出す行為により適
当な大きさに粉砕され咽ごし良く一回分を確実に服用で
きることで、操作性服用性安全性確実性の面で有用性の
高いものといえる。
【0030】
【発明の実施の形態】実施例により詳細に説明する。な
お、テガフール、ウラシル含有易嚥下性抗悪性腫瘍製剤
は各実施例に記載された処方に限定されるものではな
い。
【0031】 (実施例1) (1)処方(300g中) A液(主剤分散液) 成 分 配合量 テガフール 3 g ウラシル 6.72g 白糖 18 g 精製水 適量 B液(基剤溶液) 寒天 1.5 g ソルビン酸カリウム 0.3 g 精製水 適量
【0032】(2)調製法 上記A液成分を秤取し、よく混和して主剤分散液とした
(A液)。別にB液成分を秤取し、加温した精製水に混
和し、加温溶解(約90℃)させ基剤溶液とした(B
液)。A液とB液を合わせよく混和し、全量を精製水で
300gとした。次にこの液を適当な容器に10gずつ
分注し、冷却してゼリー化させた。また、この液を図1
の容器に10gずつ分注し、ゼリー化させた後凍結乾燥
を行った。
【0033】 (実施例2) (1)処方(300g中) C液(基剤溶液) 成 分 配合量 ジェランガム 0.6 g 乳酸カルシウム 0.21g ソルビン酸カリウム 0.3 g 精製水 適量
【0034】(2)調製法 上記実施例1のA液成分を秤取し、よく混和して主剤分
散液とした(A液)。別にC液成分を秤取し、加温した
精製水に混和し、加温溶解(約90℃)させ基剤溶液と
した(C液)。A液とC液を合わせよく混和し、全量を
精製水で300gとした。次にこの液を適当な容器に1
0gずつ分注し、冷却してゼリー化させた。また、この
液を図1の容器に10gずつ分注し、ゼリー化させた後
凍結乾燥を行った。
【0035】 (実施例3) (1)処方(300g中) D液(基剤溶液) 成 分 配合量 カラギーナン 2.4 g ソルビン酸カリウム 0.3 g 精製水 適量
【0036】(2)調製法 上記実施例1のA液成分を秤取し、よく混和して主剤分
散液とした(A液)。別にD液成分を秤取し、加温した
精製水に混和し、加温溶解(約90℃)させ基剤溶液と
した(D液)。A液とD液を合わせよく混和し、全量を
精製水で300gとした。次にこの液を適当な容器に1
0gずつ分注し、冷却してゼリー化させた。また、この
液を図1の容器に10gずつ分注し、ゼリー化させた後
凍結乾燥を行った。
【0037】 (実施例4) (1)処方(300g中) E液(基剤溶液) 成 分 配合量 カラギーナン 1.2 g グアーガム 0.3 g 乳酸カルシウム 0.15g ソルビン酸カリウム 0.3 g 精製水 適量
【0038】(2)調製法 上記実施例1のA液成分を秤取し、よく混和して主剤分
散液とした(A液)。別にE液成分を秤取し、加温した
精製水に混和し、加温溶解(約90℃)させ基剤溶液と
した(E液)。A液とE液を合わせよく混和し、全量を
精製水で300gとした。次にこの液を適当な容器に1
0gずつ分注し、冷却してゼリー化させた。また、この
液を図1の容器に10gずつ分注し、ゼリー化させた後
凍結乾燥を行った。
【0039】 (実施例5) (1)処方(300g中) F液(基剤溶液) 成 分 配合量 キサンタンガム 0.3 g グアーガム 0.3 g ソルビン酸カリウム 0.3 g 精製水 適量
【0040】(2)調製法 上記実施例1のA液成分を秤取し、よく混和して主剤分
散液とした(A液)。別にF液成分を秤取し、加温した
精製水に混和し、加温溶解(約90℃)させ基剤溶液と
した(F液)。A液とF液を合わせよく混和し、全量を
精製水で300gとした。次にこの液を適当な容器に1
0gずつ分注し、冷却してゼリー化させた。また、この
液を図1の容器に10gずつ分注し、ゼリー化させた後
凍結乾燥を行った。
【0041】 (実施例6) (1)処方(300g中) G液(基剤溶液) 成 分 配合量 キサンタンガム 0.45g ローカストビーンガム 0.09g ソルビン酸カリウム 0.3 g 精製水 適量
【0042】(2)調製法 上記実施例1のA液成分を秤取し、よく混和して主剤分
散液とした(A液)。別にG液成分を秤取し、加温した
精製水に混和し、加温溶解(約90℃)させ基剤溶液と
した(G液)。A液とG液を合わせよく混和し、全量を
精製水で300gとした。次にこの液を適当な容器に1
0gずつ分注し、冷却してゼリー化させた。また、この
液を図1の容器に10gずつ分注し、ゼリー化させた後
凍結乾燥を行った。
【0043】 (実施例7) (1)処方(300g中) H液(基剤溶液) 成 分 配合量 キサンタンガム 0.3 g アルギン酸ナトリウム 1.5 g ローカストビーンガム 0.09g ソルビン酸カリウム 0.3 g 乳酸カルシウム 0.15g 精製水 適量
【0044】(2)調製法 上記実施例1のA液成分を秤取し、よく混和して主剤分
散液とした(A液)。別にH液成分を秤取し、加温した
精製水に混和し、加温溶解(約90℃)させ基剤溶液と
した(H液)。A液とH液を合わせよく混和し、全量を
精製水で300gとした。次にこの液を適当な容器に1
0gずつ分注し、冷却してゼリー化させた。また、この
液を図1の容器に10gずつ分注し、ゼリー化させた後
凍結乾燥を行った。
【0045】 (実施例8) (1)処方(300g中) I液(基剤溶液) 成 分 配合量 ゼラチン 9 g ソルビン酸カリウム 0.3 g 精製水 適量
【0046】(2)調製法 上記実施例1のA液成分を秤取し、よく混和して主剤分
散液とした(A液)。別にI液成分を秤取し、加温した
精製水に混和し、加温溶解(約90℃)させ基剤溶液と
した(I液)。A液とI液を合わせよく混和し、全量を
精製水で300gとした。次にこの液を適当な容器に1
0gずつ分注し、冷却してゼリー化させた。また、この
液を図1の容器に10gずつ分注し、ゼリー化させた後
凍結乾燥を行った。
【0047】上記実施例に従って調製した製剤を下記の
点について評価を行い、有用性を確認した。 (1)製剤の服用感 上記実施例3、5及び6について主剤を除いたゼリー製
剤調製を行い、飲み易さの試験を行った。被験者10人
は各ゼリー製剤に水を含ませ直接口に入れて飲み込む際
の飲み込み易さ(咽ごしの状態)について下記評価基準
により感応評価を行った。 評価基準 ◎;大変に飲み込み易い ○;飲み易い △;やや飲み易い ▽;やや飲み難い ×;飲み難い 結果を表1に示した。
【0048】
【表1】
【0049】以上の結果より本発明の医薬組成物は、口
中に入り、特に苦もなく飲み込めることが確認された。
【0050】(2)服用時の操作性の試験 上記実施例3、5及び6について主剤を除いたゼリー製
剤を調製し、図1の容器に入れ、凍結乾燥した製剤につ
いて、容器のピストンを引き上げることにより水を吸い
込み、ゼリーに戻し、押し出すことで自らの口中に確実
に注入することが操作性の面でどのような評価を受ける
かを被験者10人について各5本ずつを用いて下記の評
価基準に従い試験を行った。 評価基準 ◎;大変に操作性が良い ○;操作性が良い △;やや操作性が良い ▽;やや操作性が悪い ×;操作性が悪い 結果を表2に示した。
【0051】
【表2】
【0052】以上の結果より、本発明の製剤服用時の操
作性は優れ、臨床現場においても問題となるような煩雑
性はないものと考えられ、また介護人による患者への投
与操作も簡便であると考えられ、しかも一連の操作を製
剤自体には直接手指に触れることなく安全に行うことが
可能であり、廃棄についても簡便であった。
【0053】(3)含量安定性 上記実施例6及び7についてのゼリー製剤を調製し、図
1の容器に入れ、凍結乾燥した製剤について各々をアル
ミラミネート袋に密閉包装し、40℃の温度下に2箇月
間保存後、主剤の含量変化に関し評価を行った。結果を
表3に示した。
【0054】
【表3】
【0055】以上の結果より40℃2箇月間の保存条件
で含量の低下はほとんど見られず、主剤の安定性が保た
れていることが分かった。
【0056】(4)溶出試験 上記実施例6についてのゼリー製剤を調製し、図1の容
器に入れ、凍結乾燥した製剤について各々をアルミラミ
ネート袋に密閉包装し、40℃の温度下に2箇月間保存
後、溶出試験に関し評価を行った。溶出試験液は pH
1.2及びpH6.8における評価を行った。結果を図
2及び図3に示した。
【0057】上記結果より40℃2箇月間の保存条件で
溶出の変化はほとんど見られず、製剤自体の安定性も保
たれていることが分かった。
【0058】
【発明の効果】以上説明したように、本発明は抗悪性腫
瘍製剤を服用し嚥下障害、嚥下困難を生じてしまった患
者又は、高齢化に伴い機能低下により嚥下困難を生じて
しまった患者に対し、テガフール及びウラシルを配合し
た抗悪性腫瘍製剤にゲル化剤を加えることにより、咽ご
しの良い、服用し易いゼリー状の製剤として提供するこ
とが可能となり、またこのゼリー状の製剤を適当な容器
あるいは注射器型の容器に入れ、凍結乾燥することによ
り保存安定性、服用時の簡便性及び廃棄性を持たせるこ
とが可能となった。
【図面の簡単な説明】
【図1】易嚥下性抗悪性腫瘍製剤を充てんする容器(断
面図)である。
【図2】溶出試験(pH1.2)の結果である。
【図3】溶出試験(pH6.8)の結果である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 山我 洋 東京都武蔵村山市本町二丁目11番9号 有 限会社ナックコーポレーション内

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 テガフール、ウラシル及びゲル化剤を配
    合したゼリー状の易嚥下性抗悪性腫瘍製剤。
  2. 【請求項2】 テガフールとウラシルの構成比がモル比
    で1:4である請求項1記載のゼリー状の易嚥下性抗悪
    性腫瘍製剤。
  3. 【請求項3】 ゲル化剤として多糖類又はペプチド類を
    0.05〜5重量%含有する請求項1又は2記載のゼリ
    ー状の易嚥下性抗悪性腫瘍剤。
  4. 【請求項4】 請求項1、2又は3記載のゼリー状の易
    嚥下性抗悪性腫瘍製剤を適当な容器に充てんした後凍結
    乾燥することにより、テガフールの保存安定性を高め服
    用時に水を加えることによってゼリー状に戻すことが可
    能な易嚥下性抗悪性凍結乾燥腫瘍製剤。
  5. 【請求項5】 請求項4に記載の容器として胴部とピス
    トン部からなる注射器型の押し出し可能な使い捨て容器
    を用いることで、患者の服用時又は介護者の患者への投
    薬時の手間を軽減し、服用時に患者及び介護者の薬物へ
    の接触を無くした易嚥下性抗悪性腫瘍凍結乾燥製剤。
JP13181998A 1998-05-14 1998-05-14 易嚥下性抗悪性腫瘍製剤 Withdrawn JPH11322606A (ja)

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