JPH11123231A - 袋状容器入り医療用ゼリー剤 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 投与具などを用いずに、ゼリー剤の収納され
た容器から直接口内へ投与することが簡便に行える容器
入り医療用ゼリー剤を提供することを課題とする。ま
た、携帯に都合がよいよう軽くてコンパクトな容器入り
医療用ゼリー剤を提供することを課題とする。 【解決手段】 医療用ゼリー剤および気体を、胴部とヒ
ートシール部とを備え熱溶着可能なフィルムで形成され
た袋状容器に封入し、胴部内の内気圧を外気圧より高く
し胴部が膨満した状態として、袋状容器入り医療用ゼリ
ー剤とする。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、内服投与に便利な
袋状容器に封入された医療用ゼリー剤に関する。

【０００２】

【従来の技術】我が国の将来の医療を鑑みると、高齢化
社会の医療に対する諸問題があり、今や高齢者向けの製
剤開発が必要不可欠である。ゼリー剤は高齢患者や特に
嚥下障害の患者にも服用し易く、この目的にも合致した
製剤である。

【０００３】このゼリー剤の投与には、ゼリー剤をスプ
ーン等で患者の口に投与する方法が一般に行われてい
る。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、嚥下障
害者や特に寝たきり患者にゼリー剤を前記投与法方で投
与した場合に、患者によっては、咀嚼しないですぐに飲
み込んでしまい、むせたり、吐き出したり、ゼリー剤が
咽につかえて息ができなくなるといった虞がある。

【０００５】また、ゼリー剤を収容する容器とは別にス
プーン等の投与具が必要であり、そのため外出先での服
用が面倒であったり、特に外出先で投与具を忘れたとき
などは服用が困難になるなどの不具合もある。

【０００６】このような不具合を解決すべく、ゼリー剤
を熱溶着可能なフィルム製の袋状容器に収納しておき、
これを開封し胴部を押圧して袋状容器からゼリー剤を押
し出し、袋状容器からゼリー剤を直接服用できるように
することが考えられる。このようにすれば投与具などを
不要とすることができる。しかし、熱溶着可能なフィル
ム製の袋状容器に内容物を収納したものは、一般に形状
が平面的で厚みが少なく、ゼリー剤を内容物とした場合
には押し出しやすいとは言いがたく、この点で簡便性に
欠ける。

【０００７】本発明は、以上のような観点からなされた
ものであり、投与具などを用いずに、ゼリー剤の収納さ
れた容器から直接口内へ投与することが簡便に行える容
器入り医療用ゼリー剤を提供することを課題とする。ま
た、携帯に都合がよいよう軽くてコンパクトな容器入り
医療用ゼリー剤を提供することを課題とする。

【０００８】

【課題を解決するための手段】

＜本発明の袋状容器入り医療用ゼリー剤＞本発明は、上
記課題を解決するために、以下の構成を採用した。

【０００９】即ち、本発明の袋状容器入り医療用ゼリー
剤（以下、単に「容器入りゼリー剤」ということがあ
る）は、熱溶着可能なフィルムで形成され熱溶着により
内部を封じた袋状容器に封入された医療用ゼリー剤であ
って、前記袋状容器は胴部とヒートシール部とを備え、
前記胴部内に前記医療用ゼリー剤および気体が封入され
ており、胴部内の内気圧が外気圧より高く胴部が膨満し
た状態である。

【００１０】本発明で用いられる袋状容器としては、熱
溶着可能なフィルムで形成され、熱溶着により袋状容器
の内部を封じるものが用いられる。熱溶着可能なフィル
ムとして好ましくは、ナイロン等のポリアミド系、ポリ
エチレンテレフタレート等のポリエステル系、ポリエチ
レン系、ポリプロピレン系のフィルム、シリカ蒸着ポリ
エチレンテレフタレート等が挙げられる。また、本発明
で袋状容器を形成するフィルムは単層であっても多層で
あってもよい。多層とする場合には、気密性等の観点か
ら中間層または外層としてアルミ箔を用いてもよい。袋
状容器を形成するフィルムとして具体的には、ポリエチ
レン／アルミ箔／ポリプロピレン、ポリエチレン／シリ
カ蒸着ポリエチレンテレフタレート／ポリエチレンテレ
フタレート、ポリエチレン／ナイロン／ポリエチレン等
のラミネートフィルムが好ましく例示され、特に好まし
くはポリエチレン／シリカ蒸着ポリエチレンテレフタレ
ート／ポリエチレンテレフタレートが例示される。袋状
容器を形成するフィルムは、内容物である医療用ゼリー
に応じて選択することができる。フィルムの厚さは、胴
部を膨満させた際に破裂しない程度の厚さであれば適宜
調整してよいが、好ましくは３０〜１００μｍ、特に好
ましくは５０〜８０μｍである。

【００１１】また、当該袋状容器は、医療用ゼリー剤お
よび気体が封入される胴部と、熱溶着により形成される
ヒートシール部とを備える。ヒートシール部は、袋状容
器の内部を封じることができるよう袋状容器の上端部、
下端部または側端部のうち少なくとも一端部に設けられ
ればよい。また、ヒートシール部は、以下に説明するノ
ッチまたは破断線を設けるために突片状とすることが好
ましい。

【００１２】本発明の容器入りゼリー剤は胴部が膨満し
た状態であり、熱溶着可能なフィルムで形成された袋状
の容器に収納されていても、内容物である医療用ゼリー
剤が平面的でなく収納されており、袋状容器から医療用
ゼリー剤をスムーズに押し出すことができる。本発明に
おいて「胴部が膨満した状態」とは、溶融状態のゼリー
剤を入れ加圧したときに、胴部の長手方向（軸芯）に対
して直交する方向の胴部断面が、円形状から楕円形状に
なるような状態を意味する。円形状から楕円形状の胴部
断面の長径と短径との長さの比は、好ましくは１：１〜
２：１である。また、本発明の容器入り医療用ゼリー剤
における袋状容器の胴部は、筒状であることが好まし
く、胴部の長手方向の長さと短手方向の長さとの比は、
１５：１〜２：１程度であることが好適である。なお、
上記のような円形状から楕円形状の断面を有する筒状の
胴部において筒の末端にヒートシール部を設ける都合
上、末端部での軸芯に対して直交する方向の断面が必ず
しも円形状から楕円形状とならない場合があるが、本発
明ではこのようなものも、胴部が円形状から楕円形状の
断面を有するものとして含まれる。

【００１３】胴部内には医療用ゼリー剤および気体を封
入し、胴部内の内気圧を外気圧よりも高くすることによ
り胴部を膨満した状態とする。内気圧は、袋状容器を破
裂させず、また開封前において内部に封入された医薬用
ゼリー剤が、通常の取り扱い、例えば室温下においてヒ
トの手で押圧した程度、ではつぶれない程度が好まし
い。具体的には胴部内の内気圧は、２０℃の温度条件下
で、好ましくは外気圧の１．００５〜１．５倍、更に好
ましくは外気圧の１．０１〜１．２倍、特に好ましくは
外気圧の１．０２〜１．０５倍の気圧であることが好適
である。胴部に封入される気体としては、空気、窒素ガ
ス、アルゴンまたはヘリウム等が例示できる。

【００１４】また、本発明で用いられる袋状容器では、
形状を突片状にしたヒートシール部を設け、開封用のノ
ッチまたは破断線を設けることができる。ヒートシール
部に設けられたノッチまたは破断線から袋状容器を開封
することにより開口部を容易に形成することができ、使
用の利便性がより向上する。突片状のヒートシール部に
おいてノッチまたは破断線を設ける位置は任意である
が、例えば、円筒状の袋状容器の軸芯に対して直交する
方向に開封できるよう設けられることが好ましい。ま
た、ノッチまたは破断線から袋状容器を開封した際に、
胴部において気体が封入されている部分が開封される位
置にノッチまたは破断線が設けられることが好ましい。
気体が封入されている部分で開封されれば、手を汚すこ
となくゼリー剤を投与することができる。

【００１５】また、本発明の容器入りゼリー剤において
は、ノッチまたは破断線から開封した際に形成される開
口部の口径を医療用ゼリー剤が収納されている胴部の横
断面（胴部の長手方向に対して直交する方向の断面）の
経よりも小さくすることにより、咀嚼しなくても飲み込
むのに適当なサイズに医療用ゼリー剤を砕きながら押し
出されるようにすることもできる。

【００１６】上記本発明の容器入りゼリー剤は、服用の
際に別途に投与具を必要とせず、容器から直接投与する
ことを簡便に行うことができる。特に、袋状容器の胴部
が円筒状であり、突片状のヒートシール部に開封用のノ
ッチまたは破断線が設けられ、ノッチまたは破断線から
袋状容器を開封することにより開口部が形成されるもの
は、使用の利便性が極めて優れている。

【００１７】袋状容器内に封入される医療用ゼリー剤と
しては、一般に医療用ゼリー剤として用いられているも
のを適用することができるが、好ましくは内服用胃腸
薬、風邪薬、抗菌剤、ＯＴＣ内服剤等のゼリー剤、特に
好ましくはアルミニウム／マグネシウム制酸剤、抗菌剤
等のゼリー剤が好適に用いられる。

【００１８】本発明の容器入りゼリー剤では、袋状容器
に封入される医療用ゼリー剤の収納量を患者に対する一
回の投与量と同量とすることができる。このようにする
と、服用者が１回の投与量を間違えることがなく、正し
い処方を行うことができる。医療用ゼリー剤の種類にも
よるが、収納量として好ましくは０．３〜１５ｇ、特に
好ましくは０．５〜５ｇが例示される。

【００１９】本発明で用いられる袋状容器は上記のよう
な熱溶着可能なフィルムで形成されており、また収納量
を患者に対する一回の投与量と同量とすることができる
ので、本発明の容器入りゼリー剤は軽くてコンパクトな
ものとすることができる。

【００２０】＜本発明の袋状容器入り医療用ゼリーの製
造方法＞本発明の袋状容器入り医療用ゼリーの具体的製
造方法としては、胴部を膨満させた状態でシールできる
方法であればいかなる方法でもよく特に限定されない
が、例えば、開口部を有する袋状容器内に、溶融状態に
ある医療用ゼリー剤を充填し、円周部が接した２つの棒
状のロール間に前記開口部を挟み込み、当該ロールを下
方に回動させて袋状容器の胴部内の気体を圧迫して胴部
内の内気圧を外気圧より高くし胴部を膨満させた後、袋
状容器の圧迫している側のフィルムを熱溶着により封
じ、その後冷却して医療用ゼリー剤を固化させる方法等
が挙げられる。胴部を膨満させるには、医療用ゼリー剤
を充填した後、圧搾空気を封入して胴部を膨満させても
よい。また、袋状容器に医療用ゼリー剤を充填し、熱溶
着により袋状容器を封じる工程を加圧チャンバー内にて
行うことにより、胴部を膨満させた状態とすることもで
きる。また、袋状容器を予め円筒状にしておいて溶融状
態の医療用ゼリーを充填し、胴部を膨満させてもよい。
なお、熱溶着の方法、胴部を膨満させた際に円筒状とな
り得る袋状容器の成形、ノッチまたは破断線の設ける方
法などは、通常の方法に従って行うことができる。

【００２１】

【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態の例を
図１〜図８の図面に基づいて説明する。 ＜本発明の袋状容器入り医療用ゼリー剤＞図１〜図５は
本発明の袋状容器入り医療用ゼリー剤の一例を示す図で
ある。図１は、本発明の袋状容器入り医療用ゼリー剤の
一例の正面図である。図２は、本発明の袋状容器入り医
療用ゼリー剤の一例の側面図である。図３は、本発明の
袋状容器入り医療用ゼリー剤の一例の平面図である。図
４は、本発明の袋状容器入り医療用ゼリー剤の一例の斜
視図である。図５は、本発明の袋状容器入り医療用ゼリ
ー剤の一例で、ノッチから開封したところを示す斜視図
である。

【００２２】袋状容器入り医療用ゼリー剤１では、ポリ
エチレンテレフタレート／シリカ蒸着製ポリエチレンテ
レフタレート／ポリエチレン製フィルムで形成され熱溶
着により内部を封じた袋状容器２に医療用ゼリー剤６が
封入されている。

【００２３】また、袋状容器２は、医療用ゼリー剤６を
収納する胴部３と、袋状容器２の上端部、下端部、一方
の側端部に突片状のヒートシール部４０とを備え、胴部
３は円筒状である。

【００２４】胴部３内には医療用ゼリー剤６および気体
が封入され、胴部３内の内気圧は外気圧よりも高く、胴
部３は室温下で膨満した状態にある。また、ヒートシー
ル部４０には、開封用のノッチ５０が設けられており、
開封が容易に行える。ノッチ５０は、円筒状の袋状容器
２の軸芯に対して直交する方向に開封でき、ノッチ５０
から袋状容器２を開封した際に、胴部３において気体が
封入されている部位が開封される位置に設けられる。

【００２５】図６、図７は、本発明の袋状容器入り医療
用ゼリー剤の別の一例を示す図である。図６は 本発明
の袋状容器入り医療用ゼリー剤の別の一例の平面図であ
る。図７は、本発明の袋状容器入り医療用ゼリー剤の別
の一例で、破断線から開封したところを示す斜視図であ
る。以下、上記図１〜図５で説明した袋状容器入りゼリ
ー剤と同一態様部分は同一符号を付して説明を省略し、
上記の袋状容器入りゼリー剤との相異点についてのみ説
明する。

【００２６】図６、図７に示す例では、突片状のヒート
シール部４１と４２とが袋状容器の上端部と下端部とに
設けられている。上端部に設けられたヒートシール部４
１には破断線５１が設けられ、破断線５１から開封した
際に形成される開口部７１の口径は医療用ゼリー剤が収
納されている胴部３の横断面の経よりも小さくなってお
り、医療用ゼリー剤は咀嚼することなく飲み込むのに適
当なサイズに砕かれながら押し出される。

【００２７】＜本発明の袋状容器入り医療用ゼリーの製
造方法＞図８は本発明の袋状容器入り医療用ゼリー剤の
製造方法の一例を示す図であり、図１〜図５に示される
袋状容器入り医療用ゼリー剤を製造する例である。

【００２８】胴部３に連なる開口部７ａを有する袋状容
器２内に、溶融状態にある医療用ゼリー剤６ａをゼリー
剤充填針９を通じて充填し、円周部が接した２つの棒状
のロール１０間に前記開口部７ａを挟み込み、当該ロー
ル１０を下方に回動させて袋状容器２の胴部内の空気を
圧迫し胴部内の内圧を外気圧より高くして胴部３を膨満
させた後、袋状容器の圧迫している側を熱溶着により封
じ、その後冷却して医療用ゼリー剤を固化させて、袋状
容器入り医療用ゼリー剤１を得る。

【００２９】

【発明の効果】本発明の袋状容器入り医療用ゼリー剤
は、袋状容器から医療用ゼリー剤をスムーズに押し出す
ことができ、袋状容器からゼリー剤を直接口内へ投与す
ることを簡便に行うことができる。また、本発明の容器
入りゼリー剤は、投与具などを用いずにゼリー剤を患者
の口内へ投与でき、外出時には特に便利である。

【００３０】また、胴部の内圧が外気圧より高く胴部が
膨満した状態であるため、フィルムで形成された袋状容
器に収納されていることにより、ゼリー剤がつぶれにく
い。さらに、医療用ゼリー剤の収納量を患者に対する一
回の投与量と同量にすると、服用者が１回の投与量を間
違えることなく、正しい処方を行うことができるという
効果がある。また、本発明の容器入りゼリー剤は、軽く
てコンパクトなものとすることができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】 本発明の袋状容器入り医療用ゼリー剤の一例
の正面図である。

【図２】 本発明の袋状容器入り医療用ゼリー剤の一例
の側面図である。

【図３】 本発明の袋状容器入り医療用ゼリー剤の一例
の平面図である。

【図４】 本発明の袋状容器入り医療用ゼリー剤の一例
の斜視図である。

【図５】 本発明の袋状容器入り医療用ゼリー剤の一例
で、ノッチから開封したところを示す斜視図である。

【図６】 本発明の袋状容器入り医療用ゼリー剤の別の
一例の正面図である。

【図７】 本発明の袋状容器入り医療用ゼリー剤の別の
一例で、破断線から開封したところを示す斜視図であ
る。

【図８】 本発明の袋状容器入り医療用ゼリー剤の製造
方法の一例を示す図である。

【符号の説明】

１・・袋状容器入り医療用ゼリー剤 ２・・袋状容器 ３・・胴部 ４０、４１、４２、４０ａ・・突片状のヒートシール部 ５０・・ノッチ ５１・・破断線 ６、６ａ・・医療用ゼリー剤 ７０・・ノッチから開封して形成された開口部 ７１・・破断線から開封して形成された開口部 ７ａ・・ゼリー剤を充填するための開口部 ８・・ゼリー剤注入口 ９・・ゼリー剤充填針 １０・・ロール

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 大楽 真健 埼玉県大宮市三条町51番地 太田製薬株式 会社内 (72)発明者 横坂 公映 埼玉県大宮市三条町51番地 太田製薬株式 会社内 (72)発明者 三澤 政代 埼玉県大宮市三条町51番地 太田製薬株式 会社内

Claims (4)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 熱溶着可能なフィルムで形成され熱溶着
   により内部を封じた袋状容器に封入された医療用ゼリー
   剤であって、前記袋状容器は胴部とヒートシール部とを
   備え、前記胴部内には前記医療用ゼリー剤および気体が
   封入されており、胴部内の内気圧が外気圧より高く胴部
   が膨満した状態である、袋状容器入り医療用ゼリー剤。
2. 【請求項２】 前記胴部内の内気圧が、外気圧の１．０
   ０５〜１．５倍である請求項１に記載の袋状容器入り医
   療用ゼリー剤。
3. 【請求項３】 前記ヒートシール部が突片状であって開
   封用のノッチまたは破断線が設けられており、前記ノッ
   チまたは破断線から袋状容器を開封することにより開口
   部が形成される、請求項１または２に記載の袋状容器入
   り医療用ゼリー剤。
4. 【請求項４】 前記袋状容器に封入される医療用ゼリー
   の収納量が１回の投与量と同量であることを特徴とする
   請求項１〜３のいずれかに記載の袋状容器入り医療用ゼ
   リー剤。