JP4293601B2 - スティック型包装体 - Google Patents
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Description
市販されているこれらスティック型包装体の多くは、その表面に印刷などにより切り口が表示されているものの、経口投与する際に手で保持するが、形としてスティック型包装体の上(頂部)と下(底部)とを、ひいては切り口の位置を容易に触知・識別できる構造となっていないため、一見して切り口の位置や方向がわかりにくい。まして、目の不自由な人や視力の低下した老人等はさらに切り口の位置を認知しにくく、本来は手で開封できるところをはさみなどの器具を使用したり、他者に開封を依頼したり、あるいは、切り口以外の箇所から無理に開封しようとして内容物をこぼしてしまうなどの問題がある。
これら問題点の一部を改良したスティック型包装体の開示がある(例えば、特許文献1参照)。当該文献は、ラミネート状の包装紙を合掌状に貼り合わせた背貼り部を有して袋状に形成するとともに、長辺の両端部がシール部を有して長尺状に形成されたスティック型包装体であって、該シール部の角部が弧状あるいは面取り状に形成されていることを特徴とするスティック型包装体について開示している。しかしながら、当該文献に、長辺方向における頂部と底部を触知により認識できるような構造や、頂部を幅広に形成し、開封を容易にした構造についての開示及び示唆はない。
一方、シール部の元部が長辺方向の外方に向かって凸状となる円弧上に形成される構造は、粉体、顆粒、細粒等においては内容物の残留が軽減される可能性を有する。しかし、ある一定の粒径を呈する固形の内容物に適用した場合は、その効果が期待できないか、あるいは、シール部の元部の弧状の線上に内容物がアーチ状にブリッジングして、却って内容物が残存するなどの不具合が危惧される。
従って、安全性、使用感、利便性、製品の破損防止等の観点から、満足するスティック型包装体が得られていないのが現状である。
(i)長辺と短辺からなる長尺状のスティック型包装体であって、
フィルムを長辺で合掌状に貼り合わせた背貼り部と、
長辺の両端部にある密封された第1及び第2のシール部と、
両シール部の間にある内容物を含むための袋部と、を有し、
該シール部は外周が、袋部との境界を画す元部と、2つの角部と、角部間を繋ぐ中央部とを有し、
該第1のシール部の一方の角部が特定の形状に、該第2のシール部の一方の角部が第1のシール部と相補的な形状に、該第1及び第2のシール部の他方の両外側角部が弧状、面取状、あるいは滑らかな曲線状にそれぞれ形成され、
該第1のシール部の長辺方向の幅が第2のシール部より幅広に形成され、
第1及び第2のシール部の元部が長辺に垂直な直線状に形成され、
第1のシール部の元部と袋部に短辺に平行に設けられる切り口線との距離であるカット部幅が6mm以下であることを特徴とする、スティック型包装体。
(ii)長辺と短辺からなる長尺状のスティック型包装体であって、
フィルムを長辺で合掌状に貼り合わせた背貼り部と、
長辺の両端部にある密封された第1及び第2のシール部と、
両シール部の間にある内容物を含むための袋部と、を有し、
該シール部は外周が、袋部との境界を画す元部と、2つの角部と、角部間を繋ぐ中央部とを有し、
該第1のシール部の両側の角部が特定の形状に、該第2のシール部の両側の角部が第1のシール部と相補的な形状にそれぞれ形成され、
該第1のシール部の長辺方向の幅が第2のシール部より幅広に形成され、
第1及び第2のシール部の元部が長辺に垂直な直線状に形成され、
第1のシール部の元部と袋部に短辺に平行に設けられる切り口線との距離であるカット部幅が6mm以下であることを特徴とする、スティック型包装体。
(iii)該特定の形状が丸みのある三角状である、上記(i)または(ii)に記載のスティック型包装体。
長辺10と短辺11からなる長尺状のスティック型包装体1であって、
フィルムを長辺10で合掌状に貼り合わせた背貼り部4と、
長辺10の両端部にある密封された第1及び第2のシール部3と、
両シール部の間にある内容物を含むための袋部2と、を有し、
該シール部3は外周が、袋部2との境界を画す元部33と、2つの角部31と、角部間を繋ぐ中央部32をと有し、
該第1及び第2のシール部3の外側角部31が弧状、面取状、あるいは滑らかな曲線状に形成され、
該第1のシール部3aの長辺方向の幅が第2のシール部3bより幅広に形成され、
幅広の第1のシール部3aに触知可能な標識34が形成され、
第1及び第2のシール部3の元部33が長辺10に垂直な直線状に形成され、
第1のシール部3aの元部33と袋部2に短辺11に平行に設けられる切り口線5との距離であるカット部幅が6mm以下であることを特徴とする、スティック型包装体に関する。
実施形態のスティック型包装体1は、図1に示すように、長尺状に形成され、内容物を充填する袋部2と、長辺方向に対して両端に形成されるシール部3(第1のシール部3a、第2のシール部3b)と、長辺方向に配置される背貼り部4(図2)とを有して形成されている。
スティック型包装体1を袋状に形成するフィルムの材料は、ポリエチレンテレフタレートフィルム、アルミニウム箔、ポリエチレンフィルム、紙等を順次積層させた複数層のラミネートフィルムが一般的であるが、材質、厚さ、順序などは特に限定されない。単層のポリエチレンフィルム、ビニールフィルム等も包装体の材料として使用できる。
第1のシール部3aと第2のシール部3bのシール方法は、包装体が密封される限り特に限定されないが、熱融着によって接着されるのが好ましい。背貼り部4は短辺方向の両端部を長辺に沿って合掌状に合わせてシールされる。背ばり部4のシール方法は、包装体が密封される限り特に限定されないが、熱融着によって接着されるのが好ましい。
第1のシール部3aと第2のシール部3bの長辺方向の幅(図3)は、包装体の密封性を確保する観点から3mm以上であることが好ましく、開封時の持ちやすさや携帯性の観点から30mm以下であることが好ましい。第2のシール部3bに比べて第1のシール部3aを長辺方向に幅広に形成することにより、第1のシール部がつまみやすくなり、開封が容易となる。また、第2のシール部に比べて、第1のシール部を長辺方向に幅広に形成することは、包装体の上下を認識するための標識や製品名を形成、記載する上でも好適である。これらの観点から、第1のシール部の幅は5〜30mmが好ましく、さらに好ましくは8〜12mmであり、第2のシール部の幅は、3〜10mmが好ましく、さらに好ましくは5〜9mmである。
第1のシール部3a及び第2のシール部3bの外形は両外側角部31・31が弧状、面取り状あるいは滑らかな曲線状(図1の例では弧状に形成されているが、面取り状あるいは滑らかな曲線状に形成されていてもよい)に形成され中央部32が直線状を描いて形成されている。両外側角部は、ピン角を形成しない限り、任意の形状であってよい。このような形状とすることにより、取り扱い時に指や掌等を包装体の角部で傷つけることや、製品同士が角部により損傷し、製品の密封性が損なわれることなどが回避され、好適である。
第1のシール部に形成される触知可能な標識としては、例えば、携帯電話やコンピュータのテンキーの5番キーに付与されているような立体マーク34(図1)、牛乳パックやテレホンカードに付与されているようなシール部の外周上の切り欠き35(図4)、第2のシール部とは異なる形状の角部形成(図5a、図5b)、見出し用紙にあるようなシール部外周上から外側に張り出した耳36(図6a、図6b、図6c)などが挙げられるが、好ましくは立体マークである。第1のシール部に触知可能な標識を設けることは、包装体の頂部、すなわち、切り口のある側を触知により認識できる点で、目の不自由な人や視力の低下した老人等には好適な形態である。また、背貼り部を有するスティック型包装体は、本来の切り口とは逆の方向から開封しようとすると、背貼り部の部分で引っかかってしまい、上手く切れないという性質を有する。従って、上記の触知可能な標識を付し、さらに該標識の位置を第1のシール部の左(又は右)に配置することにより、目の不自由な人や視力の低下した老人等が、包装体の左右、すなわち切り口の開封側を触知により認識することができる点で好適である。
立体マーク34は、図1では丸型のもの1つを配した形態を例示しているが、触知可能である限り、形状、大きさ、数等は問わない。丸型、直径5mm以内のもの1つを配置するのが好ましい。
切り欠き35は、図4では円弧状のものを例示しているが、ピン角を形成して人体に接触して障害する原因になるような形状や、切り口と誤認されるような形状、大きさを有するものを除き、触知可能である限り、形状、大きさ、数等は問わない。円弧状のもの1つを配置するのが好ましい。
耳36は、図6aでは円弧状のものを例示しているが、それ以外では、角部を弧状にした台形等、ピン角を形成して人体障害の原因になるような形状を除き、触知可能である限り、形状、大きさ、数等は問わない。円弧状のもの1つを配置するのが好ましい。耳をつけることは、切り口の開封側を触知により認識することができる点で好適であることに加え、頂部がつまみやすくなり、開封が容易となる点でも好適である。また、包装体の上下を認識するための標識や製品名を形成、記載する上でも好適である。また、図6bに示すように、耳と立体マーク(図6bでは第1のシール部に立体マークを配しているが、耳に配しても良い)とを組み合わせることにより、より明瞭に、切り口の開封側を触知により認識できる点で好適である。また、図6cに例示されるような形状、すなわち、耳を含めた第1のシール部全体の形状と、ある程度相補的に第2のシール部の全体の形状を形成する(ただし角部をピン角にしないためには完全に相補的な形状とはならない)ことにより、切り屑の軽減を図ることができる。
シール部の元部33は、長辺に垂直な直線状に形成される。直線状であれば、直線状ではなく長辺の外方に向かって凸状となる円弧上に形成された場合と比較して、内容物の充填量を多くすることができ、また、製造過程においてシール部を容易に形成することができる。
さらに、内容物が粉体、顆粒、細粒等ではなく、ある一定の粒径を呈する略球形の内容物である場合には、シール部の元部の弧状の線上に内容物がアーチ状にブリッジングして内容物が残存するなどの不具合はなく、排出性が良好である。
切り口線5は、カット部幅(第1のシール部の元部33と短辺に平行に袋部に設けられる切り口線5までの距離:図3)が6mm以下になるように形成される。カット部幅が6mmより広い場合、切り口線5から上の袋部の一部と第1のシール部からなる切り捨て部に内容物が入って開封時にこぼれたり、内容物の排出性が低下するため、好ましくない。また、袋部2に内容物とともに空気や窒素などを充填してシールした包装体の場合、カット部幅が6mmより広いと、切り口線が膨張部に位置して開封しづらい。また、切り口線が極端にシール部に近い場合も、製造時の誤差等により、易開封性が損なわれることがある。これらの観点から、切り口線は、カット部幅が4〜6mmになるように形成するのが好ましい。内容物が外径4mmの球状の軟カプセル剤の場合は、カット部幅を5mmになるように形成すると、内容物が切り捨て部に残りにくく、また、仮に切り捨て部に内容物が入っていたとしても、内容物を容易に下方に移動できる点で好適である。
切り口線は、包材の構成材料の一部をミシン目加工することにより形成される。また、切り口線は、開封方向を示す矢印6(図1)、「切り口」等の標記7(図1)、明瞭な点線等により、その位置及び方向が示されていることが好ましい。
包装体1の大きさは、携帯性や操作性の観点から、長辺は60mm〜150mmが好ましく、70mm〜120mmがさらに好ましく、短辺は5mm〜30mmが好ましく、15mm〜25mmがさらに好ましい。
内容物が球形の軟カプセル剤の場合、球の外径と個数及び袋部の容積との関係で、内容物が一層に並んだ状態で保持される形状とするのが好ましい。
本発明のスティック型包装体の製造方法及び内容物の充填方法としては、一般的な方法を用いることができる。すなわち、巻取り包装材料から製袋、内容物充填、封岱、切断、排出する形式の機械で、その工程が上から下へ進行する縦型製袋充填機等により製造することが可能である。
例えば、次のような方法で製造することができるが、この方法に限定されない。
(1)融着可能な合成樹脂を内面にした複数層構造フィルムを長辺で合掌状に貼り合わせて背貼り部とし、長辺の下端部を適当な幅で密封して第2のシール部とし、(2)内容物をフィルム包装体に入れ、(3)適当な幅の長辺の上端部をヒートシールにより密封し、同時に触知可能な標識を形成して第1のシール部とし、(4)次いで袋部に切り口線を設け、(5)上部長辺の端部の上方を、その角部が弧状等となるように切断し、前記工程(1)〜(5)を連続的に行なうことにより製造することができる。
内容物の酸化防止の観点から、窒素、不活性ガス等を充填するのが好ましく、易放出性等の観点から、前記ガス及び空気等を充填するのが好ましいが、窒素充填が最も好ましい。
本発明のスティック型包装体で包装される内容物については特に限定されないが、外径1〜10mmの固形物が好ましい。固形物の形状としては、特に限定されないが、略球形が好ましい。「略球形」としては、球状、円柱状、ペレット状、カプセル状、粒状、楕円球状などが例示され、球状のものが好ましい。さらに好ましくは、外径3〜5mmの球状物である。
これらの固形の内容物は、スティック型包装体の内部へ、長辺と短辺から形成される平面と平行に1層となるように充填することが好ましい。2以上の層とすると内容物同士の接触により、内容物が変形、圧着、融着、破裂する可能性があるからである。
内容物の性状は特に限定されないが、医薬品、サプリメント(健康食品)又は食品が好ましく、医薬品が最も好ましい。医薬品の剤形としてゼラチン硬カプセル、ゼラチン軟カプセル、丸剤等が例示され、ゼラチン軟カプセルが最も好ましい。最も好適な具体例の一つとして、医薬品として市販されているエパデールS300又はエパデールS600(いずれも持田製薬(株)製)の軟カプセル剤(外径4mmの球状)のような形状、性状のものが挙げられる。
開封し易さ、切り口の位置、排出性、角での痛みについて、「良い」、「悪い」、「どちらともいえない」のいずれに該当するかを質問し、結果を表2に集計した(それぞれ%で表示)。
表2に示すとおり、本発明品は、いずれの項目においても対照品に比べて優れていた。
各50回の試験(内容物のべ数=2250)に関し、本発明品では内容物1粒の残留が3回認められたのみであったのに対し、対照品では、残留総数は45粒、残留回数は26回(すなわち、2回に1回以上の頻度で内容物の残留が認められた)であった。また、最大残留数は4であり、これは、容器の底部に粒がアーチ状に残留したものであり、このような状況が50回の試験中3回認められた。
以上の結果から、対照品に比し、本発明品が優れていることが確認された。
各50回の試験(内容物のべ数=2250)に関し、本発明品では内容物1粒の残留が3回認められたのみであったのに対し、対照品では、残留総数は450粒、残留回数は33回(すなわち、2回に1回以上の頻度で内容物の残留が認められた)であった。また、最大残留数は42粒(すなわち、わずか3粒しか排出されなかった)であり、これは、狭隘部に内容物が引っかかることにより生じたものであり、内容物が10粒以上残留したケースが50回の試験中14回認められた。
以上の結果から、対照品に比し、本発明品が優れていることが確認された。
10:長辺
11:短辺
2:袋部
3:シール部
3a:第1のシール部
3b:第2のシール部
31:角部
32:中央部
33:元部
34:立体マーク
35:切り欠き
36:耳
4:背貼り部
5:切り口線(点線の表示)
6:開封の方向を示す矢印
7:「切り口」の標記
Claims (3)
- 長辺と短辺からなる長尺状のスティック型包装体であって、
フィルムを長辺で合掌状に貼り合わせた背貼り部と、
長辺の両端部にある密封された第1及び第2のシール部と、
両シール部の間にある内容物を含むための袋部と、を有し、
該シール部は外周が、袋部との境界を画す元部と、2つの角部と、角部間を繋ぐ中央部とを有し、
該第1のシール部の一方の角部が特定の形状に、該第2のシール部の一方の角部が第1のシール部と相補的な形状に、該第1及び第2のシール部の他方の両外側角部が弧状、面取状、あるいは滑らかな曲線状にそれぞれ形成され、
該第1のシール部の長辺方向の幅が第2のシール部より幅広に形成され、
第1及び第2のシール部の元部が長辺に垂直な直線状に形成され、
第1のシール部の元部と袋部に短辺に平行に設けられる切り口線との距離であるカット部幅が6mm以下であることを特徴とする、スティック型包装体。 - 長辺と短辺からなる長尺状のスティック型包装体であって、
フィルムを長辺で合掌状に貼り合わせた背貼り部と、
長辺の両端部にある密封された第1及び第2のシール部と、
両シール部の間にある内容物を含むための袋部と、を有し、
該シール部は外周が、袋部との境界を画す元部と、2つの角部と、角部間を繋ぐ中央部とを有し、
該第1のシール部の両側の角部が特定の形状に、該第2のシール部の両側の角部が第1のシール部と相補的な形状にそれぞれ形成され、
該第1のシール部の長辺方向の幅が第2のシール部より幅広に形成され、
第1及び第2のシール部の元部が長辺に垂直な直線状に形成され、
第1のシール部の元部と袋部に短辺に平行に設けられる切り口線との距離であるカット部幅が6mm以下であることを特徴とする、スティック型包装体。 - 該特定の形状が丸みのある三角状である、請求項1または2に記載のスティック型包装体。
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