JPH11119382A - 写真フィルム用容器 - Google Patents

写真フィルム用容器

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Publication number
JPH11119382A
JPH11119382A JP27725397A JP27725397A JPH11119382A JP H11119382 A JPH11119382 A JP H11119382A JP 27725397 A JP27725397 A JP 27725397A JP 27725397 A JP27725397 A JP 27725397A JP H11119382 A JPH11119382 A JP H11119382A
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JP
Japan
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weight
group
photographic film
ethylene
container
Prior art date
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Pending
Application number
JP27725397A
Other languages
English (en)
Inventor
Mutsuo Akao
睦男 赤尾
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Fujifilm Holdings Corp
Original Assignee
Fuji Photo Film Co Ltd
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Filing date
Publication date
Application filed by Fuji Photo Film Co Ltd filed Critical Fuji Photo Film Co Ltd
Priority to JP27725397A priority Critical patent/JPH11119382A/ja
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  • Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 写真フィルムパトーネ等を収納する写真
フィルム容器において、透明性、薄肉多数ヶ取り性、高
速射出成形性等を向上させ、ゲート残り、糸ヒキ、着色
故障、焼けこげ故障、変形、ショートショット等の成形
故障がほとんど発生しないようにする。 【解決手段】 メルトフローレートが30〜250g/
10分、密度が0.941〜0.985g/cm3、分
子量分布が1.1〜5.0で、エチレンと炭素原子数が
4〜12のα−オレフィンとの共重合体樹脂であるエチ
レン・α−オレフィン共重合体樹脂を主成分とするポリ
エチレン系樹脂組成物で写真フィルム用容器の容器本体
10が形成されている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、肉厚が1mm以下
の薄肉・多数ヶ射出成形性と高速射出成形性が優れ、物
理強度や寸法精度が良好で、リサイクル適性が優れた写
真フィルム用容器に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、写真フィルムを収納する容器とし
て各種容器が提案されており、例えば、特公平2−28
939号公報には、MIが16〜80g/10分、曲げ
弾性率が10,000kg/cm2以上、引張降伏点が
250kg/cm2のプロピレン単位の含有率が70重
量%以上の重合体を用いて形成されたフィルムパトロー
ネ用容器本体が提案されている。
【0003】また、特開平2−183247号公報に
は、MFRが5〜20g/10分、密度が0.950g
/cm3以上、ショア硬度が65D以上、ビカット軟化
点が120℃以上の高密度ポリエチレン樹脂を70重量
%以上含むフィルムパトローネ用容器本体が提案されて
いる。
【0004】特開平5−19420号公報には、MFR
が25〜26g/10分のエチレン50〜70重量部と
αオレフィン50〜30重量部から成るエチレン・α−
オレフィン共重合体樹脂から成るフィルム収納容器本体
が提案されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述し
た従来の容器はそれぞれ問題があった。すなわち、特公
平2−28939号公報で提案されたフィルムパトロー
ネ用容器本体は、剛性、透明性は優れているが、密封用
LDPE樹脂製キャップと樹脂の種類が異なるので、再
生時に選別が必要であり、また0℃以下の低温下では衝
撃強度の低下が大きいものであった。
【0006】また、特開平2−183247号公報で提
案されたフィルムパトローネ用容器本体は、LDPE樹
脂製キャップと同種のポリエチレン樹脂であるので、再
生時は選別不用でブレンド使用可能であるが、透明性が
不十分であり、樹脂の熱劣化が大きく、着色異物が発生
しやすいものであった。
【0007】さらに、特開平5−19420号公報で提
案されたフィルム収納容器本体は、重合製造が困難なた
め高価であり、また物理強度は非常に大であるが、ゲー
ト部の糸ヒキ故障やゲート残り故障が発生しやすいもの
であった。
【0008】本発明は、以上の問題点を解決し、透明
性、薄肉多数ヶ取り性、高速射出成形性、寸法精度及び
物理強度が優れ、ゲート残り、糸ヒキ、着色故障、焼け
こげ故障、変形、ショートショット等の成形故障がほと
んど発生せず、連続無人無検査製造も可能で生産性が優
れ、リサイクル適性及び廃棄適性を有する外観の優れた
安価な写真フィルム用容器を提供することを目的とす
る。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明の写真フィルム用
容器は、メルトフローレート(ASTM D 1238の
E条件)が30〜250g/10分、密度(ASTM D
1505)が0.941〜0.985g/cm3、分子量分
布(ゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより測
定した重量平均分子量/数平均分子量)が1.1〜5.0
のエチレンと、炭素原子数が4〜12のα−オレフィン
との共重合体樹脂であるエチレン・α−オレフィン共重
合体樹脂を主成分とするポリエチレン系樹脂組成物から
なることを特徴として構成されている。
【0010】本発明の写真フィルム用容器においては、
特定の物性を有するエチレン・α−オレフィン共重合体
樹脂を主成分とするポリエチレン系樹脂組成物を用いる
ことにより、透明性、低温での衝撃強度、熱劣化等を向
上させるとともに、ゲート残り、糸ヒキ、着色故障等が
発生しないようにした。
【0011】
【発明の実施の形態】エチレン.α−オレフィン共重合
体樹脂は、エチレン90〜99.99モル%とα−オレ
フィン0.01〜10モル%の割合が好ましく、エチレ
ン95〜99.99モル%とα−オレフィン0.01〜
5モル%の割合がより好ましく、エチレン99.7〜9
9.99モル%とαオレフィン0.01〜0.3モル%
が特に好ましく、エチレン99.9〜99.99モル%
とα−オレフィン0.01〜0.1モル%の割合が最も好
ましい。
【0012】エチレンの割合が90モル%未満である
と、剛性や透明性が不十分であり、本発明の特性を確保
することが困難である。また、重合製造も困難であり、
高価なαオレフィン量が多くなるので樹脂も高価にな
る。
【0013】エチレン・α−オレフィン共重合体樹脂の
MFR(ASTM D 1238のE条件の温度190
℃、荷重2.16kgで測定。)は、30〜250g/
10分であり、好ましくは40〜230g/10分、よ
り好ましくは50〜210g/10分、特に好ましくは
60〜200g/10分、最も好ましくは70〜190
g/10分である。
【0014】エチレン・α−オレフィン共重合体樹脂の
MFRが30g/10分未満であると、成形故障が多
く、無人・連続射出成形が困難であり、また、MFRが
250g/10分を超えると、物理強度低下、バリの発
生等で実用化困難である。
【0015】エチレン・α−オレフィン共重合体樹脂の
密度(ASTM D 1505で測定)は、0.941〜0.
985g/cm3であり、好ましくは0.943〜0.9
80g/cm3、より好ましくは0.945〜0.97
5g/cm3、特に好ましくは0.947〜0.970g
/cm3、最も好ましくは0.949〜0.965g/
cm3である。
【0016】エチレン・α−オレフィン共重合体樹脂の
密度が0.941g/cm3未満であると、剛性や耐摩擦
性が不足して実用化困難であり、また、0.985g/
cm3を超えると、製造困難で高価なために実用化困難
である。
【0017】エチレン・α−オレフィン共重合体樹脂の
分子量分布は、1.1〜5.0であり、好ましくは1.
3〜4.7、より好ましくは1.5〜4.4、特に好ま
しくは1.7〜4.1、最も好ましくは1.9〜3.8
である。
【0018】分子量分布は、ゲルパーミエーションクロ
マトグラフィー(以下GPCと表示)で測定した重量平均
分子量(以下Mwと表示)と数平均分子量(Mn)から
(Mw/Mn)で求めた。
【0019】分子量分布(Mw/Mn)はフィルム成形
性と物理強度の関係を判断する目安となるものであり、
物理強度や寸法安定製を重視する場合は分子量分布(M
w/Mn)が小さい(分子量分布が狭い)ポリエチレン
系樹脂を用いることが好ましく、フィルム成形性を重視
する場合は分子量分布(Mw/Mn)が大きい(分子量
分布が広い)ポリエチレン系樹脂を用いることが好まし
い。
【0020】エチレン・α−オレフィン共重合体樹脂の
分子量分布が1.1未満であると、重合製造が困難であ
り、また、樹脂の流動性が悪くショートショットやウェ
ルドライン等の成形故障が発生しやすくなる。また、分
子量分布が5.0を超えると、寸法精度が悪化し、12
ヶ以上のキャビティーを有する金型を用い成形サイクル
を10秒以下にすると、金型キャビティーの位置により
寸法が大きく変化し、密封・防湿性や嵌合強度のバラツ
キが大きくなり、規格外の寸法の容器が多発して実用化
困難である。
【0021】エチレン・α−オレフィン共重合体樹脂
は、従来の公知の重合製造方法で製造しても、シングル
サイト触媒の代表的な触媒であるメタロセン触媒を用い
て重合製造する方法で製造してもよい。
【0022】例えば、 酸素や過酸化物等のラジカル
開始剤を用い、温度150〜350℃、圧力1000〜
3500kg/cm2 の条件下でエチレンとα−オレフ
ィンを共重合させる高圧法、 チーグラー触媒(チタン
系)またはフィリップス触媒(クロム系)等を用い、温
度50〜250℃、圧力50〜250kg/cm2の条
件下でエチレンと少量のαオレフィンを共重合させる中
・低圧法、 メタロセン触媒(ジルコニウム、ハウニ
ウム、チタン、バナジウム等の化合物)を用い、高圧ま
たは中・低圧でエチレンと少量のαオレフィンを共重合
させる方法等。
【0023】本発明に用いる上記特性のエチレン・α−
オレフィン共重合体樹脂の重合製造方法としてはのメ
タロセン触媒を用いる方法が触媒残渣が少なく、高活性
である点で写真性、物性共に優れているので特に好まし
い。このメタロセン触媒を用いる重合方法については以
下に例示するような公報に開示されているが本発明はこ
れらに限定されるものではない。
【0024】特開昭58−19309号公報、特開昭6
0−862号公報、特開昭60−35006号公報、特
開昭60−35007号公報、特開昭60−35008
号公報、特開昭60−106008号公報、特開昭60
−137911号公報、特開昭61−31404号公
報、特開昭61−108610号公報、特開昭61−2
21207号公報、特開昭61−264010号公報、
特開昭61−296008号公報、特開昭63−610
10号公報、特開昭63−152608号公報、特開昭
63−178108号公報、特開昭63−222177
号公報、特開昭63−222178号公報、特開昭63
−222179号公報、特開昭63−264606号公
報、特開昭63−28070号公報、特昭表63−50
1369号公報、特昭表64−6003号公報、特昭表
64−45406号公報、特開昭64−74202号公
報、特開平1−12407号公報、特開平1−9511
0号公報、特開平1−101315号公報、特開平1−
129003号公報、特開平1−207248号公報、
特開平1−210404号公報、特開平1−25140
5号公報、特開平1−259004号公報、特開平1−
275609号公報、特開平1−301704号公報、
特開平1−319489号公報、特開平2−22307
号公報、特開平2−41303号公報、特開平2−17
3110号公報、特開平2−302410号公報、特開
平3−56508号公報、特開平3−62806号公
報、特開平3−66710号公報、特開平3−7070
8号公報、特開平3−70709号公報、特開平3−7
0710号公報、特開平3−74412号公報、特開平
4−8704号公報、特開平4−11604号公報、特
開平4−25514号公報、特開平4−213305号
公報、特開平5−310829号公報、特開平5−32
0242号公報、特開平6−228222号公報、特開
平9−40793号公報、アメリカ特許4,522,9
82号明細書、アメリカ特許4,530,914号明細
書等が挙げられる。
【0025】具体的に説明すると、本発明で好ましいエ
チレン・αオレフィン共重合体樹脂の重合方法について
は、メタロセン触媒存在下で重合が行われれば、いづれ
の方法を用いてもよく、例えば、高圧重合法における重
合は、重合体を溶液状態に維持し、かつ重合活性を高め
るために120℃以上、分子量低下の原因となる連鎖移
動反応を抑え、かつ重合活性を低下させないために30
0℃以下の温度で、500kgf/cm2G 以上の圧力
で行うのが好ましい。また、気相重合法における重合
は、共重合体が粉体状態であることから高温は好ましく
なく、100℃以下であることが必要であり、重合温度
の下限は特に限定されないが、重合活性を高めるために
50℃以上が好ましい。また、重合活性を高めるため
に、予めオレフィンにより予備重合せしめた触媒成分と
有機アルミニウム化合物およびイオン化イオン性化合物
を用いて行うのが好ましい。また、溶液重合法における
重合は、重合温度は、共重合体が溶液状態であることお
よび重合活性を上げることを考慮して、120℃以上で
あることが必要である。重合温度の上限は特に限定され
ないが、分子量低下の原因となる連鎖移動反応を抑え、
かつ触媒効率を低下させないために300℃以下が好ま
しい。また、重合時の圧力については特に限定されない
が、重合活性を上げるために大気圧以上が好ましい。
【0026】いずれの場合においても触媒残渣は写真感
光材料の写真性に悪影響を及ぼす上に、金型や押出し機
の樹脂接触部分に錆を発生させ寸法精度を悪化させたり
樹脂焼けやブツを発生させるので、少ない程本発明では
好ましい。
【0027】従って、写真性を良好に維持するためには
本発明の写真フィルム用容器中の残留ハロゲン成分量が
400ppm以下、好ましくは200ppm以下、より
好ましくは100ppm以下、特に好ましくは1〜80
ppm、最も好ましくは4〜60ppmである。
【0028】クロム、ジルコニウム、チタニウム、ハフ
ニウム、バナジウムのいずれか1種の残留量が200p
pm以下、好ましくは200ppm以下、より好ましく
は100ppm以下、特に好ましくは60ppm以下、
最も好ましくは40ppm以下である。
【0029】本発明におけるエチレン・α−オレフィン
共重合体樹脂は、シクロペンタジエニル骨格を有する配
位子を含む周期律表第IV族の遷移金属化合物と必要に
より助触媒、有機アルミニウム化合物、担体とを含む触
媒の存在下にエチレンおよび炭素数4〜12のα−オレ
フィンとを共重合させることにより得られる。また、上
記触媒に予めエチレンおよび/前記α−オレフィンを予
備重合させて得られるものを触媒に供してもよい。
【0030】上記α−オレフィンとしては、プロピレ
ン、ブテン−1、4−メチルペンテン−1、3−メチル
ペンテン−1、ヘキセン−1、ペンテン−1、オクテン
−1、ノネン−1、デセン−1、ウンデセン−1、ドデ
セン−1、トリデセン−1、テトラデセン−1、ペンタ
デセン−1、ヘキサデセン−1、ヘプタデセン−1、オ
クタデセン−1、ナノデセン−1、エイコセン−1など
が挙げられる。これらのうち1種または2種以上を共重
合に用いることができる。また、これらのα−オレフィ
ンの含有量は、通常50モル%以下、好ましくは35モ
ル%以下、より好ましくは1〜25モル%、最も好まし
くは0.01〜10モル%の範囲で選択される。
【0031】前記エチレン・α−オレフィン共重合体を
製造する触媒であるシクロペンタジエニル骨格を有する
配位子を含む周期律表第IV族の遷移金属化合物のシク
ロペンタジエニル骨格とは、シクロペンタジエニル基、
置換シクロペンタジエニル基等である。置換シクロペン
タジエニル基としては、炭素数1〜10の炭化水素基、
シリル基、シリル置換アルキル基、シリル置換アリール
基、シアノ基、シアノアルキル基、シアノアリール基、
ハロゲン基、ハロアルキル基、ハロシリル基等から選ば
れた少なくとも1種の置換基を有する置換シクロペンタ
ジエニル基等である。該置換シクロペンタジエニル基の
置換基は2個以上有していてもよく、また係る置換基同
志が互いに結合して環を形成してもよい。
【0032】上記炭素数1〜10の炭化水素基として
は、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アラ
ルキル基等が挙げられ、具体的には、メチル基、エチル
基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、
イソブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、ペン
チル基、ヘキシル基、オクチル基、2−エチルヘキシル
基、デシル基等のアルキル基;シクロペンチル基、シク
ロアルキル基等のシクロアルキル基;フェニル基、トリ
ル基等のアリール基;ベンジル基、ネオフィル基等が好
ましい。
【0033】置換シクロペンタジエニル基の好適なもの
としては、メチルシクロペンタジエニル基、エチルシク
ロペンタジエニル基、n−ヘキシルシクロペンタジエニ
ル基、1,3−ジメチルシクロペンタジエニル基、1,
3−n−ブチルメチルシクロペンタジエニル基、1,3
−n−プロピルメチルエチルシクロペンタジエニル基な
どが具体的に挙げられる。本発明の置換シクロペンタジ
エニル基としては、これらの中でも炭素数3以上のアル
キル基が置換したシクロペンタジエニル基が好ましく、
特に1,3−置換シクロペンタジエニル基が好ましい。
置換基同志すなわち炭化水素同志が互いに結合して1ま
たは2以上の環を形成する場合の置換シクロペンタジエ
ニル基としては、インデニル基、炭素数1〜8の炭化水
素基(アルキル基等)等の置換基により置換された置換
インデニル基、ナフチル基、炭素数1〜8の炭化水素基
(アルキル基等)等の置換基により置換された置換ナフ
チル基、炭素数1〜8の炭化水素基(アルキル基等)等
の置換基により置換された置換フルオレニル基等が好適
なものとして挙げられる。
【0034】前記シクロペンタジエニル骨格を有する配
位子を含む周期律表第IV族の遷移金属化合物の遷移金
属としては、ジルコニウム、チタン、ハフニウム等が挙
げられ、特にジルコニウムが好ましい。該遷移金属化合
物は、シクロペンタジエニル骨格を有する配位子として
は通常1〜3個を有し、また、2個以上有する場合は架
橋基により互いに結合していてもよい。なお、係る架橋
基としては炭素数1〜4のアルキレン基、アルキルシラ
ンジイル基、シランジイル基などが挙げられる。
【0035】周期律表第IV族の遷移金属化合物におい
てシクロペンタジエニル骨格を有する配位子以外の配位
子としては、代表的なものとして、水素、炭素数1〜2
0の炭化水素基(アルキル基、アルケニル基、アリール
基、アルキルアリール基、アラルキル基、ポリエニル基
等)、ハロゲン、メタアルキル基、メタアリール基など
が挙げられる。
【0036】これらの具体例としては以下のものがあ
る。ジアルキルメタロセンとして、ビス(シクロペンタ
ジエニル)チタニウムジメチル、ビス(シクロペンタジ
エニル)チタニウムジフェニル、ビス(シクロペンタジ
エニル)、ジルコニウムジメチル、ビス(シクロペンタ
ジエニル)ジルコニウムジフェニル、ビス(シクロペン
タジエニル)ハウニウムジメチル、ビス(シクロペンタ
ジエニル)ハウニウムジフェニルなどがある。モノアル
キルメタロセンとしては、ビス(シクロペンタジエニ
ル)チタニウムメチルクロライド、ビス(シクロペンタ
ジエニル)チタニウムフェニルクロライド、ビス(シク
ロペンタジエニル)ジルコニウムメチルクロライド、ビ
ス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムフェニルクロラ
イドなどがある。
【0037】またモノシクロペンタジエニルチタノセン
であるペンタメチルシクロペンタジエニルチタニウムト
リクロライド、ペンタエチルシクロペンタジエニルチタ
ニウムトリクロライド、ビス(ペンタメチルシクロペン
タジエニル)チタニウムジフェニルなどが挙げられる。
【0038】置換ビス(シクロペンタジエニル)チタニウ
ム化合物としては、ビス(インデニル)チタニウムジフ
ェニルまたはジクロライド、ビス(メチルシクロペンタ
ジエニル)チタニウムジフェニルまたはジクロライド、
ジアルキル、トリアルキル、テトラアルキルまたはペン
タアルキルシクロペンタジエニルチタニウム化合物とし
ては、ビス(1,2−ジメチルシクロペンタジエニル)
チタニウムジフェニルまたはジクロライド、ビス(1,
2−ジエチルシクロペンタジエニル)チタニウムジフェ
ニルまたはジクロライドまたは他のジハライド錯体;シ
リコン、アミンまたは炭素連結シクロペンタジエン錯体
としてはジメチルシリルジシクロペンタジエニルチタニ
ウムジフェニルまたはジクロライド、メチレンジシクロ
ペンタジエニルチタニウムジフェニルまたはジクロライ
ド、他のジハライド錯体が挙げられる。
【0039】ジルコノセン化合物としては、ペンタメチ
ルシクロペンタジエニルジルコニウムトリクロライド、
ペンタエチルシクロペンタジエニルジルコニウムトリク
ロライド、ビス(ペンタメチルシクロペンタジエニル)
ジルコニウムジフェニル;アルキル置換シクロペンタジ
エンとしては、ビス(エチルシクロペンタジエニル)ジ
ルコニウムジメチル、ビス(メチルシクロペンタジエニ
ル)ジルコニウムジメチル、ビス(n−ブチルシクロペ
ンタジエニル)ジルコニウムジメチル、それらのハロア
ルキルまたはジハライド錯体、ジアルキル、トリアルキ
ル、テトラアルキルまたはペンタアルキルシクロペンタ
ジエンとしてはビス(ペンタメチルシクロペンタジエニ
ル)ジルコニウムジメチル、ビス(1,2−ジメチルシ
クロペンタジエニル)ジルコニウムジメチル、およびそ
れらのジハライド錯体、シリコン、炭素連結シクロペン
タジエン錯体としては、ジメチルシリルジシクロペンタ
ジエニルジルコニウムジメチルまたはジハライド、メチ
レンジシクロペンタジエニルジルコニウムジメチルまた
はジハライド、メチレンジシクロペンタジエニルジルコ
ニウムジメチルまたはジハライドなどが挙げられる。
【0040】さらに他のメタロセンとしては、ビス(シ
クロペンタジエニル)ハフニウムジクロライド、ビス
(シクロペンタジエニル)ハフニウムジメチル、ビス
(シクロペンタジエニル)バナジウムジクロライドなど
が挙げられる。
【0041】本発明の他の周期律表第IV族の遷移金属
化合物の例として、下記一般式で示されるシクロペンタ
ジエニル骨格を有する配位子とそれ以外の配位子および
遷移金属原子が環を形成するものも挙げられる。
【0042】
【化1】
【0043】式中、Cpは前記シクロペンタジエニル骨
格を有する配位子、Xは水素、ハロゲン、炭素数1〜2
0のアルキル基、アリールシリル基、アリールオキシ
基、アルコキシ基、アミド基、シリルオキシ基等を表
し、Yは−O−、−S−、−NR−、−PR−またはO
R、SR、NR2、PR2からなる群から選ばれる2価中
性リガンド、ZはSiR2、CR2、SiR2SiR2、CR
2CR2、CR=CR、SiR2CR2、BR2、BRから
なる群から選ばれる2価基を示す。ただし、Rは水素ま
たは炭素数1〜20のアルキル基、アリール基、シリル
基、ハロゲン化アルキル基、ハロゲン化アリール基、ま
たはY、ZまたはYとZの双方からの2個またはそれ以
上のR基は縮合環系を形成するものである。Mは周期律
表第IV族の遷移金属原子を表す。
【0044】化1で表される化合物の例としては、(t
−ブチルアミド)(テトラメチルシクロペンタジエニ
ル)−1,2−エタンジイルジルコニウムジクロライ
ド、(t−ブチルアミド)(テトラメチルシクロペンタ
ジエニル)−1,2−エタンジイルチタンジクロライ
ド、(メチルアミド)(テトラメチルシクロペンタジエニ
ル)−1,2−エタンジイルジルコニウムジクロライ
ド、(メチルアミド)(テトラメチルシクロペンタジエニ
ル)−1,2−エタンジイルチタンジクロライド、(エ
チルアミド)(テトラメチルシクロペンタジエニル)メ
チレンチタンジクロライド、(t−ブチルアミド)ジメ
チル(テトラメチルシクロペンタジエニル)シランチタ
ンジクロライド、(t−ブチルアミド)ジメチル(テト
ラメチルシクロペンタジエニル)シランジルコニウムジ
ベンジル、(ベンジルアミド)ジメチル(テトラメチルシ
クロペンタジエニル)シランチタンジクロライド、(フ
ェニルホスフィド)ジメチル(テトラメチルシクロペン
タジエニル)シランチタンジクロライドなどが挙げられ
る。
【0045】本発明でいう助触媒としては、前記周期律
表第IV族の遷移金属化合物を重合触媒として有効にな
しうる、または触媒的に活性化された状態のイオン性電
荷を均衡させうるものをいう。本発明において用いられ
る助触媒としては、有機アルミニウムオキシ化合物のベ
ンゼン可溶のアルミノキサンやベンゼン不溶の有機アル
ミニウムオキシ化合物、ホウ素化合物、酸化ランタンな
どのランタノイド塩、酸化スズ等が挙げられる。これら
の中でもアルミノキサンが最も好ましい。
【0046】また、触媒は無機または有機の担体に担持
して使用されてもよい。該担体としては無機または有機
の多孔質酸化物が好ましく、具体的にはSiO2、Al2
3、MgO、ZrO2、TiO2、B23、CaO、Zn
O、BaO、ThO2等またはこれらの混合物が挙げら
れ、SiO2−Al23、SiO2−V23、SiO2
TiO2、SiO2−MgO、SiO2−Cr23等が挙
げられる。
【0047】有機アルミニウム化合物として、トリエチ
ルアルミニウム、トリイソプロピルアルミニウム等のト
リアルキルアルミニウム;ジアルキルアルミニウムハラ
イド;アルキルアルミニウムセスキハライド;アルキル
アルミニウムジハライド;アルキルアルミニウムハイド
ライド、有機アルミニウムアルコキサイド等が挙げられ
る。
【0048】エチレン・α−オレフィン共重合体は、前
記触媒の存在下、実質的に溶媒の存在しない気相重合
法、スラリー重合法、溶液重合法等で製造され、実質的
に酸素、水等を断った状態で、ブタン、ペンタン、ヘキ
サン、ヘブタン等の脂肪族炭化水素、ベンゼン、トルエ
ン、キシレン等の芳香族炭化水素、シクロヘキサン、メ
チルシクロヘキサン等の脂環族炭化水素等に例示される
不活性炭化水素溶媒の存在下で製造される。重合条件は
特に限定されないが、重合温度は通常15〜350℃、
好ましくは20〜200℃、さらに好ましくは50〜1
10℃であり、重合圧力は低中圧法の場合通常常圧〜7
0kg/cm2G 、好ましくは常圧〜20kg/cm2
Gであり、高圧法の場合通常1500kg/cm2G以
下が望ましい。重合時間は低中圧法の場合通常3分〜1
0時間、好ましくは5分〜5時間程度が望ましい。高圧
法の場合、通常1分〜30分、好ましくは2分〜20分
程度が望ましい。また、重合は一段重合法はもちろん、
水素濃度、モノマー濃度、重合圧力、重合温度、触媒等
の重合条件が互いに異なる2段階以上の多段重合法など
特に限定されるものではない。
【0049】その他の最も好ましい具体例としては、各
種のメタロセン触媒存在下、最も好ましくは上記特定メ
タロセン触媒存在下、エチレンと炭素数4〜12のα−
オレフィンを共重合して得られる樹脂をエチレン・α−
オレフィン共重合体1kgあたり、(a)30〜150℃
の空気または不活性ガスによって、0.03〜3m3/h
rの流量で0.5〜72時間乾燥、および/または(b)
30℃以上エチレン・α−オレフィン共重合体の融点未
満の熱水で、0.001〜0.5m3/hrの流量の空
気または不活性ガスを導入して、0.5〜30時間浸漬
し、ヘッドスペースガスクロマトグラフィーによって測
定した炭素数12以下の揮発成分の総量(ノルマルヘキ
サン換算)の乾燥前/乾燥後の値(Q)を200以上にす
るエチレン・α−オレフィン共重合体の製造方法であ
る。
【0050】ポリエチレン系樹脂組成物に滑剤を添加す
ることにより、樹脂の分散性を向上させ、スクリューモ
ーター負荷を小さくしてメルトフラクチャーの発生を防
止し、加熱状態での成形材料の摩擦係数を小さくし、金
型との離型性を良化し、射出成形サイクルを短縮し、金
型やスクリューの錆の発生を防止する。最も大きな効果
は、成形故障が発生しなくなり連続無人成形が可能にな
り、成形サイクルの短縮も加わり大きなコストダウンが
達成できる。
【0051】ポリエチレン系樹脂組成物への滑剤添加量
は、0.01〜5重量%であり、好ましくは0.02〜
4重量%、より好ましくは0.03〜3重量%、特に好
ましくは0.04〜2重量%、最も好ましくは0.05
〜1重量%である。
【0052】滑剤の添加量が0.01重量%未満である
と、添加効果がほとんどなく混練費増となるだけであ
る。また、添加量が5重量%を超えると、押し出し機の
スクリューとのスリップ発生が多くなり、樹脂の均一量
の供給ができなくなり成形故障が多発し製造が困難であ
る。さらに、経時するとブリードアウトや発煙が多くな
り、写真感光材料の感光層に付着して現像阻害等の故障
を発生させるので実用化困難である。
【0053】市販の代表的滑剤名と製造メーカー名を以
下に記載する。 (1) 脂肪酸アミド系滑剤; 〔飽和脂肪酸アミド系滑剤〕 ベヘニン酸アミド系滑剤;ダイヤミッドKN(日本
化成)等 ステアリン酸アミド系滑剤;アーマイドHT(ライ
オン油脂)、アルフローS−10(日本油脂)、脂肪酸
アマイドS(花王)、ダイヤミッド200(日本化
成)、ダイヤミッドAP−1(日本化成)、アマイドS
・アマイドT(日東化学)、ニュートロン−2(日本精
化)等
【0054】〔ヒドロキシステアリン酸アミド系滑剤〕 パルミチン酸アミド系滑剤;ニュートロンS−18
(日本精化)、アマイドP(日東化学)等 ラウリン酸アミド系滑剤;アーマイドC(ライオン
・アクゾ)、ダイヤミッド(日本化成)等
【0055】〔不飽和脂肪酸アミド系滑剤〕 エルカ酸アミド系滑剤;アルフローP−10(日本
油脂)、ニュートロン−S(日本精化)、LUBROL
(I・C・I)、ダイヤミッドL−200(日本化成)
等 オレイン酸アミド系滑剤;アーモスリップCP(ラ
イオン・アクゾ)、ニュートロン(日本精化)、ニュー
トロンE−18(日本精化)、アマイドO(日東化学)、ダ
イヤミッドO−200・ダイヤミッドG−200(日本
化成)、アルフローE−10(日本油脂)、脂肪酸アマ
イドO(花王)等
【0056】〔ビス脂肪酸アミド系滑剤〕 メチレンビスベヘニン酸アミド系滑剤;ダイヤミッ
ドNKビス(日本化成)等 メチレンビスステアリン酸アミド系滑剤;ダイヤミ
ッド200ビス(日本化成)、アーモワックス(ライオン
・アクゾ)、ビスアマイド(日東化学)等 メチレンビスオレイン酸アミド系滑剤;ルブロンO
(日本化成)等 エチレンビスステアリン酸アミド系滑剤;アーモス
リップEBS(ライオン・アクゾ)等 ヘキサメチレンビスステアリン酸アミド系滑剤;ア
マイド65(川研ファインケミカル)等 ヘキサメチレンビスオレイン酸アミド系滑剤;アマ
イド60(川研ファインケミカル)等
【0057】(2) 非イオン界面活性剤系滑剤;エレク
トロストリッパ−TS−2、エレクトロストリッパ−T
S−3(花王石鹸)等
【0058】(3) 炭化水素系滑剤;流動パラフィン、
天然パラフィン、マイクロワックス、イソパラフィン系
合成石油炭化水素、合成パラフィン、ポリエチレンワッ
クス(数平均分子量が10,000以下、好ましくは
8,000以下、特に6,000以下が好ましい。)、ポ
リプロピレンワックス(数平均分子量が10,000以
下、好ましくは8,000以下、特に6,000以下が
好ましい。)、塩素化炭化水素、フルオロカルボン等
【0059】(4) 脂肪酸系滑剤;高級脂肪酸(C12
〜35が好ましい、具体的にはカプロン酸、ステアリン
酸、オレイン酸、エルカ酸、パルミチン酸等)、オキシ
脂肪酸等
【0060】(5) エステル系滑剤;脂肪酸の低級アル
コールエステル、脂肪酸の多価アルコールエステル、脂
肪酸のポリグリコールエステル、脂肪酸の脂肪アルコー
ルエステル等
【0061】(6) アルコール系滑剤;多価アルコー
ル、ポリグリコール、ポリグリセロール等
【0062】(7) 脂肪酸金属塩系滑剤(金属石け
ん);ラウリン酸、ステアリン酸、コハク酸、ステアリ
ル乳酸、乳酸、フタル酸、安息香酸、ヒドロキシステア
リン酸、リシノール酸、ナフテン酸、オレイン酸、パル
ミチン酸、エルカ酸等の高級脂肪酸とLi、Na、M
g、Ca、Sr、Ba、Zn、Cd、Al、Sn、P
b、Cd、等の金属との化合物が挙げられ、好ましいも
のはステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウ
ム、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸亜鉛、オレ
イン酸カルシウム、オレイン酸亜鉛、オレイン酸マグネ
シウム等である。
【0063】(8) モンタン酸エステル部分鹸化物;
【0064】(9) シリコーン系滑剤;各種グレードの
ジメチルポリシロキサン及びその変性物(信越シリコー
ン、東レシリコーン)、特に各種シリコーンオイルが樹
脂流動性向上、滑性向上等の効果を発揮させるだけでな
く、遮光性物質と併用すると遮光性物質の分散性向上、
熱可塑性樹脂を白濁させヘイズ(ASTM D−100
3)を大きくさせる結果、着色力向上、遮光性向上等予
想外の効果を発揮するので好ましい。
【0065】上記シリコーンオイルは、常温における粘
度が50〜100,000センチストークスの範囲のも
のが好ましく、更に好ましくは5,000〜30,000
センチストークス、最も好ましくは8,000〜25,0
00センチストークスの高粘度のものがよい。シリコー
ン及びシリコーン変性物の具体例としては、ポリメチル
フェニルシロキサン、オレフィン変性シリコーン、アミ
ド変性シリコーン、ポリジメチルシロキサン、アミノ変
性シリコーン、カルボキシル変性シリコーン、αメチル
スチレン変性シリコーン、ポリエチレングリコールやポ
リプロピレングリコールで変性したポリエーテル変性シ
リコーン、オレフィン/ポリエーテル変性シリコーン、
エポキシ変性シリコーン、アミノ変性シリコーン、アル
コール変性シリコーン等変性されたシロキサン結合を含
有したシリコーンオイルである。該シリコーンオイル
中、写真感光材料に悪影響を与えることが少なく、滑性
効果の大きい、特に写真感光材料用射出成形品に適用し
た場合に好ましいものはオレフィン変性シリコーン、ア
ミド変性シリコーン、ポリジメチルシロキサン、ポリエ
ーテル変性シリコーン、オレフィン/ポリエーテル変性
シリコーンである。
【0066】シリコーンオイル添加の効果は、以下の通
りである。 (1) 繊維状フィラー(充填材)、非繊維状フィラー、
遮光性物質、顔料と併用するだけでこれらの表面を被覆
して分散性を向上させる。 (2) 樹脂の流動性を向上し、スクリューのモーター負
荷を小さくし、メルトフラクチャー発生を防止する。 (3) ブリードアウトして白粉状になる脂肪酸アミドを
添加しなくとも滑性を十分確保できる。 (4) 加熱状態でも射出成形品の摩擦係数を小さくす
る。 (5) 遮光性物質と併用すると、熱可塑性樹脂を白濁さ
せ、ヘイズを大きくする結果、着色力を向上させ遮光能
力を向上でき、物性を低下させる遮光性物質の添加量を
減量しても遮光性を確保できる。
【0067】以上のような滑剤の中では、滑性向上目的
としては、各種飽和脂肪酸アミド系滑剤と各種不飽和脂
肪酸アミド系滑剤とシリコーン系滑剤が好ましく、遮光
性物質及び繊維状又は非繊維状フィラーやハイドロタル
サイト類化合物等の分散性向上、表面被覆による上記遮
光性物質等の分散性向上と吸湿性低下効果付与、樹脂流
動性向上目的としてはエステル系滑剤、脂肪酸金属塩、
アルコール系滑剤、炭化水素系滑剤、脂肪酸系滑剤が好
ましく、脂肪酸金属塩の中で、写真感光材料の写真性に
悪影響を及ぼすハロゲン化合物や金属化合物(重合触媒
も含む)を中和し、写真感光材料の写真性に無害なもの
にするので、ステアリル乳酸カルシウム、ステアリン酸
カルシウム、ステアリン酸マグネシウム及びステアリン
酸亜鉛が好ましく、特にステアリン酸マグネシウムとス
テアリン酸亜鉛が好ましい。
【0068】触媒を使用して重合する熱可塑性樹脂の場
合は樹脂中に触媒残渣が存在し写真感光材料の写真性に
悪影響を及ぼし成形金型に錆を発生させるので、脂肪酸
金属塩系滑剤(金属石けん)を0.001〜15重量
%、好ましくは0.003〜10重量%、特に好ましく
は0.005〜5重量%添加することが必要である。
【0069】ポリエチレン系樹脂組成物に酸化防止剤を
添加することにより、樹脂の熱劣化を防止して樹脂ヤケ
故障の発生による斑点状の着色を防止することができ、
ブツ(異物状の固まり)の発生を防止できるのでノズル
詰まりを防止可能になり、連続無人成形が可能になっ
た。さらに樹脂や添加剤の熱分解により発生するアルデ
ヒド化合物やシアン化合物等の発生が防止可能になり写
真フィルムの写真性を長期間(約2年)良好に維持でき
る。アルデヒド化合物やシアン化合物の量は、50PP
M以下が好ましく、20PPM以下がより好ましく、1
0PPM以下が特に好ましく、5PPM以下が最も好ま
しい。
【0070】ポリエチレン系樹脂組成物への酸化防止剤
の添加量は、0.001〜1重量%であり、好ましくは
0.005〜0.8重量%、より好ましくは0.01〜
0.6重量%、特に好ましくは0.02〜0.5重量%、
最も好ましくは0.03〜0.4重量%である。
【0071】ポリエチレン系樹脂組成物への酸化防止剤
の添加量が0.001重量%未満であると、添加した効
果がなく混練費用増となるだけである。また、添加量が
1重量%を超えると、作用・効果の小さい酸化防止剤で
あっても、酸化・還元作用を利用する写真感光材料の写
真性に悪影響を及ぼすとともに射出成形品表面にブリー
ドアウトして外観を悪化させる。
【0072】本発明に使用される酸化防止剤の代表例を
以下に示す。 (イ) フェノール系酸化防止剤(tはtertの略号で
ある) ビタミンE(トコフェロール)、6−t−ブチル−3−
メチルフェニール誘導体、2・6−ジ−t−ブチル−P
−クレゾール、2・6−ジ−t−ブチル−フェノール、
2・6−ジ−t−ブチル−α−ジメチルアミノ−p−ク
レゾール、2・6−ジ−t−ブチル−p−エチルフェノ
ール、2・2'−メチレンビス−(4−エチル−6−t−
ブチルフェノール)、4・4'−ブチリデンビス(6−t
−ブチル−m−クレゾール)、4・4'−チオビス(6−
t−ブチル−m−クレゾール)、4・4−ジヒドロキシ
ジフェニルシクロヘキサン、ブチル化ヒドロキシアニソ
ール、アルキル化ビスフェノール、スチレン化フェノー
ル、2・6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール、
2・6−ジ−t−ブチル−4−エチルフェノール、n−
オクタデシル−3−(3'・5'−ジ−t−ブチル−4’
−ヒドロキシフェニル)プロピネート、2・2'−メチ
レンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、
4・4'−チオビス(3−メチル−6−t−ブチルフェニ
ール)、4・4'−ブチリデンビス(3−メチル−6−t
−ブチルフェノール)、4・4'−チオビス(3−メチ
ル−6−t−ブチルフェノール)、ステアリル−β(3
・5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロ
ピオネート、1・1・3−トリス(2−メチル−4ヒド
ロキシ−5−t−ブチルフェニル)ブタン、1・3・5
トリメチル−2・4・6−トリス(3・5−ジ−t−ブ
チル−4ヒドロキシベンジル)ベンゼン、テトラキス
〔メチレン−3(3・5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロ
キシフェニル)プロピオネート〕タン等
【0073】(ロ) ケトンアミン縮合系酸化防止剤 6−エトキシ−2・2・4−トリメチル−1・2−ジヒ
ドロキノリン、2・2・4−トリメチル−1・2−ジヒ
ドロキノリンの重合物、トリメチルジヒドロキノリン誘
導体等
【0074】(ハ) アリルアミン系酸化防止剤 フェニル−α−ナフチルアミン、N−フェニル−β−ナ
フチルアミン、N−フェニル−N'−イソピロピル−P
−フェニレンジアミン、N・N'−ジフェニル−P−フ
ェニレンジアミン、N・N’−ジ−β−ナフチル−P−
フェニレンジアミン、N−(3'−ヒドロキシブチリデ
ン)−1−ナフチルミン等
【0075】(ニ) イミダゾール系酸化防止剤 2−メルカプトベンゾイミダゾール、2−メルカプトベ
ンゾイミダゾールの亜鉛塩、2−メルカプトメチルベン
ゾイミダゾール等
【0076】(ホ) リン系酸化防止剤 アルキル化アリルホスファイト、トリス(モノ及び/又
はジノニルフェニル)ホスファイト、サイクリックネオ
ペンタンテトライルビス(2・6−ジ−t−ブチル−4
−メチルフェニル)ホスファイト、ジフェニルイソデシ
ルフォスファイト、トリス(ノニルフェニル)ホスファ
イト亜リン酸ソーダ、トリス(ノニルフェニル)フォス
ファイト、2・2−メチレンビス(4・6−ジ−t−ブ
チルフェニル)オクチルホスファイト、トリス(2・4
−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト、トリフェニ
ルフォスファイト等
【0077】(ヘ) チオ尿素系酸化防止剤 チオ尿素誘導体、1・3−ビス(ジメチルアミノプロピ
ル)−2−チオ尿素等
【0078】(ト) その他空気酸化に有用な酸化防止剤 チオジプロピオン酸ジラウリル等
【0079】本発明に最も好ましいヒンダードフェノー
ル系酸化防止剤の代表例を以下に示す。
【0080】1,3,5−トリメチル2,4,6−トリス
(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジ
ル)ベンゼン、テトラキス〔メチレン−3−(3'・5'
−ジ−tert−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)
プロピオネート〕メタン、オクタデシル−3,5−ジ−
tert−ブチル−4−ヒドロキシ−ヒドロシンナメー
ト、2,2',2'−トリス〔(3,5−ジ−tert−ブチ
ル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ〕エ
チルイソシアヌレート、1,3,5−トリス(4−ter
t−ブチル−3−ヒドロキシ−2,6−ジ−メチルベン
ジル〕イソシアヌレート、テトラキス(2,4−ジ−t
ert−ブチルフェニル)4,4'−ビフェニレンジ亜リ
ン酸エステル、4,4'−チオビス−(6−tert−ブ
チル−O−クレゾール)、2,2'−チオビス−(6−t
ert−ブチル−4−メチルフェノール)、トリス−
(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−tert−ブチル
フェニル)ブタン、2,2'−メチレン−ビス−(4−メ
チル−6−tert−ブチルフェノール)、4,4'−メ
チレン−ビス−(2,6−ジ−tert−ブチルフェノ
ール)、4,4'−ブチリデンビス−(3−メチル−6−
tert−ブチルフェノール)、2,6−ジ−tert
−ブチル−4−メチルフェノール、4−ヒドロキシ・メ
チル−2,6−ジ−tert−ブチルフェノール、2,6
−ジ−tert−4−n−ブチルフェノール、2,6−
ビス(2'−ハイドロキシ−3'−tert−ブチル−
5'−メチルペンジル)−4−メチルフェノール、4,
4'−メチレン−ビス−(6−tert−ブチル−O−
クレゾール)、4,4’−ブチリデン−ビス(6−te
rt−ブチル−m−クレゾール)、3・9−ビス{1・
1−ジメチル−2−〔β−(3−t−ブチル−4−ヒド
ロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ〕エ
チル}2,4・8,10−テトラオキサスピロ〔5,
5〕ウンデカンなどがあげられる。これらの中でも融点
が100℃以上、好ましくは110℃以上、特に好まし
くは120℃以上、最も好ましくは130℃以上の酸化
防止剤である。また、フェノール系酸化防止剤と燐系酸
化防止剤と併用することが効果的である。
【0081】上記ビタミンE(トコフェロール)は、酸
化防止作用の他に、カーボンブラック等の遮光性物質と
併用すると遮光能力をカーボンブラック等の遮光性物質
単独添加の場合より向上させ、かつ、分散性も向上させ
るので遮光性物質の添加量を10%以上減少させても同
等の遮光性を有する成形品を得ることができるので、物
理強度向上、外観向上、材料費削減等各種の効果が発揮
されるので好ましい。
【0082】代表的な市販酸化防止剤を以下に示す。 (1) フェノール系酸化防止剤;SUMILIZER
BHT(住友)、YOSHINOX BHT(吉富)、
IRGANOX 1076(チバガイギー)、MARK
AO−50(アデカ・アーガス)、SUMILIZER
BP−76(住友)、TOMINOX SS(吉富)、
IRGANOX 565(チバガイギー)、NONOX
WSP(ICI)、SANTONOX(Monsant
o)、SUMILIZER WX R(住友)、ANTAG
ECRYSTAL(川口)、IRGANOX 1035
(チバガイギー)、ANTAGE W−400(川口)、
NOCLIZER NS−6(大内新興)、IRGANO
X 1425 WL(チバガイギー)、MARK AO−
80(アデカ・アーガス)、SUMILIZER GA−
80(住友)、TOPANOL CA(ICI)、MA
RK AO−30(アデカ・アーガス)、MARK AO
−20(アデカ・アーガス)、IRGANOX 311
4(チバガイギー)、MARKAO−330(アデカ・
アーガス)、IRGANOX 1330(チバガイギ
ー)、CYANOX 1790(ACC)、IRGAN
OX 1010(チバガイギー)、MARK AO−60
(アデカ・アーガス)、SUMILIZER BP−1
01(住友)、TOMINOX TT(吉富)等
【0083】(2) リン系酸化防止剤;IRGAFOS
168(チバガイギー)、MARK 2112(アデカ
・アーガス)、WESTON 618(ボルグワーナ
ー)、MARK PEP−8(アデカ・アーガス)、UL
TRANOX 626(ボルグ・ワーナー)、MARK P
EP−24G(アデカ・アーガス)、MARK PEP
−36(アデカ・アーガス)、HCA(三光)等
【0084】(3) チオエーテル系酸化防止剤;DLT
DP "YOSHITOMI"(吉富)、SUMILIZE
R TPL(住友)、ANTIOX L(日油)、DM
TD "YOSHITOMI”(吉富)、SUMILIZ
ER TPM(住友)、ANTIOX M(日油)、D
STP“YOSHITOMI”(吉富)、SUMILI
ZER TPS(住友)、ANTIOX S(日油)、S
EENOX 412S(シプロ)、MARK AO−412
S(アデカ・アーガス)、SUMILIZER TP−
D(住友)、MARK AO−23(アデカ・アーガス)、
SANDSTAB P−EPQ(サンド)、IRGAFO
S P−EPQ FF(チバガイギー)、IRGANOX
1222(チバガイギー)、MARK 329K(アデ
カ・アーガス)、WESTON 399(ボルグ・ワー
ナー)、MARK 260(アデカ・アーガス)、MAR
K 522A(アデカ・アーガス)等
【0085】(4) 金属不活性化剤 NAUGARD XL−1(ユニロイヤル)、MARK
CDA−1(アデカ・アーガス)、MARK CDA−
6(アデカ・アーガス)、LRGANOX MD−10
24(チバガイギー)、CUNOX(三井東圧)等
【0086】酸化防止剤は写真フィルムの写真性に悪影
響を及ぼす有害物質の一種であり、樹脂や添加剤が熱分
解して酸化防止剤よりもっと写真性に悪影響を及ぼす物
質(例えばアルデヒド化合物やシアン化合物等)の発生
を防止する働きをするので、写真フィルムの写真性に悪
影響を及ぼす程度が小さく且つ樹脂や添加剤の熱分解を
防止する働きを有するフェノール系酸化防止剤とリン系
酸化防止剤が好ましい。
【0087】本発明では必要最少量配合することが好ま
しい。透明性向上及び写真性悪化防止の点からリン系酸
化防止剤が最も好ましい。フェノール系酸化防止剤とし
ては着色しにくく、耐熱性を有するヒンダードフェノー
ル系酸化防止剤が好ましい。黒色や茶色等に着色した写
真フィルムパトローネ用容器本体の場合は、光により着
色し、着色濃度を向上できるフェノール系酸化防止剤が
好ましい。
【0088】特に、遊離基連鎖停止剤の代表例である融
点が100℃以上、好ましくは110℃以上、特に好ま
しくは120℃以上、最も好ましくは130℃以上の前
記ヒンダードフェノール系酸化防止剤の少なくとも1種
と、過酸化物分解剤であるリン系酸化防止剤の少なくと
も1種とを併用して用いることが写真感光材料の写真性
をあまり悪化させずに樹脂や添加剤の熱劣化防止効果を
高めることができるので好ましい。
【0089】本発明の酸化防止剤の中で好ましいリン系
酸化防止剤の一つである有機環状燐化合物の代表的一般
式を以下に記載する。
【0090】
【化2】 {式中、R1は第三ブチル基または第三アミル基を示
し、R2は炭素原子数1〜9のアルキル基を示し、R3
水素原子または炭素原子数1〜4のアルキル基を示し、
4は炭素原子数1〜30のアルキル基または炭素原子
数6〜15のアリール基を示す。}
【0091】
【化3】 {式中、R1は第三ブチル基または第三アミル基を示
し、R2は炭素原子数1〜9のアルキル基を示し、R3
水素原子または炭素原子数1〜4のアルキル基を示し、
4は炭素原子数1〜30のアルキル基または炭素原子
数6〜15のアリール基を示す。}
【0092】
【化4】 {式中、R2は炭素原子数1〜9のアルキル基を示し、
3は水素原子または炭素原子数1〜4のアルキル基を
示し、Mはアルカリ金属を示す。}
【0093】
【化5】 {式中、R3 は水素原子または炭素原子数1〜4のアル
キル基を示し、R5 及びR6 はそれぞれ水素原子、炭素
原子数1〜12のアルキル基、シクロアルキル基、アリ
ール基またはアラルキル基を示し、Xは−OH基または
−O- NH4 +を示す。}
【0094】ポリエチレン系樹脂組成物へハイドロタル
サイト類化合物を配合することにより、酸化防止剤、特
に有機造核剤(代表例はベンジリデンソルビトール化合
物)とリン系酸化防止剤を併用した時に発生する酸化防
止剤の分解(写真フィルムの写真性を悪化)を防止し、
写真性を良好にする。また、触媒残渣と反応して写真フ
ィルムの写真性に悪影響を及ぼさなくする予想外の効果
を発揮する。
【0095】ポリエチレン系樹脂組成物へのハイドロタ
ルサイト類化合物の添加量は0.01〜2重量%であ
り、好ましくは0.02〜1.8重量%、より好ましく
は0.03〜1.6重量%、特に好ましくは0.04〜
1.4重量%、最も好ましくは0.05〜1.2重量%
である。
【0096】ハイドロタルサイト類化合物が0.01重
量%未満であると、配合効果がなく経費増となるだけで
あり、また、2重量を越えると、増量効果がなく材料費
増となるだけであり、また、透明性を悪化させる。
【0097】ハイドロタルサイト類化合物は、一般式が Mxy(OH)2x+3y-2z(A)z・aH2O {MはMg、Ca又はZn、RはAl又はCr又はF
e、AはCO3又はHPO4、x、y、z、aは正数}で
示される複塩である。
【0098】具体例の代表例を示すと、Mg6Al2(O
H)16CO3・4H2O、Mg8Al2(OH)20CO3・5
2O、Mg5Al2(OH)14CO3・4H2O、Mg10
Al2(OH)22(CO32・4H2O、Mg6Al2(O
H)16HPO4・4H2O、Ca6Al2(OH)16CO3
4H2O、Zn6Al2(OH)16CO3・4H2O、Mg
4.5Al2(OH)13CO3・3.5H2O等がある。
【0099】または一般式が M(1-x)・Alx・(OH)2・Xx/n・mH2O {ただし式中、Mはアルカリ土類金属およびZnを示
す。Xはn価のアニオンを示す。
【0100】そして、xおよびm,nは下記式の条件を
満足する。 0<x<0.5 0≦m≦ 2 } n=1〜4の整数で表わされる屈折率(Larsenの
油浸法で測定)が1.40〜1.60、好ましくは1.
45〜1.55の範囲であるハイドロタルサイト類化合
物である。
【0101】上記式においてXで表わされるn価のアニ
オンの例としては、Cl-、Br-、I-、NO3 -、Cl
4 -、SO4 2-、CO3 2-、SiO3 2-、HPO4 2-、HB
3 2-、PO4 3-、Fe(CN)4 4-、Fe(CN)4 4-
CH3COC-、C64(OH)COO-、である。
【0102】好ましい具体例を以下に示す。 Mg0.7Al0.3(OH)2(CO3) 0.15・0.54H2
O Mg0.67Al0.33(OH)2(CO3) 0.165・0.5H2
O Mg0.67Al0.33(OH)2(CO3) 0.165・0.2H2
O Mg0.6Al0.4(OH)2(CO3) 0.2・0.42H2O Mg0.75Al0.25(OH)2(CO3) 0.125・0.63
2O Mg0.83Al0.17(OH)2(CO3) 0.085・0.4H2
O 等
【0103】これらのハイドロタルサイト類化合物は、
天然物であっても、合成品であってもよい。これらのハ
イドロタルサイト類化合物は、マグネシウム、アルミニ
ウム等を主成分としており、写真感光材料の写真性に悪
影響を及ぼしたり、成形機に用いられている金属の発錆
の原因と考えられる塩素イオン等のハロゲン化イオンを
吸着中和して無害化する能力に優れている。さらに熱可
塑性樹脂中のモノマーや各種添加剤中の揮発性物質等写
真性に悪影響を及ぼす物質を吸着固定するものと推定さ
れる。さらに熱可塑性樹脂や添加剤の熱劣化や熱分解を
防止するのに添加する燐系酸化防止剤が熱分解した時に
発生する写真感光材料の写真性に悪影響を及ぼす亜燐酸
を中和して写真性を良化(カブリを減少)する予想外の
効果を発揮することも今回判明した。ハイドロタルサイ
ト類化合物の具体的な合成方法としては、特公昭46−
2280号公報及び特公昭50−30039号公報等に
開示されている公知の方法も使用できる。
【0104】ハイドロタルサイト類化合物の天然品とし
ては、ハイドロタルク石、スチヒタイト、パイロオーラ
イト等がある。これらのハイドロタルサイト類化合物は
単独で使用しても、2種以上混合して使用してもよい。
特に後述する各種酸化防止剤や各種脂肪酸金属塩と併用
することが好ましい。加工性、分散性、物性等を特に向
上させるためには平均2次粒子径が20μm以下、好ま
しくは10μm以下、特に好ましくは5μm以下、BE
T比表面積が50m2/g以下、好ましくは40m2/g
以下、特に30m2/g以下が好ましい。
【0105】本発明においてハイドロタルサイト類化合
物は表面被覆物質で処理して利用するのが好ましい。表
面被覆する事により、樹脂に対する分散性ないし親和性
が一層向上し、フィルム加工適性、物理強度等も向上す
る。
【0106】このような表面被覆物質の例としては、前
述の遮光性物質の表面被覆物質(1)〜(20)等を用いるこ
とが出来るが、特に好ましいのは、例えば、ラウリル酸
ソーダ、ラウリル酸カリウム、オレイン酸ソーダ、オレ
イン酸カリウム、オレイン酸カルシウム、ステアリン酸
マグネシウム、ステアリン酸ソーダ、ステアリン酸亜
鉛、ステアリン酸カリウム、パルミチン酸ソーダ、パル
ミチン酸カリウム、カプリン酸ソーダ、カプリン酸カリ
ウム、ミリスチン酸ソーダ、ミリスチン酸カリウム、リ
ノール酸ソーダ、リノール酸カリウムなどのような高級
脂肪酸の金属塩類;ラウリル酸、パルミチン酸、オレイ
ン酸、ステアリン酸、カプリン酸、ミリスチン酸、リノ
ール酸などの如き高級脂肪酸類;ドデシルベンゼンスル
ホン酸カルシウム、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリ
ウム等の有機スルホン酸金属塩類;イソプロピルトリイ
ソステアロイルチタネート、イソプロピルトリス(ジオ
クチルパイロホスフェート)チタネート、テトライソプ
ロピルビス(ジオクチルホスファイト)チタネート、ビ
ニルトリエトキシシラン、ガンマメタクリルオキシプロ
ピルトリメトキシシラン、ガンマグリシドオキシプロピ
ルトリメトキシシランなどのようなカップリング剤類、
高級脂肪酸アミド類、高級脂肪酸エステル類、シリコー
ン類、ワックス類の各種滑剤などを例示することができ
る。
【0107】これら表面被覆物質による表面被覆は、た
とえば、温水にハイドロタルサイト類化合物を懸濁した
状態のところに、攪拌下に、高級脂肪酸のアルカリ金属
塩の水溶液を加える事により、或いは、ハイドロタルサ
イト類化合物粉末をヘンシェルミキサー等の混合機によ
り攪拌下、高級脂肪酸の融液とか、カップリング剤の希
釈液を滴下することにより行うことができる。これら表
面被覆物質の量は適宜に選択変更できるが、ハイドロタ
ルサイト類化合物100重量部に対して、約0.01〜
50重量部、好ましくは0.05〜35重量部、特に好
ましくは0.1〜20重量部、最も好ましくは0.5〜
10重量部である。
【0108】さらに上記のハイドロタルサイト類化合物
中に本発明の主旨を損なわない限りは少量の他の金属酸
化物等の不純物を含んでもよい。
【0109】さらにハイドロタルサイト類化合物の分散
をより良好にするために例えば高級脂肪酸や脂肪酸アミ
ド系滑剤やシリコーンオイルやソルビタンモノステアレ
ートのようなソルビタン脂肪酸エステルやグリセリンモ
ノステアレートのようなグリセリン脂肪酸エステルなど
を1種以上を分散剤として樹脂組成物に合計量0.01
〜10重量%、好ましくは0.05〜8重量%、特に好
ましくは0.08〜5重量%、最も好ましくは0.1〜
3重量%添加してもよい。ハイドロタルサイト類化合物
と併用することにより、写真性の悪化防止、加工安定
性、成形機の防蝕効果が向上し、樹脂劣化を防止し、物
理強度低下を防止し、樹脂焼けによるブツの発生や着色
故障の発生を防止する作用等を相乗的に向上する。フェ
ノール系酸化防止剤やリン(ホスファイト)系酸化防止
剤及び脂肪酸金属塩から成る群より選択された1種以上
の安定剤と併用することが写真感光材料の写真性能悪化
がほとんどなく、酸化防止効果が大きくなるので特に好
ましい。
【0110】この場合、写真感光材料の写真性能に悪影
響を及ぼさないようにするためには、 フェノール系酸化防止剤を0.001〜1.5重量
%、好ましくは0.005〜0.7重量%、特に好まし
くは0.01〜0.45重量%添加する。 リン系酸化防止剤0.001〜1.5重量%、好まし
くは0.005〜0.7重量%、特に好ましくは0.01
〜0.45重量%添加する。 ハイドロタルサイト類化合物及び/又は脂肪酸金属
塩(金属石けん)を0.01〜5重量%、好ましくは
0.03〜4重量%、特に好ましくは0.05〜3重量
%、最も好ましくは0.06〜2重量%添加する。
【0111】且つ++の合計含有量が0.001
5〜6重量%、好ましくは0.002〜5重量%、特に
好ましくは0.003〜4重量%、最も好ましくは0.
005〜3重量%写真感光材料用包装材料の最内層(写
真感光材料側)中に含まれるようにする。いずれにして
も樹脂劣化を防止できる最少量添加することが写真性能
を悪化させず、コストアップを抑制する点からも好まし
い。
【0112】燐系酸化防止剤は、写真感光材料の写真性
を良化するためにハイドロタルサイト類化合物と併用す
ることが好ましい。
【0113】ポリエチレン系樹脂組成物へ造核剤を配合
することにより、結晶化度を大きくしたり、結晶化温度
を高くしたり、結晶の形を小さくかつ均一化して透明度
を向上させ、剛性を向上させ、耐摩耗性を向上させた
り、成形サイクルを短縮させたり、表面の傷つきを防止
したり、ゲート残りや糸引故障等の成形故障を減少させ
ることができる。
【0114】造核剤の添加量は、0.01〜2重量%で
あり、好ましくは0.02〜1.8重量%、より好まし
くは0.03〜1.6重量%、特に好ましくは0.04〜
1.4重量%、最も好ましくは0.05〜1.2重量%
である。
【0115】造核剤の添加量が0.01重量%未満であ
ると、配合効果がなく経費増となるだけであり、また、
2重量%を越えると、増量効果がなく、発煙や異臭が多
くなって写真性に悪影響を及ぼすようになり、また、ブ
リードアウトが多くなって白粉が発生する。
【0116】本発明に使用できる有機造核剤としては、
カルボン酸、ジカルボン酸、これらの塩及び無水物、芳
香族スルホン酸の塩及びエステル、芳香族ホスフィン
酸、芳香族ホスホン酸、芳香族カルボン酸、その他のア
ルミニウム塩、芳香族リン酸金属塩、炭素数8〜30の
アルキルアルコール、多価アルコールとアルデヒドの縮
合物、並びにアルキルアミンなどであり、例えばp−t
−ブチル安息香酸アルミニウム、1,2,3,4−ジベ
ンジリデンソルビトール、次式で表されるジ置換ベンジ
リデンソルビトール化合物
【0117】
【化6】 {式中、R1及びR2は炭素数1〜8のアルキル、アルコ
キシ又はハロゲンであり、m及びnはいずれも0〜3で
あって且つm+n≧1である。}、ステアリル乳酸のカ
ルシウム、マグネシウム等の金属塩、N−(2−ヒドロ
キシエチル)−ステアリルアミン等の次式で表される化
合物。
【0118】
【化7】 {式中、R3は炭素数が8〜30のアルキル基であり、
k及びlはいずれも0〜10であってk+l≧1であ
る。}、1,2−ヒドロキシステアリン酸のリチウム
塩、ナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩、マグネ
シウム塩等の金属塩、ステアリルアルコール、ラウリル
アルコール等のアルキルアルコール、安息香酸ソーダ、
安息香酸、セバチン酸などがある。
【0119】有機造核剤の中で特に好ましいソルビトー
ル化合物の代表例を以下に示す。
【0120】di-(o-methylbenzylidene)sorbitol o-methylbenzylidene-p-methylbenzylidenesorbitol di-(m-methylbenzylidene)sorbitol m-methylbenzylidene-o-methylbenzylidenesorbitol di-(p-methylbenzylidene)sorbitol m-methylbenzylidene-p-methylbenzylidenesorbitol 1・3-heptanylidenesorbitol 1・3,2・4-diheptanylidenesorbitol 1・3,2・4-di(3-nonyl-3-pentenylidene)sorbitol 1・3-cyclohexanecarbylidenesorbitol 1・3,2・4-dicyclohexanecarbylidenesorbitol 1・3,2・4-di(p-methylcyclohexanecarbylidene)sorbitol Aromatic hybrocarbon groups or derivatives thereof 1・3-benzylidenesorbitol 1・3,2・4-dibenzylidene-D-sorbitol 1・3,2・4-di(m-methylbenzylidene)sorbitol 1・3,2・4-di(p-methylbenzylidene)sorbitol 1・3,2・4-di(p-hexylbenzylidene)sorbitol 1・3,2・4-di(l-naphthalenecarbylidene)sorbitol 1・3,2・4-di(phenylacetylidene)sorbitol 1・3・2・4-di(methylbenzylidene)sorbitol 1・3・2・4-di(ethylbenzylidene)sorbitol 1・3・2・4-di(propylbenzyledene)sorbitol 1・3・2・4-di(methoxybenzylidene)sorbitol 1・3・2・4-di(ethoxybenzylidene)sorbitol 1・3・2・4-di(P-methylbenzylidene)sorbitol 1・3・2・4-di(P-chlorbenzylidene)sorbitol 1・3・2・4-di(P-methoxybenzylidene)sorbitol 1・3・2・4-di(alkilbenzylidene)sorbitol 1・3・2・4-bis(methylbenzylidene)sorbitol aluminumbenzoate、等。
【0121】有機造核剤の中でも特に以下のジベンジリ
デンソルビトール化合物が好ましい。特に、ポリエチレ
ン樹脂のヤング率向上、物理強度向上、剛性向上、硬度
向上、耐摩耗性向上、寸法精度向上、結晶化速度向上、
成形速度向上、成形故障の減少等の効果を発揮すること
及び従来の有機造核剤の欠点であった異臭とブリードア
ウトを改善できる下記のジ−置換ベンジリデンソルビト
ール組成物が特に好ましい。
【0122】このジ−置換ベンジリデンソルビトール組
成物の必須成分として、一般式(I)
【0123】
【化8】 {式中、R及びR' は、それぞれ独立して、塩素原子、
メチル基及びエチル基よりなる群より選ばれる原子また
は基を表す}のジベンジリデンソルビトール誘導体の固
体粉末と式 (II)
【0124】 CH3 (CH2)nCOOH (II) {式中、nは14〜30、好ましくは18〜27、最も
好ましくは20〜25の数を表す}の高級脂肪酸を含有
してなり、該高級脂肪酸が該ジベンジリデンソルビトー
ル誘導体の固体粉末の表面を被覆して含有されているジ
ベンジリデンソルビトール誘導体組成物が提供される。
【0125】本発明で好ましく用いられる一般式(I)
のジベンジリデンソルビトール誘導体としては、1, 3
−2, 4・ジpメチルベンジリデンソルビトール、1,
3−2, 4−ジpエチルベンジリデンソルビトール、
1, 3−pメチルベンジリデン−2, 4−pクロルベン
ジリデンソルビトール、1, 3−pメチルベンジリデン
・2, 4−pエチルベンジリデンソルビトール及び1,
3−pクロルベンジリデン−2, 4pメチルベンジリデ
ンソルビトール等を例示することができる。
【0126】本発明の有機造核剤の好ましい態様におい
ては、上記一般式(I)において、R及びR’は、それぞ
れ独立してメチル基または塩素原子を表すジベンジリデ
ンソルビトール誘導体が用いられる。
【0127】特に好適なジベンジリデンソルビトール誘
導体は、1, 3−2, 4−ジpメチルベンジリデンソル
ビトール、1, 3−pメチルベンジリデン−2, 4−p
クロルベンジリデンソルビトール及び1, 3−pクロル
ベンジリデン・2, 4−pメチルベンジリデンソルビト
ール、である。
【0128】本発明で有機造核剤として好ましく用いら
れる式(II)の高級脂肪酸の好ましい例は、ベヘン酸、ス
テアリン酸およびパルミチン酸であり、なかでもベヘン
酸が最も好ましく、ステアリン酸がこれに次ぐ。
【0129】本発明の有機造核剤組成物において使用さ
れるジベンジリデン誘導体の固体粉末の粒径は、格別な
制限は必要でなく、粒度分布30〜100メッシュのも
のが好適に用いられる。
【0130】本発明の好ましい有機造核剤組成物は、ジ
ベンジリデン誘導体の95〜50重量部、好ましくは9
0〜50重量部に対し高級脂肪酸及び/又は高級脂肪酸
化合物(脂肪酸金属塩や脂肪酸アミド等)及び/又は可
塑剤の1種以上を5〜50重量部、好ましくは10〜5
0重量部の範囲において、両成分の合計が100重量部
になる割合で含有する。
【0131】本発明の特に好ましい有機造核剤組成物
は、上記割合の高級脂肪酸及び/又は高級脂肪酸化合物
及び/又は可塑剤の1種以上を含有する水性エマルジョ
ンに上記割合のジベンジリデンソルビトール誘導体の固
体粉末を添加攪拌して、ジベンジリデンソルビトール誘
導体の固体粉末の表面上に高級脂肪酸及び/又は高級脂
肪酸化合物及び/又は可塑剤の1種以上の被覆層を形成
させ、高級脂肪酸及び/又は高級脂肪酸化合物及び/又
は可塑剤の1種以上の被覆層を有するジベンジリデンソ
ルビトール誘導体粉末を濾別後、洗浄及び乾燥を行うこ
とによって作ることができる。
【0132】上記方法において使用する高級脂肪酸及び
/又は高級脂肪酸化合物及び/又は可塑剤の水性エマル
ジョンは、例えば、高級脂肪酸及び/又は高級脂肪酸化
合物及び/又は可塑剤の濃度5〜50重量%、好ましく
は10〜50重量%の有機溶媒溶液に、界面活性剤を少
量、例えば高級脂肪酸及び/又は高級脂肪酸化合物及び
/又は可塑剤100重量部に対して1〜10重量部、好
ましくは2〜5重量部、を用いて水中に分散させること
によって容易に得ることができる。
【0133】また、ジベンジリデンソルビトール誘導体
の固体粉末の表面上に形成された高級脂肪酸及び/又は
高級脂肪酸化合物及び/又は可塑剤の被覆層の存在は、
該被覆層を染料で染色して観察することによって確認す
ることができる。その他、後記遮光性物質の表面被覆物
質で有機造核剤の表面を被覆することも分散性向上等の
点から好ましい。
【0134】本発明の好ましい有機造核剤の組成物が、
物理強度、非ブリードアウト性及び無臭性の改善のため
に添加剤として効果的に使用されるポリオレフィン系樹
脂の例は、炭素数が2〜6の脂肪族モノオレフィンの数
平均分子量が10,000〜600,000、好ましく
は11,000〜500,000、特に好ましくは12,
000〜400,000、最も好ましくは13,000
〜300,000の高分子量の単独重合体または共重合
体、例えば低密度ホモポリエチレン樹脂、高密度ホモポ
リエチレン樹脂、直鎖状ポリエチレン(エチレン・αオ
レフィン共重合体)樹脂等である。
【0135】本発明の好ましい有機造核剤組成物におい
ては、ジベンジリデンソルビトール誘導体の固体粒子の
表面が高級脂肪酸、高級脂肪酸化合物及び可塑剤の1種
以上で被覆されていることが重要で、ポリエチレン樹脂
にジベンジリデンソルビトール誘導体及び高級脂肪酸及
び/又は高級脂肪酸化合物及び/又は可塑剤の1種以上
を単に添加混合しても上記記載の十分な効果は達成され
ない。また、180℃以上、好ましくは190℃以上、
特に好ましくは200℃以上の熱履歴を1回以上経ない
と上記記載の十分な効果は達成されない。
【0136】本発明の好ましい有機造核剤組成物は、従
来技術に較べ、ポリオレフィン系樹脂組成物に配合した
場合、物理強度、耐ブリードアウト性、剛性等の諸特性
を何ら損なわないばかりか、場合によってはこれ等諸特
性を更に向上させ、同時に優れた無臭性を有し、ゲート
残り等の成形故障が減少するといった優れた効果を奏す
るものである。即ち、本発明のポリエチレン樹脂組成物
に、上述のジ−置換ベンジリデンソルビトール組成物を
含ませることにより、物理強度、剛性、耐ブリードアウ
ト性、無臭性、フィルム成形性、射出成形性、寸法精
度、耐摩耗性等の優れた写真フィルムパトローネ用容器
本体を提供することが出来る。
【0137】本発明の好ましい有機造核剤組成物が上記
の優れた効果を奏する理由は必ずしも明らかでないが、
従来のジベンジリデンソルビトールの製造原料であるベ
ンズアルデヒド及び本発明のジベンジリデンソルビトー
ル誘導体の製造原料であるp置換ベンズアルデヒド等の
ベンズアルデヒド誘導体には臭気があって、共に精製後
も不可避的にジベンジリデンソルビトール(誘導体)に
微量残留して透明又は遮光性射出成形品や透明又は遮光
性熱可塑性樹脂フィルム等の異臭の原因となりがちなこ
と及びジベンジリデンソルビトール(誘導体)が熱可塑
性樹脂組成物を用いた熱可塑性樹脂射出成形時や熱可塑
性樹脂フィルム成形時等にも若干分解を起こして異臭の
原因となることが考え得る。
【0138】本発明の好ましい有機造核剤組成物におい
ては、 一般式(I)の特定のジベンジリデンソルビト
ール誘導体の固体粒子を用い、 該粒子を一般式(I
I)の特定の高級脂肪酸で被覆する、といった及び
の要件を同時に満足することによって、原料ベンズアル
デヒド類あるいは分解生成したベンズアルデヒド類に基
づくと推定される異臭が、熱可塑性樹脂組成物を用い
た、熱可塑性樹脂射出成形品や熱可塑性樹脂フィルム等
において顕著に減少され、かつ剛性、硬度、寸法精度、
耐摩耗性、物理強度等の上記諸物性も同時に優れている
といった効果が奏される。
【0139】各種の有機造核剤は、単独で用いても各種
の無機造核剤との併用、有機造核剤の2種以上を併用す
ることもできる。また、有機及び/又は無機造核剤の表
面を各種の脂肪酸、脂肪酸化合物やシリコン等の滑剤、
カップリング剤、可塑剤、界面活性剤等の分散剤や湿潤
剤等で被覆することができる。
【0140】無機造核剤としては例えば、タルク、クレ
ー、マイカ、モンモリロナイト、ベントナイト等の粘土
類、ケイ酸カルシウム、ケイ酸マグネシウム、硫酸カル
シウム、硫酸バリウム、炭酸リチウム、炭酸ナトリウ
ム、炭化水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、炭酸カル
シウム、炭酸マグネシウム、水酸化リチウム、水酸化ナ
トリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、水酸化
マグネシウム、水酸化バリウム、等の無機塩、酸化ナト
リウム、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、アルミ
ナ、酸化チタン、酸化鉄、酸化亜鉛等の金属塩化物等が
挙げられる。
【0141】無機造核剤は、剛性向上、衝撃強度向上、
耐熱性向上等の効果が大きく特に着色した容器本体用と
して適している。
【0142】本発明の写真フィルムパトローネ用容器本
体において、最も好ましいベンジリデンソルビトール化
合物としては、造核効果、透明度の向上、写真フィルム
の品質を劣化させない点において、以下に記載する2種
類がある。
【0143】(1) ビス(パラ−メチルベンジリデン)
ソルビトール 化学式:C23286 分子量:400.47 融点:
235〜240℃
【化9】
【0144】(2) ビス(パラ−エチルベンジリデン)
ソルビトール 化学式:C24306 分子量:414.50 融点:
210〜230℃
【化10】
【0145】本発明の写真フィルム用容器としては以下
に記載するものがある。 〈写真フィルムパトローネ用容器本体〉特公平2−28
939号公報、特開平2−183247号公報、特公平
4−81784号公報、特開平5−19420号公報、
実開昭60−163451号公報、実開昭61−182
543号公報、実開昭62−57256号公報等に開示
の水平断面形状が略正円形状または正四角形状の容器本
体。
【0146】〈写真フィルムパトローネ用容器〉 (APSフィルム用等)実公平3−48581号公報、
特願平4−120585号、特開平7−168321号
公報、特開平9−5946号公報等に開示の水平断面形
状が略長円形状の容器本体。
【0147】〈身・蓋一体形の写真フィルム用容器〉 (135タイプフィルムやマイクロフィルム用):実開
昭54−100617号公報、実開平1−113235
号公報、特願平2−130212号、特願平4−147
350号、US4,687,100、US4,733,
794、US4,779,756、US4,801,0
11等に開示の水平断面形状が略正円形状、正四角形
状、長方形状の容器。
【0148】本発明による写真フィルム用容器の例を図
面を参照して説明する。図1は写真フィルム用容器の一
部断面した側面図である。この図に示す写真フィルム用
容器は、35mmフィルムパトローネ用容器の容器本体
10で、底部11と側壁12とで形成されている。な
お、13は容器キャップである。
【0149】図2は写真フィルム用容器の断面図であ
る。この図に示す写真フィルム用容器は、APSフィル
ム用の水平断面形状が略長円形状の写真フィルムパトロ
ーネ用容器の容器本体20で、底部21と側壁22とで
形成されている。なお、23は容器キャップである。
【0150】図3は写真フィルム用容器の断面図であ
る。この図に示す写真フィルム用容器は、長方形状のマ
イクロフィルムを収納する身蓋一体型の遮光性マイクロ
フィルム容器30(実開昭54−100617号公報
等)で、身31と蓋32とがヒンジ33で回動自在に連
結されている。
【0151】図4は写真フィルム用容器の断面図であ
る。この図に示す写真フィルム用容器も、APSフィル
ム用の水平断面形状が略長円形状の写真フィルムパトロ
ーネ用容器の容器本体40で、底部41と側壁42とで
形成されている。なお、43は容器キャップである。
【0152】
【実施例】
[実施例A]図1に示す写真フィルムパトローネ用容器
の容器本体10を、表1に示す樹脂組成物を用いて製造
した。
【0153】この容器本体10の製造は、キャビティー
数24ヶのホットランナータイプの金型を使用し、射出
成形機として住友重機KK製のネスタール(商品名,型
締圧150t,トグル式型締装置)を使用して行った。
【0154】また、容器本体10の側壁12の平均厚さ
は0.6mmと薄肉にし、底部11との側壁12との接
合部は、図1に示すように、R1.5mmの円めをつけ
た。樹脂の注入口(ゲート)部は、底部11の略中心に底
部11外表面より2.0mm奥に入った場所にR3mm
の円めの凹部中央に設けた構造とした。このような構造
としたことにより、薄肉でも樹脂の流動性を良好にし、
応力緩和により衝撃強度を向上することが可能となっ
た。結果を表1に示す。
【0155】
【表1】
【0156】表1中の評価は以下の通りである。 ◎:非常に優れている ○:優れている ●:可(実用限度内) ▲:問題あり、改良必要 ×:実用化不可
【0157】試験方法を以下に示す。 〈樹脂温度170℃の射出成形性〉射出成形した時の成
形故障の発生度合、離型性、目付け量の変動、射出圧
力、成形サイクル等を総合評価した。
【0158】〈圧縮強度〉写真フィルム用容器に圧縮力
を付与し、その変形により評価した。 〈0℃−5mの高さからの落下強度〉0℃に冷却した写
真フィルム容器を5mの高さからコンクリートの床に落
下させ、その破損状態を目視により観察評価した。
【0159】〈成形故障〉ショートショット、ウェルド
ライン等の発生により評価した。
【0160】[実施例B]また、実施例Aと同一の樹脂
組成物(本発明品1〜4、比較品1〜4)で、図2に示
す写真フィルムパトローネ用容器の容器本体20を成形
した場合も、実施例Aと同様の結果を得た。
【0161】その結果、側壁21の平均厚さが0.4〜
0.8mmの薄肉の容器本体20として最適であること
が確認された。
【0162】[実施例C]さらに、実施例Aと同一の樹
脂組成物(本発明品1〜4、比較品1〜4。但し、遮光
性物質としてカーボンブラックを0.6重量%含有させ
ている)で、図3に示す写真フィルムパトローネ用容器
の容器本体30を成形した場合も、実施例Aと同様の結
果を得た。
【0163】その結果、特に、容器の変形が小さく、寸
法精度が優れ、身・蓋嵌合性と密封遮光性が優れ最適で
あることが確認された。
【0164】
【発明の効果】本発明は、高速射出成形性、寸法精度、
物理強度及び透明性を向上させることができる。また、
低温射出成形が可能となり樹脂や添加剤の熱劣化に起因
する着色故障、焼けこげ故障、ショートショット等の成
形故障を減少させることができるので、連続高速射出成
形で無人無検査製造が可能になる。。さらに、熱分解が
発生しなくなるので、写真性を向上させることができる
とともに、射出成形中の発煙や悪臭の発生を減少させる
ことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明による写真フィルム用容器の例の一部
断面した側面図である。
【図2】 本発明による写真フィルム用容器の他の例の
断面図である。
【図3】 本発明による写真フィルム用容器の他の例の
断面図である。
【図4】 本発明による写真フィルム用容器の他の例の
断面図である。
【符号の説明】
10 容器本体 20 容器本体 30 容器 40 容器本体
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI G03C 3/00 566 G03C 3/00 566C B65D 1/09 C08L 23/18 C08L 23/18 B65D 1/00 A

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 メルトフローレート(ASTM D 12
    38のE条件)が30〜250g/10分、密度(AS
    TM D 1505)が0.941〜0.985g/cm
    3、分子量分布(ゲルパーミエーションクロマトグラフィ
    ーにより測定した重量平均分子量/数平均分子量)が
    1.1〜5.0で、エチレンと炭素原子数が4〜12の
    α−オレフィンとの共重合体樹脂であるエチレン・α−
    オレフィン共重合体樹脂を主成分とするポリエチレン系
    樹脂組成物からなることを特徴とする写真フィルム用容
    器。
  2. 【請求項2】 該エチレン・α−オレフィン共重合体樹
    脂の分子量分布が1.9〜3.8であり、メタロセン触
    媒を用いて重合製造した樹脂である請求項1記載の写真
    フィルム用容器。
  3. 【請求項3】 該ポリエチレン系樹脂組成物中に滑剤を
    0.01〜5重量%配合した請求項1又は2記載の写真
    フィルム用容器。
  4. 【請求項4】 該ポリエチレン系樹脂組成物中にリン系
    酸化防止剤及びフェノール系酸化防止剤の少なくとも1
    種を0.001〜1重量%配合した請求項1、2又は3
    記載の写真フィルム用容器。
  5. 【請求項5】 該ポリエチレン系樹脂組成物中にハイド
    ロタルサイト類化合物を0.01〜2重量%配合した請
    求項1、2、3又は4記載の写真フィルム用容器。
  6. 【請求項6】 該ポリエチレン系樹脂組成物中に造核剤
    を0.01〜2重量%配合した請求項1、2、3、4又
    は5記載の写真フィルム用容器。
  7. 【請求項7】 該エチレン・α−オレフィン共重合体樹
    脂は、エチレンが90〜99.99モル%、α−オレフ
    ィンが0.01〜10モル%である請求項1、2、3、
    4、5又は6記載の写真フィルム用容器。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2009234044A (ja) * 2008-03-27 2009-10-15 Sumitomo Bakelite Co Ltd 医療製袋用積層フィルム及びこれを用いた医療用製袋
JP2009236372A (ja) * 2008-03-26 2009-10-15 Osaka Gas Co Ltd 樹脂タンク及びその製造方法
JP2009545655A (ja) * 2006-08-02 2009-12-24 ダウ グローバル テクノロジーズ インコーポレイティド 高密度ポリエチレン組成物、それの製造方法、それから製造される物品、およびそのような物品の製造方法

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