JP3686707B2 - エチレン・α−オレフィン共重合体組成物 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明はエチレン・α−オレフィン共重合体組成物に関し、詳しくは、優れた強度、耐環境応力劣化性(ESCR)、透明性等を保持しながら、加工時の熱安定性、色安定性、耐腐食性などの改善されたエチレン・α−オレフィン共重合体組成物に関するものであり、射出成形、中空成形、フィルム成形に適し、各種容器、蓋、瓶、パイプ、包装材等に使用するに適する組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来のチグラー型高活性触媒で製造された線状低密度ポリエチレン(LLDPE)は、成形加工性や強度に優れるため、射出成形、中空成形、フィルム成形などによって各種容器や蓋、瓶、パイプ、包装材など様々な用途に用いられている。特に線状低密度ポリエチレン重合体は分岐状低密度ポリエチレン(HPLDPE)に比べて強度が強く薄肉化できるため、使用される用途範囲が広がっている。しかし最近は成形品を更に薄肉化してコストダウンを図りたいとの要望があり、より強い強度が要求されている。しかし従来のチグラー型触媒を用いたものは組成分布が広くなお強度が不十分で薄肉化に限度がある。また低分子量成分の成形品表面へのにじみ出しのため成形品のべたつきがあるなどの欠点もある。
【0003】
この要望に対応するために、いわゆるシングルサイト触媒が開発され、これを用いた分子量分布および組成分布の狭いエチレン・α−オレフィン共重合体が提案されている。しかし該エチレン・α−オレフィン共重合体は従来のLLDPEに比べ強度が更に強く、低温ヒートシール性、透明性が優れ、フィルム表面のべたつきが少ないものの、狭い分子量分布を有するため、高速成形時における粘度が高くなるため、加工時の発熱が激しくなり、成形品に熱劣化によるゲルが発生したり、成形品の外観不良の原因となる。また狭い組成分布を有するために成形加工の許容範囲が狭く、成形温度が少しの低下でショートショットを起こし外観不良の原因となったりする。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の第1の目的は、優れた衝撃強度、耐環境応力劣化性(ESCR)、外観や透明性あるいは成形条件の許容範囲が広い等の特性を損なわず加工時の熱劣化が少なくなおかつ長期保存後の色相の悪化をきたさない、エチレン・α−オレフィン共重合体組成物を提供することにある。また第2の目的は前記組成物を用い衝撃強度、耐環境応力劣化性、透明性、広い成形条件の許容範囲を有し加工時の熱劣化性、色相が良好で押出機や金型の腐食性の少ない組成物を提供することにある。さらに第3の目的は前記組成物を用い、前記の特性を損なうことなく、さらに相乗的に耐熱劣化性を向上させることにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは上記課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、特定のエチレン・α−オレフィン共重合体から衝撃強度、耐環境応力劣化性、透明性等の特性を損なわず加工時の熱劣化が少ない組成物およびより優れた熱安定性を有し長期保存時の黄変防止、金属腐食防止などに優れる組成物を得ることに成功し本発明に到達した。
【0006】
すなわち本発明は第1に、(A)(a)密度0.86〜0.96g/cm3、(b)メルトフローレート(MFR)0.01〜50g/10min、(c)分子量分布パラメーターMw/Mn1.8〜3.5、(d)組成分布パラメーターCb1.10〜2.00、(e)25℃におけるオルソジクロロベンゼン(ODCB)可溶分の量X(重量%)と密度dおよびMFRが次の関係を満足する、イ)d−0.008×logMFR≧0.93の場合 X<2.0、ロ)d−0.008×logMFR<0.93の場合 X<9.8×103×(0.9300−d+0.008×logMFR)2+2.0、(f)連続昇温溶出分別法(TREF)による溶出温度−溶出量曲線のピークが複数個存在するエチレン・α−オレフィン共重合体、および(B)酸化防止剤を含むエチレン・α−オレフィン共重合体組成物である。
【0007】
本発明は第2に、(A)(a)密度0.86〜0.96g/cm3、(b)メルトフローレート(MFR)0.01〜50g/10min、(c)分子量分布パラメーターMw/Mn1.8〜3.5、(d)組成分布パラメーターCb1.10〜2.00、(e)25℃におけるオルソジクロロベンゼン(ODCB)可溶分の量X(重量%)と密度dおよびMFRが次の関係を満足する、イ)d−0.008×logMFR≧0.93の場合 X<2.0、ロ)d−0.008×logMFR<0.93の場合 X<9.8×103×(0.9300−d+0.008×logMFR)2+2.0、(f)連続昇温溶出分別法(TREF)による溶出温度−溶出量曲線のピークが複数個存在するエチレン・α−オレフィン共重合体、(B)酸化防止剤、および(C)高級脂肪酸金属塩またはハイドロタルサイト類から選ばれる1種以上の化合物を含むエチレン・α−オレフィン共重合体組成物である。
【0008】
本発明は第3に、前記組成物にさらに(D)ピペリジル基を有するヒンダードアミン系化合物を含ませてなるエチレン・α−オレフィン共重合体組成物である。
【0009】
以下に本発明の詳細を説明する。
【0010】
本発明における(A)エチレン・α−オレフィン共重合体はエチレンと炭素数3〜20のα−オレフィンより選ばれた一種以上との共重合体である。この炭素数3〜20のα−オレフィンとしては、好ましくは炭素数3〜12のものであり、具体的にはプロピレン、1−ブテン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−デセン、1−ドデセン、などが挙げられる。また、これらのα−オレフィンの含有量は、合計で通常30モル%以下、好ましくは20モル%以下の範囲で選択されることが望ましい。
【0011】
本発明の(A)エチレン・α−オレフィン共重合体の密度(a)は、0.86〜0.96g/cm3、好ましくは0.88〜0.945g/cm3、より好ましくは0.90〜0.93g/cm3の範囲である。密度が0.86未満では剛性、耐熱性が劣り、0.96を超えると耐衝撃性、耐環境応力劣化(ESCR)が十分でない。
【0012】
本発明のエチレン・α−オレフィン共重合体のMFR(b)は0.01〜50g/10min、好ましくは0.1〜20g/10min、さらに好ましくは0.5〜10g/10minの範囲にあることが望ましい。MFRが0.01g/10min未満では成形加工性が劣り、50g/10minを超えると耐衝撃性、耐環境応力劣化などの機械的強度が低下する。
【0013】
本発明のエチレン・α−オレフィン共重合体の分子量分布Mw/Mn(c)の算出方法は、ゲルパーミエイションクロマトグラフィー(GPC)により重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)を求め、この比Mw/Mnを求めるものである。
【0014】
本発明のエチレン・α−オレフィン共重合体のMw/Mnは1.8〜3.5であり、好ましくは2.0〜3.0、さらに好ましくは2.2〜2.8の範囲にあることが望ましい。Mw/Mnが1.8未満では成形加工性が劣り、3.5を超えると耐衝撃性が劣る。
【0015】
本発明のエチレン・α−オレフィン共重合体の組成分布パラメーターCb(d)は1.10〜2.00であり、好ましくは1.12〜1.70、さらに好ましくは1.15〜1.50の範囲にあることが望ましい。1.10未満では成形温度の低下による流動性が悪化しやすく外観不良を起こし易く、2.00を超えるものは、透明性、酎衝撃性、耐環境応力劣化性の悪化や、成形品のべたつき、熱収縮が大となったり、成形条件の許容範囲が狭くなるなどの問題がある。
【0016】
本発明のエチレン・α−オレフィン共重合体の組成分布パラメーターCbの測定法は下記の通りである。
【0017】
試料に耐熱安定剤を加え、ODCBに試料濃度が0.2重量%となるように135℃で加熱溶解する。この加熱溶液を、けい藻土(セライト545)を充填したカラムに移送し充満後0.1℃/minで25℃まで冷却し、試料をセライト表面に析出沈着する。次に、このカラムにODCBを一定流量で流しながら、カラム温度を5℃きさみに120℃まで段階的に昇温しながら、各温度において、試料を溶解した溶液を採取する。この溶液を冷却後メタノールで試料を再枕後、濾過、乾燥し、各溶出温度における試料を得る。この分別された試料の重量分率および分岐度(炭素数1000個あたりの分岐数)を測定する。分岐度の測定は13C−NMRにより求める。
【0018】
このような方法で30℃から90℃で採取した各フラクションについては次のような、分岐度の補正を行う。すなわち、溶出温度に対して測定した分岐度をプロットし、相関関係を最小自乗法で直線に近似し、検量線を作成する。この近似の相関係数は十分大きい。この検量線により求めた値を各フラクションの分岐度とする。なお、溶出温度95℃以上で採取したフラクションについては溶出温度と分岐度に必ずしも直線関係が成立しないのでこの補正は行わない。
【0019】
次にそれぞれのフラクションの重量分率wiを、溶出温度5℃当たりの分岐度biの変化量(bi−bi−1)で割って相対濃度ciを求め、分岐度に対して相対濃度をプロットし、組成分布曲線を得る。この組成分布曲線を一定の幅で分割し、次式より組成分布パラメーターCbを算出する。
【0020】
【式1】
【0021】
ここでcjとbjはそれぞれj番目の区分の相対濃度と分岐度である。組成分布パラメーターCbは試料の組成が均一である場合に1.0となり、組成分布が広がるに従って値が大きくなる。
【0022】
なお、エチレン・α−オレフィン共重合体の組成分布を記述する方法は多くの提案がなされている。例えば特開昭60−88016号では、試料を溶剤分別して得た各分別試料の分岐数に対して、累積重量分率が特定の分布(対数正規分布)をすると仮定して数値処理を行い、重量平均分岐度(Cw)と数平均分岐度(Cn)の比を求めている。この近似計算は、試料の分岐数と累積重量分率が対数正規分布からずれると精度が下がり、市販のLLDPEについて測定を行うと相関係数R2はかなり低く、値の精度は充分でない。このCw/Cnと本発明のCbとは、定義および測定方法が異なる。
【0023】
本発明の(A)エチレン・α−オレフィン共重合体の、25℃におけるODCB可溶分の量X(e)は、エチレン・α−オレフィン共重合体に含まれる高分岐度成分および低分子量成分の割合を示すものであり、耐性性の低下や成形品表面のベタツキの原因となるため少ないことが望ましい。ODCB可溶分の量は、共重合体全体のα−オレフィンの含有量および平均分子量、すなわち密度とMFRに影響される。従って、前記ODCB可溶分の量X(重量%)は密度dとMFRの関係が、d−0.008×logMFR≧0.93を満たす場合は2重量%未満、好ましくは1重量%未満、さらに好ましくは0.5重量%未満である。
【0024】
また、dとMFRの関係が、d−0.008×logMFR<0.93を満たす場合はX<9.8×103×(0.9300−d+0.008×logMFR)2+2.0の関係を満足し、好ましくはX<7.4×103×(0.9300−d+0.008×logMFR)2+1.0、さらに好ましくはX<5.6×103×(0.9300−d+0.008×logMFR)2+0.5の範囲である。
【0025】
密度、MFRとODCB可溶分の量が上記の関係を満たすことは、共重合体全体に含まれているα−オレフィンが遍在していないことを示している。
【0026】
なお、前記の25℃におけるODCB可溶分量Xは、下記の方法により測定する。
【0027】
すなわち試料0.5gを20mlのODCBに加え135℃で2時間加熱し、試料を完全に溶解した後、25℃まで冷却する。この溶液を25℃で一晩放置後、テフロン製フィルターで濾過して濾液を採取する。試料溶液である濾液を赤外分光器によりメチレンの非対称伸縮振動の波数2925cm−1付近の吸収ピーク強度を測定し、あらかじめ作成した検量線により濾液中の試料濃度を算出する。この値より、25℃におけるODCB可溶分を求める。
【0028】
本発明のエチレン・α−オレフィン共重合体は、連続昇温溶出分別法(TREF)により求めた溶出温度−溶出量曲線において、ピークが複数個ある(f)ことが好ましく、さらにその高温側のピークが85℃から100℃の間に存在することが特に好ましい。このピークが存在することにより、融点が高くなりまた結晶化度が上昇し成形体の耐熱性および剛性が向上する。図1に本発明の共重合体の溶出温度−溶出量曲線を示し、図2に市販のメタロセン触媒による共重合体の溶出温度−溶出量曲線を示す。両者は顕著に異なる。
【0029】
TREFの測定方法は下記の通りである。即ち、試料に耐熱安定剤を加え、ODCBに試料濃度0.05重量%となるように135℃で加熱溶解する。この加熱溶液5mlを、ガラスビーズを充填したカラムに注入した後、0.1℃/minの冷却速度で25℃まで冷却し、試料をガラスビーズ表面に沈着する。次に、このカラムにODCBを一定流量で流しながら、カラム温度を50℃/hrの一定速度で昇温し、各温度において溶液に溶解可能な試料を順次溶出させる。この際、溶剤中の試料濃度はメチレンの非対称伸縮振動の波数2925cm−1に対する吸収を赤外検出器で連続的に検出される。この濃度から、溶出温度−溶出量曲線を得ることができる。
【0030】
TREF分析は極少量の試料で、温度変化に対する溶出速度の変化を連続的に分析出来るため、分別法では検出出来ない比較的細かいピークの検出が可能である。
【0031】
本発明の特定の(A1)エチレン・α−オレフィン共重合体は、以下のE1〜E5からなる触媒を用いる重合法で製造される。
【0032】
すなわち、E1:一般式Me1R1 p(OR2)qX1 4−p−qで表される化合物(式中Me1はジルコニウム、チタン、ハフニウムを示し、R1およびR2は各々炭素数1〜24の炭化水素基、X1はハロゲン原子を示し、pおよびqは各々0≦P<4、0≦p+q≦4の範囲を満たす整数である)、E2:一般式Me2R3 m(OR4)nX2 z−m−nで表される化合物(式中Me2は周期律表第I〜III族元素、R3およびR4は各々炭素数1〜24の炭化水素基、X2はハロゲン原子または水素原子(ただし、X2が水素原子の場合はMe2は周期律表第III族元素の場合に限る)を示し、zはMe2の価数を示し、mおよびnは各々0≦m≦z、0≦n≦zの範囲を満たす整数であり、かつ、0≦m+n≦zである)、E3:共役工重結合を持つ有機環状化合物、およびE4:有機アルミニウム化合物と水との反応によって得られるAl−O−Al結合を含む変性有機アルミニウム化合物、E5:無機担体および/または粒子状ポリマー担体を相互に接触させて得られる触媒である。
【0033】
上記触媒成分(E1)の−般式Me1R1 p(OR2)qX1 4−p−qで表される化合物の式中Me1はジルコニウム、チタン、ハフニウムを示す。これらの遷移金属の種類は限定されるものではなく、複数を用いることもできるが、共重合体の耐候性がより優れる点でジルコニウムが含まれることが特に好ましい。R1およびR2は各々炭素数1〜24の炭化水素基で、好ましくは炭素数1〜12、さらに好ましくは炭素数1〜8の炭化水素基であり、具体的にはメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基などのアルキル基;ビニル基、アリル基などのアルケニル基;フェニル基、トリル基、キシリル基、メシチル基、インデニル基、ナフチル基などのアリール基;ベンジル基、トリチル基、フェネチル基、スチリル基、ベンズヒドリル基、フェニルブチル基、ネオフイル基などのアラルキル基などが挙げられる。これらは分岐があってもよい。X1はフッ素、ヨウ素、塩素および臭素などのハロゲン原子を示し、pおよびqはそれぞれ0≦p<4、0≦q<4、0≦p+q≦4の範囲を満たし、好ましくは0≦p+q≦4の範囲である。
【0034】
上記触媒成分(E1)の一般式で示される化合物の例としては、テトラメチルジルコニウム、テトラエチルジルコニウム、テトラベンジルジルコニウム、テトラプロポキシジルコニウム、トリプロポキシモノクロロジルコニウム、ジプロポキシジクロロジルコニウム、テトラブトキシジルコニウム、トリブトキシモノクロロジルコニウム、ジブトキシジクロロジルコニウム、テトラブトキシチタン、テトラブトキシハフニウムなどが挙げられ、これらを2種以上混合して用いても差し支えない。
【0035】
上記触媒成分(E2)の一般式Me2R3 m(OR4)nX2 x−m−nで表される化合物の式中Me2は周期律表第I〜III族元素を示し、リチウム、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム、亜鉛、ホウ素、アルミニウムなどである。R3およびR4は各々炭素数1〜24の炭化水素基、好ましくは炭素数1〜12、さらに好ましくは炭素数1〜8の炭化水素基であり、具体的にはメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基などのアルキル基;ビニル基、アリル基などのアルケニル基;フェニル基、トリル基、キシリル基、メシチル基、インデニル基、ナフチル基などのアリール基;ベンジル基、トリチル基、フェネチル基、スチリル基、ベンズヒドリル基、フェニルブチル基、ネオフィル基などのアラルキル基などが挙げられる。これらは分岐があってもよい。X2はフッ素、ヨウ素、塩素および臭素などのハロゲン原子または水素原子を示すものである。ただし、X2が水素原子の場合はMe2はホウ素、アルミニウムなどに例示される周期律表第III族元素の場合に限るものである。また、zはMe2の価数を示し、mおよびnは各々0≦m≦z、0≦n≦zの範囲を満たす整数であり、かつ、0≦m+n≦zである。
【0036】
上記触媒成分(E2)の一般式で示される化合物の例としては、メチルリチウム、エチルリチウムなどの有機リチウム化合物;ジメチルマグネシウム、ジエチルマグネシウム、メチルマグネシウムクロライド、エチルマグネシウムクロライドなどの有機マグネシウム化合物;ジメチル亜鉛、ジエチル亜鉛などの有機亜鉛化合物;トリメチルボロン、トリエチルボロンなどの有機ボロン化合物;トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、トリヘキシルアルミニウム、トリデシルアルミニウム、ジエチルアルミニウムクロライド、エチルアルミニウムジクロライド、エチルアルミニウムセスキクロライド、ジエチルアルミニウムエトキサイド、ジエチルアルミニウムハイドライドなどの有機アルミニウム化合物等の誘導体が挙げられる。
【0037】
上記触媒成分(E3)の共役二重結合を持つ有機環状化合物とは、環状で共役二重結合を2個以上、好ましくは2〜4個、さらに好ましくは2〜3個有する環を1個または2個以上もち、全炭素数が4〜24、好ましくは4〜12である環状炭化水素化合物;前記環状炭化水素化合物が部分的に1〜6個の炭化水素残基(典型的には、炭素数1〜12のアルキル基またはアラルキル基)で置換された環状炭化水素化合物;共役二重結合を2個以上、好ましくは2〜4個、さらに好ましくは2〜3個有する環を1個または2個以上もち、全炭素数が4〜24、好ましくは4〜12である環状炭化水素基を有する有機ケイ素化合物;前記環状炭化水素基が部分的に1〜6個の炭化水素残基またはアルカリ金属塩(ナトリウムまたはリチウム塩)で置換された有機ケイ素化合物が含まれる。特に好ましくは分子中のいずれかにシクロペンタジエン構造をもつものが望ましい。
【0038】
上記の好適な化合物としては、シクロペンタジエン、インデン、アズレンまたはこれらのアルキル、アリール、アラルキル、アルコキシまたはアリールオキシ誘導体などが挙げられる。また、これらの化合物がアルキレン基(その炭素数は通常2〜8、好ましくは2〜3)を介して結合(架橋)した化合物も好適に用いられる。
【0039】
環状炭化水素基を有する有機ケイ素化合物は、下記一般式で表示することができる。
【0040】
ALSiR4−L
【0041】
ここで、Aはシクロペンタジエニル基、置換シクロペンタジエニル基、インデニル基、置換インデニル基で例示される前記環状水素基を示し、Rはメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基などのアルキル基;メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基などのアルコキシ基;フェニル基などのアリール基;フェノキシ基などのアリールオキシ基;ベンジル基などのアラルキル基で示され、炭素数1〜24、好ましくは1〜12の炭化水素残基または水素を示し、Lは1≦L≦4、好ましくは1≦L≦3である。
【0042】
上記成分(E3)の有機環状炭化水素化合物の具体例としては、シクロペンタジエン、メチルシクロペンタジエン、エチルシクロペンタジエン、1,3−ジメチルシクロペンタジエン、インデン、4−メチル−1−インデン、4,7−ジメチルインデン、シクロヘプタトリエン、メチルシクロヘプタトリエン、シクロオクタテトラエン、アズレン、フルオレン、メチルフルオレンのような炭素数7〜24のシクロポリエンまたは置換シクロポリエン、モノシクロペンタジエニルシラン、ビスシクロペンタジエニルシラン、トリスシクロペンタジエニルシラン、モノインデニルシラン、ビスインデニルシラン、トリスインデニルシラン等が挙げられる。
【0043】
触媒成分(E4)の有機アルミニウム化合物と水との反応によって得られるAl−O−Al結合を含む変性有機アルミニウム化合物とは、アルキルアルミニウム化合物と水とを反応させることにより、通常アルミノキサンと称される変性有機アルミニウムが得られ、分子中に通常1〜100個、好ましくは1〜50個のAl−O−Al結合を含有する。また、変性有機アルミニウム化合物は線状でも環状でもいずれでもよい。
【0044】
有機アルミニウムと水との反応は通常不活性炭化水素中で行われる。該不活性炭化水素としては、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、シクロヘキサン、ベンゼン、トルエン、キシレン等の脂肪族、脂環族、芳香族炭化水素が好ましい。
【0045】
水と有機アルミニウム化合物との反応比(水/Alモル比)は通常0.25/1〜1.2/1、好ましくは0.5/1〜1/1であることが望ましい。
【0046】
触媒成分(E5)の無機物担体および/または粒子状ポリマー担体としては、炭素質物、金属、金属酸化物、金属塩化物、金属炭酸塩またはこれらの混合物あるいは熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂等が挙げられる。該無機物担体に用いることができる好適な金属としては、鉄、アルミニウム、ニッケルなどが挙げられる。
【0047】
具体的にはSiO2、Al2O3、MgO、ZrO2、TiO2、B2O3、CaO、ZnO、BaO、ThO2等またはこれらの混合物が挙げられ、SiO2−Al2O3、SiO2−V2O5、SiO2−TiO2、SiO2−V2O5、SiO2−MgO、SiO2−Cr2O3等が挙げられる。これらの中でもSiO2およびAl2O3からなる群から選択された少なくとも1種の成分を主成分とするものが好ましい。
【0048】
また、粒子状ポリマー担体としては、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂のいずれも使用でき、具体的には、粒子状のポリオレフィン、ポリエステル、ポリアミド、ポリ塩化ビニル、ポリ(メタ)アクリル酸メチル、ポリスチレン、ポリノルボルネン、各種天然高分子およびこれらの混合物等が挙げられる。
【0049】
上記無機物担体および/または粒子状ポリマー担体は、このまま使用することもできるが、好ましくは予備処理としてこれらの担体を有機アルミニウム化合物やAl−O−Al結合を含む変性有機アルミニウム化合物などに接触処理させた後に成分(C5)として用いることもできる。
【0050】
本発明のエチレン・α−オレフィン共重合体は、気相法、スラリー法、溶液法等で製造され、一段重合法、多段重合法など特に限定されるものではない。
【0051】
本発明の(A2)の他のエチレン系重合体の第1(A21)は、従来のイオン重合法によるチグラー型触媒またはフイリップス触媒(総称してチグラー型触媒という)で得られる密度が0.86〜0.96g/cm3のエチレン・α−オレフィン共重合体であって、具体的には線状中密度ポリエチレン(MDPE)、線状低密度ポリエチレン(LLDPE)、線状超低密度ポリエチレン(VLDPE)等が挙げられる。
【0052】
本発明のチグラー型触媒による線状中・低密度ポリエチレン(MDPE、LLDPE)とは、密度が0.91〜0.96g/cm3、好ましくは0.91〜0.94g/cm3(LLDPE)の範囲であり、MFRが0.1〜20g/10分、好ましくは0.5〜15g/10分、さらに好ましくは0.7〜10g/10分の範囲で選択される。溶融張力は0.3〜15.0g、好ましくは0.4〜7.0g、さらに好ましくは0.5〜5.0gである。Mw/Mnは2.5〜6、好ましくは3〜5.5である。
【0053】
本発明のチグラー型触媒による線状超低密度ポリエチレン(VLDPE)とは、密度が0.86〜0.91g/cm3未満、好ましくは0.88〜0.905g/cm3、MFRは0.1〜20g/10分、好ましくは0.5〜10g/10分の範囲で選択される。
【0054】
該線状超低密度ポリエチレン(VLDPE)は、線状低密度ポリエチレン(LLDPE)とエチレン・α−オレフィン共重合体ゴム(EPR、EPDM)との中間の性状を示すポリエチレンを有しており、好ましくは密度0.86〜0.91g/cm3、示差走査熱量測定法(DSC)による最大ピーク温度(Tm)が60℃以上、かつ、好ましくは沸騰n−ヘキサン不溶分10重量%以上の性状を有する特定のエチレン・α−オレフィン共重合体であり、少なくともチタンおよび/またはバナジウムを含有する固体触媒成分と有機アルミニウム化合物とからなる触媒を用いて重合され、線状低密度ポリエチレンが示す高結晶部分とエチレン・α−オレフィン共重合体ゴムが示す非晶部分とを合わせ持つ樹脂であって、前者の特徴である機械的強度、耐熱性などと、後者の特徴であるゴム状弾性、耐低温衝撃性などがバランスよく共存している。
【0055】
上記チグラー型触媒によるエチレン・α−オレフィン共重合体のα−オレフィンとしては、炭素数3〜12、好ましくは3〜10の範囲であって、具体的にはプロピレン、ブテン−1、4−メチルペンテン−1、ヘキセン−1、オクテン−1、デセン−1、ドデセン−1等を挙げることができる。
【0056】
これらα−オレフィンの含有量は40モル%以下の範囲で選択されることが好ましい。
【0057】
本発明の、他のエチレン系重合体の第2(A22)は、高圧ラジカル重合による分岐状低密度ポリエチレン(HPLDPE)、エチレン・ビニルエステル共重合体、エチレン・α、β−不飽和カルボン酸またはその誘導体との共重合体である。
【0058】
上記HPLDPEは、MFRは0.1〜20g/10分、好ましくは0.5〜15g/10分、さらに好ましくは1.0〜10g/10分である。この範囲内であれば組成物の溶融張力が適切な範囲となりフィルム成形がし易い。また密度は0.91〜0.94g/cm3、好ましくは0.912〜0.935g/cm3、さらに好ましくは0.912〜0.930g/cm3であり、溶融張力は1.5〜25g、好ましくは3〜20g、さらに好ましくは3〜15gである。溶融張力は樹脂の弾性項目であり、上記の範囲であれば中空成形、フィルム成形などの場合では成形し易い。
【0059】
また、Mw/Mnは3.0〜10、好ましくは4.0〜8.0である。
【0060】
本発明のエチレン・ビニルエステル共重合体とは、高圧ラジカル重合法で製造されるエチレンを主成分とするプロピオン酸ビニル、酢酸ビニル、カプロン酸ビニル、カプリル酸ビニル、ラウリル酸ビニル、ステアリン酸ビニル、トリフルオル酢酸ビニルなどのビニルエステル単量体との共重合体である。これらの中でも特に好ましいものとしては、酢酸ビニル(EVA)を挙げることができる。すなわち、エチレン50〜99.5重量%、ビニルエステル0.5〜50重量%、他の共重合可能な不飽和単量体0〜49.5重量%からなる共重合体が好ましい。特にビニルエステル含有量は3〜20重量%、好ましくは5〜15重量%の範囲である。
【0061】
これら共重合体のMFRは、0.1〜20g/10分、好ましくは0.3〜10g/10分であり、溶融張力は2.0〜25g、好ましくは3〜20gである。
【0062】
本発明のエチレンとα,β−不飽和カルボン酸またはその誘導体との共重合体の代表的な例としては、エチレン・(メタ)アクリル酸またはそのアルキルエステル共重合体が挙げられ、これらのコモノマーとしては、アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸メチル、メタクリル酸メチル、アクリル酸エチル、メタクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、メタクリル酸プロピル、アクリル酸イソプロピル、メタクリル酸イソプロピル、アクリル酸−n−ブチル、メタクリル酸−n−ブチル、アクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸ラウリル、メタクリル酸ラウリル、アクリル酸ステアリル、メタクリル酸ステアリル、アクリル酸グリシジル、メタクリル酸グリシジル等を挙げることができる。この中でも特に好ましいものとして(メタ)アクリル酸のメチル、エチル(EEA)等のアルキルエステルを挙げることができる。特に(メタ)アクリル酸エステル含有量は3〜20重量%、好ましくは5〜15重量%の範囲である。
【0063】
これら共重合体のMFRは、0.1〜20g/10分、好ましくは0.3〜10g/10分であり、溶融張力は2.0〜25g、好ましくは3〜20gである。
【0064】
上記(A2)成分と(A)成分(これを(A1)成分とする)の配合割合は(A1)成分100〜20重量%、(A2)成分80重量%以下であり、衝撃強度、耐環境応力劣化性、透明性等を重視する場合は(A1)成分を主成分とすることが望ましいが、強度、透明性をある程度保有し、かつ加工性、経済性を考慮した場合には(A2)成分を適度に配合することが望ましい。押し出し成形によって成形品を得る場合は、(A1)成分の溶融張力が小さいため、ダイスウェルが小さくなってパリソンや溶融時のパイプが不安定となる傾向にあり(A2)成分の配合が望ましく、特に(A22)成分を5〜10重量%添加するのが望ましい。またT−ダイ成形や押出ラミネートではネックインによるフィルム両端耳部の肉厚不均一が発生して歩留りが悪くなるため、やはり同程度の添加が望ましい。
【0065】
本発明に使用される(B)成分の酸化防止剤としては、後記するように、ヒンダードフェノール化合物と有機ホスファイト化合物および/または有機ホスフォナイト化合物の組み合わせが用いられる。ヒンダードフェノール系酸化防止剤の具体例としては、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール、2−t−ブチル−4−メトキシ−フェノール、n−オクタデシル−3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、2,2’−エチリデン−ビス(2,4−t−ブチルフェノール)、4,4’−チオビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)イソシアヌレート、トリス(4−t−ブチル−2,6−ジ−メチル−3−ヒドロキシベンジル)イソシアヌレート、テトラキス−〔メチレン−3−(3’,5’−ジ−t−ブチル)−4’−ヒドロキシ−フェニル)プロピオネート〕メタン、3,9−ビス〔1,1−ジ−メチル−2−{β−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ}エチル〕−2,4,8,10−テトラオキザスピロ〔5,5〕ウンデカンなどがある。特に3,9−ビス〔1,1−ジ−メチル−2−{β−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ}エチル〕−2,4,8,10−テトラオキザスピロ〔5,5〕ウンデカン、トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)イソシアヌレート、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼンは長期保存時にも色相の変化が少ないため、好ましく使用される。これらはエチレン・α−オレフィン共重合体組成物100重量部に対して0.01〜1.0重量部、好ましくは0.02〜0.3重量部添加され使用される。0.01重量部未満であると酸化防止効果がなく樹脂が熱劣化しやすく、1重量部を超えても効果は頭打ちとなり不経済であるのみか色相悪化の原因となる。
【0066】
有機ホスファイト化合物としては、下記一般式(II)または(III)で表される有機亜りん酸エステル化合物等が挙げられる。
【0067】
【化2】
【0068】
(R1、R2、R3はお互いに同一または異なる水素またはアルキル基、アリール基、アルカリール基、アラルキル基またはアルキルチオ基を表す)
【0069】
【化3】
【0070】
(R4、R5はお互いに同一または異なるアリール基またはアルカリール基を示す)
【0071】
一般式(II)で表されるホスファイトを例示すると、トリスイソデシルホスファイト、トリストリデシルホスファイト、トリフェニルホスファイト、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト、トリスノニルフェニルホスファイト、トリス(ミックスドモノ、ジノニルフェニル)ホスファイト、トリスビフェニルホスファイト、トリシクロヘキシルホスファイト、ジフェニルイソデシルホスファイト、トリラウリルトリチオホスファイト、トリス(オクチルチオプロピル)ホスファイト、ジラウリルハイドロゲンホスファイト等が挙げられる。
【0072】
一般式(III)で表されるホスファイトを例示すると、ビストリデシルペンタエリスリトールジホスファイト、ジステアリルペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(ノニルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ジ(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ジ(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチル)ペンタエリスリトールジホスファイト等が挙げられる。
【0073】
一般式(II)、(III)以外のホスファイトとしては、4,4’−イソプロピリデン−ジフェノールアルキルホスファイト、テトラトリデシル4,4’−ブチリデンビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)ジホスファイト、ヘキサトリデシル1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)ブタントリホスファイト等が挙げられる。
【0074】
有機ホスフォナイト化合物としては、下記一般式(IV)または(V)で表されるホスフォナイト化合物が例示される。
【0075】
【化4】
【0076】
〔式中R6、R7はそれぞれ同一かまたは異なる炭素数1〜4の炭化水素である。〕
【0077】
【化5】
【0078】
〔式中R8、R9、R10はそれぞれ同一かまたは異なる炭素数1〜4の炭化水素である。〕
【0079】
前記一般式(V)で表される代表的な化合物として、テトラキス(2,4−ジ−ブチルフェニル)−4,4’−ビフェニレンホスフォナイトが挙げられる。
【0080】
本発明に使用する上記成分の配合割合は、ポリオレフィン100重量部に対して0.005〜5重量部、好ましくは0.01〜2重量部である。0.005重量部未満であると酸化防止効果がなく樹脂が熱劣化しやすく、5重量部を超えても効果は頭打ちとなり不経済であるのみか色相悪化の原因となる。
【0081】
前記の有機ホスファイト化合物、有機ホスフォナイト化合物はフェノール系酸化防止剤と併用することにより、相乗効果により組成物の熱に対する安定性、特に高温成形時の耐熱性が著しく向上する。またフェノール系酸化防止剤は、長く保存されたり、高温高湿度下では経時変下によって黄変するが、これら有機ホスファイト化合物、有機ホスフォナイト化合物を併用することによって、色安定性が著しく改良されこれらの効果を考え併用して添加することが望ましいものである。
【0082】
本発明に使用される(C)成分である高級脂肪酸金属塩としては、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸などの脂肪酸とリチウム、ナトリウム、マグネシウム、カルシウム、亜鉛等の金属との塩が挙げられるが、特にステアリン酸カルシウムが望ましい。これらの脂肪酸金属塩は触媒残渣に含まれる塩素を吸収し、押し出し機や金型に対する防錆効果を有するのみでなく、溶融樹脂と金属との摩擦を低減し、成形機内での樹脂の滞留を少なくして熱劣化によるフィッシュアイの生成を防ぐ効果も有するためさらに添加することが好ましい。またこれらは同時に樹脂の加熱時の色相の悪化を防止するために、高級脂肪酸金属塩と脂肪酸との混合物としても用いられる。これらの脂肪酸としては上記脂肪酸などが例示され、これらの中ではステアリン酸とステアリン酸カルシウムの1:1混合物が最も好ましく使用される。本発明に使用する上記(C)成分の配合量は、ポリオレフィン100重量部に対して、0.05〜5重量部、好ましくは0.1〜2重量部である。0.05重量部未満であると防錆効果なく、5重量部を超えても効果は頭打ちとなるばかりか異物発生、色相悪化の原因となる。
【0083】
本発明に使用される(C)成分のハイドロタルサイト類は次式で示される複塩化合物である。
【0084】
(M2+)1−xAlx(OH)2(An−)x/n・mH2O
【0085】
(ここで0<x≦0.5、m:実数
M2+:Mg、CaまたはZn、
An−:n値の陰イオン)
【0086】
これらの化合物としては天然品及び合成品のいずれも用いられるが、とくにM2+がMg、An−がCO3 2−である合成品が望ましい。本発明に使用する上記成分の配合組成は、ポリオレフィン100重量部に対して、0.01〜1重量部、好ましくは0.02〜0.08重量部である。この化合物中の炭酸塩は容易に塩素と置換され、触媒成分として残っている塩素を吸収して塩素による金属腐食を低減させる作用がある。0.01重量部未満であると防錆効果がなく、1重量部を超えても効果は頭打ちとなるばかりかゲルや色相悪化の原因となる。また該成分は前記高級脂肪酸の金属塩と併用して用いると単独で用いた場合に比べ少ない添加量で耐熱劣化を改良する効果があり好ましい。なお塩素を含まない触媒を用いて重合した場合、この成分の添加を省くことができる。
【0087】
本発明の(D)ピペリジル基を有するヒンダードアミン系化合物は、前記(B)成分の内少なくともフェノール系酸化防止剤に加えて添加すると、前記酸化防止剤の性能を相乗的に改良されるものであり、前記成分に加えて添加することが望ましい。該化合物は中でも下記一般式Iで表される2,2,6,6−テトラメチルピペリジル基を有する化合物であるものが好ましい。
【0088】
【化6】
【0089】
(但しR1は、水素、アルキル、アルケニル、アラルキルまたはアルコキシル基を、R2は水素、酸素を表す。)
【0090】
一般式IのR2が水素の場合はH2を意味し、酸素の場合は=Oを意味する。一般式Iが結合する残基は特に制限されずカルボン酸残基やアミン残基等がある。
【0091】
ピペリジルを有するヒンダードアミン系化合物を具体的に例示すると、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、テトラキス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート、ビス(2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)−ジ(トリデシル)−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート、1−(2−ヒドロキシエチル)−2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルエタノールとコハク酸ジメチルの重縮合物、1,6−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルアミノ)ヘキサンと2,4−ジクロロ−6−t−オクチルアミノ−s−トリアジンの重縮合物、ポリ〔{6−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)イミノ−1,3,5−トリアジン−2,4−ジイル)}{2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ}ヘキサメチレン{2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ}、ビス−〔1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル〕セバケート、2−{3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−2−ブチルマロン酸ビス1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)、ミックスド{1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル/トリデシル}−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート、ミックスド{1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル/β,β,β’,β’テトラメチル−3,9−〔2,4,8,10−テトラオキザスピロ(5,5)ウンデカン〕ジエチル}−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート、ビス(1−オクチルオキシ−2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート等が挙げられる。
【0092】
なお、本発明の組成物に、紫外線吸収剤を添加することによって、その耐候性を改善することができる。紫外線吸収剤の具体例としては、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−オクトキシベンゾフェノン、5,5’−メチレンビス(2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン)等の2−ヒドロキシベンゾフェノン類、2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−t−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−t−ブチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’−t−ブチル−5’−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2,2’−メチレンビス(4−t−オクチル−ベンゾトリアゾール)フェノール等のベンゾトリアゾール類、レゾルシノールモノベンゾエート、2,4−ジ−t−ブチルフェニル−3’−5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシベンゾエート、ヘキサデシル−3−5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンゾエート等のベンゾエート類が挙げられる。
【0093】
本発明における共重合体組成物は成形加工時における熱劣化や色相の悪化が少なく、また押出機のスクリューやバレルあるいは金型の腐食を起こしにくい組成物であって、射出成形、中空成形、フィルム成形に適し、各種容器、蓋、瓶、パイプ、包材等に使用される。
【0094】
なお、本発明の組成物には、前記の成分の他に必要に応じて重金属不活性剤、造核剤、金属石鹸、酸吸収剤、顔料、充填剤、可塑剤、エポキシ化合物、発泡剤、難燃剤、加工助剤、極性基含有ポリオレフィン等を包含させることができる。
【0095】
【実施例】
次に実施例により本発明を更に詳しく説明するが、本発明はこれらによって限定されるものではない。なお行った試験法を以下に示す。
【0096】
(物性試験方法)
密度 :JIS K6760に準拠した。
メルトフローレート :JIS K6760に準拠した。
熱安定性(劣化時間):東洋精機製ラボプラストミルにて空気気流中でペレットを210℃で混練、トルクが急激に上昇する迄の時間を測定して酸素誘導期間とした。
色安定性 :厚さ2mmのプレスシートを、温度80℃、相対湿度90%の恒温恒湿槽に2週間暴露した後、黄色度(JISK7103による)を測定し、暴露前の初期黄色度との変化率(色度差)の少ないものが優れたものである。
錆試験 :ペレットを230℃のオイルバス中で窒素気流下3時間で溶融後、溶融樹脂に軟鉄板を2時間浸漬し、軟鉄板をとりだし、鉄板に付着した樹脂を引き剥した後、80℃、相対湿度90%の恒温恒湿槽に該鉄板を20時間放置し、錆を促進させる。さらにシリカゲル入りのデシケーター中で1日間乾燥させて、軟鉄板の重量増加量(mg)をもって錆発生量とした。
引張衝撃試験 :下記の条件にて射出成形した1.5mm厚のシートを作成し、MDおよびTD方向にS型ダンベルを打ち抜き、ASTMD1822に従い強度を測定した。
耐環境応力劣化性(ESCR):熱プレスにより厚さ3.0mmのシートを作成し、ASTMD1693に従って測定した。全試料の半分にクラックが入った時間で表示した。
スパイラルフロー試験 :樹脂温度の少々の低下によりショートショットの起こし易さの目安として行った。
射出成形機にスパイラルフロー用金型を取り付け、下記の射出条件で金型内の流動性を測定した。スパイラルフロー長さが長いものほど外観不良を起こしにくい。
【0097】
(射出成形条件)
【0098】
(エチレン・α−オレフィン共重合体Aの重合)
固体触媒の調製
窒素下で電磁誘導攪拌機付き触媒調製器(No.1)に精製トルエンを加え、ついでジプロポキシジクロロジルコニウム(Zr(OPr)2Cl2)28gおよびメチルシクロペンタジエン48gを加え、0℃に系を保持しながらトリデシルアルミニウムを45gを滴下し、滴下終了後、反応系を50℃に保持して16時間攪拌した。この溶液をA液とする。次に窒素下で別の攪拌器付き触媒調製器(No.2)に精製トルエンを加え、前記A溶液と、ついでメチルアルミノキサン6.4molのトルエン溶液を添加し反応させた。これをB液とする。
【0099】
次に窒素下で攪拌器付き調製器(No.1)に精製トルエンを加え、ついであらかじめ400℃で所定時間焼成処理したシリカ(富士デビソン社製、グレード#952、表面積300m2/g)1400gを加えた後、前記B溶液の全量を添加し、室温で攪拌した。ついで窒素ブローにて溶媒を除去して流動性の良い固体触媒粉末を得た。これを触媒Cとする。
【0100】
試料A1の重合
連続式の流動床気相法重合装置を用い、重合温度70℃、全圧20kgf/cm2Gでエチレンと1−ブテンの共重合を行った。前記触媒Cを連続的に供給して重合を行い、系内のガス組成を一定に保つため、各ガスを連続的に供給しながら重合を行った。
【0101】
なお、生成した共重合体の物性は以下に示した。
【0102】
(エチレン・α−オレフィン共重合体M1の重合)
攪拌機を付したステンレス製オートクレーブを窒素置換し、精製トルエンを入れた。次いで、ブテン−1を添加し、更にブス(n−ブチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロライド(Zrとして0.02mモル)メチルアルモキサン〔MAO〕(MAO/Zr=100〔モル比〕)の混合溶液を加えた後、80℃に昇温した。次にエチレンを張り込み重合を開始した。エチレンを連続的に重合しつつ全圧を維持しながら1時間重合を行った。なお、後述の実施例に必要な量はこれらの重合を繰り返し製造した。得られたエチレン・ブテン−1共重合体の物性は以下の通りであった
【0103】
【0104】
使用した樹脂
A1 :前記
A21:チグラー触媒による線状低密度ポリエチレン
(密度=0.923g/cm3、MFR=8.0g/10分、
商品名:日石リニレックスBJ5310 日本石油化学(株)製)
A22:高圧ラジカル重合による低密度ポリエチレン
(密度=0.920g/cm3、MFR=5.5g/10分、
商品名:日石レクスロンJ40、日本石油化学(株)製)
M1 :前記
【0105】
使用した添加剤
成分(B)
ヒンダードフェノール系酸化防止剤
B−1:2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール(商品名BHT、吉富製薬(株)製)
B−2:テトラキス−〔メチレン−3−(3’,5’−ジ−t−ブチル)−4’−ヒドロキシ−フェニル)プロピオネート〕メタン(商品名イルガノックス1010、チバガイギー(株)製)
ホスファイト系酸化防止剤
B−3:トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト(商品名イルガフォス168、チバガイギー(株)製)
ホスフォナイト系酸化防止剤
B−4:テトラキス(2,4−ジ−t−ブチル−5−メチル)−4,4’−ビフェニレンホスフォナイト(商品名GSY−P101、吉富製薬(株)製)
硫黄系酸化防止剤
AO−1:ジラウリル−3,3’チオジプロピオネート(商品名DLTP「ヨシトミ」、吉富製薬(株)製)
成分(C)
C−1:ステアリン酸カルシウム((株)耕正製)
C−2:ハイドロタルサイト(DHT−4A、協和化学(株)製)
成分(D)
D−1:ポリ〔{6−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)イミノ−1,3,5−トリアジン−2,4−ジイル)}{2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ}ヘキサメチレン{2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ}(商品名キマソーブ944LD、チバガイギー(株)製)
D−2:ミックスド{1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル/β,β,β’,β’テトラメチル−3,9−〔2,4,8,10−テトラオキザスピロ(5,5)ウンデカン〕ジエチル}−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート(商品名アデカスタブLA−63、旭電化(株)製)
【0106】
実験例1
表1の実験例1〜14は成分(B)を添加し、熱劣化に対する効果を調べたものである。
【0107】
実験例1は前記共重合体(A1)の粉末に(B1)を0.1重量部添加しヘンシェルミキサーで約30秒間混合後に押出機で造粒した。このペレットを前記の条件で熱劣化時間測定を行うとともに、残りをミリングロールで均一化した後、切断してチップ状とし、これを180℃でプレス成形しシートを得た。このシートについては前記の方法で色安定性、引張衝撃試験、ESCR、スパイラルフロー試験を行った。結果を表1に示した。耐熱安定性、引張衝撃強度、ESCR、スパイラルフロー試験のいずれも良好である。
【0108】
実験例2
表1に示した組成で実験例1と同様の操作を行い、結果を併せて表1に示した。耐熱安定性、引張衝撃強度、ESCR、スパイラルフロー試験のいずれも良好である。
【0109】
実験例3〜7
表1に示した組成で実験例1と同様の操作を行い、結果を併せて表1に示した。耐熱安定性、色安定性、引張衝撃強度、ESCR、スパイラルフロー試験のいずれも良好である。B成分としてフェノール系とホスファイト系あるいはホスフォナイト系を併用した実験例5、6は中でも耐熱安定性が優れている。
【0110】
実験例8
成分(B)を加えずに実験例1と同様の操作を行い、結果を表1に示した。耐熱安定性が不良である。
【0111】
実験例9
樹脂成分として(A21)を用い、(B)成分を加えずに実験例1と同様の操作を行い、結果を表1に示した。耐熱安定性が不良で引張衝撃強度が低い。
【0112】
実験例10
樹脂成分として(A21)を用いて実験例5と同様の操作を行い、結果を表1に示した。引張衝撃強度が不良である。
【0113】
実験例11
樹脂成分として(A22)を用い、(B)成分を加えずに実験例1と同様の操作を行い、結果を表1に示した。耐熱安定性、引張衝撃強度、ESCRが不良である。
【0114】
実験例12
樹脂成分として(A22)を用い、実験例1と同様の操作を行い、結果を表1に示した。引張衝撃強度、ESCRが不良である。
【0115】
実験例13
樹脂成分として(M1)を用い、(B)成分を加えず実験例1と同様の操作を行い、結果を表1に示した。耐熱安定性が悪く、またスパイラルフロー長さが短く、スパイラルフロー長さを実験例1と同程度にするには成形温度を約20℃上げる必要があり、成形条件の許容範囲が狭い。
【0116】
実験例14
樹脂成分として(M1)を用い、実験例5と同様の操作を行い、結果を表1に示した。スパイラルフロー試験が不良である。
【0117】
実験例15〜19
表2の実験例15〜19はさらに(C)成分を添加した場合の錆発生に対する効果を調べたものである。
実験例15〜17は色安定性、耐熱安定性、引張衝撃強度、ESCRとともに錆発生も良好である。
実験例18は(C)成分を添加していない実験例6を実験例13〜15と比較したものである。表2に示したように錆発生量が多い。
実験例19は(A21)成分、(B2)(B4)成分からなるものである。引張衝撃強度、錆発生量が不良である。
【0118】
実験例20〜29
表3の実験例20〜29はさらに(D)成分を添加した場合の耐熱安定性に対する相乗効果を調べたものである。
実験例20〜21は色安定性、ESCR、錆発生とも良好であり、耐熱性は(D)成分を添加していない実験例22よりさらに良好である。
実験例23は(C)成分として(AO−1)を添加したものに(D)を加えたものである。耐熱安定性の向上はわずかである。
実験例24〜27は表に示した樹脂成分に(B)、(C)、(D)成分を加えたものである。耐熱性、色安定性、錆試験、引張衝撃強さ、ESCR、スパイラルフロー試験のいずれも良好である。
実験例28は(A)成分として(A21)を用い(B)、(C)、(D)成分を加えたものである。引張衝撃強さが劣る。
実験例29は(A)成分として(M1)を用い(B)、(C)、(D)成分を加えたものである。スパイラルフロー試験が不良である。
【0119】
【発明の効果】
分子量分布が狭く、適度な広さの組成分布を有するエチレン・α−オレフィン共重合体に酸化防止剤を添加することにより、エチレン・α−オレフィン共重合体の優れた衝撃強度、耐環境応力劣化性、透明性等の特性を損なわず加工時の熱劣化が少なくなおかつ長期保存後の色相の悪化をきたさない組成物を提供することを目的とする。さらにこれらの組成物に特定のテトラメチルピペリジル基を有する化合物を加えることによって、前記の特性を損なうことなく、さらに相乗的に耐熱性を向上させることにある。また該組成物に酸吸収剤を加えることによって衝撃強度、耐環境応力劣化性、透明性、成形加工性、加工時の熱劣化性、色相が良好で押出機や金型の腐食の少ない組成物を提供することができる。
【0120】
【表1】
【0121】
【表2】
【0122】
【表3】
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明で用いる共重合体のTREFにより求めた溶出温度−溶出量曲線。
【図2】メタロセン触媒による共重合体のTREFにより求めた溶出温度−溶出量曲線。
Claims (9)
- 下記(a)〜(f)の性状を満足するエチレンと炭素数3〜20のα−オレフィンとの共重合体(A1)100〜20重量%と他のエチレン系重合体(A2)0〜80重量%の樹脂成分(A)100重量部に対して(B)ヒンダードフェノール化合物0.01〜1.0重量部と有機ホスファイト化合物および/または有機ホスフォナイト化合物0.005〜0.5重量部を含むことを特徴とするエチレン・α−オレフィン共重合体組成物。
〔エチレン−α・オレフィン共重合体A1〕
〈性状〉
(a)密度 0.86〜0.96g/cm3
(b)メルトフローレート(MFR) 0.01〜50g/10min
(c)分子量分布(Mw/Mn) 1.8〜3.5
(d)組成分布パラメーターCb 1.10〜2.00
(e)25℃におけるオルソジクロロベンゼン(ODCB)可溶分の量X(重量%)と密度dおよびMFRが次の関係を満足すること
(式1)
イ)d−0.008×logMFR≧0.93の場合
X < 2.0
ロ)d−0.008×logMFR<0.93の場合
X<9.8×103×(0.9300−d+0.008×logMFR)2+2.0
(f)連続昇温溶出分別法(TREF)による溶出温度−溶出量曲線のピークが複数個を有し、該複数のピークの中の高温側のピークが85〜100℃の範囲にあること - 前記エチレン-α・オレフィン共重合体(A1)が、下記(E1)〜(E5)の触媒成分を相互に接触させて得られる触媒を用いて製造されたことを特徴とする請求項1に記載のエチレン-α・オレフィン共重合体組成物。
〈触媒成分〉
(E1):Me1R1 p(OR2)qX1 4- p - q
(式中Me1はZr、Ti、Hfを示し、R1およびはR2は各々炭素数1〜24の炭素水素基、X1は、ハロゲン原子を示し、pおよびqは各々0≦p+q≦4の範囲を満たす整数である)
(E2):Me2R3 m(OR4)nX2 z - m - n
(式中Me2は周期律表第I〜III族元素、R3およびR4は各々炭素数1〜24の炭化水素基、X2はハロゲン原子または水素原子(ただし、X2が水素原子の場合はMe2は周期律表第III族元素の場合に限る)を示し、zはMe2の価数を示し、mおよびnは各々0≦m≦z、0≦n≦zの範囲を満たす整数であり、かつ、0≦m+n≦zである
(E3):共役二重結合をもつ有機環状化合物
(E4):有機アルミニウム化合物と水との反応によって得られるAl−O−Al結合を含む変性有機アルミニウム化合物
(E5):無機担体および/または粒子状担体 - 請求項1又は2に記載の組成物がさらに、樹脂成分100重量部に対して(C)高級脂肪酸金属塩0.05〜5重量部またはハイドロタルサイト類0.01〜1重量部から選ばれる1種以上の化合物を含むエチレン・α−オレフィン共重合体組成物。
- 前記組成物中の錆発生量が0.3mg以下であることを特徴とする請求項3に記載のエチレン・α−オレフィン共重合体組成物。
- 請求項1〜4のいずれか一項に記載の組成物がさらに、(D)ピペリジル基を有するヒンダードアミン系化合物を含むエチレン・α−オレフィン共重合体組成物。
- 前記他のエチレン系重合体(A2)が下記(A21)、(A22)から選択される少なくとも1種であることを特徴とする請求項1〜6の少なくともいずれか1項に記載のエチレン・α−オレフィン共重合体組成物。
〔エチレン系重合体〕
(A21)密度0.86〜0.96g/cm3のチグラー型触媒によるエチレン・α−オレフィン共重合体
(A22)高圧ラジカル重合による低密度ポリエチレン、エチレン・ビニルエステル共重合体、エチレンとα、β−不飽和カルボン酸またはその誘導体との共重合体 - 下記(a)〜(f)の性状を満足するエチレンと炭素数3〜20のα−オレフィンとの共重合体(A1)100〜20重量%と他のエチレン系重合体(A2)0〜80重量%の樹脂成分(A)100重量部に対して(B)ヒンダードフェノール化合物0.01〜1.0重量部と有機ホスファイト化合物および/または有機ホスフォナイト化合物0.005〜0.5重量部を含むことを特徴とするエチレン・α−オレフィン共重合体組成物の製造方法。
〔エチレン−α・オレフィン共重合体A1〕
〈性状〉
(a)密度 0.86〜0.96g/cm3
(b)メルトフローレート(MFR) 0.01〜50g/10min
(c)分子量分布(Mw/Mn) 1.8〜3.5
(d)組成分布パラメーターCb 1.10〜2.00
(e)25℃におけるオルソジクロロベンゼン(ODCB)可溶分の量X(重量%)と密度dおよびMFRが次の関係を満足すること
(式1)
イ)d−0.008×logMFR≧0.93の場合
X < 2.0
ロ)d−0.008×logMFR<0.93の場合
X<9.8×103×(0.9300−d+0.008×logMFR)2+2.0
(f)連続昇温溶出分別法(TREF)による溶出温度−溶出量曲線のピークが複数個を有し、該複数のピークの中の高温側のピークが85〜100℃の範囲にあること - 前記エチレン-α・オレフィン共重合体(A1)を、下記(E1)〜(E5)の触媒成分を相互に接触させて得られる触媒を用いて製造したことを特徴とする請求項1に記載のエチレン-α・オレフィン共重合体組成物の製造方法。
〈触媒成分〉
(E1):Me1R1 p(OR2)qX1 4- p - q
(式中Me1はZr、Ti、Hfを示し、R1およびはR2は各々炭素数1〜24の炭素水素基、X1は、ハロゲン原子を示し、pおよびqは各々0≦p+q≦4の範囲を満たす整数である)
(E2):Me2R3 m(OR4)nX2 z - m - n
(式中Me2は周期律表第I〜III族元素、R3およびR4は各々炭素数1〜24の炭化水素基、X2はハロゲン原子または水素原子(ただし、X2が水素原子の場合はMe2は周期律表第III族元素の場合に限る)を示し、zはMe2の価数を示し、mおよびnは各々0≦m≦z、0≦n≦zの範囲を満たす整数であり、かつ、0≦m+n≦zである
(E3):共役二重結合をもつ有機環状化合物
(E4):有機アルミニウム化合物と水との反応によって得られるAl−O−Al結合を含む変性有機アルミニウム化合物
(E5):無機担体および/または粒子状担体
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