JP4749595B2 - 安定化されたポリエチレン樹脂組成物 - Google Patents

安定化されたポリエチレン樹脂組成物 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、安定化されたポリエチレン樹脂組成物に関し、詳しくは、熱および酸化のみならず光に対しても極めて優れた安定性を有するポリエチレン樹脂組成物に関し、特に、直鎖状ポリエチレンなどからなるフィルム等に好適に供し得るポリエチレン樹脂組成物に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
チーグラー系触媒、フィリップス系触媒、シングルサイト系触媒等から得られるエチレン単独重合体、エチレン・α−オレフィン共重合体(直鎖状ポリエチレン)、高圧ラジカル法ポリエチレンなどのポリエチレン樹脂は、優れた物理的、化学的、電気的性質を有している。そのため、各種の加工方法により成形品、シート、フィルム、繊維などに加工され、多くの分野で使用されている。しかしながら、ポリエチレン樹脂は、熱、酸素および光の作用により劣化し、軟化、脆化、表面亀裂または変色などの現象を伴って、その機械的物性が著しく低下することは、よく知られている。
【0003】
このようなポリエチレン樹脂の劣化を抑制するために、従来より各種の安定剤が使用されている。例えば、熱および酸化による劣化を防止する目的で、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール、トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)イソシアヌレート、テトラキス〔メチレン−3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕メタン等をはじめとする各種のフェノール系化合物を用いることが知られている。
【0004】
また、これらフェノール系化合物による酸化防止性能をさらに向上させる目的で、これらフェノール系化合物とともに、例えば、ビス(2,4−ジ−t−ブチルフェニルペンタエリスリトールジホスファイト、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト、ビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ジステアリルペンタエリスリトールジホスファイト、テトラキス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)−4,4’−ビフェニレンジホスホナイト等のリン系化合物を併用することも知られている。
さらに、必要に応じて、ジラウリルチオジプロピオネート、ペンタエリスリトールテトラキス(3−ドデシルチオプロピオネート)等のイオウ系化合物を併用することも知られている。
【0005】
一方、光による劣化を防止する目的で、種々の耐光剤、例えば、ベンゾフェノン系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物、ニッケルキレート系化合物、ヒンダードアミン系化合物等を、単独でまたは組み合わせて使用することが知られている。
さらには、これら公知の安定剤を併用する提案も数多くなされている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来提案されているポリエチレン樹脂組成物は、熱および酸化に対してのみならず光に対しても同時に十分な安定性を有するものとはいいがたく、これら熱、酸化および光に対して優れた性能を有する安定剤処方の開発が強く望まれていた。
【0007】
よって、本発明の目的は、熱および酸化に対して優れた安定性を有すると同時に、光に対しても極めて優れた安定性を発揮するポリエチレン樹脂組成物であり、ポリエチレン樹脂としてチーグラー系触媒、シングルサイト系触媒等の配位触媒による直鎖状ポリエチレンが使用されたときに特に優れた安定性を発揮し、特にインフレーション法、Tダイ法等により成形される包装用フィルム、農業用フィルム等に有効なポリエチレン組成物を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、これらの目的を達成するために鋭意研究を行った結果、特定の高分子量タイプのヒンダードアミン系化合物、特定のヒンダードフェノール系化合物、および特定のリン系化合物を併用した場合、ポリエチレン樹脂組成物に非常に優れた安定性をもたらすことを見い出し、本発明を完成するに至った。
【0009】
すなわち、本発明のポリエチレン樹脂組成物は、ポリエチレン樹脂100重量部に対して、(A)下記(A−1)で示される繰り返し単位を有するヒンダードアミン系化合物0.01〜1重量部、(B)分子量500以上のヒンダードフェノール化合物0.01〜1重量部、および(C)下記(C−1)、(C−2)および(C−3)で示されるリン系化合物から選ばれる少なくとも1種のリン系化合物0.01〜1重量部を含有していることを特徴とする。(式中、Rは1,1,3,3−テトラメチルブチル基であり、nは2以上の整数である。)
【0010】
【化5】
Figure 0004749595
【0011】
【化6】
Figure 0004749595
【0012】
【化7】
Figure 0004749595
【0013】
【化8】
Figure 0004749595
【0014】
また、前記ポリエチレン樹脂は、直鎖状ポリエチレンを含んでいることが望ましい。
また、前記直鎖状ポリエチレンは、シングルサイト系触媒によって得られた密度が0.94g/cm3 以下、メルトフローレートが0.01〜100g/10分、分子量分布(Mw/Mn)が1.5〜4.5であることが望ましい。
さらに、前記ポリエチレン樹脂は、高圧ラジカル法ポリエチレン系樹脂を30重量%未満含んでいることが望ましい。
また、本発明のフィルムは、本発明のポリエチレン樹脂またはその樹脂組成物からなることを特徴とする。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明におけるポリエチレン樹脂は、チーグラー系触媒、フィリップス系触媒(クロム系触媒)、あるいはシングルサイト系触媒、メタロセン系触媒等の配位触媒を用いて製造されたポリエチレン樹脂、高圧ラジカル法ポリエチレンを包含し、その製造方法や製造触媒に限定されるものではない。
【0016】
該ポリエチレン樹脂としては、熱、酸化および光に対して特に優れた安定性を発揮する点で、エチレンの単独重合体、エチレンと、プロピレン、1−ブテン、1−ヘキセン、1−デセン、4−メチル−1−ペンテンなどのα−オレフィンとの共重合体等の直鎖状ポリエチレンが好ましい。
また、直鎖状ポリエチレンの中でも、熱、酸化および光に対してさらに優れた安定性を発揮する点で、チーグラー系触媒、フィリップス系触媒(クロム系触媒)、あるいはシングルサイト系触媒、メタロセン系触媒等の配位触媒よって得られるポリエチレン樹脂が好適に用いられる。
これら直鎖状ポリエチレンの中でも、包装用フィルム、農業用フィルム等のフィルムに適用する際には、シングルサイト触媒を用いて製造された直鎖状ポリエチレンが、ヘイズ、グロス、低温ヒートシール性等のフィルム性能に優れる点で、好ましい。
【0017】
また、シングルサイト触媒を用いて製造された直鎖状ポリエチレンの中でも、包装用フィルム、農業用フィルム等のフィルムでは、下記(a)〜(c)の要件を満足する特定のエチレン共重合体が好ましい。
該特定のエチレン(共)重合体の(a)密度は、0.94g/cm3 以下であり、好ましくは0.86〜0.935g/cm3 の範囲であり、より好ましくは0.90〜0.935g/cm3 の範囲である。密度が0.94g/cm3 を超えると、フィルムの透明性が低下し、また低温ヒートシール性などの物性が損なわれるおそれがある。一方、密度が低くなりすぎると、機械的強度が低下するおそれがある。
【0018】
また、特定のエチレン(共)重合体の(b)メルトフローレート(MFR)は、0.01〜100g/10分であり、好ましくは0.1〜50g/10分の範囲であり、より好ましくは0.5〜30g/10分の範囲である。MFRが0.01g/10分未満では成形加工性に難点を生じ、100g/10分を超えると機械的強度の低下を招くので好ましくはない。
【0019】
また、特定のエチレン(共)重合体の(c)分子量分布(Mw/Mn)は、1.5〜4.5の範囲であり、好ましくは1.5〜3.0の範囲であり、より好ましくは2.0〜3.0の範囲である。分子量分布(Mw/Mn)が1.5未満では成形加工性が悪化する虞が生じ、4.5を超えると機械的強度が低下する虞が生じる。
ここで、エチレン(共)重合体の分子量分布(Mw/Mn)は、ゲルパーミエイションクロマトグラフィー(GPC)により重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)を求め、それらの比(Mw/Mn)を算出することにより求めることができる。
【0020】
また、特定のエチレン(共)重合体は、例えば図1に示すように、(d)連続昇温溶出分別法(TREF)による溶出温度−溶出量曲線の積分溶出曲線から求めた全体の25%が溶出する温度T25と全体の75%が溶出する温度T75との差T75−T25および密度dが、下記(式1)の関係をさらに満足するものであることが好ましい。
(式1) T75−T25≦−670×d+644
75−T25と密度dが上記(式1)の関係を満足しない場合には、ヒートシール強度と耐熱性が劣るおそれがある。
【0021】
このTREFの測定方法は下記の通りである。まず、酸化防止剤(例えば、ブチルヒドロキシトルエン)を加えたODCBに試料を試料濃度が0.05重量%となるように加え、135℃で加熱溶解する。この試料溶液5mlを、ガラスビーズを充填したカラムに注入し、0.1℃/分の冷却速度で25℃まで冷却し、試料をガラスビーズ表面に沈着させる。次に、このカラムにODCBを一定流量で流しながら、カラム温度を50℃/hrの一定速度で昇温しながら、試料を順次溶出させる。この際、溶剤中に溶出する試料の濃度は、メチレンの非対称伸縮振動の波数2925cm-1に対する吸収を赤外検出機で測定することにより連続的に検出される。この値から、溶液中のエチレン(共)重合体の濃度を定量分析し、溶出温度と溶出速度の関係を求める。
TREF分析によれば、極少量の試料で、温度変化に対する溶出速度の変化を連続的に分析できるため、分別法では検出できない比較的細かいピークの検出が可能である。
【0022】
特定のエチレン(共)重合体は、さらに後述の(e)および(f)の要件を満足する(E1)エチレン(共)重合体、または、さらに後述の(g)の要件を満足する(E2)エチレン(共)重合体のいずれかであることが好ましい。
【0023】
(E1)エチレン(共)重合体の(e)25℃におけるODCB可溶分の量X(重量%)と密度dおよびMFRは、下記(式2)および(式3)の関係を満足しており、
(式2)d−0.008logMFR≧0.93の場合、
X<2.0
(式3)d−0.008logMFR<0.93の場合、
X<9.8×103×(0.9300−d+0.008logMFR)2+2.0
好ましくは、d−0.008logMFR≧0.93の場合、
X<1.0
d−0.008logMFR<0.93の場合、
X<7.4×103×(0.9300−d+0.008logMFR)2+1.0
の関係を満足しており、さらに好ましくは、d−0.008logMFR≧0.93の場合、
X<0.5
d−0.008logMFR<0.93の場合、
X<5.6×103×(0.9300−d+0.008logMFR)2+0.5
の関係を満足している。
【0024】
ここで、上記25℃におけるODCB可溶分の量Xは、下記の方法により測定される。試料0.5gを20mlのODCBにて135℃で2時間加熱し、試料を完全に溶解した後、25℃まで冷却する。この溶液を25℃で一晩放置後、ポリ四フッ化エチレン(テフロン(登録商標))製フィルターでろ過してろ液を採取する。試料溶液であるこのろ液を赤外分光器によりメチレンの非対称伸縮振動の波数2925cm-1付近の吸収ピーク強度を測定し、予め作成した検量線により試料濃度を算出する。この値より、25℃におけるODCB可溶分量が求まる。
【0025】
25℃におけるODCB可溶分は、エチレン(共)重合体に含まれる高分岐度成分および低分子量成分であり、耐熱性の低下や成形体表面のべたつきの原因となり、衛生性の問題や成形体内面のブロッキングの原因となる為、この含有量は少ないことが望ましい。また、低分子量成分は成形時の発煙の原因ともなる。ODCB可溶分の量は、共重合体全体のα−オレフィンの含有量および分子量、即ち、密度とMFRに影響される。従ってこれらの指標である密度およびMFRとODCB可溶分の量が上記の関係を満たすことは、共重合体全体に含まれるα−オレフィンの偏在が少ないことを示す。
【0026】
また、(E1)エチレン(共)重合体は、図2に示すように、(f)連続昇温溶出分別法(TREF)により求めた溶出温度−溶出量曲線において、ピークが複数個存在するものである。この複数のピーク温度は85℃から100℃の間に存在することが特に好ましい。このピークが存在することにより、融点が高くなり、また結晶化度が上昇し、成形体の耐熱性および剛性が向上する。
【0027】
(E2)エチレン(共)重合体は、図1に示すように、下記(g)の要件を満足するものである。
(g)連続昇温溶出分別法(TREF)による溶出温度−溶出量曲線のピークが一つであり、かつこの溶出温度−溶出量曲線の積分溶出曲線から求めた全体の25%が溶出する温度T25と全体の75%が溶出する温度T75との差T75−T25および密度dが、下記(式4)の関係を満足すること
(式4) d<0.950g/cm3のとき
75−T25≧−300×d+285
d≧0.950g/cm3のとき
75−T25≧0
上記(式4)の関係を満足しない場合には、低温ヒートシール性が劣るものとなる。
【0028】
また、(E2)エチレン(共)重合体は、さらに(h)融点ピークを1ないし2個有し、かつそのうち最も高い融点Tm1と密度dが、下記(式5)の関係を満足するものであることが好ましい。
(式5) Tm1≧150×d−17
融点Tm1と密度dが上記(式5)の関係を満足しないと、耐熱性が劣るものとなる。
【0029】
また、(E2)エチレン(共)重合体の中でも、さらに下記(i)の要件を満足するエチレン(共)重合体が好適である。
(i)メルトテンション(MT)とメルトフローレート(MFR)が、下記(式6)の関係を満足すること
(式6) logMT≦−0.572×logMFR+0.3
MTとMFRが上記(式6)の関係を満足することにより、フィルム成形等の成形加工性が良好なものとなる。
【0030】
ここで、(E1)エチレン(共)重合体は、図2に示されるように、連続昇温溶出分別法(TREF)により求めた溶出温度−溶出量曲線において実質的にピークが複数個の特殊なエチレン・α−オレフィン共重合体である。一方、図3は、連続昇温溶出分別法(TREF)により求めた溶出温度−溶出量曲線において、実質的にピークを1個有するエチレン・α−オレフィン共重合体を示したものであり、従来の典型的なメタロセン系触媒による共重合体がこれに該当する。また、(E2)エチレン(共)重合体はTREFピークが1つであるものの、従来の典型的なメタロセン系触媒による共重合体は(式4)を満足していないことから明確に区別されるものである。
【0031】
本発明における特定のエチレン(共)重合体は、前記のパラメーターを満足すれば触媒、製造方法等に特に限定されるものではないが、好ましくは少なくとも共役二重結合を持つ有機環状化合物と周期律表第IV族の遷移金属化合物を含む触媒の存在下に、エチレンを単独重合、またはエチレンとα−オレフィンを共重合させて得られる直鎖状のエチレン(共)重合体であることが望ましい。このような直鎖状のエチレン(共)重合体は、分子量分布および組成分布が狭いため、機械的特性に優れ、ヒートシール性、耐熱ブロッキング性等に優れ、しかも耐熱性の良い重合体である。
【0032】
本発明における特定のエチレン(共)重合体の製造は、特に以下のa1〜a4の化合物を混合して得られる触媒で重合することが望ましい。
a1:一般式Me11 p2 q(OR3r1 4-p-q-r で表される化合物(式中Me1 ジルコニウム、チタン、ハフニウムを示し、R1およびR3はそれぞれ炭素数1〜24の炭化水素基、R2 は、2,4−ペンタンジオナト配位子またはその誘導体、ベンゾイルメタナト配位子、ベンゾイルアセトナト配位子またはその誘導体、X1 はハロゲン原子を示し、p、qおよびrはそれぞれ0≦p≦4、0≦q≦4、0≦r≦4、0≦p+q+r≦4の範囲を満たす整数である)
a2:一般式Me24 m(OR5n2 z-m-n で表される化合物(式中Me2 は周期律表第I〜III 族元素、R4およびR5はそれぞれ炭素数1〜24の炭化水素基、X2はハロゲン原子または水素原子(ただし、X2が水素原子の場合はMe2 は周期律表第III 族元素の場合に限る)を示し、zはMe2 の価数を示し、mおよびnはそれぞれ0≦m≦z、0≦n≦zの範囲を満たす整数であり、かつ、0≦m+n≦zである)
a3:共役二重結合を持つ有機環状化合物
a4:Al−O−Al結合を含む変性有機アルミニウムオキシ化合物および/またはホウ素化合物
【0033】
以下、さらに詳説する。
上記触媒成分a1の一般式Me11 p2 q(OR3r1 4-p-q-r で表される化合物の式中、Me1 はジルコニウム、チタン、ハフニウムを示す。これらの遷移金属の種類は限定されるものではなく、複数を用いることもできる。中でも、耐候性に優れる共重合体が得られるジルコニウムが含まれることが特に好ましい。R1 およびR3 はそれぞれ炭素数1〜24の炭化水素基で、好ましくは炭素数1〜12、さらに好ましくは1〜8である。具体的にはメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基などのアルキル基;ビニル基、アリル基などのアルケニル基;フェニル基、トリル基、キシリル基、メシチル基、インデニル基、ナフチル基などのアリール基;ベンジル基、トリチル基、フェネチル基、スチリル基、ベンズヒドリル基、フェニルブチル基、ネオフィル基などのアラルキル基などが挙げられる。これらは分岐があってもよい。R2 は、2,4−ペンタンジオナト配位子またはその誘導体、ベンゾイルメタナト配位子、ベンゾイルアセトナト配位子またはその誘導体を示す。X1 はフッ素、ヨウ素、塩素および臭素などのハロゲン原子を示す。pおよびqはそれぞれ、0≦p≦4、0≦q≦4、0≦r≦4、0≦p+q+r≦4の範囲を満たすを整数である。
【0034】
上記触媒成分a1の一般式で示される化合物の例としては、テトラメチルジルコニウム、テトラエチルジルコニウム、テトラベンジルジルコニウム、テトラプロポキシジルコニウム、トリプロポキシモノクロロジルコニウム、テトラエトキシジルコニウム、テトラブトキシジルコニウム、テトラブトキシチタン、テトラブトキシハフニウムなどが挙げられ、特にテトラプロポキシジルコニウム、テトラブトキシジルコニウムなどのZr(OR)4 化合物が好ましく、これらを2種以上混合して用いても差し支えない。また、前記2,4−ペンタンジオナト配位子またはその誘導体、ベンゾイルメタナト配位子、ベンゾイルアセトナト配位子またはその誘導体の具体例としては、テトラ(2,4−ペンタンジオナト)ジルコニウム、トリ(2,4−ペンタンジオナト)クロライドジルコニウム、ジ(2,4−ペンタンジオナト)ジクロライドジルコニウム、(2,4−ペンタンジオナト)トリクロライドジルコニウム、ジ(2,4−ペンタンジオナト)ジエトキサイドジルコニウム、ジ(2,4−ペンタンジオナト)ジ−n−プロポキサイドジルコニウム、ジ(2,4−ペンタンジオナト)ジ−n−ブトキサイドジルコニウム、ジ(2,4−ペンタンジオナト)ジベンジルジルコニウム、ジ(2,4−ペンタンジオナト)ジネオフイルジルコニウム、テトラ(ジベンゾイルメタナト)ジルコニウム、ジ(ジベンゾイルメタナト)ジエトキサイドジルコニウム、ジ(ジベンゾイルメタナト)ジ−n−プロポキサイドジルコニウム、ジ(ジベンゾイルメタナト)ジ−n−ブトキサイドジルコニウム、ジ(ベンゾイルアセトナト)ジエトキサイドジルコニウム、ジ(ベンゾイルアセトナト)ジ−n−プロポキサイドジルコニウム、ジ(ベンゾイルアセトナト)ジ−n−ブトキサイドジルコニウム等が挙げられる。
【0035】
上記触媒成分a2の一般式Me24 m(OR5n2 z-m-n で表される化合物の式中、Me2 は周期律表第I〜III 族元素を示し、リチウム、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム、亜鉛、ホウ素、アルミニウムなどである。R4 およびR5 はそれぞれ炭素数1〜24の炭化水素基、好ましくは炭素数1〜12、さらに好ましくは1〜8であり、具体的にはメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基などのアルキル基;ビニル基、アリル基などのアルケニル基;フェニル基、トリル基、キシリル基、メシチル基、インデニル基、ナフチル基などのアリール基;ベンジル基、トリチル基、フェネチル基、スチリル基、ベンズヒドリル基、フェニルブチル基、ネオフイル基などのアラルキル基などが挙げられる。これらは分岐があってもよい。X2 はフッ素、ヨウ素、塩素および臭素などのハロゲン原子または水素原子を示すものである。ただし、X2 が水素原子の場合はMe2 はホウ素、アルミニウムなどに例示される周期律表第III 族元素の場合に限るものである。また、zはMe2 の価数を示し、mおよびnはそれぞれ、0≦m≦z、0≦n≦zの範囲を満たす整数であり、かつ、0≦m+n≦zである。
【0036】
上記触媒成分a2の一般式で示される化合物の例としては、メチルリチウム、エチルリチウムなどの有機リチウム化合物;ジメチルマグネシウム、ジエチルマグネシウム、メチルマグネシウムクロライド、エチルマグネシウムクロライドなどの有機マグネシウム化合物;ジメチル亜鉛、ジエチル亜鉛などの有機亜鉛化合物;トリメチルボロン、トリエチルボロンなどの有機ボロン化合物;トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリプロピルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、トリヘキシルアルミニウム、トリデシルアルミニウム、ジエチルアルミニウムクロライド、エチルアルミニウムジクロライド、エチルアルミニウムセスキクロライド、ジエチルアルミニウムエトキサイド、ジエチルアルミニウムハイドライドなどの有機アルミニウム化合物等の誘導体が挙げられる。
【0037】
上記触媒成分a3の共役二重結合を持つ有機環状化合物は、環状で共役二重結合を2個以上、好ましくは2〜4個、さらに好ましくは2〜3個有する環を1個または2個以上持ち、全炭素数が4〜24、好ましくは4〜12である環状炭化水素化合物;前記環状炭化水素化合物が部分的に1〜6個の炭化水素残基(典型的には、炭素数1〜12のアルキル基またはアラルキル基)で置換された環状炭化水素化合物;共役二重結合を2個以上、好ましくは2〜4個、さらに好ましくは2〜3個有する環を1個または2個以上もち、全炭素数が4〜24、好ましくは4〜12である環状炭化水素基を有する有機ケイ素化合物;前記環状炭化水素基が部分的に1〜6個の炭化水素残基またはアルカリ金属塩(ナトリウムまたはリチウム塩)で置換された有機ケイ素化合物が含まれる。特に好ましくは分子中のいずれかにシクロペンタジエン構造をもつものが望ましい。
【0038】
上記の好適な化合物としては、シクロペンタジエン、インデン、アズレンまたはこれらのアルキル、アリール、アラルキル、アルコキシまたはアリールオキシ誘導体などが挙げられる。また、これらの化合物がアルキレン基(その炭素数は通常2〜8、好ましくは2〜3)を介して結合(架橋)した化合物も好適に用いられる。
【0039】
環状炭化水素基を有する有機ケイ素化合物は、下記一般式で表示することができる。
LSiR4-L
ここで、Aはシクロペンタジエニル基、置換シクロペンタジエニル基、インデニル基、置換インデニル基で例示される前記環状水素基を示し、Rはメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基などのアルキル基;メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基などのアルコキシ基;フェニル基などのアリール基;フェノキシ基などのアリールオキシ基;ベンジル基などのアラルキル基で示され、炭素数1〜24、好ましくは1〜12の炭化水素残基または水素を示し、Lは1≦L≦4、好ましくは1≦L≦3である。
【0040】
上記成分a3の有機環状炭化水素化合物の具体例としては、シクロペンタジエン、メチルシクロペンタジエン、エチルシクロペンタジエン、1,3−ジメチルシクロペンタジエン、インデン、4−メチル−1−インデン、4,7−ジメチルインデン、ブチルシクロヘプタジエン、1−メチル−3−プロピルシクロペンタジエンとインデン、1−メチル−3−ブチルシクロペンタジエンとインデン、プロピルシクロペンタジエン、1−メチル−3−エチルシクロペンタジエン、1,2,4−トリメチルシクロペンタジエンシクロヘプタトリエン、メチルシクロヘプタトリエン、シクロオクタテトラエン、アズレン、フルオレン、メチルフルオレンのような炭素数5〜24のシクロポリエンまたは置換シクロポリエン、モノシクロペンタジエニルシラン、ビスシクロペンタジエニルシラン、トリスシクロペンタジエニルシラン、モノインデニルシラン、ビスインデニルシラン、トリスインデニルシラン、メチルシクロペンタジエントリメチルシランなどが挙げられる。
【0041】
本発明においては、a4:Al−O−Al結合を含む変性有機アルミニウム化合物および/またはホウ素化合物が使用される。
Al−O−Al結合を含む変性有機アルミニウムオキシ化合物の具体例としては、アルキルアルミニウム化合物と水とを反応させることにより得られる、通常アルミノキサンと称される変性有機アルミニウムオキシ化合物が挙げられる。この変性有機アルミニウムオキシ化合物としては、分子中に通常1〜100個、好ましくは1〜50個のAl−O−Al結合を含有するものが挙げられる。また、変性有機アルミニウムオキシ化合物は線状でも環状でもいずれでもよい。
【0042】
有機アルミニウムと水との反応は通常不活性炭化水素中で行われる。該不活性炭化水素としては、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、シクロヘキサン、ベンゼン、トルエン、キシレン等の脂肪族、脂環族、芳香族炭化水素が好ましい。
水と有機アルミニウム化合物との反応比(水/Alモル比)は通常0.25/1〜1.2/1、好ましくは0.5/1〜1/1であることが望ましい。
【0043】
ホウ素化合物としては、テトラ(ペンタフルオロフェニル)ホウ酸トリエチルアルミニウム、トリエチルアンモニウムテトラ(ペンタフルオロフェニル)ボレート、テトラ(ペンタフルオロフェニル)ホウ酸ジメチルアニリニウム、ジメチルアニリニウムテトラ(ペンタフルオロフェニル)ボレート、ブチルアンモニウムテトラ(ペンタフルオロフェニル)ボレート、N,N−ジメチルアニリニウムテトラ(ペンタフルオロフェニル)ボレート、N,N−ジメチルアニリニウムテトラ(3,5ージフルオロフェニル)ボレート等が挙げられる。
【0044】
上記触媒はa1〜a4を混合接触させて使用しても良いが、好ましくは無機担体および/または粒子状ポリマー担体(a5)に担持させて使用することが望ましい。
該無機物担体および/または粒子状ポリマー担体(a5)とは、炭素質物、金属、金属酸化物、金属塩化物、金属炭酸塩またはこれらの混合物あるいは熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂等が挙げられる。該無機物担体に用いることができる好適な金属としては、鉄、アルミニウム、ニッケルなどが挙げられる。
具体的には、SiO2、Al23、MgO、ZrO2、TiO2、B23、CaO、ZnO、BaO、ThO2等またはこれらの混合物が挙げられ、SiO2−Al23、SiO2−V25、SiO2−TiO2、SiO2−V25、SiO2 −MgO、SiO2−Cr23等が挙げられる。これらの中でもSiO2およびAl23からなる群から選択された少なくとも1種の成分を主成分とするものが好ましい。
また、有機化合物としては、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂のいずれも使用でき、具体的には、粒子状のポリオレフィン、ポリエステル、ポリアミド、ポリ塩化ビニル、ポリ(メタ)アクリル酸メチル、ポリスチレン、ポリノルボルネン、各種天然高分子およびこれらの混合物等が挙げられる。
【0045】
上記無機物担体および/または粒子状ポリマー担体は、このまま使用することもできるが、好ましくは予備処理としてこれらの担体を有機アルミニウム化合物やAl−O−Al結合を含む変性有機アルミニウム化合物などに接触処理させた後に成分a5として用いることもできる。
【0046】
本発明における特定のエチレン(共)重合体の製造方法は、前記触媒の存在下、実質的に溶媒の存在しない気相重合法、スラリー重合法、溶液重合法等で製造され、実質的に酸素、水等を断った状態で、ブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン等の脂肪族炭化水素、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン等の脂環族炭化水素等に例示される不活性炭化水素溶媒の存在下または不存在下で製造される。重合条件は特に限定されないが、重合温度は通常15〜350℃、好ましくは20〜200℃、さらに好ましくは50〜110℃であり、重合圧力は低中圧法の場合通常常圧〜70kg/cm2 G、好ましくは常圧〜20kg/cm2 Gであり、高圧法の場合通常1500kg/cm2 G以下が望ましい。重合時間は低中圧法の場合通常3分〜10時間、好ましくは5分〜5時間程度が望ましい。高圧法の場合、通常1分〜30分、好ましくは2分〜20分程度が望ましい。また、重合は一段重合法はもちろん、水素濃度、モノマー濃度、重合圧力、重合温度、触媒等の重合条件が互いに異なる2段階以上の多段重合法など特に限定されるものではない。
【0047】
本発明における特定のエチレン(共)重合体は、上述の触媒成分の中に塩素等のハロゲンを含まない触媒を使用して製造することにより、ハロゲン濃度としては多くとも10ppm以下、好ましくは5ppm以下、さらに好ましくは実質的に含まない(ND:2ppm以下)ものとすることが可能である。
このような塩素等のハロゲンフリーのエチレン(共)重合体を用いることにより、従来のような酸中和剤(酸吸収剤)を使用する必要がなくなり、化学的安定性等が優れ、特に包装、農業等の分野において好適に活用されるフィルムを提供することができる。
【0048】
さらに、本発明においては2種類以上のポリエチレン樹脂を併用することも可能である。特に、フィルム用途においては、上述の直鎖状ポリエチレンと高圧ラジカル法ポリエチレン系樹脂との併用が、成形加工性が向上し、ヘイズ、グロス、低温ヒートシール性等のフィルム性能に優れる点で、好ましい。このとき、高圧ラジカル法ポリエチレン系樹脂の含量は、ポリエチレン樹脂の総量に対して30重量%未満であり、好ましくは5〜25重量%の範囲である。
【0049】
上記高圧ラジカル法ポリエチレン系樹脂としては、高圧ラジカル重合法によるエチレン単独重合体(低密度ポリエチレン)、エチレン・ビニルエステル共重合体およびエチレンとα,β−不飽和カルボン酸またはその誘導体との共重合体等が挙げられる。
上記低密度ポリエチレンは公知の高圧ラジカル重合法により製造され、チューブラー法、オートクレーブ法のいずれでもよい。
【0050】
また、上記エチレン・ビニルエステル共重合体とは、高圧ラジカル重合法で製造され、エチレンを主成分とし、プロピオン酸ビニル、酢酸ビニル、カプロン酸ビニル、カプリル酸ビニル、ラウリル酸ビニル、ステアリン酸ビニル、トリフルオル酢酸ビニルなどのビニルエステル単量体との共重合体である。これらの中でも特に好ましいものとしては、酢酸ビニルを挙げることができる。エチレン50〜99.5重量%、ビニルエステル0.5〜50重量%、他の共重合可能な不飽和単量体0〜49.5重量%からなる共重合体が好ましい。さらにビニルエステル含有量は3〜20重量%、特に好ましくは5〜15重量%の範囲で選択される。
【0051】
また、上記エチレンとα,β−不飽和カルボン酸またはその誘導体との共重合体の代表的な共重合体としては、エチレン・(メタ)アクリル酸またはそのアルキルエステル共重合体が挙げられ、これらのコモノマーとしては、アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸メチル、メタクリル酸メチル、アクリル酸エチル、メタクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、メタクリル酸プロピル、アクリル酸イソプロピル、メタクリル酸イソプロピル、アクリル酸−n−ブチル、メタクリル酸−n−ブチル、アクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸ラウリル、メタクリル酸ラウリル、アクリル酸ステアリル、メタクリル酸ステアリル、アクリル酸グリシジル、メタクリル酸グリシジル等を挙げることができる。この中でも特に好ましいものとして(メタ)アクリル酸のメチル、エチル等のアルキルエステルを挙げることができる。特に(メタ)アクリル酸エステル含有量は3〜20重量%、好ましくは5〜15重量%の範囲である。
【0052】
また、他のポリエチレン樹脂としては、エチレンと、α−オレフィン以外の不飽和化合物との共重合体、例えば、共役ジエンや非共役ジエンのような多不飽和化合物を挙げることができる。また、上記ポリエチレン樹脂の酸変性されたもの、例えば、α,β−不飽和脂肪酸、脂環族カルボン酸、またはこれらの誘導体でグラフト変性された重合体であってもよい。また、ポリエチレン樹脂には、ゴム状、脂肪状、ワックス状の重合体も含まれる。さらに、本発明においては、用途に応じて、これらポリエチレン樹脂に、合成ゴムや無機充填剤を添加した混合物を用いることができる。
【0053】
本発明における(A)ヒンダードアミン系化合物は、上記(A−1)で示される繰り返し単位を有する化合物である。式中のnは繰り返し単位の繰り返し回数であり、2以上の整数、好ましくは2から10の整数である。具体的には、ポリ[{6−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)アミノ)−1,3,5−トリアジン−2,4−ジイル}{(2,2,6,6−テトラメチル−ピペリジル)イミノ}ヘキサメチレン{(2,2,6,6−テトラメチル−ピペリジル)イミノ}]が挙げられる。
【0054】
本発明における(B)ヒンダードフェノール化合物は、分子量500以上のものであればよく、特に限定されるものではない。(B)ヒンダードフェノール化合物としては、例えば、次のものを挙げることができる。
(B−1):3,9−ビス〔2−{3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ}−1,1−ジメチルエチル〕−2,4,8,10−テトラオキサスピロ〔5・5〕ウンデカン、(B−2):テトラキス〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシメチル〕メタン、(B−3):2−[1−(2−ヒドロオキシ−3,5−ジ−t−ペンチルフェニル)エチル]−4,6−ジ−t−ペンチルフェニルアクリレート、(B−4):1,3,5−トリス(4−t−ブチル−3−ヒドロキシ−2,6−ジメチルベンジル)イソシアヌレート、(B−5)1,3,5−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)イソシアヌレート、
【0055】
(B−6):1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、(B−7):トリエチレングリコールビス〔3−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、(B−8):オクタデシル3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、(B−9):ビス〔2−t−ブチル−4−メチル−6−(3−t−ブチル−5−メチル−2−ヒドロキシベンジル)フェニル〕テレフタレート、(B−10):1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)ブタン、(B−11):2−t−ブチル−6−(3’−t−ブチル−5’−メチル−2’−ヒドロキシベンジル)−4−メチルフェニルアクリレート。
これらのヒンダードフェノール化合物ならいずれも本発明における(B)ヒンダードフェノール化合物として好ましく用いることができる。中でも(B−1)〜(B−5)の化合物を使用する場合の効果が特に顕著である。
【0056】
本発明における(C)リン系化合物をそれぞれ化学名で表すと次のようになる。
(C−1):ビス[2,4−ビス(1,1−ジメチルエチル)−6−メチルフェニル]エチルフォスファイト、(C−2):2,4,6−トリ−t−ブチルフェニル−2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオールフォスファイト、(C−3):2,2’−メチレンビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)オクチルフォスファイト
これら(C−1)〜(C−3)のリン系化合物は併用してもよい。
【0057】
また、これら(C−1)〜(C−3)のリン系化合物とともに、必要に応じて、他のリン系化合物、例えば、(C−4):ビス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)−ペンタエリスリトールジホスファイト、(C−5):トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト、(C−6):ビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、(C−7):ジステアリルペンタエリスリトールジホスファイト、(C−8):テトラキス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)−4,4’−ビフェニレンジホスホナイトなどを併用してもよい。
【0058】
本発明においては、以上のような(A)ヒンダードアミン系化合物、(B)ヒンダードフェノール化合物および(C)リン系化合物の各化合物を必須成分とする。各化合物の使用量は、ポリエチレン樹脂100重量部に対して、(A)ヒンダードアミン系化合物が0.01〜1重量部、好ましくは0.05〜0.5重量部であり、(B)ヒンダードフェノール化合物が0.01〜1重量部、好ましくは0.02〜0.5重量部であり、(C)リン系化合物が0.01〜1重量部、好ましくは0.02〜0.5重量部である。これら(A)ヒンダードアミン系化合物、(B)ヒンダードフェノール化合物および(C)リン系化合物の各化合物は、いずれも使用量が0.01重量部未満の場合には目的とする効果(熱および酸化に対して優れた安定性を有すると同時に、光に対しても極めて優れた安定性を発揮する)が十分に得難く、また1重量部を超えてもそれに見合うだけの効果が得られず、経済的にも不利となる。
【0059】
また、本発明のポリエチレン樹脂組成物には、その特性を損なわない限り、他の添加剤、例えば酸化防止剤、光安定剤、紫外線吸収剤、中和剤、金属不活性化剤、抗ブロッキング剤、滑剤、帯電防止剤、および充填剤などを添加してもよい。
【0060】
酸化防止剤の具体例としては、ジラウリル−3,3’−チオジプロピオンネート、ジステアリル−3,3’−チオジプロピオネート、ジミリスチル−3,3’−チオジプロピオンネート、ラウリルステアリル−3,3’−チオジプロピオンネート、テトラキス{メチレン(ドデシルチオプロピオネート)}メタン、ビス{2−メチル−4−(3−n−アルキルチオプロピオニルオキシ)−5−t−ブチルフェニル}スルフィド、およびペンタエリスリトール−テトラキス−(3−ラウリルチオプロピオネート)などのイオウ系安定剤が挙げられる。これらイオウ系安定剤は、ヒンダードアミン系化合物と拮抗作用が現れない濃度範囲において、酸化防止効果を増加させる目的で使用できる。
【0061】
また、酸化防止剤としては、3−ヒドロキシ−5,7−ジ−tert−ブチル−フラン−2−オンとオルソキシレンとの反応生成物(商品名:HP−136,チバスペシャルティーケミカルズ製)などの熱安定剤を、ポリエチレン樹脂100重量部あたり0.005〜0.1重量部の範囲で添加することができる。
【0062】
紫外線吸収剤の具体例としては、ベンゾトリアゾール系化合物として2−(2’−ハイドロキシ−3’−ドデシル−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ハイドロキシ−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ハイドロキシ−3’,5’−t−アミルフェニル)ベンゾトリアゾール、2(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−フェノール、2−(2’−ハイドロキシ−3’,5’−ジ−t−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ハイドロキシ−3’,5’−ジ−t−ブチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2’−ハイドロキシ−3’−t−ブチル−5’−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、
【0063】
2−(2’−ハイドロキシ−3’,5’−ジクミルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ハイドロキシ−4’−オクトキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ハイドロキシ−5’−t−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ハイドロキシ−5’−t−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2,2’−メチレンビス[4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−6−(2Hベンゾトリアゾール−2−イル)フェノール]、2−(2’−ハイドロキシ−3’,5’−ジ−t−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ハイドロキシ−5’−t−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾールなどが挙げられる。これらベンゾトリアゾール系化合物は、ポリエチレン樹脂100重量部あたり0.01〜0.2重量部の範囲で添加することができる。
【0064】
また、ベンゾフェノン系化合物の紫外線吸収剤の具体例としては、2,4−ジハイドロキシベンゾフェノン、2−ハイドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ハイドロキシ−4−n−オクトキシベンゾフェノン、2−ハイドロキシ−4−n−ドデシルオキシベンゾフェノン、2−ハイドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン−5−スルフォン酸、2,2’−ジハイドロキシ−4,4’−ジメトキシベンゾフェノン、2,2’,4,4’−テトラハイドロキシベンゾフェノン、2,2’−ジハイドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ハイドロキシ−4−ベンジルオキシベンゾフェノン、2−ハイドロキシ−4−メトキシ−2’−カルボキシベンゾフェノン、2−ハイドロキシ−4−メトキシ−5−スルフォキシベンゾフェノン、ビス(5−ベンゾイル−4−ハイドロキシ−2−メトキシフェニル)メタンなどが挙げられる。これらベンゾフェノン系化合物は、ポリエチレン樹脂100重量部あたり0.01〜0.2重量部の範囲で添加することができる。
【0065】
また、他の光安定剤の具体例としては、1,2,3,4−ブタンカルボン酸と1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジノールとトリデシルアルコールとの縮合物、ジブチルアミン・1,3,5−トリアジン・N,N’−ビス(2,2,6,6,−テトラメチル−4−ピペリジル)−1,6−ヘキサメチレンジアミン・N−(2,2,6,6,−テトラメチル−4−ピペリジル)ブチルアミンの重縮合物、テトラキス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)[[3,5−ビス(1,1−ジメチルエチル)−4−ハイドロキシフェニル]メチル]ブチルマロネート、コハク酸ジメチルと4−ハイドロキシ−2,2,6,6−テトラメチル−1−ピペリジンエタノールとのポリマー、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、テトラキス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート、ビス[1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル]セバケート、
【0066】
ポリ[6−モルフォリノ−s−トリアジン−2,4−ジイル][(2,2,6,6−テトラメチル−ピペリジル)イミノ]ヘキサメチレン[(2,2,6,6−テトラメチル−ピペリジル)イミノ)}]、N,N’,N’’,N’’’−テトラキス−(4,6−ビス−(ブチル−(N−メチル−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)アミノ)トリアジン−2−イル)4,7−ジアザデカン−1,10−ジアミン、1,2,3,4−ブタンカルボン酸と2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジノールとトリデシルアルコールとの縮合物、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸と1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジノールとβ,β,β’,β’−テトラメチル−3,9−(2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカン)ジエタノールとの縮合物、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸と2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジノールとβ,β,β’,β’−テトラメチル−3,9−(2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカン)ジエタノールとの縮合物などが挙げられる。これら光安定剤は、ポリエチレン樹脂100重量部あたり0.01〜0.2重量部の範囲で添加することができる。
【0067】
中和剤としては、例えば、ステアリン酸カルシウムなどの脂肪酸金属塩、ハイドロタルサイト類などの無機系化合物などが挙げられる。これら中和剤は、ポリエチレン樹脂100重量部あたり0.01〜1重量部の範囲で添加することができる。
【0068】
本発明のポリエチレン樹脂組成物は、前記ポリエチレン樹脂、(A)ヒンダードアミン系化合物、(B)ヒンダードフェノール化合物、(C)リン系化合物、および所望に応じて用いられる各種添加剤を、常法に従って溶融混練することにより調製することができる。この溶融混練は、例えばヘンシェルミキサー、単軸または二軸押出機、バンバリミキサー、ロールなどを用いて行うことができる。
【0069】
また、このようにして調製された本発明のポリエチレン樹脂組成物は、従来よりポリオレフィン系フィルムを製造するのに慣用されている方法、例えば、キャスティング法、カレンダー法、あるいはTダイ法やインフレーション法などのエキストルージョン法などによって、フィルムに成形することができる。このようなフィルムは、熱、酸化および光に対する安定性が要求される包装フィルム、農業フィルム等の用途に好適に用いられる。
【0070】
【実施例】
次に、実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はその趣旨を超えない限り、以下の例に限定されるものではない。
本実施例における物性の測定方法は以下の通りである。
【0071】
[密度]
JIS K6760に準拠した。
[MFR]
JIS K6760に準拠した。
[Mw/Mn]
GPC(ウォータース社製150C型)を用い、溶媒として135℃のODCBを使用した。カラムはショウデックス HT806Mを使用した。
【0072】
[DSCによるTmlの測定]
厚さ0.2mmのシートを熱プレスで成形し、シートから約5mgの試料を打ち抜いた。この試料を230℃で10分保持後、2℃/分にて0℃まで冷却した。その後、再び10℃/分で170℃迄昇温し、現れた最高温ピークの頂点の温度を最高ピーク温度Tmlとした。
[TREF]
カラムを135℃に保った状態で、カラムに試料を注入して0.1℃/分で25℃まで降温し、ポリマーをガラスビーズ上に沈着させた後、カラムを下記条件にて昇温して各温度で溶出したポリマー濃度を赤外検出器で検出した。(溶媒:ODCB、流速:1ml/分、昇温速度:50℃/hr、検出器:赤外分光器(波長2925cm-1)、カラム:0.8cmφ×12cmL(ガラスビーズを充填)、試料濃度:0.05重量%)
【0073】
[ODCB可溶分量]
試料0.5gを20mlのODCBに加え、135℃で2時間加熱し、試料を完全に溶解した後、25℃まで冷却した。この溶液を25℃で一晩放置後、ポリ四フッ化エチレン(テフロン(登録商標))製フィルターでろ過してろ液を採取した。赤外分光器により、試料溶液であるろ液におけるメチレンの非対称伸縮振動の波数2925cm-1付近の吸収ピーク強度を測定し、あらかじめ作成した検量線により、ろ液中の試料濃度を算出した。この値より、25℃におけるODCB可溶分量を求めた。
【0074】
[メルトテンション(MT)]
溶融させたポリマーを一定速度で延伸したときの応力をストレインゲージにて測定することにより決定した。測定試料は造粒してペレットにしたものを用い、東洋精機製作所製MT測定装置を使用して測定した。使用するオリフィスは穴径2.09mmφ、長さ8mmであり、測定条件は樹脂温度190℃、シリンダー下降速度20mm/分、巻取り速度15m/分である。
[ハロゲン濃度]
蛍光X線法により測定し、10ppm以上の塩素が検出された場合はこれをもって分析値とした。10ppmを下回った場合は、ダイアインスツルメンツ(株)製TOX−100型塩素・硫黄分析装置にて測定し、2ppm以下については、実質的に含まないものとし、ND(non−detect)とした。
【0075】
[実施例1〜8、および比較例1〜10]
1)樹脂組成物の調製
チグラー系触媒を用いて気相法でエチレンと1−ブテンを共重合し、密度が0.925g/cm3 、メルトフローレート(MFR)が0.9g/10分である直鎖状ポリエチレン樹脂(エチレン・ブテン−1共重合体)のパウダーを得た(樹脂1)。このパウダー100重量部に対して表1に示す各添加剤を表1の配合比に従って添加し、これを混練して実施例1〜8の樹脂組成物を得た。
【0076】
2)耐候性試験
表1に示す樹脂組成物を用いてフィルムのインフレーション成形を実施して耐候性を調べる試料を作製した。押出成形には50mmφ押出機(150mmφダイ)を用い、押出量35kg/hrで樹脂組成物を押出して、厚さ:100μm、幅:450mmの管状フィルムを得た。
【0077】
スガ試験機(株)製サンシャインウエザオメーターを使用して上記条件で成形したフィルムの促進耐候性試験を行った。そして、耐候性を判定する基準として、引張り試験によりフィルムの伸び率が成形直後の50%に低下するまでの時間を測定し、それらの結果を表1に示した。試験条件は次に示す。
1.ブラックパネル温度:63℃
2.水スプレー/ドライサイクル:18分/120分
3.試験機内湿度:60%RH
4.引張り試験:ASTM D882に準拠
【0078】
3)黄変度数(Δb値)試験
耐熱および耐酸化安定性を調べる方法の一つとして、ギャーオーブン中におけるサンプルの黄変度数(Δb値)試験を行った。
すなわち、上記樹脂組成物を用い、200℃での圧縮成形によって、厚さが5mmの試験片を作成し、この試験片を暗所、気温80℃、湿度70%の条件において、200時間放置し、黄色度の測定を行った。
ギャーオーブンとしては、(株)田葉井製作所GPS23型ギャーオーブンを使用した。また、黄変度数は、スガ試験機(株)製SMカラーコンピューターを用い、試験前および試験後の黄色度を測定することにより算出した。
黄変度数(Δb値)試験の結果を表1に示した。
【0079】
4)繰り返し押出し試験
耐熱および耐酸化安定性を調べる他の方法として、繰り返し押出し試験を行った。
すなわち、フルフライト型スクリュー(L/D=25、径30mm)を用いて、押出し温度260℃にて、各樹脂組成物を押出し、ストランドを水中で冷却し、ペレット状に切断した。このペレットを用い、上記操作をさらに4回繰り返し、各樹脂組成物の押出しによるMFRの変化を比較した。MFRの変化をMFRの保持率、(5回押し出し後のMFR/1回押出し後のMFR)で表し、これらの値を表1に示した。MFRの保持率が大きいほど、熱安定性が優れていることを示している。
【0080】
【表1】
Figure 0004749595
【0081】
表中の各略号は以下の通りである。
(A−1):ポリ[{6−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)アミノ)−1,3,5−トリアジン−2,4−ジイル}{(2,2,6,6−テトラメチル−ピペリジル)イミノ}ヘキサメチレン{(2,2,6,6−テトラメチル−ピペリジル)イミノ}]
(A−2):ジブチルアミン・1,3,5−トリアジン・N,N’−ビス(2,2,6,6,−テトラメチル−4−ピペリジル)−1,6−ヘキサメチレンジアミン・N−(2,2,6,6,−テトラメチル−4−ピペリジル)ブチルアミンの重縮合物
(A−3):ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート
【0082】
(B−1):3,9−ビス〔2−{3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ}−1,1−ジメチルエチル〕−2,4,8,10−テトラオキサスピロ〔5・5〕ウンデカン
(B−8):オクタデシル−3−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルフェニル)プロピオネート
【0083】
(C−1):ビス[2,4−ビス(1,1−ジメチルエチル)−6−メチルフェニル]エチルフォスファイト
(C−2):2,4,6−トリ−t−ブチルフェニル−2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオールフォスファイト
(C−3):2,2’−メチレンビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)オクチルフォスファイト
(C−4):ビス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)−ペンタエリスリトールジホスファイト
(C−5):トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト
(C−6):ビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト
(C−7):ジステアリルペンタエリスリトールジホスファイト
(C−8):テトラキス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)−4,4’−ビフェニレンジホスホナイト
【0084】
[実施例9〜11]
1)樹脂組成物の調製
上記樹脂1の80重量部と、高圧ラジカル法で製造した密度が0.922g/cm3 、メルトフローレート(MFR)が1.5g/10分のポリエチレン20重量部を合わせた樹脂(樹脂2)100重量部に対して表2に示す各添加剤を表2の配合比に従って添加し、これを混練して実施例9〜11の樹脂組成物を得た。
【0085】
2)フィルム性能試験
実施例9〜11の樹脂組成物を用いて、フィルムのインフレーション成形を実施して試料を作製した。フィルム性能の評価を次の3項目について行った。
(1)ヘイズ(%):ASTM D1003−61に準拠した。
(2)グロス(%):JIS Z 8741準拠に準拠した。
(3)低温ヒートシール性:テスター産業(株)製ヒートシーラーを用い、適宜選ばれた数点の温度で、圧力2kg/cm2 、シール時間1秒間でヒートシールした。このフイルムを試験片の幅15mmとし、剥離試験速度300mm/分で剥離試験を行った。この際の試験片の剥離強度が500gとなる温度を内挿により求めた値で表した。この温度の低い方が低温ヒートシール性に優れたものとなる。
これらのフィルム性能の評価結果を表2に示した
【0086】
【表2】
Figure 0004749595
【0087】
[実施例12〜16]
実施例12〜16に用いた各種成分は以下の通りである。
(シングルサイト触媒による直鎖状ポリエチレン)
シングルサイト触媒による直鎖状ポリエチレンは次の方法で重合した。
【0088】
E11:シングルサイト触媒による直鎖状ポリエチレン
[固体触媒の調製]
電磁誘導攪拌機を備えた触媒調製装置に、窒素下で精製したトルエン1000ml、テトラエトキシジルコニウム(Zr(OEt)4 )22gおよびインデン75gおよびメチルブチルシクロペンタジエン88gを加え、90℃に保持しながらトリプロピルアルミニウム100gを100分かけて滴下し、その後、同温度で2時間反応させた。40℃に冷却した後、メチルアルモキサンのトルエン溶液(濃度2.5mmol/ml)を3200ml添加し2時間撹拌した。次にあらかじめ450℃で5時間焼成処理したシリカ(グレース社製、#952、表面積300m2 /g)2000gを加え、室温で1時間攪拌の後、40℃で窒素ブローおよび減圧乾燥を行い、流動性のよい固体触媒(イ)を得た。
【0089】
[気相重合]
連続式の流動床気相重合装置を用い、重合温度65℃、全圧20kgf/cm2 Gでエチレンと1−ヘキセンの共重合を行った。前記固体触媒(イ)を連続的に供給し、エチレン、1−ヘキセンおよび水素を所定のモル比に保つように供給して重合を行い、シングルサイト触媒による直鎖状ポリエチレン(E11)を得た。
【0090】
E12:シングルサイト触媒による直鎖状ポリエチレン
[固体触媒の調製]
電磁誘導攪拌機を備えた触媒調製装置に、窒素下で精製したトルエン1000ml、テトラエトキシジルコニウム(Zr(OEt)4 )22gおよびインデン74gを加え、90℃に保持しながらトリプロピルアルミニウム100gを100分かけて滴下し、その後、同温度で2時間反応させた。40℃に冷却した後、メチルアルモキサンのトルエン溶液(濃度2.5mmol/ml)を3200ml添加し2時間撹拌した。次にあらかじめ450℃で5時間焼成処理したシリカ(グレース社製、#952、表面積300m2 /g)2000gを加え、室温で1時間攪拌の後、40℃で窒素ブローおよび減圧乾燥を行い、流動性のよい固体触媒(ロ)を得た。
【0091】
[気相重合]
連続式の流動床気相重合装置を用い、重合温度70℃、全圧20kgf/cm2 Gでエチレンと1−ヘキセンの共重合を行った。前記固体触媒(ロ)を連続的に供給し、エチレン、1−ヘキセンおよび水素を所定のモル比に保つように供給して重合を行い、シングルサイト触媒による直鎖状ポリエチレン(E12)を得た。
【0092】
E2:シングルサイト触媒による直鎖状ポリエチレン
[固体触媒の調製]
電磁誘導攪拌機を備えた触媒調製装置に、窒素下で精製したトルエン1000ml、テトラブトキシジルコニウム(Zr(OBu)4 )22gおよびインデン40gおよびメチルプロピルシクロペンタジエン21gを加え、90℃に保持しながらトリプロピルアルミニウム100gを100分かけて滴下し、その後、同温度で2時間反応させた。40℃に冷却した後、メチルアルモキサンのトルエン溶液(濃度2.5mmol/ml)を2000ml添加し2時間撹拌した。次にあらかじめ450℃で5時間焼成処理したシリカ(グレース社製、#952、表面積300m2 /g)2000gを加え、室温で1時間攪拌の後、40℃で窒素ブローおよび減圧乾燥を行い、流動性のよい固体触媒(ハ)を得た。
【0093】
[気相重合]
連続式の流動床気相重合装置を用い、重合温度80℃、全圧20kgf/cm2 Gでエチレンと1−ヘキセンの共重合を行った。前記固体触媒(ハ)を連続的に供給し、エチレン、1−ヘキセンおよび水素を所定のモル比に保つように供給して重合を行い、シングルサイト触媒による直鎖状ポリエチレン(E2)を得た。
【0094】
上記E11、E12、E2のシングルサイト触媒による直鎖状ポリエチレンの物性を表3に示した。
【0095】
【表3】
Figure 0004749595
【0096】
1)樹脂組成物の調製
このE11、E12、E2のシングルサイト触媒による直鎖状ポリエチレン(樹脂3、樹脂4、樹脂5)の100重量部に表4に示す各添加剤を表4の配合比に従って添加し、これを混練して実施例12〜16の樹脂組成物を得た。
【0097】
2)フィルム性能試験
実施例12〜16の樹脂組成物を用いて、フィルムのインフレーション成形を実施して試料を作製した。フィルム性能の評価を上述の3項目について行った。
これらのフィルム性能の評価結果を表4に示した。
【0098】
【表4】
Figure 0004749595
【0099】
[実施例のまとめ]
実施例および比較例の結果をまとめると次の通りである。
実施例1〜16に示された本発明のポリエチレン樹脂組成物は、耐候性試験、黄変度数(Δb値)試験、および繰り返し押出し試験のいずれにおいても優れた結果が得られた。特に、耐候性において、その効果は大きかった。
【0100】
(C−1)〜(C−3)以外のリン系化合物を用いた比較例1〜5においては、耐候性試験、黄変度数(Δb値)試験、および繰り返し押出し試験のいずれにおいても実施例に比べて劣る結果が得られた。
また、(A−1)以外のヒンダードアミン系化合物を単独で用いた、すなわち(A−1)が配合されていない樹脂組成物を用いた比較例6〜8においても比較例1〜5と同様に、耐候性試験、黄変度数(Δb値)試験、および繰り返し押出し試験のいずれにおいても実施例に比べて劣る結果が得られた。
【0101】
また、実施例9〜16のいずれのフィルムにおいても、フィルム性能は通常のフィルムに要求される性能と同等、あるいはそれより十分に優れていた。すなわち、本発明の実施例は本発明の樹脂組成物がフィルムとして優れた性質を有するとともに、熱および酸化に対して優れた安定性を有すると同時に、光に対しても非常に優れた安定性を発揮することを示していた。
【0102】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明のポリエチレン樹脂組成物は、ポリエチレン樹脂100重量部に対して、(A)上記(A−1)で示される繰り返し単位を有するヒンダードアミン系化合物0.01〜1重量部、(B)分子量500以上のヒンダードフェノール化合物0.01〜1重量部、および(C)上記(C−1)、(C−2)および(C−3)で示されるリン系化合物から選ばれる少なくとも1種のリン系化合物0.01〜1重量部を含有しているので、熱および酸化に対して優れた安定性を有すると同時に、光に対しても非常に優れた安定性を発揮することができ、その工業的利用価値は極めて高い。
【0103】
また、前記ポリエチレン樹脂が、直鎖状ポリエチレンを含んでいれば、熱、酸化および光に対して特に優れた安定性を発揮する。
また、前記直鎖状ポリエチレンが、シングルサイト系触媒によって得られた密度が0.94g/cm3 以下、メルトフローレートが0.01〜100g/10分、分子量分布(Mw/Mn)が1.5〜4.5であれば、ヘイズ、グロス、低温ヒートシール性等のフィルム性能に優れる。
さらに、前記ポリエチレン樹脂は、高圧ラジカル法ポリエチレン系樹脂を30重量%未満含んでいれば、ヘイズ、グロス、低温ヒートシール性等のフィルム性能にさらに優れる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明における特定のエチレン(共)重合体または(E2)エチレン(共)重合体の溶出温度−溶出量曲線を示すグラフである。
【図2】 本発明における(E1)エチレン(共)重合体の溶出温度−溶出量曲線を示すグラフである。
【図3】 一般のメタロセン系触媒によるエチレン共重合体の溶出温度−溶出量曲線を示すグラフである。

Claims (5)

  1. ポリエチレン樹脂100重量部に対して、(A)下記(A−1)で示される繰り返し単位を有するヒンダードアミン系化合物0.01〜1重量部、(B)分子量500以上のヒンダードフェノール化合物0.01〜1重量部、および(C)下記(C−1)、(C−2)および(C−3)で示されるリン系化合物から選ばれる少なくとも1種のリン系化合物0.01〜1重量部を含有していることを特徴とするポリエチレン樹脂組成物。
    Figure 0004749595
    Figure 0004749595
    Figure 0004749595
    Figure 0004749595
    (式中、Rは1,1,3,3−テトラメチルブチル基であり、nは2以上の整数である。)
  2. 前記ポリエチレン樹脂が、直鎖状ポリエチレンを含んでいることを特徴とする請求項1に記載のポリエチレン樹脂組成物。
  3. 前記直鎖状ポリエチレンが、シングルサイト系触媒によって得られた密度が0.94g/cm3 以下、メルトフローレートが0.01〜100g/10分、分子量分布(Mw/Mn)が1.5〜4.5の直鎖状ポリエチレンであることを特徴とする請求項2に記載のポリエチレン樹脂組成物。
  4. 前記ポリエチレン樹脂が、高圧ラジカル法ポリエチレン系樹脂を30重量%未満含んでいることを特徴とする請求項2または請求項3に記載のポリエチレン樹脂組成物。
  5. 請求項1ないし4いずれか一項に記載のポリエチレン樹脂またはその樹脂組成物からなるフィルム。
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