JP2009236372A - 樹脂タンク及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】温水を貯蔵しても、耐久性が高い樹脂タンク及びその製造方法を提供する。
【解決手段】ポリエチレン系樹脂と酸化防止剤とで構成された樹脂層を少なくとも含み、給湯システムの温水を貯蔵するための樹脂タンク1を構成する。前記ポリエチレン系樹脂は、重量平均分子量(Mw)300,000〜1,000,000、分子量分布10〜50である高分子量で分子量分布の広い第1のポリエチレン系樹脂で構成され、前記酸化防止剤は、高分子量酸化防止剤で構成され、前記高分子量酸化防止剤の含有量が、前記ポリエチレン系樹脂に対して、重量換算で3,000〜10,000ppmである。樹脂タンク1には、その中間部から下部にかけて、外周に沿って複数のリブ6が設けられている。
【選択図】図1

Description

本発明は、温水を貯蔵しても、耐久性が高い樹脂タンク及びその製造方法に関する。
従来、給湯暖房機には、瞬間式と貯湯式とがあり、貯湯式給湯暖房機は、温水を貯蔵するタンクを備えている。前記タンクには、例えば、金属製(ステンレス製など)の円筒状タンクなどがある。この金属製タンクは、金属板を丸めて円筒状にし、端部を溶接して製造される。さらに、前記金属製タンクの両端部に鏡板を溶接後、温水の取り出し部を取り付ける必要がある。そして、材料価格や製造コストの高騰により、安価な樹脂タンクの適用が求められている。しかし、樹脂タンクは、80℃以上の温水に耐え得る耐熱性、及び温水の自重に耐え得る剛性を有するとともに、内圧によるクリープ性能を確保し、容量が50L以上の大容量であり、耐久年数が10年以上であるなどの性能が要求され、従来の樹脂タンクでは、これらの要求を満たすのは困難である。
このような問題点を解決するために、例えば、特開2007−152712号公報(特許文献1)には、最外層、バリ回収層、接着層、バリア層及び最内層を含む多層中空容器であって、最外層が特定の条件を満足するエチレン系重合体で構成され、最内層が特定の条件を満足し、且つ鉄及びアルミニウム含有量が各々10重量ppm以下であるエチレン系重合体で構成されている多層中空容器が開示されている。この文献には、エチレン系重合体は、エチレン重合触媒失活剤以外の添加剤を含まないことが望ましく、一種又は二種以上のヒンダードフェノール系酸化防止剤を使用することができることが記載され、エチレン系重合体に対するヒンダードフェノール系酸化防止剤の含有量は、重量比で100〜2,500ppmであることが記載されている。しかし、このような多層中空容器は、温水を貯蔵すると、酸化防止剤が多層中空容器の表面(内表面及び外表面)にブリードアウトし、酸化防止剤の効果を長期間維持できず、耐久性が低い。
特開2007−152712号公報(請求項1、及び段落番号[0028])
従って、本発明の目的は、温水を貯蔵しても、耐久性が高い樹脂タンク及びその製造方法を提供することにある。
本発明の他の目的は、剛性が高い樹脂タンク及びその製造方法を提供することにある。
本発明のさらに他の目的は、高い成形性で樹脂タンクを製造できる方法を提供することにある。
本発明者らは、前記課題を達成するため鋭意検討した結果、高分子量で分子量分布の広いポリエチレン系樹脂と、多量の高分子量酸化防止剤とで樹脂タンクを構成すると、温水を貯蔵しても、耐久性に優れる樹脂タンクを高い成形性で得られることを見いだし、本発明を完成した。
すなわち、本発明の樹脂タンクは、ポリエチレン系樹脂と、酸化防止剤とで構成された樹脂層を少なくとも含み、給湯システムの温水を貯蔵するための樹脂タンクであって、前記ポリエチレン系樹脂は、重量平均分子量(Mw)300,000〜1,000,000、分子量分布10〜50である高分子量で分子量分布の広い第1のポリエチレン系樹脂で構成され、前記酸化防止剤が高分子量酸化防止剤で構成され、前記高分子量酸化防止剤の含有量が、前記ポリエチレン系樹脂に対して、重量換算で3,000〜10,000ppmである。前記第1のポリエチレン系樹脂は、数平均分子量(Mn)15,000〜100,000程度であってもよい。前記第1のポリエチレン系樹脂の極限粘度は、2.5〜5dl/g程度であってもよい。前記第1のポリエチレン系樹脂が、(1)密度0.940〜0.980g/cm、(2)温度190℃、荷重212N(21.6kgf)の条件下でのメルトフローレート0.1〜100g/10分、(3)温度90℃、公称応力4.0MPaの条件下での全周ノッチ式引張クリープ破断時間80〜5000時間であってもよい。前記第1のポリエチレン系樹脂は、長鎖分岐鎖を有していてもよい。前記第1のポリエチレン系樹脂が長鎖分岐鎖を有していると、溶融張力が大きく、ブロー成形に好適である。前記ポリエチレン系樹脂は、さらに高分子量で分子量分布の狭い第2のポリエチレン系樹脂を含んでいてもよい。第2のポリエチレン系樹脂を含んでいると、成形性を向上することができる。第2のポリエチレン系樹脂の割合は、ポリエチレン系樹脂全体に対して、0.1〜60重量%程度であってもよい。
高分子量酸化防止剤がフェノール系化合物、リン系化合物、イオウ系化合物、及びアミン系化合物から選択された少なくとも一種であり、高分子量酸化防止剤の含有量は、ポリエチレン系樹脂に対して、重量換算で3,200〜9,000ppm程度であってもよい。高分子量酸化防止剤は、フェノール系化合物と、リン系化合物と、イオウ系化合物及びアミン系化合物から選択された少なくとも一種とで構成され、フェノール系化合物及びリン系化合物の総量と、イオウ系化合物及びアミン系化合物から選択された少なくとも一種との割合(重量比)は、前者/後者=30/70〜90/10程度であってもよい。前記樹脂層は、さらに低分子量酸化防止剤を含んでいてもよい。高分子量酸化防止剤及び低分子量酸化防止剤の総含有量は、ポリエチレン系樹脂に対して、重量換算で5,000〜10,000ppm程度であってもよい。このように酸化防止剤の含有量が多量であっても、所定のポリエチレン系樹脂を用いるため、樹脂タンクの耐久性を向上できる。前記高分子量酸化防止剤と前記低分子量酸化防止剤との割合(重量比)は、前者/後者=50/50〜99/1程度であってもよい。前記樹脂タンクは、容量が50〜300Lであり、樹脂層がリブを有していてもよい。前記樹脂タンク(又はポリエチレン系樹脂と酸化防止剤とで構成された樹脂層)は、温度210℃、酸素雰囲気下での酸化誘導時間が30〜250分間であってもよい。前記給湯システムは、給湯単能システム(給湯だけの機能しか有していない給湯システム)、給湯暖房システム、及び風呂追い炊きシステムから選択された少なくとも一種であってもよい。
前記樹脂タンクは、樹脂層と、この樹脂層の外面に形成された発泡層とを含む多層積層構造を有していてもよい。前記発泡層は、前記樹脂タンクの再生品で構成されていてもよい。前記発泡層は、前記樹脂タンクの再生品を発泡層に対して0.01〜50重量%の割合で含有していてもよい。
本発明には、前記ポリエチレン系樹脂及び前記酸化防止剤で構成された樹脂組成物をブロー成形する工程を含む前記樹脂タンクの製造方法も含まれる。また、本発明には、前記ポリエチレン系樹脂及び前記酸化防止剤で構成された樹脂組成物を溶融した円筒状の樹脂層と、この樹脂層の外周に形成され、かつ前記樹脂組成物及び発泡剤で構成された発泡組成物を溶融した発泡層とで構成された溶融体をブロー成形する工程を含む前記多層積層構造を有する樹脂タンクを製造する方法も含まれる。
本発明の樹脂タンクは、高分子量で分子量分布の広い第1のポリエチレン系樹脂と、多量の高分子量酸化防止剤とで構成された樹脂層を少なくとも含むため、温水を貯蔵しても、耐久性に優れる。さらに、前記樹脂タンクは、剛性に優れている。さらにまた、本発明の方法では、前記樹脂タンクを高い成形性で製造できる。
必要に応じて添付図面を参照しつつ、本発明を詳細に説明する。本発明の樹脂タンクは、ポリエチレン系樹脂と酸化防止剤とで構成された樹脂層を含む。
[樹脂層]
(ポリエチレン系樹脂)
ポリエチレン系樹脂は、高分子量で分子量分布の広い第1のポリエチレン系樹脂で構成されている。第1のポリエチレン系樹脂としては、エチレンの単独又は共重合体が挙げられる。エチレンの単独重合体としては、ポリエチレン[低密度ポリエチレン(LDPE)、線状低密度ポリエチレン(LLDPE)、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン(HDPE)など]などが挙げられ、通常、HDPEを用いる場合が多い。
前記第1のポリエチレン系樹脂は、エチレンと共重合性モノマーとの共重合体であってもよい。前記共重合性モノマーとしては、α−オレフィン[鎖状オレフィン(プロピレン、ブテン−1、ペンテン−1、ヘキセン−1、オクテン−1、デセン−1、ドデセン−1、テトラデセン−1、ヘキサデセン−1、オクタデセン−1、エイコセン−1などのC3−20α−直鎖状オレフィン;3−メチル−ブテン−1、3−メチル−ペンテン−1、3−エチル−ペンテン−1、4−メチル−ペンテン−1、4−メチル−ヘキセン−1、4,4−ジメチル−ヘキセン−1、4,4−ジメチル−ペンテン−1、3−エチル−ヘキセン−1、4−エチル−ヘキセン−1などのC3−20α−分岐鎖状オレフィンなど)など];アルカジエン(1,4−ヘキサジエン、1,7−オクタジエン、4−メチル−1,4−ヘキサジエン、5−メチル−1,4−ヘキサジエンなどの非共役アルカジエン、ブタジエン、イソプレンなどの共役アルカジエンなど);エチレン系不飽和カルボン酸及びその酸無水物[(メタ)アクリル酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、シトラコン酸、クロトン酸、イソクロトン酸、メサコン酸、アンゲリカ酸など];(メタ)アクリル酸エステル[(メタ)アクリル酸アルキルエステル、グリシジル(メタ)アクリレートなど];カルボン酸ビニルエステル(酢酸ビニル、プロピオン酸ビニルなどの飽和カルボン酸ビニルエステルなど)などが挙げられる。これらの共重合性モノマーは、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。前記共重合性モノマーのうち、プロピレン、ブテン−1、ヘキセン−1などのC3−10α−直鎖状オレフィン、特にブテン−1、ヘキセン−1などのC4−8α−直鎖状オレフィンなどが好ましい。
共重合体において、共重合性モノマー単位の割合(含有量)は、10重量%以下(0.1〜10重量%程度)、好ましくは0.2〜8重量%、さらに好ましくは0.3〜5重量%、通常0.1〜5重量%程度であってもよい。
これらの第1のポリエチレン系樹脂のうちポリエチレン[高密度ポリエチレン(HDPE)など]、エチレンと共重合性モノマーとの共重合体(エチレン−ブテン−1共重合体、エチレン−ヘキセン−1共重合体などのエチレン−C3−10α−直鎖状オレフィン共重合体など)が好ましい。これらのポリエチレン系樹脂は、単独で又は二種以上組み合わせて使用してもよい。
また、共重合体は、ランダム共重合体又は交互共重合体であってもよい。
前記第1のポリエチレン系樹脂は、直鎖状であってもよいが、通常、分岐鎖を有している場合が多く、特に、長鎖分岐鎖を有しているのが好ましい。前記第1のポリエチレン系樹脂が長鎖分岐鎖を有していると、溶融張力が大きく、ブロー成形に好適である。また、前記第1のポリエチレン系樹脂が、分岐鎖(特に、長鎖分岐鎖)を有していると、後述する酸化防止剤が、第1のポリエチレン系樹脂の分岐構造により保持され、樹脂内面にブリードアウトしにくくなるためか、樹脂タンクの耐久性を向上できる。
第1のポリエチレン系樹脂の平均分岐数は、炭素原子1000個あたり、1〜10個、好ましくは2〜9個、さらに好ましくは3〜8個程度であってもよい。また、分岐の平均長さは、炭素数3個以上(例えば、3〜10000個程度)から選択でき、好ましくは4個以上(例えば、4〜8000個)、さらに好ましくは5個以上(例えば、30〜6000個程度)であってもよい。第1のポリエチレン系樹脂の平均分岐数及び分岐の平均長さは、例えば、FT−NMR(日本電子(株)製、400MHz FT−NMR(ECX−400)など)を用いて、測定核13C、溶媒o−ジクロロベンゼン−d4、測定温度140℃の条件で、プロトンデカップリング法により測定できる。
第1のポリエチレン系樹脂の重量平均分子量(Mw)は、300,000〜1,000,000、好ましくは400,000〜900,000、さらに好ましくは500,000〜800,000程度である。前記第1のポリエチレン系樹脂の数平均分子量(Mn)は、15,000以上(例えば、15,000〜100,000程度)、好ましくは17,000以上(例えば、18,000〜70,000程度)、さらに好ましくは20,000以上(例えば、21,000〜50,000程度)程度であってもよい。
前記第1のポリエチレン系樹脂は、GPC法による分析において、単一の又は複数のピークを有していてもよい。また、第1のポリエチレン系樹脂は、GPC法による分析において、超高分子量領域(例えば、重量平均分子量が1,000,000〜2,000,000程度)にピークを有していてもよい。
第1のポリエチレン系樹脂の分子量分布(Mw/Mn)は広く、通常、10以上(例えば、10〜50程度)、好ましくは13以上(例えば、14〜45程度)、さらに好ましくは15以上(例えば、16〜40程度)、特に、10〜40程度である。
第1のポリエチレン系樹脂の極限粘度は、2.5〜5dl/g、好ましくは、2.8〜4.8dl/g、さらに好ましくは3〜4.6dl/g程度であってもよい。
第1のポリエチレン系樹脂の密度は、0.940〜0.980g/cm、好ましくは0.945〜0.975g/cm、さらに好ましくは0.946〜0.970g/cm程度であってもよい。このような密度であると、剛性及び緩衝性能に優れた樹脂タンクが得られる。ポリエチレン系樹脂の密度は、重合触媒の種類、重合条件、共重合性モノマーの種類、共重合性モノマーの含有量などを制御して調整できる。
第1のポリエチレン系樹脂のメルトフローレートは、温度190℃、荷重212N(21.6kgf)の条件下、0.1〜100g/10分、好ましくは、0.15〜90g/10分、さらに好ましくは0.2〜80g/10分程度であってもよい。このような範囲であると、耐久性を維持しつつ、溶融樹脂のドローダウンが少なく成形性に優れた樹脂タンクが得られる。
第1のポリエチレン系樹脂の全周ノッチ式引張クリープ破断時間は、温度90℃以上、公称応力4.0MPaの条件下、80時間以上(例えば、80〜5000時間程度)、好ましくは85時間以上(例えば、88〜4000時間程度)、さらに好ましくは90時間以上(例えば、92〜3000時間程度)であってもよく、通常、80〜3000時間程度であってもよい。全周ノッチ式引張クリープ破断時間は、JIS K6774に準拠して測定される。このような範囲であると、樹脂タンク成形時の残留応力、温水を貯蔵した時の自重による発生応力、樹脂タンクの凹部や段部に集中する応力などに対して十分な耐久性を備えた樹脂タンクが得られる。
第1のポリエチレン系樹脂の融点又は軟化点は、70〜200℃、好ましくは80〜170℃、さらに好ましくは90〜150℃(特に、100〜140℃)程度であってもよい。
前記第1のポリエチレン系樹脂は、慣用の重合方法(例えば、チーグラー型触媒を用いた付加重合、メタロセン系触媒を用いた付加重合など)により調製してもよいが、特にクロム系触媒(六価クロムなど)を用いた付加重合により調製するのが好ましい。通常、チーグラー型触媒、メタロセン系触媒などを用いると、直鎖状のポリエチレン系樹脂が得られ、クロム系触媒を用いると、分岐鎖(特に、長鎖分岐鎖)を有する第1のポリエチレン系樹脂が得られる。クロム系触媒を用いると、重合中の連鎖移動で側鎖が生成し、長鎖分岐を形成できる。さらに、高温及び高圧条件下で重合を行うと、長鎖分岐が形成されやすい。また、重合後、電子線照射などの特殊な手段により分子架橋し、長鎖分岐を形成することもできる。
前記ポリエチレン系樹脂は、さらに高分子量で分子量分布の狭い第2のポリエチレン系樹脂を含んでいてもよい。第1のポリエチレン系樹脂は、剛性が高く流動性が低下する場合があるが、第2のポリエチレン系樹脂を含んでいると、樹脂タンクの成形性を向上することができる。
第2のポリエチレン系樹脂としては、前記第1のポリエチレン系樹脂の項で例示のエチレンの単独又は共重合体が挙げられ、ポリエチレン(LDPE、LLDPE、HDPEなど)を用いる場合が多い。第2のポリエチレン系樹脂は、直鎖状であってもよく、分岐を有していてもよい。
第2のポリエチレン系樹脂は、前記第1のポリエチレン系樹脂の項で例示の慣用の重合方法により調製できる。
第2のポリエチレン系樹脂の数平均分子量(Mn)は、5,000〜100,000、好ましくは7,000〜80,000、さらに好ましくは10,000〜60,000程度であってもよい。第2のポリエチレン系樹脂の重量平均分子量(Mw)は、50,000以上(例えば、50,000〜1,000,000、好ましくは70,000〜800,000、さらに好ましくは100,000〜600,000程度であってもよい。第2のポリエチレン系樹脂の分子量分布(Mw/Mn)は狭く、1〜10(例えば、1〜9)、好ましくは2〜8、さらに好ましくは3〜7)程度であってもよい。
第2のポリエチレン系樹脂の割合は、ポリエチレン系樹脂全体に対して0〜60重量%(例えば、0.1〜60重量%)、好ましくは0.2〜50重量%、さらに好ましくは0.3〜40重量%(特に、0.4〜35重量%)程度であってもよい。
第2のポリエチレン系樹脂は、GPC法による分析において、単一のピークを有していてもよく、前記第1のポリエチレン系樹脂と組み合わせたとき、第1のポリエチレン系樹脂のピークと重複して1つのピークを形成してもよく、第1のポリエチレン系樹脂のピークと異なるピークを有していてもよい。
なお、ポリエチレン系樹脂の分子量は、測定温度140℃で、溶媒としてo−ジクロロベンゼンを用いて、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ法(GPC法)により測定できる。
(酸化防止剤)
酸化防止剤としては、高分子量酸化防止剤、例えば、ラジカル連鎖禁止剤(フェノール系化合物、アミン系化合物など)、過酸化物分解剤(リン系化合物、イオウ系化合物など)などが挙げられる。これらの酸化防止剤は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
フェノール系化合物としては、ヒンダードフェノール系化合物{1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)ブタンなどのトリス(2−アルキル−4−ヒドロキシ−5−分岐C3−8アルキルフェニル)ブタン、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼンなどトリス(3,5−ジ−分岐C3−8アルキル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、1,3,5−トリメチル−2,4,6,−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼンなどの1,3,5−トリアルキル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−分岐C3−8アルキル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン;テトラキス[メチレン−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタンなどのテトラキス[アルキレン−3−(3,5−ジ−分岐C3−8アルキル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]C1−4アルカン、ペンタエリスリチルテトラキス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]などのペンタエリスリチルテトラキス[3−(3,5−ジ−分岐C3−8アルキル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]など}などが挙げられる。フェノール系化合物は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。なお、フェノール系化合物は、例えば、チバ・ジャパン(株)製、商品名「Irganox1010」、「Irganox1076」、「Irganox1330」などとして入手できる。
アミン系化合物としては、テトラカルボン酸トリ又はテトラピペリジルエステル[例えば、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸テトラキス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)エステルなどのテトラカルボン酸テトラキス(テトラメチルピペリジル)エステル;ポリ[[6−[(1,1,3,3−テトラメチルブチル)アミノ]−1,3,5−トリアジン−2,4−ジイル][(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジニル)イミノ]]などのヒンダードアミン系化合物(HALS)などが挙げられる。なお、アミン系化合物は、例えば、チバ・ジャパン(株)製、商品名「Chimassorb944LD」、「Chimassorb2020FDL」、「Tinuvin622LD」などとして入手できる。
リン系化合物としては、トリス(2,4−分岐C3−8アルキル−ブチルフェニル)ホスファイト[トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイトなど];テトラキス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)−4,4’−ビフェニレンホスファイトなどのテトラキス(2,4−ジ−分岐C3−8アルキルフェニル)−4,4’−C2−4アルキレンホスファイトなどが挙げられる。なお、リン系化合物は、例えば、チバ・ジャパン(株)製、商品名「Irgafos168」などとして入手できる。
高分子量酸化防止剤は、t−ブチル基などの分岐C3−8アルキル基で置換されていてもよいフェニル基、t−ブチル基などの分岐C3−8アルキル基で置換されていてもよいヒドロキシフェニル基、アミノ基の窒素原子に置換基を有していてもよいアミノフェニル基、メチル基で置換されていてもよいピペリジル基などの官能基を1分子中に少なくとも3個(例えば、3〜5個)有する場合が多い。
これらの高分子量酸化防止剤のうち、ヒンダードフェノール系化合物{1,3,5−トリメチル−2,4,6,−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼンなどの1,3,5−トリアルキル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−分岐C3−8アルキル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、テトラキス[メチレン−3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタンなどのテトラキス[アルキレン−3−(3,5−ジ−分岐C3−8アルキル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]C1−4アルカン、ペンタエリスリチルテトラキス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]などのペンタエリスリチルテトラキス[3−(3,5−ジ−分岐C3−8アルキル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネートなど}、ヒンダードアミン系化合物{ポリ[[6−[(1,1,3,3−テトラメチルブチル)アミノ]−1,3,5−トリアジン−2,4−ジイル][(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジニル)イミノ]]など}などを用いる場合が多い。
高分子量酸化防止剤の分子量は、およその目安として、600〜10,000、好ましくは620〜9,000(例えば、700〜8,500)、さらに好ましくは640〜8,000(例えば、800〜7,500)程度であってもよい。
高分子量酸化防止剤は、単独又は複数組み合わせて使用でき、高分子量酸化防止剤の含有量は、ポリエチレン系樹脂に対し、重量換算で、3,000〜10,000ppm、好ましくは3,200〜9,000ppm、さらに好ましくは3,500〜8,000ppm程度であってもよい。
このように多量の高分子量酸化防止剤を用いると、長期間、高い酸化防止効果が得られ、樹脂タンクの耐久性が向上する。
前記酸化防止剤は、さらに低分子量酸化防止剤を含んでいてもよい。低分子量酸化防止剤としては、フェノール系化合物、アミン系化合物、リン系化合物、イオウ系化合物などが挙げられる。
フェノール系化合物としては、ジブチルヒドロキシトルエン(BHT)、ブチル化ヒドロキシアニソール(BHA)、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール、2,6−ジ−t−ブチル−4−エチルフェノール、2,6−ジ−t−ブチルフェノール、2,4−ジメチル−6−t−ブチルフェノール、2−メチル−4,6−ジ−ノニルフェノール、ブチルヒドロキシアニソール、スチレン化フェノール、2,4,6−トリ−t−ブチルフェノール、4,4’−ジヒドロキシジフェニルなどのモノフェノール系化合物;2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(4−エチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4’−ブチリデンビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4’−ブチリデンビス(2,6−ジ−t−ブチルフェノール)、1,1’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、2,2’−ジヒドロキシ−3,3’−ジ(α−メチルシクロヘキシル)−5,5’−ジメチルジフェニルメタンなどのビスフェノール系化合物;2,5−ジ−t−ブチルヒドロキノン、ヒドロキノンモノメチルエーテル、2,5−ジ−(第3アミル)ヒドロキノンなどのヒドロキノン系化合物;n−オクタデシル−3−(4’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−t−ブチルフェノール)プロピオネートなどのヒンダードフェノール系化合物などが挙げられる。
また、フェノール系化合物には、ヒンダードフェノール構造を有するヒドラジン化合物{N,N’−ビス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニル]ヒドラジンなど}などの金属不活性剤なども含まれ、例えば、チバ・ジャパン(株)製、商品名「Irganox MD1024」などとして入手できる。
アミン系化合物としては、フェニル−α−ナフチルアミン、フェニル−β−ナフチルアミン、アンドール−α−ナフチルアミンなどのナフチルアミン系化合物;p−イソプロポキシジフェニルアミン、p−(p−トルエンスルホニルアミド)−ジフェニルアミン、ビス(フェニルイソプロピリデン)−4,4’−ジフェニルアミン、N,N’−ジフェニルプロピレンジアミンなどのジフェニルアミン系化合物;N,N’−ジフェニル−p−フェニレンジアミン、N−イソプロピル−N’−フェニル−p−フェニレンジアミン、N,N’−ビス(1−メチルへプチル)−p−フェニレンジアミン、N,N’−ビス(1−エチル−3−メチルペンチル)−p−フェニレンジアミンなどのp−フェニレンジアミン系化合物;2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシ−ベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−n−オクトキシ−ベンゾフェノンなどのベンゾフェノン系化合物;2−(2’−ヒドロキシ−5’−t−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾールなどのベンゾトリアゾール系化合物;ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケートなどのヒンダードアミン系化合物(HALS);1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−ビス(トリデシル)エステル、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸ビス(N−メチル−2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−ビス(トリデシル)エステルなどのテトラカルボン酸ビス(テトラメチルピペリジル)−ビス(トリC8−20アルキル)エステル]、C1−4アルキレンビス(テトラアルキルピペラジノン)[1,1’−エチレンビス(3,3,3’,3’,5,5,5’,5’−オクタメチルピペラジン−2,2’−ジオン)などのC1−4アルキレンビス(テトラメチルピペラジノン)など];N,N′−ジフェニル−1,4−フェニレンジアミン、N−フェニル−N′−シクロヘキシル−1,4−フェニレンジアミンなどが挙げられる。
リン系化合物としては、トリフェニルホスファイト、ジフェニルイソデシルホスファイト、フェニルジイソデシルホスファイト、トリス(ノニルフェニル)ホスファイト;トリ−2,4−ジメチルフェニルホスフィン、トリ−2,4,6−トリメチルフェニルホスフィン、トリ−o−トリルホスフィン、トリ−m−トリルホスフィン、トリ−p−トリルホスフィン、トリ−o−アニシルホスフィン、トリ−p−アニシルホスフィンなどのホスフィン化合物などが挙げられる。
イオウ系化合物としては、ジ−ラウリル−3,3’−チオジプロピオン酸エステル(DLTDP)、ジ−ステアリル−3,3’−チオジプロピオン酸エステル(DSTDP)、ジ−ミリスチル−3,3’−チオジプロピオン酸エステル(DMTDP)などのチオジC2−4カルボン酸ジC10−20アルキルエステルなどが挙げられる。なお、イオウ系化合物は、例えば、チバ・ジャパン(株)製、商品名「Irganox PS802FD」、住友化学(株)製、商品名「スミライザーTPS」などとして入手できる。
低分子量酸化防止剤は、t−ブチル基などの分岐C3−8アルキル基で置換されていてもよいフェニル基、t−ブチル基などの分岐C3−8アルキル基で置換されていてもよいヒドロキシフェニル基、アミノ基の窒素原子に置換基を有していてもよいアミノフェニル基、メチル基で置換されていてもよいピペリジル基などの官能基を1分子中に1〜2個有する場合が多い。
低分子量酸化防止剤は、ヒンダードフェノール系化合物[n−オクタデシル−3−(4’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−t−ブチルフェノール)プロピオネートなど]、リン系化合物(トリフェニルホスファイト、ジフェニルイソデシルホスファイト、フェニルジイソデシルホスファイトなど)などを用いる場合が多い。
低分子量酸化防止剤の分子量は、およその目安として100〜700程度(通常、100以上600未満)、好ましくは100〜500(例えば、120〜450)、さらに好ましくは150〜400程度であってもよい。低分子量酸化防止剤の種類に応じて、低分子量酸化防止剤(例えば、低分子量イオウ系酸化防止剤)の分子量は、高分子量酸化防止剤の分子量と重なる場合があるが、前記のように官能基を1分子中に1〜2個有する場合が多い。
高分子量酸化防止剤と低分子量酸化防止剤との割合(重量比)は、前者/後者=40/60〜100/0(例えば、70/30〜100/0)程度の範囲から選択でき、例えば、50/50〜99/1、好ましくは60/40〜98/2、さらに好ましくは70/30〜97/3程度であってもよい。
前記低分子量酸化防止剤の含有量は、ポリエチレン系樹脂に対し、重量換算で、500〜5,000ppm、好ましくは700〜4,500ppm、さらに好ましくは800〜4,000ppm程度であってもよい。
また、高分子量酸化防止剤及び低分子量酸化防止剤の総含有量は、ポリエチレン系樹脂に対し、重量換算で、5,000〜10,000ppm、好ましくは5,300〜9,500ppm、さらに好ましくは5,500〜9,000ppm程度であってもよい。
なお、複数の酸化防止剤を用いる場合、(i)高分子量酸化防止剤が、フェノール系化合物(ヒンダードフェノール系化合物など)、アミン系化合物(ヒンダードアミン系化合物など)、リン系化合物、及びイオウ系化合物から選択された少なくとも二種である組合せ、(ii)高分子量酸化防止剤が、フェノール系化合物(ヒンダードフェノール系化合物など)、アミン系化合物(ヒンダードアミン系化合物など)、及びリン系化合物から選択された少なくとも一種であり、低分子量酸化防止剤が、フェノール系化合物及びイオウ系化合物から選択された少なくとも一種である組合せ、(iii)高分子量酸化防止剤が、少なくともフェノール系化合物(ヒンダードフェノール系化合物など)及びアミン系化合物(ヒンダードアミン系化合物など)である組合せ、(iv)高分子量酸化防止剤が、少なくともフェノール系化合物(ヒンダードフェノール系化合物など)であり、低分子量酸化防止剤がイオウ系化合物である組合せなどが好ましい。
酸化防止剤が、高分子量のフェノール系化合物(高分子量フェノール系化合物)と、高分子量のリン系化合物(高分子量リン系化合物)を含む場合、高分子量フェノール系化合物と高分子量リン系化合物との割合(重量比)は、前者/後者=20/80〜95/5の範囲から選択でき、例えば、30/70〜90/10、好ましくは40/60〜85/15、さらに好ましくは50/50〜80/20程度であってもよい。
酸化防止剤が、高分子量フェノール系化合物と、高分子量のアミン系化合物(高分子量アミン系化合物)を含む場合、高分子量フェノール系化合物と高分子量アミン系化合物との割合(重量比)は、前者/後者=10/90〜95/5の範囲から選択でき、例えば、20/80〜90/10、好ましくは30/70〜85/15、さらに好ましくは40/60〜80/20程度であってもよい。
酸化防止剤が、高分子量フェノール系化合物と、低分子量のイオウ系化合物(低分子量イオウ系化合物)を含む場合、高分子量フェノール系化合物と低分子量イオウ系化合物との割合(重量比)は、前者/後者=5/95〜95/5の範囲から選択でき、例えば、10/90〜90/10、好ましくは20/80〜80/20、さらに好ましくは30/70〜70/30程度であってもよい。
酸化防止剤は、通常、少なくとも高分子量フェノール系化合物及び高分子量リン系化合物を組み合わせて使用する場合が多く、高分子量フェノール系化合物と、高分子量リン系化合物と、高分子量アミン系化合物及び低分子量イオウ系化合物から選択された少なくとも一種とを組み合わせて用いてもよい。特に、高分子量フェノール系化合物(例えば、高分子量ヒンダードフェノール系化合物)と、高分子量リン系化合物と、低分子量イオウ系とを組み合わせて用いるのが好ましい。高分子量フェノール系化合物及び/又は低分子量イオウ系化合物と、高分子量リン系化合物とを併用すると酸化防止剤として大きな相乗効果が得られる。また、高分子量フェノール系化合物(例えば、高分子量ヒンダードフェノール系化合物)と高分子量アミン系化合物(高分子量ヒンダードアミン系化合物)とを併用すると酸化防止性が向上する場合がある。高分子量フェノール系化合物及び高分子量リン系化合物の総量と、低分子量イオウ系化合物及び高分子量アミン系化合物から選択された少なくとも一種との割合(重量比)は、前者/後者=20/80〜95/5の範囲から選択でき、例えば、30/70〜90/10、好ましくは40/60〜85/15、さらに好ましくは50/50〜80/20程度であってもよい。
高分子量酸化防止剤と低分子量酸化防止剤とを併用すると、成形時の熱履歴に伴う劣化や融着などの局所的な加熱による酸化劣化を早期に防止できるとともに、長期間にわたり、高い酸化防止効果が得られ、樹脂タンクの耐久性が向上する。また、酸化防止剤を前述のように多量に含有していると、長期間、酸化防止効果が得られる。なお、酸化防止剤を多量に含有していると(例えば、ポリエチレン系樹脂に対し、重量換算で、10,000ppmを超えて含有すると)、樹脂内部で酸化防止剤が凝集して樹脂タンクの強度が低下する場合がある。
酸化防止剤の効果を定量的に評価する指標として、例えば、酸化誘導時間(OIT)が利用できる。酸化誘導時間は、JIS K6774の熱安定性試験方法に準拠し、測定される。酸化誘導時間は、特定の試験温度で酸素雰囲気下に、酸化防止剤を含む試験片を保持し、酸化防止剤が試験片の酸化を抑える時間を測定したものである。前記樹脂タンクの酸化誘導時間は、温度210℃、酸素雰囲気下の条件で、30〜250分間、好ましくは40〜250分間、さらに好ましくは50〜250分間程度であってもよい。長期耐久性(例えば、10年以上の耐久性)を確保するためには、酸化誘導時間が長いのが好ましいが、長すぎると、樹脂内部で酸化防止剤が凝集や偏析するために、樹脂タンクの強度が低下する。
前記樹脂層の平均厚みは、樹脂タンクの容量などに応じて選択でき、例えば、1〜15mm、好ましくは2〜10mm、さらに好ましくは3〜8mm(特に、4〜7mm)程度であってもよい。
[発泡層]
本発明の樹脂タンクは、必ずしも発泡層を含んでいなくてもよいが、前記樹脂層と、この樹脂層の外面に形成された発泡層とを含む多層積層構造を有していてもよい。このような多層積層構造を有していると、樹脂タンクの断熱性を向上できる。発泡層は、前記樹脂層の外面の一部に形成されていてもよく、外面の全部に形成されていてもよい。発泡層は、前記リブを有していてもよく、有していなくてもよい。
発泡層を構成する成分は、特に制限されないが、通常、前記樹脂層と同様の成分(少なくともポリエチレン系樹脂及び高分子量酸化防止剤)で構成される。
前記樹脂層及び/又は発泡層は、前記樹脂タンク(特に、樹脂層)の再生品で構成されていてもよく、特に、発泡層が前記樹脂タンク(特に、樹脂層)の再生品で構成されている場合が多い。前記樹脂タンク再生品としては、樹脂タンクの加工時に生じる廃材(バリなど)などが挙げられる。
前記樹脂層及び/又は発泡層(特に、発泡層)は、前記樹脂タンクの再生品を樹脂層及び/又は発泡層(特に、発泡層)に対し、50重量%以下(0〜45重量%程度)、好ましくは0.01〜40重量%、さらに好ましくは0.1〜30重量%、通常、0.01〜50重量%程度の割合で含有していてもよい。
このように、前記樹脂タンクは、前記樹脂タンクの再生品(例えば、バリなど)であっても、樹脂タンクの特性を維持することができる。
前記発泡層の独立気泡率は、50%以上(例えば、55〜100%)、好ましくは60%以上(例えば、65〜95%)、さらに好ましくは70%以上(例えば、75〜90%程度)であってもよい。
また、前記発泡層の発泡倍率は、例えば、2〜100倍程度から選択でき、例えば、2〜90倍(例えば、2.5〜80倍)、好ましくは3〜70倍、さらに好ましくは4〜65倍)程度であってもよい。
前記発泡層の平均厚みは、1〜30cm、好ましくは2〜25cm、さらに好ましくは3〜20cm程度であってもよい。また、前記樹脂層の平均厚み(A)に対する発泡層の平均厚み(B)の比(B/A)は、0.2/1〜10/1、好ましくは0.3/1〜9/1、さらに好ましくは0.5/1〜8/1程度であってもよい。
前記樹脂層及び/又は発泡層は、必要に応じて添加剤を含んでいてもよい。前記添加剤としては、例えば、充填剤、安定剤(耐熱安定剤、耐候安定剤など)、発泡助剤、難燃剤、着色剤(染料、顔料など)、分散剤、離型剤、潤滑剤、可塑剤、収縮防止剤、帯電防止剤、抗菌剤、防腐剤、防カビ剤などを含有してもよい。これらの添加剤は単独で又は二種以上組み合わせて使用してもよい。
前記添加剤の割合(重量比)は、それぞれ、ポリエチレン系樹脂100重量部に対して、0.01〜30重量部、好ましくは0.05〜20重量部、さらに好ましくは0.1〜10重量部程度であってもよい。
図1は、本発明の樹脂タンクの一例の概略図である。樹脂タンク1は、中空直方体状を有する樹脂層で形成されており、その上部には、タンクの一方の側面に沿って高さ方向に延出した凸部(膨出部)2が形成されている。すなわち、樹脂タンク1は、前記凸部2により形成された凹部又は空間部に、熱源機などを配設可能な形状を有している。そして、樹脂タンク1の下部及び前記凸部2の上部には、樹脂タンク1の横方向に延びて、樹脂タンク1内に温水を流入(又は流出)させるための挿入管3が設けられており、この挿入管3は、その端部から流入した温水を樹脂タンク1内に導入するための複数の流出孔を有している。なお、前記凸部2の上端部には、樹脂タンク1内の不要物(例えば、樹脂タンクの切断や切削加工時に発生する樹脂の破片など)を取り出すための取り出し口4、及びこの取り出し口4を塞ぐための蓋(キャップ)5を備えている。また、樹脂タンク1には、その中間部から下部にかけて、高さ方向に間隔をおいて外周に沿って複数のリブ6が設けられている。
図2は、発泡層7を備えた樹脂タンクの一例を示す断面図である。この例の樹脂タンクは、前記樹脂タンク1と、この樹脂タンク1の全面を樹脂タンク1の形状に合わせて所定の厚みで被覆する発泡層7とで構成されている。
なお、樹脂タンクの形状は、特に制限されず、中空円筒状、中空楕円状、断面多角形状[断面四角柱状(断面立方体状、断面直方体状など)など]などであってもよい。前記樹脂タンクは、熱源機などを配設するための凹部、段部などを有していてもよい。
樹脂タンクの横方向の内径は、例えば、10〜60cm、好ましくは13〜50cm、さらに好ましくは15〜40cm程度であってもよい。樹脂タンクの縦方向の内径は、例えば、30〜100cm、好ましくは35〜90cm、さらに好ましくは40〜80cm程度であってもよい。樹脂タンクの高さ方向の内径は、例えば、50〜300cm、好ましくは70〜250cm、さらに好ましくは100〜200cm程度であってもよい。樹脂タンクの容量は、50L以上(例えば、55〜400L程度)、好ましくは60〜350L、さらに好ましくは70〜250L(特に、100〜200L)、通常、50〜300L程度であってもよい。本発明の樹脂タンクは、このように大容量(大型)であっても、耐久性に優れるとともに、高い成形性で製造できる。
また、前記樹脂タンクにおいて、樹脂層は、リブを有していなくてもよく、有していてもよい。樹脂層がリブを有していると、樹脂タンクの剛性及び強度を向上することができる。また、前記樹脂タンクが多層積層構造を有する場合、樹脂層及び/又は発泡層は、リブを有していてもよく、通常、少なくとも樹脂層がリブを有している場合が多い。
リブは、樹脂タンクのいずれに形成されていてもよく、通常、樹脂層及び/又は発泡層(特に、樹脂層)の側部(側面)に形成されている場合が多い。リブの形状は、凸状であってもよく、凹状であってもよい。リブの断面形状は、断面円状、断面楕円状、断面三角形状、断面コ字状、断面台形状などであってもよく、通常、断面コ字状、断面台形状などである場合が多い。
リブは、樹脂タンクの周方向に限らず、高さ方向、横方向、及び斜め方向に形成でき、格子状であってもよい。なお、リブの個数、幅などは特に制限されず、用途に応じて適宜選択できる。
[樹脂タンクの製造方法]
前記樹脂タンクは、ポリエチレン系樹脂及び酸化防止剤で構成された樹脂組成物をブロー成形する工程を経て製造できる。
ブロー成形(又は、吹き込み成形)は、通常、樹脂組成物を溶融して押出機のダイから円筒状の溶融体(パリソン)を押出し、金型で挟んで溶融体の一方を閉じ、他方から圧縮空気を吹き込み、冷却固化する。前記樹脂組成物は、特定のポリエチレン系樹脂と高分子量酸化防止剤とで構成されているため、溶融体のドローダウン性が低く、ブロー成形により容易に樹脂タンクを製造できる。また、前記樹脂組成物を溶融した円筒状の樹脂層と、この樹脂層の外周に形成され、かつ前記樹脂及び発泡剤で構成された発泡組成物を溶融した発泡層とで構成された溶融体(多層パリソン)をブロー成形して多層積層構造を有する樹脂タンクを製造できる。
発泡層における前記発泡剤としては、慣用の発泡剤、例えば、不活性又は不燃性ガス(窒素、炭酸ガス、フロン、代替フロンなど)、水、有機系物理発泡剤[例えば、脂肪族炭化水素(プロパン、n−ブタン、イソブタン、ペンタン(n−ペンタン、イソペンタンなど)、ヘキサン(n−ヘキサンなど)など)、芳香族炭化水素(トルエンなど)、ハロゲン化炭化水素(三塩化フッ化メタンなど)、エーテル類(ジメチルエーテルなど)、ケトン類(アセトンなど)など]、分解性発泡剤[重炭酸ナトリウム、炭酸アンモニウムなどの無機炭酸塩又はその塩;クエン酸などの有機酸又はその塩(クエン酸ナトリウムなど)など];2,2′−アゾビスイソブチロニトリル、アゾジカーボンアミド(ADCA)などのアゾ化合物;ジニトロソペンタメチレンテトラミン(DPT)などのニトロソ化合物などが挙げられる。これらの発泡剤は、単独で又は二種以上組み合わせて使用してもよい。なお、発泡剤の分解温度は、180℃以上(例えば、200〜300℃程度)であってもよい。
発泡剤の割合は、前記ポリエチレン系樹脂100重量部に対して、0.1〜50重量部、好ましくは0.5〜40重量部、さらに好ましくは1〜30重量部程度であってもよい。
前記発泡剤は、樹脂組成物に予め含有させてもよく、ブロー成形の過程で樹脂組成物に添加又は圧入してもよい。なお、前記例示の添加剤なども、必要により、ブロー成形の適当な段階で、樹脂組成物及び/又は発泡組成物に添加してもよい。
ブロー成形は、慣用のブロー成形機(例えば、押出ブロー成形機、射出ブロー成形機、延伸ブロー成形機、多層ブロー成形機など)を用いて行ってもよい。
成形温度は、例えば、120〜300℃、好ましくは140〜280℃、さらに好ましくは150〜260℃程度であってもよい。
本発明の樹脂タンクは、冷水のみならず、温水を貯蔵しても、耐久性が高いため、冷水と温水とが温度差を有する給湯システム[給湯単能システム、家庭用コジェネレーションシステム(ガスエンジン発電機能付きガス給湯暖房システム、燃料電池(固体高分子形燃料電池、固体酸化物形燃料電池など)を備えた発電機能付きガス給湯暖房システムなどの給湯暖房システム)、風呂追い炊きシステム、給湯機(自然冷媒ヒートポンプ式電気給湯機などの電気温水機など)など]などに利用できる。
以下に、実施例に基づいて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。
実施例及び比較例で用いたポリエチレン系樹脂及び酸化防止剤を下記に示す。
[ポリエチレン系樹脂]
(第1のポリエチレン系樹脂)
ポリエチレン系樹脂A:日本ポリエチレン(株)製、第1のポリエチレン系樹脂(HB217RW、数平均分子量26,800、重量平均分子量511,000、分子量分布19.1)70重量部と、日本ポリエチレン(株)製、第2のポリエチレン系樹脂(HJ221、数平均分子量45,000、重量平均分子量310,500、分子量分布6.9)30重量部とのブレンド物、数平均分子量35,300、重量平均分子量588,000、分子量分布16.6
ポリエチレン系樹脂B:(株)プライムポリマー製、Hizex8800BS、数平均分子量21,300、重量平均分子量783,000、分子量分布36.8
ポリエチレン系樹脂C:日本ポリエチレン(株)製、HB216R、太陽熱温水器のタンク用樹脂、表1に示す割合で酸化防止剤を含有、数平均分子量28,000、重量平均分子量550,000、分子量分布19.6
(第2のポリエチレン系樹脂)
ポリエチレン系樹脂D:(株)プライムポリマー製、SP4030、回転成形用樹脂、表1に示す割合で酸化防止剤を含有、数平均分子量8,500、重量平均分子量70,000、分子量分布8.2
ポリエチレン系樹脂E:三井化学(株)製、NZ4004M、ガス管用樹脂、表1に示す割合で酸化防止剤を含有、数平均分子量17,000、重量平均分子量150,000、分子量分布8.8
[酸化防止剤]
(高分子量酸化防止剤)
高分子量酸化防止剤a(フェノール系化合物):ペンタエリスリチルテトラキス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、チバ・ジャパン(株)製、Irganox1010、分子量1177.7
高分子酸化防止剤b(フェノール系化合物):1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、チバ・ジャパン(株)製、Irganoz1330、分子量775.2
高分子酸化防止剤c(リン系化合物):トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト、チバ・ジャパン(株)製、Irgafos168、分子量646.9
高分子酸化防止剤d(アミン系化合物):ポリ[[6−[(1,1,3,3−テトラメチルブチル)アミノ]−1,3,5−トリアジン−2,4−ジイル][(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジニル)イミノ]]、チバ・ジャパン(株)製、Chimassorb944LD、分子量2500以上
(低分子量酸化防止剤)
低分子量酸化防止剤e(フェノール系化合物):ジブチルヒドロキシトルエン(BHT)、住友化学(株)製、 BHT、分子量220.4
低分子量酸化防止剤f(フェノール系化合物):オクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピネート、チバ・ジャパン(株)製、Irganox1076、分子量530.9
低分子量酸化防止剤g(イオウ系化合物):ジ−ステアリル−3,3’−チオジプロピオン酸エステル、住友化学(株)製、スミライザーTPS、分子量683。
(実施例1)
ポリエチレン系樹脂A100重量部に、酸化防止剤のマスターバッチ5重量部を混合して最終的に表1の割合で酸化防止剤を含む樹脂組成物を得た。この樹脂組成物を、大型ブロー成型機((株)プラコー製、DA−G、押出ノズル径120mm、アキュムレーター容量40L)を用いて、ブロー成形し、樹脂タンク(高さ方向の内径約150cm×縦方向の内径約43cm×横方向の内径約19cm、容量約100L)を形成した。
(実施例2)
ポリエチレン系樹脂B100重量部に、酸化防止剤のマスターバッチ10重量部を混合して最終的に表1の割合で酸化防止剤を含む樹脂組成物を得た。この樹脂組成物を実施例1と同様にブロー成形し、樹脂タンク(高さ方向の内径約150cm×縦方向の内径約43cm×横方向の内径約19cm、容量約100L)を形成した。
(比較例1)
ポリエチレン系樹脂Cを実施例1と同様にブロー成形し、樹脂タンク(高さ方向の内径約150cm×縦方向の内径約43cm×横方向の内径約19cm、容量約100L)を得た。
(比較例2)
ポリエチレン系樹脂Dを実施例1と同様にブロー成形し、樹脂タンク(高さ方向の内径約150cm×縦方向の内径約43cm×横方向の内径約19cm、容量約100L)を得た。
(比較例3)
ポリエチレン系樹脂Eを実施例1と同様にブロー成形し、樹脂タンク(高さ方向の内径約150cm×縦方向の内径約43cm×横方向の内径約19cm、容量約100L)を得た。
樹脂タンクの特性は以下の方法により測定した。
(密度)
JIS K7112に準拠し、温度160℃の熱圧縮成型機により、ポリエチレン系樹脂のペレットを溶融した後、25℃/分の速度で降温し、厚み2mmのシートを形成した。このシートを温度23℃の室内で48時間状態調節した後、密度勾配管に入れ、ポリエチレン系樹脂の密度を測定した。
(メルトフローレート(MFR))
JIS K7210に準拠して、温度190℃、荷重212N(21.6kgf)の条件で、ポリエチレン系樹脂のメルトフローレート測定した。
(全周ノッチ式引張クリープ強度)
JIS K6774に準拠して、厚み6mmのポリエチレン系樹脂のプレスシートから、縦6mm×横6mm×長さ70mmの試験片を切り出し、ノッチ入れ治具を用いて、中央に深さ1.0mmの全周ノッチを入れた。温度90℃、公称応力4.0MPaを負荷して、破断までの時間を測定した。
(酸化誘導時間(OIT))
樹脂タンクの試料5mgを示差走査熱量計(DSC)(島津製作所(株)製、DSC50)に入れ、まず、窒素雰囲気(流量50ml/分)で、昇温速度100℃/分で、210℃まで昇温し、210℃に到達後、5分間保持して、酸素雰囲気(流量50ml/分)に切り換えた。切り換えた後、酸化発熱が開始するまでの時間を測定した。
(成形性)
樹脂タンクを目視で観察し、以下の基準で成形性を評価した。
◎…肉厚のムラが少なく、表面状態も良い
○…肉厚にややムラがあり、表面も少しザラザラしている
△…肉厚のムラがかなりあり、表面にメルトフラクチャーが生成しているが、樹脂タンクの形状は保持している
×…樹脂タンクが形成できない。
(耐久性)
以下の基準で耐久性を評価した。
◎…全周ノッチ式引張クリープ強度が1000時間以上
○…全周ノッチ式引張クリープ強度が250時間以上1000時間未満
△…全周ノッチ式引張クリープ強度が100時間以上250時間未満
×…全周ノッチ式引張クリープ強度が100時間未満。
(温水に対する耐熱性)
以下の基準で温水に対する耐熱性を評価した。
◎…OITが100分以上
○…OITが50分以上100分未満
△…OITが10分以上50分未満
×…OITが10分未満
結果を表1に示す。なお、表中、比較例3で、全周ノッチ引張クリープ破断時間が10000時間以上であるが、10000時間以上経過してもまだ破断せず、試験を継続中であることを示す。
表1から明らかなように、本発明の樹脂タンクは、比較例に比べ、高分子量で分子量の広い第1のポリエチレン系樹脂と、多量の高分子量酸化防止剤とで構成された樹脂層を少なくとも含んでいるため、長期間、温水を貯蔵し、応力が負荷されていても、耐久性に優れ、高い成形性で得られる。比較例1では、ブロー成形は可能であるが、酸化防止剤の含有量が少ないため、長期的に酸化防止効果が得られず、温水に対する耐熱性が十分でない。また、全周ノッチ式引張クリープ破断時間が短いため、耐久性及び剛性が低い。比較例2では、ポリエチレン系樹脂の分子量が小さくメルトフローレートが大きいため、ブロー成形することができない。また、比較例2では、酸化防止剤を配合しているため、温水に対する耐熱性は確保できているが、分子量が小さいため、全周ノッチ式引張クリープ破断時間が短く、耐久性及び剛性が低い。比較例3では、酸化防止剤の含有量が少ないため、長期的に酸化防止効果が得られず、温水に対する耐熱性が不十分である。さらに、ポリエチレン系樹脂の密度が小さく、メルトフローレートが大きいため、ブロー成形が非常に困難である。
図1は、本発明の樹脂タンクの一例の概略図である。 図2は、発泡層を備えた本発明の樹脂タンクの一例の断面図である。
符号の説明
1…樹脂タンク
6…リブ
7…発泡層

Claims (20)

  1. ポリエチレン系樹脂と酸化防止剤とで構成された樹脂層を少なくとも含み、給湯システムの温水を貯蔵するための樹脂タンクであって、前記ポリエチレン系樹脂が、重量平均分子量(Mw)300,000〜1,000,000、分子量分布10〜50である高分子量で分子量分布の広い第1のポリエチレン系樹脂で構成され、前記酸化防止剤が高分子量酸化防止剤で構成され、前記高分子量酸化防止剤の含有量が、前記ポリエチレン系樹脂に対して、重量換算で3,000〜10,000ppmである樹脂タンク。
  2. 第1のポリエチレン系樹脂が、数平均分子量(Mn)15,000〜100,000である請求項1記載の樹脂タンク。
  3. 第1のポリエチレン系樹脂の極限粘度が2.5〜5dl/gである請求項1又は2記載の樹脂タンク。
  4. 第1のポリエチレン系樹脂が、(1)密度0.940〜0.980g/cm、(2)温度190℃、荷重212Nの条件下でのメルトフローレート0.1〜100g/10分、(3)温度90℃、公称応力4.0MPaの条件下での全周ノッチ式引張クリープ破断時間80〜5000時間である請求項1〜3のいずれかに記載の樹脂タンク。
  5. 第1のポリエチレン系樹脂が長鎖分岐鎖を有する請求項1〜4のいずれかに記載の樹脂タンク。
  6. ポリエチレン系樹脂が、さらに高分子量で分子量分布の狭い第2のポリエチレン系樹脂を含む請求項1〜5のいずれかに記載の樹脂タンク。
  7. 第2のポリエチレン系樹脂の割合が、ポリエチレン系樹脂全体に対して0.1〜60重量%である請求項6記載の樹脂タンク。
  8. 高分子量酸化防止剤がフェノール系化合物、リン系化合物、イオウ系化合物、及びアミン系化合物から選択された少なくとも一種であり、高分子量酸化防止剤の含有量がポリエチレン系樹脂に対して、重量換算で3,200〜9,000ppmである請求項1〜7のいずれかに記載の樹脂タンク。
  9. 高分子量酸化防止剤が、フェノール系化合物と、リン系化合物と、イオウ系化合物及びアミン系化合物から選択された少なくとも一種とで構成され、フェノール系化合物及びリン系化合物の総量と、イオウ系化合物及びアミン系化合物から選択された少なくとも一種との割合(重量比)が、前者/後者=30/70〜90/10である請求項1〜8のいずれかに記載の樹脂タンク。
  10. 樹脂層が、さらに低分子量酸化防止剤を含む請求項1〜9のいずれかに記載の樹脂タンク。
  11. 温度210℃、酸素雰囲気下での酸化誘導時間が30〜250分間である請求項1〜10のいずれかに記載の樹脂タンク。
  12. 高分子量酸化防止剤及び低分子量酸化防止剤の総含有量が、ポリエチレン系樹脂に対して、重量換算で5,000〜10,000ppmである請求項10又は11のいずれかに記載の樹脂タンク。
  13. 高分子量酸化防止剤と低分子量酸化防止剤との割合(重量比)が、前者/後者=50/50〜99/1である請求項10〜12のいずれかに記載の樹脂タンク。
  14. 容量が50〜300Lであり、樹脂層がリブを有する請求項1〜13のいずれかに記載の樹脂タンク。
  15. 給湯システムが、給湯単能システム、給湯暖房システム、及び風呂追い炊きシステムから選択された少なくとも一種である請求項1〜14のいずれかに記載の樹脂タンク。
  16. 樹脂層と、この樹脂層の外面に形成された発泡層とを含む多層積層構造を有する請求項1〜15のいずれかに記載の樹脂タンク。
  17. 発泡層が請求項1記載の樹脂タンクの再生品で構成されている請求項16記載の樹脂タンク。
  18. 発泡層が、樹脂タンクの再生品を発泡層に対して0.01〜50重量%の割合で含有する請求項17記載の樹脂タンク。
  19. ポリエチレン系樹脂及び酸化防止剤で構成された樹脂組成物をブロー成形する工程を含む請求項1〜15のいずれかに記載の樹脂タンクを製造する方法であって、前記ポリエチレン系樹脂が、重量平均分子量(Mw)300,000〜1,000,000、分子量分布10〜50である高分子量で分子量分布の広い第1のポリエチレン系樹脂で構成され、前記酸化防止剤が高分子量酸化防止剤で構成され、前記高分子量酸化防止剤の含有量が、前記ポリエチレン系樹脂に対して、重量換算で3,000〜10,000ppmである製造方法。
  20. ポリエチレン系樹脂及び酸化防止剤で構成された樹脂組成物を溶融した円筒状の樹脂層と、この樹脂層の外周に形成され、かつ前記樹脂組成物及び発泡剤で構成された発泡組成物を溶融した発泡層とで構成された溶融体をブロー成形する工程を含む請求項16〜18のいずれかに記載の樹脂タンクを製造する方法であって、前記ポリエチレン系樹脂が、重量平均分子量(Mw)300,000〜1,000,000、分子量分布10〜50である高分子量で分子量分布の広い第1のポリエチレン系樹脂で構成され、前記酸化防止剤が高分子量酸化防止剤で構成され、前記高分子量酸化防止剤の含有量が、前記ポリエチレン系樹脂に対して、重量換算で3,000〜10,000ppmである製造方法。


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