JP5796389B2 - ポリエチレン系樹脂組成物および、それよりなるチューブ容器 - Google Patents

ポリエチレン系樹脂組成物および、それよりなるチューブ容器 Download PDF

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Description

本発明はポリエチレン系樹脂組成物及びその樹脂組成物からなるチューブ容器に関するものである。
ハンドクリーム、ヘアジェル、化粧クリームなどの化粧品用チューブ、シャンプー、リンス、洗剤などの日用品チューブ、マヨネーズ、しょうゆ、わさびなどの食品用チューブなどのチューブ容器は、一般に押出成形法を用いて製造されている。これらのチューブ容器は、例えば高圧法低密度ポリエチレンの単層、あるいは、ガスバリアー性を設けた多層で成形されている。
これらのチューブ容器には、絞り出し時の柔軟性と復元性、内容物の膨張による容器強度(引裂強度)、内容物の浸透によるESCR、チューブの末端を閉鎖するためのヒートシール性が必要である。
そこで、適度の柔軟性がありヒートシール性も良好であるため、高圧法低密度ポリエチレンが従来から好適に用いられていたが、該高圧法低密度ポリエチレンは耐ストレスクラッキング性(ESCR)が低いために内容物によっては容器の液もれを招く、使用に適さない内容物がある、強度が低いために内容物の膨張により破損事故を招く、などの課題を有していた。そして、この課題を克服する方法として、メタロセン系直鎖状ポリエチレンを用いることが提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
また、高圧ラジカル重合法低密度ポリエチレンとエチレン・α−オレフィン共重合体とからなる組成物を押出ラミネート材料のヒールシート材等に使用することが知られているが(例えば、特許文献2参照。)、チューブ容器として使用することは知られていない。
特開平11−49820号公報 特開平9−59440号公報
しかし、特許文献1に提案されている方法においては、メタロセン系直鎖状ポリエチレンは腰が強過ぎることから、絞り出し時の柔軟性と復元性に劣るという課題を残している。従来の高圧法低密度ポリエチレンと同様の柔軟性と復元性を兼ね備えた上で、ESCRに優れ引裂強度が高く、かつヒートシール性に優れたチューブ容器の出現が求められている。
そこで、本発明者らは上記課題に関し鋭意検討した結果、メタロセン化合物を触媒とした重合法で得られるエチレンと炭素数3〜20のα−オレフィンとからなる共重合体及び特定のエチレン・α−オレフィン共重合体からなるチューブ容器が、柔軟性と復元性を兼ね備えた上でESCRに優れ、引裂強度が高く、かつヒートシール性に優れることを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明は、メタロセン化合物を触媒とした重合法で得られるエチレンと炭素数3〜20のα−オレフィンとからなる共重合体で、JIS K6760に準拠した密度870〜900kg/m、ASTM 1238に準拠し、190℃、荷重2.16kgで測定したメルトフローレート1〜100g/10minである直鎖状低密度ポリエチレン(A)と、メルトフローレートが1g/10分以上10g/10分未満、160℃における溶融張力が50mN以上、歪硬化性を有し、密度が940〜955kg/mのエチレン・α−オレフィン共重合体(B)とからなるポリエチレン系樹脂組成物であり、しかも、配合割合が(A)40〜90重量%、(B)10〜60重量%であり、密度890〜930kg/m、メルトフローレート1〜50g/10min、溶融張力10mN以上であることを特徴とするポリエチレン系樹脂組成物およびそれからなるチューブ容器に関するものである。
すなわち、本発明の第1は、直鎖状低密度ポリエチレン(A)とエチレン・α−オレフィン共重合体(B)とからなるポリエチレン系樹脂組成物において、直鎖状低密度ポリエチレン(A)がメタロセン化合物を触媒とした重合法で得られるエチレンと炭素数3〜20のα−オレフィンとからなる共重合体で、JIS K6760に準拠した密度870〜900kg/m、ASTM 1238に準拠し、190℃、荷重2.16kgで測定したメルトフローレート1〜100g/10minであり、エチレン・α−オレフィン共重合体(B)が、メルトフローレートが1g/10分以上10g/10分未満、160℃における溶融張力が50mN以上、歪硬化性を有し、密度が940〜955kg/mのエチレン・α−オレフィン共重合体であることを特徴とするポリエチレン系樹脂組成物である。
本発明の第2は、直鎖状低密度ポリエチレン(A)とエチレン・α−オレフィン共重合体(B)とからなるポリエチレン系樹脂組成物において、直鎖状低密度ポリエチレン(A)がメタロセン化合物を触媒とした重合法で得られるエチレンと炭素数3〜20のα−オレフィンとからなる共重合体で、JIS K6760に準拠した密度870〜900kg/m、ASTM 1238に準拠し、190℃、荷重2.16kgで測定したメルトフローレート1〜100g/10minであり、エチレン・α−オレフィン共重合体(B)が、メルトフローレートが1g/10分以上10g/10分未満、160℃における溶融張力が50mN以上、歪硬化性を有し、密度が940〜955kg/mのエチレン・α−オレフィン共重合体であり、しかも、配合割合が(A)40〜90重量%、(B)10〜60重量%であり、密度890〜930kg/m、メルトフローレート1〜50g/10min、溶融張力10mN以上で、(A)+(B)の合計100重量部に対して、フェノール系熱安定剤及び/又はリン系熱安定剤0.01〜0.5重量部を含有していることを特徴とするポリエチレン系樹脂組成物である。
本発明の第3は、引張強度10MPa以上、曲げ弾性率600MPa以下の、前記第1又は第2の発明であるポリエチレン系樹脂組成物からなることを特徴とするチューブ容器である。以下、本発明を詳細に説明する。
直鎖状低密度ポリエチレン(A)は、メタロセン化合物を触媒とした重合法で得られるエチレンと炭素数が3〜20のα−オレフィンとのランダム共重合体である。メタロセン化合物を触媒とした重合法とは、例えば、国際公開番号WO95/15985号の再公表特許に記載されている重合法をいう。
本発明に用いる直鎖状低密度ポリエチレン(A)として、メタロセン化合物を触媒として重合して得られる直鎖状低密度ポリエチレンを用いることができる。さらに、直鎖状低密度ポリエチレン(A)は、2種類以上の上記直鎖状低密度ポリエチレンの組み合わせであってもよい。また、ダウエラストマーズ社製のエチレン/1−オクテン共重合体(登録商標ELITE、AFFINITY、ENGAGE)を直鎖状低密度ポリエチレン(A)として用いることができる。上記同様、2種類以上の組み合わせであってもよい。
直鎖状低密度ポリエチレン(A)は、密度が密度870〜900kg/mである。
ここで、直鎖状低密度ポリエチレンの密度が900kg/mを超える場合、直鎖状低密度ポリエチレンの結晶化度が高くなり、得られるチューブ容器のヒートシール性が低下する。一方、密度が870kg/m未満である場合、得られるチューブ容器が柔らかくなり過ぎ復元性に劣るものとなる。また、直鎖状低密度ポリエチレンのMFRが1.0g/10分未満である場合、得られるポリエチレン樹脂組成物の溶融せん断粘度が高くなり、加工時の押出機への負荷が大きくなるとともにドローダウン性も悪くなり、成形加工性に劣るものとなる。一方、MFRが100g/10分より大きい場合、得られるポリエチレン樹脂組成物の粘度が小さくなるため賦形性が悪くなる。また、分子量が小さいことからチューブ容器とした際の機械的強度が低下する。
本発明に用いるエチレン・α−オレフィン共重合体(B)は、メルトフローレートが1.0g/10分以上10g/10分未満、160℃における溶融張力が50mN以上、歪硬化性を有し、密度が940〜955kg/mである。ここで、密度が940kg/m未満である場合、チューブ容器は柔らかくなり復元性に劣るものとなる。一方、密度が955kg/mより大きい場合は、ヒートシール性が悪くなり、好ましくない。また、MFRが1.0g/10分より小さいエチレン・α−オレフィン共重合体である場合、溶融せん断粘度が高くなりポリエチレン樹脂組成物を成形加工する際の押出機への負荷が大きくなるとともにドローダウン性も悪くなり成形加工性の劣るものとなる。一方、10g/10分より大きいエチレン・α−オレフィン共重合体である場合、溶融張力が小さくなるためチューブ容器とする際の賦形性が悪くなり、分子量が小さくなることからチューブ容器の機械的強度が低下する。160℃における溶融張力が50mN未満の場合、チューブを成形する際に樹脂が垂れてしまい、変形してしまうため好ましくない。また、歪硬化性を有さない場合、チューブ円周の肉厚がばらつくため、意匠性に問題が発生する。
歪硬化性は、マイスナー型一軸伸長粘度計を用いて、160℃で、ひずみ速度0.07〜0.1s−1の条件で測定した伸長粘度の最大値を、その時間の線形領域の伸長粘度で除した値を非線形パラメーターλと定義し、λが1を超える歪硬化性があると確認できる。なお、M. Yamaguchi et al.Polymer Journal 32,164(2000).に記載のように、線形領域の伸長粘度は動的粘弾性より計算できる。λが1の場合、歪硬化性がないと判断できる。
本発明に用いられるエチレン・α−オレフィン共重合体(B)は、該範疇に属するものであれば如何なるエチレン・α−オレフィン共重合体であってもよい。また、市販品として入手したものであってもよく、例えば(商品名)TOSOH−HMS JK46(東ソー(株)製)、(商品名)TOSOH−HMS JK25(東ソー(株)製)等が入手可能である。
本発明に用いるポリエチレン樹脂組成物は、配合割合が(A)40〜90重量%、(B)10〜60重量%であり、密度890〜930kg/m、メルトフローレート1.0〜50g/10min、溶融張力10mN以上である。
ここで、直鎖状低密度ポリエチレン(A)が40重量%を下回る場合、得られるチューブ容器はESCRや引裂強度に劣るものとなる。一方、90重量%を上回る場合、ポリエチレン樹脂組成物を調整する際の押出機への負荷が高くなると共に、成形加工性にも劣るものとなる。
また、本発明に用いるポリエチレン樹脂組成物においては、直鎖状低密度ポリエチレン(A)およびエチレン・α−オレフィン共重合体(B)は、それぞれ1種類または2種類以上の混合物を用いることができる。
本発明に用いるポリエチレン樹脂組成物は、直鎖状低密度ポリエチレン(A)およびエチレン・α−オレフィン共重合体(B)を従来公知の方法、例えばヘンシェルミキサー、V−ブレンダー、リボンブレンダー、タンブラーブレンダー等で混合する方法、あるいはこのような方法で得られた混合物をさらに一軸押出機、二軸押出機、ニーダー、バンバリーミキサー等で溶融混練した後、造粒することによって得ることができる。
本発明の第2、重包装用に好適な、ポリエチレン系樹脂組成物は、(A)+(B)の合計100重量部に対して、フェノール系熱安定剤及び/又はリン系熱安定剤0.01〜0.5重量部、好ましくは0.03〜0.4重量部を含有していることが好ましい。ここで、フェノール系熱安定剤としては、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール(ジブチルヒドロキシトルエン)、n−オクタデシル−3−(4−ヒドロキ−3,5−ジ−t−ブチルフェニル)プロピオネート、テトラキス(メチレン(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシハイドロシンナメート))メタン等、リン系熱安定剤としてはテトラキス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)−4,4’−ビフェニレン−ジ−ホスフォナイト等が挙げられる。フェノール系熱安定剤及び/またはリン系熱安定剤が上記範囲内であると、押出時に熱劣化を少なく、ゲルの発生を抑制できるまた、変色等の問題が発生しない。チューブ容器用のポリエチレン系樹脂組成物には、アンチブロッキング剤、有機あるいは無機顔料、紫外線吸収剤などの公知の添加剤を必要に応じて添加することができる。また、他の熱可塑性樹脂と混合して用いることもできる。これらの例として、HDPE、直鎖状低密度ポリエチレン(L−LDPE)、LDPE、ポリプロピレン系樹脂、ポリ−1−ブテン、ポリ−4−メチル−1−ペンテン、エチレン・酢酸ビニル共重合体、エチレン・ビニルアルコール共重合体、ポリスチレン、これらの無水マレイン酸グラフト物等を例示することができる。
本発明に用いるポリエチレン樹脂組成物で成形加工を行った成形品はESCR、引裂強度に優れることから各種容器、特にチューブ容器として用いることができ、さらにチューブ容器は、ハンドクリーム、ヘアジェル、化粧クリームなどの化粧品用チューブ;シャンプー、リンス、洗剤等の日用品用チューブ;マヨネーズ、醤油、わさび等の食品用チューブ等の容器として用いることもできる。そして、チューブ容器に賦形する方法としては、押出成形法によって賦形を行うことができる。
チューブ容器は、引裂強度100MPa以上、ヒートシール強度55N/mm以上のものが好ましい。
本発明のチューブ容器の厚みには特に制限はなく、一般的には柔軟性および復元性との兼合いと容器強度や経済性などの観点から0.3〜0.8mmの範囲であるチューブ容器とすることが好ましい。
本発明のポリエチレン系樹脂組成物は、耐ストレスクラック性、高速成形性、ヒートシール性および印刷適性に優れた、化粧品や食品の包装に使用するチューブ容器を提供するに好適である。
また、本発明のチューブ容器は、ESCRおよび引裂強度が優れ、かつヒートシール性にも優れる。このチューブ容器は、ESCRが優れることから製造時、保管時、輸送時、使用時の内容物の漏れ、染み出しなどの事故が防止できるばかりでなく、引裂強度が高いことから内容物の膨張による破損事故が防止できるとともに薄肉化、軽量化が可能となり、経済的にも有用である。またヒートシール性が良好であるため従来のヒートシール設備をそのまま用いることができて経済的である。
以下に、実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
実施例および比較例に用いた直鎖状低密度ポリエチレン(A)およびエチレン・α−オレフィン共重合体(B)及び得られたチューブ容器の諸物性は、下記の方法により測定した。

<密度>
JIS K 7112(1980年)に従い、100℃の沸騰水中に1時間浸した後に室温で放冷したものを、23℃に保った密度勾配管にて測定した。

<メルトフローレート(MFR)>
JIS K 7210(1995年)に従い、190℃,21.18Nの荷重下で測定した。

<溶融張力>
溶融張力の測定用試料は、サンプルに耐熱安定剤(チバスペシャリティケミカルズ社製、イルガノックス1010TM;1,500ppm、イルガフォス168TM;1,500ppm)を添加したものを、インターナルミキサー(東洋精機製作所製、商品名ラボプラストミル)を用いて、窒素気流下、190℃、回転数30rpmで30分間混練したものを用いた。
溶融張力の測定は、バレル直径9.55mmの毛管粘度計(東洋精機製作所、商品名キャピログラフ)に、長さが8mm,直径が2.095mmのダイスを流入角が90°になるように装着し測定した。温度を160℃に設定し、ピストン降下速度を10mm/分、延伸比を47に設定し、引き取りに必要な荷重(mN)を溶融張力とした。最大延伸比が47未満の場合、破断しない最高の延伸比での引き取りに必要な荷重(mN)を溶融張力とした。

<ESCR>
ASTM D1693に準拠して、3mm肉厚のプレス成形板から38×13×3mmの試験片を打抜き、100℃の沸騰水中で1時間浸した後に23℃で24時間状態調整を行った。試験片に規定のノッチを入れ、ホルダーに設置した後、(商品名)ノニオンNS210(日本油脂製)の10%溶液中へ浸漬し、クラックの発生する迄の時間を測定した。

<エルメンドルフ引裂強度(MD、TD)>
JIS K 7128−3(直角引裂法)(1998年)に基づいて測定した。試料は押出成形によって得られたチューブ(肉厚0.5mm)を展開し、流れ方向(MD)と直交方向(TD)に試験片を打抜き、測定した。

<ヒートシール強度>
試料は押出成形によって得られたチューブ(肉厚0.5mm)を100mmの長さに切断し、片端を閉鎖しヒートシール試験に供した。ヒートシールの方法は、ヒートシールテスター(テスター産業(株)製、商品名TP−701)を用いて、末端から5mm幅の領域をシール圧力0.2MPa、シール温度140℃、シール時間2秒間でヒートシールすることにより行い、そのシール部の剥離強度は、プッシュプルスケール(イマダ製作所製、商品名FB−30)を用いて、15mm幅の短冊状に切り取ったシール部を引っ張って剥離した時の荷重を測定した。

<直鎖状低密度ポリエチレン(A)およびエチレン・α−オレフィン共重合体(B)>
実施例および比較例に使用した直鎖状低密度ポリエチレン(A)およびエチレン・α−オレフィン共重合体(B)は、市販品を用いた。

<直鎖状低密度ポリエチレン(A)>
A−1:ダウエラストマーズ社製、(商品名)エンゲージ 8401(MFR30g/10分、密度885kg/m
A−2:ダウエラストマーズ社製、(商品名)エンゲージ 8200(MFR5g/10分、密度870kg/m
A−3:ダウエラストマーズ社製、(商品名)エンゲージ 8440(MFR1.6g/10分、密度897kg/m
A−4:ダウエラストマーズ社製、(商品名)エンゲージ 8150(MFR0.5g/10分、密度868kg/m
A−5:プライムポリマー社製、(商品名)エボリュー SP1540(MFR3.8g/10分、密度913kg/m
A−6:プライムポリマー社製、(商品名)エボリュー SP4005(MFR0.45g/10分、密度940kg/m

<エチレン・α−オレフィン共重合体(B)>
B−1:東ソー社製、(商品名)東ソーHMS CK47(MFR4g/10分、密度940kg/m、溶融張力72mN)
B−2:東ソー社製、(商品名)東ソーHMS CK57(MFR4g/10分、密度950kg/m、溶融張力120mN)
B−3:東ソー社製、(商品名)ニポロン−Z ZF230(MFR2g/10分、密度920kg/m、溶融張力15mN)
B−4:東ソー社製、(商品名)ニポロンハード 2400(MFR8g/10分、密度953kg/m、溶融張力10mN)

実施例1
直鎖状低密度ポリエチレン(A−1)/エチレン・α−オレフィン共重合体(B−1)=40重量部/60重量部をタンブラーブレンダーで混合し、さらに一軸押出機で溶融混練した後、造粒することによりポリエチレン樹脂組成物ペレットを得た。このポリエチレン樹脂組成物のESCRは60hr(F50)であった。
得られたポリエチレン樹脂組成物をチューブ押出機(GMエンジニアリング社製、押出機シリンダー径60mmφ、ダイス径50mm、リップクリアランス1.2mm)を用い、押出機、ダイの設定温度を160℃とし、引取速度を3m/min、容器厚みを0.5mmとした成形条件でチューブ容器とした。
得られたチューブ容器は、エルメンドルフ引裂強度(MD)が101N/mm、ヒートシール強度が75N/15mmであった。ESCRが良好であり、かつ引裂強度およびヒートシール強度に優れたチューブ容器が得られた。
得られた結果を表1に示す。
実施例2
直鎖状低密度ポリエチレン(A−2)/エチレン・α−オレフィン共重合体(B−1)=40重量部/60重量部とした以外は、実施例1と同様の方法によりチューブ容器を得た。
得られたチューブ容器は、ESCRが80hr(F50)、エルメンドルフ引裂強度(MD)が121N/mm、ヒートシール強度が56N/15mmを示した。ESCRが良好であり、かつ引裂強度およびヒートシール強度に優れたチューブ容器が得られた。
得られた結果を表1に示す。
実施例3
直鎖状低密度ポリエチレン(A−3)/エチレン・α−オレフィン共重合体(B−1)=50重量部/50重量部とした以外は、実施例1と同様の方法によりチューブ容器を得た。
得られたチューブ容器は、ESCRが75hr(F50)、エルメンドルフ引裂強度(MD)が143N/mm、ヒートシール強度が65N/15mmを示した。ESCRが良好であり、かつ引裂強度およびヒートシール強度に優れたチューブ容器が得られた。
得られた結果を表1に示す。
実施例4
直鎖状低密度ポリエチレン(A−3)/エチレン・α−オレフィン共重合体(B−2)=60重量部/40重量部とした以外は、実施例1と同様の方法によりチューブ容器を得た。
得られたチューブ容器は、ESCRが100hr以上(F50)、エルメンドルフ引裂強度(MD)が115N/mm、ヒートシール強度が85N/15mmを示した。ESCRが良好であり、かつ引裂強度およびヒートシール強度に優れたチューブ容器が得られた。
得られた結果を表1に示す。
実施例5
直鎖状低密度ポリエチレン(A−3)/エチレン・α−オレフィン共重合体(B−2)=40重量部/60重量部とした以外は、実施例1と同様の方法によりチューブ容器を得た。
得られたチューブ容器は、ESCRが100hr以上(F50)、エルメンドルフ引裂強度(MD)が183N/mm、ヒートシール強度が90N/15mmを示した。ESCRが良好であり、かつ引裂強度およびヒートシール強度に優れたチューブ容器が得られた。
得られた結果を表1に示す。
比較例1
直鎖状低密度ポリエチレン(A−4)/エチレン・α−オレフィン共重合体(B−1)=40重量部/60重量部とした以外は、実施例1と同様の方法によりチューブ容器を成形したが、押出負荷が大きく、成形体の外観も荒れていた。
得られた結果を表1に示す。
比較例2
直鎖状低密度ポリエチレン(A−5)/エチレン・α−オレフィン共重合体(B−2)=40重量部/60重量部とした以外は、実施例1と同様の方法によりチューブ容器を得た。
得られたチューブ容器は、ESCRが20hr(F50)、エルメンドルフ引裂強度(MD)が50N/mm、ヒートシール強度が52N/15mmを示した。しかし、引裂強度が低いものであった。
得られた結果を表1に示す。
比較例3
直鎖状低密度ポリエチレン(A−6)/エチレン・α−オレフィン共重合体(B−1)=20重量部/80重量部とした以外は、実施例1と同様の方法によりチューブ容器を得た。
得られたチューブ容器は、ESCRが25hr(F50)、エルメンドルフ引裂強度(MD)が120N/mm、ヒートシール強度が30N/15mmを示した。
得られた結果を表1に示す。
比較例4
直鎖状低密度ポリエチレン(A−6)/エチレン・α−オレフィン共重合体(B−3)=40重量部/60重量部とした以外は、実施例1と同様の方法によりチューブ容器を成形したが、チューブ状に成形ができなかった。
得られた結果を表1に示す。
比較例5
直鎖状低密度ポリエチレン(A−6)/エチレン・α−オレフィン共重合体(B−4)=40重量部/60重量部とした以外は、実施例1と同様の方法によりチューブ容器を成形したが、チューブ状に成形ができなかった。
得られた結果を表1に示す。
比較例6
直鎖状低密度ポリエチレン(A−3)/エチレン・α−オレフィン共重合体(B−2)=20重量部/80重量部とした以外は、実施例1と同様の方法によりチューブ容器を成形した。
得られたチューブ容器は、ESCRが10hr(F50)、エルメンドルフ引裂強度(MD)が60N/mm、ヒートシール強度が35N/15mmを示した。しかし、引裂強度が低いものであった。
得られた結果を表1に示す。
Figure 0005796389
本発明のチューブ容器は、ESCRおよび引裂強度が優れ、かつヒートシール性にも優れる。このチューブ容器は、ESCRが優れることから製造時、保管時、輸送時、使用時の内容物の漏れ、染み出しなどの事故が防止できるばかりでなく、引裂強度が高いことから内容物の膨張による破損事故が防止できるとともに薄肉化、軽量化が可能となり、経済的にも有用である。またヒートシール性が良好であるため従来のヒートシール設備をそのまま用いることができて経済的である。

Claims (3)

  1. メタロセン化合物を触媒とした重合法で得られるエチレンと炭素数3〜20のα−オレフィンとからなる共重合体で、JIS K6760に準拠した密度870〜900kg/m下記条件(a)で測定したメルトフローレート1.0〜100g/10minである直鎖状低密度ポリエチレン(A)と、下記条件(a)で測定したメルトフローレートが1.0g/10分以上10g/10分未満、下記条件(b)で測定した溶融張力が50mN以上、歪硬化性を有し、密度が940〜955kg/mのエチレン・α−オレフィン共重合体(B)とからなるポリエチレン系樹脂組成物であり、しかも、配合割合が(A)40〜90重量%、(B)10〜60重量%であり、密度890〜930kg/m下記条件(a)で測定したメルトフローレート1〜50g/10min、下記条件(b)で測定した溶融張力10mN以上であることを特徴とするポリエチレン系樹脂組成物。
    (a)JIS K 7210(1995年)に従い、190℃,21.18Nの荷重下で測定した。
    (b)バレル直径9.55mmの毛管粘度計で、長さが8mm,直径が2.095mmのダイスを流入角が90°になるように装着し、温度を160℃に設定し、ピストン降下速度を10mm/分、延伸比を47に設定し、測定した。
  2. (A)と(B)の合計100重量部に対して、フェノール系熱安定剤及び/又はリン系熱安定剤0.01〜0.5重量部を含有する請求項1記載のポリエチレン系樹脂組成物。
  3. JIS K 7128−3(直角引裂法)(1998年)に基づいて測定した、流れ方向(MD)のエレメンドルフ引裂強度100MPa以上、ヒートシール強度55N/mm以上の、請求項1又は請求項2記載のポリエチレン系樹脂組成物からなることを特徴とするチューブ容器。
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