JP5561106B2 - ポリエチレン樹脂組成物 - Google Patents

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本発明は、加工性に優れ、透明性が高く、開口性が良好で、かつ引裂強度の高いフィルムに好適なポリエチレン樹脂組成物に関するものである。
直鎖状低密度ポリエチレン重合体(LLDPE)は成形性、強度、ヒートシール特性に優れているため各種フィルム成形用樹脂として広く用いられている。しかしながら近年では二酸化炭素削減や環境に対する配慮、労働負荷の低減、また、材料コスト削減の観点から、フィルムの薄膜化や軽量化が求められている。フィルムの薄膜化はフィルム強度の低下に繋がるため、原料にはより強度の高いものが要求される。そこで、新規触媒による狭い分子量分布および組成分布を有するエチレン−α−オレフィン共重合体を用いフィルムを成形したが、押出機のモーター負荷が高く、肌荒れしやすく、また、高結晶成分を持たないため、フィルムの開口性が悪いという問題点があった。開口性を改良するにはアンチブロッキング剤を多量に配合すること方法をとることも可能であるが、原料コストの増加および目やにが発生しやすくなるなどの問題がある。他方で、特許文献1や特許文献2に特定エチレン−α−オレフィン共重合体に高密度ポリエチレンを配合する技術が公開されているが、一般に商業的に実施されるインフレーション成形法やキャスト成形法を用いてフィルム成形した場合、フィルムの縦方向(成形加工時のフィルム流れ方向、以下MD)の引裂強度が低下する問題があった。
特開平10−110068号 特開平8−291235号
本発明の目的は、これら従来技術の欠点を解消することにあり、加工性が良好で、得られたフィルムは透明性が高く、開口性が良好で、かつ引裂強度の高いフィルムに好適なポリエチレン樹脂組成物を提供することにある。
本発明者等は、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、特定のエチレン/α−オレフィン共重合体[A]に、特定の高密度ポリエチレン(以下、HDPE)を配合することによって、加工性に優れ、透明性が高く、開口性が良好で、かつ引裂強度の高いフィルムにこれまでにない好適なポリエチレン樹脂組成物が得られ、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明は、下記(a)〜(e)の要件を満たすエチレン−α−オレフィン共重合体(A)/下記(f)と(g)の要件を満たす高密度ポリエチレン[B]=99.5/0.5〜80/20(重量比)であることを特徴とするフィルム用ポリエチレン樹脂組成物[I]並びに、前記のエチレンα−オレフィン共重合体[A]と高密度ポリエチレン[B]とからなるフィルム用ポリエチレン樹脂組成物[I]/下記(h)〜(J)の要件を満たす高圧法低密度ポリエチレン[C]=100/0.1〜100/10(重量比)であることを特徴とするフィルム用ポリエチレン樹脂組成物[II]に関するものである。
(a)JIS K 7112:1999に準拠し、測定した密度が890〜940kg/m
(b)JIS K 7210:1999に準拠し190℃,21.18Nの荷重下で測定したメルトフローレート(MFR)が0.1〜10g/10分
(c)重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)の比(Mw/Mn)が1.5〜4
(d)示差走査型熱量計において、200℃で5分間溶融し、その後10℃/分で30℃まで冷却したものを再度10℃/分で昇温させた時に得られる吸熱曲線が実質的に単一のピークを持ち、ピーク位置の温度(Tm(℃))と赤外線吸収スペクトルの測定から求められる炭素数1000個当りの短鎖分岐数(SCB)とが(1)式で示される関係を満たす。
Tm<−1.15×SCB+131 (1)
(e)エチレンと炭素数3以上のα−オレフィンとの共重合体。
(f)JIS K 7112:1999に準拠し、測定した密度が940〜970kg/m
(g)JIS K 7210:1999に準拠し、測定した190℃,21.18Nの荷重下で測定したメルトフローレート(MFR)が3〜50g/10分。
(h)JIS K 7112:1999に準拠し、測定した密度が915〜935kg/m
(i)JIS K 7210:1999に準拠し、測定した190℃,21.18Nの荷重下で測定したメルトフローレート(MFR)が0.1〜10g/10分の範囲。
(j)JIS K 7210で使用されるメルトインデクサーを用い、温度235℃、押出量3g/分により押出されたストランドの径(D)をメルトインデクサーのオリフィス径(D)で除して求めたスウェル比(SR)が1.8〜3.0。
以下に本発明を詳細に説明する。
本発明のポリエチレン樹脂組成物を構成するエチレン−α−オレフィン共重合体[A]は、(a)密度が890〜940kg/m、(b)メルトフローレート(MFR)が0.1〜10g/10分、(c)Mw/Mnが1.5〜4、(d)示差走査型熱量計において、200℃で5分間溶融し、その後10℃/分で30℃まで冷却したものを再度10℃/分で昇温させた時に得られる吸熱曲線が実質的に単一のピークを持ち、Tm(℃)とSCBの関係が上記(1)式で示される関係を満し、(e)エチレンと炭素数3以上のα−オレフィンとの共重合体、との各要件を満たすエチレン−α−オレフィン共重合体である。
ここで、エチレン−α−オレフィン共重合体の密度が940kg/mを越える場合、耐衝撃強度や引裂強度が低いものとなる。一方、密度が890kg/m未満であると、得られるポリエチレンフィルムは自己粘着性が高いものとなり、フィルムの開口性の改良が難しいという課題を有する。なお、本発明でいう密度とはJIS K 7112:1999に準拠し、100℃の熱水に1時間浸した後に室温まで冷却し、23℃に保持した密度勾配管により測定することができる。
また、このエチレン−α−オレフィン共重合体のMFRが0.1g/10分未満である場合、溶融せん断粘度が高いためポリエチレンフィルムとする際の押出機への負荷が大きくなるとともに、ドロ−ダウン性も悪くなるため生産性に劣るものとなる。一方、10g/10分より大きい場合、溶融張力が小さく成膜安定性に劣るため、安定的にポリエチレンフィルムを得ることが困難となる。また、例えポリエチレンフィルムが得られたとしてもその機械的強度は低いものとなる。なお、本発明でいうMFRとは、JIS K 7210:1999を準拠し、190℃、21.18Nの荷重下という条件下で測定したものである。
エチレン−α−オレフィン共重合体のMw/Mnが1.5未満である場合、ポリエチレンフィルム成形加工時の剪断応力が大きくなり押出機への負荷が大きく生産性に劣るものとなる。また、得られるポリエチレンフィルムは肌が悪く品質にも劣るものとなる。一方、Mw/Mnが4を越える場合、得られるポリエチレンフィルムは耐衝撃性に劣るものとなるとともに、表面がベタついたものとなる。なお、本発明でいうMw/Mnは、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(以下、GPCと記す。)により標準ポリスチレン換算値として測定したMwとMnの比より算出することができる。
エチレン−α−オレフィン共重合体が、上記(1)式を満足しない場合、エチレンとα−オレフィンの共重合性の分布が広いものとなり、ポリエチレンフィルムは耐衝撃性と透明性が劣るものとなるとともに、表面がベタついたものとなる。また、このエチレン/α−オレフィン共重合体は、Tm(℃)と赤外線吸収スペクトルの測定から求められる炭素数1000個当りの短鎖分岐数(SCB)とが(1)式の関係を満たすものである。
エチレン−α−オレフィン共重合体は、エチレンと炭素数3以上のαオレフィンとの共重合体であり、炭素数3以上のα−オレフィンとしてはプロピレン、ブテン−1、ペンテン−1、ヘキセン−1、オクテン−1等が挙げられる。
本発明のポリエチレン樹脂組成物を構成するエチレン−α−オレフィン共重合体[A]は、上記(a)〜(e)の要件を満たすエチレン−α−オレフィン共重合体であればいかなるものを用いることも可能であり、その製造方法としては、例えばメタロセン重合触媒を用い、エチレンとα−オレフィンを共重合することにより製造することが可能である。
本発明のポリエチレン樹脂共重合体を構成する高密度ポリエチレン(HDPE)[B]は、(f)密度が940〜970kg/m、(g)MFRが3〜50g/10分、との要件を満足する高密度ポリエチレンであり、これら要件を満足する高密度ポリエチレンであればいかなるものを用いることも可能であり、従来公知のチーグラーナッタ重合触媒による配位アニオン重合法により製造することが可能であり、例えば(商品名)ニポロンハード(東ソー(株)製)等を挙げることができる。
そして、高密度ポリエチレン[B]の密度は、特に開口性が良好なポリエチレンフィルムとなることから940〜970kg/mである。ここで、密度が940kg/m未満である場合、得られるポリエチレンフィルムの開口性が良好でない。一方、密度970kg/mを越える高密度ポリエチレンを入手することが実際は困難である。なお、密度に関しては上記した方法により測定することが可能である。
また、高密度ポリエチレンのMFRは3〜50g/10分である。高密度ポリエチレンのMFRが3g/10分より小さい場合、エチレン−α−オレフィン共重合体との組成物を一般に商業的に実施されるインフレーション成形法やキャスト成形法を用いてフィルム成形したとき、エルメンドルフ引裂法で求められるフィルムの縦方向(成形加工時のフィルム流れ方向、以下MD)の引裂強度が、HDPEを配合していないエチレン/α−オレフィン共重合体より低い値となる。一方、MFRが50g/10分より大きい場合、溶融張力が低く成膜安定性に劣るため、安定的にポリエチレンフィルムを得ることが困難となる。また、MFRが10〜30g/10分であるとエチレン/α−オレフィン共重合体とHDPEを配合して得た組成物を成形したフィルムの透明性とMDの引裂強度のバランスが良好であるので更に好ましい。なお、MFRに関しては上記した方法により測定することが可能である。
本発明のポリエチレン樹脂組成物[1]は該エチレン−α−オレフィン共重合体[A]/該HDPE[B](重量比)が99.5/0.5〜80/20の範囲でなるものである。ここで、エチレン−α−オレフィン共重合体[A]/HDPE[B]が99.5/0.5(重量比)より大きい場合、ポリエチレン樹脂組成物[1]を成形したフィルムの表面が非常に平滑であるため、例えば、インフレーション成形によって得られたチューブを折りたたんだ形状のフィルムの開口性や、フィルムをヒートシールなどの既存の方法を用いて得た袋の開口性が悪いものとなり、それらを解決するには、ポリエチレン樹脂組成物に珪藻土、ゼオライト、タルクあるいはエチレン/α−オレフィン共重合体と比相溶のポリマーなどのアンチブロッキング剤を多量に配合する必要がある。一方、エチレン−α−オレフィン共重合体[A]/HDPE[B]が80/20より小さい場合、フィルムの透明性が悪いものとなる。
本発明のポリエチレン樹脂組成物は、成形したフィルムの透明性が優れたものになることから、ポリエチレン樹脂組成物[I]/下記(h)〜(k)の要件を満たす高圧法低密度ポリエチレン[C](重量比)が100/0.1〜100/10であるポリエチレン樹脂組成物[II]とすることが好ましい。
(h)JIS K 7112:1999に準拠し、測定した密度が915〜935kg/m
(i)JIS K 7210:1999に準拠し、測定した190℃,21.18Nの荷重下で測定したメルトフローレート(MFR)が0.1〜10g/10分。
(j)JIS K 7210で使用されるメルトインデクサーを用い、温度235℃、押出量3g/分により押出されたストランドの径(D)をメルトインデクサーのオリフィス径(D)で除して求めたスウェル比(SR)が1.8〜3.0。
本発明に用いられる高圧法低密度ポリエチレン(LDPE)[C]は、(h)密度が915〜935kg/m、(i)MFRが0.1〜10g/10分、(j)SRが1.8〜3.0、との要件を満足する高圧法低密度ポリエチレンであり、これらの要件を満足する高圧法低密度ポリエチレンであればいかなるものも用いることも可能であり、オートクレーブ型やチューブラー型の重合器中で100MPaより高い圧力下で起こるラジカル反応により製造することが可能であり、例えば(商品名)ペトロセン(東ソー(株)製)を挙げることができる。
LDPE[C]は、密度が915〜930kg/mの範囲内にあることが好ましい。密度がこの範囲にあると、得られたフィルムの開口性に優れ透明性改善効果が大きい。なお、密度に関しては上記した方法により測定することが可能である。
LDPE[C]のMFRは、0.1〜10g/10分の範囲であることが好ましい。MFRがこの範囲にあると、ポリエチレン組成物[I]と配合した際の分散性に優れることから成形して得たフィルムはフィッシュアイの少ないものとなる。透明性改善効果が大きい。
また、LDPE[C]のSRは、1.8〜3.0の範囲であることが好ましい。SRが、1.8以上であると、得られたフィルムの透明性改良効果が高い一方、SRが3を超える高圧法低密度ポリエチレンを入手することは、実際は困難である。SRが2.0以上のLDPE[C]は特に透明性の改良効果が大きく、LDPE[C]の配合比率を小さくできることから、LDPE[C]を配合することによって起こる成形したフィルムの引裂強度や衝撃強度などの機械的強度の低下が小さく、特に好ましい。
本発明のポリエチレン樹脂組成物[II]は、該ポリエチレン樹脂組成物[I]/LDPE[C]=100/0.1〜100/10(重量比)の範囲からなるものが、成形したフィルムの透明性が良好で、機械的強度が高いものとなるので好ましい。該ポリエチレン樹脂組成物[I]/LDPE[C]=100/0.1〜100/2(重量比)の範囲にあるものは、LDPE(C)を配合することによって起こる成形して得たフィルムの引裂強度や衝撃強度などの機械的強度の低下が小さく、特に好ましい。
エチレン−α−オレフィン共重合体[A]、HDPE[B]およびLDPE[C]としては、それぞれ1種類または2種類以上の混合物が用いられる。
本発明のポリエチレン樹脂組成物[I]および[II]は、必要に応じて、酸化防止剤、耐候安定剤、帯電防止剤、滑剤、ブロッキング剤等、ポリオレフィン樹脂に一般的に用いられている添加剤を添加してもよく、該添加剤としては、例えばヒンダードフェノール系、燐系、硫黄系、ヒンダードアミン系、ビタミンE等の酸化防止剤;ヒンダードアミン系耐候安定剤等の耐候安定剤;ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤等の紫外線吸収剤;飽和脂肪酸アミド、不飽和脂肪酸アミド、エチレンビス飽和脂肪酸アミド、エチレンビス不飽和脂肪酸アミド、N−置換ビス飽和脂肪酸アミド、N−置換不飽和脂肪酸アミド等の滑剤;酸性白土、珪藻土、タルク、ゼオライト、アルミノシリケート、カオリン、ポリエチレンに非相溶なポリマー等のアンチブロッキング剤;脂肪酸グリセリド、脂肪酸アミン、高級アルコール、多価アルコール等の帯電防止剤;ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸リチウム等の金属石鹸;ハイドロタルサイト等の酸補足剤、等を挙げることができる。
本発明のポリエチレン樹脂組成物[I]を製造する方法としては、該エチレン−α−オレフィン共重合体(A)のペレットと該高密度ポリエチレン(B)ペレットとのドライブレンド、または、単軸押出機、二軸押出機、ニーダー、バンバリー、ロール等の溶融混練機により溶融混練する方法が挙げられ、特にポリエチレン樹脂組成物を成形したフィルムの品質が安定することから、溶融混練することが好ましい。
ポリエチレン樹脂組成物[II]は、ポリエチレン樹脂組成物[I]とLDPE[C]とのドライブレンドであってもよいが、単軸及び2軸押出機、ニーダー、バンバリー、ロール等で溶融混練したものの方が、成形したフィルムの品質が安定するので好ましい。また、ポリエチレン樹脂組成物[II]製造時には、エチレン−α−オレフィン共重合体[A]とHDPE[B]およびLDPE[C]を同時にドライブレンドしても良く、前記の方法を用いて溶融混練しても良い。
本発明のポリエチレン樹脂組成物[I]および[II]のフィルムを製造する方法としては、フィルムの成膜が可能であれば如何なる方法を用いることも可能であり、一般的な商業的成膜方法を用いることができ、例えば空冷インフレーション法、水冷インフレーション法、Tダイキャスト法等により製造することが可能である。また、共押出法、押出ラミネート法、ドライラミネート法等により成形された多層フィルムの一層として用いることもできる。これらのフィルムは農業用ハウスの被覆材や包装用フィルムおよび液体充填用フィルムなど広く用いることが可能である。
本発明のポリエチレン樹脂組成物は、加工性が良好で、得られたフィルムは透明性が高く、開口性が良好で、かつ引裂強度の高いため、フィルムに好適である。
本発明のエチレン−α−オレフィン共重合体[A]および市販の樹脂と(1)式の関係を示した図である。
以下に、実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
〔エチレン−α−オレフィン共重合体の製造〕
実施例および比較例に使用したエチレン−α−オレフィン共重合体[A1]、[A2]及び[A3]は、以下の方法で製造した。
重合操作、反応および溶媒精製は、すべて不活性ガス雰囲気下で行った。また、反応に用いた溶媒等は、すべて予め公知の方法で精製、乾燥、脱酸素を行ったものを用いた。さらに、反応に用いた化合物は、公知の方法により合成、同定したものを用いた。
<触媒(A)の調製>
窒素雰囲気下、脱水ヘプタン4.6リットルにトリエチルアルミニウムをアルミニウム原子当たり4.5molに希釈し、そこへジフェニルメチレン(シクロペンタジエニル)(9−フルオレニル)ジルコニウムジクロライドをジルコニウム原子当たり10mmolを加えて得られた赤色懸濁液に、N,N−ジメチル−オクタデシルアンモニウム塩酸塩変性モンモリロナイト300gを加えて反応させ、脂肪族系飽和炭化水素溶媒(IPソルベント2835(出光石油化学社製))を加えることにより、触媒を調製した。(ジルコニウム濃度0.5mmol/L)。
<触媒(B)の調製>
ジフェニルメチレン(シクロペンタジエニル)(9−フルオレニル)ジルコニウムジクロライドに替え、ジフェニルメチレン(1−インデニル)(2,7−ジ−t−ブチル−9−フルオレニル)ジルコニウムジクロリドを用いた以外、触媒(A)と同様の方法で反応を行い触媒(B)を得た(ジルコニウム濃度0.5mmol/L)。
<重合>
槽型反応器を用いて重合を行った。
エチレン−α−オレフィン共重合体[A1]の重合方法は以下のとおりである。エチレン、1−ヘキセンおよびエタンを連続的に反応器内に圧入して、全圧を90MPaに、1−ヘキセン濃度を16mol%になるように設定した。そして、反応器を1500rpmで撹拌した。
そして、触媒(A)および触媒(B)を反応器の供給口より連続的に供給して、平均温度が209℃に保たれるように重合を行った。その結果、MFR 1.0g/分、密度920kg/mのエチレン−ヘキセン―1共重合体[A1]を得た。
エチレン−α−オレフィン共重合体[A2]の重合方法は以下のとおりである。エチレン、1−ヘキセンおよびエタンを連続的に反応器内に圧入して、全圧を90MPaに、1−ヘキセン濃度を21mol%になるように設定した。そして、反応器を1500rpmで撹拌した。
そして、触媒(A)および触媒(B)を反応器の供給口より連続的に供給して、平均温度が204℃に保たれるように重合を行った。その結果、MFR 1.0g/分、密度915kg/mのエチレン−ヘキセン―1共重合体[A2]を得た。
エチレン−α−オレフィン共重合体[A3]の重合方法は以下のとおりである。エチレン、1−ヘキセンおよびエタンを連続的に反応器内に圧入して、全圧を90MPaに、1−ヘキセン濃度を26mol%になるように設定した。そして、反応器を1500rpmで撹拌した。
そして、触媒(A)および触媒(B)を反応器の供給口より連続的に供給して、平均温度が198℃に保たれるように重合を行った。その結果、MFR 2.0g/分、密度910kg/mのエチレン−ヘキセン―1共重合体[A3]を得た。
エチレン−α−オレフィン共重合体[A4]の重合方法は以下のとおりである。エチレン、1−ヘキセンおよびエタンを連続的に反応器内に圧入して、全圧を83MPaに、1−ヘキセン濃度を27mol%になるように設定した。そして、反応器を1500rpmで撹拌した。
そして、触媒(A)および触媒(B)を反応器の供給口より連続的に供給して、平均温度が227℃に保たれるように重合を行った。その結果、MFR 4.0g/分、密度910kg/mのエチレン−ヘキセン―1共重合体[A4]を得た。
エチレン−α−オレフィン共重合体[A5]の重合方法は以下のとおりである。エチレン、1−ヘキセンおよびエタンを連続的に反応器内に圧入して、全圧を88MPaに、1−ヘキセン濃度を15mol%になるように設定した。そして、反応器を1500rpmで撹拌した。
そして、触媒(A)および触媒(B)を反応器の供給口より連続的に供給して、平均温度が216℃に保たれるように重合を行った。その結果、MFR 4.0g/分、密度923kg/mのエチレン−ヘキセン―1共重合体[A5]を得た。
〔エチレン−α−オレフィン共重合体の造粒〕
実施例および比較例で用いた共重合体は、酸化防止剤としてフェノール系酸化防止剤(チバスペシャリティケミカルズ製、IRGANOX1076)を800ppm、リン系酸化防止剤を1800ppm(チバスペシャリティケミカルズ製、IRGAFOS168)、ステアリン酸カルシウム750ppm(淡南化学株式会社製、ステアリン酸カルシウム)、ハイドロタルサイト(協和化学製株式会社、DHT−4A)500ppmを添加し単軸押出機で溶融造粒して得られたものである。
〔高密度ポリエチレンの製造〕
実施例および比較例におけるHDPE[B]としては、東ソー株式会社の高密度ポリエチレン(商品名:ニポロンハード)を用いた。
〔低密度ポリエチレンの製造〕
実施例および比較例におけるLDPE[C]としては、東ソー株式会社の低密度ポリエチレン(商品名:ペトロセン)を用いた。
〔樹脂物性の測定法〕
実施例および比較例に用いたエチレン−α−オレフィン共重合体、高密度ポリエチレン、および低密度ポリエチレンの諸物性は、下記の方法により測定した。
〈密度〉
JIS K 7112に従って、100℃の熱水に1時間浸した後に室温で放冷したものの密度を、23℃に保った密度勾配管で測定した。
〈MFRメルトフローレート(MFR)〉
JIS K 7210に従って、190℃,21.18Nの荷重下で測定した。
〈Mw/Mn〉
ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(以下GPC)により標準ポリスチレンを用いて測定した数平均分子量(Mn)に対する重量平均分子量(Mw)の比。測定器:HLC−8121GPC/HT(RI)、カラム:TSK gelGMHHhr−H(20)×3本、測定溶媒:1,2,4−トリクロロベンゼン、試料濃度:0.1mg/ml、測定温度:140℃、流量:1.0ml/分。
〈融点〉
示差走査型熱量計[セイコーインスツルメンツ(株)製、RDC220]を用いて測定した。 装置内で試料を200℃で5分間溶融させた後、10℃/分で30℃まで冷却したものについて、再度10℃/分で昇温させた時に得られる吸熱曲線の最大ピーク位置の温度を融点とした。
〈短鎖分岐数(SCB)〉
分子鎖中の短鎖分岐数(SCB)は、フーリエ変換型赤外吸収スペクトル装置[パーキンエルマー(株)製、SPECTRUM ONE]を用いて、樹脂ペレットを熱プレス後、氷水冷却して得た厚み0.1mmの試料の1378cm−1に位置するメチル基の変角振動に対応する吸収バンドの強度を測定し、既知材料によって作成した検量線から計算して求めた。
〈スウェル比〉
JIS K 7210で使用されるメルトインデクサーを用い、温度235℃、押出量3g/分により押出されたストランドの径(D)をメルトインデクサーのオリフィス径(D)で除して求めた。
〔フィルム物性の測定法〕
〈ヘーズ値〉
ASTM D1003に準拠して、ヘーズメーター(日本電色株式会社製、型式NDH−20D)を用いてフィルムのヘーズ値(%)を測定した。
〈エルメンドルフ引裂強度(MD)〉
JIS K 7128−2:1998(エルメンドルフ引裂法)に基づいて測定した。
〈開口性〉
インフレーション成形で得られたチューブ状のフィルムを長さ1mに裁断し、片側の折り目に沿ってチューブを切開し、切開した片側のフィルムの両端を手で持ち上げたとき、フィルムの自重でフィルムが開口したものを○とし、フィルムが開口しないものを×とし、その中間を△とした。
実施例1
前記重合法で重合されたエチレン−ヘキセン−1共重合体[A1]/ニポロンハード2000=95/5(重量比)の組成物である。[A1]は、密度が920kg/m、MFRが1.0g/10分、Tmが117℃、Mw/Mnが2.3、SCBが8.7/1000Cである。また、ニポロンハード2000は密度が960kg/m、MFRが15g/10分。[A1]とニポロンハード2000の組成物はペレット同士のドライブレンドによって得た。フィルムはプラコー株式会社製のインフレーション成形装置(押出機シリンダー径50mmφ、ダイス径75mmφ、リップクリアランス2mm)を用いて得た。フィルムの成形条件は押出機、ダイの設定温度を190℃とし、引取速度を14m/分、フィルム厚みを0.05mm、チューブ折径を240mmとした。その結果、開口性が○、ヘーズ値が11.8%、エルメンドルフ引裂強度(MD)が113kN/mと開口性、透明性、強度がいずれも良好なフィルムを得た。
実施例2
前記重合法で重合されたエチレン−ヘキセン−1共重合体[A1]/ニポロンハード2000=90/10(重量比)の組成物である他は、実施例1と同じ方法でフィルムを得た。その結果、開口性が○、ヘーズ値が13.9%、エルメンドルフ引裂強度(MD)が111kN/mと開口性、透明性、強度がいずれも良好なフィルムを得た。
比較例1
前記重合法で重合されたエチレン−ヘキセン−1共重合体[A1]が100%の組成物である他は、実施例1と同じ方法でフィルムを得た。その結果、開口性は△で十分な開口性が得られなかった。
比較例2
前記重合法で重合されたエチレン−ヘキセン−1共重合体[A1]/ニポロンハード8022=90/10(重量比)の組成物である。ニポロンハード8022は密度が958kg/m、MFRが0.35g/10分であり請求項1の高密度ポリエチレンのMFRの範囲を下回る。その他は、実施例1と同じ方法でフィルムを得た。その結果、開口性が○、ヘーズ値が10.3%と開口性および透明性は良好なフィルムであったが、エルメンドルフ引裂強度(MD)が96kN/mと実施例1および2に比較して劣るものであった。
比較例3
メタロセン触媒で重合されたダウ社製のエチレン−オクテン−1共重合体商品名ELITE5400Gが100%の組成物である。実施例1と同じ方法によりフィルムを得た。ELITE5400Gは、密度が0.916kg/m、MFRが1.0g/10分、Tmが121℃、Mw/Mnが3.7、SCBが12.7/1000Cである。ここで、ELITE5400GのMw/MnとTmは請求項1中のMw/Mnの規定、及び請求項1中の(1)式で定めたTmとSCBの関係から外れるものである。その他は実施例1と同様の方法でフィルムを得た結果、開口性は○で良好であったが、ヘーズ値が15.2%、エルメンドルフ引裂強度が(MD)82kN/mと透明性、強度ともに実施例に比較し劣るものであった。
実施例3
前記重合法で重合されたエチレン−ヘキセン−1共重合体[A1]/ニポロンハード4000/ペトロセン360=90/10(重量比)の組成物である。ニポロンハード4000は密度が965kg/m、MFRが5g/10分である。その組成物を用いて実施例1と同じ方法によりフィルムを得た。その結果、開口性が○、ヘーズ値が14.2%、エルメンドルフ引裂強度(MD)が110kN/mと開口性、透明性、強度がいずれも良好なフィルムを得た。
実施例4
前記重合法で重合されたエチレン−ヘキセン−1共重合体[A2]/ニポロンハード2000=90/10(重量比)の組成物である他は、実施例1と同じ方法でフィルムを得た。[A2]は、密度が915kg/m、MFRが1.0g/10分、Tmが113℃、Mw/Mnが2.3、SCBが11.3/1000Cである。その結果、開口性が○、ヘーズ値が8.2%、エルメンドルフ引裂強度(MD)が109kN/mと開口性、透明性、強度がいずれも良好なフィルムを得た。
実施例5
前記重合法で重合されたエチレン−ヘキセン−1共重合体[A2]/ニポロンハード2000=90/10(重量比)となるように配合し、短軸押出機を用いて溶融混練した組成物100に対して、ペトロセン360を2の割合でドライブレンドして組成物を得た。ペトロセン360は密度が919kg/m、MFRが1.6g/10分、スウェル比が2.41である。その組成物を用いて実施例1と同じ方法によりフィルムを得た。その結果、開口性が○、ヘーズ値が6.6%、エルメンドルフ引裂強度(MD)が99kN/mと開口性、透明性、強度がいずれも良好なフィルムを得た。
比較例4
前記重合法で重合されたエチレン−ヘキセン−1共重合体[A2]が100%の組成物である他は、実施例1と同じ方法でフィルムを得た。その結果、開口性は×で十分な開口性が得られなかった。
実施例6
前記重合法で重合されたエチレン−ヘキセン−1共重合体[A3]/ニポロンハード4000/ペトロセン360=90/10/2(重量比)となるように配合し、ドライブレンドして組成物を得た。[A3]は、密度が910kg/m、MFRが2.0g/10分、Tmが107℃、Mw/Mnが2.3、SCBが16.4/1000Cである。ニポロンハード4000は密度が965kg/m、MFRが5g/10分である。その組成物を用いて実施例1と同じ方法によりフィルムを得た。その結果、開口性が○、ヘーズ値が7.4%、エルメンドルフ引裂強度(MD)が143kN/mと開口性、透明性、強度がいずれも良好なフィルムを得た。
実施例7
前記重合法で重合されたエチレン−ヘキセン−1共重合体[A3]/ニポロンハード2000/ペトロセン360=95/5/1(重量比)となるように配合し、ドライブレンドして組成物を得た。その組成物を用いて実施例1と同じ方法によりフィルムを得た。その結果、開口性が○、ヘーズ値が3.2%、エルメンドルフ引裂強度(MD)が132kN/mと開口性、透明性、強度がいずれも良好なフィルムを得た。
実施例8
前記重合法で重合されたエチレン−ヘキセン−1共重合体[A3]/ニポロンハード2000/ペトロセン360=95/5/2(重量比)となるように配合し、ドライブレンドして組成物を得た。その組成物を用いて実施例1と同じ方法によりフィルムを得た。その結果、開口性が○、ヘーズ値が3.0%、エルメンドルフ引裂強度(MD)が132kN/mと開口性、透明性、強度がいずれも良好なフィルムを得た。
実施例9
前記重合法で重合されたエチレン−ヘキセン−1共重合体[A3]/ニポロンハード2000/ペトロセン360=95/5/5(重量比)となるように配合し、ドライブレンドして組成物を得た。その組成物を用いて実施例1と同じ方法によりフィルムを得た。その結果、開口性が○、ヘーズ値が2.4%、エルメンドルフ引裂強度(MD)が115kN/mと開口性、透明性、強度がいずれも良好なフィルムを得た。
実施例10
前記重合法で重合されたエチレン−ヘキセン−1共重合体[A3]/ニポロンハード2000/ペトロセン360=90/10/2(重量比)となるように配合し、ドライブレンドして組成物を得た。その組成物を用いて実施例1と同じ方法によりフィルムを得た。その結果、開口性が○、ヘーズ値が5.1%、エルメンドルフ引裂強度(MD)が145kN/mと開口性、透明性、強度がいずれも良好なフィルムを得た。
実施例11
前記重合法で重合されたエチレン−ヘキセン−1共重合体[A3]/ニポロンハード1200/ペトロセン360=90/10/2(重量比)となるように配合し、ドライブレンドして組成物を得た。ニポロンハード1200は密度が952kg/m、MFRが21g/10分である。その組成物を用いて実施例1と同じ方法によりフィルムを得た。その結果、開口性が○、ヘーズ値が3.9%、エルメンドルフ引裂強度(MD)が135kN/mと開口性、透明性、強度がいずれも良好なフィルムを得た。
実施例12
前記重合法で重合されたエチレン−ヘキセン−1共重合体[A3]/ニポロンハード0S02F/ペトロセン360=90/10/2(重量比)なるように配合し、ドライブレンドして組成物を得た。ニポロンハード0S02Fは密度が957kg/m、MFRが30g/10分である。その組成物を用いて実施例1と同じ方法によりフィルムを得た。その結果、開口性が○、ヘーズ値が6.0%、エルメンドルフ引裂強度(MD)が139kN/mと開口性、透明性、強度がいずれも良好なフィルムを得た。
実施例13
前記重合法で重合されたエチレン−ヘキセン−1共重合体[A3]/ニポロンハード2000/ペトロセン172=90/10/2(重量比)となるように配合し、ドライブレンドして組成物を得た。ペトロセン172は密度が920kg/m、MFRが0.3g/10分、スウェル比が2.02である。その組成物を用いて実施例1と同じ方法によりフィルムを得た。その結果、開口性が○、ヘーズ値が5.9%、エルメンドルフ引裂強度(MD)が134kN/mと開口性、透明性、強度がいずれも良好なフィルムを得た。
比較例5
前記重合法で重合されたエチレン−ヘキセン−1共重合体[A2]単体である他は、実施例1と同じ方法でフィルムを得た。その結果、開口性は×で十分な開口性が得られなかった。
比較例6
前記重合法で重合されたエチレン−ヘキセン−1共重合体[A3]/ニポロンLM65/ペトロセン360=90/10/2(重量比)となるように配合し、ドライブレンドして組成物を得た。ニポロンLM65は密度が920kg/m、MFRが20g/10分である。その組成物を用いて実施例1と同じ方法によりフィルムを得た。その結果、開口性が×で十分な開口性が得られなかった。
比較例7
前記重合法で重合されたエチレン−ヘキセン−1共重合体[A3]/ニポロンLM70/ペトロセン360=90/10/2(重量比)となるように配合し、ドライブレンドして組成物を得た。ニポロンLM70は密度が936kg/m、MFRが20g/10分である。その組成物を用いて実施例1と同じ方法によりフィルムを得た。その結果、開口性が×で十分な開口性が得られなかった。
比較例8
前記重合法で重合されたエチレン−ヘキセン−1共重合体[A3]/ニポロンハード2000/ペトロセン183=90/10/2(重量比)となるように配合し、ドライブレンドして組成物を得た。ペトロセン183は密度が924kg/m、MFRが2.0g/10分、スウェル比が1.73である。その組成物を用いて実施例1と同じ方法によりフィルムを得た。その結果、開口性が○、ヘーズ値が9.2%、エルメンドルフ引裂強度(MD)が132kN/mと開口性、強度は良好なフィルムであるが、低密度ポリエチレンとしてペトロセン360を配合した組成物のフィルムに比較し透明性が劣った。 表1に実施例および比較例中に用いたエチレン−ヘキセン−1共重合体[A]の特徴を示した。
Figure 0005561106
また、(1)式の技術的意義を示すために図1に示した(1)式の関係を満たさない樹脂(市販品)樹脂の物性値を表2に示す。
Figure 0005561106
表3に実施例および比較例中に用いたHDPEの特徴を示した。
Figure 0005561106
表4に実施例および比較例中に用いたLDPEの特徴を示した。
Figure 0005561106
表5に実施例および比較例中に用いたLDPEの特徴を示した。
Figure 0005561106
表6に実施例および比較例に示したインフレーション成形によって得たフィルムの物性に関して、エチレン−αオレフィン共重合体の特徴の違い、HDPE[B]の配合比の違い、およびHDPEの特徴の違いによるフィルム物性への影響を示した。まず、実施例1、2および3は、エチレン−αオレフィン共重合体として請求項1の要件を満たす[A1]を用い、HDPEとして請求項1の要件を満たすニポロンハード2000および4000を用いた。それぞれ[A1]/HDPE=95/5ないし90/10(重量比)で配合されているから、HDPE[B]を配合していない比較例1に比較し開口性が優れる。また、実施例2および3は、HDPE[B]のMFRが請求項1の要件である3〜50g/10分の範囲内であるから、配合比率が[A1]/HDPE=90/10(重量比)と同様でありながら、HDPEとしてMFRが0.35g/10分と請求項1に定める範囲より小さいニポロンハード8022を用いた比較例2に比較して、エルメンドルフ引裂強度(MD)の値が高い。一方で、比較例3に用いたELITE5400Gは請求項1の(1)式を満たさないのでヘーズ値が高く、エルメンドルフ引裂強度(MD)の値が低い。
Figure 0005561106
表7に実施例および比較例に示したインフレーション成形によって得たフィルムの物性に関して、エチレン−αオレフィン共重合体に請求項1の要件を満たしつつ、表6中の[A1]とは異なる[A2]を用い、請求項1の要件を満たすHDPEであるニポロンハード2000の配合の効果、および請求項2の要件を満たすLDPEであるペトロセン360の配合の効果を示した。実施例3は[A2]/ニポロンハード2000=90/10(重量比)だから、HDPE[B]の配合されていない比較例4に比較し、開口性に優れる。実施例4は[A2]/ニポロンハード2000/ペトロセン360=90/10/2(重量比)だから、開口性に優れ、ヘーズの値が低いので透明性が良好、さらにエルメンドルフ引裂強度(MD)が高いから引裂強度が良好である。
Figure 0005561106
表8にはエチレン−αオレフィン共重合体に請求項1の要件を満たした[A3]を用いた実施例5〜13の配合とフィルム物性を示した。実施例5〜13の配合に用いたエチレン−αオレフィン共重合体、HDPE、LDPEおよびその配合比率はいずれも請求項1および請求項2の要件を満たすので、開口性に優れ、ヘーズ値が低いから透明性に優れ、かつエルメンドルフ引裂強度(MD)が高いから引裂強度が良好である。
Figure 0005561106
表9にはエチレン−αオレフィン共重合体に請求項1の要件を満たした[A3]を用いた比較例5〜8の配合とフィルム物性を示した。比較例5は[A3]にHDPEが配合されていないから開口性に劣る。比較例6と比較例7にはそれぞれHDPEの代わりとして密度が請求項1の規定する範囲より低いニポロン−L M65およびM75を用いた。その結果、フィルムの開口性は劣るものであった。また、比較例8はSRが請求項2の規定する範囲より低いペトロセン183を用いているので、表8中の実施例5〜13に比較しヘーズが高いから、LDPE配合による透明性の改良が不十分である。
Figure 0005561106

Claims (1)

  1. 下記(a)〜(e)の要件を満たすエチレン−α−オレフィン共重合体[A]及び下記(f)と(g)の要件を満たす高密度ポリエチレン[B]からなり、[A]/[B](重量比)が99.5/0.5〜80/20であるポリエチレン樹脂組成物[I]及び下記(h)〜(J)の要件を満たす高圧法低密度ポリエチレン[C]からなり、[I]/[C](重量比)が100/0.1〜100/10であることを特徴とするフィルム用ポリエチレン樹脂組成物[II]。
    (a)JIS K 7112:1999に準拠し、測定した密度が890〜940kg/m
    (b)JIS K 7210:1999に準拠し190℃,21.18Nの荷重下で測定したメルトフローレート(MFR)が0.1〜10g/10分
    (c)重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)の比(Mw/Mn)が1.5〜4(d)示差走査型熱量計において、200℃で5分間溶融し、その後10℃/分で30℃まで冷却したものを再度10℃/分で昇温させた時に得られる吸熱曲線が実質的に単一のピークを持ち、ピーク位置の温度(Tm(℃))と赤外線吸収スペクトルの測定から求められる炭素数1000個当りの短鎖分岐数(SCB)とが(1)式で示される関係を満たす。
    Tm<−1.15×SCB+131 (1)
    (e)エチレンと炭素数3以上のα−オレフィンとの共重合体。
    (f)JIS K 7112:1999に準拠し、測定した密度が940〜970kg/m
    (g)JIS K 7210:1999に準拠し、測定した190℃,21.18Nの荷重下で測定したメルトフローレート(MFR)が3〜50g/10分。
    (h)JIS K 7112:1999に準拠し、測定した密度が915〜935kg/m
    (i)JIS K 7210:1999に準拠し、測定した190℃,21.18Nの荷重下で測定したメルトフローレート(MFR)が0.1〜10g/10分の範囲。
    (j)JIS K 7210で使用されるメルトインデクサーを用い、温度235℃、押出量3g/分により押出されたストランドの径(D)をメルトインデクサーのオリフィス径(D)で除して求めたスウェル比(SR)が1.8〜3.0。
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