JP2016160266A - ポリエチレン樹脂組成物とその製造方法及びインフレーションフィルム - Google Patents
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Abstract
【課題】
添加するLDPEの量が少量であっても透明性に優れ、耐衝撃性と剛性とのバランスに優れる、フィルムの製造に適したコスト優位性のある樹脂組成物を提供。
【解決手段】
(a−1)及び(a−2)を満たすエチレン・α−オレフィン共重合体(A)60重量%〜98重量%、下記(c−1)及び(c−2)の条件を満たす分岐状低密度ポリエチレン(C)2重量%〜10重量%未満含み、溶融混練し得られる特定条件(p−1)〜(p3)をみたすポリエチレン樹脂組成物。
(a−1)密度が0.920〜0.945g/cm3、(a−2)MFRが0.5〜5.0g/10分、
(c−1)密度が0.905〜0.924g/cm3、(c−2)MFRが0.1〜0.9g/10分、
(p−1)密度が0.918〜0.940g/cm3、(p−2)MFRが0.4〜5.0g/10分、(p−3)溶融張力が3.5g以上、
【選択図】なし
添加するLDPEの量が少量であっても透明性に優れ、耐衝撃性と剛性とのバランスに優れる、フィルムの製造に適したコスト優位性のある樹脂組成物を提供。
【解決手段】
(a−1)及び(a−2)を満たすエチレン・α−オレフィン共重合体(A)60重量%〜98重量%、下記(c−1)及び(c−2)の条件を満たす分岐状低密度ポリエチレン(C)2重量%〜10重量%未満含み、溶融混練し得られる特定条件(p−1)〜(p3)をみたすポリエチレン樹脂組成物。
(a−1)密度が0.920〜0.945g/cm3、(a−2)MFRが0.5〜5.0g/10分、
(c−1)密度が0.905〜0.924g/cm3、(c−2)MFRが0.1〜0.9g/10分、
(p−1)密度が0.918〜0.940g/cm3、(p−2)MFRが0.4〜5.0g/10分、(p−3)溶融張力が3.5g以上、
【選択図】なし
Description
本発明は、機械的特性、透明性、成形加工特性の優れたポリエチレン樹脂組成物およびそれよりなるインフレーションフィルムに関し、より詳細には、添加する分岐状低密度ポリエチレンの量が少量であっても、特に薄肉フィルムにおいても、耐衝撃性と剛性とのバランスに優れるとともに、透明性にも優れ、自動製袋機適性に優れたポリエチレンフィルムの製造に適したコスト優位性のあるフィルム用のポリエチレン樹脂組成物およびそれよりなるインフレーションフィルムに関する。
ポリエチレン製のインフレーションフィルムは、包装用途に多く用いられている。最近、容器リサイクル法施行等の影響により、そのようなフィルムは、より薄肉化を求められている。
しかしながら、かかる要望に対応してフィルムを薄肉化しようとすると、強度低下や剛性低下に伴い、ハンドリング性の悪化を招くため、規格袋用フィルム等のフィルムとして求められる基本的な性能を満足するため、さまざまな検討が行われている。
例えば、衝撃強度の高いフィルムを得るためには、樹脂の密度を低下させる必要があるが、密度を低くすると、フィルムの腰(剛性)が柔らかくなり、その結果、自動製袋機を使用して高速で製袋することができなくなるという問題がある。
しかしながら、かかる要望に対応してフィルムを薄肉化しようとすると、強度低下や剛性低下に伴い、ハンドリング性の悪化を招くため、規格袋用フィルム等のフィルムとして求められる基本的な性能を満足するため、さまざまな検討が行われている。
例えば、衝撃強度の高いフィルムを得るためには、樹脂の密度を低下させる必要があるが、密度を低くすると、フィルムの腰(剛性)が柔らかくなり、その結果、自動製袋機を使用して高速で製袋することができなくなるという問題がある。
衝撃強度と剛性のバランスを改良するために、密度を異にする二種類のエチレン・α−オレフィン共重合体および高圧ラジカル重合法低密度ポリエチレンからなる組成物が既に知られている(特許文献1参照。)。しかし、強度や剛性のバランスを十分に満足するものではない。
また、分子量分布を異にする二種類のエチレン・α−オレフィン共重合体からなる樹脂組成物は、かなり強度が改善されているが、やはり強度や剛性のバランスを十分に満足するものではない。さらに、密度を高くし剛性を得ようとすると、透明性が悪化するという問題がある(特許文献2参照。)。
その他、密度を異にする二種類のエチレン・α−オレフィン共重合体及び特定のラジカル重合法分岐状低密度ポリエチレンを、特定のMFR及び密度となるようにブレンドしたポリエチレン樹脂組成物により衝撃強度と剛性のバランスに優れ透明性も改善されているが、薄肉化しても製造コストが下がらないという問題がある(特許文献3参照。)。
また、分子量分布を異にする二種類のエチレン・α−オレフィン共重合体からなる樹脂組成物は、かなり強度が改善されているが、やはり強度や剛性のバランスを十分に満足するものではない。さらに、密度を高くし剛性を得ようとすると、透明性が悪化するという問題がある(特許文献2参照。)。
その他、密度を異にする二種類のエチレン・α−オレフィン共重合体及び特定のラジカル重合法分岐状低密度ポリエチレンを、特定のMFR及び密度となるようにブレンドしたポリエチレン樹脂組成物により衝撃強度と剛性のバランスに優れ透明性も改善されているが、薄肉化しても製造コストが下がらないという問題がある(特許文献3参照。)。
上記のとおり従来の、強度を有し、かつ薄肉化するためのフィルム用ポリエチレン樹脂組成物としては、いわゆるLLDPE又はメタロセンポリエチレンと呼ばれる、直鎖状の分子構造を有するエチレン・α−オレフィン共重合体を主成分とし、それ単独では不良となる加工性と透明性を維持するために、高圧ラジカル重合法により得られる分岐状低密度ポリエチレンを、10〜20重量%程度含有することが、一般的に知られている。
しかしながら、分岐状低密度ポリエチレンを10重量%以上、例えば15重量%含有することは、本来、直鎖状のエチレン・α−オレフィン共重合体が有している強度を低下せしめ、更に、製造コスト的にも好ましくない。そのため、添加する分岐状低密度ポリエチレンの量を減らすことも検討されていたが、例えば、従来、フィルム用ポリエチレン樹脂組成物の添加用として通常用いられていた分岐状低密度ポリエチレンを用いて、その含有量をたとえば5重量%と減少すると、たちまち透明性が悪化し、フィルム用の樹脂組成物としては不適当となるため、難しいとされていた。
しかしながら、分岐状低密度ポリエチレンを10重量%以上、例えば15重量%含有することは、本来、直鎖状のエチレン・α−オレフィン共重合体が有している強度を低下せしめ、更に、製造コスト的にも好ましくない。そのため、添加する分岐状低密度ポリエチレンの量を減らすことも検討されていたが、例えば、従来、フィルム用ポリエチレン樹脂組成物の添加用として通常用いられていた分岐状低密度ポリエチレンを用いて、その含有量をたとえば5重量%と減少すると、たちまち透明性が悪化し、フィルム用の樹脂組成物としては不適当となるため、難しいとされていた。
本発明の課題は、添加する分岐状低密度ポリエチレンの量が10重量%未満と少量であっても、透明性に優れ、更には耐衝撃性と剛性のバランスにも優れるため、インフレーションフィルムなどのフィルム用ポリエチレン樹脂組成物として、コスト優位性のあるポリエチレン樹脂組成物およびそれよりなるポリエチレン製フィルムを提供することにある。
かかる課題を解決すべく、本発明者等は、使用する樹脂成分の種類や添加量、その樹脂製造条件等を種々変更し、鋭意検討をした結果、意外にも、従来の添加量レベルでは透明性が悪く、フィルム用途には適していないと考えられていた、特定の低密度低MFRを有する分岐状低密度ポリエチレンを用い、かつ、特定の混練条件と組み合わせることによって、2〜10重量%未満という、低添加量であっても、透明性とその他の物性を十分に維持することもできる、コスト優位性のあるフィルム用樹脂組成物が得られることを見出し、本発明に到達した。
また、更に、特定の第2のエチレン・α−オレフィン共重合体を所定量組み合わせて含有することにより、薄くしても耐衝撃性と剛性とのバランスに優れるとともに、透明性にも優れ、自動製袋機適性に優れたポリエチレンフィルムの製造に適したコスト優位性のあるポリエチレン樹脂組成物が得られることを見出し、本発明に到達した。
すなわち、本願の第1の発明は、
少なくとも、エチレン・α−オレフィン共重合体(A)と、分岐状低密度ポリエチレン(C)とを溶融混練し得られるポリエチレン樹脂組成物であって、
該エチレン・α−オレフィン共重合体(A)が、下記(a−1)及び(a−2)の条件を満たし、
(a−1)密度が0.920〜0.945g/cm3、
(a−2)MFRが0.5〜5.0g/10分、
該エチレン・α−オレフィン共重合体(A)の樹脂組成物中の含有量が、60重量%以上98重量%以下であり、
該分岐状低密度ポリエチレン(C)が、下記(c−1)及び(c−2)の条件を全て満たし、
(c−1)密度が0.905〜0.924g/cm3、
(c−2)MFRが0.1〜0.9g/10分、
該分岐状低密度ポリエチレン(C)の樹脂組成物中の含有量が、2重量%以上〜10重量%未満であり、
該樹脂組成物(P)の物性が、下記(p−1)〜(p−3)の条件を全て満たす、
(p−1)密度が0.918〜0.940g/cm3
(p−2)MFRが0.4〜5.0g/10分、
(p−3)溶融張力が3.5g以上、
ことを特徴とするポリエチレン樹脂組成物に存する。
少なくとも、エチレン・α−オレフィン共重合体(A)と、分岐状低密度ポリエチレン(C)とを溶融混練し得られるポリエチレン樹脂組成物であって、
該エチレン・α−オレフィン共重合体(A)が、下記(a−1)及び(a−2)の条件を満たし、
(a−1)密度が0.920〜0.945g/cm3、
(a−2)MFRが0.5〜5.0g/10分、
該エチレン・α−オレフィン共重合体(A)の樹脂組成物中の含有量が、60重量%以上98重量%以下であり、
該分岐状低密度ポリエチレン(C)が、下記(c−1)及び(c−2)の条件を全て満たし、
(c−1)密度が0.905〜0.924g/cm3、
(c−2)MFRが0.1〜0.9g/10分、
該分岐状低密度ポリエチレン(C)の樹脂組成物中の含有量が、2重量%以上〜10重量%未満であり、
該樹脂組成物(P)の物性が、下記(p−1)〜(p−3)の条件を全て満たす、
(p−1)密度が0.918〜0.940g/cm3
(p−2)MFRが0.4〜5.0g/10分、
(p−3)溶融張力が3.5g以上、
ことを特徴とするポリエチレン樹脂組成物に存する。
更に本願の第2の発明は、該ポリエチレン樹脂組成物が、更に第2のエチレン・α−オレフィン共重合体(B)を含有してなり、
該第2のエチレン・α−オレフィン共重合体(B)が、(b−1)〜(b−3)を全て満たしてなり、かつ、樹脂組成物中のBの含有量が2重量%以上30重量%以下であることを特徴とする第1発明記載のポリエチレン樹脂組成物に存する。
(b−1)密度が0.890〜0.915g/cm3、
(b−2)MFRが0.5〜5.0g/10分
(b−3)Q値が4.0以下
該第2のエチレン・α−オレフィン共重合体(B)が、(b−1)〜(b−3)を全て満たしてなり、かつ、樹脂組成物中のBの含有量が2重量%以上30重量%以下であることを特徴とする第1発明記載のポリエチレン樹脂組成物に存する。
(b−1)密度が0.890〜0.915g/cm3、
(b−2)MFRが0.5〜5.0g/10分
(b−3)Q値が4.0以下
更に本願の第3の発明は、該分岐状低密度ポリエチレン(C)が、更に下記(c−3)の条件を満たすことを特徴とする第1又は第2発明記載のポリエチレン樹脂組成物に存する。
(c−3)溶融張力(g)が下記式(1)を満たす
MT>−8.74×logMFR+9 ・・・(1)
(c−3)溶融張力(g)が下記式(1)を満たす
MT>−8.74×logMFR+9 ・・・(1)
本願の第4の発明は、第1〜第3発明のいずれかに記載のポリエチレン樹脂組成物を成形して得られるインフレーションフィルムに存する。
本願の第5の発明は、少なくとも、エチレン・α−オレフィン共重合体(A)と、分岐状低密度ポリエチレン(C)を含み、下記(a−1)及び(a−2)の条件を満たす前記エチレン・α−オレフィン共重合体(A)に対し、
(a−1)密度が0.920〜0.945g/cm3、
(a−2)MFRが0.5〜5.0g/10分、
下記(c−1)及び(c−2)の条件を全て満たす、前記分岐状低密度ポリエチレン(C)を、
(c−1)密度が0.905〜0.924g/cm3、
(c−2)MFRが0.1〜0.9g/10分、
樹脂組成物中の(A)の含有量が60重量%以上98重量%以下、(C)の含有量が2重量%以上10重量%未満となる量を添加し、二軸押出機により樹脂最高温度が200℃以上スクリュー回転数250rpm以上、樹脂圧力250MPa以上の条件で溶融混練することを特徴とするポリエチレン樹脂組成物の製造方法に存する。
(a−1)密度が0.920〜0.945g/cm3、
(a−2)MFRが0.5〜5.0g/10分、
下記(c−1)及び(c−2)の条件を全て満たす、前記分岐状低密度ポリエチレン(C)を、
(c−1)密度が0.905〜0.924g/cm3、
(c−2)MFRが0.1〜0.9g/10分、
樹脂組成物中の(A)の含有量が60重量%以上98重量%以下、(C)の含有量が2重量%以上10重量%未満となる量を添加し、二軸押出機により樹脂最高温度が200℃以上スクリュー回転数250rpm以上、樹脂圧力250MPa以上の条件で溶融混練することを特徴とするポリエチレン樹脂組成物の製造方法に存する。
本願の第6の発明は、更に、下記(b−1)〜(b−3)の条件を全て満たしてなる第2のエチレン・α−オレフィン共重合体(B)を、該樹脂組成物中の(B)の含有量が2重量以上30重量以下となる量添加して、(A)及び(C)と共に溶融混練することを特徴とする第5発明記載のポリエチレン樹脂組成物の製造方法に存する。
(b−1)密度が0.890〜0.915g/cm3、
(b−2)MFRが0.5〜5.0g/10分
(b−3)Q値が4.0以下
(b−1)密度が0.890〜0.915g/cm3、
(b−2)MFRが0.5〜5.0g/10分
(b−3)Q値が4.0以下
本願第7の発明は、該溶融混練して得られたポリエチレン樹脂組成物の、溶融張力が、3.5g以上であることを特徴とする、第5又は第6発明記載のポリエチレン樹脂組成物の製造方法に存する。
本発明のポリエチレン樹脂組成物は、分岐状低密度ポリエチレンの添加量が少なくとも透明性に優れるためコスト優位性があり、更に好ましくは薄くしても耐衝撃性と剛性とのバランスに優れるとともに、透明性にも優れ、自動製袋機適性に優れたポリエチレンフィルム、特にインフレーションフィルムの製造に適しているという効果を奏する。
以下、本発明を項目毎に、詳細に説明する。
I.ポリエチレン樹脂組成物の構成成分
本発明の樹脂組成物は、(A)及び(C)、更に好ましくは(A),(B)及び(C)を必須とする樹脂組成物であり、以下、個々に説明する。
I.ポリエチレン樹脂組成物の構成成分
本発明の樹脂組成物は、(A)及び(C)、更に好ましくは(A),(B)及び(C)を必須とする樹脂組成物であり、以下、個々に説明する。
1.エチレン・α−オレフィン共重合体(A)
本発明のポリエチレン樹脂組成物に用いられるエチレン・α−オレフィン共重合体(A)とは、エチレンと一種以上のα−オレフィンとの共重合体であり、いわゆる線状低密度ポリエチレン(LLDPE)またはメタロセンポリエチレンと呼ばれる、本質的に直鎖状の分子構造を有するポリエチレン樹脂である。
本発明のポリエチレン樹脂組成物は、このエチレン・α−オレフィン共重合体(A)を樹脂組成物中の主成分、すなわち60〜98重量%、好ましくは65〜93重量%、更に好ましくは70〜95重量%含有することを特徴とする。
α−オレフィンは、炭素数が3〜20のものが好ましく、炭素数が3〜12のものがより好ましい。
具体的には、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−デセン、1−ドデセン等が挙げられる。また、これらのα−オレフィンの含有量は、合計で通常30モル%以下、好ましくは20モル%以下の範囲で選択されることが望ましい。
本発明のポリエチレン樹脂組成物に用いられるエチレン・α−オレフィン共重合体(A)とは、エチレンと一種以上のα−オレフィンとの共重合体であり、いわゆる線状低密度ポリエチレン(LLDPE)またはメタロセンポリエチレンと呼ばれる、本質的に直鎖状の分子構造を有するポリエチレン樹脂である。
本発明のポリエチレン樹脂組成物は、このエチレン・α−オレフィン共重合体(A)を樹脂組成物中の主成分、すなわち60〜98重量%、好ましくは65〜93重量%、更に好ましくは70〜95重量%含有することを特徴とする。
α−オレフィンは、炭素数が3〜20のものが好ましく、炭素数が3〜12のものがより好ましい。
具体的には、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−デセン、1−ドデセン等が挙げられる。また、これらのα−オレフィンの含有量は、合計で通常30モル%以下、好ましくは20モル%以下の範囲で選択されることが望ましい。
エチレン・α−オレフィン共重合体(A)のメルトフローレート(MFR)は、0.5〜5.0g/10分であり、0.8〜4g/10分が好ましく、1.0〜3.0g/10分がより好ましい。MFRが0.5g/10分未満では、成形加工性が劣り、一方、MFRが5.0g/10分を超えると、耐衝撃性、機械的強度等が低下する恐れがある。ここで、エチレン・α−オレフィン共重合体(A)のMFRは、JIS K7210の「プラスチック―熱可塑性プラスチックのメルトマスフローレイト(MFR)及びメルトボリュームフローレイト(MVR)の試験方法」に準拠して、190℃、21.18N(2.16kg)荷重の条件で測定したときの値をいう。
また、エチレン・α−オレフィン共重合体(A)の密度は、0.920〜0.945g/cm3であり、0.925〜0.940g/cm3が好ましく、0.928〜0.938g/cm3がより好ましい。密度がこの範囲にあると、耐衝撃性と剛性のバランスおよび透明性が優れる。また、密度が0.920g/cm3未満では、剛性が低下し、自動製袋機適性を損なう恐れがある。一方、密度が0.945g/cm3を超えると、耐衝撃性および透明性を損なう恐れがある。
ここで、エチレン・α−オレフィン共重合体(A)の密度は、以下の方法で測定したときの値をいう。
ペレットを熱プレスして2mm厚のプレスシートを作成し、該シートを1000ml容量のビーカーに入れ蒸留水を満たし、時計皿で蓋をしてマントルヒーターで加熱した。蒸留水が沸騰してから60分間煮沸後、ビーカーを木製台の上に置き放冷した。この時60分煮沸後の沸騰蒸留水は500mlとし室温になるまでの時間は60分以下にならないように調整した。また、試験シートは、ビーカー及び水面に接しないように水中のほぼ中央部に浸漬した。シートを23℃、湿度50%の条件で、16時間以上24時間以内でアニーリングを行った後、縦横2mmになるように打ち抜き、試験温度23℃で、JIS K7112の「プラスチック−非発泡プラスチックの密度及び比重の測定方法」に準拠して、測定した。
ペレットを熱プレスして2mm厚のプレスシートを作成し、該シートを1000ml容量のビーカーに入れ蒸留水を満たし、時計皿で蓋をしてマントルヒーターで加熱した。蒸留水が沸騰してから60分間煮沸後、ビーカーを木製台の上に置き放冷した。この時60分煮沸後の沸騰蒸留水は500mlとし室温になるまでの時間は60分以下にならないように調整した。また、試験シートは、ビーカー及び水面に接しないように水中のほぼ中央部に浸漬した。シートを23℃、湿度50%の条件で、16時間以上24時間以内でアニーリングを行った後、縦横2mmになるように打ち抜き、試験温度23℃で、JIS K7112の「プラスチック−非発泡プラスチックの密度及び比重の測定方法」に準拠して、測定した。
エチレン・α−オレフィン共重合体(A)としては、Q値(重量平均分子量と数平均分子量の比=Mw/Mn)で示される分子量分布が比較的広い、いわゆる線状低密度ポリエチレン(LLDPE)と呼ばれる、チーグラー系触媒により得られるエチレン・α−オレフィン共重合体であってもよいし、Q値が2〜4以下である、分子量分布が比較的狭い、いわゆるメタロセン系触媒などのシングルサイト触媒により得られるエチレン・α−オレフィン共重合体であってもよいし、更に、少量の長鎖分岐を直鎖状の主鎖分子構造に導入するタイプの触媒を用いて得られる、長鎖分岐を多少有するエチレン・α−オレフィン共重合体であってもよいが、好ましくは、線状低密度ポリエチレン(LLDPE)を用いることが挙げられる。
2.エチレン・α−オレフィン共重合体(B)
本発明の好ましい態様である、ポリエチレン樹脂組成物に用いられる第2のエチレン・α−オレフィン共重合体(B)とは、エチレンと炭素数3〜20のα−オレフィンより選ばれる一種以上のα−オレフィンとの共重合体である。この炭素数3〜20のα−オレフィンとしては、好ましくは炭素数3〜12のものであり、具体的には、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−デセン、1−ドデセン等が挙げられる。また、これらのα−オレフィンの含有量は、合計で通常30モル%以下、好ましくは20モル%以下の範囲で選択されることが望ましい。
本発明の好ましい態様である、ポリエチレン樹脂組成物に用いられる第2のエチレン・α−オレフィン共重合体(B)とは、エチレンと炭素数3〜20のα−オレフィンより選ばれる一種以上のα−オレフィンとの共重合体である。この炭素数3〜20のα−オレフィンとしては、好ましくは炭素数3〜12のものであり、具体的には、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−デセン、1−ドデセン等が挙げられる。また、これらのα−オレフィンの含有量は、合計で通常30モル%以下、好ましくは20モル%以下の範囲で選択されることが望ましい。
エチレン・α−オレフィン共重合体(B)のMFRは、0.5〜5.0g/10分であり、0.8〜4g/10分が好ましく、1.0〜3.0g/10分がより好ましい。MFRが0.5g/10分未満では、成形加工性が劣り、一方、MFRが5.0g/10分を超えると、耐衝撃性、機械的強度等が低下する恐れがある。ここで、エチレン・α−オレフィン共重合体(B)のMFRは、JIS K7210の「プラスチック―熱可塑性プラスチックのメルトマスフローレイト(MFR)及びメルトボリュームフローレイト(MVR)の試験方法」に準拠して、190℃、21.18N(2.16kg)荷重の条件で測定したときの値をいう。
また、エチレン・α−オレフィン共重合体(B)の密度は、0.890〜0.915g/cm3であり、0.895〜0.910g/cm3が好ましく、0.900〜0.908g/cm3がより好ましい。密度がこの範囲にあると、耐衝撃性と剛性のバランスおよび透明性が優れる。また、密度が0.890g/cm3未満では、剛性が悪化し、一方、密度が0.915g/cm3を超えると、耐衝撃性の改良効果が充分でなく、耐衝撃性と剛性のバランスが損なわれる。ここで、エチレン・α−オレフィン共重合体(B)の密度は、エチレン・α−オレフィン共重合体(A)の密度の測定方法と同一方法で測定したときの値をいう。
本発明に用いられるエチレン・α−オレフィン共重合体(B)の密度とエチレン・α−オレフィン共重合体(A)の密度との差が0.015g/cm3以上であることがより好ましい。このように密度差を付けることで、耐衝撃性と剛性のバランスがより向上する。
さらに、エチレン・α−オレフィン共重合体(B)の重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比(Q値:Mw/Mn)は、4.0以下である。Q値が4.0を超えると、耐衝撃性の改良効果が充分でなく、耐衝撃性と剛性のバランスが損なわれる。耐衝撃性と剛性のバランス上、Q値の上限は、好ましくは3.0、より好ましく2.5、さらに好ましくは2.3、特に好ましくは2.3である。Q値の下限は、好ましくは1.5、より好ましくは2.0である。
ここで、エチレン・α−オレフィン共重合体(B)の重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比(Q値:Mw/Mn)は、以下の方法(以下、「分子量分布の測定方法」と言うこともある。)で測定したときの値をいう。Mw/Mnは、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定した重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比(Mw/Mn)で定義されるものである。
装置:ウオーターズ社製GPC
150C型検出器:MIRAN 1A赤外分光光度計(測定波長、3.42μm)
カラム:昭和電工社製AD806M/S 3本
[カラムの較正は、東ソー製単分散ポリスチレン(A500,A2500,F1,F2,F4,F10,F20,F40,F288の各0.5mg/ml溶液)の測定を行い、溶出体積と分子量の対数値を2次式で近似した。また、試料の分子量は、ポリスチレンとポリエチレンの粘度式を用いてポリエチレンに換算した。ここでポリスチレンの粘度式の係数は、α=0.723、logK=−3.967であり、ポリエチレンは、α=0.723、logK=−3.407である。]
測定温度:140℃
注入量:0.2ml
濃度:20mg/10mL
溶媒:オルソジクロロベンゼン
流速:1.0ml/min
エチレン・α−オレフィン共重合体(B)は、重合触媒としてシングルサイト触媒を用い、気相重合、スラリー重合、溶液重合または高圧イオン重合のいずれかの方法により、1段または2段以上の多段で、エチレンとα−オレフィンとを共重合して得られたエチレン・α−オレフィン共重合体が好ましい。
装置:ウオーターズ社製GPC
150C型検出器:MIRAN 1A赤外分光光度計(測定波長、3.42μm)
カラム:昭和電工社製AD806M/S 3本
[カラムの較正は、東ソー製単分散ポリスチレン(A500,A2500,F1,F2,F4,F10,F20,F40,F288の各0.5mg/ml溶液)の測定を行い、溶出体積と分子量の対数値を2次式で近似した。また、試料の分子量は、ポリスチレンとポリエチレンの粘度式を用いてポリエチレンに換算した。ここでポリスチレンの粘度式の係数は、α=0.723、logK=−3.967であり、ポリエチレンは、α=0.723、logK=−3.407である。]
測定温度:140℃
注入量:0.2ml
濃度:20mg/10mL
溶媒:オルソジクロロベンゼン
流速:1.0ml/min
エチレン・α−オレフィン共重合体(B)は、重合触媒としてシングルサイト触媒を用い、気相重合、スラリー重合、溶液重合または高圧イオン重合のいずれかの方法により、1段または2段以上の多段で、エチレンとα−オレフィンとを共重合して得られたエチレン・α−オレフィン共重合体が好ましい。
ここでいうシングルサイト触媒とは、均一な活性種を形成しうる触媒であり、通常メタロセン系遷移金属化合物や非メタロセン系遷移金属化合物と活性化用助触媒とを接触させることにより、調整される。
シングルサイト触媒として、好ましくは、メタロセン系遷移金属化合物と活性化用助触媒とを接触させることにより調整された触媒であり、より好ましくは、一般式:
MLaXn−a
(式中、Mは、元素の周期律表の第4族またはランタナイド系列の遷移金属原子である。Lは、シクロペンタジエン形アニオン骨格を有する基またはヘテロ原子を含有する基であり、少なくとも1つは、シクロペンタジエン形アニオン骨格を有する基である。複数のLは架橋していてもよい。Xは、ハロゲン原子、水素原子または炭素原子数1〜20の炭化水素基である。nは、遷移金属原子Mの原子価を表し、aは、0<a<nを満足する整数である。)
で表される遷移金属化合物と活性化用助触媒とを接触させることにより調整された触媒である。該遷移金属化合物は、単独または2種類以上組み合わせて用いられる。
シングルサイト触媒として、好ましくは、メタロセン系遷移金属化合物と活性化用助触媒とを接触させることにより調整された触媒であり、より好ましくは、一般式:
MLaXn−a
(式中、Mは、元素の周期律表の第4族またはランタナイド系列の遷移金属原子である。Lは、シクロペンタジエン形アニオン骨格を有する基またはヘテロ原子を含有する基であり、少なくとも1つは、シクロペンタジエン形アニオン骨格を有する基である。複数のLは架橋していてもよい。Xは、ハロゲン原子、水素原子または炭素原子数1〜20の炭化水素基である。nは、遷移金属原子Mの原子価を表し、aは、0<a<nを満足する整数である。)
で表される遷移金属化合物と活性化用助触媒とを接触させることにより調整された触媒である。該遷移金属化合物は、単独または2種類以上組み合わせて用いられる。
活性化用助触媒としては、メタロセン系遷移金属化合物や非メタロセン系遷移金属化合物とともに用いることにより、オレフィン重合活性を与えるものであり、アルモキサン化合物等の有機アルミニウム化合物、および/またはトリフェニルメチルテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、N,N−ジメチルアニリニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート等のホウ素化合物が用いられる。
また、シングルサイト触媒は、SiO2、Al2O3等の無機担体、エチレン、スチレン等の重合体等の有機ポリマー担体等の粒子状担体を、組み合わせて用いてもよい。
また、シングルサイト触媒は、SiO2、Al2O3等の無機担体、エチレン、スチレン等の重合体等の有機ポリマー担体等の粒子状担体を、組み合わせて用いてもよい。
エチレン・α−オレフィン共重合体(B)の樹脂組成物中の含有量は、2〜30重量%、好ましくは5〜25重量%、更に好ましくは7〜20重量%である。
3.分岐状低密度ポリエチレン(C)
本発明のポリエチレン樹脂組成物に用いられる分岐状低密度ポリエチレン(C)は、枝分かれ状の長鎖分岐を多数有するポリエチレンであり、例えば、エチレンを高圧ラジカル重合法で重合することによって得られるポリエチレンである。高圧ラジカル重合法によって得られるポリエチレンは、高圧法低密度ポリエチレンとも呼称される。
本発明のポリエチレン樹脂組成物に用いられる分岐状低密度ポリエチレン(C)は、枝分かれ状の長鎖分岐を多数有するポリエチレンであり、例えば、エチレンを高圧ラジカル重合法で重合することによって得られるポリエチレンである。高圧ラジカル重合法によって得られるポリエチレンは、高圧法低密度ポリエチレンとも呼称される。
本発明に用いる分岐状低密度ポリエチレン(C)は、従来、フィルム用添加剤としてよく用いられている分岐状低密度ポリエチレン(たとえば、MFR3.0、密度0.927)に比べると、より低MFR低密度の分岐状低密度ポリエチレンであり、MFRが0.1以上0.9g/10分以下、より好ましくは0.1〜0.7g/10分、さらに好ましくは0.2〜0.5g/10分である。この範囲であれば、低添加量であっても、透明性が悪化せずに、衝撃強度や剛性等の他の性能が維持できる。
また、分岐状低密度ポリエチレン(C)は、密度が0.905〜0.935g/cm3、より好ましくは0.910〜0.930g/cm3である。この範囲であればドローダウン性、ドローレゾナンス、延伸性等の加工性を安定的に保持することができる。
さらに、分岐状低密度ポリエチレン(C)は、190℃における溶融張力(MT)(単位g)とメルトフローレート(MFR)(単位g/10分)とが、次の関係式(1)を満たすものが好ましい。より好ましくは関係式(1a)を満たすものである。
MT>−8.74×logMFR+9・・・(1)
MT>−8.74×logMFR+10・・・(1a)
溶融張力(MT)がこの範囲であれば、ドローダウン性、ドローレゾナンス、延伸性等の加工性を安定的に保持することができる。一般に、MFRが大きくなると、MTは小さくなる傾向があるが、重合温度の調整や多段重合等により、高分子量成分の量や長鎖分岐の量を増加させることで、MTを高めることができ、上記の関係式を満たす分岐状低密度ポリエチレン(C)が得られるようになる。
MT>−8.74×logMFR+9・・・(1)
MT>−8.74×logMFR+10・・・(1a)
溶融張力(MT)がこの範囲であれば、ドローダウン性、ドローレゾナンス、延伸性等の加工性を安定的に保持することができる。一般に、MFRが大きくなると、MTは小さくなる傾向があるが、重合温度の調整や多段重合等により、高分子量成分の量や長鎖分岐の量を増加させることで、MTを高めることができ、上記の関係式を満たす分岐状低密度ポリエチレン(C)が得られるようになる。
ここで、MTの測定は、東洋精機製作所製のキャピログラフを用いて、シリンダー温度190℃、オリフィスL/D=8.1/2.095(mm)、ピストンスピード10mm/分、引取速度4.0m/分の条件下で行なわれるものである。
また、本発明に用いられる分岐状低密度ポリエチレン(C)は、η1/η0が1.5以上のものが好ましく、より好ましくは1.8以上である。η1/η0は、後述する一軸伸張粘度の過渡応答曲線から求められるものである。上記を満足する分岐状低密度ポリエチレン(C)を用いると、高速成形加工性が向上する利点がある。
分岐状低密度ポリエチレン(C)は、製造方法が限定されるものではなく、公知の製造方法を採用できる。例えば、チューブラープロセス、オートクレーブプロセス等が挙げられる。
本願発明における特定の分岐状低密度ポリエチレン(C)の樹脂組成物中の含有量は、2重量%以上10重量%未満、好ましくは、3重量%以上10重量%未満、更に好ましくは3重量%以上9重量%以下である。含有量が多すぎると、かえって透明性を悪化することとなる。含有量が低すぎると、分岐状低密度ポリエチレン(C)の添加効果が薄まってしまう。
4.構成成分の配合割合
次に、樹脂成分の配合割合について説明する。
次に、樹脂成分の配合割合について説明する。
エチレン・α−オレフィン共重合体(A)/エチレン・α−オレフィン共重合体(B)/分岐状低密度ポリエチレン(C)の重量比(合計は100重量%である。)は、(60〜96)/(2〜30)/(2〜10未満)、好ましくは(65〜93)/(5〜25)/(2〜10)、より好ましくは(70〜90)/(7〜20)/(3〜10)である。
エチレン・α−オレフィン共重合体(A)が多すぎると、耐衝撃性が低下し、少ないと剛性が悪化する。また、エチレン・α−オレフィン共重合体(B)が多すぎると、剛性が低下し、少ないと引裂き強度や衝撃強度が改善されない。さらに、分岐状低密度ポリエチレン(C)が多すぎると、引裂強度の低下や透明性の悪化が起こり、少ないと製膜時にバブルの安定性が低下する等の成形加工性に劣る。
エチレン・α−オレフィン共重合体(A)が多すぎると、耐衝撃性が低下し、少ないと剛性が悪化する。また、エチレン・α−オレフィン共重合体(B)が多すぎると、剛性が低下し、少ないと引裂き強度や衝撃強度が改善されない。さらに、分岐状低密度ポリエチレン(C)が多すぎると、引裂強度の低下や透明性の悪化が起こり、少ないと製膜時にバブルの安定性が低下する等の成形加工性に劣る。
II.ポリエチレン樹脂組成物
1.密度
上記成分(A)及び(C)又は、(A)、(B)および(C)からなる、本発明のポリエチレン樹脂組成物の密度は、0.918〜0.940g/cm3の範囲であることが必要であり、好ましくは0.920〜0.936g/cm3であり、より好ましくは0.922〜0.934g/cm3である。
1.密度
上記成分(A)及び(C)又は、(A)、(B)および(C)からなる、本発明のポリエチレン樹脂組成物の密度は、0.918〜0.940g/cm3の範囲であることが必要であり、好ましくは0.920〜0.936g/cm3であり、より好ましくは0.922〜0.934g/cm3である。
ポリエチレン樹脂組成物の密度が0.918g/cm3より低いと、フィルムの剛性が低くなり、自動製袋機適性が悪化する。また、ポリエチレン樹脂組成物の密度が0.940g/cm3より高いと、フィルムの強度が低下し、透明性も悪化する。
なお、ポリエチレン樹脂組成物のおおよその密度は、成分(A)、(B)および(C)のそれぞれの密度と割合から、加成則に従って算出することができる。
なお、ポリエチレン樹脂組成物のおおよその密度は、成分(A)、(B)および(C)のそれぞれの密度と割合から、加成則に従って算出することができる。
2.MFR
上記成分(A)、(B)および(C)からなる、本発明のポリエチレン樹脂組成物のMFRは、0.4〜5.0g/10分の範囲であることが必要であり、好ましくは0.5〜4.0g/10分、より好ましくは0.6〜3.0g/10分である。MFRが0.4g/10分より低いと、流動性が悪く、押出機のモーター負荷が高くなりすぎ、一方、MFRが5.0g/10分より大きくなると、バブルが安定せず、成形し難くなると共に、フィルムの強度が低くなる。
なお、ポリエチレン樹脂組成物のおおよそのMFRは、成分(A)、(B)および(C)のそれぞれのMFRと割合から、加成則に従って算出することができる。
上記成分(A)、(B)および(C)からなる、本発明のポリエチレン樹脂組成物のMFRは、0.4〜5.0g/10分の範囲であることが必要であり、好ましくは0.5〜4.0g/10分、より好ましくは0.6〜3.0g/10分である。MFRが0.4g/10分より低いと、流動性が悪く、押出機のモーター負荷が高くなりすぎ、一方、MFRが5.0g/10分より大きくなると、バブルが安定せず、成形し難くなると共に、フィルムの強度が低くなる。
なお、ポリエチレン樹脂組成物のおおよそのMFRは、成分(A)、(B)および(C)のそれぞれのMFRと割合から、加成則に従って算出することができる。
3.その他の配合物等
本発明においては、本発明の特徴を本質的に損なわない範囲において、必要に応じ、帯電防止剤、酸化防止剤、ブロッキング防止、核剤、滑剤、防曇剤、有機あるいは無機顔料、紫外線防止剤、分散剤などの公知の添加剤を、添加することができる。
本発明においては、本発明の特徴を本質的に損なわない範囲において、必要に応じ、帯電防止剤、酸化防止剤、ブロッキング防止、核剤、滑剤、防曇剤、有機あるいは無機顔料、紫外線防止剤、分散剤などの公知の添加剤を、添加することができる。
4.樹脂組成物のMT(溶融張力)及びポリエチレン樹脂組成物の製造条件
なお、上記のエチレン・α−オレフィン共重合体(A)と分岐状低密度ポリエチレン(C)、又はエチレン・α−オレフィン共重合体(A)、エチレン・α−オレフィン共重合体(B)、分岐状低密度ポリエチレン(C)と、更に必要に応じて、添加又は配合される各種の添加剤及び樹脂成分を、ヘンシェルミキサー、スーパーミキサー、タンブラー型ミキサー等を用いて混合したのみでは、本発明の特定の分岐状低密度ポリエチレン(C)を少量添加した系においては樹脂の溶融張力が不足し成形性や透明性に問題が生じる。
なお、上記のエチレン・α−オレフィン共重合体(A)と分岐状低密度ポリエチレン(C)、又はエチレン・α−オレフィン共重合体(A)、エチレン・α−オレフィン共重合体(B)、分岐状低密度ポリエチレン(C)と、更に必要に応じて、添加又は配合される各種の添加剤及び樹脂成分を、ヘンシェルミキサー、スーパーミキサー、タンブラー型ミキサー等を用いて混合したのみでは、本発明の特定の分岐状低密度ポリエチレン(C)を少量添加した系においては樹脂の溶融張力が不足し成形性や透明性に問題が生じる。
本発明のポリエチレン樹脂組成物は、そこで所定以上の溶融張力(MT)を有するまで、樹脂成分を溶融混練して得られた樹脂組成物であることを特徴とする。すなわち、(p−3)樹脂組成物のMT(溶融張力)が3.5g以上であることを必要とし、好ましくは3.8g以上、更に好ましくは4.0g以上である。上限は特に限定されないが、通常8.0g以下である。
更に、溶融張力を3.5g以上とするための、そのための好ましい具体的製造方法としては、上記のエチレン・α−オレフィン共重合体(A)、分岐状低密度ポリエチレン(C)、好ましくは更にエチレン・α−オレフィン共重合体(B)、必要に応じて、添加又は配合される各種の添加剤及び樹脂成分を、ヘンシェルミキサー、スーパーミキサー、タンブラー型ミキサー等を用いて混合した後、二軸押出機で特定の条件下加熱混練し、ペレット化したものを用いる。
すなわち、具体的には二軸押出機により樹脂最高温度が200℃以上となる条件下、スクリュー回転数250rpm以上、樹脂圧力250MPa以上となる条件下で、更に好ましくは押出機を通過する時間の指標として、35mmφの二軸押出機で吐出量が10kg/時間以上となる条件で溶融混練する製造方法が挙げられる。
樹脂組成物の溶融張力(MT)は、例えば、東洋精機製作所製のキャピログラフを用いて、シリンダー温度190℃、オリフィスL/D=8.1/2.095(mm)、ピストンスピード10mm/分、引取速度4.0m/分の条件下で得られた値(g)を用いる。
すなわち、具体的には二軸押出機により樹脂最高温度が200℃以上となる条件下、スクリュー回転数250rpm以上、樹脂圧力250MPa以上となる条件下で、更に好ましくは押出機を通過する時間の指標として、35mmφの二軸押出機で吐出量が10kg/時間以上となる条件で溶融混練する製造方法が挙げられる。
樹脂組成物の溶融張力(MT)は、例えば、東洋精機製作所製のキャピログラフを用いて、シリンダー温度190℃、オリフィスL/D=8.1/2.095(mm)、ピストンスピード10mm/分、引取速度4.0m/分の条件下で得られた値(g)を用いる。
III.ポリエチレン樹脂組成物の用途
本発明のポリエチレン樹脂組成物を用いて、成形したポリエチレンフィルムは、耐衝撃性に優れ、腰が強く、かつ透明性に優れるため、自動製袋機適性に優れ、特に大量生産に適し、紙袋の内袋やゴミ袋など寸法規格の定まった規格袋などの材料として使用される。
本発明のポリエチレン樹脂組成物を用いて、成形したポリエチレンフィルムは、耐衝撃性に優れ、腰が強く、かつ透明性に優れるため、自動製袋機適性に優れ、特に大量生産に適し、紙袋の内袋やゴミ袋など寸法規格の定まった規格袋などの材料として使用される。
フィルムの透明性を表す指標の一つとして、ヘイズ値(Haze)があり、この値が小さいほど透明性が良好である。透明性を必要とする用途においては、より高透明なフィルムがより好まれる。
本発明のポリエチレン樹脂組成物を用いて成形した、本発明に係るインフレーションフィルムは、このヘイズ値が7%以下、好ましくは5%以下である。
本発明のポリエチレン樹脂組成物を用いて成形した、本発明に係るインフレーションフィルムは、このヘイズ値が7%以下、好ましくは5%以下である。
本発明におけるインフレーションフィルムは、MD方向の1%引張変形時荷重の値が1.0N以上であり、好ましくは1.05N以上である。1%引張変形時荷重の値が低すぎると、腰が柔らかくなり、また、自動包装適性や開口性などのハンドリング性に劣るため、好ましくない。
本発明のインフレーションフィルムは、1%引張変形時荷重の値が十分高いため、厚みが薄くなっても腰が強く、自動包装適性や開口性に優れ、フィルムの薄肉化達成のための基礎的な要件を具備している。
本発明のインフレーションフィルムは、1%引張変形時荷重の値が十分高いため、厚みが薄くなっても腰が強く、自動包装適性や開口性に優れ、フィルムの薄肉化達成のための基礎的な要件を具備している。
本発明におけるインフレーションフィルムは、厚み25μmのフィルムを成形した際に、ダートインパクト強度が43g以上、好ましくは50g以上、より好ましくは70gであるフィルムを形成することができる。
<フィルム成形方法>
本発明のインフレーションフィルムは、インフレーション成形により成形されるが、インフレーション成形機の仕様や成形条件には、特に限定されず、従来から公知の方法や条件をとることができる。例えば、押出機の口径は、直径10〜600mm、好ましくは20〜300mm、さらに好ましくは25〜200mmであり、口径Dとホッパ下からシリンダー先端までの長さLの比L/Dが8〜45、好ましくは12〜36である。
ダイは、インフレーション成形に一般に用いられている形状のものであり、例えば、スパイダー型、スパイラル型、スタッキング型等の流路形状を持ち、口径は1〜5000mm、好ましくは5〜3000mm、さらに好ましくは10〜1800mmである。
バブルの冷却は、一般に用いられるエアリングを使用し、その冷却気体には公知のものを用いることが出来、さらに、その温度をチラー等により冷却したり、ヒーター等で加温したりすることが出来る。また、バブル冷却は、外部のエアリングから冷却風を当てたり、内部に冷却気体を循環させたりする公知の方法を用いることが出来る。エアリングもその形状や数に限定されず、シングルスリットタイプやデュアルスリット、チャンバーのついたもの等公知のものを1つまたは複数設けることが出来る。
成形条件としては、ダイから押し出された樹脂は、温度が140〜260℃、好ましくは180〜240℃の範囲にあり、吐出量とダイ形状により決定される平均吐出速度は、1mm/min〜10m/min、好ましくは5mm/min〜5m/min、さらに好ましくは10mm/min〜1m/minである。ダイを出たバブルは、内部の気体により膨張させられ、そのバブルの直径とダイ口径の比で表されるBURが1.0〜4.5、好ましくは1.5〜3.5の範囲にあり、引き取り速度とダイから押し出された時の平均流速の比で表されるTURが2.0〜200、好ましくは10〜100の範囲にあるような成形条件により成形することができる。このバブルは、冷却固化され、ダイの出口からバブルが固化するまでのフロストライン高さは、製膜速度やフィルム厚みにより変化するが、5〜1800mm、好ましくは10〜1200mm、さらに好ましくは20〜800mmの範囲にある。
本発明のインフレーションフィルムは、インフレーション成形により成形されるが、インフレーション成形機の仕様や成形条件には、特に限定されず、従来から公知の方法や条件をとることができる。例えば、押出機の口径は、直径10〜600mm、好ましくは20〜300mm、さらに好ましくは25〜200mmであり、口径Dとホッパ下からシリンダー先端までの長さLの比L/Dが8〜45、好ましくは12〜36である。
ダイは、インフレーション成形に一般に用いられている形状のものであり、例えば、スパイダー型、スパイラル型、スタッキング型等の流路形状を持ち、口径は1〜5000mm、好ましくは5〜3000mm、さらに好ましくは10〜1800mmである。
バブルの冷却は、一般に用いられるエアリングを使用し、その冷却気体には公知のものを用いることが出来、さらに、その温度をチラー等により冷却したり、ヒーター等で加温したりすることが出来る。また、バブル冷却は、外部のエアリングから冷却風を当てたり、内部に冷却気体を循環させたりする公知の方法を用いることが出来る。エアリングもその形状や数に限定されず、シングルスリットタイプやデュアルスリット、チャンバーのついたもの等公知のものを1つまたは複数設けることが出来る。
成形条件としては、ダイから押し出された樹脂は、温度が140〜260℃、好ましくは180〜240℃の範囲にあり、吐出量とダイ形状により決定される平均吐出速度は、1mm/min〜10m/min、好ましくは5mm/min〜5m/min、さらに好ましくは10mm/min〜1m/minである。ダイを出たバブルは、内部の気体により膨張させられ、そのバブルの直径とダイ口径の比で表されるBURが1.0〜4.5、好ましくは1.5〜3.5の範囲にあり、引き取り速度とダイから押し出された時の平均流速の比で表されるTURが2.0〜200、好ましくは10〜100の範囲にあるような成形条件により成形することができる。このバブルは、冷却固化され、ダイの出口からバブルが固化するまでのフロストライン高さは、製膜速度やフィルム厚みにより変化するが、5〜1800mm、好ましくは10〜1200mm、さらに好ましくは20〜800mmの範囲にある。
以下に実施例を挙げて、本発明を更に具体的に説明するが、本発明は、その要旨を超えない限り、これらの実施例に制約されるものではない。なお、実施例で用いた物性測定方法などは、以下の通りである。
[物性測定法]
(1)メルトフローレート(MFR):
JIS K7210に準拠して、190℃、21.18N(2.16kg)荷重の条件で測定した。
(2)密度:
ペレットを熱プレスして、2mm厚のプレスシートを作成し、該シートを1000ml容量のビーカーに入れ蒸留水を満たし、時計皿で蓋をしてマントルヒーターで加熱した。蒸留水が沸騰してから60分間煮沸後、ビーカーを木製台の上に置き放冷した。この時60分煮沸後の沸騰蒸留水は500mlとし室温になるまでの時間は60分以下にならないように調整した。また、試験シートは、ビーカー及び水面に接しないように水中のほぼ中央部に浸漬した。シートを23℃、湿度50%の条件で、16時間以上24時間以内でアニーリングを行った後、縦横2mmになるように打ち抜き、試験温度23℃で、JIS K7112に準拠して、測定した。
(3)溶融張力(MT):
東洋精機製作所製のキャピログラフを用いて、シリンダー温度190℃、オリフィスL/D=8.1/2.095(mm)、ピストンスピード10mm/分、引取速度4.0m/分の条件下で、溶融張力(MT)の測定を行った。
(1)メルトフローレート(MFR):
JIS K7210に準拠して、190℃、21.18N(2.16kg)荷重の条件で測定した。
(2)密度:
ペレットを熱プレスして、2mm厚のプレスシートを作成し、該シートを1000ml容量のビーカーに入れ蒸留水を満たし、時計皿で蓋をしてマントルヒーターで加熱した。蒸留水が沸騰してから60分間煮沸後、ビーカーを木製台の上に置き放冷した。この時60分煮沸後の沸騰蒸留水は500mlとし室温になるまでの時間は60分以下にならないように調整した。また、試験シートは、ビーカー及び水面に接しないように水中のほぼ中央部に浸漬した。シートを23℃、湿度50%の条件で、16時間以上24時間以内でアニーリングを行った後、縦横2mmになるように打ち抜き、試験温度23℃で、JIS K7112に準拠して、測定した。
(3)溶融張力(MT):
東洋精機製作所製のキャピログラフを用いて、シリンダー温度190℃、オリフィスL/D=8.1/2.095(mm)、ピストンスピード10mm/分、引取速度4.0m/分の条件下で、溶融張力(MT)の測定を行った。
[フィルムの評価方法]
(1)ダートドロップインパクト:
ASTM D1709に準じた試験機のホルダーに、フィルムを固定し、38.1mmφの半球型貫通部で打撃して、ダートドロップインパクトを測定した。
(2)引張弾性率:
JIS K7127−1999に準拠して、フィルムの加工方向(MD方向)とフィルムの幅方向(TD方向)の1%変形したときの引張弾性率を測定した。
(3)1%引張変形時荷重:
JIS K7127−1999に準拠して、フィルムの加工方向(MD方向)とフィルムの幅方向(TD方向)を引張り、1%変形したときの荷重(N)を測定した。
(4)透明性(ヘイズ):
JIS K7105−1981に準拠して、測定した。この値が小さいほど、透明性に優れていることを示す。
(1)ダートドロップインパクト:
ASTM D1709に準じた試験機のホルダーに、フィルムを固定し、38.1mmφの半球型貫通部で打撃して、ダートドロップインパクトを測定した。
(2)引張弾性率:
JIS K7127−1999に準拠して、フィルムの加工方向(MD方向)とフィルムの幅方向(TD方向)の1%変形したときの引張弾性率を測定した。
(3)1%引張変形時荷重:
JIS K7127−1999に準拠して、フィルムの加工方向(MD方向)とフィルムの幅方向(TD方向)を引張り、1%変形したときの荷重(N)を測定した。
(4)透明性(ヘイズ):
JIS K7105−1981に準拠して、測定した。この値が小さいほど、透明性に優れていることを示す。
[インフレーションフィルムの成形条件および成形性評価法]
以下の50mmφ押出機を有するインフレーションフィルム製膜機(成形装置)を用いて、下記の成形条件で、インフレーションフィルムを成形し、評価した。
装置:インフレーション成形装置(MK50型 三菱重工(株)製)
押出機スクリュー径:50mmφ
ダイ径:75mmφ
押出量:20kg/hr
ダイス出口の剪断速度:20sec−1
ダイリップギャップ:3.0mm
引取速度:40m/分
ブローアップ比:2.0
成形樹脂温度:190℃
フィルム厚み:25μm、30μm
冷却リング:2段式風冷リング
フロストライン高さ:約200〜300mm
以下の50mmφ押出機を有するインフレーションフィルム製膜機(成形装置)を用いて、下記の成形条件で、インフレーションフィルムを成形し、評価した。
装置:インフレーション成形装置(MK50型 三菱重工(株)製)
押出機スクリュー径:50mmφ
ダイ径:75mmφ
押出量:20kg/hr
ダイス出口の剪断速度:20sec−1
ダイリップギャップ:3.0mm
引取速度:40m/分
ブローアップ比:2.0
成形樹脂温度:190℃
フィルム厚み:25μm、30μm
冷却リング:2段式風冷リング
フロストライン高さ:約200〜300mm
[使用原料]
実施例で使用した原料は、下記の通りである。なお、密度の単位はg/cm3、MFRの単位はg/10分である。
(1)エチレン・α−オレフィン共重合体(A):
LL−1: 密度0.936、MFR1.5のエチレン・ブテン−1共重合体
LL−2: 密度0.920、MFR1.0のエチレン・ブテン−1共重合体
LL−3: 密度0.956、MFR0.8のエチレン・ブテン−1共重合体
(2)エチレン・α−オレフィン共重合体(B):
VL−1: 密度0.906、MFR1.0、Q値=重量平均分子量と数平均分子量との比=2.2のメタロセン系エチレン・ヘキセン−1共重合体
VL−2: 密度0.906、MFR1.0、Q値=3.7のメタロセン系エチレン・ヘキセン−1共重合体
VL−3: 密度0.880、MFR2.2、Q値=2.2のメタロセン系エチレン・ヘキセン−1共重合体
(3)分岐状低密度ポリエチレン(C):
LD−1: 密度0.920、MFR0.3、MT=17.0 高圧ラジカル重合法低密度ポリエチレン
LD−2: 密度0.925、MFR3.0、MT=3.8 高圧ラジカル重合法低密度ポリエチレン
実施例で使用した原料は、下記の通りである。なお、密度の単位はg/cm3、MFRの単位はg/10分である。
(1)エチレン・α−オレフィン共重合体(A):
LL−1: 密度0.936、MFR1.5のエチレン・ブテン−1共重合体
LL−2: 密度0.920、MFR1.0のエチレン・ブテン−1共重合体
LL−3: 密度0.956、MFR0.8のエチレン・ブテン−1共重合体
(2)エチレン・α−オレフィン共重合体(B):
VL−1: 密度0.906、MFR1.0、Q値=重量平均分子量と数平均分子量との比=2.2のメタロセン系エチレン・ヘキセン−1共重合体
VL−2: 密度0.906、MFR1.0、Q値=3.7のメタロセン系エチレン・ヘキセン−1共重合体
VL−3: 密度0.880、MFR2.2、Q値=2.2のメタロセン系エチレン・ヘキセン−1共重合体
(3)分岐状低密度ポリエチレン(C):
LD−1: 密度0.920、MFR0.3、MT=17.0 高圧ラジカル重合法低密度ポリエチレン
LD−2: 密度0.925、MFR3.0、MT=3.8 高圧ラジカル重合法低密度ポリエチレン
[実施例1]
LL−1:85重量%、VL−1:10重量%、LD−1:5重量%とからなるポリエチレン樹脂100重量部を、ミキサーにて混合均質化した。
次に、得られた混合物を二軸押出機にて、樹脂最高温度が230℃、スクリュー回転数270rpm、樹脂圧力270MPa、35mmφの二軸押出機での吐出量が11kg/時間となる条件で溶融混練し、押出し物を固化、造粒した。最終的に得られた粒状のポリエチレン樹脂組成物について、前記した方法でフィルム成形性及びフィルム物性の評価を行った。評価結果を表1に示した。
[実施例2〜7]
実施例1において、エチレン・α−オレフィン共重合体(A)、エチレン・α−オレフィン共重合体(B)及び分岐状低密度ポリエチレン(C)の種類及び配合量を、表1に記載の通り変更した以外は、実施例1と同様にして、ポリエチレン樹脂組成物を調製し、フィルム成形性及びフィルム物性の評価を行った。評価結果を表1に示した。
LL−1:85重量%、VL−1:10重量%、LD−1:5重量%とからなるポリエチレン樹脂100重量部を、ミキサーにて混合均質化した。
次に、得られた混合物を二軸押出機にて、樹脂最高温度が230℃、スクリュー回転数270rpm、樹脂圧力270MPa、35mmφの二軸押出機での吐出量が11kg/時間となる条件で溶融混練し、押出し物を固化、造粒した。最終的に得られた粒状のポリエチレン樹脂組成物について、前記した方法でフィルム成形性及びフィルム物性の評価を行った。評価結果を表1に示した。
[実施例2〜7]
実施例1において、エチレン・α−オレフィン共重合体(A)、エチレン・α−オレフィン共重合体(B)及び分岐状低密度ポリエチレン(C)の種類及び配合量を、表1に記載の通り変更した以外は、実施例1と同様にして、ポリエチレン樹脂組成物を調製し、フィルム成形性及びフィルム物性の評価を行った。評価結果を表1に示した。
[比較例1〜3]
実施例1において、エチレン・α−オレフィン共重合体(A)、エチレン・α−オレフィン共重合体(B)及び分岐状低密度ポリエチレン(C)の種類及び配合量を、表2に記載の通り変更した以外は、実施例1と同様にして、ポリエチレン樹脂組成物を調製し、フィルム成形性及びフィルム物性の評価を行った。評価結果を表2に示した。
[比較例4]
実施例1において、エチレン・α−オレフィン共重合体(A)、エチレン・α−オレフィン共重合体(B)及び分岐状低密度ポリエチレン(C)の種類及び配合量を、表2に記載の通り変更し、更に、実施例1のような溶融混練〜造粒工程を省いて単なるドライブレンドで(A)(B)(C)を混合した以外は、実施例1と同様にして、ポリエチレン樹脂組成物を調製し、フィルム成形性及びフィルム物性の評価を行った。評価結果を表2に示した。
実施例1において、エチレン・α−オレフィン共重合体(A)、エチレン・α−オレフィン共重合体(B)及び分岐状低密度ポリエチレン(C)の種類及び配合量を、表2に記載の通り変更した以外は、実施例1と同様にして、ポリエチレン樹脂組成物を調製し、フィルム成形性及びフィルム物性の評価を行った。評価結果を表2に示した。
[比較例4]
実施例1において、エチレン・α−オレフィン共重合体(A)、エチレン・α−オレフィン共重合体(B)及び分岐状低密度ポリエチレン(C)の種類及び配合量を、表2に記載の通り変更し、更に、実施例1のような溶融混練〜造粒工程を省いて単なるドライブレンドで(A)(B)(C)を混合した以外は、実施例1と同様にして、ポリエチレン樹脂組成物を調製し、フィルム成形性及びフィルム物性の評価を行った。評価結果を表2に示した。
表1、2の評価結果から、明らかなように、ポリエチレン樹脂組成物が本発明の諸要件を満足する実施例1〜7は、ヘーズ値で示されるフィルムの透明性が高く(ヘーズ値が低い方が好ましい)、ダートドロップインパクトで示される衝撃強度、1%引張弾性率及び1%変形時荷重で示される剛性が適度な範囲で保たれている。
その中でも特に、(A)(B)(C)成分を全て必須成分とする実施例1〜6においては、そのうちの実施例5では、エチレン・α−オレフィン共重合体(B)の分子量分布が比較的広めであるため、衝撃強度の改良効果がやや小さいものの、いずれも剛性、衝撃強度、透明性がバランスよく改善されている。
一方、本発明の諸要件の少なくとも一部を欠く比較例1〜4では、剛性、衝撃強度、透明性がバランスよく改善することができない。
例えば、比較例1は、実施例1と同じ(A)(B)(C)成分を用いるが、(C)成分の添加量を、従来一般的にLDPEの添加量として用いていたのと同程度の量用いた場合であるが、かえって、ヘーズ値が悪化し、フィルム透明性が悪いことが確認される。更にこの場合は(C)成分の添加量が多いため、製造コストが高くなる。
また、本願発明の(C)の要件(C−1)(C−2)を満たさないLDPEを用いて、本願発明のように(C)成分の添加量を少量に抑えた場合の比較例2では、やはり、ヘーズ値が悪化し、フィルム透明性が悪いことが確認される。
またさらに、エチレン・α−オレフィン共重合体(A)の密度が規定の密度上限以上である比較例3は、衝撃強度と剛性は良好であるものの、透明性に劣る。
さらに、溶融混練の工程を省いており、樹脂組成物のメルトテンション値が本願発明の範囲にない比較例4においても透明性が改善されず、また成形性も悪い。
例えば、比較例1は、実施例1と同じ(A)(B)(C)成分を用いるが、(C)成分の添加量を、従来一般的にLDPEの添加量として用いていたのと同程度の量用いた場合であるが、かえって、ヘーズ値が悪化し、フィルム透明性が悪いことが確認される。更にこの場合は(C)成分の添加量が多いため、製造コストが高くなる。
また、本願発明の(C)の要件(C−1)(C−2)を満たさないLDPEを用いて、本願発明のように(C)成分の添加量を少量に抑えた場合の比較例2では、やはり、ヘーズ値が悪化し、フィルム透明性が悪いことが確認される。
またさらに、エチレン・α−オレフィン共重合体(A)の密度が規定の密度上限以上である比較例3は、衝撃強度と剛性は良好であるものの、透明性に劣る。
さらに、溶融混練の工程を省いており、樹脂組成物のメルトテンション値が本願発明の範囲にない比較例4においても透明性が改善されず、また成形性も悪い。
本発明によれば、薄くしても耐衝撃性と剛性とのバランスに優れるとともに、透明性にも優れ、自動製袋機適性に優れたポリエチレンフィルムの製造に適したコスト優位性のあるポリエチレン樹脂組成物を提供できる。
Claims (7)
- 少なくとも、エチレン・α−オレフィン共重合体(A)と、分岐状低密度ポリエチレン(C)とを溶融混練し得られるポリエチレン樹脂組成物であって、
該エチレン・α−オレフィン共重合体(A)が、下記(a−1)及び(a−2)の条件を満たし、
(a−1)密度が0.920〜0.945g/cm3、
(a−2)MFRが0.5〜5.0g/10分、
該エチレン・α−オレフィン共重合体(A)の樹脂組成物中の含有量が、60重量%以上98重量%以下であり、
該分岐状低密度ポリエチレン(C)が、下記(c−1)及び(c−2)の条件を全て満たし、
(c−1)密度が0.905〜0.924g/cm3、
(c−2)MFRが0.1〜0.9g/10分、
該分岐状低密度ポリエチレン(C)の樹脂組成物中の含有量が、2重量%以上〜10重量%未満であり、
該樹脂組成物(P)の物性が、下記(p−1)〜(p−3)の条件を全て満たす、
(p−1)密度が0.918〜0.940g/cm3
(p−2)MFRが0.4〜5.0g/10分、
(p−3)溶融張力が3.5g以上、
ことを特徴とするポリエチレン樹脂組成物。 - 該ポリエチレン樹脂組成物が、更に第2のエチレン・α−オレフィン共重合体(B)を含有してなり、
該第2のエチレン・α−オレフィン共重合体(B)が、(b−1)〜(b−3)を全て満たしてなり、かつ、樹脂組成物中のBの含有量が2重量%以上30重量%以下であることを特徴とする請求項1記載のポリエチレン樹脂組成物。
(b−1)密度が0.890〜0.915g/cm3、
(b−2)MFRが0.5〜5.0g/10分
(b−3)Q値が4.0以下 - 該分岐状低密度ポリエチレン(C)が、更に下記(c−3)の条件を満たすことを特徴とする請求項1又は2記載のポリエチレン樹脂組成物。
(c−3)溶融張力(g)が下記式(1)を満たす、
MT>−8.74×logMFR+9 ・・・(1)
- 請求項1〜3のいずれかに記載のポリエチレン樹脂組成物を成形して得られるインフレーションフィルム。
- 少なくとも、エチレン・α−オレフィン共重合体(A)と、分岐状低密度ポリエチレン(C)を含み、下記(a−1)及び(a−2)の条件を満たす前記エチレン・α−オレフィン共重合体(A)に対し、
(a−1)密度が0.920〜0.945g/cm3、
(a−2)MFRが0.5〜5.0g/10分、
下記(c−1)及び(c−2)の条件を全て満たす、前記分岐状低密度ポリエチレン(C)を、
(c−1)密度が0.905〜0.924g/cm3、
(c−2)MFRが0.1〜0.9g/10分、
樹脂組成物中の(A)の含有量が60重量%以上98重量%以下、(C)の含有量が2重量%以上10重量%未満となる量を添加し、二軸押出機により樹脂最高温度が200℃以上、スクリュー回転数250rpm以上、樹脂圧力250MPa以上の条件で溶融混練することを特徴とするポリエチレン樹脂組成物の製造方法。 - 更に、下記(b−1)〜(b−3)の条件を全て満たしてなる第2のエチレン・α−オレフィン共重合体(B)を、該樹脂組成物中の(B)の含有量が2重量以上30重量以下となる量添加して、(A)及び(C)と共に溶融混練することを特徴とする請求項5記載のポリエチレン樹脂組成物の製造方法。
(b−1)密度が0.890〜0.915g/cm3、
(b−2)MFRが0.5〜5.0g/10分
(b−3)Q値が4.0以下 - 該溶融混練して得られたポリエチレン樹脂組成物の、溶融張力が、3.5g以上であることを特徴とする、請求項5又は6記載のポリエチレン樹脂組成物の製造方法。
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