JP7409582B2 - 熱可塑性エラストマー組成物及びその成形体 - Google Patents

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Description

本発明は、熱可塑性エラストマー組成物及びそれよりなる成形体に関するものである。
熱可塑性エラストマーは、熱可塑性樹脂と同様の成形加工性を有すると共に、独特のゴム弾性を有している。熱可塑性樹脂及び熱可塑性エラストマーはリサイクルが可能であることから、自動車部品、建築部品、医療用部品、電線被覆材、食品用部品、包材、雑貨、衣服用品、スポーツ用品等の用途に幅広く用いられている。
例えば、特定の水添ブロック共重合体と40℃における動粘度が100cSt以上である非芳香族系ゴム用軟化剤とポリオレフィン系樹脂を特定の配合割合で配合する熱可塑性エラストマー組成物が知られている(特許文献1)。
特開2000-169666公報
近年、自動車内装空間において、高級感や快適さが求められており、様々なデザインの自動車内装空間が提案されている。また、雑貨等の用途においてもユニバーサルデザインが普及していることから、製品形状が複雑化している。このような用途において、熱可塑性エラストマーには、より良好な成形性が求められている。
また、環境問題への意識の高まりから、自動車用途を中心に材料の軽量化が求められている。同様の観点から加硫ゴム代替として熱可塑性エラストマーの活用も注目されており、良好なゴム弾性を有することが特に重要視されている。
更に、幅広い用途で使用される熱可塑性エラストマーは様々な温度環境で使用されるため、低沸分の揮発による重量減少やブリードアウトが懸念されている。
このような中、特許文献1に記載の熱可塑性エラストマー組成物は、一定の条件では耐ブリードアウト性が不十分であり、改良の余地があった。
本発明は、このような従来の課題に鑑みてなされたものであり、良好な成形性とゴム弾性を有するだけではなく、樹脂の軽量化が可能であり、耐ブリードアウト性にも優れた熱可塑性エラストマー組成物及びその成形体を提供することを目的とする。
本発明者は、特定の成分(A)と成分(B)と成分(C)を含む熱可塑性エラストマー組成物が上記課題を解決し得ることを見出した。
即ち、本発明の要旨は以下の通りである。
[1] 下記成分(A)~成分(C)を含み、かつ、前記成分(C)の40℃における動粘度が20cSt以上8000cSt以下である、熱可塑性エラストマー組成物。
成分(A):熱可塑性樹脂
成分(B):エラストマー
成分(C):イソアルカン混合物
[2] 前記成分(C)の40℃における動粘度が20cSt以上3000cSt以下である、[1]に記載の熱可塑性エラストマー組成物。
[3] 下記成分(A)~成分(C)を含み、かつ、前記成分(C)をFD-MSで測定して得られるマススペクトルより特定される主要な構成単位が、分子式C1634及びC1632の少なくとも一方で表される熱可塑性エラストマー組成物。
成分(A):熱可塑性樹脂
成分(B):エラストマー
成分(C):イソアルカン混合物
[4] 前記成分(C)が、主成分として、前記成分(C)をFD-MSで測定して得られるマススペクトルより特定される分子式C4896及びC4898で表される化合物のうち、少なくとも一方を含有する、[3]に記載の熱可塑性エラストマー組成物。
[5] 下記成分(A)~成分(C)を含み、かつ、前記成分(C)が、主成分として、FD-MSで測定して得られるマススペクトルより特定される分子式C2n+2及びC2n(40≦n<60)で表される化合物のうち、少なくとも一方を含有する、イソアルカン混合物である熱可塑性エラストマー組成物。
成分(A):熱可塑性樹脂
成分(B):エラストマー
成分(C):イソアルカン混合物
[6] 前記成分(C)が、更に、前記成分(C)をFD-MSで測定して得られるマススペクトルより特定される分子式C2n+2及びC2n(30≦n<40)で表される化合物のうち、少なくとも一方を含有する、[5]に記載の熱可塑性エラストマー組成物。
[7] 前記成分(C)が、更に、前記成分(C)をFD-MSで測定して得られるマススペクトルより特定される分子式C2n+2及びC2n(60≦n≦80)で表される化合物のうち、少なくとも一方を含有する、[5]に記載の熱可塑性エラストマー組成物。
[8] 前記成分(C)が、更に、前記成分(C)をFD-MSで測定して得られるマススペクトルより特定される分子式C2n+2及びC2n(30≦n<40)で表される化合物のうちの少なくとも一方と、分子式C2n+2及びC2n(60≦n≦80)で表される化合物のうちの少なくとも一方とを含有する、[5]に記載の熱可塑性エラストマー組成物。
[9] 前記成分(C)がバイオマス材料由来である、[1]~[8]のいずれかに記載の記載の熱可塑性エラストマー組成物。
[10] ASTM D 6866-22に準拠するバイオマス度が1%以上100%以下である、[9]に記載の熱可塑性エラストマー組成物
[11] 前記成分(A)の熱可塑性樹脂がオレフィン系樹脂及びエステル系樹脂のいずれか1種類以上を含む、[1]~[10]のいずれかに記載の熱可塑性エラストマー組成物。
[12] 前記成分(B)のエラストマーがオレフィン系エラストマー、スチレン系エラストマー及びポリエステル系エラストマーのいずれか1種類以上を含む、[1]~[11]のいずれかに記載の熱可塑性エラストマー組成物。
[13] 前記成分(B)100質量部に対して、前記成分(C)を10質量部以上400質量部以下含む、[1]~[12]のいずれかに記載の熱可塑性エラストマー組成物。
[14] 前記成分(C)の流動点が-50℃以上0℃以下である、[1]~[13]のいずれかに記載の熱可塑性エラストマー組成物。
[15] 前記成分(C)が、側鎖アルキル基を有するイソアルカンを含む、[1]~[14]のいずれかに記載の熱可塑性エラストマー組成物。
[16] 前記アルキル基が炭素数1~18のアルキル基である、[15]に記載の熱可塑性エラストマー組成物。
[17] 前記アルキル基がメチル基である、[16]に記載の熱可塑性エラストマー組成物。
[18] 更に成分(C)以外のゴム用炭化水素系軟化剤を含有する、[1]~[17]のいずれかに記載の熱可塑性エラストマー組成物。
[19] 前記成分(C)と前記ゴム用炭化水素系軟化剤の含有量の合計に対して、成分(C)の含有率が1質量%以上99質量%以下である、[18]に記載の熱可塑性エラストマー組成物。
[20] [1]~[19]のいずれかに記載の熱可塑性エラストマー組成物を用いた成形体。
本発明によれば、良好な成形性とゴム弾性を有するだけではなく、樹脂の軽量化が可能であり、耐ブリードアウト性にも優れた熱可塑性エラストマー組成物及びその成形体を提供することができる。
本発明の熱可塑性樹脂組成物及びその成形体は、自動車部品、建築部品、医療用部品、食品用部品、包材、雑貨、衣服用品、スポーツ用品等、幅広い用途に用いることが期待される。
FD-MSスペクトルの一例を示すチャートである。 FD-MSスペクトルの他の例を示すチャートである。 FD-MSスペクトルの別の例を示すチャートである。
以下に本発明の実施の形態を詳細に説明する。以下に記載する構成要件の説明は、本発明の実施態様の一例であり、本発明はその要旨を超えない限り、以下の内容に限定されない。
本明細書において「~」という表現を用いる場合、その前後に記載される数値あるいは物性値を含む意味で用いることとする。また、上限、下限として記載した数値あるいは物性値は、その値を含む意味で用いることとする。
〔熱可塑性エラストマー組成物〕
本発明の熱可塑性エラストマー組成物は、下記成分(A)~成分(C)を含むものである。
成分(A):熱可塑性樹脂(以下、「熱可塑性樹脂(A)」と称す場合がある。)
成分(B):エラストマー(以下、「エラストマー(B)」と称す場合がある。)
成分(C):イソアルカン混合物(以下、「イソアルカン混合物(C)」と称す場合がある。)
本発明の第1の実施形態に係る熱可塑性エラストマー組成物は、前記成分(C)の40℃における動粘度が20cSt以上8000cSt以下であることを特徴とする。
本発明の第2の実施形態に係る熱可塑性エラストマー組成物は、前記成分(C)をFD-MSで測定して得られるマススペクトルより特定される主要な構成単位が、分子式C1634及びC1632の少なくとも一方で表されることを特徴とする。
本発明の第3の実施形態に係る熱可塑性エラストマー組成物は、前記成分(C)が、主成分として、FD-MSで測定して得られるマススペクトルより特定される分子式C2n+2及びC2n(40≦n<60)で表される化合物のうち、少なくとも一方を含有することを特徴とする。
上記の各実施形態における成分(C)の構成は、それぞれ単独で満足すれば、各実施形態の条件を満足するものであり、その他の実施態様の構成は、好ましいものとしての意味をもつものである。すなわち、第1の実施形態における成分(C)は、第2の実施形態における条件および第3の実施形態における条件の少なくとも一方を満足することが好ましく、これらの両方の条件を満足することがより好ましい。また、第2の実施形態及び第3の実施形態のそれぞれにおいても、他の実施形態の条件は同様にして好ましい条件としての意味をもつものである。
[メカニズム]
本発明の熱可塑性エラストマー組成物によれば、良好な成形性を有するだけでなく、樹脂の軽量化を図ることができる。本発明の熱可塑性エラストマー組成物によれば、また、良好なゴム弾性を有し、耐ブリードアウト性にも優れた成形体を得ることができる。
本発明の熱可塑性エラストマー組成物がこのような効果を奏する理由の詳細は定かではないが、以下のように推察される。
本発明の熱可塑性エラストマー組成物は、熱可塑性樹脂(A)及びエラストマー(B)と共に、40℃における動粘度が特定の範囲内のイソアルカン混合物(C)、或いは、FD-MSで測定して得られるマススペクトルより特定される特定の特徴を有するイソアルカン混合物(C)を含有することで、エラストマー(B)とイソアルカン混合物(C)との絡み合いにより、エラストマー(B)とイソアルカン混合物(C)との親和性が上がり、エラストマー(B)の可塑化が促され、成形性、耐ブリードアウト性、ゴム弾性に優れた成形体を得ることができると推測される。また、イソアルカン混合物(C)は、アルカン類なので、比重が軽く、熱可塑性エラストマー組成物の低比重化も可能となる。イソアルカン混合物(C)が、更に側鎖アルキル基、好ましくは炭素数1~18の側鎖アルキル基を有することで、上記したエラストマー(B)とイソアルカン混合物(C)の絡み合い効果を得やすくなり、安定した流動性を有し、耐熱性やその他機械的強度に優れた成形体を得やすくなる。
イソアルカン混合物(C)がFD-MSで測定して得られるマススペクトルより特定される特定の特徴を有することは、低粘度成分の含有量が従来公知のゴム用軟化剤と比較して少ないことを意味しており、耐ブリードアウト性に優れた成形体を得やすくなると考えられる。同様に高粘度量成分も従来公知のゴム用軟化剤と比較して少ないことを意味しており、エラストマー(B)とイソアルカン混合物(C)の親和性向が上がり、成形性、ゴム弾性に優れた成形体を得ることができると推察できる。
[成分(A):熱可塑性樹脂]
成分(A)の熱可塑性樹脂としては、公知の熱可塑性樹脂を使用することができる。例えば、プロピレン系重合体、エチレン系重合体等のオレフィン系樹脂;ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のエステル系樹脂;ナイロン6、ナイロン66等のアミド系樹脂;ポリスチレン等のスチレン系樹脂;ポリメチルメタクリレート等のアクリル系樹脂;ポリカーボネート等のカーボネート系樹脂;ポリオキシメチレンコポリマー等のポリオキシメチレン系樹脂;ポリフェニレンエーテル系樹脂;ポリ塩化ビニル系樹脂等が挙げられる。これらの熱可塑性樹脂のうち、軽量性や機械特性の観点から、オレフィン系樹脂、エステル系樹脂が好ましい。
これらの熱可塑性樹脂は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
これらの熱可塑性樹脂の分子量は特に定めることはないが、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)により測定される重量平均分子量が500~1,500,000の樹脂を含むことが好ましい。この重量平均分子量は、1,000~1,000,000であることがより好ましく、2,000~500,000であることが更に好ましい。
成分(A)の熱可塑性樹脂のうち、プロピレン系重合体としては、例えば、プロピレン単独重合体、ポリプロピレンとエチレン又はブテン-1、ヘキセン-1等のα-オレフィンとのランダム又はブロック共重合体であるプロピレン系共重合体が挙げられる。
プロピレン系重合体のメルトフローレート(JIS K7210、230℃、21.2N荷重)は、特に定めることはないが、通常0.05~200g/10分であり、0.05~100g/10分であることが好ましく、0.1~80g/10分であることがより好ましい。メルトフローレートを上記範囲とすることで、成形性に優れ、得られる成形体の外観が良好となり、また機械的特性、特に引張破壊強さを所望の範囲に制御することができる。
プロピレン系重合体は市販の該当品を用いることも可能である。
市販のポリプロピレンとしては下記に挙げる製造者等から調達可能であり、適宜選択することができる。
入手可能な市販品としては、日本ポリプロ社のノバテック(登録商標)PP、プライムポリマー社のPrime Polypro(登録商標)、住友化学社の住友ノーブレン(登録商標)、サンアロマー社のポリプロピレンブロックコポリマー、LyondellBasell社のMoplen(登録商標)、Circluen、ExxonMobil社のExxonMobil PP、Formosa Plastics社のFormolene(登録商標)、Borealis社のBorealis PP、LG Chemical社のSEETEC PP、A.Schulman社のASI POLYPROPYLENE、INEOS Olefins&Polymers社のINEOS PP、Braskem社のBraskem PP、SAMSUNG TOTAL PETROCHEMICALS社のSumsung Total、Sabic社のSabic(登録商標)PP、TOTAL PETROCHEMICALS社のTOTAL PETROCHEMICALS Polypropylene、SK社のYUPLENE(登録商標)等がある。
成分(A)の熱可塑性樹脂のうち、エチレン系重合体としては、例えば、高密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレンが挙げられる。
エチレン系重合体はJIS K7112によって測定された密度が0.910g/cm以上1.00g/cm以下であるものが、機械強度とゴム弾性の両立の観点から好ましい。
エチレン系重合体のメルトフローレート(JIS K7210、190℃、21.2N荷重)は、特に定めることはないが、通常0.05~200g/10分であり、0.05~100g/10分であることが好ましく、0.1~80g/10分であることがより好ましい。メルトフローレートを上記範囲とすることで、成形性に優れ、得られる成形体の外観が良好となり、また機械的特性、特に引張破壊強さを所望の範囲に制御することができる。
エチレン系重合体は市販の該当品を用いることも可能である。
市販のエチレン系重合体としては下記に挙げる製造者等から調達可能であり、適宜選択することができる。
入手可能な市販品としては、日本ポリエチレン社のノバテック(登録商標)、住友化学社のスミカセン(登録商標)、プライムポリマー社のハイゼックス(登録商標)、ネオゼックス(登録商標)、ウルトゼックス(登録商標)、宇部丸善ポリエチレン社のUBEポリエチレン(登録商標)、旭化成社のサンテック(登録商標)、クレオレックス(登録商標)、サウディ石油化学社のSABIC(登録商標)、Braskem社のバイオポリエチレン等がある。
[成分(B):エラストマー]
エラストマーとしては、エチレン・プロピレン・共重合ゴム(EPM)、エチレン・プロピレン・非共役ジエン共重合ゴム(EPDM)、エチレン・ブテン共重合ゴム(EBM)、エチレン・プロピレン・ブテン共重合ゴム等を1種又は複数種含んだオレフィン系エラストマー、スチレン・ブタジエン・スチレン共重合体(SBS)、スチレン・エチレン・ブチレン・スチレン共重合体(SEBS)等を1種又は複数種含んだスチレン系エラストマー;ポリブチレンテレフタレート・ポリテトラメチレンエーテルグリコール共重合体(PBT・PTMG)等を1種又は複数種含んだポリエステル系エラストマー;ポリアミド系エラストマー;ポリウレタン系エラストマー;ポリ塩化ビニル系エラストマー;ポリブタジエン系エラストマー;及びこれらの水添物や、酸無水物等により変性して極性官能基を導入させたもの;更に他の単量体をグラフト、ランダム及び/又はブロック共重合させたもの等が挙げられる。
これらのエラストマーは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
上記エラストマーの中でも、軽量性や機械特性の観点から、オレフィン系エラストマー、スチレン系エラストマー、ポリエステル系エラストマーが好ましい。また、成分(C)との相互作用の観点から、オレフィン系エラストマー、スチレン系エラストマーがより好ましい。
オレフィン系エラストマーとしては、ムーニー粘度ML1+4(125℃)が30~300のエチレン・プロピレン系共重合体エラストマーが好ましく、特にエチレン・プロピレン・非共役ジエン共重合ゴム(EPDM)が好ましい。前記EPDMとしては、予めオイルを含有した油展タイプであっても、オイルを含有してない非油展タイプであってもよく、これらの併用であってもよい。オイルを予め含有してない非油展タイプのEPDMは経済的に安価である。一方で油展タイプのEPDMは、機械特性や成形性を向上させる傾向がある。上記したとおり、いずれのタイプのEPDMでも、オイルを含有した状態でのムーニー粘度ML1+4(125℃)が30~100、特に35~80の状態で使用することが好適である。
上記の非共役ジエンとしては、ジシクロペンタジエン、1,4-ヘキサジエン、シクロオクタジエン、メチレンノルボルネン、エチリデンノルボルネン等が挙げられる。非共役ジエンとしては特にエチリデンノルボルネンが好ましい。
オレフィン系エラストマーの好ましい具体例としては、エチレン単位の含有率が55~75質量%、非共役ジエン単位の含有率が1~10質量%のEPDMが挙げられる。エチレン単位の含有率を55質量%以上とすることで押出成形性を良好としやすく、75質量%以下とすることで柔軟性を維持しやすい傾向にある。
このようなオレフィン系エラストマーとしては市販品を用いることができる。
市販品としては、具体的には、ENEOSマテリアル社製「イーピーラバー」、三井化学社製「三井EPT」、住友化学社製「エスプレン(登録商標)」、ARLANXEO社製「Keltan(登録商標)」、「Keltan(登録商標)Eco」、DOW CHEMICAL社製「NORDEL(登録商標)」、KUMHO POLYCHEM社製「KEP」が挙げられる。
スチレン系エラストマーとしては、少なくとも1個の芳香族ビニル化合物単位を主体とする重合ブロックP(以下、単に「ブロックP」と称す場合がある。)と、少なくとも1個の共役ジエン化合物単位を主体とする重合体ブロックQ(以下、単に「ブロックQ」と称す場合がある。)とを有するブロック共重合体及び/又はその水素添加物(以下「(水添)ブロック共重合体」と称す場合がある。)が好ましい。
ここで「主体とする」とは、当該ブロックを構成する単量体単位の含有率が50モル%以上であることを意味する。
ブロックPを構成する芳香族ビニル化合物としては、特に限定されず、例えば、スチレン、α-メチルスチレン、p-メチルスチレン、ジビニルベンゼン、1,1-ジフェニルエチレン、N,N-ジメチル-p-アミノエチルスチレン、N,N-ジエチル-p-アミノエチルスチレンが挙げられる。これらの中でも、入手性及び生産性の観点から、スチレン、α-メチルスチレン、p-メチルスチレンが好ましく用いられる。より好ましくはスチレンである。
ブロックPは、1種の芳香族ビニル化合物単位で構成されていてもよいし、2種以上の芳香族ビニル化合物単位から構成されていてもよい。ブロックPには、ビニル芳香族化合物単位以外の単量体単位が含まれていてもよい。
ブロックQを構成する共役ジエン化合物とは、1対の共役二重結合を有するジオレフィンであり、以下に限定されないが、例えば、1,3-ブタジエン、2-メチル-1,3-ブタジエン(イソプレン)、2,3-ジメチル-1,3-ブタジエン、1,3-ペンタジエン、2-メチル-1,3-ペンタジエン、1,3-ヘキサジエンが挙げられる。これらの中でも、生産性の観点から、1,3-ブタジエン、イソプレンが好ましく用いられる。より好ましくは1,3-ブタジエンである。
ブロックQは、1種の共役ジエン化合物単位で構成されていてもよいし、2種以上の共役ジエン化合物単位から構成されていてもよい。ブロックQには、共役ジエン化合物単位以外の単量体単位が含まれていてもよい。
このようなスチレン系エラストマーとしては、市販品を用いることもできる。
市販品としては、具体的には、クレイトンポリマー社製「クレイトン(登録商標)G」、クラレ社製「セプトン(登録商標)」「セプトン(登録商標)バイオ」、旭化成社製「タフテック(登録商標)」、「S.O.E(登録商標)」、TSRC社製「TAIPOL(登録商標)」、LCY社製「GLOBALPRENE」が挙げられる。
ポリエステル系エラストマーとは、通常、結晶性を有するハードセグメントと、柔軟性を有するソフトセグメントとを有するブロック共重合体であり、例えば、環状ポリエステル(本明細書において「環状ポリエステル」とは、原料であるジカルボン酸又はそのアルキルエステルが環状構造を有するジカルボン酸又はそのアルキルエステルを含むものを意味する。)からなるハードセグメント(以下、「環状ポリエステルユニット」と称することがある。)とポリアルキレングリコールからなるソフトセグメント(以下、「ポリアルキレングリコールユニット」と称することがある。)とを有するブロック共重合体(以下、「環状ポリエステル-ポリアルキレングリコールブロック共重合体」と称することがある。)、及び環状ポリエステルからなるハードセグメントと鎖状脂肪族ポリエステル(本明細書において「鎖状脂肪族ポリエステル」とは、原料であるジカルボン酸又はそのアルキルエステルが鎖状構造のみを有するジカルボン酸又はそのアルキルエステルであるものを意味する。)からなるソフトセグメント(以下、「鎖状脂肪族ポリエステルユニット」と称することがある。)とを有するブロック共重合体(以下、「環状ポリエステル-鎖状脂肪族ポリエステルブロック共重合体」と称することがある。)が挙げられる。これらの中でも好ましいのは環状ポリエステル-ポリアルキレングリコールブロック共重合体である。
環状ポリエステル-ポリアルキレングリコールブロック共重合体としては、例えば、芳香族ポリエステルからなるハードセグメント(以下、「芳香族ポリエステルユニット」と称する場合がある。)とポリアルキレングリコールユニットを有する共重合体(以下、「芳香族ポリエステル-ポリアルキレングリコールブロック共重合体」と称することがある。)及び脂環族ポリエステルからなるハードセグメント(以下、「脂環族ポリエステルユニット」と称することがある。)とポリアルキレングリコールユニットとを有するブロック共重合体(以下、「脂環族ポリエステル-ポリアルキレングリコールブロック共重合体」と称することがある。)が挙げられる。これらの中でも芳香族ポリエステル-ポリアルキレングリコールブロック共重合体が好ましい。
芳香族ポリエステル-ポリアルキレングリコールブロック共重合体は、特開平10-130451号公報等に記載されているように公知の熱可塑性エラストマーであり、ポリアルキレングリコールユニットを含有する重合体であれば、各々のブロックは単一重合体であっても共重合体であってもよい。
芳香族ポリエステルユニットの原料は以下に詳述するが、ポリブチレンテレフタレートをハードセグメントとして含むことが好ましい。
ポリアルキレングリコールユニットの原料についても以下に詳述するが、ポリテトラメチレンエーテルグリコールを原料とするソフトセグメント(以下、「ポリテトラメチレングリコールユニット」と称することがある。)を含むことが好ましい。
本発明に用いるポリエステル系エラストマーとしては、ポリブチレンテレフタレート-ポリアルキレングリコールブロック共重合体が好ましく、ポリブチレンテレフタレート-ポリテトラメチレングリコールブロック共重合体がより好ましい。
脂環族ポリエステル-ポリアルキレングリコールブロック共重合体としては、例えば、脂環族ジカルボン酸(本明細書において「脂環族ジカルボン酸」とは環状脂肪族炭化水素に2つのカルボキシル基が直接結合した化合物を意味する。)、脂環族ジオール及びポリアルキレングリコールを原料として得られるものが代表的なものとして挙げられる。
ポリアルキレングリコールユニットを含有する重合体であれば、各々のブロックは、単一重合体であっても共重合体であってもよい。
脂環族ポリエステルユニットとしては、シクロヘキサンジカルボン酸とシクロヘキサンジメタノールを原料として得られるハードセグメントを含むことが好ましい。
脂環族ポリエステル-ポリアルキレングリコールブロック共重合体のポリアルキレングリコールユニットとしてはポリテトラメチレンエーテルグリコールを原料として得られるソフトセグメント(ポリテトラメチレングリコールユニット)を含むことが好ましい。
環状ポリエステル-鎖状脂肪族ポリエステルブロック共重合体としては、例えば、芳香族ポリエステルからなるハードセグメントと鎖状脂肪族ポリエステルからなるソフトセグメントを有するブロック共重合体(以下、「芳香族ポリエステル-鎖状脂肪族ポリエステルブロック共重合体」と称することがある。)及び脂環族ポリエステルからなるハードセグメントと鎖状脂肪族ポリエステルからなるソフトセグメントを有するブロック共重合体(以下、「脂環族ポリエステル-鎖状脂肪族ポリエステルブロック共重合体」と称することがある。)が挙げられる。
これらの中でも芳香族ポリエステル-鎖状脂肪族ポリエステルブロック共重合体が好ましい。芳香族ポリエステル-鎖状脂肪族ポリエステルブロック共重合体の中でも、芳香族ポリエステルユニットがポリブチレンテレフタレートからなる、ポリブチレンテレフタレート-鎖状脂肪族ポリエステルブロック共重合体がより好ましい。鎖状脂肪族ポリエステルユニットとして好ましいのはセバシン酸及びアジピン酸に代表される炭素数4~10の鎖状脂肪族ジカルボン酸と鎖状脂肪族ジオールとから得られるものである。
柔軟性を有するソフトセグメントとしては、ポリアルキレンエーテルグリコールが好ましい。ポリアルキレンエーテルグリコールとしては、例えば、ポリメチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリ(1,2-及び1,3-)プロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール及びポリヘキサメチレングリコール等の直鎖状及び分岐状の脂肪族エーテルの他、シクロヘキサンジオールの縮合体及びシクロヘキサンジメタノールの縮合体の脂環状エーテルの単一重合体又は共重合体が挙げられる。
ソフトセグメントはこれらのエーテルユニット内でのランダム共重合体でもよい。ソフトセグメントには、ポリアルキレングリコールユニットを有するブロック共重合体も用いることもできる。
これらは、1種を単独で用いてもよく2種以上を併用してもよい。
環状ポリエステル-ポリアルキレングリコールブロック共重合体に含まれるポリアルキレングリコールの数平均分子量は600~4,000であることが好ましく、800~2,500であることがより好ましく、900~2,100であることが更に好ましい。
ここでポリアルキレングリコールの数平均分子量とは、磁気共鳴スペクトル法(NMR)により算出された値を言う。
これらのポリアルキレングリコールは、環状ポリエステル-ポリアルキレングリコールブロック共重合体に1種のみが含まれていてもよく、数平均分子量又は構成成分が異なるものが2種以上含まれていてもよい。
ポリエステル系エラストマーの製造方法には特に制限はなく、バッチ重合法、連続重合法のいずれでもよい。例えば、環状ポリエステル-ポリアルキレングリコールブロック共重合体のうち、芳香族ポリエステルとポリアルキレンエーテルグリコールを用いた芳香族ポリエステル-ポリアルキレングリコールブロック共重合体は、炭素数2~12の鎖状脂肪族及び/又は脂環族ジオールと、芳香族ジカルボン酸又はそのアルキルエステルと、ポリアルキレンエーテルグリコールとを原料とし、エステル化反応又はエステル交換反応により得られたオリゴマーを重縮合させて得ることができる。
炭素数2~12の鎖状脂肪族及び/又は脂環族ジオールとしては、ポリエステルの原料として通常用いられるものを使用することができる。
鎖状脂肪族ジオールとしては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、トリメチレングリコール、1,3-ブチレングリコール、1,4-ブチレングリコール及び1,6-ヘキセングリコールが挙げられる。中でも1,4-ブチレングリコールが好ましい。
脂環族ジオールとしては、例えば、1,4-シクロヘキセングリコール及び1,4-シクロヘキサンジメタノールが挙げられ、1,4-シクロヘキサンジメタノールが好ましい。
これらの炭素数2~12の鎖状脂肪族及び/又は脂環族ジオールは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
芳香族ジカルボン酸又はそのアルキルエステルとしては、ポリエステルの原料として一般的に用いられているものが使用できる。例えば、テレフタル酸及びその低級(本明細書において「低級」は炭素数4以下を意味する。)アルキルエステル、並びにイソフタル酸、フタル酸、2,5-ノルボルネンジカルボン酸、1,4-ナフタレンジカルボン酸、1,5-ナフタレンジカルボン酸、2,6-ナフタレンジカルボン酸及びそれらの低級アルキルエステルが挙げられる。これらの中では、テレフタル酸及びイソフタル酸が好ましく、テレフタル酸がより好ましい。
これらの芳香族ジカルボン酸又はそのアルキルエステルについても1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
ポリアルキレンエーテルグリコールとしては、前述の如く、ポリメチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリ(1,2-及び1,3-)プロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール及びポリヘキサンメチレングリコール等の直鎖状及び分岐状の脂肪族エーテルグリコールの他、シクロヘキサンジオールの縮合体及びシクロヘキサンジメタノールの縮合体等の脂環状エーテルの単一重合体又は共重合体が挙げられる。
また、これらエーテルユニット内でのランダム共重合体でもよい。
これらの中でも好ましいのはポリメチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリ(1,2-及び1,3-)プロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール及びポリヘキサメチレングリコール等の直鎖状及び分岐状の脂肪族エーテルグリコールであり、より好ましいのはポリメチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリ(1,2-及び1,3-)プロピレングリコール及びポリテトラメチレングリコールであり、更に好ましいのはポリテトラメチレングリコールである。
これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
脂環族ポリエステル-ポリアルキレングリコールブロック共重合体を製造する場合には、上記の芳香族ポリエステル-ポリアルキレングリコールブロック共重合体を製造する場合の原料として用いる芳香族ジカルボン酸又はそのアルキルエステルに代えて脂環族ジカルボン酸又はそのアルキルエステルを用いればよい。
脂環族ポリエステル-ポリアルキレングリコールブロック共重合体は、炭素数2~12の鎖状脂肪族及び/又は脂環族ジオールと、脂環族ジカルボン酸又はそのアルキルエステルと、ポリアルキレンエーテルグリコールとを原料とし、エステル化反応又はエステル交換反応により得られたオリゴマーを重縮合させて得ることができる。
脂環族ジカルボン酸又はそのアルキルエステルとしては、ポリエステルの原料として一般的に用いられているものが使用できる。例えば、シクロヘキサンジカルボン酸及びその低級アルキルエステル、シクロペンタンジカルボン酸及びその低級アルキルエステルが挙げられる。これらの中では、シクロヘキサンジカルボン酸及びその低級アルキルエステルが好ましく、シクロヘキサンジカルボン酸がより好ましい。
これらの脂環族ジカルボン酸又はそのアルキルエステルについても1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
環状ポリエステル-ポリアルキレングリコールブロック共重合体中の環状ポリエスエルユニット及びポリアルキレングリコールユニットのそれぞれの含有率は限定されないが、ハードセグメントの結晶性とソフトセグメントの柔軟性のバランスから、通常以下のような範囲となる。
環状ポリエステル-ポリアルキレングリコールブロック共重合体中の環状ポリエステルユニットの含有率の下限値は限定されないが、通常10質量%以上、好ましくは15質量%以上である。環状ポリエステルユニットの含有率の上限値は限定されないが、通常95質量%以下、好ましくは90質量%以下、より好ましくは80質量%以下である。
環状ポリエステル-ポリアルキレングリコールブロック共重合体中のポリアルキレングリコールユニットの含有率の下限値は限定されないが、通常5質量%以上、好ましくは10質量%以上、より好ましくは20質量%以上である。ポリアルキレングリコールユニットの含有率の上限値は限定されないが、通常90質量%以下、好ましくは85質量%以下である。
環状ポリエステルユニットを有するブロック共重合体中の環状ポリエステルユニットの含有率は、核磁気共鳴スペクトル法(NMR)を使用し、その水素原子の化学シフトとその含有率に基づいて算出することができる。同様に、ポリアルキレングリコールユニットを有するブロック共重合体中のポリアルキレングリコールユニットの含有率は、核磁気共鳴スペクトル法(NMR)を使用し、その水素原子の化学シフト及びその含有率に基づいて算出することができる。
芳香族ポリエステル-ポリアルキレングリコールブロック共重合体としては、特に結晶化速度が速く、成形性に優れることから、ポリブチレンテレフタレート-ポリアルキレングリコールブロック共重合体が好ましい。ポリアルキレングリコールユニットのアルキレン基の炭素数は、2~12が好ましく、2~8がより好ましく、2~5が更に好ましく、4が特に好ましい。
本発明に係る芳香族ポリエステル-ポリアルキレングリコールブロック共重合体に代表される、環状ポリエステル-ポリアルキレングリコールブロック共重合体には、上記成分以外に3官能のアルコールやトリカルボン酸及び/又はそのエステルの1種又は2種以上を少量共重合させてもよく、更に、アジピン酸等の鎖状脂肪族ジカルボン酸又はそのジアルキルエステルを共重合成分として導入してもよい。
上記の環状ポリエステル-ポリアルキレングリコールブロック共重合体は、市販品としても入手することができる。
市販品としては、具体的には、LGケミカル社製「KEYFLEX(登録商標)」、三菱ケミカル社製「TEFABLOC(登録商標)」、東洋紡績社製「ペルプレン(登録商標)」、デュポン社製「ハイトレル(登録商標)」及びヘトロン社製「ヘトロフレックス(登録商標)」が挙げられる。
[成分(C):イソアルカン混合物]
本発明の熱可塑性エラストマー組成物は、成分(C)として、イソアルカン混合物を含む。
イソアルカンは、末端にイソメチル基を有するアルカンを意味し、二重結合や環状の置換基を含まない。
「イソアルカン混合物」とは、イソアルカンとイソアルカン構造を有さない炭化水素との混合物を意味する。
本発明に係る「イソアルカン」は、末端にイソメチル基を有するアルカンであればよく、末端イソメチル基以外に側鎖の存在しないイソアルカンであっても、アルカンの主鎖に末端イソメチル基以外の側鎖としてのアルキル基(本発明においては、このアルキル基を「側鎖アルキル基」と称す。)を有するものであってもよい。前述の通り、エラストマー(B)とイソアルカンの絡み合い効果の観点から、側鎖アルキル基を有するイソアルカンが好ましい。
イソアルカンは、一般的にイソアルカン混合物として市販されているものが多いため、本発明においては、成分(C)を「イソアルカン混合物」と称すが、成分(C)はイソアルカンの単一物質であってもよい。
成分(C)のイソアルカン混合物が有する側鎖アルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基等のアルキル基が挙げられる。これらの中でも炭素数1~18のアルキル基であることがより好ましく、炭素数1~3のアルキル基であることが更に好ましく、メチル基であることが特に好ましい。
イソアルカンの側鎖アルキル基とは、最も長い直鎖状のアルキル鎖を主鎖とし、この主鎖から分岐するアルキル鎖であり、1分子中に側鎖アルキル基は1つに限らず、2つ以上であってもよい。イソアルカンが有する側鎖アルキル基の数は、2~16が好ましく、4~12がより好ましく、4~8が更に好ましい。
成分(C)のイソアルカン混合物は、分子中に1~80%の含有率で側鎖アルキル基を有することが好ましく、側鎖アルキル基の含有率は5~70%であることがより好ましく、10~60%であることが更に好ましく、15~50%であることが特に好ましい。側鎖アルキル基の含有率は、耐ブリードアウト性、ゴム弾性の観点では大きい方が好ましく、成形性の観点では、小さい方が好ましい。
ここで、側鎖アルキル基の含有率とは、イソアルカン全体の分子量に対する側鎖アルキル基の分子量(複数の側鎖アルキル基を有する場合はその合計の分子量)の割合(百分率)である。
第1の実施形態において、40℃における動粘度が20cSt以上8,000cSt以下のイソアルカン混合物(C)を含むことで、得られる熱可塑性エラストマー組成物を軟化させ、柔軟性とゴム弾性を増加させるとともに、得られる熱可塑性エラストマー組成物の加工性、流動性及び耐ブリードアウト性を向上させることができる。
成分(C)のイソアルカン混合物の40℃における動粘度は、耐ブリードアウト性及びゴム弾性の観点から20センチストークス(cSt)以上であることが好ましく、25cSt以上であることがより好ましい。一方で、成分(C)のイソアルカン混合物の40℃における動粘度は、加工性及び成形性の観点から8000cSt以下であることが好ましく、3000cSt以下であることがより好ましく、1000cSt以下であることが更に好ましい。
ここで、動粘度は、JIS K2283に準拠した方法によって測定した40℃における動粘度である。
成分(C)のイソアルカン混合物の引火点(COC法)は、加工時の安全性の観点から、使用する熱可塑性樹脂(A)の融点以上、または加工温度以上であることが好ましく、150℃以上であることが好ましく、180℃以上であることがより好ましく、200℃以上であることが更に好ましく、250℃以上であることが特に好ましい。
成分(C)のイソアルカン混合物の流動点(ASTM D97で測定される)は、低いほど分子運動性が高く、耐ブリードアウト性が劣るため、-60℃以上であることが好ましく、-50℃以上であることがより好ましく、-40℃以上であることが更に好ましい。一方で、加工時のハンドリング性の観点から、0℃以下であることが好ましく、-10℃以下であることがより好ましく、-20℃以下であることが更に好ましく、-25℃以下であることが特に好ましい。
成分(C)のイソアルカン混合物の分子量分散度(PDI)は、耐ブリードアウト性の観点から1.30以下であることが好ましく、1.2以下であることがより好ましく、1.1以下であることが更に好ましい。
成分(C)のイソアルカン混合物の重量平均分子量は、耐ブリードアウト性及びゴム弾性の観点から、GPCにより測定したポリスチレン換算の値として200以上が好ましく、300以上がより好ましく、350以上が更に好ましい。一方で、加工性及び成形性の観点から5000以下が好ましく、3000以下がより好ましく、1500以下が更に好ましい。
ここで、分子量分散度及び重量平均分子量は、ゲル浸透クロマトグラフィー(以下、GPCと略記する場合がある)により測定することができる。
成分(C)のイソアルカン混合物は、環分析によるナフテン炭素の割合(%CN)は通常20%以下であり、好ましくは15%以下であり、より好ましくは10%以下であり、更に好ましくは5%以下である。
また、環分析による芳香族炭素の割合(%CA)が5%以下であることが好ましく、1%以下であることがより好ましい。
ここで、上記環分析は具体的にはASTM D2140またはASTM D3238に規定されるn-d-M法により実施することができる。
ナフテン炭素の割合及び芳香族炭素の割合を上記範囲とすることで、耐熱及び耐光変色に優れたものとなる。
第2の実施形態において、FD-MSで測定して得られるマススペクトルにより特定される主要な構成単位が、分子式C1634及びC1632の少なくとも一方で表されるイソアルカン混合物(C)を含むことで、得られる熱可塑性エラストマー組成物を軟化させ、柔軟性とゴム弾性を増加させるとともに、得られる熱可塑性エラストマー組成物の加工性、流動性及び耐ブリードアウト性を向上させることができる。
ここでいう主要な構成単位は以下のように定義する。
FD-MSで測定されるマススペクトルにおいて、ピークのm/zの値で表される炭化水素の分子式は、炭素の原子量:12、水素の原子量:1.00794をもとに特定される。m/zの値は、例えば、CHの場合16.0、C3060の場合420.5、C60120の場合841.0となる。
FD-MSで測定されるマススペクトルにおいて、分子そのものを表すピークを抽出する観点から、水素原子数2~118の炭化水素においてはm/zの一の位が偶数のピークを抽出する。水素原子数120~244の炭化水素においてはm/zの一の位が奇数のピークを、水素原子数246~370の炭化水素においてはm/zの一の位が偶数のピークを抽出する。このようにして抽出されるピークの中からピーク強度の強いものを順に複数抽出する。ここで抽出したピークが表すm/zの差から特定できる炭化水素の分子式のことを主要な構成単位という。なお、炭素数が同じピークは主要な構成単位の計算に含めない。
以下の具体例では、主要な構成単位を確認するために、ピーク強度の強い6つのピークを抽出し、m/zが小さい順に記載したが、主要な構成単位が見つかれば抽出数はこの方法に特定されない。
図1においてはm/z(分子式)=450.5(C3266)、672.8(C4896)、674.8(C4898)、897.0(C64128)、1121.3(C64128)、1345.5(C96192)のピークが抽出でき、主要な構成単位は分子式C1634及びC1632で表すことができる。
図2においてはm/z=460.5(C3364)、462.5(C3366)、474.5(C3466)、476.6(C3468)、488.6(C3568)、490.6(C3570)のピークが抽出でき、主要な構成単位は分子式CHで表すことができる。
図3においてはm/z=654.7(C4790)、668.8(C4892)、682.8(C4994)、694.8(C5094)、696.8(C5096)、708.8(C5196)のピークが抽出でき、主要な構成単位は分子式CHで表すことができる。
第2の実施形態において、イソアルカン混合物(C)は、FD-MSで測定されるマススペクトルにおいて、主成分として、分子式C4896及びC4898で表される化合物のうち、少なくとも一方を含有することが望ましい。ここでいう主成分とはFD-MSで測定されるマススペクトルにおいて、分子そのものを表すピークを抽出し、最も強度の強いピークをいう。図1においてはm/z=674.8(C4898)のピークが該当する。図2においてはm/z=460.5(C3364)のピークが、図3においてはm/z=682.8(C4994)のピークがそれぞれ該当する。
第3の実施形態において、FD-MSで測定して得られるマススペクトルにより特定される分子式C2n+2及びC2n(40≦n<60)で表される化合物のうち、少なくとも一方を主成分として含有するイソアルカン混合物(C)を含むことで、得られる熱可塑性エラストマー組成物を軟化させ、柔軟性とゴム弾性を増加させるとともに、得られる熱可塑性エラストマー組成物の加工性、流動性及び耐ブリードアウト性を向上させることができる。
この場合において、さらに、分子式C2n+2及びC2n(30≦n<40)で表される化合物のうち、少なくとも一方を含有することが好ましく、分子式C2n+2及びC2n(60≦n≦80)で表される化合物のうち、少なくとも一方を含有することが更に好ましく、分子式C2n+2及びC2n(30≦n<40)で表される化合物のうちの少なくとも一方と、分子式C2n+2及びC2n(60≦n≦80)で表される化合物のうちの少なくとも一方とを含有することが特に好ましい。
イソアルカン混合物(C)はバイオマス由来の原料を含んでもよい。
イソアルカン混合物(C)のバイオマス度は14C含有量をもとにASTM D 6866により算出される。環境負荷低減の観点から、イソアルカン混合物(C)のバイオマス度は40%以上であることが好ましく、50%以上であることがより好ましく、60%以上が特に好ましい。イソアルカン混合物(C)のバイオマス度の上限は特に限定されず、100%以下である。
成分(C)のイソアルカン混合物は、一般的なゴム用炭化水素系軟化剤と併用することもできる。ここで、一般的なゴム用炭化水素系軟化剤とは、成分(C)以外のゴム用炭化水素系軟化剤のことをいう。
一般的なゴム用炭化水素系軟化剤としては、鉱物油系軟化剤、合成樹脂系軟化剤等が挙げられ、特に鉱物油系軟化剤が好ましい。鉱物油系軟化剤は、一般的に、芳香族炭化水素、ナフテン系炭化水素及びパラフィン系炭化水素の混合物であり、全炭素原子の50%以上がパラフィン系炭化水素であるものがパラフィン系オイル、全炭素原子の30~45%がナフテン系炭化水素であるものがナフテン系オイル、全炭素原子の35%以上が芳香族系炭化水素であるものが芳香族系オイルと各々呼ばれている。これらの中でも、パラフィン系オイルが好ましい。
ゴム用炭化水素系軟化剤の40℃における動粘度は、20センチストークス(cSt)以上であることが好ましく、50cSt以上であることがより好ましい。一方、800cSt以下であることが好ましく、600cSt以下であることがより好ましい。また、ゴム用炭化水素系軟化剤の引火点(COC法)は、200℃以上であることが好ましく、250℃以上がより好ましい。
ゴム用炭化水素系軟化剤は市販のものを用いてもよい。市販品としては、例えば、ENEOS社製「日石ポリブテン(登録商標)HV」シリーズ、出光興産社製「ダイアナ(登録商標)プロセスオイルPW」シリーズが挙げられ、これらの中から適宜選択して使用することができる。
ゴム用炭化水素系軟化剤は1種類のみを単独で、又は2種類以上を任意の組み合わせ及び比率で用いることができる。
[含有割合]
本発明の熱可塑性エラストマー組成物において、成分(A)の含有率の下限は、安定した成形性、耐熱性及びその他機械特性の観点から、成分(A)~成分(C)の合計100質量%に対し、3質量%以上であることが好ましく、5質量%以上であることがより好ましく、7質量%以上であることが更に好ましく、10質量%以上であることが特に好ましい。一方で、成分(A)の含有率の上限は、安定したゴム弾性及び良好な成形性の観点から、95質量%以下であることが好ましく、90質量%以下であることがより好ましく、85質量%以下であることが更に好ましく、80質量%以下であることが特に好ましい。
本発明の熱可塑性エラストマー組成物において、成分(B)の含有率の下限は、安定したゴム弾性及び良好な成形性の観点から、成分(A)~成分(C)の合計100質量%に対し、3質量%以上であることが好ましく、5質量%以上であることがより好ましく、10質量%以上であることが更に好ましく、15質量部以上であることが特に好ましい。一方で、成分(B)の含有率の上限は、安定した加工性、成形性、耐熱性及びその他機械特性の観点から、90質量%以下であることが好ましく、80質量%以下であることがより好ましく、70質量%以下であることが更に好ましく、60質量%以下であることが特に好ましい。
本発明の熱可塑性エラストマー組成物において、成分(C)の含有量の下限は、安定したゴム弾性及び良好な成形性の観点から、成分(B)100質量部に対し、10質量部以上であることが好ましく、20質量部以上であることがより好ましく、30質量部以上であることが更に好ましく、40質量部以上であることが特に好ましい。一方で、成分(C)の含有量の上限は、製造時のハンドリング性及び耐ブリードアウト性の観点から、成分(B)100質量部に対し、400質量部以下であることが好ましく、350質量部以下であることがより好ましく、300質量部以下であることが更に好ましく、200質量部以下であることが特に好ましい。
本発明の熱可塑性エラストマー組成物が、成分(C)と共に、前述のゴム用炭化水素系軟化剤を含有する場合、ゴム用炭化水素系軟化剤の含有率は、軽量化及び安定したゴム弾性、良好な成形性の観点から成分(B)100質量部に対し、300質量部以下が好ましく、200質量部以下がより好ましい。また、成分(C)とゴム用炭化水素系軟化剤との合計の含有量として、上記成分(C)の含有量範囲となるように用いることが好ましい。
この場合において、成分(C)とパラフィン系オイル等のゴム用炭化水素系軟化剤との合計量に対する成分(C)の含有率は、1質量%以上であることが好ましく、5質量%以上であることがより好ましく、10質量%以上であることが更に好ましい。成分(C)とパラフィン系オイル等のゴム用炭化水素系軟化剤との合計量に対する成分(C)の含有率が上記下限以上であれば、成分(C)を用いることによる成形性、耐ブリードアウト性、ゴム弾性の向上効果を有効に得ることができる。一方、成分(C)とパラフィン系オイル等のゴム用炭化水素系軟化剤との合計量に対する成分(C)の含有率は、99質量%以下であることが好ましく、90質量%以下であることがより好ましく、80質量%以下であることが更に好ましい。成分(C)とパラフィン系オイル等のゴム用炭化水素系軟化剤との合計量に対する成分(C)の含有率が上記上限以下であれば、成分(C)と共にゴム用炭化水素系軟化剤を併用することによる軽量化、ゴム弾性、成形性の向上効果を有効に得ることができる。
[その他の成分]
本発明の熱可塑性エラストマー組成物には、上記した成分(A)~成分(C)以外に本発明の効果を損なわない範囲で、目的に応じてその他の成分を配合することができる。
その他の成分としては例えば、充填材、酸化防止剤、熱安定剤、光安定剤、紫外線吸収剤、中和剤、滑剤、防曇剤、アンチブロッキング剤、スリップ剤、分散剤、着色剤、難燃剤、架橋剤、架橋助剤、帯電防止剤、導電性付与剤、金属不活性化剤、分子量調整剤、防菌剤、防黴材、蛍光増白剤等の各種添加物を挙げることができる。これらは任意のものを単独又は併用して用いることができる。
充填材としては、ガラス繊維、中空ガラス球、炭素繊維、アルミナ、タルク、炭酸カルシウム、クレイ、マイカ、チタン酸カリウム繊維、シリカ、ゼオライト、金属石鹸、炭酸カルシウム、二酸化チタン、カーボンブラック、窒化ホウ素、セルロース等を挙げることができる。
これらの充填材は、単独で用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で組み合わせて用いてもよい。
熱安定剤(酸化防止剤とも称される。以下、「成分(D)」と称す場合がある。)としては、燐酸、亜燐酸の脂肪族、芳香族又はアルキル基置換芳香族エステルや次亜燐酸誘導体、フェニルホスホン酸、フェニルホスフィン酸、ジフェニルホスホン酸、ポリホスホネート、ジアルキルぺンタエリスリトールジホスファイト、ジアルキルビスフェノールAジホスファイト等のリン化合物;フェノール系誘導体、特にヒンダードフェノール化合物;チオエーテル系、ジチオ酸塩系、メルカプトベンズイミダゾール系、チオカルバニリド系、チオジプロピオン酸エステル系等のイオウを含む化合物;スズマレート、ジブチルスズモノオキシド等のスズ系化合物等を使用することができる。
ヒンダードフェノール化合物としては、「イルガノックス(登録商標)1010」、「イルガノックス(登録商標)1520」(以上、いずれも商品名:BASFジャパン株式会社製)等が挙げられる。
リン化合物としては、「PEP-36」、「PEP-24G」、「HP-10」(以上、いずれも商品名:株式会社ADEKA製)、「イルガフォス(登録商標)168」(商品名:BASFジャパン株式会社製)等が挙げられる。
イオウを含む化合物としては、ジラウリルチオプロピオネート(DLTP)、ジステアリルチオプロピオネート(DSTP)などのチオエーテル化合物が挙げられる。
これらの熱安定剤の添加量は、熱可塑性エラストマー組成物100質量部中の質量割合として、下限が、好ましくは0.01質量部、より好ましくは0.05質量部、上限は、好ましくは1質量部、より好ましくは0.5質量部である。熱安定剤の添加量を上記下限以上とすることで、その添加効果を十分に得ることができ、上記上限以下とすることで、その析出を抑制できる。
光安定剤としては、ベンゾトリアゾール系、ベンゾフェノン系化合物等が挙げられる。具体的には「TINUVIN622LD」、「TINUVIN765」(以上、いずれも商品名:BASFジャパン株式会社製)、「SANOLLS-2626」、「SANOLLS-765」(以上、いずれも商品名:三共株式会社製)が使用可能である。
紫外線吸収剤としては、「TINUVIN328」、「TINUVIN234」(以上、いずれも商品名:BASFジャパン株式会社製)等が挙げられる。
これらの光安定剤、紫外線吸収剤の添加量は、熱可塑性エラストマー組成物100質量部中の質量割合として、各々、下限が、好ましくは0.01質量部、より好ましくは0.05質量部、上限は、好ましくは1質量部、より好ましくは0.5質量部である。光安定剤、紫外線吸収剤の添加量を上記下限以上とすることで、その添加効果を十分に得ることができ、上記上限以下とすることで、その析出を抑制できる。
着色剤としては、直接染料、酸性染料、塩基性染料、金属錯塩染料などの染料;カーボンブラック、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化鉄、マイカなどの無機顔料;及びカップリングアゾ系、縮合アゾ系、アンスラキノン系、チオインジゴ系、ジオキサゾン系、フタロシアニン系等の有機顔料等が挙げられる。
難燃剤としては、燐及びハロゲン含有有機化合物、臭素あるいは塩素含有有機化合物、ポリ燐酸アンモニウム、水酸化アルミニウム、酸化アンチモン等の添加及び反応型難燃剤が挙げられる。
架橋剤(以下、「成分(E)」と称す場合がある。)としては、有機過酸化物、フェノール樹脂、これら以外の架橋剤等が挙げられる。
有機過酸化物の具体例は、ジ-t-ブチルパーオキシド、t-ブチルクミルパーオキシド、ジクミルパーオキシド、2,5-ジメチル-2,5-ジ(t-ブチルパーオキシ)ヘキサン、2,5-ジメチル-2,5-ジ(t-ブチルパーオキシ)ヘキシン-3、1,3-ビス(t-ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン、1,1-ジ(t-ブチルパーオキシ)-3,3,5-トリメチルシクロヘキサン等のジアルキルパーオキシド類;t-ブチルパーオキシベンゾエート、t-ブチルパーオキシ-2-エチルヘキサノエート、t-ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート、2,5-ジメチル-2,5-ジ(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、2,5-ジメチル-2,5-ジ(ベンゾイルパーオキシ)ヘキシン-3等のパーオキシエステル類;アセチルパーオキシド、ラウロイルパーオキシド、ベンゾイルパーオキシド、p-クロロベンゾイルパーオキシド、2,4-ジクロロベンゾイルパーオキシド等のヒドロパーオキシド類;ジ-3,5,5-トリメチルヘキサノイルパーオキシド、オクタノイルパーオキシド、ジベンゾイルパーオキシド等のジアシルパーオキシド類;メチルエチルケトンパーオキシド、シクロヘキサノンパーオキシド等のケトンパーオキシド類が挙げられる。
例えば、フェノール樹脂架橋剤は、通常、活性化剤と共に使用される。ここで用いることができる活性化剤としては、例えば、塩化第一スズ、塩化第二鉄、塩素化パラフィン、塩素化ポリエチレン、クロロスルフォン化ポリエチレンのようなハロゲン供与体、及び酸化鉄、酸化チタン、酸化マグネシウム、二酸化珪素、酸化亜鉛のような受酸剤が用いられる。フェノール系樹脂がハロゲン化されている場合にはハロゲン供与体は用いなくてもよい。
架橋助剤(以下、「成分(F)」と称す場合がある。)としては、例えば、硫黄、p-キノンジオキシム、p-ジニトロソベンゼン、1,3-ジフェニルグアニジン等の過酸化物用助剤;塩化第一錫・無水物、塩化第一錫・二水和物、塩化第二鉄等のフェノール樹脂用架橋助剤;ジビニルベンゼン、トリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレート、ジアリルフタレート等の多官能ビニル化合物;エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、アリル(メタ)アクリレート等の多官能(メタ)アクリレート化合物が挙げられる
本発明の熱可塑性エラストマー組成物が成分(E)の架橋剤を含む場合、成分(E)の含有量は、架橋反応を十分に進行させるため、成分(A)~成分(C)の合計或いはゴム用炭化水素系軟化剤を含む場合は成分(A)~成分(C)とゴム用炭化水素系軟化剤の合計100質量部に対して、好ましくは0.01質量部以上、より好ましくは0.05質量部以上、更に好ましくは0.1質量部以上である。一方、架橋反応を制御する観点から、この割合は好ましくは10質量部以下、より好ましくは8質量部以下、更に好ましくは5質量部以下である。
成分(F)の架橋助剤は、成分(A)~成分(C)の合計或いはゴム用炭化水素系軟化剤を含む場合は成分(A)~成分(C)とゴム用炭化水素系軟化剤の合計100質量部に対して、通常0.05~3質量部、特に0.1~2質量部の範囲で用いることが好ましい。架橋助剤が上記下限値以上であると架橋助剤の使用効果が得られ、上記上限以下であることがコスト面で好ましい。
上記した添加剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で組み合わせて用いてもよい。
[熱可塑性エラストマー組成物の製造方法]
本発明の熱可塑性エラストマー組成物の製造方法は、特に限定されるものではなく、例えば、常法に従って、成分(A)~成分(C)と、必要に応じて添加される成分(D)やその他の成分とをドライブレンドした後、溶融混練することにより製造することができる。
その際に用いられる混合装置としては、特に限定されないが、例えば、バンバリーミキサー、ラボプラストミル、単軸押出機、二軸押出機等の混練装置が挙げられる。このうち、押出機を用いた溶融混合法により製造することが、生産性、良混練性の点から好ましい。
混練時の溶融温度は、適宜設定することができるが、通常130~300℃の範囲であり、150~250℃の範囲であることが好ましい。
本発明の熱可塑性エラストマー組成物はまた、成分(A)~成分(C)、更に必要に応じて用いられる成分(D)やその他の成分を所定の含有割合で、成分(E):架橋剤及び成分(F):架橋助剤の存在下に動的熱処理することにより架橋させて得られるものも好ましい。
本発明において「動的熱処理」とは溶融状態又は半溶融状態で混練することを意味する。この動的熱処理は、溶融混練によって行うのが好ましく、そのための混合混練装置としては、例えば非開放型バンバリーミキサー、ミキシングロール、ニーダー、二軸押出機が用いられる。これらの中でも二軸押出機を用いることが好ましい。この二軸押出機を用いた製造方法の好ましい態様としては、複数の原料供給口を有する二軸押出機の原料供給口(ホッパー)に各成分を供給して動的熱処理を行うものである。
動的熱処理を行う際の温度は、通常80~300℃、好ましくは100~250℃である。また、動的熱処理を行う時間は通常0.1~30分である。
本発明の熱可塑性エラストマー組成物を二軸押出機により動的熱処理を行う場合においては、二軸押出機のバレル半径R(mm)、スクリュー回転数N(rpm)及び吐出量Q(kg/時間)の間に下記式の関係を保ちながら押出することが好ましく、下記式(2)の関係を保ちながら押出することがより好ましい。
2.6<NQ/R3<22.6(1)
3.0<NQ/R3<20.0(2)
二軸押出機のバレル半径R(mm)、スクリュー回転数N(rpm)及び吐出量Q(kg/時間)との間の前記関係が上記下限値より大きいことが熱可塑性エラストマー組成物を効率的に製造するために好ましい。一方、前記関係が上記上限値より小さいことが、剪断による発熱を抑え、外観不良の原因となる異物が発生しにくくなるために好ましい。
[熱可塑性エラストマー組成物の物性]
本発明の熱可塑性エラストマー組成物を射出成形用途として用いる場合には、ISO1133を参考にして、メルトインデクサー(東洋精機製作所製)を用い、測定温度230℃、測定荷重21.18Nで測定したメルトフローレート(MFR)が、2g/10分以上であることが流動性の観点から好ましく、より好ましくは5g/10分以上であり、更に好ましくは10g/10分以上である。また、バリ防止の観点から、メルトフローレート(MFR)は、200g/10分以下であることが好ましく、185g/10分以下であることがより好ましく、160g/10分以下であることが更に好ましい。
本発明の熱可塑性エラストマー組成物を溶融押出成形用途として用いる場合には、ISO1133を参考にして、メルトインデクサー(東洋精機製作所製)を用い、測定温度230℃、測定荷重49Nで測定したメルトフローレート(MFR)が、0.1g/10分以上であることが流動性の観点から好ましく、より好ましくは0.5g/10分以上であり、更に好ましくは1g/10分以上である。また、賦形性の観点から、メルトフローレート(MFR)は、40g/10分以下であることが好ましく、35g/10分以下であることがより好ましく、30g/10分以下であることが更に好ましい。
本発明の熱可塑性エラストマー組成物は、柔軟性の観点から、ISO 7619を参考にして、試験片に針を押し付けてから15秒後測定値である硬度デュロAの下限が10以上であることが好ましく、20以上であることがより好ましく、30以上であることが更に好ましく、40以上であることが特に好ましい。一方上限は95以下であることが好ましく、90以下であることがより好ましい。
本発明の熱可塑性エラストマー組成物は、環境負荷低減の観点から、ASTM D 6866-22に準拠するバイオマス度が1%以上であることが好ましく、10%以上であることがより好ましく、15%以上であることが更に好ましく、20%以上であることが特に好ましい。一方バイオマス度の上限は100%以下である。
熱可塑性エラストマー組成物のバイオマス度を上記数値範囲とするためには、成分(A)、成分(B)、成分(C)等の原材料としてバイオマス由来の原料を適宜選択して配合すればよい。
〔成形体〕
本発明の熱可塑性エラストマー組成物を成形することにより、本発明の成形体を得ることができる。
本発明の熱可塑性エラストマー組成物は、通常用いられる成形方法、例えば、射出成形、押出成形、中空成形、圧縮成形、真空成形の各種成形方法により、成形体とすることができる。これらの中でも射出成形、押出成形により得られる成形体が好適である。また、これらの成形を行った後に積層成形、熱成形の二次加工を行った成形体とすることもできる。
〔用途〕
本発明の熱可塑性エラストマー組成物及びその成形体の用途には特に制限はないが、土木・建材部品(止水材、目地材、窓枠)、スポーツ用品、工業用部品(多層ホースチューブ)、家電部品(多層ホース)、医療用部品(医療用多層容器、シリンジガスケット、ゴム栓)、食品用部品(多層包装フィルム、容器、ボトル、意匠包装、ラベル、キャップライナー、パッキン)、電線被覆材、雑貨、自動車部品(ウェザーストリップ、天井材、内装シート、バンパーモール、サイドモール、エアスポイラー、ホース、アームレスト、ドアトリム、コンソールリッド、マット)の広汎な分野で用いることができる。これらのうち、特に、デザイン性の多様化により優れた成形性が求められる雑貨や自動車部品等の用途に好適である。
以下、実施例を用いて本発明の内容を更に具体的に説明する。本発明はその要旨を超えない限り、以下の実施例によって限定されるものではない。以下の実施例における各種の製造条件や評価結果の値は、本発明の実施態様における上限又は下限の好ましい値としての意味をもつものであり、好ましい範囲は前記した上限又は下限の値と、下記実施例の値又は実施例同士の値との組み合わせで規定される範囲であってもよい。
[原材料]
以下の実施例・比較例で使用した原材料は以下の通りである。
<成分(A)>
A-1:プロピレン単独重合体
日本ポリプロ社製「ノバテック(登録商標)PP FA3KM」
MFR(JIS K7210、230℃、21.2N荷重):10g/10分
A-2:プロピレン単独重合体
日本ポリプロ社製「ノバテック(登録商標)PP FY6」
MFR(JIS K7210、230℃、21.2N荷重):2.5g/10分
A-3:プロピレン・エチレンランダム共重合体
日本ポリプロ社製「ノバテック(登録商標)PP MG03BD」
MFR(JIS K7210、230℃、21.2N荷重):30g/10分
A-4:直鎖状低密度ポリエチレン
サウディ石油化学社製「SABIC(登録商標)LLDPE FC18N」
密度:0.918g/cm
MFR(JIS K7210、190℃、21.2N荷重):1.0g/10分
<成分(B)>
B-1:スチレン・エチレン・ブチレン・スチレン共重合体(SEBS)
旭化成社製「タフテック(登録商標)N504」
B-2:エチレン・ブテン共重合ゴム
ダウ・ケミカル社製「エンゲージ(登録商標)7467」
B-3:エチレン・プロピレン・エチリデンノルボルネン共重合ゴム
三井化学社製「EPT(登録商標)3092PM」
ムーニー粘度(ML1+4,125℃):65
プロピレン単位含有率:29.5質量%
エチレン単位含有率:66質量%
エチリデンノルボルネン単位含有率:4.5質量%
<成分(C)>
C-1:イソアルカン混合物
H&R社製「VIVA-B-FIX 10227」
40℃の動粘度:56cSt
引火点:280℃
流動点:-27℃
重量平均分子量:1110
分子量分散度:1.0
バイオマス度:100%
FD-MSスペクトル 図1に示す。
主要な構成単位:C1634及びC1632
主成分:C4898
<成分(D)>
D-1:BASFジャパン社製「イルガノックス(登録商標)1010」
ヒンダードフェノール系酸化防止剤
<成分(E)>
E-1:化薬ヌーリオン社製「トリゴノックス(登録商標)101-40C」
2,5-ジメチル-2,5-ジ(t-ブチルパーオキシ)ヘキサン40質量%と炭酸カルシウム60質量%の混合物
<成分(F)>
F-1:新日鐵化学社製「DVB-570」
ジビニルベンゼン55質量%とエチルビニルベンゼン45質量%の混合物
<成分(X)>
X-1:パラフィン系オイル(イソアルカンを含有しないもの)
出光興産株式会社製ダイアナ(登録商標)「プロセスオイルPW-32」
40℃の動粘度:30.6cSt
引火点:222℃
流動点:-17.5℃
X-2:パラフィン系オイル(イソアルカンを含有しないもの)
出光興産株式会社製ダイアナ(登録商標)「プロセスオイルPW-90」
40℃の動粘度:95.54cSt
引火点:272℃
流動点:-17.5
重量平均分子量:728
分子量分散度:1.2
FD-MSスペクトル 図2に示す。
主要な構成単位:CH
主成分:C3364
X-3:パラフィン系オイル(イソアルカンを含有しないもの)
出光興産株式会社製ダイアナ(登録商標)「プロセスオイルPW-380」
40℃の動粘度:408.8cSt
引火点:300℃
流動点:-15℃
重量平均分子量:1230
分子量分散度:1.1
FD-MSスペクトル 図3に示す。
主要な構成単位:CH
主成分:C4994
X-4:イソアルカン混合物
ENEOS株式会社製 日石ポリブテン(登録商標)「HV-100」
40℃の動粘度:9,500cSt
引火点:210℃
流動点:-7.5℃
X-5:イソアルカン
富士フイルム和光株式会社製 「スクアラン」
CAS登録番号:111-01-3
化学式:C3062
40℃の動粘度:18.8cSt
引火点:224℃
流動点:-35.5℃
[評価方法]
以下の実施例・比較例の熱可塑性エラストマー組成物の評価方法は以下の通りである。
<成形性>
実施例及び比較例で得られた熱可塑性エラストマー組成物のペレットについて、ISO1133に参考し、メルトインデクサー(東洋精機製作所製)を用い、230℃、49Nの条件でMFRを測定した。MFRが高いほど流動性が高く、成形性に優れていることを示している。
<軽量性>
実施例及び比較例で製造された射出成形体(120mm×80mm×2mm)について、ISO1183に参考にして、密度計(東洋精機製作所製)を用いて、水中置換法にて比重を測定した。比重は小さいほど、軽量性に優れていることを示している。
<柔軟性>
実施例及び比較例で製造された射出成形体(120mm×80mm×2mm)について、ISO7619に参考にして、15秒後のデュロA硬度を測定し、柔軟性を評価した。デュロA硬度はその値が小さいほど柔軟性に優れることを示している。本発明における熱可塑性エラストマー組成物における柔軟性においては、デュロA硬度は±4の範囲においては同等である。
<ゴム弾性>
実施例及び比較例で製造された射出成形体(120mm×80mm×2mm)を打ち抜いて得たTypeA円盤:29mmφを6枚重ねて試験片を作製し、JIS K6262に参考して、70℃、22時間、25%圧縮条件で測定した。圧縮永久歪はその値が小さいほどゴム弾性優れることを示している。一般的に、デュロ硬度が低いものほど、圧縮永久縮歪が優れる傾向にある。
<耐ブリードアウト性>
実施例及び比較例で製造された射出成形体(120mm×80mm×2mm)を打ち抜いて、φ80mmの試験片を作成し、エアー式フォギングテスターを用いて、100℃、72時間条件で測定し、試験前後のガラスの重量変化(Δ重量)及びグロス変化(Δグロス)を評価した。いずれも数値が小さいほど、耐ブリードアウト性が優れることを示している。
<バイオマス度>
実施例及び比較例で得られた熱可塑性エラストマー組成物のペレットについて、タンデム加速器をベースとしたC-AMS専用装置(NEC社製)を使用し、14C濃度の測定を行った後、ASTM D6866-22に従いバイオマス度を算出した。
後掲の表-1、表-2において、バイオマス度の欄に「-」とあるのは、バイオマス度の測定を行っていないことを示す。
[実施例/比較例]
<実施例1>
表-1に示す様に(A-1)を10質量部、(B-1)を45質量部、(C-1)を45質量部、(D-1)を0.1質量部を混合し、得られた混合物を二軸混練機により溶融混練(シリンダー温度180~200℃)し、熱可塑性エラストマー組成物のペレットを製造した。得られた熱可塑性エラストマー組成物を、型締力180tで、電動の射出成形機(住友重機械工業株式会社製)で、シリンダー温度200℃、金型温度40℃にて、縦120mm×横80mm×厚さ2mmのシート状の金型中に射出速度40mm/秒で射出充填した。充填完了後30秒間冷却してから射出成形体を取り出した。得られた射出成形体について評価を行い、結果を表-1に示した。
<実施例2および比較例1~5>
表-1に示す配合にした以外は実施例1と同様にして熱可塑性エラストマー組成物のペレットを得た。得られた熱可塑性エラストマー組成物について、実施例1と同様に評価し、評価結果を表-1に示した。
Figure 0007409582000001
<実施例3および比較例6,7>
表-2に示す配合にした以外は実施例1と同様にして熱可塑性エラストマー組成物のペレットを得た。得られた熱可塑性エラストマー組成物について、実施例1と同様に評価し、評価結果を表-2に示した。
Figure 0007409582000002
<評価結果>
表-1、表-2に示す通り、実施例1~3の熱可塑性エラストマー組成物は、成形性、軽量性、ゴム弾性、耐ブリードアウト性のいずれも良好であった。実施例1の熱可塑性エラストマー組成物においては、成分(C)の含有割合相当のバイオマス度が確認できた。
これに対して、成分(C)のイソアルカン混合物の代りに、パラフィン系オイルを用いた比較例1~3,6~7では、MFRが小さく、成形性に劣り、特に比較例1,2,6では、耐ブリードアウト性も劣るものであった。比較例4はMFRが小さく成形性に劣るものであった。比較例5は耐ブリードアウト性が劣るものであった。
本発明の熱可塑性エラストマー組成物は、成形性、軽量性、ゴム弾性、耐ブリードアウト性に優れることから、土木・建材部品(止水材、目地材、窓枠)、スポーツ用品、工業用部品(多層ホースチューブ)、家電部品(多層ホース)、医療用部品(医療用多層容器、シリンジガスケット、ゴム栓)、食品用部品(多層包装フィルム、容器、ボトル、意匠包装、ラベル、キャップライナー、パッキン)、電線、雑貨、自動車部品(ウェザーストリップ、天井材、内装シート、バンパーモール、サイドモール、エアスポイラー、ホース、アームレスト、ドアトリム、コンソールリッド、マット)の広汎な分野で用いることができる。特に、本発明の熱可塑性エラストマー組成物は、デザイン性の多様化により優れた成形性が求められる雑貨や自動車部品等の用途に好適である。
本発明を特定の態様を用いて詳細に説明したが、本発明の意図と範囲を離れることなく様々な変更が可能であることは当業者に明らかである。
本出願は、2022年1月31日付で出願された日本特許出願2022-013133に基づいており、その全体が引用により援用される。

Claims (19)

  1. 下記成分(A)~成分(C)を含み、かつ、前記成分(C)の40℃における動粘度が20cSt以上8000cSt以下である、熱可塑性エラストマー組成物。
    成分(A):熱可塑性樹脂
    成分(B):少なくともスチレン系エラストマーを含むエラストマー
    成分(C):イソアルカンまたはイソアルカンとイソアルカン構造を有さない炭化水素との混合物
  2. 前記成分(C)の40℃における動粘度が20cSt以上3000cSt以下である、請求項1に記載の熱可塑性エラストマー組成物。
  3. 下記成分(A)~成分(C)を含み、かつ、前記成分(C)をFD-MSで測定して得られるマススペクトルより特定される、以下に定義される主要な構成単位が、分子式C1634及びC1632の少なくとも一方で表される熱可塑性エラストマー組成物。
    成分(A):熱可塑性樹脂
    成分(B):少なくともスチレン系エラストマーを含むエラストマー
    成分(C):イソアルカンまたはイソアルカンとイソアルカン構造を有さない炭化水素との混合物
    <主要な構成単位の定義>
    主要な構成単位とは、FD-MSで測定されるマススペクトルにおいて、水素原子数2~118の炭化水素においてはm/zの一の位が偶数のピーク、水素原子数120~244の炭化水素においてはm/zの一の位が奇数のピーク、水素原子数246~370の炭化水素においてはm/zの一の位が偶数のピークをそれぞれ抽出し、ピーク強度の強いものを順に複数抽出した場合に、抽出したピークが表すm/zの差から特定できる炭化水素の分子式である。なお、炭素数が同じピークは主要な構成単位の計算に含めない。
  4. 前記成分(C)が、主成分として、前記成分(C)をFD-MSで測定して得られるマススペクトルより特定される分子式C4896及びC4898で表される化合物のうち、少なくとも一方を含有する、請求項3に記載の熱可塑性エラストマー組成物。
  5. 下記成分(A)~成分(C)を含み、かつ、前記成分(C)が、主成分として、FD-MSで測定して得られるマススペクトルより特定される分子式C2n+2及びC2n(40≦n<60)で表される化合物のうち、少なくとも一方を含有する、熱可塑性エラストマー組成物。
    成分(A):熱可塑性樹脂
    成分(B):少なくともスチレン系エラストマーを含むエラストマー
    成分(C):イソアルカンまたはイソアルカンとイソアルカン構造を有さない炭化水素との混合物
  6. 前記成分(C)が、更に、前記成分(C)をFD-MSで測定して得られるマススペクトルより特定される分子式C2n+2及びC2n(30≦n<40)で表される化合物のうち、少なくとも一方を含有する、請求項5に記載の熱可塑性エラストマー組成物。
  7. 前記成分(C)が、更に、前記成分(C)をFD-MSで測定して得られるマススペクトルより特定される分子式C2n+2及びC2n(60≦n≦80)で表される化合物のうち、少なくとも一方を含有する、請求項5に記載の熱可塑性エラストマー組成物。
  8. 前記成分(C)が、更に、前記成分(C)をFD-MSで測定して得られるマススペクトルより特定される分子式C2n+2及びC2n(30≦n<40)で表される化合物のうちの少なくとも一方と、分子式C2n+2及びC2n(60≦n≦80)で表される化合物のうちの少なくとも一方とを含有する、請求項5に記載の熱可塑性エラストマー組成物。
  9. 前記成分(C)がバイオマス材料由来である、請求項1~8のいずれか1項に記載の熱可塑性エラストマー組成物。
  10. ASTM D 6866-22に準拠するバイオマス度が1%以上100%以下である、請求項9に記載の熱可塑性エラストマー組成物
  11. 前記成分(A)の熱可塑性樹脂がオレフィン系樹脂及びエステル系樹脂のいずれか1種類以上を含む、請求項1~8のいずれか1項に記載の熱可塑性エラストマー組成物。
  12. 前記成分(B)100質量部に対して、前記成分(C)を10質量部以上400質量部以下含む、請求項1~8のいずれか1項に記載の熱可塑性エラストマー組成物。
  13. 前記成分(C)の流動点が-50℃以上0℃以下である、請求項1~8のいずれか1項に記載の熱可塑性エラストマー組成物。
  14. 前記成分(C)が、主鎖に末端イソメチル基以外の側鎖アルキル基を有するイソアルカンを含む、請求項1~8のいずれか1項に記載の熱可塑性エラストマー組成物。
  15. 前記末端イソメチル基以外の側鎖アルキル基が炭素数1~18のアルキル基である、請求項14に記載の熱可塑性エラストマー組成物。
  16. 前記末端イソメチル基以外の側鎖アルキル基がメチル基である、請求項15に記載の熱可塑性エラストマー組成物。
  17. 更に成分(C)以外のゴム用炭化水素系軟化剤を含有する、請求項1~8のいずれか1項に記載の熱可塑性エラストマー組成物。
  18. 前記成分(C)と前記ゴム用炭化水素系軟化剤の含有量の合計に対して、成分(C)の含有率が1質量%以上99質量%以下である、請求項17に記載の熱可塑性エラストマー組成物。
  19. 請求項1~8のいずれか1項に記載の熱可塑性エラストマー組成物を用いた成形体。
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