JP3964048B2 - 押出発泡用プロピレン系重合体組成物およびその製造方法 - Google Patents

押出発泡用プロピレン系重合体組成物およびその製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、発泡成形に適した押出発泡用プロピレン系重合体組成物およびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
プロピレン系重合体はオレフィン系重合体の中でも耐熱性、耐薬品性、剛性に優れており、発泡成形した場合には、耐煮沸性、高剛性等の特徴を示す。そのため、プロピレン系重合体は、特に食品用トレー、弁当箱、ファイル表紙、コンパネ、壁面保護材、通い箱、箱内部の仕切板、自動車内装材、浮き、パネル、断熱材、緩衝材、構造材、浮揚材等の用途に好適である。
しかしながら、プロピレン系重合体は融点が高く、溶融した場合の粘度が低くいため、良好な発泡性能を示さない。
【0003】
そこで、プロピレン系重合体の発泡性能を改良するために、低密度ポリエチレンを配合し、プロピレン系重合体組成物の溶融粘度を増加させる方法等が行われている。
しかしながら、この方法ではプロピレン系重合体組成物の融点が低下してしまう欠点がある。
他の改良方法としては、分子量の大きなプロピレン重合体成分をプロピレン系重合体組成物にブレンドしたり、多段重合でプロピレン系重合体組成物を製造したりして、プロピレン系重合体組成物の溶融粘度を向上させ、これらを押出被覆に用いる方法(特開昭54−38389号公報、特開昭54−14448号公報など)、およびこれらプロピレン系重合体組成物を発泡成形に用いる方法(特開平7−138323号公報、特開平7−252318号公報など)が試みられている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、これらの方法では、大きな分子量成分をプロピレン系重合体に少量配合するため、2成分の相溶性が悪くなり、分散不良となり、ゲルが発生しやすくなる。そのため、プロピレン系重合体組成物をシート状に成形する際、シートの引き取り時に穴が開きやすくなる。さらに、プロピレン系重合体組成物の発泡倍率が十分に上がらなくなったり、あるいはプロピレン系重合体組成物の流動性が低下してしまい、ダイ流出後のスェルが大きくなり、特に薄物の成形が困難となる。
【0005】
また、分子量の大きな共重合成分を有するプロピレンブロック共重合体を発泡させる試み(特開平8−302050号公報)もあるが、この方法では剛性や、耐熱性が不足し、特に加熱処理して用いられる食品用トレー等の容器には不向きとなる。
【0006】
よって、本発明における課題は、分散状態が良好で、流動性、発泡性がよく加工性に優れ、また耐熱性、剛性にも優れ、特に薄物の発泡成形に適した押出発泡用プロピレン系重合体組成物およびその製造方法を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、分子量の大きさの関係が特定範囲にある複数のプロピレン系重合体を配合することにより、分散状態が良好で、発泡性、流動性に優れ、また耐熱性、剛性も優れ、特に薄物の発泡成形に適したプロピレン系重合体組成物を見出した。また、このプロピレン系重合体組成物に、メルトフローレート(MFR)の高い第三成分を後ブレンドすることにより、より流動性が良く、加工性の優れたプロピレン系重合体組成物を得ることが可能であることを見いだした。
【0008】
請求項1に係る押出発泡用プロピレン系重合体組成物は、2.16kgの荷重下でのメルトフローレート(MFRA )が65g/10分のプロピレン系重合体(A)5580重量%と、21.6kgの高荷重下でのメルトフローレート(HLMFRB )が0.620g/10分のプロピレン系重合体(B)2045重量%とを
上記2.16kgの荷重下でのメルトフローレート(MFRA )と上記21.6kgの高荷重下でのメルトフローレート(HLMFRB )が下記式(1)を満たし、
0.08≦log(MFRA/HLMFRB)≦1.64 (1)
かつ上記プロピレン系重合体(A)と上記プロピレン系重合体(B)からなる組成物の2.16kgの荷重下でのメルトフローレート(MFRA+B )が下記式(2)を満たすように、
0.40≦(MFRA+B)≦−4.0×log(MFRA/HLMFRB)+8.0 (2)
直列につなげた二つの重合器を用いて連続的に二段重合する、または混練装置を用いて混練することによって得られる組成物であり、
引張伸びが500%以上であることを特徴とする。
【0009】
また、請求項2に係る押出発泡用プロピレン系重合体組成物においては、上記プロピレン系重合体(A)とプロピレン系重合体(B)からなる組成物、2.16kgの荷重下でのメルトフローレート(MFRc )の値が、プロピレン系重合体(A)とプロピレン系重合体(B)とからなる組成物の2.16kgの荷重下でのメルトフローレート(MFRA+B )の値よりも大きく、かつ1465g/10分であるプロピレン系重合体(C)上記プロピレン系重合体(B)が、プロピレン系重合体(A)、プロピレン系重合体(B)およびプロピレン系重合体(C)からなる組成物に対して2027重量%含有されるように、混練装置を用いて混練することによって得られる組成物であり
動的粘弾性測定における貯蔵弾性率と損失弾性率の交点の弾性率(交叉弾性率Gc)から求められるPI値(PI=10/Gc)と、2.16kgの荷重下でのメルトフローレート(MFRp )とが下記式(3)を満たし、
4219≦PI×MFRp ≦18117 (3)
引張伸びが500%以上であるものが好ましい。
【0010】
請求項1または請求項2記載の押出発泡用プロピレン系重合体組成物においては、上記プロピレン系重合体(A)およびプロピレン系重合体(B)は、いずれもプロピレン単独重合体であることが好ましい。
また、上記プロピレン系重合体(A)がプロピレンブロック共重合体、上記プロピレン系重合体(B)がプロピレン単独重合体としたものも好ましい。
【0011】
また、本発明の押出発泡用プロピレン系重合体組成物には、全プロピレン系重合体成分100重量部に対し、フェノール系酸化防止剤0.1〜1重量部、リン系酸化防止剤0.1〜1重量部、高級脂肪酸金属塩0.05〜1重量部、ハイドロタルサイト類0.02〜1重量部が配合され、かつ上記フェノール系酸化防止剤の配合量(X)と、リン系酸化防止剤の配合量(Y)との合計(X+Y)が、0.3〜1.5重量部であり、上記高級脂肪酸金属塩の配合量(Z)と、ハイドロタルサイト類の配合量(W)を3倍にした量との合計(Z+3W)が、0.1〜1.5重量部であることが好ましい。
【0012】
また、本発明の押出発泡用プロピレン系重合体組成物の製造方法は、上記プロピレン系重合体(A)5580重量%と、上記プロピレン系重合体(B)2045重量%、上記MFR A とHLMFR B が上記式(1)を満たし、かつ上記プロピレン系重合体(A)とプロピレン系重合体(B)からなる組成物のMFR A+B が上記式(2)を満たすように、直列につなげた二つの重合器を用いて連続的に二段重合した後、または混練装置を用いて混練したのちに、上記プロピレン系重合体(C)を、上記プロピレン系重合体(B)が、プロピレン系重合体(A)、プロピレン系重合体(B)およびプロピレン系重合体(C)からなる組成物に対して20〜27重量%含有されるように、混練装置を用いて混練することによって、得られた押出発泡用プロピレン系重合体組成物のPI値と、2.16kgの荷重下でのメルトフローレート(MFRp )とが上記式(3)を満たし、引張伸びが500%以上である組成物を得ることを特徴とする。
また、本発明の押出発泡用プロピレン系重合体組成物の製造方法は、上記プロピレン系重合体(A)55〜80重量%と、上記プロピレン系重合体(B)20〜45重量%とを、上記MFR A とHLMFR B が下記式(1)を満たし、かつ上記プロピレン系重合体(A)とプロピレン系重合体(B)からなる組成物のMFR A+B が下記式(2)を満たすように、直列につなげた二つの重合器を用いて連続的に二段重合する、または混練装置を用いて混練することによって、引張伸びが500%以上である組成物を得ることを特徴とする。
【0013】
【発明の実施の形態】
本発明の押出発泡用プロピレン系重合体組成物におけるプロピレン系重合体(A)(以下(A)成分と記す)、およびプロピレン系重合体(B)(以下(B)成分と記す)は、プロピレン単独重合体、あるいはプロピレンとエチレン及び/または炭素数4〜12のα−オレフィンとのランダム共重合体、あるいはプロピレンとエチレン及び/または炭素数4〜12のα−オレフィンとのブロック共重合体である。
【0014】
このようなプロピレン系重合体は、例えば、チタン化合物などの遷移金属化合物あるいはマグネシウム化合物などの担体に担持された遷移金属化合物と、有機アルミニウムなどの有機金属化合物から得られる触媒系(いわゆるチグラーナッタ触媒)もしくは近年実用化されつつあるメタロセン系触媒等との存在下で、プロピレンを単独重合、あるいはプロピレンとエチレン及び/または炭素数4〜12のα−オレフィンとをランダムもしくはブロック共重合させることにより得られる。
【0015】
上記α−オレフィンの具体例としては、1−ブテン、1−ヘキセン、1−オクテン、3−メチル−1−ブテン、3−メチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、4−ジメチル−1−ペンテン、ビニルシクロペンタン、ビニルシクロヘキサン等が挙げられる。これらのα−オレフィンは1種類あるいは2種以上を混合して用いることもできる。
【0016】
上記プロピレン系重合体の中でも、プロピレン単独重合体を(A)成分および(B)成分として用いると、剛性の優れた発泡体が得られるので特に好ましい。
また、(A)成分としてプロピレンのブロック共重合体を用い、(B)成分としてプロピレン単独重合体を用いると、剛性と耐衝撃性のバランスのとれた発泡体が得られる。
【0017】
本発明の押出発泡用プロピレン系重合体組成物における(A)成分の2.16kgの荷重下でのメルトフローレート(以下、MFRA と記す)は、1.0〜100g/10分であり、好ましくは2〜80g/10分である。MFRA が1.0g/10分未満では、発泡倍率を上げることが困難となり、100g/10分を超えると、(B)成分との混練が困難となる。
【0018】
本発明の押出発泡用プロピレン系重合体組成物における(B)成分は、(A)成分に比べ、その分子量が大きなものとされる。
本発明の押出発泡用プロピレン系重合体組成物における(B)成分の21.6kgの高荷重下メルトフローレート(以下、HLMFRB )は、0.5〜30g/10分であり、好ましくは0.6〜25g/10分である。HLMFRB が、0.5g/10分未満では、押出発泡用プロピレン系重合体組成物の分散性が不良となり、30g/10分を超えると、押出発泡用プロピレン系重合体組成物の発泡倍率が上がらない。
ここで、メルトフローレートとは、JIS K 7210に規定された押出型プラストメータを用い、230℃の温度および所定の圧力でプロピレン系重合体を押出し、押出された量を10分当たりの重量に換算した数値のことである。
【0019】
(A)成分のMFRAと(B)成分のHLMFRBの比率(log(MFRA /HLMFRB ))は−0.5〜2.0であり、好ましくは0〜1.5である必要がある。log(MFRA /HLMFRB )が−0.5未満では、押出発泡用プロピレン系重合体組成物の分子量分布が狭くなり、発泡倍率があがらず、2.0を超えると両者の相溶性が不良でゲル発生したり発泡状態や強度が低下したりする。
【0020】
なお、(A)成分の重合器と(B)成分の重合器を直列に接続して連続的に重合(多段重合)して本組成物を得る場合、第1段目の重合器で重合された成分の2.16kgの荷重下でのメルトフローレート(以下、MFR1 と記す)の値は重合器から途中で抜き取ることで測定可能であるが、後段で重合された成分の2.16kgの荷重下でのメルトフローレート(以下、MFR2 と記す)の値は下記式(7)を用いて計算される。
MFR2=exp[{ln(MFR1+2)−100W1ln(MFR1)}/(100−W1)] (7)
MFR1+2:混合成分のMFR
1 :第1段成分の重量比率(重量%)
【0021】
また、本発明における2.16kgの荷重下でのメルトフローレート(以下、MFRと記す)と、21.6kgの高荷重下メルトフローレート(以下、HLMFRと記す)とは、下記式(8)に従って概算できる。
HLMFR=k×MFR (8)
ここで、kはプロセス触媒により変わるパラメータであるが、本発明では120とした。
【0022】
(A)成分と(B)成分の配合比率は、(A)が10〜90重量%、好ましくは30〜90重量%、さらに好ましくは50〜90重量%、(B)が10〜90重量%、好ましくは10〜70重量%さらに、好ましくは10〜50重量%である。
(A)成分が10重量%未満の場合は、押出発泡用プロピレン系重合体組成物の流動性が悪くなり、ダイ圧が上昇し成形が難しくなる。また、(A)成分が90重量%を超える場合は、押出発泡用プロピレン系重合体組成物の発泡倍率が上がらない。
【0023】
本発明の押出発泡用プロピレン系重合体組成物における(A)成分と(B)成分とからなる組成物の2.16kgの荷重下でのメルトフローレート(以下、MFRA+B と記す)は、0.2g/10分以上、好ましくは0.5g/10分以上で、−4.0×log(MFRA /HLMFRB )+8.0以下である。MFRA+B が0.2g/10分未満では、組成物の粘度が低くなり、発泡性が不十分となる。−4.0×log(MFRA/HLMFRB)+8.0を超えると、(A)成分と(B)成分の相溶性が不良となり、ゲルが発生し、発泡状態や強度が低下する。
【0024】
本発明の押出発泡用プロピレン系重合体組成物の引張伸びは、500%以上であることが必要である。引張伸びが500%未満のものは、プロピレン系重合体成分の相溶性が不良であることを示しており、ゲルが発生し、成形時シートの引き取りの際に穴があいたり、押出発泡用プロピレン系重合体組成物の発泡倍率が上がらず、得られる発泡成形物が強度不良となったりする。
ここで、引張伸びとは、押出発泡用プロピレン系重合体組成物をプレスシート成形し、JIS K 6758に従って、得られたシートの引張試験を行うことにより測定される引張破断伸びのことである。
【0025】
本発明の押出発泡用プロピレン系重合体組成物としては、その2.16kgの荷重下でのメルトフローレート(以下、MFRp と記す)と、動的粘弾性測定における貯蔵弾性率と損失弾性率の交点の弾性率(交叉弾性率Gc、単位Pa)から求められるPI値(PI=105/Gc、単位N/m2)との関係が、上記式(3)を満たし、より好ましくは下記式(9)を満たす。
PI×MFRp >4000 (9)
このような関係を満たす押出発泡用プロピレン系重合体組成物は、分子量分布が広くなり、流動性と発泡性の両方が優れたものとなるので、さらに成形性が向上し、しかも分散性が優れ、発泡性が向上し、薄物発泡に適したものとなる。
【0026】
上記PI値は、動的粘弾性測定により求められる値である。具体的には、動的粘弾性測定装置RMS605(Rheometrics 社製)により210℃で角速度を変化させ、貯蔵弾性率(G’)と損失弾性率(G”)を測定し、ついで図1に示すように、角速度軸に対して貯蔵弾性率(G’)と損失弾性率(G”)をプロットし、両者の交点の弾性率(Gc)を求める。このGcの値より、式PI=105 /Gc(単位:N/m2 )を用いてPI値を求める。
【0027】
このようなMFRp とPI値が上記式(3)の関係を満たす押出発泡用プロピレン系重合体組成物は、成分(A)と成分(B)とからなる組成物に、さらにプロピレン系重合体(C)(以下、(C)成分と記す)を希釈するような形で配合することでなされる。
【0028】
(C)成分としては、その2.16kgの荷重下でのメルトフローレート(以下、MFRc と記す)が1〜100g/10分、好ましくは2〜80g/10分のプロピレン系重合体が用いられる。また、(C)成分は、(A)成分と(B)成分とからなる組成物より大きいMFRを持つものである。
また、(C)成分としては、(A)成分がプロピレン単独重合体を使用する場合はプロピレン単独重合体を用いるのが好ましく、(A)成分がプロピレンブロック共重合体の場合はプロピレンブロック共重合体を用いるのが好ましい。
【0029】
(C)成分の配合量は、(A)成分と(B)成分とからなる組成物に対して30重量%以上であることが好ましい。配合量が30重量%未満では、MFRp とPI値が上記式(3)の関係を満たす押出発泡用プロピレン系重合体組成物を得ることが困難となる。
また、(A)成分、(B)成分および(C)成分からなる組成物中における (B)成分の含有量は、10重量%以上となることが好ましい。(B)成分の含有量が10重量%未満の場合は、押出発泡用プロピレン系重合体組成物における(B)成分の分散性が不良となり、ゲルが発生し、発泡性能が不良となるおそれがある。
【0030】
本発明の押出発泡用プロピレン系重合体組成物には、フェノール系酸化防止剤、リン系酸化防止剤、高級脂肪酸金属塩、ハイドロタルサイト類が配合されることが好ましい。
【0031】
上記フェノール系酸化防止剤としては、例えば、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール、2−t−ブチル−4−メトキシフェノール、n−オクタデシル−3−(3’,5’−ジ−t−ブチル4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、2,2’−エチリデン−ビス(2,4−t−ブチルフェノール)、4,4’−チオビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)イソシアヌレート、トリス(4−t−ブチル−2,6−ジ−メチル−3−ヒドロキシベンジル)イソシアヌレート、テトラキス−〔メチレン−3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕メタン、
【0032】
3,9−ビス〔1,1−ジ−メチル−2−{β−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ}エチル〕−2,4,8,10−テトラオキザスピロ〔5,5〕ウンデカンなどが挙げられる。特に、3,9−ビス〔1,1−ジ−メチル−2−{β−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ}エチル〕−2,4,8,10−テトラオキザスピロ〔5,5〕ウンデカン、トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)イソシアヌレート、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼンは、長期保存時にも色相の変化が少ないため、好ましく使用される。
【0033】
フェノール系酸化防止剤の配合量(X)は、全プロピレン系重合体成分100重量部に対して0.1〜1重量部、好ましくは0.1〜0.8重量部である。配合量が0.1重量部未満では酸化防止効果がなく、プロピレン系重合体が劣化し、発泡倍率が上がらず、流動性が低下するおそれがあり、1重量部を超えると効果は変わらず経済的に不利である。
【0034】
上記リン系酸化防止剤としては、有機ホスファイト化合物、有機ホスフォナイト化合物が挙げられる。
有機ホスファイト化合物としては、例えば、トリスイソデシルホスファイト、トリストリデシルホスファイト、トリスフェニルホスファイト、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト、トリスノニルフェニルホスファイト、トリス(ミックスドモノ、ジノニルフェニル)ホスファイト、トリスビフェニルホスファイト、トリシクロヘキシルホスファイト、ジフェニルイソデシルホスファイト、トリラウリルトリチオホスファイト、トリス(オクチルチオプロピル)ホスファイト、ジラウリルハイドロゲンホスファイト、
【0035】
ビストリデシルペンタペンタエリスリトールジホスファイト、ジステアリルペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(ノニルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、4,4’−イソプロピリデン−ジフェノールアルキルホスファイト、テトラトリデシル−4,4’−ブチリデンビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)ジホスファイト、ヘキサトリデシル−1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)ブタントリホスファイトなどが挙げられる。
【0036】
有機ホスフォナイト化合物としては、テトラキス(2,4−ジブチルフェニル)−4,4’−ビフェニレンホスフォナイト、テトラキス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)−4,4’−ビフェニレンジホスホナイトなどが挙げられる。
【0037】
リン系酸化防止剤の配合量(Y)は、全プロピレン系重合体成分100重量部に対して0.1〜1重量部、好ましくは0.1〜0.8重量部である。配合量が0.1重量部未満では酸化防止効果がなく、プロピレン系重合体が劣化し、発泡倍率が上がらず、流動性が低下するおそれがあり、1重量部を超えると効果は変わらず経済的に不利である。
【0038】
上記高級脂肪酸金属塩としては、例えば、2−エチルヘキシルカルボン酸塩、ラウリン酸金属塩、ミリスチン酸金属塩、パルミチン酸金属塩、ステアリン酸金属塩、オレイン酸金属塩、ベヘン酸金属塩、1,2−ヒドロキシステアリン酸金属塩、モンタン酸金属塩等が挙げられる。中でもステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸リチウム、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸カリウム、他にはパルミチン酸、リノレイン酸等のナトリウム塩、カルシウム塩、リチウム塩、亜鉛塩等が好ましく用いられる。
【0039】
高級脂肪酸金属塩の配合量(Z)は、全プロピレン系重合体成分100重量部に対して0.05〜1重量部、好ましくは0.08〜0.8重量部である。配合量が0.05重量部未満では、プロピレン系重合体が劣化し、発泡倍率が上がらないおそれがあり、1重量部を超えると発泡状態が悪化する。
【0040】
上記ハイドロタルサイト類とは、下記一般式(10)で示される複塩化合物である。
(M2+1-XAlX(OH)2(An-X/n・mH2O (10)
(式中、Xは0<X≦0.5の範囲の実数であり、An-はn価の陰イオンを示し、mは実数を示し、M2+はMg、CaまたはZnを示す。)
上記ハイドロタルサイト類は天然物であってもよく、合成品であってもよいが、特にM2+がMg、An-がCO2-である合成品が好ましい。
代表的なハイドロタルサイト類の構造としては、Mg4・3Al2(OH)12・6CO3・mH2Oで表されるものが挙げられる。
【0041】
ハイドロタルサイト類の配合量(W)は、全プロピレン系重合体成分100重量部に対して0.02〜1重量部、好ましくは0.05〜0.5重量部である。配合量が0.02重量部未満では、プロピレン系重合体が劣化し、発泡倍率が上がらないおそれがあり、1重量部を超えると発泡状態が悪化する。
【0042】
また、上記フェノール系酸化防止剤の配合量(X)と、リン系酸化防止剤の配合量(Y)との合計(X+Y)は、下記式(11)を満たすことが好ましい。
0.3≦X+Y≦1.5 (11)
X+Yが0.3重量部未満では、プロピレン系重合体が劣化し、発泡倍率が上がらないおそれがあり、1.5重量部を超えると、効果が変わらず経済的に不利である。
【0043】
また、上記高級脂肪酸金属塩の配合量(Z)と、ハイドロタルサイト類の配合量(W)の3倍の量との合計(Z+3W)は、下記式(12)を満たすことが好ましい。
0.1≦Z+3W≦1.5 (12)
Z+3Wが0.1重量部未満では、プロピレン系重合体が劣化し、発泡倍率が上がらないおそれがあり、1.5重量部を超えると、効果が変わらず経済的に不利である。
【0044】
本発明の押出発泡用プロピレン系重合体組成物は、プロピレン系重合体成分が上記成分(A)と(B)成分の2成分からなる場合、(A)成分10〜90重量%と、上記(B)成分10〜90重量%を混合し、必要に応じてフェノール系酸化防止剤、リン系酸化防止剤、高級脂肪酸金属塩およびハイドロタルサイト類を配合することによって得ることができる。
【0045】
また、本発明の押出発泡用プロピレン系重合体組成物は、プロピレン系重合体成分が上記(A)成分、(B)成分および(C)成分の3成分からなる場合、まず(A)成分10〜90重量%と、上記(B)成分10〜90重量%を混合し、ついで(C)成分を、(A)成分、(B)成分および(C)成分からなる組成物に対して(B)成分が10重量%以上含有されるように配合し、さらに必要に応じてフェノール系酸化防止剤、リン系酸化防止剤、高級脂肪酸金属塩およびハイドロタルサイト類を配合することによって得ることができる。その他、例えば、紫外線吸収剤、帯電防止剤、滑剤、可塑剤、着色剤、充填材等の公知の添加剤を必要量添加してもよいことは、従来のプロピレン系重合体組成物と変わりはない。
【0046】
(A)成分と(B)成分を混合する方法としては、(A)成分の重合器と(B)成分の重合器を直列に接続し、(A)成分(もしくは(B)成分)を重合したのち、この重合体を次の重合器に移して他方の成分を連続的に重合(二段重合)する方法、別々に重合された(A)成分と(B)成分を単軸押出機、二軸押出機、バンバリーミキサー、ニーダー等の通常の混練装置によって後ブレンドする方法などが挙げられる。特に、2成分ともプロピレン単独重合体の場合は、二段重合で混合する方法が、2成分の分散性が優れる点で好ましい。
【0047】
(A)成分と(B)成分を混合する際、単位量当たりのプロピレン系重合体に混練装置等から与えられるエネルギー(以下、比エネルギーと記す)を高することにより、押出発泡用プロピレン系重合体組成物の引張伸びを500%以上にすることが可能となる。ここで、比エネルギーは、混練装置等の消費エネルギーを吐出量で割ることにより得られる。また、複数回混練装置に通す場合は、それぞれの混練によって与えられた比エネルギーを加算することにより得られる。
【0048】
二段重合により(A)成分と(B)成分を混合する場合の比エネルギーは、0.3〜10kW/kgであることが好ましく、より好ましくは0.4〜10kW/kgである。比エネルギーが0.3kW/kg未満では、押出発泡用プロピレン系重合体組成物の引張伸びを500%以上にすることが難しくなり、10kW/kgを超えると、プロピレン系重合体の分子鎖の切断が進み、発泡倍率が上がらなくなる。
【0049】
後ブレンドにより(A)成分と(B)成分を混合する場合の比エネルギーは、0.4〜10kW/kgであることが好ましく、より好ましくは0.5〜10kW/kgである。比エネルギーが0.4kW/kg未満では、押出発泡用プロピレン系重合体組成物の引張伸びを500%以上にすることが難しくなり、10kW/kgを超えると、プロピレン系重合体の分子鎖の切断が進み、発泡倍率が上がらなくなる。
【0050】
(A)成分と(B)成分からなる組成物に(C)成分を配合する方法としては、単軸押出機、二軸押出機、バンバリーミキサー、ニーダー等の通常の混練装置を使用して混練する方法などが挙げられる。中でも、二軸押出機が好ましく用いられる。
【0051】
本発明の押出発泡用プロピレン系重合体組成物は、架橋しなくとも、発泡倍率1.5〜100倍程度で良好な発泡状態が得られるが、必要に応じて架橋して用いてもよい。
押出発泡の方法としては、1.5〜4倍程度の低発泡成形の場合、熱により分解する発泡剤を用いる方法、また、2〜100倍程度の高発泡成形の場合では、揮発性液化ガスを注入する方法が挙げられる。
【0052】
本発明の押出発泡用プロピレン系重合体組成物には、気泡膜固化過程においてプロピレン系重合体を速やかに固化させる目的で、公知の造核剤を必要量添加してもよい。造核剤としては、例えば、カルボン酸類の金属塩、ジベンジリデンソルビトール誘導体、、ホスフェート金属塩、タルクなどの無機化合物が挙げられる。具体的には、安息香酸ナトリウム、アジピン酸アルミニウム、チオフェネカルボン酸ナトリウム、1,3,2,4−ジベンジリデンソルビトール、1,3,2,4−ジ−(p−メチルベンジリデン)ソルビトール、1,3−p−クロルベンジリデン−2,4−p−メチルベンジリデンソルビトール、ナトリウム−ビス−(4−t−ブチルフェニル)ホスフェート、ナトリウム−ビス−(4−メチルフェニル)ホスフェート、カリウム−ビス−(4−t−ブチルフェニル)ホスフェート、ナトリウム−2,2’−メチレン−ビス−(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)ホスフェート、ナトリウム−2,2’−メチリデン−ビス−(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)ホスフェートならびにタルク、炭酸カルシウムなどが挙げられる。これら造核剤は1種でもよく、2種以上を併用することもできる。また、気泡の発生状態を調節する目的で、例えば、タルク、酸化珪素などのような無機粉末、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウムなどのような有機質微粉末、さらにクエン酸、炭酸水素ナトリウムなどのような加熱により分解し、ガスを発生する微粉末等の気泡核剤を、必要に応じて添加してもよい。
【0053】
本発明の押出発泡用プロピレン系重合体組成物からは、厚さ0.5〜100mm程度の発泡成形体を得ることができる。特に、5mm以下、さらに好ましくは0.5〜3mm程度の薄物発泡成形に適しており、その主な用途は食品トレー、文具などが挙げられる。
【0054】
【実施例】
以下、実施例を示す。
(実施例1)
直列につなげた二つの重合器を用いて、表1に示す(B)成分のプロピレン系重合体を最初の重合器で重合し、この(B)成分を次の重合器に移し、表1に示す(A)成分のプロピレン系重合体を次の重合器で重合して、表1に示す組成のプロピレン系重合体組成物(A+B)を製造した。得られた組成物(A+B)について、MFRとPI値を測定した。結果を表2に示す。
ついで、この組成物(A+B)にフェノール系酸化防止剤としてイルガノックス1010(チバガイギー社製)、リン系酸化防止剤としてイルガフォス168(チバガイギー社製)、高級脂肪酸金属塩としてステアリン酸カルシウム、ハイドロタルサイト類としてDHT−4A(協和化学工業社製)を表3に示す量配合し、これをペレット化した。
【0055】
得られた押出発泡用プロピレン系重合体組成物をプレスシート成形し、JISK 6758に従い、引張試験を行い、引張破断伸びを測定した。また、発泡倍率、表面状態は、無機分解型発泡剤(ベーリンガーインゲルハイム社製CF70)を押出発泡用プロピレン系重合体組成物100重量部に対し、2重量部添加し、40mmφ単軸押出機と370mm幅、リップ長1mmのTダイを用いて押出発泡成形を行い、発泡シートを成形をして発泡倍率、表面状態を測定、観測した。結果を表3に示す。
【0056】
発泡倍率は、試料の比重を水中置換法により測定し、用いた樹脂の比重を割ることにより算出した。
また、表面状態は、以下の基準に従って評価した。
◎:表面が平滑である。
○:表面平滑であるが若干ざらついている。
△:表面に部分的に引き伸ばされた箇所があるため、凹凸がある。
×:表面の凹凸が激しく、穴が開いている箇所がある。
【0057】
(実施例2)
(B)成分を表1に示すものに変更した以外は、実施例1と同様に行った。結果を表2および表3に示す。
【0058】
(実施例3〜4)
表1に示す各成分を、50mmφの同方向二軸押出機(東芝社製、TEM50)を用いて混練し、押出発泡用プロピレン系重合体組成物を得て、実施例1と同様に評価を行った。また、リップ長1.5mmのTダイを用いた以外は実施例1と同様に押出発泡成形を行い、ついで評価を行った。結果を表2および表3に示す。
【0059】
(実施例5〜6)
(A)成分、(B)成分を表1に示すものに変更した以外は、実施例1と同様にして、押出発泡用プロピレン系重合体組成物を得て、実施例1と同様に評価を行った。また、実施例3と同様に押出発泡成形を行い、ついで評価を行った。結果を表2および表3に示す。
【0060】
(実施例7〜10)
表1に示す(A)成分、(B)成分を表2に示す混合方法を用いて混練し、組成物(A+B)を得た。ついで表2に示す(C)成分をドライブレンドし、50mmφ単軸押出機を用いて混練し、押出発泡用プロピレン系重合体組成物を得た。得られた組成物について、実施例1と同様にして評価を行った。また、実施例1と同様に押出発泡成形を行い、ついで評価を行った。結果を表2および表3に示す。
【0061】
(実施例11)
(A)成分としてMFRが10g/10分のプロピレン・エチレンブロック共重合体(HIPP)、(B)成分としてHLMFRが6g/10分のプロピレン単独重合体(ホモPP)を、表1に示す重量比で使用し、押出発泡成形時にリップ長1mmのTダイを用いた以外は実施例3と同様に行った。結果を表2および表3に示す。
【0062】
また、実施例1と実施例11の押出発泡用プロピレン系重合体組成物から射出成形によりシートを成形し、このシートについて、JIS K 6758に従い、曲げ弾性率、アイゾット衝撃値を測定した。実施例11の値は各々1300MPa、6.4kJ/m2であり、実施例1の1600MPa、2.0kJ/m2と比較し、耐衝撃性が向上した。
【0063】
(実施例12〜13)
表3に示すように添加剤の量のみを変えた以外は、実施例11と同様に行った。結果を表2および表3に示す。
【0064】
(比較例1)
(A)成分、(B)成分を表1に示すものに変更し、押出発泡成形時にリップ長1mmのTダイを用いた以外は、実施例3と同様に行った。結果を表2および表3に示す。MFRA+B が上記式(2)を満足せず、引張破壊伸びも250%であった。また発泡シートの表面状態も不良であった。
【0065】
(比較例2)
(A)成分、(B)成分を表1に示すものに変更し、これら2成分を単軸押出機によって混練した以外は、比較例1と同様に行った。結果を表2および表3に示す。MFRA+Bが上記式(2)を満足せず、引張破壊伸びも20%であった。 また発泡倍率が上がらず、発泡シートの表面状態も不良であった。
【0066】
(比較例3)
(A)成分、(B)成分を表1に示すものに変更した以外は、比較例1と同様に行った。結果を表2に示した。MFRA+B は上記式(2)を満足せず、また発泡シートの表面状態も不良であった。
【0067】
(比較例4)
表1に示すように、実施例8とほぼ同程度の分子量の(A)成分と(B)成分を用いた以外は、比較例1と同様に行った。結果を表2および表3に示す。MFRA+B が上記式(2)を満足せず、引張破壊伸びも5%とかなり小さかった。また分散性が悪く、発泡倍率が上がらず、発泡シートの表面状態も不良であった。
【0068】
(比較例5)
(A)成分、(B)成分を表1に示すものに変更した以外は、比較例1と同様に行った。結果を表2に示した。log(MFRA /HLMFRB )が上記式(1)を満足せず、PI値も上記式(3)を満足しなかった。また発泡倍率が上がらず、発泡シートの表面状態も不良であった。
【0069】
【表1】
Figure 0003964048
【0070】
【表2】
Figure 0003964048
【0071】
【表3】
Figure 0003964048
【0072】
【発明の効果】
以上説明したように、請求項1に係る押出発泡用プロピレン系重合体組成物にあっては、MFRA が1.0〜100g/10分の(A)成分10〜90重量%と、HLMFRB が0.5〜30g/10分の(B)成分10〜90重量%とを有し、上記MFRA とHLMFRB が上記式(1)を満たし、上記(A)成分と(B)成分からなる組成物のMFRA+B が上記式(2)を満たすので、流動性、発泡性がよく加工性に優れ、しかも、引張伸びが500%以上であるので、分散状態が良好であり、また、耐熱性、剛性にも優れ、特に薄物の発泡成形に好適に用いることができる。
【0073】
また、請求項2に係る押出発泡用プロピレン系重合体組成物にあっては、上記(A)成分と(B)成分とからなる組成物(A+B)に、MFRc の値が組成物(A+B)のMFRA+B の値よりも大きく、かつ1〜100g/10分である(C)成分を配合してなり、上記(B)成分が、(A)成分、(B)成分および(C)成分からなる組成物に対して10重量%以上含有させているので、流動性、発泡性がさらに向上し、しかも、PI値とMFRp とが上記式(3)を満たし、引張伸びが500%以上であるので、分散状態がさらに向上する。
【0074】
さらに、上記(A)成分および(B)成分が、いずれもプロピレン単独重合体とされた場合、剛性の優れた押出発泡用プロピレン系重合体組成物となる。
また、上記(A)成分がプロピレンブロック共重合体であり、上記(B)成分がプロピレン単独重合体である場合、剛性と耐衝撃性のバランスのとれた押出発泡用プロピレン系重合体組成物となる。
【0075】
また、全プロピレン系重合体成分100重量部に対して、フェノール系酸化防止剤0.1〜1重量部、リン系酸化防止剤0.1〜1重量部、高級脂肪酸金属塩0.05〜1重量部、ハイドロタルサイト類0.02〜1重量部を配合し、かつ上記フェノール系酸化防止剤の配合量(X)と、リン系酸化防止剤の配合量(Y)との合計(X+Y)を、0.3〜1.5重量部とし、上記高級脂肪酸金属塩の配合量(Z)と、ハイドロタルサイト類の配合量(W)の3倍の量との合計(Z+3W)を、0.1〜1.5重量部とした場合、プロピレン系重合体が劣化しにくいため、発泡倍率、流動性が向上する。
【0076】
また、本発明の押出発泡用プロピレン系重合体組成物の製造方法にあっては、上記(A)成分10〜90重量%と、上記(B)成分10〜90重量%を混合したのちに、上記(C)成分を、(A)成分、(B)成分および(C)成分からなる組成物に対して(B)成分が10重量%以上含有されるように配合しており、しかもPI値とMFR(MFRp )とが上記式(3)を満たし、引張伸びが500%以上であるので、分散状態が良好で、流動性、発泡性がよく加工性に優れ、また耐熱性、剛性にも優れ、特に薄物の発泡成形に好適な押出発泡用プロピレン系重合体組成物を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の押出発泡用プロピレン系重合体組成物の貯蔵弾性率G’と損失弾性率G”のプロットから交叉弾性率Gcを求める方法を示す図である。

Claims (7)

  1. 2.16kgの荷重下でのメルトフローレート(MFRA )が65g/10分のプロピレン系重合体(A)5580重量%と、21.6kgの高荷重下でのメルトフローレート(HLMFRB )が0.620g/10分のプロピレン系重合体(B)2045重量%とを
    上記2.16kgの荷重下でのメルトフローレート(MFRA )と上記21.6kgの高荷重下でのメルトフローレート(HLMFRB )が下記式(1)を満たし、
    0.08≦log(MFRA/HLMFRB)≦1.64 (1)
    かつ上記プロピレン系重合体(A)と上記プロピレン系重合体(B)からなる組成物の2.16kgの荷重下でのメルトフローレート(MFRA+B )が下記式(2)を満たすように、
    0.40≦(MFRA+B)≦−4.0×log(MFRA/HLMFRB)+8.0 (2)
    直列につなげた二つの重合器を用いて連続的に二段重合する、または混練装置を用いて混練することによって得られる組成物であり、
    引張伸びが500%以上であることを特徴とする押出発泡用プロピレン系重合体組成物。
  2. 上記プロピレン系重合体(A)とプロピレン系重合体(B)からなる組成物2.16kgの荷重下でのメルトフローレート(MFR c )の値が、プロピレン系重合体(A)とプロピレン系重合体(B)とからなる組成物の2.16kgの荷重下でのメルトフローレート(MFR A+B )の値よりも大きく、かつ14〜65g/10分であるプロピレン系重合体(C)上記プロピレン系重合体(B)が、プロピレン系重合体(A)、プロピレン系重合体(B)およびプロピレン系重合体(C)からなる組成物に対して20〜27重量%含有されるように、混練装置を用いて混練することによって得られる組成物であり
    動的粘弾性測定における貯蔵弾性率と損失弾性率の交点の弾性率(交叉弾性率Gc)から求められるPI値(PI=10/Gc)と、2.16kgの荷重下でのメルトフローレート(MFRp )とが下記式(3)を満たすことを特徴とする請求項1記載の押出発泡用プロピレン系重合体組成物。
    4219≦PI×MFRp ≦18117 (3)
  3. 上記プロピレン系重合体(A)およびプロピレン系重合体(B)が、いずれもプロピレン単独重合体であることを特徴とする請求項1または請求項2記載の押出発泡用プロピレン系重合体組成物。
  4. 上記プロピレン系重合体(A)がプロピレンブロック共重合体であり、上記プロピレン系重合体(B)がプロピレン単独重合体であることを特徴とする請求項1または請求項2記載の押出発泡用プロピレン系重合体組成物。
  5. 全プロピレン系重合体成分100重量部に対し、フェノール系酸化防止剤を0.1〜1重量部、リン系酸化防止剤を0.1〜1重量部、高級脂肪酸金属塩を0.05〜1重量部、ハイドロタルサイト類を0.02〜1重量部配合してなり、
    上記フェノール系酸化防止剤の配合量(X)と、リン系酸化防止剤の配合量(Y)との合計(X+Y)が、0.3〜1.5重量部であり、
    上記高級脂肪酸金属塩の配合量(Z)と、ハイドロタルサイト類の配合量(W)の3倍の量との合計(Z+3W)が、0.1〜1.5重量部であることを特徴とする請求項1ないし4いずれか一項に記載の押出発泡用プロピレン系重合体組成物。
  6. 2.16kgの荷重下でのメルトフローレート(MFRA )が65g/10分のプロピレン系重合体(A)5580重量%と、21.6kgの高荷重下でのメルトフローレート(HLMFRB )が0.620g/10分のプロピレン系重合体(B)2045重量%、上記MFR A とHLMFR B が下記式(4)を満たし、かつ上記プロピレン系重合体(A)とプロピレン系重合体(B)からなる組成物のMFR A+B が下記式(5)を満たすように、直列につなげた二つの重合器を用いて連続的に二段重合した後、または混練装置を用いて混練した後に、
    0.08≦log(MFR A /HLMFR B )≦1.64 (4)
    0.40≦ ( MFR A+B ) ≦−4 . 0×log ( MFR A /HLMFR B ) +8 . 0 (5)
    2.16kgの荷重下でのメルトフローレート(MFRc )の値がプロピレン系重合体(A)とプロピレン系重合体(B)とからなる組成物の2.16kgの荷重下でのメルトフローレート(MFRA+B )の値よりも大きく、かつ1465g/10分であるプロピレン系重合体(C)を、プロピレン系重合体(A)、プロピレン系重合体(B)およびプロピレン系重合体(C)からなる組成物に対して上記プロピレン系重合体(B)が20〜27重量%含有されるように、混練装置を用いて混練することによって、引張伸びが500%以上であり、かつ、動的粘弾性測定における貯蔵弾性率と損失弾性率の交点の弾性率(交叉弾性率Gc)から求められるPI値(PI=10/Gc)と、2.16kgの荷重下でのメルトフローレート(MFRp )とが下記式(6)を満たす組成物を得ることを特徴とする押出発泡用プロピレン系重合体組成物の製造方法。
    4219≦PI×MFRp ≦18117 (6)
  7. 2.16kgの荷重下でのメルトフローレート(MFR A )が6〜65g/10分のプロピレン系重合体(A)55〜80重量%と、21.6kgの高荷重下でのメルトフローレート(HLMFR B )が0.6〜20g/10分のプロピレン系重合体(B)20〜45重量%とを、上記MFR A とHLMFR B が下記式(4)を満たし、かつ上記プロピレン系重合体(A)とプロピレン系重合体(B)からなる組成物のMFR A+B が下記式(5)を満たすように、直列につなげた二つの重合器を用いて連続的に二段重合する、または混練装置を用いて混練することによって、引張伸びが500%以上である組成物を得ることを特徴とする押出発泡用プロピレン系重合体組成物の製造方法。
    0.08≦log(MFR A /HLMFR B )≦1.64 (4)
    0.40≦ ( MFR A+B ) ≦−4 . 0×log ( MFR A /HLMFR B ) +8 . 0 (5)
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