JPH11117421A - 耐火化粧工法 - Google Patents

耐火化粧工法

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JPH11117421A
JPH11117421A JP27914797A JP27914797A JPH11117421A JP H11117421 A JPH11117421 A JP H11117421A JP 27914797 A JP27914797 A JP 27914797A JP 27914797 A JP27914797 A JP 27914797A JP H11117421 A JPH11117421 A JP H11117421A
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fire
stone
sheet
coating
resistant
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JP27914797A
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Hideo Motoki
英男 元木
Shigehiro Nagashitani
重博 流谷
Takeshi Fujiwara
武士 藤原
Tomio Ouchi
富夫 大内
Keiichi Miyamoto
圭一 宮本
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Kajima Corp
SK Kaken Co Ltd
Original Assignee
Kajima Corp
SK Kaken Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】優れた耐火性を付与しつつ、意匠性にも優れた
耐火化粧工法を提供することを主な目的とする。 【解決手段】耐火性を付与すべき躯体に対し、(1)発
泡耐火シートにより躯体を被覆する第一工程、(2)天
然石粉砕物及び着色骨材の少なくとも1種ならびに結合
材を含有する石材調仕上塗材を塗布する第二工程からな
る耐火化粧工法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、新規な耐火化粧工
法に関する。
【0002】
【従来技術】建築物、土木構築物等の構造物が火災等に
よる高温に晒された場合には、これら構造物の鉄骨及び
コンクリートの機械的強度が急激に低下するという問題
がある。これに対し、耐火性塗材を基材に塗布し、基材
の温度上昇を遅延させ、機械的強度の低下を一時的に抑
える方法が採られている。代表的な方法としては、例え
ばセメント等の無機質バインダーに1)ロックウール、ア
スベスト、ガラス繊維等の無機質繊維状物質、2)パーラ
イト、バーミキュライト等の軽量骨材、3)結晶水を含有
する無機質粉体等を適宜混合し、水と混練し、ペースト
状又はスラリー状とした混合組成物を基材表面に厚付け
する湿式耐火被覆方法が知られている。
【0003】しかし、上記方法で使用される塗材組成物
では、使用する材料の種類にもよるが、例えば鉄骨鉄筋
コンクリート構造物の柱、梁等に対する1時間耐火性能
(標準加熱曲線において1時間加熱した場合、鋼材温度
が平均で350℃以下、最高温度で450℃以下である
こと)でみると、20〜40mm程度という被覆厚みが
必要となり、かなりの厚付けとなる。このため、建築現
場において施工を行う際には比較的大量の塗材を搬入し
なければならないので、コスト上からも非常に不利であ
る。また、厚付けのため、施工部が基材から大幅に突出
し、外観上圧迫感を与えることにもなりかねない。さら
に、施工後に塗膜の剥離、脱落等が生じるおそれもあ
る。従って、より軽量で薄くて済む塗材組成物の開発が
必要とされている。
【0004】基材に耐火性を付与する他の方法として、
火災等の温度上昇に伴い塗膜が発泡し、これによって基
材に耐火性を与える発泡耐火塗料を各種の手法により基
材に塗布する方法が知られている。これに用いる発泡耐
火塗料は、温度上昇により分解して不燃性ガスを発生す
る発泡成分と、炭素化して多孔質の炭化層を形成する成
分とを含有している。すなわち、不燃性ガスの発生によ
り火災の消火効果を発揮するとともに、炭素化成分によ
り多孔質炭化層の形成により断熱効果を発揮するもので
ある。
【0005】従って、発泡耐火塗料によれば、当初の塗
膜は通常数mm以下と薄くても、火災時における加熱等
により数倍〜数百倍の倍率で発泡して有効な断熱層を形
成できる。従って、湿式耐火被覆塗材に比べて塗膜は極
端に薄くでき、圧迫感も少なく、すっきりとした感じに
仕上がるという利点がある。また、湿式耐火被覆塗材に
比べて使用材料が少なくて済み、コスト面の問題等も解
消できる。
【0006】ところが、発泡耐火塗料を塗布する際には
耐火性能を均等にするため、厚みも均等にする必要があ
るので、塗装時の厚み管理を徹底する必要がある。この
ため、塗装作業を熟練した職人に頼らざるを得ない。ま
た、湿式の塗装方法であるため、その養生等に手間がか
かるという欠点もあり、工期の短縮化に限界がある。
【0007】最近では、このような湿式塗装工法に代わ
って乾式シートによる耐火被覆が行われている。これ
は、予め用意された乾式シートを基材に被覆する方法で
ある。乾式シートとしては、例えば不燃性の繊維類を不
織布状にしたもの、不燃性の不織布、織布等の布状物に
発泡耐火塗料を含浸させたもの、アルミ箔等の不燃性物
をシート状にしたものの上に発泡耐火塗料を積層したも
の等様々であるが、いずれも厚み管理が容易であり、養
生等も必要ないために注目されつつある。このような乾
式シートによる耐火被覆のうち、特に施工時には厚みが
少なく、火災時には発泡して炭化層をつくるタイプのも
のが脚光を浴びている。
【0008】このようなシートは発泡耐火シートと呼ば
れているが、これは施工時には美観ないし意匠性を付与
するような部位への施工要望が多く、発泡耐火シート上
に保護仕上げ層を設けることが頻繁に行われている。
【0009】例えば、特開平7−276552号公報に
よれば、保護仕上げ層は一般に仕上げ面がフラットにな
るような単色系の塗料によって形成する場合がほとんど
であり、仕上げ面がフラットになることが要求される。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、実際に
発泡耐火シートを施工部位に貼着した場合、シートの突
き合わせ部分、重ね合わせ部分等に段差ができ、不陸が
発生してしまう。このため、わざわざサンダー等により
不陸部分のケレンを行い、耐火被覆面をフラットな状態
にした後、保護仕上げ面を形成するという煩雑な方法を
とっている。このような方法は、保護仕上げ層がフラッ
トな面になるような単色系塗料によって形成される場合
には必ず行われているが、これは工期を長引かせる原因
となる。また、単色系塗料によって形成される保護仕上
げ面は、特に発泡耐火シートの保護に重点がおかれてお
り、意匠性についてはあまり考慮されていないのが現状
である。
【0011】従って、本発明は、優れた耐火性を付与し
つつ、意匠性にも優れた耐火化粧工法を提供することを
主な目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明者は、上記の従来
技術の問題に鑑み、鋭意研究を重ねた結果、特定の工程
からなる耐火化粧工法によって上記目的を達成できるこ
とを見出し、ついに本発明を完成するに至った。
【0013】すなわち、本発明は、耐火性を付与すべき
躯体に対し、(1)発泡耐火シートにより躯体を被覆す
る第一工程、(2)天然石粉砕物及び着色骨材の少なく
とも1種ならびに結合材を含有する石材調仕上塗材を塗
布する第二工程からなる耐火化粧工法に係るものであ
る。
【0014】
【発明の実施の形態】
(1)耐火性を付与すべき躯体 耐火性を付与すべき躯体としては、建築物、土木構築物
等の構造物において耐火構造にできる部分をすべて含
み、また鉄骨、鉄筋、木造等の別を問わない。構造物の
部位についても、壁、柱、床、梁、屋根、階段等のすべ
ての部位を含む。特に意匠性が求められるのは人目に触
れる部分であることから、本発明の工法は柱、床、梁等
への施工が有効である。このような施工部位は、コンク
リート、金属等で形成されていることがほとんどであ
り、特に金属で形成されている部位・部材(例えばH型
鋼、鉄骨丸柱、鉄骨角柱等)は予め防錆塗料を塗布して
防錆処理しても良い。
【0015】(2)発泡耐火シートによる被覆 本発明では、第一工程として、躯体を発泡耐火シート
(単に「シート」ともいう)で被覆する。これによっ
て、主として躯体に耐火性を付与することができる。本
発明で使用する発泡耐火シートは、火災等により周辺温
度が所定の発泡温度に達すると発泡し、炭化断熱層を形
成するものであれば特に制限されず、公知のものも使用
できる。
【0016】具体的には、適用する部位等に応じて適宜
変更できるが、例えば特開平5−220879号公報、
特開平7−276552号公報等に開示されるような発
泡耐火塗料を公知の方法により塗膜化してシート状とし
たもの、これら発泡耐火塗料を不織布、織布等の布状物
に含浸させたもの、あるいはこれらを積層したもの、不
燃性布状物(金属箔等を含む)上に積層したもの等が本
発明のシートとして使用できる。
【0017】本発明では、特に上記特開平7−2765
52号公報に開示されたもの、すなわち固形分換算でバ
インダー100重量部に対して難燃剤200〜600重
量部、発泡剤40〜150重量部、炭化剤40〜150
重量部及び充填剤50〜160重量部からなる発泡耐火
塗料を用いてシート状に形成したものが好適に使用でき
る。
【0018】発泡耐火シートの厚みは、適用部位等によ
り適宜設定すれば良いが、通常は0.1〜2mm程度、
好ましくは0.5〜1mmとする。0.1mm未満の場
合には十分な耐火性能が得らず、またシートの強度も低
くなり取り扱いが困難となる。また、2mmを超える場
合は、厚みに相当するだけの耐火性能の向上が十分得ら
れない場合がある。但し、必要に応じて2mmを超える
厚みとしても差し支えない。
【0019】発泡耐火シートで躯体を被覆する方法とし
ては、シートの性能を妨げない限りいずれの方法で被覆
しても良い。例えば、躯体及び発泡耐火シートの少なく
とも一方に公知の接着剤による接着剤層を形成し、発泡
耐火シートを躯体に貼着する方法、釘、錨、リベット、
ネジ等の結合部材により発泡耐火シートを躯体に係止す
る方法等が挙げられる。
【0020】発泡耐火シートで躯体を被覆するにあた
り、躯体がシートにより完全に覆われるようにすればよ
り優れた耐火性を得ることができる。この場合には、例
えばシートとシートの突き合わせ部をシートを重ね合わ
せて接着剤等で貼り合わせたり、あるいは耐火性のパテ
材を充填すれば良い。また、耐火性の隙間テープ、発泡
耐火シートをテープ状に裁断したもの等で突き合わせ部
分を埋めて全体を覆い隠すことも可能である。なお、上
記の耐火性パテ、耐火性の隙間テープ等は、前記の発泡
耐火シートと同様の組成を採用することができる。
【0021】(3)石材調仕上塗材の塗布 本発明では、耐火性を付与すべき躯体上に発泡耐火シー
トを積層した後、主に意匠性を付与するために意匠模様
を有する石材調仕上塗材(以下「仕上塗材」ともいう)
を塗布する。
【0022】本発明の仕上塗材は、天然石粉砕物及び着
色骨材の少なくとも1種ならびに結合材を含有するもの
であれば特に限定されるものではなく、市販品もそのま
ま使用することができる。従って、例えば、一般に天然
石調塗材と呼ばれる公知の塗材を使用することもでき
る。この塗材は、厚み0.5〜6mm程度であって、骨
材発色性を有し、その仕上がりが御影石、インド砂岩、
大理石(トラバーチン)等の天然石の風合いを再現でき
るものである。
【0023】天然石粉砕物としては、特に制限されず、
公知のものを使用できる。例えば、大理石、黒曜石、石
灰石、花崗岩、珪灰石等の粉砕物のほか、石英粉、珪
砂、寒水石、川砂、山砂等を用いることができる。ま
た、本発明の天然石粉砕物は、重質炭酸カルシウム、ク
レー、カオリン、タルク、沈降性硫酸バリウム、ホワイ
トカーボン、珪藻土等の一般に体質顔料といわれている
ものも包含する。これらは、単独で又は2種以上混合し
て用いることができる。
【0024】着色骨材としては、公知のもの又は市販品
も使用できる。例えば、ガラスビーズ、セラミックス粉
砕物、樹脂ビーズ、マイカ、有機又は無機発泡粒子等が
挙げられる。また、珪砂、粉砕石、ガラスビーズ等の粒
状物の表面に耐熱性の高い顔料を添加した珪酸ソーダ系
のバインダーを高温で焼き付けたもの、骨材表面にアミ
ノアルキッド樹脂塗料等による焼き付けコーティングを
施したもの、着色ラッカーにより焼き付け工程を省略し
たもの等も挙げられる。また、耐候性が特に要求される
場合には、アルコキシシリル基を官能基として含み主鎖
がアクリルであるシロキサン架橋型反応性オリゴマー、
顔料及び硬化剤からなる着色材によって着色コーティン
グしたものが好適に使用できる。その他にも、顔料とと
もに焼成したセラミックスの粉砕物、陶磁器の粉砕物等
も使用できる。これらは、単独で又は2種以上混合して
用いることができる。天然石粉砕物と着色骨材は、平均
粒径0.05〜5mm(好ましくは0.1〜3mm)の
範囲内のものを2種以上組み合わせて使用するのが好ま
しい。これらの範囲内では特に良好な石調の意匠感を付
与することができる。両者を併用する場合の配合割合
は、所望の意匠等に応じて適宜決定すれば良い。
【0025】結合材としては、例えば合成樹脂を用いる
ことができるが、必要に応じて発泡耐火シートの発泡を
妨げない程度で珪酸質結合材、セメント等の公知の結合
材を混合しても良い。また、珪酸質結合材、セメント等
においては、天然石粉砕物、着色骨材等との配合比率に
よって発泡耐火シートの発泡を阻害しない範囲内で合成
樹脂と併用しないで使用しても良い。珪酸質結合材とし
ては、例えば水ガラス、コロイダルシリカ等の公知のも
のを使用することができる。
【0026】上記の合成樹脂の種類としては、特に限定
されず、公知のものも使用できる。例えば、ポリ酢酸ビ
ニル系、ポリアクリル酸エステル系、アクリル−スチレ
ン共重合体系、エチレン−酢酸ビニル共重合体系、酢酸
ビニル−アクリル共重合体系、エチレン−塩化ビニル共
重合体系、酢酸ビニル−ベオバ共重合体系等が挙げられ
る。また、内部架橋型、反応硬化型等のアクリル系、ウ
レタン系、エポキシ系の合成樹脂を用いることもでき
る。これら合成樹脂は、1種で又は2種以上で用いるこ
とができる。
【0027】また、合成樹脂の形態は特に限定されない
が、例えば溶剤中で重合性モノマーを重合させたもの、
水中で重合性モノマーをエマルション重合して得られる
もの、予め合成された樹脂を水系分散媒に分散剤を使用
して分散したもの等がいずれも使用できる。また、粉末
型のエマルションを用いることもできる。但し、粉末型
のエマルションを使用する場合には、塗装時に水の添加
が必要となる。
【0028】本発明の仕上塗材における結合材として
は、特に合成樹脂を用いることが好ましい。これによ
り、火災時における発泡耐火シートの発泡を妨げること
がなく、有効な炭化断熱層を確実に形成させることがで
きる。
【0029】さらに、本発明における仕上塗材には、必
要に応じて着色顔料、体質顔料等のほか、各種の塗料用
添加剤等も混合できる。すなわち、本発明の仕上塗材
は、本発明の効果を妨げない範囲内で他の成分を含んで
いても良い。
【0030】着色顔料としては、特に制限されず、公知
の着色顔料も使用できる。例えば、酸化チタン、酸化亜
鉛、カーボンブラック、酸化第二鉄(べんがら)、クロ
ム酸鉄(モリブデートオレンジ)、黄鉛、黄色酸化鉄、
オーカー、群青、コバルトグリーン等の無機系顔料、ア
ゾ系、ナフトール系、ピラゾロン系、アントラキノン
系、ペリレン系、キナクリドン系、ジスアゾ系、イソイ
ントリノン系、ベンズイミダゾール系、フタロシアニン
系、キノフタロン系等の有機系顔料あるいはパール顔料
を用いることができる。
【0031】体質顔料としては、特に制限されず、沈降
性硫酸バリウム、ホワイトカーボン等の公知の体質顔料
が使用できる。
【0032】塗料用添加剤としては、公知のものが使用
でき、例えば可塑剤、防腐剤、防黴剤、防藻剤、消泡
剤、レベリング剤、顔料分散剤、沈降防止剤、たれ防止
剤、艶消し剤、紫外線吸収剤等が挙げられる。
【0033】本発明の仕上塗材における配合は、特に制
限されず、最終製品の用途、発泡耐火シートの種類等に
応じて適宜設定すれば良い。例えば、結合材として合成
樹脂を用いる場合は、樹脂固形分100重量部に対して
天然石粉砕物及び着色骨材を合わせて100〜3000
重量部、好ましくは500〜1000重量部とすれば良
い。
【0034】仕上塗材を塗装するには、吹き付け塗装、
ローラー塗装、刷毛塗り、コテ塗り等の公知の方法で行
えば良い。また、塗装後、必要に応じて塗装面をローラ
ー、コテ等で押さえたり、サンダー等でヘッドカットを
行えば石板調にすることができる。特に、内装部位に塗
布する場合は、ローラー塗装、コテ塗りにより施工する
ことが好ましい。仕上塗材においては、天然石粉砕物・
着色骨材と合成樹脂エマルションとの混合物を単色で吹
き付け、コテ等で塗装するもの、数種の単色を組み合わ
せ吹き付けて多彩な模様を作り出すことも可能である。
【0035】仕上塗材による塗膜の厚みは、その適用部
位等に応じて適宜設定すれば良いが、通常0.5〜10
mm程度、好ましくは1〜5mmとすれば良い。また、
特に、発泡耐火シートの発泡を円滑化し、有効な炭化断
熱層を形成させるという観点から、発泡耐火シートと仕
上塗材の膜厚比は、通常1:0.5〜20程度、好まし
くは1:1〜10とする。
【0036】(4)クリヤー塗料の塗布 本発明では、耐火性を付与すべき躯体に発泡耐火シート
を積層して石材調仕上塗材を塗布した後に化粧面の保護
を目的としてさらにクリヤー塗料を塗布することもでき
る。特に耐候性が要求される構造物外部の部位に施工す
る際には保護の目的でクリヤー塗料を塗布するのが好ま
しい。
【0037】本発明クリヤー塗料は、特に限定されず公
知のものが使用できる。例えば、アクリル樹脂系、ウレ
タン樹脂系、エポキシ樹脂系、アクリルシリコン系、フ
ッ素系等が挙げられる。また、水系又は溶剤系のいずれ
であっても良いが、特に内装部分に塗装する際には水系
の方が望ましい。また、クリヤー塗料は、非汚染タイプ
の方が好ましい。さらに、艶消しタイプでも艶有りタイ
プでもいずれであっても良い。
【0038】クリヤー塗料による塗装は、公知の塗装に
よれば良く、例えば吹き付け塗装、ローラー塗装、刷毛
塗り等の各種の塗装方法により実施することができる。
特に、内装部分を塗装する場合には、ローラー塗装、刷
毛塗り等により行うことが好ましい。
【0039】(5)化粧用下塗材の塗布 発泡耐火シートを積層する工程に続いて、石材調仕上塗
材を塗布するに先立って必要に応じて化粧用下塗材(単
に「下塗材」ともいう)を発泡耐火シートに塗布しても
良い。主として、発泡耐火シート積層後のシート面と仕
上塗材との密着を高めることができる。また、化粧目地
を形成する際には、着色タイプの下塗材を使用して目地
部分とすることも可能である。特に、発泡耐火シートが
耐水性の低い材質からなる場合は、その耐水性を高める
ために予め化粧用下塗材を塗布することが好ましい。
【0040】下塗材としては、シート面及び仕上塗材と
の密着性が確保できる限り特に限定されず、公知のもの
も使用できる。例えば、シーラー、プライマー、下地調
整材、サーフェーサー等のほか、通常のフラットタイプ
の塗料も適用できる。また、クリヤータイプ又は着色タ
イプのいずれでも良い。また、発泡耐火シートの耐水性
を損なわない限り、水系・溶剤系のいずれでも良い。内
装部分を施工する場合には、水系のものを使用するのが
好ましい。化粧仕上げを行う際に目地を形成させる場合
は、下塗材を目地色に着色して使用すれば良い。
【0041】本発明における化粧用下塗材の塗装は、公
知の塗装方法に従えば良く、例えば吹き付け塗装、ロー
ラー塗装、刷毛塗り等により行うことができる。特に、
内装部分に使用する場合は養生等の手間を考慮するとロ
ーラー、刷毛塗り等によるのが適当である。
【0042】下塗材の膜厚としては、適用する部位等に
応じて適宜設定すれば良く、通常は10〜1000μm
程度、好ましくは100〜500μmとすれば良い。
【0043】(6)目地有り化粧仕上げ 本発明の耐火化粧工法は、耐火性を付与する躯体を発泡
耐火シートで被覆した後に石材調仕上塗材を塗布する
が、これを塗布する際に定量的に目地を形成しながら仕
上げを行うことも可能である。
【0044】目地を形成させる際には、公知の目地形成
用型枠等を用いることができる。例えば、目地形成用シ
ート、目地棒、目地テープ等が挙げられる。その他にも
埋込タイプの目地棒を使用しても良い。
【0045】目地を形成させる場合には、下地が目地と
なって露出するため、下地となる発泡耐火シート面又は
化粧用下塗材を予め目地色に着色しておくことが好まし
い。また、埋め目地タイプの目地棒を使用する場合はあ
えて着色する必要性はない。また、江戸切り目地と呼ば
れる2段目地、3段目地等を適宜形成することも可能で
ある。
【0046】
【発明の効果】本発明の耐火化粧工法によれば、耐火性
を付与すべき躯体に耐火性と意匠性を併せて付与するこ
とができる。
【0047】すなわち、石材調仕上塗材はある程度厚み
のある塗膜を形成するため、発泡耐火シートで被覆した
際に発生する不陸を目立たなくすることができ、その結
果として工期の短縮も可能となる。その一方で、発泡耐
火シートは、その発泡が妨げられることがないので、本
来の耐火性をそのまま発揮することができる。
【0048】本発明の方法では、コンクリート、金属面
に石材調の仕上げを行うことにより、無機質になりがち
な建築・土木構造物に自然な風合いを与えることができ
る。
【0049】このように、本発明の耐火化粧工法は、耐
火性を付与すべき躯体に耐火化粧工法により耐火性と意
匠性を付与するものであるが、既存の建築物・土木構造
物の耐火性を付与すべき躯体に適用できることはもちろ
ん、建築・土木構造物を形成する資材に工場にて先に施
工し、次いで組立てを行うようないわゆる「プレコー
ト」も可能である。
【0050】
【実施例】以下、実施例及び比較例を示し、本発明の特
徴とするところをより一層明確にする。なお、表中の数
値はいずれも重量部で示す。
【0051】実施例1 表1に示す配合の耐火塗料組成物を幅300mm、長さ
900mm及び厚さ1.5mmのシート状に成形して発
泡耐火シートを多数準備した。錆止め塗装された直径4
00mmの鉄骨円柱に対し、アクリル樹脂系接着剤を塗
布量約200g/m2を目安として刷毛で塗布し、その上か
ら上記発泡耐火シートを貼り付けた。その際に、目地突
き合わせ部において部分的に隙間ができているところが
あったため、表1に示す配合の耐火性パテをその部位に
パテベラで塗布した。この場合、パテ処理した目地部は
パテ跡等が生じて十分に平滑なものではなかった。
【0052】次いで、発泡耐火シートの上から化粧用下
塗材として表2に示す配合の合成樹脂系水性エマルショ
ン塗料(灰黒色に着色されたもの)をエアスプレーによ
り全面に塗布した。塗膜が乾燥した後、上記円柱の断面
における円周を4等分し、また縦方向には400mm間
隔に墨出しして厚さ2mm及び幅10mmの目地棒を貼
り付けた。
【0053】その上から、さらに表3に示す配合の水性
石材調仕上塗材A色を約3kg/m2の塗布量で吹付け、乾
燥後に目地棒を除去したところ、赤御影石調の石材を貼
り付けたような塗装仕上げ面が得られた。このようにし
て得られた耐火化粧層は、下地である鉄骨円柱には耐火
性能を付与できると同時に、耐火シートの突き合わせ部
の凹凸状態がほとんど目立たない重厚な化粧仕上がり面
とすることができた。
【0054】実施例2 表1に示す配合の耐火塗料組成物を乾燥膜厚0.5mm
になるように離型紙上に連続的に塗布して乾燥した後、
さらにそのシート面にアクリル系粘着剤を塗布しながら
ロール状に巻き取った。次いで、これを幅150mmに
切断し、ロール状の粘着剤付き発泡耐火シートを得た。
【0055】次に、錆止め塗装が行われた径200mm
の鉄骨丸鋼管に対し、離型紙を剥がしながら上記発泡耐
火シートを巻き付けるようにして貼り付けた。発泡耐火
シートどうしは互いに約10mm幅で重ね合わせた。
【0056】その上から、さらに表3に示す配合の水性
石材調仕上塗材B色及びC色を追いかけ吹付けにより約
5kg/m2の塗布量で吹付け、乾燥させた。その結果、御
影石調の石柱の外観をもつ耐火被覆鋼管が得られた。こ
のようにして得られた耐火化粧層は、下地である鉄骨丸
鋼管に耐火性能を付与すると同時に、耐火シートの突き
合わせ部の凹凸状態がほとんど目立たない重厚な化粧仕
上がり面とすることができた。
【0057】実施例3 表1に示す配合の耐火塗料組成物を厚さ0.5mmのポ
リエステル製不織布に脱気しながら十分含浸させた後、
乾燥させることにより寸法安定性の良い着色耐火シート
を得た。上記シートを450mm×450mmの寸法に
切断し、これを火災時の爆裂防止の目的で400mm角
のコンクリート柱に貼り付けた。貼り付けは、塩化ビニ
ル系接着剤を用いて行った。耐火シートどうしの目地部
は突き合わせとし、余分のシートはカッターで切断し
た。その際に、目地突き合わせ部に部分的に隙間ができ
ていたため、幅30mmのテープ状に切断した耐火シー
トを接着剤を介して突き合わせ部に貼り付けた。
【0058】その後、実施例1と同様の目地棒を貼り付
けた。その上から、表3に示す配合の水性石材調仕上塗
材B色及びC色を追いかけ吹付けにより約5kg/m2の塗
布量で吹付け、乾燥した後に目地棒を除去した。
【0059】さらに、アクリル樹脂系水性クリア塗料を
塗布し、乾燥した。その結果、御影石調の仕上げ感じを
有する耐火被覆柱が得られた。このようにして得られた
耐火化粧層は、下地であるコンクリート柱の火災時にお
ける爆裂を防止すると同時に、目地重ね部分の凹凸も殆
ど目立たない仕上がり面とすることができた。また、容
易に耐火シートを貼り付けることができ、目地部の処理
も容易であった。
【0060】実施例4 表1に示す配合の耐火塗料組成物を厚さ80μmのステ
ンレススチール箔に塗布量約2kg/m2の割合で均一に塗
布したものを乾燥させて、厚さ1mmのステンレススチ
ール箔付き耐火シートを得た。この耐火シートを木材の
火災時における燃焼を抑える目的で200mmの集成木
材の柱に貼り付けた。貼り付けは、耐火シートの耐火塗
料層が表になるように柱表面に沿わせ、柱全体を覆うよ
うにして釘で打ち付けて固定した。耐火シートどうしの
目地部は突き合わせとし、その部分は別途に上記耐火シ
ートを30mm幅のなるように切ったものを貼って隙間
のないようにした。
【0061】その上から、表3に示す配合の水性石材調
仕上塗材A色及びB色を追いかけ吹付けにより約4kg/m
2の塗布量で吹付け、乾燥させたところ、均一な石材調
の外観を有する耐火性木柱が得られた。このようにして
得られた耐火化粧層は、下地である木柱に耐火性能を付
与すると同時に、重厚な仕上がり感を付与することがで
きた。
【0062】比較例1 実施例2において作製した発泡耐火シートを錆止め塗装
された径200mmの鉄骨丸鋼管に巻き付けるようにし
て貼り付けた。シートどうしは互いに約10mm幅で重
ね合わせた。その上から単色の溶剤型アクリル樹脂系エ
ナメルを塗布量300g/m2の塗布量で吹付け、乾燥させ
たところ、耐火シート重ね合わせ部の段差が目立ち、仕
上がり感は良くなかった。
【0063】比較例2 比較例1では耐火シートの重ね合わせ部分の仕上がり感
が悪かったので、比較例2では耐火シートが重ならない
ようにして耐火シートを巻き付けたところ、突き合わせ
部に隙間ができた。そのため、隙間を表1に示す配合の
耐火性パテで塗り込んで隙間をなくす処理をした。
【0064】しかし、パテ処理跡が目立ったため、さら
に次のような表面処理を行った。サンドペーパーで削っ
て平滑にし、さらに単色の溶剤型アクリル樹脂系エナメ
ルを塗布量300g/m2で吹付け塗装し、乾燥させたとこ
ろ、ようやく良好な仕上がり面を得ることができた。こ
のように、施工にあたり、目地部のパテ処理、研磨等の
工程に手間取り、時間も非常にかかった。
【0065】
【表1】
【0066】
【表2】
【0067】
【表3】
フロントページの続き (72)発明者 藤原 武士 大阪府茨木市清水1丁目25番10号 エスケ ー化研株式会社研究所内 (72)発明者 大内 富夫 東京都調布市飛田給2丁目19番1号 鹿島 建設株式会社技術研究所内 (72)発明者 宮本 圭一 東京都調布市飛田給2丁目19番1号 鹿島 建設株式会社技術研究所内

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】耐火性を付与すべき躯体に対し、(1)発
    泡耐火シートにより躯体を被覆する第一工程、(2)天
    然石粉砕物及び着色骨材の少なくとも1種ならびに結合
    材を含有する石材調仕上塗材を塗布する第二工程からな
    る耐火化粧工法。
  2. 【請求項2】第二工程の後に、さらにクリヤー塗料を塗
    布する第三工程を含む請求項1記載の耐火化粧工法。
  3. 【請求項3】第二工程において、予め発泡耐火シート上
    に化粧用下塗材を塗布した後に、石材調仕上塗材を塗布
    する請求項1又は2に記載の耐火化粧工法。
  4. 【請求項4】第二工程において、石材調仕上塗材を塗布
    する際に目地を形成させる請求項1乃至3のいずれかに
    記載の耐火化粧工法。
  5. 【請求項5】予め目地色に着色した発泡耐火シートを使
    用する請求項4に記載の耐火化粧工法。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2006194077A (ja) * 1999-12-01 2006-07-27 Sk Kaken Co Ltd 発泡耐火シート被覆工法
JP2021095809A (ja) * 2019-12-19 2021-06-24 ケイミュー株式会社 耐火構造
JP2021099003A (ja) * 2019-12-23 2021-07-01 ケイミュー株式会社 機能性材施工構造

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JP2021095809A (ja) * 2019-12-19 2021-06-24 ケイミュー株式会社 耐火構造
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