JPH11116663A - 熱硬化性組成物およびそれから得られる硬化物ならびにその製造方法 - Google Patents

熱硬化性組成物およびそれから得られる硬化物ならびにその製造方法

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JPH11116663A
JPH11116663A JP28566497A JP28566497A JPH11116663A JP H11116663 A JPH11116663 A JP H11116663A JP 28566497 A JP28566497 A JP 28566497A JP 28566497 A JP28566497 A JP 28566497A JP H11116663 A JPH11116663 A JP H11116663A
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勉 船越
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Masaru Kunimura
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 本発明は、機械的性質、電気的性質、接着
性、耐熱性、耐湿性、耐薬品性などに優れ、塗料、コー
ティング剤、接着剤、電気絶縁材料、半導体封止材料、
土木建築材料などの用途分野に、エポキシ樹脂の代替品
として有用な新規な硬化物製造用の熱速硬化性組成物、
該組成物の硬化方法、およびその方法によって得られる
新規な硬化物を提供する。 【解決手段】 本発明は、分子中に1〜4個のオキセタ
ン環を有する化合物、オキシラン化合物および分子中に
2個以上のカルボキシル基を有するポリカルボン酸と、
場合によりさらに第四オニウム塩とからなる熱硬化性組
成物、該組成物を無溶媒状態下ではオキセタン化合物、
オキシラン化合物およびポリカルボン酸の融点のうち最
も低い温度以上、300℃以下の温度で、また、反応溶
媒中では50〜300℃の温度で、重付加反応および重
縮合反応を行わしめて得られる三次元網目構造を有する
新規な硬化物、および、その製造方法に関する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、新規な硬化物製造
用の、オキセタン化合物とオキシラン化合物とポリカル
ボン酸とを含む熱硬化性組成物、該組成物の硬化方法、
およびその方法によって得られる新規な硬化物に関す
る。さらに詳しくは、分子中に1〜4個のオキセタン環
を有するオキセタン化合物、分子中に1個以上のオキシ
ラン環を有する化合物および分子中に2個以上のカルボ
キシル基を有するポリカルボン酸を含み、好ましくはこ
れらの化合物に加えてさらに第四オニウム塩を含み、加
熱することによって新規な硬化物を製造し得る熱硬化性
組成物;触媒としての第四オニウム塩の存在下または不
存在下、前記熱硬化性組成物を、無溶媒状態下では前記
オキセタン化合物、オキシラン化合物およびポリカルボ
ン酸のうち最も低い融点を有する化合物の融点以上、か
つ300℃以下の温度に、また、反応溶媒中では50〜
300℃の温度に加熱して前記オキセタン化合物および
オキシラン化合物と前記ポリカルボン酸とを重付加反応
せしめ、続いて、前記オキセタン化合物および/または
オキシラン化合物中にもともと存在していたか、もしく
は該重付加反応により側鎖中に生成したヒドロキシメチ
ル基と前記ポリカルボン酸とを重縮合反応せしめること
からなる前記熱硬化性組成物の硬化方法;および該硬化
方法によって製造される新規な硬化物に関する。
【0002】本発明の熱硬化性組成物は、熱、または、
熱および第四オニウム塩触媒の作用を受けて分子間架橋
による硬化反応(前記オキセタン化合物およびオキシラ
ン化合物と前記ポリカルボン酸との重付加反応、ならび
に、前記オキセタン化合物中にもともと存在していたか
もしくは前記重付加反応により側鎖に生成したヒドロキ
シメチル基、および、前記重付加反応により側鎖に生成
した水酸基と前記ポリカルボン酸との重縮合反応)を起
こし、不溶不融の三次元網目構造の新規な硬化物を形成
することにより、優れた機械的性質(引張強さ、硬さな
ど)、電気的性質(電気絶縁性など)、接着性、耐熱
性、耐湿性、耐薬品性などを示すものであり、エポキシ
樹脂の代替品として、塗料やコーティング剤、接着剤、
電気絶縁材料、ICや超LSI封止材料、積層板および
その他の電気・電子部品、コンクリート構造物の補修、
新旧コンクリートの打継、補強鋼板の接着、各種ライニ
ングなどの土木建築用途、複合材料用途などの分野への
使用が大いに期待できる。
【0003】
【従来の技術】3員環のエーテル化合物であるエポキシ
ド、つまり、オキシランや4員環のエーテル化合物であ
るオキセタンは、炭素−酸素間の結合が分極しているこ
とから高い反応性を示す。最近、カチオン重合における
これらオキシランやオキセタンの高い反応性を利用し、
カチオン性光重合開始剤の存在下でのオキシランおよび
/またはオキセタンの光カチオン重合が幾つか報告され
ている(特開平6−16804号公報、特開平7−53
711号公報、特開平7−62082号公報、特開平7
−173279号公報、特開平8−230348号公
報、特開平8−239623号公報、特開平8−269
392号公報、特開平8−277385号公報、特開平
9−31186号公報など参照)。例えば、特開平6−
16804号公報には、下記式(I)
【0004】
【化1】
【0005】(式中、R1 は、水素原子、フッ素原子、
1価の炭化水素基、1価のフッ素置換炭化水素基などで
あり、R2 は、線状または分岐状アルキレン基、線状ま
たは分岐状ポリ(アルキレンオキシ)基、ケイ素含有
基、芳香族環含有炭化水素基などの2〜4価の多価基で
あり、Zは、酸素原子または硫黄原子であり、mは、
2、3または4である)で示される3−置換オキセタン
モノマーと、トリアリールスルホニウム塩などのカチオ
ン性光重合開始剤との混合物を紫外線に暴露することを
特徴とする、前記3−置換オキセタンモノマーを含む光
硬化性オキセタン組成物、これらのオキセタンモノマー
の硬化方法、および該硬化方法によって得られる架橋プ
ロピルオキシポリマーが、また、シリコーンエポキシ
ド、ビス環状脂肪族エポキシド、縮合環の付加歪を欠い
たエポキシドなどの分子中に1個以上のオキシラン環を
有するモノマーと前記カチオン性光重合開始剤との混合
物を紫外線に暴露することが開示されている。
【0006】また、特開平7−53711号公報、特開
平7−62082号公報、特開平7−173279号公
報、特開平8−230348号公報、特開平8−239
623号公報、特開平8−269392号公報、特開平
8−277385号公報および特開平9−31186号
公報などには、分子中に2個以上のオキセタン環を有す
る化合物、分子中に1個以上のオキシラン環を有する化
合物および紫外線、X線、電子線などの活性エネルギー
線の照射によりカチオン重合を開始させる化合物からな
る活性エネルギー線硬化型組成物が開示されており、さ
らに、該組成物の硬化速度を用いたオキセタン環を有す
る化合物自体の硬化速度と同等ないしそれ以上の優れた
ものとし得る旨の記載がある。
【0007】ところで、有機化学反応のなかでオキシラ
ン化合物の付加反応を応用したものとしては従来より多
数の報告例があり、例えば、オキシラン化合物と、脂肪
族ポリアミン、芳香族ポリアミン、ポリアミド、酸無水
物、フェノール、ポリメルカプタンなどとの重付加反応
による種々の硬化物が得られることが知られている。
【0008】一方、オキセタン化合物の付加反応を応用
した報告例をみると、オキセタン化合物とアシルクロラ
イドとの付加反応(K.Sato,A.Kameyama and T.Nishiku
bo,Macromolecules, 25,1198(1992)を参照)、オキセ
タン化合物と活性エステルとの付加反応(T.Nishikubo
and S.Kazuya,Chem. Lett.,697(1991)を参照)および
触媒に第四オニウム塩やクラウンエーテル錯体を用いて
ビスオキセタン化合物とビスアシルハライドとの重付加
反応を穏和な条件下で速やかに進行せしめることによる
側鎖に反応性クロロメチル基を有するポリエステルの合
成(A.Kameyama,Y.Yamamoto and T.Nishikubo,J.Polym.
Sci.,Part A:Polym.Chem.,31, 1639〜1641(1993)およ
びA.Kameyama,Y.Yamamoto and T.Nishikubo,Macromol.
Chem.Phys., 197,1147 〜1157(1996)などを参照)など
が報告されているにすぎない。
【0009】そこで、本発明者らは、オキセタン環の新
しい反応の開発とその高分子合成への展開を目的とし
て、分子中に1〜4個のオキセタン環を有するオキセタ
ン化合物と分子中に2個以上のカルボキシル基を有する
ポリカルボン酸との重付加反応について鋭意研究した結
果、前記オキセタン化合物とポリカルボン酸と場合によ
りさらに触媒としての第四オニウム塩との混合物からな
る熱硬化性オキセタン組成物、該熱硬化性オキセタン組
成物を、無溶媒状態下では前記オキセタン化合物の融点
もしくは前記ポリカルボン酸の融点のいずれか低い方の
温度以上、かつ300℃以下の温度に加熱して、また、
反応溶媒中では50〜300℃の温度に加熱して、前記
オキセタン化合物の開環と該開環部分への前記ポリカル
ボン酸の重付加反応、ならびに、前記オキセタン化合物
中にもともと存在するかまたは前記重付加反応によって
生成したヒドロキシメチル基と前記ポリカルボン酸との
重縮合反応を同時進行せしめることによる硬化物の製造
方法、および、該製造方法により得られる分子間架橋さ
れた三次元網目構造を有する不溶不融の新規な熱硬化物
について、先に報告した(特願平9−203411号明
細書を参照)。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前記オ
キセタン化合物とポリカルボン酸と場合によりさらに触
媒としての第四オニウム塩との混合物を上述のようにし
て加熱することにより硬化物を製造するに際し、前記オ
キセタン化合物とポリカルボン酸との硬化反応、すなわ
ち、前記オキセタン化合物の開環と該開環部分への前記
ポリカルボン酸の重付加反応、ならびに、前記オキセタ
ン化合物中にもともと存在するかまたは前記重付加反応
によって生成したヒドロキシメチル基と前記ポリカルボ
ン酸との重縮合反応の速度が遅く、したがって目的とす
る硬化物が得られるまでの固化時間が長くなり、生産性
の面においてなお改善の余地があった。本発明の目的
は、優れた機械的性質、電気的性質、接着性、耐熱性、
耐湿性、耐薬品性などを示すことにより、エポキシ樹脂
の代替品としての利用が大いに期待できる新規な硬化物
製造用のオキセタン化合物、オキシラン化合物およびポ
リカルボン酸と、場合によってはさらに第四オニウム塩
とを含む熱硬化性組成物、該組成物の迅速な硬化方法、
およびその方法によって得られる新規な硬化物を提供す
ることである。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記の課
題を解決するために鋭意検討を重ねた結果、触媒として
の第四オニウム塩の存在下または不存在下に、前記オキ
セタン化合物と前記オキシラン化合物と前記ポリカルボ
ン酸との混合物を、無溶媒状態下では前記オキセタン化
合物、オキシラン化合物およびポリカルボン酸のうち、
最も低い融点を有する化合物の融点以上、かつ300℃
以下の温度に、また、反応溶媒中では50〜300℃の
温度に加熱して、前記オキセタン化合物およびオキシラ
ン化合物の開環と該開環部分への前記ポリカルボン酸の
重付加反応、ならびに、前記オキセタン化合物中にもと
もと存在するかまたは前記重付加反応によって生成した
ヒドロキシメチル基、および、前記重付加反応によって
生成した水酸基と前記ポリカルボン酸との重縮合反応を
同時進行せしめることにより、分子間架橋された三次元
網目構造を有する不溶不融の新規な熱硬化物が、前記オ
キセタン化合物と前記ポリカルボン酸との硬化反応の場
合や前記オキシラン化合物と前記ポリカルボン酸との硬
化反応の場合に比べて同等ないしそれ以上の早い反応時
間で得られることを見い出し、本発明を完成するに至っ
た。
【0012】すなわち、請求項1に記載の第1の発明
は、分子中に1〜4個のオキセタン環を有する化合物
(A)の少なくとも1種、分子中に1個以上のオキシラ
ン環を有する化合物(B)の少なくとも1種および分子
中に2個以上のカルボキシル基を有する化合物(C)の
少なくとも1種からなる熱硬化性組成物を提供すること
で達成できる。請求項2に記載の第2の発明は、分子中
に1〜4個のオキセタン環を有する化合物(A)の少な
くとも1種、分子中に1個以上のオキシラン環を有する
化合物(B)の少なくとも1種および分子中に2個以上
のカルボキシル基を有する化合物(C)の少なくとも1
種からなる混合物を加熱することを特徴とする硬化物の
製造方法を、また請求項3に記載の第3の発明は、分子
中に1〜4個のオキセタン環を有する化合物(A)の少
なくとも1種、分子中に1個以上のオキシラン環を有す
る化合物(B)の少なくとも1種および分子中に2個以
上のカルボキシル基を有する化合物(C)の少なくとも
1種からなる混合物を加熱して得られる硬化物を、それ
ぞれ、提供することで達成できる。
【0013】請求項4に記載の第4の発明は、前記第1
の発明に係わる化合物(A)の少なくとも1種、化合物
(B)の少なくとも1種および化合物(C)の少なくと
も1種と、第四オニウム塩とを含んでなる熱硬化性組成
物を提供することで達成できる。そして、請求項5に記
載の第5の発明は、化合物(A)の少なくとも1種と、
化合物(B)の少なくとも1種と、化合物(C)の少な
くとも1種との混合物を第四オニウム塩の存在下に加熱
することを特徴とする前記第2の発明に係わる硬化物の
製造方法を、請求項6に記載の第6の発明は、前記第3
の発明に係わる化合物(A)の少なくとも1種、化合物
(B)の少なくとも1種および化合物(C)の少なくと
も1種と、第四オニウム塩との混合物を加熱して得られ
る硬化物を、それぞれ、提供することで達成できる。
【0014】また、請求項7に記載の第7の発明は、化
合物(A)の少なくとも1種と、化合物(B)の少なく
とも1種と、化合物(C)の少なくとも1種との混合物
を、無溶媒状態下、該化合物(A)、化合物(B)およ
び化合物(C)のうち最も低い融点を有する化合物の融
点以上、かつ300℃以下の温度に加熱することを特徴
とする前記第2の発明に係わる硬化物の製造方法を、請
求項8に記載の第8の発明は、化合物(A)の少なくと
も1種と、化合物(B)の少なくとも1種と、化合物
(C)の少なくとも1種との混合物を、反応溶媒中、5
0〜300℃の温度に加熱することを特徴とする前記第
2の発明に係わる硬化物の製造方法を、請求項9に記載
の第9の発明は、化合物(A)の少なくとも1種と、化
合物(B)の少なくとも1種と、化合物(C)の少なく
とも1種との混合物を第四オニウム塩の存在下に加熱す
ることを特徴とする前記第7または第8の発明に係わる
硬化物の製造方法を、それぞれ、提供することで達成で
きる。
【0015】さらにまた、請求項10に記載の第10の
発明、請求項11に記載の第11の発明および請求項1
2に記載の第12の発明は、それぞれ、第四オニウム塩
がテトラn−ブチルホスホニウムブロマイド、テトラフ
ェニルホスホニウムクロライド、テトラフェニルホスホ
ニウムブロマイドおよびテトラフェニルホスホニウムア
イオダイドからなる群から選ばれる第四ホスホニウム塩
であることを特徴とする、前記第4の発明に係わる熱硬
化性組成物、前記第5または第9の発明に係わる硬化物
の製造方法および前記第6の発明に係わる硬化物を提供
することで達成できる。
【0016】
【発明の実施の形態】以下に、本発明を詳しく説明す
る。本発明の熱硬化性組成物は、分子中に1〜4個のオ
キセタン環を有する化合物であるオキセタン化合物
(A)の少なくとも1種と、分子中に1個以上のオキシ
ラン環を有する化合物であるオキシラン化合物(B)の
少なくとも1種と、分子中に2個以上のカルボキシル基
を有する化合物であるポリカルボン酸(C)の少なくと
も1種との混合物、または、前記オキセタン化合物
(A)の少なくとも1種、前記オキシラン化合物(B)
の少なくとも1種および前記ポリカルボン酸(C)の少
なくとも1種と、第四オニウム塩との混合物であり、後
述する硬化方法によって本発明の新規な硬化物を製造し
得るものである。
【0017】そこでまず、本発明の熱硬化性組成物の一
成分である前記オキセタン化合物(A)について述べ
る。本発明に用いられる前記オキセタン化合物(A)
は、上述したように、分子中に1〜4個のオキセタン環
を有する化合物である。分子中に1個のオキセタン環を
有する化合物は、下記一般式(II)
【0018】
【化2】
【0019】(ただし、式中、R3 は、水素原子または
1〜6個の炭素原子を有するアルキル基を示す)で表わ
される化合物である。1〜6個の炭素原子を有するアル
キル基を例示すると、メチル基、エチル基、n−プロピ
ル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、
sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル
基、イソペンチル基、ネオペンチル基、n−ヘキシル基
およびイソヘキシル基などの直鎖または分岐鎖のアルキ
ル基が挙げられる。分子中に1個のオキセタン環を有す
る化合物としては、前記一般式(II)においてR3 が水
素原子である3−ヒドロキメチルオキセタン、R3 がメ
チル基である3−メチル−3−ヒドロキメチルオキセタ
ンおよびR3 がエチル基である3−エチル−3−ヒドロ
キシメチルオキセタンの使用が好ましく、これらの中で
も3−メチル−3−ヒドロキシメチルオキセタンおよび
3−エチル−3−ヒドロキシメチルオキセタンの使用が
特に好ましい。
【0020】一方、分子中に2個のオキセタン環を有す
る化合物は、下記一般式(III)
【0021】
【化3】
【0022】(式中、R4 は、前記一般式(II)におけ
るR3 と同様の基であり、R5 は、エチレン基、トリメ
チレン基、プロピレン基、テトラメチレン基、1,2−
ブチレン基、1,3−ブチレン基、2,3−ブチレン
基、ペンタメチレン基、ヘキサメチレン基、オクタメチ
レン基などの1〜12個の炭素原子を有する線状または
分岐状アルキレン基、プロペニレン基、メチルプロペニ
レン基、ブテニレン基などの1〜12個の炭素原子を有
する線状または分岐状不飽和炭化水素基、下記一般式
(IV)
【0023】
【化4】 で示される芳香族炭化水素基、下記一般式(V)
【0024】
【化5】 で示される芳香族炭化水素基、下記式
【0025】
【化6】 で示されるカルボニル基、下記一般式(VI)
【0026】
【化7】 で示されるカルボニル基を含むアルキレン基、下記式
【0027】
【化8】 などで示されるカルボニル基含有脂環式炭化水素基、下
記式
【0028】
【化9】 などで示されるカルボニル基含有芳香族炭化水素基およ
び下記一般式(VII)
【0029】
【化10】
【0030】で示される基からなる群から選択される2
価の原子価を持つ基である。そして、R6 は、水素原
子、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピ
ル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基
およびtert−ブチル基などの1〜4個の炭素原子を
有する直鎖または分岐鎖のアルキル基、メトキシ基、エ
トキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ
基、イソブトキシ基、sec−ブトキシ基およびter
t−ブトキシ基などの1〜4個の炭素原子を有するアル
コキシ基、フッ素原子、塩素原子、臭素原子およびヨウ
素原子などのハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、メル
カプト基、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル
基、プロポキシカルボニル基およびブトキシカルボニル
基などの炭素原子数1〜4の低級アルキルカルボキシレ
ート基、カルボキシル基、カルバモイル基、ならびにメ
チルカルバモイル基、エチルカルバモイル基、プロピル
カルバモイル基およびブチルカルバモイル基などの炭素
原子数1〜4のN−アルキルカルバモイル基からなる群
から選ばれる原子価が1の基であり、R7 は、O、S、
CH2 、NH、SO、SO2 、C(CF3)2 またはC
(CH3)2 である。またYは、場合により置換された1
〜12個の炭素原子を有する線状または分岐状アルキレ
ン基、下記式
【0031】
【化11】 あるいは
【化12】 で示される基など、場合により置換された原子価2の脂
環式炭化水素基、または下記式
【0032】
【化13】
【0033】あるいは
【化14】 で示される基などの場合により置換されたアリーレン基
であり、kは、1〜20の整数である)で表わされるビ
スオキセタンである。
【0034】本発明における分子中に2個のオキセタン
環を有する化合物としては、前記一般式(III)におい
て、R4 が低級アルキル基のものが好ましく、メチル基
およびエチル基のものがより好ましい。そして、前記一
般式(III)におけるR5 としては、1〜12個の炭素原
子を有する線状アルキレン基のものや、前記一般式(I
V)で示される原子価が2の芳香族炭化水素基のものが
好ましく、ヘキサメチレン基、前記一般式(IV)におい
てR6 が水素原子である基のものがより好ましい。した
がって、上記の分子中に2個のオキセタン環を有する化
合物の好ましい具体例としては、下記式(1)〜(7)
で示されるビスオキセタンなどが挙げられる。
【0035】
【化15】
【0036】つまり、式(1)〜(4)で示される化合
物は、前記一般式(III)において、R4 がエチル基であ
り、R5 が、それぞれ、エチレン基、テトラメチレン
基、ヘキサメチレン基およびオクタメチレン基であるビ
スオキセタンである。式(5)で示される化合物は、前
記一般式(III)において、R4 がエチル基、R5 が前記
一般式(IV)でR6 が水素原子であるビスオキセタンで
ある。また、式(6)で示される化合物は、前記一般式
(III)において、R4 がエチル基、R5 がカルボニル基
であるビスオキセタンである。そして、式(7)で示さ
れる化合物は、前記一般式(III)において、R4 がエチ
ル基、R5 が式
【0037】
【化16】 で示されるカルボニル基含有芳香族炭化水素基であるビ
スオキセタンである。
【0038】本発明に用いられる分子中に3または4個
のオキセタン環を有する化合物は、下記一般式(VIII)
【0039】
【化17】
【0040】(式中、R8 は、前記一般式(II)におけ
るR3 と同様の基であり、R9 は、炭化水素基、置換さ
れた炭化水素基、下記一般式(IX)
【0041】
【化18】 で示される基、および下記一般式(X)
【0042】
【化19】
【0043】で示される基からなる群より選択される原
子価が3または4の多価基であり、nは、3もしくは4
である。なお、上記一般式(IX)および一般式(X)に
おいて、Z1 およびZ2 は、いずれも場合により置換さ
れている原子価が3または4の脂肪族、脂環式または芳
香族炭化水素基であり、pおよびqは、共に3もしくは
4である)で表わされる化合物である。
【0044】前記3または4価の炭化水素基、あるい
は、置換された3または4価の炭化水素基としては、下
記式(8)〜(10)で示される多価基などの炭素原子
数1〜12の分岐状アルキレン基を例示することができ
る。
【0045】
【化20】
【0046】上記式(8)において、R10は、水素原
子、またはメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソ
プロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブ
チル基あるいはtert−ブチル基などの1〜4個の炭
素原子を有する低級アルキル基である。
【0047】また、前記一般式(IX)において、場合に
より置換されている3または4価の炭化水素基であるZ
1 としては、下記式
【0048】
【化21】
【0049】で示される3価の芳香族炭化水素基を挙げ
ることができる。さらにまた、前記一般式(X)におい
て、場合により置換されている3または4価の炭化水素
基であるZ2 としては、下記式
【0050】
【化22】
【0051】あるいは
【化23】 で示される3価の脂環式または芳香族炭化水素基を挙げ
ることができる。
【0052】そして、本発明に用いられる分子中に3ま
たは4個のオキセタン環を有する化合物として、具体的
には、前記一般式(VIII)において、R8 が低級アルキ
ル基であり、R9 が前記式(8)で示される原子価が3
で炭素原子数1〜12の分岐状アルキレン基や、前記一
般式(IX)で示される基であるものが好ましい。さらに
は、前記一般式(VIII)において、R8 がエチル基であ
り、R9 が、前記式(8)でR10がエチル基であるも
の、または、前記一般式(IX)でZ1 が下記式
【0053】
【化24】 で示される芳香族炭化水素基、かつpが3であるものが
より好ましい。
【0054】本発明に用いられる上述したような分子中
に1〜4個のオキセタン環を有する化合物(A)は、次
のようにして製造され得る。例えば、前記一般式(II)
で示される分子中に1個のオキセタン環を有する化合物
は、下記式(11)のように、パティソン(Pattison)
(J.Am.Chem.Soc.,1957,79を参照)の方法により、
1,3−ジオールから合成することができる。
【0055】
【化25】
【0056】具体的には、前記一般式(II)においてR
3 がエチル基である3−エチル−3−ヒドロキシメチル
オキセタンは、トリメチロールプロパンと炭酸ジエチル
から上記パティソンの方法により得られる。
【0057】前記一般式(III)において、R5 が1〜1
2個の炭素原子を有する線状または分岐状アルキレン
基、1〜12個の炭素原子を有する線状または分岐状不
飽和炭化水素基、あるいは前記一般式(V)で示される
芳香族炭化水素基である分子中に2個のエーテル基を含
むビスオキセタン化合物は、前述のパティソンの方法に
より合成された3−エチル−3−ヒドロキシメチルオキ
セタンと、ジハライドとから、下記化学式(12)のよ
うに合成することができる。
【0058】
【化26】
【0059】前記の化学式(12)において、R5aは、
1〜12個の炭素原子を有する線状または分岐状アルキ
レン基、1〜12個の炭素原子を有する線状または分岐
状不飽和炭化水素基、あるいは前記一般式(V)で示さ
れる芳香族炭化水素基であり、X1 は、臭素原子、塩素
原子またはヨウ素原子である。また、前記一般式(III)
において、R5 が、前記一般式(VI)でkが1〜6の整
数であるカルボニル基を含むアルキレン基または前述の
【0060】
【化27】 などで示されるカルボニル基含有芳香族炭化水素基であ
る分子中に2個のエステル基を含むビスオキセタン化合
物は、前述のパティソンの方法により合成された3−エ
チル−3−ヒドロキシメチルオキセタンと、ジエステル
化合物とから、米国特許第3278554号明細書に記
載されているように、エステル交換反応を用いて次式
(13)のように調製することができる。
【0061】
【化28】
【0062】なお、前記式(13)において、R11は、
1〜6個の炭素原子を有する線状または分岐状アルキレ
ン基、または下記式
【0063】
【化29】
【0064】で示される芳香族炭化水素基であり、R12
は、場合により置換された脂肪族、脂環式あるいは芳香
族炭化水素基である。また、前記一般式(VIII)におい
て、nが3または4である、すなわち、分子中に3また
は4個のオキセタン環を有する化合物は、前述のビスオ
キセタン化合物と同様にして調製することができる。例
えば、前記式(12)においてR5aが3または4個の置
換可能基を含む直鎖もしくは分岐鎖のアルキレン基であ
るときに、適当な前記一般式(VIII)で表わされる化合
物が合成され得る。
【0065】本発明では、前記熱硬化性組成物を構成す
る分子中に1〜4個のオキセタン環を有する化合物
(A)として、前述の分子中に1個のオキセタン環を有
する化合物、分子中に2個のオキセタン環を有するビス
オキセタン化合物、あるいは分子中に3または4個のオ
キセタン環を有する化合物から選ばれる1種類が単独使
用されてもよく、また、これらの2種類以上が併用され
たものであってもよい。
【0066】次に、本発明の熱硬化性組成物を構成する
第2成分である分子中に1個以上のオキシラン環を有す
る化合物、すなわち、オキシラン化合物(B)は、分子
中に1個以上の下記式
【0067】
【化30】
【0068】で示される1,2−エポキシド、つまり、
オキシラン環を有する化合物であり、通常、エポキシ樹
脂として用いられているものであれば、モノマー、オリ
ゴマーまたはポリマーのいずれも使用可能である。オキ
シラン化合物(B)の具体例としては、従来公知の脂肪
族エポキシ樹脂、脂環族エポキシ樹脂および芳香族エポ
キシ樹脂が挙げられる。なお、以下エポキシ樹脂とは、
モノマー、オリゴマーまたはポリマーを意味する。
【0069】脂肪族エポキシ樹脂の好ましいものとして
は、下記一般式(XI)
【0070】
【化31】
【0071】(式中、R13およびR14は、独立に、水素
または1〜20個の炭素原子を含むヒドロカルビルであ
る)で表わされる分子内に1個のエポキシ基を含むオキ
シラン化合物が挙げられる。代表的なものとしては、エ
チレンオキサイド、プロピレンオキサイド、1,2−エ
ポキシブタン、シス2,3−エポキシブタン、トランス
2,3−エポキシブタン、ブタジエンモノオキサイド、
エポキシヘキサン、エポキシオクタン、エポキシデカ
ン、エポキシドデカン、エポキシヘキサデカン、エポキ
シオクタデカンなどのアルキレンオキサイド、エポキシ
ヘキセン、エポキシオクテンなどのエポキシ基と2重結
合不飽和基を有する化合物、グリシジルメチルエーテ
ル、グリシジルイソプロピルエーテル、グリシジルブチ
ルエーテル、グリシジルアクリレート、グリシジルメタ
クリレート、脂肪族高級アルコールのモノグリシジルエ
ーテルなどのグリシジル基を有する化合物などの分子内
に1個のエポキシ基を含む化合物、および、脂肪族多価
アルコールあるいはそのアルキレンオキサイド付加体の
ジまたはポリグリシジルエーテルなどの分子内に2個以
上のエポキシ基を有するオキシラン化合物が挙げられ
る。この分子内に2個以上のエポキシ基を有するオキシ
ラン化合物の代表例としては、ジエポキシブタン、ジエ
ポキシオクタン、各種エポキシ基を両末端に有するオリ
ゴマー、エチレングリコールのジグリシジルエーテル、
1,4−ブタンジオールのジグリシジルエーテルまたは
1,6−ヘキサンジオールのジグリシジルエーテルなど
のアルキレングリコールのジグリシジルエーテル、テト
ラエチレングリコールのジグリシジルエーテル、グリセ
リンあるいはそのアルキレンオキサイド付加体のジまた
はトリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパンの
トリグリシジルエーテルなどの多価アルコールのポリグ
リシジルエーテル、ポリエチレングリコールあるいはそ
のアルキレンオキサイド付加体のジグリシジルエーテ
ル、ポリプロピレングリコールあるいはそのアルキレン
オキサイド付加体のジグリシジルエーテルなどのポリア
ルキレングリコールあるいはそのアルキレンオキサイド
付加体のジグリシジルエーテルなどが挙げられる。ここ
で、アルキレンオキサイド付加体におけるアルキレンオ
キサイドとしては、エチレンオキサイド、プロピレンオ
キサイド他上述のアルキレンオキサイドを好適に挙げる
ことができる。
【0072】脂環族エポキシ樹脂としては、少なくとも
1個のシクロヘキセン環またはシクロペンテン環などの
シクロアルカン環を有する化合物を、過酸化水素、過酸
などの適当な酸化剤でエポキシ化することによって得ら
れる、シクロヘキセンオキサイドまたはシクロペンテン
オキサイド含有化合物が好ましく、具体例としては、下
記式
【0073】
【化32】
【0074】などで示される分子内に1個のエポキシ基
を含む脂環族オキシラン化合物の他、分子内に2個のエ
ポキシ基を含む脂環族オキシラン化合物として、下記式
【0075】
【化33】
【0076】で示される3,4−エポキシシクロヘキシ
ルメチル−3,4−エポキシシクロヘキシルカルボキシ
レート、下記式
【0077】
【化34】
【0078】などで示されるケイ素含有脂環族オキシラ
ン化合物、および、下記式
【0079】
【化35】
【0080】などで示される脂環族オキシラン化合物な
どが挙げられる。
【0081】そして、芳香族エポキシ樹脂として好まし
いものは、フェノールのモノグリシジルエーテル、クレ
ゾールのモノグリシジルエーテル、エポキシプロピルベ
ンゼンおよびスチレンオキシドなどの分子内に1個のエ
ポキシ基を含む芳香族オキシラン化合物、および、少な
くとも1個の芳香核を有する多価フェノールあるいはそ
のアルキレンオキサイド付加体とエピクロルヒドリンと
の反応によって製造されるジまたはポリグリシジルエー
テルなどの分子内に2個以上のエポキシ基を有する芳香
族オキシラン化合物である。この分子内に2個以上のエ
ポキシ基を有する芳香族オキシラン化合物としては、例
えばビスフェノールAあるいはそのアルキレンオキサイ
ド付加体のジまたはポリグリシジルエーテル、水素添加
ビスフェノールAあるいはそのアルキレンオキサイド付
加体のジまたはポリグリシジルエーテル、およびノボラ
ック型エポキシ樹脂などが挙げられる。ここで、アルキ
レンオキサイド付加体におけるアルキレンオキサイドと
しては、前記脂肪族エポキシ樹脂の場合と同様、前述し
たアルキレンオキサイドを好適に挙げることができる。
【0082】本発明では、前記熱硬化性組成物を構成す
る分子中に1個以上のオキシラン環を有する化合物
(B)として、上述の脂肪族エポキシ樹脂、脂環族エポ
キシ樹脂および芳香族エポキシ樹脂から選ばれる1種類
が単独使用されてもよく、また、これらの2種類以上が
併用されたものであってもよい。
【0083】一方、本発明の熱硬化性組成物の残りのも
う一つの構成成分である前記ポリカルボン酸(C)は、
前述したように、分子中に2個以上のカルボキシル基を
有する化合物である。分子中に2個のカルボキシル基を
有する化合物であるジカルボン酸としては、シュウ酸、
マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリ
ン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ウンデ
カン二酸、ドデカン二酸、トリデカン二酸、テトラデカ
ン二酸、ペンタデカン二酸、ヘキサデカン二酸、オクタ
デカン二酸、ノナデカン二酸およびエイコサン二酸など
の2〜20個の炭素原子を有する直鎖脂肪族飽和ジカル
ボン酸、メチルマロン酸、エチルマロン酸、n−プロピ
ルマロン酸、n−ブチルマロン酸、メチルコハク酸、エ
チルコハク酸および1,1,3,5−テトラメチルオク
チルコハク酸などの3〜20個の炭素原子を有する分岐
鎖脂肪族飽和ジカルボン酸、マレイン酸、フマル酸、シ
トラコン酸、γ−メチルシトラコン酸、メサコン酸、γ
−メチルメサコン酸、イタコン酸およびグルタコン酸な
どの直鎖または分岐鎖脂肪族不飽和ジカルボン酸、ヘキ
サヒドロフタル酸、ヘキサヒドロイソフタル酸、ヘキサ
ヒドロテレフタル酸、下記式
【0084】
【化36】
【0085】でそれぞれ示されるメチルヘキサヒドロフ
タル酸、メチルヘキサヒドロイソフタル酸およびメチル
ヘキサヒドロテレフタル酸、シクロヘキセン−1,2−
ジカルボン酸、シクロヘキセン−1,6−ジカルボン
酸、シクロヘキセン−3,4−ジカルボン酸およびシク
ロヘキセン−4,5−ジカルボン酸などのテトラヒドロ
フタル酸、シクロヘキセン−1,3−ジカルボン酸、シ
クロヘキセン−1,5−ジカルボン酸およびシクロヘキ
セン−3,5−ジカルボン酸などのテトラヒドロイソフ
タル酸、シクロヘキセン−1,4−ジカルボン酸および
シクロヘキセン−3,6−ジカルボン酸などのテトラヒ
ドロテレフタル酸、1,3−シクロヘキサジエン−1,
2−ジカルボン酸、1,3−シクロヘキサジエン−1,
6−ジカルボン酸、1,3−シクロヘキサジエン−2,
3−ジカルボン酸、1,3−シクロヘキサジエン−5,
6−ジカルボン酸、1,4−シクロヘキサジエン−1,
2−ジカルボン酸および1,4−シクロヘキサジエン−
1,6−ジカルボン酸などのジヒドロフタル酸、1,3
−シクロヘキサジエン−1,3−ジカルボン酸および
1,3−シクロヘキサジエン−3,5−ジカルボン酸な
どのジヒドロイソフタル酸、1,3−シクロヘキサジエ
ン−1,4−ジカルボン酸、1,3−シクロヘキサジエ
ン−2,5−ジカルボン酸、1,4−シクロヘキサジエ
ン−1,4−ジカルボン酸および1,4−シクロヘキサ
ジエン−3,6−ジカルボン酸などのジヒドロテレフタ
ル酸、下記式
【0086】
【化37】
【0087】で示されるメチルテトラヒドロフタル酸、
エンドメチレンテトラヒドロフタル酸、エンドシス−ビ
シクロ〔2.2.1〕ヘプト−5−エン−2,3−ジカ
ルボン酸(商品名:ナジック酸)およびメチル−エンド
シス−ビシクロ〔2.2.1〕ヘプト−5−エン−2,
3−ジカルボン酸(商品名:メチルナジック酸)などの
飽和または不飽和脂環式ジカルボン酸、下記式
【0088】
【化38】
【0089】で表わされるクロレンディック酸、フタル
酸、テレフタル酸、イソフタル酸、3−メチルフタル
酸、3−エチルフタル酸、3−n−プロピルフタル酸、
3−イソプロピルフタル酸、3−n−ブチルフタル酸、
3−イソブチルフタル酸、3−sec−ブチルフタル酸
および3−tert−ブチルフタル酸などの3−アルキ
ルフタル酸、4−メチルフタル酸、4−エチルフタル
酸、4−n−プロピルフタル酸、4−イソプロピルフタ
ル酸、4−n−ブチルフタル酸、4−イソブチルフタル
酸、4−sec−ブチルフタル酸および4−tert−
ブチルフタル酸などの4−アルキルフタル酸、2−メチ
ルイソフタル酸、2−エチルイソフタル酸、2−n−プ
ロピルイソフタル酸、2−イソプロピルイソフタル酸、
2−n−ブチルイソフタル酸、2−イソブチルイソフタ
ル酸、2−sec−ブチルイソフタル酸および2−te
rt−ブチルイソフタル酸などの2−アルキルイソフタ
ル酸、4−メチルイソフタル酸、4−エチルイソフタル
酸、4−n−プロピルイソフタル酸、4−イソプロピル
イソフタル酸、4−n−ブチルイソフタル酸、4−イソ
ブチルイソフタル酸、4−sec−ブチルイソフタル酸
および4−tert−ブチルイソフタル酸などの4−ア
ルキルイソフタル酸、5−メチルイソフタル酸、5−エ
チルイソフタル酸、5−n−プロピルイソフタル酸、5
−イソプロピルイソフタル酸、5−n−ブチルイソフタ
ル酸、5−イソブチルイソフタル酸、5−sec−ブチ
ルイソフタル酸および5−tert−ブチルイソフタル
酸などの5−アルキルイソフタル酸、メチルテレフタル
酸、エチルテレフタル酸、n−プロピルテレフタル酸、
イソプロピルテレフタル酸、n−ブチルテレフタル酸、
イソブチルテレフタル酸、sec−ブチルテレフタル酸
およびtert−ブチルテレフタル酸などのアルキルテ
レフタル酸、ナフタリン−1,2−ジカルボン酸、ナフ
タリン−1,3−ジカルボン酸、ナフタリン−1,4−
ジカルボン酸、ナフタリン−1,5−ジカルボン酸、ナ
フタリン−1,6−ジカルボン酸、ナフタリン−1,7
−ジカルボン酸、ナフタリン−1,8−ジカルボン酸、
ナフタリン−2,3−ジカルボン酸、ナフタリン−2,
6−ジカルボン酸、ナフタリン−2,7−ジカルボン
酸、アントラセン−1,3−ジカルボン酸、アントラセ
ン−1,4−ジカルボン酸、アントラセン−1,5−ジ
カルボン酸、アントラセン−1,9−ジカルボン酸、ア
ントラセン−2,3−ジカルボン酸およびアントラセン
−9,10−ジカルボン酸などの芳香族ジカルボン酸、
および、2,2’−ビス(カルボキシフェニル)ヘキサ
フルオロプロパンなどを具体的に挙げることができる。
また本発明では、ジカルボン酸として上記の他に、下記
一般式(XII)
【0090】
【化39】
【0091】(ただし、式中、R15は、O、S、SO、
SO2 、CH2 、C(CH3)2 あるいはC(CF3)2
ある)で示されるジカルボン酸を挙げることができ、具
体的には、前記一般式(XII)においてR15がSO2 であ
る4,4’−スルホニルジ安息香酸を挙げることができ
る。
【0092】分子中に3個以上のカルボキシル基を有す
るポリカルボン酸としては、トリカルバリル酸、クエン
酸、イソクエン酸およびアコニット酸などの脂肪族トリ
カルボン酸、ヘミメリト酸、トリメリト酸およびトリメ
シン酸などの芳香族トリカルボン酸、1,2,3,4−
ブタンテトラカルボン酸などの4〜13個の炭素原子を
有する脂肪族テトラカルボン酸、下記式
【0093】
【化40】
【0094】で示されるマレイン化メチルシクロヘキセ
ンテトラカルボン酸などの脂環式テトラカルボン酸、メ
ロファン酸、プレーニト酸、ピロメリト酸およびベンゾ
フェノンテトラカルボン酸などの芳香族テトラカルボン
酸、ヘキサヒドロメリト酸、ベンゼンペンタカルボン
酸、および、メリト酸などを挙げることができる。本発
明においては、これらポリカルボン酸(C)の中でも、
アジピン酸、セバシン酸、ドデカン二酸、ヘキサヒドロ
フタル酸、ヘキサヒドロイソフタル酸、ヘキサヒドロテ
レフタル酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、
4−メチルフタル酸、4−エチルフタル酸、ナフタリン
−2,6−ジカルボン酸、トリメリト酸およびピロメリ
ト酸などの使用が好ましい。また、上記ポリカルボン酸
(C)の2種類以上を併用することもできる。
【0095】ところで、本発明では、前述の分子中に1
〜4個のオキセタン環を有する化合物(A)の少なくと
も1種と、前述の分子中に1個以上のオキシラン環を有
する化合物(B)の少なくとも1種と、前述の分子中に
2個以上のカルボキシル基を有する化合物、すなわち、
ポリカルボン酸(C)の少なくとも1種との混合物を少
なくとも含んでなる熱硬化性組成物を、後述する方法で
加熱することによって硬化反応を行わしめ、硬化物を製
造するのである。この硬化反応は、前述したように、前
記化合物(A)と前記化合物(C)との重付加反応、お
よび前記化合物(A)中にもともと存在していたかまた
は該重付加反応により生成したヒドロキシメチル基と前
記化合物(C)との重縮合反応、ならびに、前記化合物
(B)と前記化合物(C)との重付加反応、および該重
付加反応により生成した水酸基と前記化合物(C)との
重縮合反応が同時進行することによって達成され得る。
そこで、前記化合物(A)と前記化合物(C)との前記
重付加反応は、下記反応式(14)〜(16)に示した
ように、前記化合物(A)中に含まれるオキセタン環の
開環と該開環部分への前記化合物(C)の付加重合によ
って進行するものであり、該反応は、前記化合物(A)
中に含まれるオキセタン環1個に対して前記化合物
(C)中に含まれるカルボキシル基1個が反応する形で
行われる。そして、前記化合物(A)として分子中に1
個のオキセタン環を有する化合物を使用した場合は、該
化合物中に含まれるオキセタン環1個に対して、該化合
物中にもともと含まれていたヒドロキシメチル基1個と
前記反応により新たに側鎖に生成したヒドロキシメチル
基1個との合計2個のヒドロキシメチル基が生成する。
また、前記化合物(A)として分子中に2ないし4個の
オキセタン環を有する化合物を使用した場合は、該化合
物中に含まれるオキセタン環1個に対して1個の割合で
側鎖にヒドロキシメチル基が生成する。一方、前記化合
物(B)と前記化合物(C)との前記重付加反応は、下
記反応式(17)に示したように、前記化合物(B)中
に含まれるオキシラン環の開環と該開環部分への前記化
合物(C)の付加重合によって進行するものであり、該
反応は、前記化合物(B)中に含まれるオキシラン環1
個に対して前記化合物(C)中に含まれるカルボキシル
基1個が反応する形で行われる。そして、前記化合物
(B)中に含まれるオキシラン環1個に対して1個の割
合で側鎖に水酸基が生成する。
【0096】
【化41】
【0097】
【化42】
【0098】
【化43】
【0099】
【化44】
【0100】次に、前記化合物(A)中にもともと存在
していたかまたは前記化合物(A)と前記化合物(C)
との重付加反応により生成したヒドロキシメチル基と前
記化合物(C)との前記重縮合反応は、下記反応式(1
8)〜(20)に示したように、これらヒドロキシメチ
ル基1個に対して、前記化合物(C)中に含まれるカル
ボキシル基1個が反応する形で行われる。また、前記化
合物(B)と前記化合物(C)との重付加反応により生
成した水酸基と前記化合物(C)との前記重縮合反応
は、下記反応式(21)に示したように、該水酸基1個
に対して、前記化合物(C)中に含まれるカルボキシル
基1個が反応する形で行われる。
【0101】
【化45】
【0102】
【化46】
【0103】
【化47】
【0104】
【化48】
【0105】なお、前記反応式(14)〜(21)にお
いて、R3 は前記一般式(II)におけるR3 と同様の基
であり、R4 およびR5 は、それぞれ、前記一般式(II
I)におけるR4 およびR5 と同様の基であり、R8 およ
びR9 は、それぞれ、前記一般式(VIII)におけるR8
およびR9 と同様の基であり、nは前記一般式(VIII)
におけるnと同じ意味を表わす。
【0106】そこで、前記重付加反応と重縮合反応が同
時進行で行われる熱硬化性組成物の硬化反応全体からみ
ると、前記化合物(A)中に含まれるオキセタン環およ
び/またはヒドロキシメチル基、ならびに該硬化反応の
進行中に生成するヒドロキシメチル基の各1個、すなわ
ち、各1当量あたり、また、前記化合物(B)中に含ま
れるオキシラン環、ならびに該硬化反応の進行中に生成
する水酸基の各1個、すなわち、各1当量あたり、それ
ぞれ、前記化合物(C)中に含まれるカルボキシル基1
個、すなわち、1当量が反応することになる。したがっ
て、前記化合物(A)として分子中に1個のオキセタン
環を有する化合物を使用した場合は、該化合物1モルに
対して前記化合物(C)中に含まれるカルボキシル基3
個が、そして、前記化合物(A)として分子中に2ない
し4個のオキセタン環を有する化合物を使用した場合
は、該化合物中に含まれるオキセタン環1個に対して前
記化合物(C)中に含まれるカルボキシル基2個が、そ
してまた、前記化合物(B)中に含まれるオキシラン環
1個に対して前記化合物(C)中に含まれるカルボキシ
ル基2個が反応することになる。
【0107】そこで、前記化合物(C)の1分子当たり
に含まれるカルボキシル基数をn1として、前記化合物
(A)に対する前記化合物(C)の化学量論量、すなわ
ち、前記化合物(A)の1モル当たりに必要とされる前
記化合物(C)のモル数、ならびに、前記化合物(B)
に対する前記化合物(C)の化学量論量、すなわち、前
記化合物(B)の1モル当たりに必要とされる前記化合
物(C)のモル数を求めると、それぞれ、以下のように
なる。例えば、前記化合物(A)として分子中に1個の
オキセタン環を有する化合物を使用した場合、該化合物
1モル当たり1個のオキセタン環が含まれる。したがっ
て、n1 ≧2であることから、前記反応式(14)およ
び(18)で示される硬化反応においては、前記化合物
(A)1モル当たり(2n1 −3)個のカルボキシル
基、すなわち、(2n1 −3)/n1 モルの前記化合物
(C)が余ることになるが、これら余剰の化合物(C)
中のカルボキシル基は、前記化合物(A)または前記化
合物(B)と前記化合物(C)との更なる重付加反応や
重縮合反応に関与することになる。そして、前記硬化反
応において、前記化合物(A)1モル当たり、最終的に
3/n1 モルの前記化合物(C)が消費されることにな
るため、前記化合物(A)に対する前記化合物(C)の
化学量論量(N1)は、下記数式(I)
【0108】
【数1】
【0109】で表わされ得る。具体的には、前記化合物
(C)がn1 =2のジカルボン酸であるとき、前記化合
物(A)に対する前記化合物(C)の化学量論量(N1)
は上記数式(I)より求めると1であるから、前記化合
物(A)と前記化合物(C)とは、理論的には等モル量
で使用すればよい。また、前記化合物(A)として分子
中にn2 (ただし、n2 は2、3または4である)個の
オキセタン環を有する化合物を使用した場合、該化合物
1モル当たりにn2 個のオキセタン環が含まれる。した
がって、前記反応式(15)および(19)もしくは前
記反応式(16)および(20)で示される硬化反応、
すなわち、重付加反応と重縮合反応が進行する際に、前
記化合物(A)1モル当たりn2 ×(n1 −2)個のカ
ルボキシル基、つまり、n2 ×(n1 −2)/n1 モル
の前記化合物(C)が余ることになるが、これら余剰の
化合物(C)中のカルボキシル基は、前記化合物(A)
または前記化合物(B)と前記化合物(C)との更なる
重付加反応や重縮合反応に関与することになる。そし
て、前記硬化反応では、前記化合物(A)中に含まれる
オキセタン環1個に対して前記化合物(C)中に含まれ
るカルボキシル基2個が反応することになるから、前記
化合物(A)の1モル当たり、最終的には2n2 /n1
モルの前記化合物(C)が消費されることになる。した
がって、前記化合物(A)に対する前記化合物(C)の
化学量論量(N2)は、下記数式(II)
【0110】
【数2】
【0111】で表わされ得る。具体的には、前記化合物
(A)がn2 =2のビスオキセタン、かつ前記化合物
(C)がn1 =2のジカルボン酸であるとき、上記数式
(II)より求められる前記化合物(A)に対する前記化
合物(C)の化学量論量(N2)が2であるから、理論的
には、前記化合物(A)1モルに対して前記化合物
(C)を2モル使用すればよい。前記化合物(A)がn
2 =2のビスオキセタン、かつ前記化合物(C)がn1
=3のトリカルボン酸であるときは、上記数式(II)よ
り求められる前記化合物(A)に対する前記化合物
(C)の化学量論量(N2)が2/3であるから、理論的
には、前記化合物(A)1モルに対して2/3モルの前
記化合物(C)を使用すればよい。また、前記化合物
(A)がn2 =3のオキセタン化合物であり、かつ前記
化合物(C)がn1 =2のジカルボン酸であるときは、
上記数式(II)より求められる前記化合物(A)に対す
る前記化合物(C)の化学量論量(N2)が3であるか
ら、理論的には、前記化合物(A)1モルに対して前記
化合物(C)3モルを使用すればよい。さらにまた、前
記化合物(A)がn2 =4のオキセタン化合物であり、
かつ前記化合物(C)がn1 =2のジカルボン酸である
ときは、上記数式(II)より求められる前記化合物
(A)に対する前記化合物(C)の化学量論量(N2)が
4であるから、理論的には、前記化合物(A)1モルに
対して前記化合物(C)4モルを使用すればよいことに
なる。
【0112】また、前記化合物(B)として分子中にn
3 個のオキシラン環を有する化合物を使用した場合、該
化合物1モル当たりn3 個のオキセタン環が含まれる。
よって、前記反応式(17)および(21)で示される
硬化反応、すなわち、重付加反応と重縮合反応が進行す
る際に、前記化合物(B)1モル当たりn3 ×(n1
2)個のカルボキシル基、すなわち、n3 ×(n1
2)/n1 モルの前記化合物(C)が余ることになる
が、これら余剰の化合物(C)中のカルボキシル基は、
前記化合物(A)または前記化合物(B)と前記化合物
(C)との更なる重付加反応や重縮合反応に関与するこ
とになる。そして、前記硬化反応では、前記化合物
(B)中に含まれるオキシラン環1個に対して前記化合
物(C)中に含まれるカルボキシル基2個が反応するこ
とになるから、前記化合物(B)の1モル当たり、最終
的に2n3 /n1 モルの前記化合物(C)が消費される
ことになる。したがって、前記化合物(B)に対する前
記化合物(C)の化学量論量(N3)は、下記数式(III)
【0113】
【数3】
【0114】で表わされ得る。具体的には、前記化合物
(B)がn3 =1のオキシラン化合物で、前記化合物
(C)がn1 =2のジカルボン酸であるとき、上記数式
(III)より求められる前記化合物(B)に対する前記化
合物(C)の化学量論量(N3)が1であるから、理論的
には、前記化合物(B)1モルに対して等モル量の前記
化合物(C)を使用すればよい。また、前記化合物
(B)がn3 =2のオキシラン化合物であり、前記化合
物(C)がn1 =2のジカルボン酸であるとき、上記数
式(III)より求められる前記化合物(B)に対する前記
化合物(C)の化学量論量(N3)が2であるから、理論
的には、前記化合物(B)1モルに対して前記化合物
(C)を2モル使用すればよい。さらに、前記化合物
(A)がn3 =2のオキシラン化合物であり、かつ前記
化合物(C)がn1 =3のトリカルボン酸であるとき
は、上記数式(III)より求められる前記化合物(B)に
対する前記化合物(C)の化学量論量(N3)が2/3で
あるから、理論的には、前記化合物(B)1モルに対し
て2/3モルの前記化合物(C)を使用すればよい。
【0115】なお、本発明においては、前述したよう
に、分子中に2〜4個のオキセタン環を有するオキセタ
ン化合物(A)中に含まれるオキセタン環の数(n2)
は、使用されるオキセタン化合物(A)の種類によって
2、3または4の値をとり得、また、オキシラン化合物
(B)中に含まれるオキシラン環の数(n3)は、使用さ
れるオキシラン化合物(B)の種類によって1以上の値
をとり得、そして、前記化合物(C)の1分子当たりに
含まれるカルボキシル基数(n1)は、使用される前記化
合物(C)の種類によって2以上の値をとり得るが、前
記範囲内でとり得る任意のn1 の値に対して前記数式
(I)により求められるN1 の値、前記範囲内でとり得
る任意のn2 およびn1 の値に対して前記数式(II)に
より求められるN2 の値、あるいは、前記範囲内でとり
得る任意のn3 およびn1 の値に対して前記数式(III)
により求められるN3 の値が0または負の値となる場
合、前記化合物(A)または前記化合物(B)の1モル
に対して、それぞれ、等モル量の前記化合物(C)を使
用すればよい。
【0116】以上述べた如く、本発明における前記化合
物(A)に対する前記化合物(C)の化学量論量は、前
記化合物(A)中に含まれるオキセタン環1当量に対し
て前記化合物(C)中に含まれるカルボキシル基が2当
量、そして前記化合物(A)中にヒドロキシメチル基が
含まれる場合は、さらに、該ヒドロキシメチル基1当量
に対して前記化合物(C)中に含まれるカルボキシル基
が1当量となるような量であり、また、前記化合物
(B)に対する前記化合物(C)の化学量論量は、前記
化合物(B)中に含まれるオキシラン環1当量に対して
前記化合物(C)中に含まれるカルボキシル基が2当量
となるような量であるが、本発明では、前記化合物
(A)または前記化合物(B)に対して、上記化学量論
量の0.5〜2倍量、好ましくは0.7〜1.5倍量の
前記化合物(C)を使用することが望ましい。前記化合
物(C)の使用量が前記化学量論量の0.5倍より少な
いと、前記化合物(A)または前記化合物(B)と前記
化合物(C)との重付加反応および重縮合反応が十分進
行せず硬化物の分子量が十分増加しないため、優れた機
械的性質、電気的性質、接着性、耐熱性、耐湿性、耐薬
品性などを示す本発明の目的硬化物が得られない。ま
た、前記化合物(C)の使用量が前記化学量論量の2倍
を越えると、得られた硬化物中に前記化合物(C)が未
反応のまま大量に残存することになるので好ましくな
い。
【0117】さらに、前記化合物(B)の配合量として
は、前記化合物(A)と前記化合物(B)の合計量10
0重量部に対して5〜80重量部、好ましくは5〜60
重量部、より好ましくは10〜50重量部であることが
望ましい。前記化合物(B)の配合量が5重量部に満た
ない場合は、次に詳述する硬化反応の速度、つまり、前
記化合物(A)および前記化合物(B)と前記化合物
(C)との重付加反応および前記化合物(A)中にもと
もと存在していたかまたは該重付加反応により生成した
ヒドロキシメチル基、ならびに該重付加反応により生成
した水酸基と前記化合物(C)との重縮合反応の速度を
増加せしめ、よって硬化物が得られるまでの固化時間を
早める効果の発現が十分ではない。また、80重量部を
越える前記化合物(B)の配合量としても、この速硬化
性におけるそれ以上の向上は望めない。なお、これらの
好ましくない現象の発現を確実に防止するためには、前
記化合物(B)の配合量は、上述の好ましい範囲内、さ
らには上述のより好ましい範囲内とする方がよいことは
言うまでもない。
【0118】すなわち、本発明の一つの態様である熱硬
化性組成物は、前述したように、分子中に1〜4個のオ
キセタン環を有する化合物であるオキセタン化合物
(A)の少なくとも1種と、分子中に1個以上のオキシ
ラン環を有する化合物であるオキシラン化合物(B)の
少なくとも1種と、分子中に2個以上のカルボキシル基
を有するポリカルボン酸(C)の少なくとも1種とを上
述したような割合で配合してなる混合物である。
【0119】次に、本発明のもう一つの態様である硬化
方法は、上記熱硬化性組成物を加熱し、熱硬化させるこ
とを特徴とするものであり、詳細は、以下に述べる通り
である。本発明において、前記オキセタン化合物(A)
中に含まれるオキセタン環の開環と該開環部分への前記
ポリカルボン酸(C)の重付加反応(以下単に「前記化
合物(A)と前記化合物(C)との重付加反応」とい
う)、および前記オキセタン化合物(A)中にもともと
存在するかもしくは前記重付加反応によって側鎖に生成
したヒドロキシメチル基と前記ポリカルボン酸(C)と
の重縮合反応(以下単に「前記化合物(A)と前記化合
物(C)との重縮合反応」という)、ならびに、前記オ
キシラン化合物(B)中に含まれるオキシラン環の開環
と該開環部分への前記ポリカルボン酸(C)の重付加反
応(以下単に「前記化合物(B)と前記化合物(C)と
の重付加反応」という)、および前記重付加反応によっ
て側鎖に生成した水酸基と前記ポリカルボン酸(C)と
の重縮合反応(以下単に「前記化合物(B)と前記化合
物(C)との重縮合反応」という)は、無溶媒状態下ま
たは反応溶媒中で行われる。反応溶媒を用いる場合、前
記化合物(A)および前記化合物(B)と前記化合物
(C)との重付加反応が後述するように高温下で行われ
るため、本発明の反応溶媒は、高沸点であることが望ま
しく、さらに、前記化合物(A)、前記化合物(B)お
よび前記化合物(C)の少なくとも一つを溶解もしくは
膨潤する作用を有し、かつ、これら化合物(A)、化合
物(B)および化合物(C)と反応性を有しないものが
用いられ得る。
【0120】上記反応溶媒としては、N,N−ジメチル
ホルムアミド(DMF)、N,N−ジメチルアセトアミ
ド(DMAC)およびヘキサメチルリン酸トリアミド
(HMPA)などのアミド化合物、ジエチレングリコー
ルエチルエーテル、ジグライム(ジエチレングリコール
ジメチルエーテル)、トリグライム(トリエチレングリ
コールジメチルエーテル)、アニソールおよびフェネト
ールなどのエーテル化合物、o−ジクロロベンゼン、m
−ジクロロベンゼンおよび3,4−ジクロロトルエンな
どのハロゲン化芳香族炭化水素、ニトロベンゼン、ジメ
チルスルホキシド(DMSO)、スルホラン、テトラメ
チル尿素およびN−メチル−2−ピロリドン(NM
P)、あるいはこれらの溶媒の2種以上の混合物など、
無極性もしくは極性の低い溶媒から極性の高い溶媒まで
種々の溶媒を好適に用いることができるが、これらの中
でもDMF、DMAC、HMPA、DMSOおよびNM
Pなどの使用が好ましい。
【0121】反応溶媒の使用量は、前記化合物(A)、
前記化合物(B)および前記化合物(C)の少なくとも
一つを溶解もしくは膨潤するに足る量以上であればよ
く、使用される反応溶媒の種類は勿論のこと、前記化合
物(A)や前記化合物(B)や前記化合物(C)の仕込
み量、後述する触媒の種類と使用量、反応温度および反
応時間などの重付加反応および重縮合反応の条件、さら
には、これらの反応に際して、前記化合物(A)、前記
化合物(B)および前記化合物(C)の少なくとも一つ
を反応溶媒中に溶解するのか、それとも反応溶媒で膨潤
するのかにより異なるので、一概に規定することは困難
である。したがって、例えば、前記反応溶媒としてHM
PA、DMSO、DMACおよびNMPなどの極性溶媒
を使用する場合、反応溶媒の使用量は、前記オキセタン
化合物(A)および前記オキシラン化合物(B)の合計
量に対して1〜10倍量(容量/重量比)が好ましい。
該使用量が1倍量未満では、前記化合物(A)、前記化
合物(B)および前記化合物(C)の少なくとも一つの
上記極性反応溶媒への溶解もしくは膨潤が十分ではな
く、反応が不均一系で進行するようになるので、均一な
重付加反応や重縮合反応が行われず、得られる硬化物の
品質にばらつきが生じることがある。一方、10倍量を
越える上記極性反応溶媒を使用しても、前記化合物
(A)、前記化合物(B)および前記化合物(C)の少
なくとも一つを溶解もしくは膨潤して重付加反応や重縮
合反応を均一系で進行せしめるという反応溶媒の効果は
すでに達成されてしまっているので、それ以上の効果は
期待できないばかりか、所望により硬化物から反応溶媒
を除去・回収することが必要となる場合、反応溶媒の反
応系からの回収に必要以上のエネルギーを消費するな
ど、採算上好ましくない。
【0122】また、本発明の硬化方法において、前記化
合物(A)および前記化合物(B)と前記化合物(C)
との重付加反応および重縮合反応は、触媒としての第四
オニウム塩の存在下または不存在下に行われ得る。該触
媒は、前記反応式(14)〜(21)に示したような前
記化合物(A)および前記化合物(B)と前記化合物
(C)との重付加反応および重縮合反応による三次元網
目構造を有する不溶不融の新規な硬化物の生成を促進す
る作用を有するものである。
【0123】本発明の硬化方法における触媒の第四オニ
ウム塩は、下記一般式(XIII)
【0124】
【化49】
【0125】(式中、R16〜R22は、互いに同一でも異
なっていてもよい水素原子、ヒドロキシアルキル基、ア
ルキル基、アリール基またはアルアルキル基を表わし、
これらがアルキル基もしくはアルアルキル基である場合
は、炭素数1〜30の直鎖状、分岐状または環状の炭化
水素基である。M1 は、窒素原子、リン原子、砒素原子
またはアンチモン原子を表わし、M2 は、酸素原子、硫
黄原子、セレン原子または錫原子を表わし、そしてM3
は、ヨウ素原子を表わす。またX2 は、ハロゲン原子、
水酸基、アルコキシド、炭酸基、重炭酸基、リン酸二水
素基および重硫酸基からなる群より選ばれる1価の陰イ
オンを表わす)で示される化合物である。
【0126】具体的には、前記一般式(XIII)におい
て、M1 が窒素原子である場合のアンモニウム化合物、
1 がリン原子である場合のホスホニウム化合物、M1
が砒素原子である場合のアルソニウム化合物、M1 がア
ンチモン原子である場合のスチボニウム化合物、M2
酸素原子である場合のオキソニウム化合物、M2 が硫黄
原子である場合のスルホニウム化合物、M2 がセレン原
子である場合のセレノニウム化合物、M2 が錫原子であ
る場合のスタンノニウム化合物、そして、M3 がヨウ素
原子である場合のヨードニウム化合物などが挙げられ
る。そして、上記のアンモニウム化合物の具体例とし
て、テトラn−ブチルアンモニウムクロライド(TBA
C)、テトラn−ブチルアンモニウムブロマイド(TB
AB)およびテトラn−ブチルアンモニウムアイオダイ
ド(TBAI)などのテトラn−ブチルアンモニウムハ
ライド(TBAX)が挙げられる。また、上記のホスホ
ニウム化合物の具体例としては、テトラn−ブチルホス
ホニウムクロライド(TBPC)、テトラn−ブチルホ
スホニウムブロマイド(TBPB)およびテトラn−ブ
チルホスホニウムアイオダイド(TBPI)などのテト
ラn−ブチルホスホニウムハライド(TBPX)および
テトラフェニルホスホニウムクロライド(TPPC)、
テトラフェニルホスホニウムブロマイド(TPPB)お
よびテトラフェニルホスホニウムアイオダイド(TPP
I)などのテトラフェニルホスホニウムハライド(TP
PX)などが挙げられる。
【0127】本発明の硬化方法では、上述した第四オニ
ウム塩触媒の中でも、TBAC、TBABおよびTBA
IなどのTBAX、TBPC、TBPBおよびTBPI
などのTBPX、および、TPPC、TPPBおよびT
PPIなどのTPPXなどのアンモニウム化合物やホス
ホニウム化合物の使用が好ましく、TBPBなどのTB
PXやTPPC、TPPBおよびTPPIなどのTPP
Xなど、耐熱性に優れたホスホニウム化合物の使用が特
に好ましい。なお、本発明の硬化方法においては、触媒
として上記第四オニウム塩の中から選ばれる2種以上を
混合して用いてもかまわない。
【0128】前記重付加反応および重縮合反応に必要と
される上述の第四オニウム塩触媒の量は、前記化合物
(A)や前記化合物(B)や前記化合物(C)の仕込み
量、無溶媒状態下で前記重付加反応および重縮合反応を
行うか否か、反応溶媒を使用した場合は反応溶媒の種類
および使用量、反応温度、反応圧力および反応時間など
の重付加反応および重縮合反応の条件などによって異な
り、一概に限定できないが、本発明の硬化方法における
触媒の使用量は、前記オキセタン化合物(A)および前
記オキシラン化合物(B)の合計量に対して30モル%
以下、好ましくは2〜20モル%が好適である。触媒の
使用量を前記化合物(A)および前記化合物(B)の合
計量に対して30モル%より多くしても、該触媒を多量
に用いることによる好ましい反応促進効果の向上はほと
んど認められないので、経済性の面からは好ましくな
い。なお、触媒の使用量が前記化合物(A)および前記
化合物(B)の合計量に対して2モル%未満では、前記
化合物(A)および前記化合物(B)と前記化合物
(C)との重付加反応および重縮合反応が十分進行せず
に、高分子量の硬化物を高収率で得ることができなくな
ることがある。
【0129】よって、本発明の一つの態様である前記熱
硬化性組成物は、前記化合物(A)および前記化合物
(B)と前記化合物(C)との重付加反応および重縮合
反応を触媒の存在下に行う場合、前記分子中に1〜4個
のオキセタン環を有するオキセタン化合物、すなわち、
前記化合物(A)の少なくとも1種と、前記分子中に1
個以上のオキシラン環を有するオキシラン化合物、すな
わち、前記化合物(B)の少なくとも1種と、前記分子
中に2個以上のカルボキシル基を有するポリカルボン
酸、すなわち、前記化合物(C)の少なくとも1種と、
触媒としての上記第四オニウム塩とを前述したような割
合で配合してなる混合物でもある。
【0130】本発明の硬化方法においては、前記化合物
(A)および前記化合物(B)と前記化合物(C)との
重付加反応および重縮合反応、すなわち、硬化反応を反
応溶媒中均一系で行う場合、前記化合物(A)、前記化
合物(B)および前記化合物(C)の少なくとも一つ
を、前記反応溶媒中に溶解した状態で、あるいは、前記
反応溶媒で膨潤させた状態で前記硬化反応を行う必要が
あり、そのためには、前記硬化反応の進行中、前記反応
溶媒を液体状態に維持すべきである。一方、前記硬化反
応を無溶媒状態下で行う場合は、前記硬化反応の進行
中、前記化合物(A)、前記化合物(B)および前記化
合物(C)の少なくとも一つを溶融状態に維持すべきで
ある。したがって、反応温度は、前記硬化反応を無溶媒
状態下に行う場合、前記化合物(A)、前記化合物
(B)および前記化合物(C)の少なくとも一つが溶融
状態であるような温度範囲にあるべきであり、少なくと
も、前記化合物(A)、前記化合物(B)および前記化
合物(C)のうち最も低い融点を有する化合物の融点以
上であるべきである。一方、前記硬化反応を前記反応溶
媒中で行う場合には、前記化合物(A)、前記化合物
(B)および前記化合物(C)のうち少なくとも一つの
化合物が前記反応溶媒中に溶解した状態、あるいは、前
記反応溶媒で膨潤された状態となるように、少なくとも
50℃以上である必要がある。しかしながら、これらの
場合、反応温度が300℃を越えると、本発明の硬化方
法によって得られる硬化物の望ましくない熱分解反応を
併発するようになるので、本発明の硬化反応における反
応温度は、該硬化反応を無溶媒状態下で行う場合、前記
化合物(A)、前記化合物(B)および前記化合物
(C)のうち最も低い融点を有する化合物の融点以上、
かつ、300℃以下の範囲であること、そして、該硬化
反応を前記反応溶媒中で行う場合は、50〜300℃の
範囲であることが好ましい。
【0131】本発明の硬化方法における前記化合物
(A)および前記化合物(B)と前記化合物(C)との
重付加反応および重縮合反応において、反応圧力は特に
制限されるものではなく、減圧、常圧および加圧のいず
れの状態下においても実施可能である。しかし、加圧下
で実施する場合は、製造設備に耐圧性能が要求される
し、また、減圧下で実施する場合には、減圧設備が必要
になるなど、経済性の面からは常圧下で実施するのが好
ましい。しかし、前記反応溶媒中で前記化合物(A)お
よび前記化合物(B)と前記化合物(C)との重付加反
応および重縮合反応、つまり、硬化反応を行う場合は、
前述したように、該硬化反応の進行中、前記反応溶媒が
液体状態を維持し得るような圧力条件が保持されなけれ
ばならない(したがって、前記硬化反応が加圧条件下で
行われる場合もあり得る)ことは言うまでもない。ま
た、前記硬化反応は、高温である程反応速度が速いの
で、得られる硬化物の収量や重合度を高める必要がある
場合、反応温度は、前述の範囲内でできるだけ高温にし
た方がよい。しかしながら、前記硬化反応の反応時の温
度が高すぎると、反応が不均一になり、得られる硬化物
の熱的性質や機械的性質などの品質に悪影響が生じた
り、使用するオキセタン化合物(A)、オキシラン化合
物(B)、ポリカルボン酸(C)および反応溶媒などが
熱的に不安定となったりする恐れがある。したがって、
このような場合は、反応系を減圧にして、前記反応温度
を低めに維持することが好ましい。
【0132】本発明の硬化方法における反応時間につい
ても、前記化合物(A)、前記化合物(B)および前記
化合物(C)の仕込み量、無溶媒状態下で重付加反応お
よび重縮合反応を行うか否か、反応溶媒を使用した場合
は前記反応溶媒の種類および使用量、前記触媒の種類お
よび使用量、ならびに、反応温度などの重付加反応およ
び重縮合反応の条件によって異なるが、0.1〜70時
間程度、好ましくは0.2〜50時間程度が好適であ
る。反応時間が約0.1時間より短いと、前記化合物
(A)および前記化合物(B)と前記化合物(C)との
重付加反応および重縮合反応がほとんど進行しないし、
また、約70時間より長くなると、目的生成物の三次元
網目構造を有する硬化物の収量および分子量におけるそ
れ以上の向上が望めないばかりか、得られる硬化物が長
時間の熱履歴を受けて、熱劣化による品質の低下を招く
恐れがあるなど、いずれの場合も好ましくない。
【0133】また、本発明の硬化方法における重付加反
応および重縮合反応は、得られる硬化物の望ましくない
酸化などによる劣化を防止するために、不活性ガス雰囲
気下に行われることが好ましい。不活性ガスとしては、
窒素ガスの他、アルゴンガスやヘリウムガスなどの希ガ
スが好適に使用され得る。
【0134】そして、本発明において、前記化合物
(A)、前記化合物(B)と前記化合物(C)との重付
加反応および重縮合反応による硬化物の製造方法、すな
わち、硬化方法は、特に限定されるものではなく、常法
に従って行えばよい。例えば、所望により所定量の前記
化合物(A)、前記化合物(B)および前記化合物
(C)の少なくとも一つを所定量の前記反応溶媒に溶解
もしくは膨潤した後、これら化合物を必要に応じて適当
な加熱装置を備えた反応容器に供給し、さらに、所望に
より触媒として所定量の前記第四オニウム塩を添加し、
常圧、あるいは、所定の減圧または加圧下に所定温度に
加熱し、所定時間反応を行えばよい。この場合、前記化
合物(C)は、所定量を一度に加えることなく、適宜量
に分割して加えることも可能である。また、前記第四オ
ニウム塩触媒も、反応系に所定量を一度に添加してもよ
く、または、適当な回数に分割して添加してもよい。
【0135】本発明の硬化方法では、以上のようにし
て、前記化合物(A)の少なくとも1種と前記化合物
(B)の少なくとも1種と前記化合物(C)の少なくと
も1種との混合物、または、前記化合物(A)の少なく
とも1種、前記化合物(B)の少なくとも1種、前記化
合物(C)の少なくとも1種および前記第四オニウム塩
の混合物である前記熱硬化性組成物を適切な形状の離型
性のある反応容器に充填し、無溶媒状態下、あるいは前
記反応溶媒中、前述した反応温度で前述した反応時間加
熱することにより、例えば前記反応式(14)〜(2
1)に示したような前記化合物(A)および前記化合物
(B)と前記化合物(C)との重付加反応および重縮合
反応、すなわち、硬化反応を行わしめた後、空冷、水冷
などの常法により常温まで冷却して得られた反応混合物
を前記反応容器から取り出し、場合によっては続いて、
熱風乾燥、真空乾燥および凍結乾燥などの公知の方法に
より100℃以下の温度で2〜16時間乾燥すればよ
い。これにより、本発明のもう一つの態様である三次元
網目構造を有する不溶不融の新規な硬化物が成形品とし
て得られるのである。また、前記熱硬化性組成物を金
属、ゴム、プラスチック、成形部品、フィルム、紙、
木、ガラス布、コンクリートおよびセラミックなどの基
材に塗布した後、所定温度で所定時間加熱することによ
り、上記硬化物を皮膜とする基材を得ることもできる。
なお、前記化合物(A)および前記化合物(B)と前記
化合物(C)との硬化反応を前記反応溶媒中で行う場合
は、該硬化反応の終了後、得られた反応混合物から前記
反応溶媒を蒸発せしめ、次いで常温まで冷却し、場合に
よっては続けて前記乾燥を行うことにより、上記硬化物
を得てもよいし、また、前記硬化反応の終了後、得られ
た反応混合物を常温まで冷却し、前記反応溶媒を含んだ
ままの柔軟性のある硬化物として使用してもかまわな
い。
【0136】本発明の熱硬化性組成物は、使用に際し、
本発明の効果を損なわない範囲内であれば、公知の各種
添加剤、例えば、無機充填剤、強化材、着色剤、安定剤
(熱安定剤、耐候性改良剤など)、増量剤、粘度調節
剤、難燃剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、変色防止剤、
抗菌剤、防黴剤、老化防止剤、帯電防止剤、可塑剤、滑
剤、発泡剤、離型剤などを添加・混合することができ
る。上記着色剤としては、直接染料、酸性染料、塩基性
染料、金属錯塩染料などの染料、カーボンブラック、酸
化チタン、酸化亜鉛、酸化鉄、マイカなどの無機顔料お
よびカップリングアゾ系、縮合アゾ系、アンスラキノン
系、チオインジゴ系、ジオキサゾン系、フタロシアニン
系などの有機顔料などが挙げられる。また、上記安定剤
としては、ヒンダードフェノール系、ヒドラジン系、リ
ン系、ベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系、オキ
ザリックアシッドアニリド系などの化合物が挙げられ
る。さらにまた、上記無機充填剤としては、ガラス繊
維、アスベスト繊維、炭素繊維、シリカ繊維、アルミナ
繊維、シリカ・アルミナ繊維、ジルコニア繊維、窒化ホ
ウ素繊維、窒化珪素繊維、塩基性硫酸マグネシウム繊
維、ホウ素繊維、ステンレス鋼繊維、アルミニウム、チ
タン、銅、真鍮、マグネシウムなどの無機質および金属
繊維、銅、鉄、ニッケル、亜鉛、錫、鉛、ステンレス
鋼、アルミニウム、金および銀などの金属粉末、木粉、
マグネシア、カルシアなどの酸化物、珪酸アルミニウ
ム、ケイソウ土、石英粉末、タルク、クレイ、各種金属
の水酸化物、炭酸塩、硫酸塩、リン酸塩、ホウ酸塩、ホ
ウ珪酸塩、アルミノ珪酸塩、チタン酸塩、塩基性硫酸
塩、塩基性炭酸塩およびその他の塩基性塩、ガラス中空
球、ガラスフレークなどのガラス材料、炭化珪素、窒化
アルミ、ムライト、コージェライトなどのセラミック、
およびフライアッシュやミクロシリカなどの廃棄物など
が挙げられる。
【0137】
【実施例】次に、実施例および比較例を述べて本発明を
さらに詳しく説明するが、本発明は、これら実施例およ
び比較例により何ら限定を受けるものではない。なお、
以下の実施例および比較例において、原料の分子中に1
〜4個のオキセタン環を有するオキセタン化合物(以下
単に「オキセタン化合物」という)、分子中に1個以上
のオキシラン環を有するオキシラン化合物(以下単に
「オキシラン化合物」という)および生成物の三次元網
目構造を有する硬化物(以下単に「硬化物」という)の
特性は、下記の方法によって求めた。
【0138】(1)オキセタン化合物の赤外線吸収スペ
クトル(IR) (株)パーキン−エルマー製1750型フーリエ赤外分
光光度計を用い、微量のオキセタン化合物の液体試料を
KBr結晶板上に塗布して測定した。
【0139】(2)オキシラン化合物の赤外線吸収スペ
クトル(IR) (株)パーキン−エルマー製1750型フーリエ赤外分
光光度計を用い、微量のオキシラン化合物の液体試料を
KBr結晶板上に塗布して測定した。
【0140】(3)硬化物の赤外線吸収スペクトル(I
R) (株)パーキン−エルマー製1750型フーリエ赤外分
光光度計を用い、予め60℃で10時間以上減圧乾燥し
て水分を除いた硬化物の試料1mgをKBr(Merc
k社製)150mgに混合し、60℃で10時間以上減
圧乾燥して水分を除去した後、加圧錠剤を形成して測定
した。
【0141】また、以下の実施例において用いた試薬
は、それぞれ、下記の通りである。 (a)オキセタン化合物 1,4−ビス〔(3−エチル−3−オキセタニルメトキ
シ)メチル〕ベンゼン(以下「XDO」と略記)は、東
亜合成(株)製の市販品を使用した。
【0142】(b)オキシラン化合物 ビスフェノールA型エポキシ樹脂は、油化シェルエポキ
シ(株)製の市販品(商品名:エピコート828、液状
タイプ、分子量:約380、エポキシ当量:190、以
下「EP828」と略記)を使用した。 (c)ポリカルボン酸 アジピン酸(以下「AA」と略記)およびフタル酸(以
下「PA」と略記)は、それぞれ、和光純薬工業(株)
製試薬特級品を使用した。
【0143】(d)触媒 テトラフェニルホスホニウムブロマイド(以下「TPP
B」と略記)は、和光純薬工業(株)製試薬一級品を使
用した。
【0144】実施例1 内容積50mlのキャップ付ガラス容器(スクリュー管
瓶)に、表1に示すように、XDO;6.0g(17.
9ミリモル)とEP828;6.0g(15.8ミリモ
ル)とAA;9.85g(67.4ミリモル)を仕込
み、窒素ガスで置換後密栓した。したがって、原料の仕
込み比は、(XDO+EP828)/AA=1/2(モ
ル比)かつXDO/EP828=50/50(重量比)
であった。そこで、150℃の恒温槽中に前記ガラス容
器を浸漬してこれら原料を加温溶融させ、均一混合し
た。続いて、前記ガラス容器を150℃の恒温槽中で3
0時間保持した。この間、前記ガラス容器内の溶融物が
恒温槽中に浸漬後2時間で流動しなくなったのでこれを
固化時間とした。所定時間経過後、前記ガラス容器を恒
温槽から取り出し、次いで反応物を常温まで冷却後、前
記ガラス容器から取り出して硬化状態を観察した。硬化
物は、表2に示す通り、不透明でやや硬質のものであっ
た。
【0145】さらに、原料のXDOおよびEP828と
AAとの重付加反応および重縮合反応、すなわち、硬化
反応を確認するために、上記硬化物の赤外線吸収スペク
トル(IRスペクトル)測定を行った。そこで、上記硬
化物のIRスペクトルを原料のXDOのそれと比較して
図1に示す。また、参考として、原料のEP828のI
Rスペクトルを図2に示す。この結果、980cm-1
オキセタン環の環の逆対称伸縮振動による吸収が確認で
きる。しかしながら、上記硬化物のIRスペクトルにお
いて、980cm-1のオキセタン基に基づく吸収が原料
XDOのそれと比べてかなり減少していることから、前
記硬化反応が進行し、本発明の目的とする硬化物が得ら
れたことが判った。
【0146】実施例2 触媒としてのTPPB2.83g(6.74ミリモル、
原料XDOおよびEP828の合計1モル当たり0.2
モル)を添加したこと以外は、実施例1と全く同様の操
作を行った。得られた結果は表2に示す如く、固化時間
が1.5時間であり、硬化物の性状は、実施例1の場合
のそれと同様、不透明でやや硬質であった。さらに、得
られた硬化物のIRスペクトル測定を行った結果、98
0cm-1のオキセタン基に基づく吸収が原料XDOのそ
れと比べてほとんど消滅していることから、前記硬化反
応が進行し、本発明の目的とする硬化物が得られたこと
が判った。
【0147】比較例1 原料としてのXDOの使用量を6.0g(17.9ミリ
モル)に変えて11.3g(33.7ミリモル)にした
こと、および、原料としてのEP828の使用量を6.
0g(15.8ミリモル)に変えて0gにしたこと、す
なわち、EP828を用いなかったこと、したがって、
原料の仕込み比をXDO/EP828=50/50(重
量比)に変えてXDO/EP828=100/0(重量
比)にしたこと以外は、実施例1と全く同様の操作を行
った。得られた結果は、表2に示す通りであった。すな
わち、固化時間は16時間であり、また、得られた硬化
物は、不透明で軟質のものであった。さらに、得られた
硬化物のIRスペクトル測定を行った結果、980cm
-1のオキセタン基に基づく吸収が原料XDOのそれと比
べて減少していることから、前記硬化反応が進行してい
ることが判った。しかしながら、上述したように、実施
例1の場合と比較して固化時間が非常に長く速硬化性に
乏しいものであった。
【0148】比較例2 原料としてのXDOの使用量を6.0g(17.9ミリ
モル)に変えて0gにしたこと、すなわち、XDOを用
いなかったこと、および、原料としてのEP828の使
用量を6.0g(15.8ミリモル)に変えて12.8
g(33.7ミリモル)にしたこと、したがって、原料
の仕込み比をXDO/EP828=50/50(重量
比)に変えてXDO/EP828=0/100(重量
比)にしたこと以外は、実施例1と全く同様の操作を行
った。得られた結果は表2に示す如く、ゲル化時間が2
時間であり、透明で硬質の硬化物が得られた。さらに、
得られた硬化物のIRスペクトル測定を行った結果、9
20cm-1のオキシラン基に基づく吸収が原料EP82
8のそれと比べて減少していることから、前記硬化反応
が進行していることが判った。しかし、上述したよう
に、固化時間は実施例1の場合と同じであることから、
実施例1のXDO、EP828およびAAからなる熱硬
化性組成物の速硬化性は、本比較例のEP828および
AAからなる熱硬化性組成物のそれとほぼ同等であると
言える。
【0149】実施例3 原料として、AA9.85g(67.4ミリモル)に代
えて、PA11.2g(67.4ミリモル)を用いたこ
と、したがって、原料の仕込み比を(XDO+EP82
8)/AA=1/2(モル比)に代えて(XDO+EP
828)/PA=1/2(モル比)にしたこと以外は、
実施例1と全く同様の操作を行った。得られた結果は表
2に示す如く、ゲル化時間が0.3時間であり、不透明
で硬質の硬化物が得られた。さらに、得られた硬化物の
IRスペクトル測定を行った結果、980cm-1のオキ
セタン基に基づく吸収が原料XDOのそれと比べてかな
り減少していることから、前記硬化反応が進行し、本発
明の目的とする硬化物が得られたことが判った。
【0150】比較例3 原料としてのXDOの使用量を6.0g(17.9ミリ
モル)に変えて11.3g(33.7ミリモル)にした
こと、および、原料としてのEP828の使用量を6.
0g(15.8ミリモル)に変えて0gにしたこと、す
なわち、EP828を用いなかったこと、したがって、
原料の仕込み比をXDO/EP828=50/50(重
量比)に変えてXDO/EP828=100/0(重量
比)にしたこと以外は、実施例3と全く同様の操作を行
った。得られた結果は、表2に示す通りであった。すな
わち、固化時間は5時間であり、また、得られた硬化物
は、透明で硬質のものであった。さらに、得られた硬化
物のIRスペクトル測定を行った結果、980cm-1
オキセタン基に基づく吸収が原料XDOのそれと比べて
減少していることから、前記硬化反応が進行しているこ
とが判った。しかしながら、上述したように、実施例3
の場合と比較して固化時間が非常に長く速硬化性に乏し
いものであった。
【0151】比較例4 原料としてのXDOの使用量を6.0g(17.9ミリ
モル)に変えて0gにしたこと、すなわち、XDOを用
いなかったこと、および、原料としてのEP828の使
用量を6.0g(15.8ミリモル)に変えて12.8
g(33.7ミリモル)にしたこと、したがって、原料
の仕込み比をXDO/EP828=50/50(重量
比)に変えてXDO/EP828=0/100(重量
比)にしたこと以外は、実施例3と全く同様の操作を行
った。得られた結果は表2に示す如く、ゲル化時間が
0.3時間であり、透明で硬質の硬化物が得られた。さ
らに、得られた硬化物のIRスペクトル測定を行った結
果、920cm-1のオキシラン基に基づく吸収が原料X
DOEP828のそれと比べて減少していることから、
前記硬化反応が進行していることが判った。しかし、上
述したように、固化時間は実施例3の場合と同じである
ことから、実施例3のXDO、EP828およびPAか
らなる熱硬化性組成物の速硬化性は、本比較例のEP8
28およびPAからなる熱硬化性組成物のそれとほぼ同
等であると言える。
【0152】
【表1】
【0153】
【表2】
【0154】
【発明の効果】以上述べたように、本発明によれば、特
定のオキセタン化合物、特定のオキシラン化合物および
特定のポリカルボン酸と場合によってはさらに第四オニ
ウム塩とを特定の割合で含む新規な硬化物製造用の熱硬
化性組成物、および、該熱硬化性組成物を加熱すること
により製造され、優れた機械的性質、電気的性質、接着
性、耐熱性、耐湿性、耐薬品性などを示し、かつ、三次
元網目構造を有する新規な硬化物が得られる。また、本
発明によれば、上記熱硬化性組成物は、上記特定のオキ
セタン化合物と特定のポリカルボン酸と場合によっては
さらに第四オニウム塩を含む熱硬化性オキセタン組成物
や上記特定のオキシラン化合物と特定のポリカルボン酸
と場合によってはさらに第四オニウム塩を含む熱硬化性
オキシラン組成物に比べて、同等もしくはそれ以上の優
れた速硬化性を有するものであり、該熱硬化性組成物を
加熱することによってオキセタン化合物およびオキシラ
ン化合物とポリカルボン酸との重付加反応および重縮合
反応を迅速に行わしめ、上記新規な硬化物を効率よく高
収率で製造し得る硬化方法を提供することができる。し
たがって、本発明の新規な硬化物は、上述の特性を利用
して塗料やコーティング剤、接着剤、電気絶縁材料、I
Cや超LSI封止材料、積層板およびその他の電気・電
子部品、コンクリート構造物の補修、新旧コンクリート
の打継、補強鋼板の接着、各種ライニングなどの土木建
築用途、注型用化合物、印刷インキ、シーラント、フォ
トレジスト、織物被覆剤、含浸テープおよび印刷プレー
トなどのエポキシ樹脂の代替品としての用途が大いに期
待され得るものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1で得られた硬化物のIRスペクトルと
1,4−ビス〔(3−エチル−3−オキセタニルメトキ
シ)メチル〕ベンゼンのIRスペクトルを比較して示し
た図である。
【図2】ビスフェノールA型樹脂(商品名:エピコート
828)のIRスペクトルを示した図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 国村 勝 山口県宇部市西本町1丁目12番32号 宇部 興産株式会社高分子研究所内

Claims (12)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 分子中に1〜4個のオキセタン環を有す
    る化合物(A)の少なくとも1種、分子中に1個以上の
    オキシラン環を有する化合物(B)の少なくとも1種お
    よび分子中に2個以上のカルボキシル基を有する化合物
    (C)の少なくとも1種からなる熱硬化性組成物。
  2. 【請求項2】 分子中に1〜4個のオキセタン環を有す
    る化合物(A)の少なくとも1種、分子中に1個以上の
    オキシラン環を有する化合物(B)の少なくとも1種お
    よび分子中に2個以上のカルボキシル基を有する化合物
    (C)の少なくとも1種からなる混合物を加熱すること
    を特徴とする硬化物の製造方法。
  3. 【請求項3】 分子中に1〜4個のオキセタン環を有す
    る化合物(A)の少なくとも1種、分子中に1個以上の
    オキシラン環を有する化合物(B)の少なくとも1種お
    よび分子中に2個以上のカルボキシル基を有する化合物
    (C)の少なくとも1種からなる混合物を加熱して得ら
    れる硬化物。
  4. 【請求項4】 請求項1に記載の化合物(A)の少なく
    とも1種、化合物(B)の少なくとも1種および化合物
    (C)の少なくとも1種と、第四オニウム塩とを含んで
    なる熱硬化性組成物。
  5. 【請求項5】 化合物(A)の少なくとも1種と、化合
    物(B)の少なくとも1種と、化合物(C)の少なくと
    も1種との混合物を第四オニウム塩の存在下に加熱する
    ことを特徴とする請求項2に記載の硬化物の製造方法。
  6. 【請求項6】 請求項3に記載の化合物(A)の少なく
    とも1種、化合物(B)の少なくとも1種および化合物
    (C)の少なくとも1種と、第四オニウム塩との混合物
    を加熱して得られる硬化物。
  7. 【請求項7】 化合物(A)の少なくとも1種と、化合
    物(B)の少なくとも1種と、化合物(C)の少なくと
    も1種との混合物を、無溶媒状態下、該化合物(A)、
    化合物(B)および化合物(C)のうち最も低い融点を
    有する化合物の融点以上、かつ300℃以下の温度に加
    熱することを特徴とする請求項2に記載の硬化物の製造
    方法。
  8. 【請求項8】 化合物(A)の少なくとも1種と、化合
    物(B)の少なくとも1種と、化合物(C)の少なくと
    も1種との混合物を、反応溶媒中、50〜300℃の温
    度に加熱することを特徴とする請求項2に記載の硬化物
    の製造方法。
  9. 【請求項9】 化合物(A)の少なくとも1種と、化合
    物(B)の少なくとも1種と、化合物(C)の少なくと
    も1種との混合物を第四オニウム塩の存在下に加熱する
    ことを特徴とする請求項7または8に記載の硬化物の製
    造方法。
  10. 【請求項10】 第四オニウム塩がテトラn−ブチルホ
    スホニウムブロマイド、テトラフェニルホスホニウムク
    ロライド、テトラフェニルホスホニウムブロマイドおよ
    びテトラフェニルホスホニウムアイオダイドからなる群
    から選ばれる第四ホスホニウム塩であることを特徴とす
    る請求項4に記載の熱硬化性組成物。
  11. 【請求項11】 第四オニウム塩がテトラn−ブチルホ
    スホニウムブロマイド、テトラフェニルホスホニウムク
    ロライド、テトラフェニルホスホニウムブロマイドおよ
    びテトラフェニルホスホニウムアイオダイドからなる群
    から選ばれる第四ホスホニウム塩であることを特徴とす
    る請求項5または9に記載の硬化物の製造方法。
  12. 【請求項12】 第四オニウム塩がテトラn−ブチルホ
    スホニウムブロマイド、テトラフェニルホスホニウムク
    ロライド、テトラフェニルホスホニウムブロマイドおよ
    びテトラフェニルホスホニウムアイオダイドからなる群
    から選ばれる第四ホスホニウム塩であることを特徴とす
    る請求項6に記載の硬化物。
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