JP4085773B2 - 熱硬化性樹脂組成物およびそれを硬化して得られる硬化物 - Google Patents
熱硬化性樹脂組成物およびそれを硬化して得られる硬化物 Download PDFInfo
- Publication number
- JP4085773B2 JP4085773B2 JP2002308267A JP2002308267A JP4085773B2 JP 4085773 B2 JP4085773 B2 JP 4085773B2 JP 2002308267 A JP2002308267 A JP 2002308267A JP 2002308267 A JP2002308267 A JP 2002308267A JP 4085773 B2 JP4085773 B2 JP 4085773B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- group
- optionally substituted
- formula
- compound
- resin composition
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Expired - Lifetime
Links
- 0 C**(*(C)C)N Chemical compound C**(*(C)C)N 0.000 description 4
- WYGIWVCWYKSYOE-UHFFFAOYSA-N Cc1ccc(C(c2ccc(C)cc2)c2ccc(C)cc2)cc1 Chemical compound Cc1ccc(C(c2ccc(C)cc2)c2ccc(C)cc2)cc1 WYGIWVCWYKSYOE-UHFFFAOYSA-N 0.000 description 1
Images
Landscapes
- Polyethers (AREA)
- Epoxy Resins (AREA)
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、オキセタン化合物、オキシラン化合物および熱潜在性カチオン重合触媒を含有する熱硬化性樹脂組成物およびそれを硬化して得られる新規な硬化物に関する。さらに詳しくは、エポキシ樹脂の代替品として塗料やコーティング剤、接着剤、電気絶縁材料、ICや超LSI封止材料、積層板およびその他の電気・電子部品、補強鋼板の接着、複合材料用途などに有用な熱硬化性樹脂組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
エポキシ樹脂などの熱硬化性樹脂と重合触媒とからなる一液性の熱硬化性樹脂組成物は作業性などに優れており、また、エポキシ樹脂硬化物は、引張り強度、硬度などの機械的性質、電気絶縁性、接着性、耐熱性、耐湿性、耐薬品性などの優れた特性を有しているので、電子部品をはじめとする種々の分野で汎用されている。一液性の熱硬化性樹脂組成物用重合触媒としては、低温では重合反応は開始せず、ある一定の温度以上に加熱した時に速やかに重合反応が進行するとともに、得られた熱硬化性樹脂硬化物に着色や臭気を付与せず、しかも硬化物の安定性に影響を与えないという性質が要求される。また、例えば電子部品などの分野ではICやLSIの高密度化などに伴い、部品からの発熱量が大きくなり、そのためこれらに使用する樹脂には従来以上に熱安定性や優れた機械的性質が求められるようになってきている。
【0003】
そこで、エポキシ樹脂の性質を改善する目的で、近年、エポキシ基すなわちオキシラン環のかわりに4員環エーテルであるオキセタン環を有する化合物を用いる樹脂組成物が検討されている。すなわち、オキシランやオキセタンは環の歪や炭素―酸素結合の分極に由来して高い反応性を有しているため、カチオン触媒によるオキシランやオキセタン環の開環付加反応を利用した、カチオン性光重合開始剤の存在下でのオキシランおよび/またはオキセタンの光カチオン重合が幾つか報告されている。しかしながら、光カチオン重合では重合反応の進行には活性エネルギー線の照射が必須であるが、樹脂組成物を適用する物品や物品の構造によっては活性エネルギー線の照射が困難なものがあり、さらに活性エネルギー線照射装置が高価であるなどの問題がある。
【0004】
そこで、光カチオン重合に代わるオキシランやオキセタン化合物の重合方法として、第四級アンモニウム塩、ホスホニウム塩、スルホニウム塩、ジアゾニウム塩、またはヨードニウム塩などのオニウム塩からなる熱潜在性カチオン重合触媒を用いる方法が報告されている(例えば、特許文献1参照。)。しかしながら、従来から使用されているホスホニウム塩は重合活性が低いため、これらを触媒として重合反応を速い速度で進行させて硬化物を得るには、硬化温度を高く設定する必要があった。そのため、重合反応中に樹脂組成物中の成分であるオキセタン化合物が揮発したり、また、得られた硬化物の機械的性質などの面において問題点があった。
【0005】
【特許文献1】
特開平11-302372号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、貯蔵安定性に優れ、熱により速い速度で硬化し得るオキセタン化合物、オキシラン化合物および熱潜在性カチオン重合触媒からなる熱硬化性樹脂組成物、およびそれを硬化して得られる耐熱性、機械的性質、電気的性質などに優れた新規な硬化物を提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者は上記の課題を解決すべく、エポキシ樹脂の特性と前記オキセタン化合物の熱カチオン重合反応における速硬化性とを兼ね備えた硬化物について鋭意研究した結果、分子中に1個以上のオキセタン環を有するオキセタン化合物5〜95重量部と、分子中に1個以上のオキシラン環を有するオキシラン化合物95〜5重量部と、これらオキセタン化合物およびオキシラン化合物の合計100重量部に対して、より低温から重合活性を示すホスホニウム塩を熱潜在性カチオン重合触媒として0.01〜10重量部含む混合物を40〜200℃の温度で1分〜24時間加熱して開環カチオン重合を行わせしめることにより、分子間架橋された三次元網目構造を有する新規な熱硬化物が得られることを見いだし、本発明を完成するに至った。
【0008】
すなわち本発明は、
(1)(A)分子中に1個以上のオキセタン環を有するオキセタン化合物、(B)分子中に1個以上のオキシラン環を有するエポキシ化合物および(C)下記一般式(I):
【化3】
(式中、R1〜R4は、同一または異なって、置換されていてもよいアルキル基、置換されていてもよいアリール基、置換されていてもよいアラルキル基、置換されていてもよいジアリールメチル基または式(II):
【化4】
(式中、R5〜R7は、同一または異なって、置換されていてもよいアルキル基、置換されていてもよいアリール基、置換されていてもよいアラルキル基または置換されていてもよいジアリールメチル基を示し、R8〜R11は、同一または異なって水素原子、置換されていてもよいアルキル基、置換されていてもよいアリール基であり、Aは置換されていてもよい芳香族炭化水素環であり、nは1〜5の整数、mは0または1であり、XはSbF6、AsF6、PF6、BF4またはBPh4を表す。)で表される基を示し(ただし、R1〜R4のうち少なくとも1つは式(II)で表される基である。)、または、R1〜R4のうちのいずれか1つと、R5〜R7のうちのいずれか1つとが一緒になって低級アルキレン基を形成してリン原子2個を含む複素環を形成してもよく、Xは式(II)における定義と同義である。)で示される熱潜在性カチオン重合触媒を含有する熱硬化性樹脂組成物、
(2)(A)成分および(B)成分の合計100重量部に対して、(C)成分を0.01〜10重量部含み、(A)成分が分子中に1〜4個のオキセタン環を有するオキセタン化合物5〜95重量部であることを特徴とする上記(1)記載の熱硬化性樹脂組成物、
(3)熱潜在性カチオン重合触媒が、
(a)前記一般式(I)において、R1〜R4のうち少なくとも1つは、前記式(II)で表される基であって、R5〜R7が同一または異なってフェニル基、置換されていてもよいベンジル基、ナフチルメチル基、置換されていてもよいジフェニルメチル基または置換されていてもよいアルキル基であり、R8が水素原子、R9が水素原子またはフェニル基、nが1〜4の整数、mが0であり、R1〜R4のうちの残りはフェニル基、置換されていてもよいベンジル基、ナフチルメチル基、置換されていてもよいジフェニルメチル基または置換されていてもよいアルキル基であるホスホニウム化合物、
(b)前記一般式(I)において、R2は、前記式(II)で表される基であって、R6、R7およびR9がフェニル基であり、R8が水素原子であり、mが0、nが2であり、R1はR5と一緒になって炭素数1〜4のアルキレン基を形成し、R3およびR4はフェニル基であるホスホニウム化合物、
(c)前記一般式(I)において、R1は、前記式(II)で表される基であって、R5〜R7がフェニル基または式:−(CH2)p-PPh2(式中、pは1〜4の整数を示す)で表される基、R8〜R11が水素原子、Aが置換されていてもよいベンゼン環であって、mおよびnが1であり、R2〜R4はフェニル基または式:−(CH2)p-PPh2(式中、pは1〜4の整数を示す)で表される基であるホスホニウム化合物、および
(d)前記一般式(I)において、R2は、前記式(II)で表される基であって、R6およびR7がフェニル基、R8〜R11が水素原子、Aが置換されていてもよいベンゼン環であって、mおよびnは1であり、R1はR5と一緒になって炭素数1〜8のアルキレン基を形成し、R3およびR4はフェニル基であるホスホニウム化合物からなる群から選択される1種以上のホスホニウム化合物を含有すること特徴とする上記(1)または(2)記載の熱硬化性樹脂組成物、および
(4)上記(1)〜(3)のいずれか1項に記載の熱硬化性樹脂組成物を40〜200℃で1分〜24時間加熱して得られる硬化物を提供する。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下に本発明を詳細に説明する。本発明に係る熱硬化性樹脂組成物は、成分(A)として分子中に1個以上のオキセタン環を有するオキセタン化合物、成分(B)として分子中に1個以上のオキシラン環を有するオキシラン化合物、および成分(C)として下記一般式(I)で示されるホスホニウム化合物を熱潜在性カチオン重合触媒として含有する。これにより貯蔵安定性に優れ、熱により速い速度で硬化させることができる熱硬化性樹脂組成物が提供でき、また、それを硬化して得られる硬化物は、耐熱性、機械的性質(引張り強度、硬度など)、電気的性質などに優れた性質を有している。
【0010】
まず、本発明に係る熱硬化性樹脂組成物の触媒成分である(C)成分の熱潜在性カチオン重合触媒について説明する。なお、「熱潜在性カチオン重合触媒」における「熱潜在性」とは、熱硬化性樹脂組成物の通常の保存等における温度では触媒活性を示さないが、ある一定の温度以上に加熱すると触媒活性を示すことをいう。すなわち、熱潜在性カチオン重合触媒は、加熱することによってカチオン重合触媒を形成し、前記分子中に1個以上のオキセタン環を有する化合物(A)中のオキセタン環および、前記分子中に1個以上のオキシラン環を有する化合物(B)中のオキシラン環の開環カチオン重合による硬化反応を触媒するものである。すなわち、本発明に係る熱硬化性樹脂組成物中のオキセタン化合物(A)およびエポキシ(オキシラン)化合物(B)は室温では長期間にわたって安定に存在するが、一定温度以上に加熱することによりカチオン重合触媒が生成して、硬化反応が開始、促進せしめられ、樹脂組成物が速硬化する。
【0011】
前記熱潜在性カチオン重合触媒(C)としては、少なくとも下記一般式(I)で示されるようなホスホニウム塩を1種類以上含有する。
【化5】
ここで、R1〜R4のうち少なくとも1つは式(II):
【化6】
で表される基である。
式(II)中、R5〜R7は、同一または異なって、置換されていてもよいアルキル基、置換されていてもよいアリール基、置換されていてもよいアラルキル基、置換されていてもよいジアリールメチル基を示し、R8〜R11は、同一または異なって水素原子、置換されていてもよいアルキル基、置換されていてもよいアリール基であり、Aは置換されていてもよい芳香族炭化水素環であり、nは1〜5の整数、mは0または1であり、XはSbF6、AsF6、PF6、BF4またはBPh4を表す。
式(I)におけるR1〜R4のうち式(II)で表される基以外のものは、同一または異なって、置換されていてもよいアルキル基、置換されていてもよいアリール基、置換されていてもよいアラルキル基、置換されていてもよいジアリールメチル基である。またはR1〜R4のうちのいずれか1つと、R5〜R7のうちのいずれか1つとが一緒になって低級アルキレン基を形成してリン原子2個を含む複素環を形成してもよい。
また、式(I)におけるXは、式(II)における定義と同義である。
R1〜R4の置換されていてもよいアルキル基の置換アルキル基としては、たとえば式:−(CH2)p-PPh2(式中、pは1〜4の整数を示す)で表される基などが挙げられる。
R1〜R4の置換されていてもよいアリール基のアリール基としては、たとえばフェニル基、ナフチル基などが挙げられ、該置換基としては、たとえばフッ素、塩素、臭素などのハロゲン原子、シアノ基、ベンゾイル基、アルキル基などが挙げられる。
R1〜R4の置換されていてもよいアラルキル基としては、たとえばベンジル基、フェネチル基、ナフチルメチル基、ピレニルメチル基およびアントラセニルメチル基などが挙げられ、該置換基としては、たとえばフッ素、塩素、臭素などのハロゲン原子、シアノ基、ベンゾイル基、アルキル基、トリフルオロメチルなどのハロゲン化アルキル基、置換されていてもよいフェニル基(該置換基としては、たとえばフッ素、塩素などのハロゲン原子、トリフルオロメチルなどのハロゲン化アルキル基等)などが挙げられ、置換基の数は1または2が好ましい。
R1〜R4の置換されていてもよいジアリールメチル基としては、たとえばジフェニルメチル基などが挙げられ、置換基としてはフッ素、塩素などのハロゲン原子等が挙げられる。
また、式(II)におけるR5〜R7の置換されていてもよいアルキル基、置換されていてもよいアリール基、置換されていてもよいアラルキル基および置換されていてもよいジアリールメチル基は、それぞれ、前記R1〜R4における置換されていてもよいアルキル基、置換されていてもよいアリール基、置換されていてもよいアラルキル基および置換されていてもよいジアリールメチル基の定義と同義である。
また、R1〜R4のうちのいずれか1つと、R5〜R7のうちのいずれか1つとが一緒になって低級アルキレン基を形成してリン原子2個を含む複素環を形成する場合の該低級アルキレン基としては、メチレン、エチレン、プロピレン、イソプロピレン、ブチレン、イソブチレンなどの炭素数1〜4のアルキレン基が好ましい。
【0012】
一般式(I)で表されるホスホニウム化合物のうち、熱潜在性カチオン重合触媒としては、具体的には、下記(a)〜(d)で示される化合物が好ましい。
(a)前記一般式(I)において、R1〜R4のうち少なくとも1つは、前記式(II)で表される基であって、R5〜R7が同一または異なってフェニル基、置換されていてもよいベンジル基、ナフチルメチル基、置換されていてもよいジフェニルメチル基または置換されていてもよいアルキル基であり、R8が水素原子、R9が水素原子またはフェニル基、nが1〜4の整数、mが0であり、R1〜R4のうちの残りはフェニル基、置換されていてもよいベンジル基、ナフチルメチル基、置換されていてもよいジフェニルメチル基または置換されていてもよいアルキル基であるホスホニウム化合物。
ここで、R1〜R4の置換されていてもよいベンジル基の置換基としては、たとえばフッ素、塩素、臭素などのハロゲン原子、シアノ基、ベンゾイル基、アルキル基、トリフルオロメチルなどのハロゲン化アルキル基、置換されていてもよいフェニル基(該置換基としては、たとえばフッ素、塩素などのハロゲン原子、トリフルオロメチルなどのハロゲン化アルキル基等)などが挙げられ、置換基の数は1または2が好ましい。
R1〜R4の置換されていてもよいジフェニルメチル基の置換基としては、フッ素、塩素などのハロゲン原子等が挙げられる。
R1〜R4の置換されていてもよいアルキル基の置換アルキル基としては、たとえば式:−(CH2)p-PPh2(式中、pは1〜4の整数を示す)で表される基などが挙げられる。
また、R5〜R7の置換されていてもよいベンジル基、置換されていてもよいジフェニルメチル基および置換されていてもよいアルキル基の具体例としては、各々上記R1〜R4におけると同様のものが挙げられる。
【0013】
(b)前記一般式(I)において、R2は、前記式(II)で表される基であって、R6、R7およびR9がフェニル基であり、R8が水素原子であり、mが0、nが2であり、R1はR5と一緒になって炭素数1〜4のアルキレン基を形成し、R3およびR4はフェニル基であるホスホニウム化合物、具体的には下記式(III):
【化7】
(式中、qは1〜4の整数であり、Xは上記式(II)における定義と同義である。)で示されるホスホニウム化合物。
【0014】
(c)前記一般式(I)において、R1は、前記式(II)で表される基であって、R5〜R7がフェニル基または式:−(CH2)p-PPh2(式中、pは1〜4の整数を示す)で表される基、R8〜R11が水素原子、Aが置換されていてもよいベンゼン環であって、mおよびnが1であり、R2〜R4はフェニル基または式:−(CH2)p-PPh2(式中、pは1〜4の整数を示す)で表される基であるホスホニウム化合物、具体的には下式(IV):
【化8】
(式中、R12およびR13は、それぞれ同一または異なってアルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子、ニトロ基および水酸基であり、R2〜R4、R5〜R7およびXは、式(I)および式(II)における定義と同義である。また、置換基:−CH2-P+R5R6R7・X−の置換位置は、o、mおよびp位のいずれであってもよい。)で示されるホスホニウム化合物。
【0015】
(d)前記一般式(I)において、R2は、前記式(II)で表される基であって、R6およびR7がフェニル基、R8〜R11が水素原子、Aが置換されていてもよいベンゼン環であって、mおよびnは1であり、R1はR5と一緒になって炭素数1〜8のアルキレン基を形成し、R3およびR4はフェニル基であるホスホニウム化合物、具体的には下記式(V):
【化9】
(式中、R14およびR15は、それぞれ同一または異なってアルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子、ニトロ基または水酸基であり、ベンゼン環上のリン原子が結合したメチレン基が相互にo位にある場合は、rは1〜4の整数であり、前記メチレン基が相互にm位またはp位にある場合は、rは4〜8の整数を示す。Xは式(II)におけると同義である。)で示されるホスホニウム化合物。
【0016】
これらのホスホニウム化合物は1種単独で使用してもよいし、また2種以上併用するものであってもよい。
【0017】
本発明に係る熱硬化性樹脂組成物の(A)成分であるオキセタン化合物は、その分子中に1個以上、好ましくは1〜4個のオキセタン環を有する。分子中に1〜4個のオキセタン環を有する化合物としては、たとえば特開平11-302372号公報に開示されている化合物などを使用することができる。具体的には、分子中に1個のオキセタン環を有する化合物としては、下記一般式(VI)で示される化合物が挙げられる。
【化10】
式中、R16は水素原子または1〜6個の炭素原子を有する直鎖または分岐のアルキル基を示す。このようなオキセタン環化合物としては3−ヒドロキシメチルオキセタン、3−メチル−3−ヒドロキシメチルオキセタンおよび3−エチル−3−ヒドロキシメチルオキセタンなどがあげられる。
【0018】
分子中に2個のオキセタン環を有する化合物としては、下記一般式(VII)で表されるビスオキセタン化合物が挙げられる。
【化11】
式(VII)中、R17は前記一般式(VI)におけるR16と同様の基であり、R18は1〜12個の炭素原子を有する直鎖もしくは分岐を有するアルキレン基またはアルケニレン基、カルボニル基または下式:
【化12】
で示される2価の基を示す。
上式において、R19は水素原子、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、メルカプト基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基またはN-アルキルカルバモイル基を、R20は単結合、O、S、CH2、NH、SO、SO2、C(CF3)2またはC(CH3)2を、Yは2価の炭化水素基、kは1〜20の整数を示す。
【0019】
これらのビスオキセタン化合物のなかで好ましい化合物としては、前記一般式(VII)においてR17がメチル基またはエチル基、R18が1〜8個の炭素原子を有するアルキレン基、カルボニル基、p-フタロイル基またはp−キシリレン基であるものが好ましい。
【0020】
本発明に用いられる分子中に3個以上のオキセタン環を有する化合物としては、下記一般式(VIII)で表される化合物、ノボラック樹脂やポリ(ヒドロキシスチレン)などの水酸基を有する樹脂とオキセタン誘導体とのエーテル化物およびオキセタン環を有する不飽和モノマーと不飽和カルボン酸誘導体等との共重合体などが挙げられる。
【化13】
式中、R21は前記一般式(VI)におけるR16と同様の基であり、Aは単結合、カルボニル基またはアミド(−CONH-)基を、R22は下式:
【化14】
で示されるような置換基を有してもよい炭化水素基を、nは3または4の整数を示す。また、上式中のR23は水素原子または低級アルキル基を示す。
【0021】
分子中に3または4個のオキセタン環を有する好ましい化合物としては、前記一般式(VIII)においてR21がエチル基、Aが単結合、R22がC2H5C(CH2-)3で表される3価の基であるものやR21がエチル基、Aがカルボニル基、R22が1,3,5-ベンゼントリイル基であるトリオキセタン化合物などが挙げられる
本発明に係る熱硬化性組成物を構成する(A)成分のオキセタン化合物としては、上記の分子中に1個以上、好ましくは1〜4個のオキセタン環を有する化合物であれば、1種類を単独で使用してもよく、またこれらの2種類以上を併用しても良い。
【0022】
本発明の熱硬化性樹脂組成物を構成する(B)成分であるオキシラン化合物は、分子中に1個以上のオキシラン環を有する化合物、すなわち、エポキシ化合物であり、エポキシ樹脂として用いられているものであれば、モノマー、オリゴマーまたはポリマーのいずれであっても使用することができる。オキシラン化合物としては、たとえば、従来公知の脂肪族エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂および芳香族エポキシ樹脂が挙げられる。ここで、「エポキシ樹脂」にはモノマー、オリゴマーおよびポリマーを含むものとする。
脂肪族エポキシ樹脂としては、脂肪族オレフィン類をエポキシ化して得られるアルキレンオキサイドやブタジエンモノオキサイドのように分子内にエポキシ基と不飽和基を有する化合物、脂肪族アルコールとエピクロルヒドリンなどの反応から得られるモノグリシジルエーテル類、グリセリンやポリエチレングリゴールなどの多価アルコールとエピクロルヒドリンなどの反応から得られるポリグリシジルエーテル類および脂肪族不飽和カルボン酸のグリシジルエステル類などが挙げられる。具体的には、分子内に1個のエポキシ基を含む化合物としては、たとえば、プロピレンオキサイド、エポキシブタン、エポキシヘキサン、エポキシオクタン、ブタジエンモノオキサイド、エポキシヘキセン、エポキシオクテン、グリシジルメチルエーテル、グリシジルイソプロピルエーテル、グリシジルブチルエーテル、グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート、脂肪族高級アルコールのモノグリシジルエーテルなど、分子内に2個以上のエポキシ基を有するオキシラン化合物としては、ジエポキシブタン、ジエポキシオクタン、エチレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオールおよびテトラエチレングリコールなどのジグリシジルエーテルおよびグリセリンあるいはそのアルキレンオキサイド付加体のジまたはトリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパンのトリグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールやポリプロピレングリコールなどのポリアルキレングリコールあるいはそのアルキレンオキサイド付加体のジまたはポリグリシジルエーテルなどが挙げられる。
【0023】
脂環式エポキシ樹脂としては少なくとも1個のシクロヘキセンまたはシクロペンテン環などのシクロアルケン環を有する化合物を過酸化水素、過酸などの適当な酸化剤でエポキシ化することによって得られる、シクロヘキセンオキサイドまたはシクロペンテンオキサイド含有化合物が挙げられる。
具体的には、分子内に1個のオキシラン環を有する化合物としては、たとえば3,4-エポキシシクロへキシルエチレンや3,4-エポキシシクロへキシルメチルメタクリレートが、分子内に2個のエポキシ基を含む脂環式オキシラン化合物としては、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル 3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレートや特開平11-302372号公報記載の化合物などが挙げられる。
【0024】
芳香族エポキシ樹脂としては、たとえば、フェノールやクレゾールなどとエピクロルヒドリンとを反応させて得られるモノグリシジルエーテル、エポキシプロピルベンゼンおよびスチレンオキシドなどの分子内に1個のエポキシ基を含む芳香族オキシラン化合物、および、ビスフェノール類、カテコール、レゾルシノールなどの多価フェノールあるいはそのアルキレンオキサイド付加体やヒドロキシ安息香酸やヒドロキシナフトエ酸などのヒドロキシカルボン酸とエピクロルヒドリンとの反応によって製造されるポリグリシジルエーテル、フタル酸、テレフタル酸などのポリカルボン酸とエピクロルヒドリンとを反応させて得られるポリグリシジルエステルなどの分子内に2個以上のエポキシ基を有する芳香族オキシラン化合物が挙げられる。さらには、エポキシ化フェノールノボラック樹脂、エポキシ化クレゾールノボラック樹脂、水素添加ビスフェノール型エポキシ樹脂等が挙げられる。
【0025】
本発明に係る熱硬化性樹脂組成物を構成する(B)成分のエポキシ化合物としては、分子中に1個以上のオキシラン環を有する化合物であれば、上記の脂肪族エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂および芳香族エポキシ樹脂から選ばれる1種類を単独で使用してもよく、また、これらの2種類以上を併用してもよい。
【0026】
本発明に係る熱硬化性樹脂組成物中における(A)成分のオキセタン化合物および(B)成分のエポキシ化合物の配合量としては、(A)成分と(B)成分の合計量100重量部に対して(B)成分は5〜95重量部であり、好ましくは5〜90重量部、より好ましくは10〜80重量部である。(B)成分の配合量が95重量部を越える場合は、以下に詳述する硬化反応の速度、すなわち(A)オキセタン化合物および(B)エポキシ化合物と(C)熱潜在性カチオン重合触媒との熱カチオン重合反応の速度を増加せしめ、硬化物が得られるまでの固化時間を早めるという速硬化の効果が十分に得られない。また5重量部に満たない(B)成分の配合量としても、この硬化反応における速硬化性のそれ以上の向上は望めないばかりか、得られる硬化物の機械的特性(引張り強度および硬度など)が低下するので好ましくない。
【0027】
本発明に係る熱硬化性樹脂組成物中における(C)成分の熱潜在性カチオン重合触媒の配合量としては、(A)オキセタン化合物および(B)エポキシ化合物の合計量100重量部に対して0.01〜10重量部、好ましくは0.1〜5重量部の量で使用される。熱潜在性カチオン重合触媒(C)の使用量が0.01重量部より少ないと、(A)オキセタン化合物、(B)エポキシ化合物および(C)熱潜在性カチオン重合触媒の混合物の加熱によるカチオン重合反応が十分に進行せず、本発明の目的とする架橋密度の高い硬化物を高収率で得ることができない。また、前記熱潜在性カチオン重合触媒(C)の使用量をオキセタン化合物(A)およびエポキシ化合物(B)の合計量100重量部あたり10重量部より多くしても該触媒(C)を多量に用いることによる好ましいカチオン重合反応促進効果の向上はほとんど認められないので経済面から好ましくない。また、得られる硬化物の耐湿性や耐薬品性などが低下したり、変色が起こったりするので好ましくない。
従って、本発明の実施の一形態である熱硬化性樹脂組成物は、分子中に1〜4個のオキセタン環を有するオキセタン化合物(A)の少なくとも1種と前記分子中に1個以上のオキシラン環を有するエポキシ化合物(B)の少なくとも1種と前記熱潜在性カチオン重合触媒(C)の少なくとも1種とを上述したような割合で配合してなる混合物である。
【0028】
本発明の熱硬化性樹脂組成物は、加熱することによって熱カチオン重合を開始・進行させて速い速度で硬化させることができる。すなわち、加熱によって熱潜在性カチオン重合触媒から生成するカチオン種またはルイス酸が、オキセタン化合物(A)中のオキセタン環の酸素原子またはエポキシ化合物(B)中のオキシラン環の酸素原子を攻撃してこれらを開環せしめ、次いでこの開環反応が連続的に進行することにより一気に自己重合して3次元網目構造を有する硬化物を形成する。本発明の熱硬化性樹脂組成物の硬化反応は、通常無溶媒状態下で行われるが、溶媒中で行ってもよい。
硬化反応を無溶媒状態下で行う場合は、オキセタン化合物(A)および/またはエポキシ化合物(B)は熔融した状態で硬化反応を行うのが望ましい。従って、硬化反応は、オキセタン化合物(A)とエポキシ化合物(B)の融点の内、少なくともいずれか低い方の融点より高い温度で行うのが望ましい。
また、硬化反応を溶媒中で行う場合、オキセタン化合物(A)および/またはエポキシ化合物(B)を、反応溶媒中に溶解させた状態、または、膨潤させた状態で前記硬化反応を行う必要があり、そのためには、反応液が液体状態になるような反応温度にすることが望ましい。したがって、本発明における加熱温度はこのような温度として少なくとも40℃以上である必要がある。しかしながら、加熱温度が200℃を越えると硬化物の品質に悪影響を及ぼすようになるので、本発明の硬化反応における加熱温度は40〜200℃、好ましくは60〜150℃の範囲である。
【0029】
本発明に係る熱硬化性樹脂組成物の硬化反応における反応時間、すなわち、加熱時間については、オキセタン化合物(A)およびエポキシ化合物(B)の仕込量、熱潜在性カチオン重合触媒(C)の種類および使用量、溶媒の有無、反応溶媒の種類および使用量および加熱温度などの硬化反応の条件によって異なるが、通常1分〜24時間であり、好ましくは5分〜10時間、より好ましくは10分〜5時間である。
また、本発明に係る熱硬化性樹脂組成物の硬化反応においては、得られる硬化物の望ましくない酸化などによる劣化を防止するために、窒素ガス、アルゴンガス、ヘリウムガスなどの不活性ガス雰囲気下で行われることが望ましい。
【0030】
本発明の熱硬化性樹脂組成物は使用に際し、本発明の硬化反応を損なわない範囲内であれば、公知の各種添加剤、例えば、無機充填剤、強化材、着色剤、安定剤(熱安定剤、耐候性改良材など)、増量剤、粘度調節剤、難燃剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、変色防止剤、抗菌剤、防黴剤、老化防止剤、帯電防止剤、可塑剤、滑剤、発泡剤、離型剤などを添加・混合することができる。上記着色剤としては、直接染料、酸性染料、塩基性染料、金属錯塩染料などの染料、カーボンブラック、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化鉄、マイカなどの無機顔料およびカップリングアゾ系、縮合アゾ系、アンスラキノン系、チオインジゴ系、ジオキサゾリン系、フタロシアニン系などの有機顔料などが挙げられる。また、上記安定化剤としては、ヒンダードフェノール系、ヒドラジン系、リン系、ベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系、オキザリックアシッドアニリド系などの化合物が挙げられる。さらにまた、上記無機充填剤としては、ガラス繊維、アスベスト繊維、炭素繊維、シリカ繊維、アルミナ繊維、シリカ・アルミナ繊維、ジルコニア繊維、窒化ホウ素繊維、窒化ケイ素繊維、塩基性硫酸マグネシウム繊維、ホウ素繊維、ステンレス鋼繊維、アルミニウム、チタン、銅、真鍮、マグネシウムなどの無機質および金属繊維、銅、鉄、ニッケル、亜鉛、スズ、鉛、ステンレス鋼、アルミニウム、金および銀などの金属粉末、木粉、マグネシア、カルシアなどの酸化物、珪酸アルミニウム、ケイソウ土、石英粉末、タルク、クレイ、各種金属の水酸化物、炭酸塩、硫酸塩、リン酸塩、ホウ酸塩、ホウ珪酸塩、アルミノ珪酸塩、チタン酸塩、塩基性硫酸塩、塩基性炭酸塩およびその他の塩基性塩、ガラス中空球、ガラスフレークなどのガラス材料、炭化ケイ素、窒化アルミ、ムライト、コージェライトなどのセラミック、およびフライアッシュやミクロシリカなどの廃棄物などが挙げられる。
【0031】
【実施例】
以下、実施例および比較例により本発明をさらに詳細に説明する。なお、本実施例および比較例において使用した触媒のホスホニウム化合物は、有機ホスフィン化合物とハロゲン化合物との反応で得られたホスホニウムクロライドをポタシウムヘキサフルオロアンチモナートと反応させて塩交換を行うことにより合成した。本実施例および比較例において使用した触媒の化学構造式を表1に示す。
【表1】
【0032】
(実施例1)
脂環式エポキシモノマーであるセロキサイド2021p(ダイセル化学工業(株)製)と分子内にオキセタン環を1個有するオキセタン化合物であるアロンオキセタンOXT-101(東亞合成(株)製)との重量比が75/25になるように混合し、得られた混合物100重量部に対して触媒1(1,2-ビス(2‐トリフルオロメチルベンジルジフェニルホスホニア)エタンジヘキサフルオロアンチモネート)を0.4重量部添加して均一な熱硬化性樹脂組成物を得た。この熱硬化性樹脂組成物をサンプル瓶に各々1gとり、ホットプレート上で70℃、85℃および95℃での発熱挙動についてIRカメラを用いて観察した。
【0033】
(比較例1)
セロキサイド2021p(ダイセル化学工業(株)製)100重量部に対して触媒1(1,2-ビス(2‐トリフルオロメチルベンジルジフェニルホスホニア)エタンジヘキサフルオロアンチモネート)を0.4重量部添加して均一な熱硬化性樹脂組成物を得た。この熱硬化性樹脂組成物をサンプル瓶に各々1gとり、ホットプレート上で70℃、85℃および95℃での発熱挙動についてIRカメラを用いて観察した。
【0034】
実施例1および比較例1で得られた熱硬化性樹脂組成物の発熱挙動の観測結果をそれぞれ図1および図2に示す。図1および図2より、モノマーがセロキサイド2021pのみ(比較例1)の場合、何れの温度条件下においても観測できるほどの硬化反応熱は観測されなかった(図2)が、オキセタンが混合された樹脂組成物(実施例1)では、70℃においても硬化反応熱が観測された(図1)。オキセタンを加えることにより硬化が促進されることが判った。
【0035】
(実施例2)
セロキサイド2021p(ダイセル化学工業(株)製)およびアロンオキセタンOXT-101(東亞合成(株)製)の重量比が80/20になるように混合し、得られた混合物100重量部に対して触媒1(1,2-ビス(2‐トリフルオロメチルベンジルジフェニルホスホニア)エタンジヘキサフルオロアンチモネート)を0.4重量部添加して均一な熱硬化性樹脂組成物を得た。得られた熱硬化性樹脂組成物を板状の型(60mm×50mm×3mm)に入れ、90℃で3時間、続いて140℃で4時間加熱して硬化させた。得られた硬化物を表面研磨し、耐熱性および耐光性試験を行った。この時、得られた硬化物のガラス転移温度Tgは146℃であった。
尚、耐熱性試験は150℃で100時間保管し、耐候性試験は120℃の雰囲気下で主波長300〜450nmおよび460〜570nmのメタルハライドランプ100時間照射という条件で行った。
【0036】
(比較例2)
セロキサイド2021p(ダイセル化学工業(株)製)100重量部に対して触媒1(1,2-ビス(2‐トリフルオロメチルベンジルジフェニルホスホニア)エタンジヘキサフルオロアンチモネート)を0.4重量部添加して均一な熱硬化性樹脂組成物を得た後、実施例2と同様にして硬化反応を行った。得られた硬化物は表面研磨し、実施例2と同様にして耐熱性および耐光性試験を行った。この時、得られた硬化物のガラス転移温度Tgは141℃であった。
【0037】
実施例2および比較例2で得られた硬化物について、耐熱性および耐光性試験前後の試験片の470nmにおける透過率を表2に示す。なお、表中の( )内の数字は試験前後の変化率を示す。
【表2】
表2より、オキセタン化合物を含む熱硬化性樹脂組成物から得られた硬化物(実施例2)は、エポキシ樹脂のみから得られた硬化物(比較例2)と比べて耐熱性が向上することが判った。
【0038】
(実施例3〜25)
熱硬化性樹脂組成物100重量部に対して表1に示した触媒0.4重量部を用い、それぞれ表3に示した条件下で重合反応を行い、硬化物を得た。なお表中、Aはセロキサイド2021p(ダイセル化学工業(株)製)とアロンオキセタンOXT-101(東亞合成(株)製)との重量比が75/25である熱硬化性樹脂組成物を示し、Bはセロキサイド2021pとアロンオキセタンOXT-221(東亞合成(株)製)との重量比が75/25である熱硬化性樹脂組成物を示す。
【表3】
【0039】
【発明の効果】
以上のように本発明によれば、熱硬化性樹脂組成物の主成分として(A)分子中に1個以上のオキセタン環を有するオキセタン化合物、(B)分子中に1個以上のオキシラン環を有するオキシラン化合物および(C)上記一般式(I)で示されるホスホニウム化合物を熱潜在性カチオン重合触媒として含有させることにより、貯蔵安定性に優れ、かつ、熱により速い速度で硬化する熱硬化性樹脂組成物が提供できるとともに、それを硬化して得られる硬化物は、耐熱性、機械的性質(引張り強度、硬度など)、電気的性質(電気絶縁性など)、接着性、耐湿性、耐薬品性などに優れた性質を有しており、エポキシ樹脂の代替品として塗料やコーティング剤、接着剤、電気絶縁材料、ICや超LSI封止材料、積層板およびその他の電気・電子部品、補強鋼板の接着、複合材料用途などの分野で使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 実施例1における熱硬化性樹脂組成物の発熱挙動の観測結果である。
【図2】 比較例1における熱硬化性樹脂組成物の発熱挙動の観測結果である。
Claims (4)
- (A)分子中に1個以上のオキセタン環を有するオキセタン化合物、(B)分子中に1個以上のオキシラン環を有するエポキシ化合物および(C)下記一般式(I):
- (A)成分および(B)成分の合計100重量部に対して、(C)成分を0.01〜10重量部含み、(A)成分が分子中に1〜4個のオキセタン環を有するオキセタン化合物5〜95重量部であることを特徴とする請求項1記載の熱硬化性樹脂組成物。
- 熱潜在性カチオン重合触媒が、
(a)前記一般式(I)において、R1〜R4のうち少なくとも1つは、前記式(II)で表される基であって、R5〜R7が同一または異なってフェニル基、置換されていてもよいベンジル基、ナフチルメチル基、置換されていてもよいジフェニルメチル基または置換されていてもよいアルキル基であり、R8が水素原子、R9が水素原子またはフェニル基、nが1〜4の整数、mが0であり、R1〜R4のうちの残りはフェニル基、置換されていてもよいベンジル基、ナフチルメチル基、置換されていてもよいジフェニルメチル基または置換されていてもよいアルキル基であるホスホニウム化合物、
(b)前記一般式(I)において、R2は、前記式(II)で表される基であって、R6、R7およびR9がフェニル基であり、R8が水素原子であり、mが0、nが2であり、R1はR5と一緒になって炭素数1〜4のアルキレン基を形成し、R3およびR4はフェニル基であるホスホニウム化合物、
(c)前記一般式(I)において、R1は、前記式(II)で表される基であって、R5〜R7がフェニル基または式:−(CH2)p-PPh2(式中、pは1〜4の整数を示す)で表される基、R8〜R11が水素原子、Aが置換されていてもよいベンゼン環であって、mおよびnが1であり、R2〜R4はフェニル基または式:−(CH2)p-PPh2(式中、pは1〜4の整数を示す)で表される基であるホスホニウム化合物、および
(d)前記一般式(I)において、R2は、前記式(II)で表される基であって、R6およびR7がフェニル基、R8〜R11が水素原子、Aが置換されていてもよいベンゼン環であって、mおよびnは1であり、R1はR5と一緒になって炭素数1〜8のアルキレン基を形成し、R3およびR4はフェニル基であるホスホニウム化合物、
からなる群から選択される1種以上のホスホニウム化合物を含有すること特徴とする請求項1または2記載の熱硬化性樹脂組成物。 - 請求項1〜3のいずれか1項に記載の熱硬化性樹脂組成物を40〜200℃で1分〜24時間加熱して得られる硬化物。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002308267A JP4085773B2 (ja) | 2002-10-23 | 2002-10-23 | 熱硬化性樹脂組成物およびそれを硬化して得られる硬化物 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002308267A JP4085773B2 (ja) | 2002-10-23 | 2002-10-23 | 熱硬化性樹脂組成物およびそれを硬化して得られる硬化物 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2004143252A JP2004143252A (ja) | 2004-05-20 |
JP4085773B2 true JP4085773B2 (ja) | 2008-05-14 |
Family
ID=32454455
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2002308267A Expired - Lifetime JP4085773B2 (ja) | 2002-10-23 | 2002-10-23 | 熱硬化性樹脂組成物およびそれを硬化して得られる硬化物 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP4085773B2 (ja) |
Families Citing this family (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
DE102007041988A1 (de) * | 2007-09-05 | 2009-03-12 | Forschungszentrum Karlsruhe Gmbh | Flammhemmende Additive |
-
2002
- 2002-10-23 JP JP2002308267A patent/JP4085773B2/ja not_active Expired - Lifetime
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP2004143252A (ja) | 2004-05-20 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
US3397254A (en) | Carboxy terminated polyesters prepared from tribasic acid anhydrides and hydroxy terminated polyesters | |
JP5398736B2 (ja) | ヨードニウムボラートを含むものの許容可能な臭気しか放出しないカチオン架橋性組成物/カチオン重合性組成物から、硬質フィルムまたは硬質コーティングを実現するための方法 | |
JP4288940B2 (ja) | エポキシ樹脂組成物 | |
WO1997005172A1 (en) | Ionizing radiation curing of epoxy resin systems incorporating cationic photoinitiators | |
KR20150082250A (ko) | 에폭시 수지 경화제 | |
KR20130062915A (ko) | 강인화제로서 폴리(프로필렌 옥사이드) 폴리올을 포함하는 에폭시 수지 조성물 | |
JP4177013B2 (ja) | 熱硬化型エポキシ樹脂組成物の硬化方法、硬化物及びその用途 | |
JP2009126974A (ja) | 樹脂組成物 | |
JP2004204228A (ja) | 硬化性エポキシ樹脂組成物および硬化物 | |
JP5059634B2 (ja) | 液状硬化性組成物およびその硬化物 | |
JP5801824B2 (ja) | ジビニルアレーンジオキシド樹脂組成物 | |
CN102958972A (zh) | 聚合物混凝土组合物 | |
JP4085773B2 (ja) | 熱硬化性樹脂組成物およびそれを硬化して得られる硬化物 | |
TWI734042B (zh) | 環氧基氧環丁烷化合物、其合成方法及該化合物之利用 | |
JP5686629B2 (ja) | エポキシ樹脂組成物 | |
JP2010116547A (ja) | 重合硬化性組成物、その重合硬化方法、および重合硬化樹脂組成物 | |
JP6389469B2 (ja) | エポキシ組成物 | |
JP4251138B2 (ja) | カチオン重合型組成物用硬化促進剤 | |
JP2011042797A (ja) | エポキシ樹脂組成物及びエポキシ樹脂硬化体 | |
JP4397575B2 (ja) | 新規ホスホニウム化合物およびそれを含有する熱硬化性樹脂組成物 | |
JP3575245B2 (ja) | 熱硬化性組成物およびそれから得られる硬化物ならびにその製造方法 | |
KR100662175B1 (ko) | 옥세탄 화합물을 함유하는 이방 도전성 접착재료 | |
JPS60233114A (ja) | 架橋性重合体 | |
JP4089562B2 (ja) | 熱硬化性組成物 | |
JP4701846B2 (ja) | 硬化性組成物 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20050927 |
|
A521 | Request for written amendment filed |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A821 Effective date: 20060420 |
|
RD02 | Notification of acceptance of power of attorney |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7422 Effective date: 20060420 |
|
RD04 | Notification of resignation of power of attorney |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7424 Effective date: 20060429 |
|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20070613 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20070619 |
|
RD03 | Notification of appointment of power of attorney |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7423 Effective date: 20070820 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20080129 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20080211 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110228 Year of fee payment: 3 |
|
R150 | Certificate of patent or registration of utility model |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 Ref document number: 4085773 Country of ref document: JP Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110228 Year of fee payment: 3 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110228 Year of fee payment: 3 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120229 Year of fee payment: 4 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120229 Year of fee payment: 4 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120229 Year of fee payment: 4 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130228 Year of fee payment: 5 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130228 Year of fee payment: 5 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20140228 Year of fee payment: 6 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
EXPY | Cancellation because of completion of term |