JPH11115737A - ブレーキ液圧制御装置 - Google Patents

ブレーキ液圧制御装置

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JPH11115737A
JPH11115737A JP9277745A JP27774597A JPH11115737A JP H11115737 A JPH11115737 A JP H11115737A JP 9277745 A JP9277745 A JP 9277745A JP 27774597 A JP27774597 A JP 27774597A JP H11115737 A JPH11115737 A JP H11115737A
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brake
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Tsukasa Fukazawa
司 深沢
Akira Sakai
酒井  朗
Hiroki Asada
宏起 浅田
Junichi Sakamoto
淳一 坂本
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 本発明は、ブレーキ操作中にマスタシリンダ
とホイルシリンダとの間を遮断するブレーキ液圧制御装
置に関し、違和感の少ないペダルフィーリングを実現す
ることを目的とする。 【解決手段】 ブレーキ液圧制御装置は、マスタシリン
ダ10とホイルシリンダ64、68との間の連通及び遮
断を切り替えるマスタシリンダカットバルブ98、10
0を備える。ブレーキ操作の開始後、所定期間が経過
し、又は、マスタシリンダ圧PM/C が所定圧P0 に達し
た時点で、マスタシリンダカットバルブ98、100が
オン状態とされ、マスタシリンダ10とホイルシリンダ
64、68との間が遮断される。従って、ブレーキ操作
の開始直後は、マスタシリンダ10内のブレーキフルー
ドはホイルシリンダ64、68へ消費される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、車両用のブレーキ
液圧制御装置に係り、特に、ブレーキ操作中にマスタシ
リンダとホイルシリンダとの連通を遮断するブレーキ液
圧制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、例えば特開平4−24365
8号に開示される如く、ブレーキ液圧制御装置が公知で
ある。上記従来のブレーキ液圧制御装置は、マスタシリ
ンダとは別の液圧発生機構を備えている。この液圧発生
機構は、外部から付与された電気信号に応じた液圧を発
生させる。上記従来のブレーキ液圧制御装置において、
ブレーキ操作が行なわれると、マスタシリンダとホイル
シリンダとの間が遮断されると共に、液圧発生機構とホ
イルシリンダとが連通される。従って、ブレーキ操作中
は、ホイルシリンダ圧は液圧発生機構を液圧源として制
御される。
【0003】上記従来のブレーキ液圧制御装置は、ま
た、マスタシリンダとホイルシリンダとの間が遮断され
た状態で、マスタシリンダと連通するストロークシミュ
レータを備えている。ブレーキ操作に伴ってマスタシリ
ンダ圧が上昇すると、マスタシリンダからストロークシ
ミュレータへブレーキフルードが消費される。従って、
上記ストロークシミュレータによれば、マスタシリンダ
とホイルシリンダとの間が遮断された状況下で、ブレー
キペダルにペダル踏力に応じたペダルストロークを発生
させることができる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ところで、一般的な液
圧ブレーキ装置においては、ブレーキ操作の初期段階で
制動力が発生されないペダルストロークの領域、すなわ
ち、アイドルストロークが存在する。このアイドルスト
ローク中は、ペダル踏力に対するペダルストロークの変
化率は比較的大きい。一方、ペダルストロークがアイド
ルストロークの範囲を越えて制動力が発生されるように
なると、ペダル踏力に対するペダルストロークの変化率
は小さくなる。すなわち、ペダル踏力とペダルストロー
クとの関係(以下、踏力−ストローク関係と称す)は、
ペダル踏力が小さな領域で大きなペダルストロークが発
生するような非線形な特性となる。そして、運転者に
は、かかる非線形な踏力−ストローク特性が自然なペダ
ルフィーリングとして感じられる。従って、運転者に対
して違和感のないペダルフィーリングを与えるには、ブ
レーキ操作の初期におけるアイドルストロークをシミュ
レートし、上述の如き非線形な踏力−ストローク関係を
実現することが必要である。しかしながら、上記従来の
ブレーキ液圧制御装置によれば、踏力−ストローク関係
は、ストロークシミュレータにより規定されるため、か
かる非線形な特性を実現することが困難であり、良好な
ペダルフィーリングは得られない。
【0005】本発明は上述の点に鑑みてなされたもので
あり、ブレーキ操作中にマスタシリンダとホイルシリン
ダとの連通を遮断するブレーキ液圧制御装置において、
良好なペダルフィーリングを実現することを目的とす
る。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記の目的は、請求項1
に記載する如く、ブレーキ操作中はマスタシリンダとホ
イルシリンダとの間を遮断する遮断手段を備えるブレー
キ液圧制御装置において、前記遮断手段によりマスタシ
リンダとホイルシリンダとの間を遮断する時点を、ブレ
ーキ操作の開始時点から遅延させるブレーキ液圧制御装
置により達成される。
【0007】本発明において、遮断手段によりマスタシ
リンダとホイルシリンダとの間を遮断する時点は、ブレ
ーキ操作の開始時点から遅延される。従って、ブレーキ
操作の開始直後に、マスタシリンダとホイルシリンダと
が連通する期間が存在する。マスタシリンダとホイルシ
リンダとが連通している状態では、マスタシリンダ内の
ブレーキフルードがホイルシリンダに消費されること
で、比較的大きなペダルストロークが発生する。従っ
て、本発明によれば、ブレーキ操作の開始直後に、比較
的大きなペダルストロークを発生させることができる。
【0008】
【発明の実施の形態】図1は、本発明の一実施例である
液圧ブレーキ装置のシステム構成図である。図1に示す
如く、本実施例の液圧ブレーキ装置は、マスタシリンダ
10を備えている。マスタシリンダ10にはブレーキペ
ダル12が連結されている。マスタシリンダ10は、ブ
レーキペダル12に付与された踏力に応じた液圧(以
下、マスタシリンダ圧PM/C と称する)を発生させる。
マスタシリンダ10の上部にはリザーバタンク15が設
置されている。リザーバタンク15にはポンプ16の吸
入口が連通している。ポンプ16は、モータ18により
駆動される。ポンプ16の吐出口にはレギュレータ18
へ至る高圧通路20が連通している。高圧通路20には
アキュームレータ22が連通している。アキュームレー
タ22は、ポンプ16から吐出されたブレーキフルード
を貯留する。
【0009】レギュレータ18には主油圧通路24が連
通している。レギュレータ18は、高圧通路20から供
給されるアキュームレータ22の油圧を、マスタシリン
ダ圧PM/C にほぼ等しい大きさのレギュレータ圧PRE
減圧して主油圧通路24に出力する。主油圧通路24に
は、レギュレータ圧PREを検出する油圧センサ26、及
び、増圧制御バルブ28が配設されている。油圧センサ
26の出力信号は図示しない電子制御ユニット(以下、
ECUと称する)に供給されている。ECUは、油圧セ
ンサ26の出力信号に基づいてレギュレータ圧PREを検
出する。
【0010】増圧制御バルブ28は、主油圧通路24の
導通状態を変化させるリニア制御バルブである。増圧制
御バルブ28は、ECUから供給される駆動信号に応じ
てその開度を変化させる。なお、増圧制御バルブ28
は、全閉状態であっても、その上流側の液圧が下流側の
液圧に比して所定の開弁圧だけ高圧になると開弁するよ
うに構成されている。主油圧通路24には、増圧制御バ
ルブ28と並列に、増圧制御バルブ28の下流側からレ
ギュレータ18側へ向かう流体の流れのみを許容する逆
止弁30が配設されている。
【0011】主油圧通路24の、増圧制御バルブ28の
下流側には減圧通路32が連通している。減圧通路32
は補助リザーバタンク34に連通している。補助リザー
バタンク34は、貯留されたブレーキフルードの所定の
液圧を発生させるスプリングを内蔵している。減圧通路
32には減圧制御バルブ36が配設されている。減圧制
御バルブ36は、減圧通路32の導通状態を変化させる
リニア制御バルブである。減圧制御バルブ36は、EC
Uから供給される駆動信号に応じてその開度を変化させ
る。減圧通路32には、減圧制御バルブ36と並列に、
補助リザーバタンク34側から主油圧通路24側へ向か
う流体の流れのみを許容する逆止弁38が配設されてい
る。
【0012】主油圧通路24は、増圧制御バルブ28の
下流側において、後輪RL,RR側のホイルシリンダ4
0、42へ至る後輪側油圧通路44に連通している。後
輪側油圧通路44には、後輪側油圧通路44内部の油
圧、すなわち、後輪側ブレーキ油圧PR を検出する油圧
センサ46が配設されている。油圧センサ46の出力信
号はECUに供給されている。ECUは、油圧センサ4
6の出力信号に基づいて後輪側ブレーキ油圧PR を検出
する。
【0013】増圧制御バルブ28は、レギュレータ18
が出力するレギュレータ圧PREをその開度に応じた比率
で減圧して、後輪側油圧通路44へ出力する。従って、
ECUから増圧制御バルブ28へ供給される駆動信号に
応じて、後輪側ブレーキ油圧PR が増圧される。また、
減圧制御バルブ36は、その開度に応じた流量のブレー
キフルードを後輪側油圧通路44から補助リザーバタン
ク34へ流出させる。従って、ECUから減圧制御バル
ブ36へ供給される駆動信号に応じて、後輪側ブレーキ
油圧PR が減圧される。
【0014】後輪側油圧通路44には、上流側から順
に、後輪側保持バルブ48及びプロポーショニングバル
ブ50が配設されている。後輪側保持バルブ48には逆
止弁52が並設されている。後輪側保持バルブ48は常
開の電磁開閉バルブであり、ECUからオン信号を付与
されることにより閉弁状態となる。逆止弁52は、ホイ
ルシリンダ40、42側から主油圧通路24側へ向かう
流れのみを許容する。また、プロポーショニングバルブ
50は、後輪側油圧通路44から供給された油圧が所定
値以下である場合には、その油圧をそのままホイルシリ
ンダ40、42へ供給する一方、後輪側油圧通路44か
ら供給された油圧が所定値を越える場合には、その油圧
を所定の比率で減圧してホイルシリンダ40、42へ供
給する。
【0015】後輪側油圧通路44の後輪側保持バルブ4
8とプロポーショニングバルブ50との間の部位には、
リザーバタンク15へ至る後輪側減圧通路54が連通し
ている。後輪側減圧通路54には後輪側減圧バルブ56
が配設されている。後輪側減圧バルブ56は常閉の電磁
開閉バルブであり、ECUからオン信号を付与されるこ
とにより開弁状態となる。
【0016】後輪側油圧通路54の、後輪側保持バルブ
48の上流側には、前輪側油圧通路58が連通してい
る。前輪側油圧通路58には切替バルブ60が配設され
ている。切替バルブ60は常閉の電磁開閉バルブであ
り、ECUからオン信号を付与されることにより開弁状
態となる。前輪側油圧通路58の、切替バルブ60の下
流側には、前輪側油圧通路58の内部の油圧、すなわ
ち、前輪側ブレーキ油圧PF を検出する油圧センサ62
が配設されている。油圧センサ62の出力信号はECU
に供給されている。ECUは油圧センサ62の出力信号
に基づいて前輪側ブレーキ油圧PF を検出する。
【0017】前輪側油圧通路58は、切替バルブ60の
下流側において、左前輪のホイルシリンダ64へ至る左
前輪油圧通路66、及び、右前輪のホイルシリンダ68
へ至る右前輪油圧通路70に連通している。左前輪油圧
通路66及び右前輪油圧通路70には、それぞれ、左前
輪保持バルブ72及び右前輪保持バルブ74が配設され
ている。左前輪保持バルブ72及び右前輪保持バルブ7
4には、それぞれ、逆止弁76及び78が並設されてい
る。左前輪保持バルブ72及び右前輪保持バルブ74
は、共に、常開の電磁開閉バルブであり、ECUからオ
ン信号を付与されることにより閉弁状態となる。また、
逆止弁76及び78は、それぞれ、ホイルシリンダ6
4、68側から前輪側油圧通路58側へ向かう流れのみ
を許容する。
【0018】左前輪油圧通路66の左前輪保持バルブ7
2とホイルシリンダ64との間の部位、及び、右前輪油
圧通路70の右前輪保持バルブ74とホイルシリンダ6
8との間の部位には、それぞれ、左前輪減圧通路80及
び右前輪減圧通路82が連通している。左前輪減圧通路
80及び右前輪減圧通路82は、共に、リザーバタンク
15に連通している。左前輪減圧通路80及び右前輪減
圧通路82には、それぞれ、左前輪減圧バルブ84及び
右前輪減圧バルブ86が配設されている。左前輪減圧バ
ルブ84及び右前輪減圧バルブ86は、共に、常閉の電
磁開閉バルブであり、ECUからオン信号を付与される
ことにより開弁状態となる。
【0019】マスタシリンダ10には、マスタ圧通路8
8が連通している。マスタ圧通路88には、マスタシリ
ンダ圧PM/C を検出するマスタ圧センサ90が配設され
ている。マスタ圧センサ90の出力信号はECUに供給
されている。ECUは、マスタ圧センサ90の出力信号
に基づいてマスタシリンダ圧PM/C を検出する。また、
マスタ圧通路88には、ストロークシミュレータ92が
連通している。
【0020】ストロークシミュレータ92は、シリンダ
92aと、シリンダ92a内に液密かつ摺動可能に配設
されたピストン92bとを備えている。ピストン92b
は、シリンダ92aの内部に、マスタ圧通路88と連通
する液室92cを画成している。ピストン92bはスプ
リング92dにより、液室92cの容積が減少する向き
に付勢されている。
【0021】マスタ圧通路88には、また、左前輪のホ
イルシリンダ64へ至る左前輪マスタ圧通路94、及
び、右前輪のホイルシリンダ68へ至る右前輪マスタ圧
通路96が連通している。左前輪マスタ圧通路94及び
右前輪マスタ圧通路96には、それぞれ、マスタシリン
ダカットバルブ98及び100が配設されている。マス
タシリンダカットバルブ98及び100は、共に、常開
の電磁開閉バルブであり、ECUからオン信号を付与さ
れることにより閉弁状態となる。
【0022】本実施例においては、後述する如く、ブレ
ーキ操作時には、マスタシリンダカットバルブ98及び
100は共にオン(閉弁)状態とされる。この場合、ブ
レーキペダル12が踏み込まれたことによりマスタシリ
ンダ圧PM/C が上昇すると、マスタシリンダ10内のブ
レーキフルードは上記ストロークシミュレータ92の液
室92cへ流入する。また、ブレーキペダル12の踏み
込みが解除され、マスタシリンダ圧PM/C が低下する
と、液室92c内のブレーキフルードはマスタシリンダ
10へ流入する。従って、ストロークシミュレータ92
によれば、マスタシリンダカットバルブ98及び100
が閉弁されている状況の下で、ブレーキペダル12に、
ペダル踏力に応じたストロークを発生させることができ
る。
【0023】システムに異常が生じたことが検出された
場合には、マスタシリンダカットバルブ98及び100
は共にオフ(開弁)状態とされる。この場合、前輪側の
ホイルシリンダ64、68とマスタシリンダ10とが連
通することで、ホイルシリンダ64、68の油圧がマス
タシリンダ圧PM/C を上限として昇圧されることが保証
される。なお、以下の記載においては、ホイルシリンダ
40、42、64、68を区別しない場合は、参照番号
を付さずに、単に「ホイルシリンダ」と称するものとす
る。
【0024】本実施例のシステムにおいて、ECUは、
マスタシリンダ圧PM/C が所定値を上回って上昇した場
合にブレーキ操作が行なわれたと判断する。ただし、ブ
レーキペダル12に配設されたブレーキスイッチのオン
・オフ状態に基づいてブレーキ操作の有無を判断しても
よい。ECUは、ブレーキ操作中であり、かつ、何れの
車輪にもロック傾向が生じていないと判断した場合に
は、後輪側保持バルブ48、後輪側減圧バルブ56、左
前輪保持バルブ72、右前輪保持バルブ74、左前輪減
圧バルブ84、及び右前輪減圧バルブ86をオフ状態と
すると共に、切替バルブ60、及びマスタシリンダカッ
トバルブ98、100をオン状態とする。以下、この状
態を通常ブレーキ状態と称する。
【0025】通常ブレーキ状態においては、後輪側油圧
通路44、前輪側油圧通路58、左前輪油圧通路66、
及び右前輪油圧通路70が導通状態とされる。このた
め、後輪側ブレーキ油圧PR がプロポーショニングバル
ブ50を介して後輪側のホイルシリンダ40、42に導
かれると共に、前輪側ブレーキ油圧PF が前輪側のホイ
ルシリンダ64、68へ導かれる。上述の如く、後輪側
ブレーキ油圧PR は増圧制御バルブ28の開度に応じて
増圧される。また、前輪側ブレーキ油圧PR と後輪側ブ
レーキ油圧PR とは定常的には一致しているが、切替バ
ルブ60の存在等に起因して両油圧間にはその立ち上が
り方に僅かな差異が生ずる。従って、後輪側ブレーキ油
圧PR 及び前輪側ブレーキ油圧PF に基づいて、増圧制
御バルブ28の開度を調整することにより、各輪のホイ
ルシリンダ圧PW/C を所望の油圧に増圧することができ
る。
【0026】また、ホイルシリンダ圧PW/C を減圧する
場合は、増圧制御バルブ28を全閉とした状態で、減圧
制御バルブ36の開度を調整し、ホイルシリンダから補
助リザーバタンク34へブレーキフルードを流出させる
ことで、ホイルシリンダ圧P W/C を所望の油圧へ減圧す
ることできる。なお、上述の如く、補助リザーバタンク
34は、その内部に貯留されたブレーキフルードに所定
の油圧を発生させる。従って、ブレーキ操作が解除され
てマスタシリンダ圧PM/C が常圧に復帰すると、補助リ
ザーバタンク34に貯留されたブレーキフルードは、逆
止弁38、30を介してレギュレータ18へ回収され
る。
【0027】何れかの車輪にロック傾向が生じたことが
検出されると、その車輪についてABS制御が開始され
る。例えば、左前輪FLにロック傾向が生じたことが検
出されると、左前輪FLについてABS制御が開始され
る。左前輪FLについてのABS制御は、通常ブレーキ
状態において、左前輪保持バルブ72及び左前輪減圧バ
ルブ84が開閉されることで実現される。
【0028】通常ブレーキ状態において、左前輪保持バ
ルブ72が閉弁されると共に、左前輪減圧バルブ84が
開弁されると、ホイルシリンダ64はリザーバタンク1
5と連通する。この場合、ブレーキフルードがホイルシ
リンダ64からリザーバタンク15へ流出することで、
ホイルシリンダ64の油圧が速やかに減圧される。この
状態を、以下、減圧モードと称する。
【0029】減圧モードによってホイルシリンダ64の
油圧が減圧された状態で、左前輪保持バルブ72が開弁
されると共に左前輪減圧バルブ84が閉弁されると、ホ
イルシリンダ64は後輪側油圧通路44と連通する。こ
のため、ホイルシリンダ64の油圧は後輪側ブレーキ油
圧PR に向けて増圧される。以下、この状態を、増圧モ
ードと称する。
【0030】また、左前輪保持バルブ72及び左前輪減
圧バルブ84が共に閉弁されると、ホイルシリンダ64
は液圧回路から遮断されるため、ホイルシリンダ64の
油圧は一定に保持される。この状態を、以下、保持モー
ドと称する。左前輪FLのABS制御は、車輪のスリッ
プ率が所定のしきい値以下に保持されるように、上記し
た減圧モード、増圧モード、及び保持モードが切り替え
て形成されることにより実行される。また、右前輪FR
のABS制御についても同様に、右前輪保持バルブ74
及び右前輪減圧バルブ86の開閉状態に応じて、減圧モ
ード、増圧モード、及び保持モードが適宜切り替えて形
成されることにより実現される。後輪側のABS制御
は、後輪側保持バルブ48及び後輪側減圧バルブ56が
切り替えられることにより、左右後輪RL,RRについ
て共通に実行される。
【0031】上述の如く、本実施例のブレーキ液圧制御
装置において、ブレーキ操作中には、マスタシリンダカ
ットバルブ98、100、及び切替バルブ60がオン状
態とされることにより、マスタシリンダ10とホイルシ
リンダ64、68との間が遮断されると共に、レギュレ
ータ18と全てのホイルシリンダとが連通する。かかる
状況下で、マスタシリンダ10内のブレーキフルードが
ストロークシミュレータ92に消費されることにより、
ペダル踏力に応じたペダルストロークが発生する。
【0032】図2は、本実施例においてマスタシリンダ
カットバルブ98、100がオン状態とされた場合に実
現される踏力−ストローク関係を実線で示している。な
お、図2には、マスタシリンダカットバルブ98、10
0がオフ状態とされた場合、及び、ペダルストロークの
途中でマスタシリンダカットバルブ98、100がオフ
状態からオン状態に切り替えられた場合の踏力−ストロ
ーク関係を、それぞれ、破線及び一点鎖線で示してい
る。
【0033】マスタシリンダカットバルブ98、100
がオン状態とされた状況下では、ペダルストロークに比
例した量のブレーキフルードが、ストロークシミュレー
タ92の液室92cへ流入する。液室92cへブレーキ
フルードが流入すると、ピストン92bにはその流入量
に比例した変位が生ずる。スプリング92dはピストン
92bの変位量に比例した付勢力を発揮し、この付勢力
に比例した液圧を液室92c内に生じさせる。液室92
c内の液圧はマスタシリンダ圧PM/C に等しく、また、
マスタシリンダ圧PM/C はペダル踏力に比例している。
従って、ペダル踏力とペダルストロークとは比例し、図
2に実線で示す如く、踏力−ストローク関係は線形な特
性となる。
【0034】しかしながら、上述の如く、運転者に対し
て違和感のないペダルフィーリングを与えるためには、
ブレーキ操作の初期においてアイドルストロークをシミ
ュレートし、ペダル踏力が小さな領域で、大きなペダル
ストロークが発生されるような非線形な踏力−ストロー
ク関係を実現する必要がある。従って、ストロークシミ
ュレータ92のみにより、違和感のないペダルフィーリ
ングを得るためには、スプリング92dに非線形バネを
用いる等の対策が必要となって、その実現は必ずしも容
易ではない。
【0035】また、上述の如く、本実施例において、シ
ステム失陥時には、マスタシリンダカットバルブ98、
100がオフ状態とされることで、マスタシリンダ10
とホイルシリンダ64、68とが連通する。この場合、
マスタシリンダ10内のブレーキフルードはホイルシリ
ンダ64、68及びストロークシミュレータ92の双方
に消費されることとなる。従って、システム失陥時にマ
スタシリンダ10からブレーキフルードが多量に消費さ
れるのを防止する観点から、ストロークシミュレータ9
2の容量を一定以上に大きくすることはできない。この
ため、ストロークシミュレータ92のみにより発生され
るペダルストロークは小さく抑制され、このことは、特
に、ブレーキ操作の開始直後において運転者に違和感を
与えることになる。
【0036】これに対して、本実施例のブレーキ液圧制
御装置は、ストロークシミュレータ92の特性に依存す
ることなく、ブレーキ操作の初期段階でアイドルストロ
ークをシミュレートすることにより良好なペダルフィー
リングを実現し得る点に特徴を有している。図3は、ブ
レーキ操作が行なわれた場合の本実施例のブレーキ液圧
制御装置の動作状態を例示するタイムチャートである。
図3には、上段から順に、(a)ブレーキ操作の検出状
態、(b)左前輪FLに対応するマスタシリンダカット
バルブ98のオン・オフ状態、(c)右前輪FRに対応
するマスタシリンダカットバルブ100のオン・オフ状
態、(d)切替バルブ60のオン・オフ状態、(e)増
圧制御バルブ28の開度、及び(f)減圧制御バルブ3
6の開度を示している。
【0037】図3に示す如く、ブレーキ操作が行なわれ
ていない場合は、マスタシリンダタット98、100は
オフ状態に維持され、また、増圧制御バルブ28及び減
圧制御バルブ36は全閉状態に維持されている。そし
て、時刻t0 でブレーキ操作が検出されると、これと同
時に、増圧制御バルブ28が全開状態とされる。しかし
ながら、マスタシリンダカットバルブ98、100、及
び切替バルブ60はブレーキ操作が検出された後もオフ
状態に保持され、時刻t0 から所定期間Tが経過した時
刻t1 において、オン状態に切り替えられる。従って、
時刻t0 から時刻t1 までの区間においては、後輪側の
マスタシリンダ40、42はレギュレータ18と連通
し、後輪側のホイルシリンダ64、68はマスタシリン
ダ10と連通している。
【0038】かかる状況下で、ブレーキ操作に伴ってマ
スタシリンダ圧PM/C が上昇すると、マスタシリンダ1
0内のブレーキフルードは、ホイルシリンダ64、68
及びストロークシミュレータ92の双方に消費される。
従って、上記区間t0 〜t1においては、ブレーキ操作
に伴って比較的多量のブレーキフルードがマスタシリン
ダ10から流出することで、比較的大きなペダルストロ
ークが発生する。すなわち、ブレーキ操作開始直後に、
図3に破線で示す踏力−ストローク関係が実現されるこ
とにより、アイドルストロークがシミュレートされる。
また、区間t0〜t1 においては、前輪側のホイルシリ
ンダ圧PW/C が切替バルブ60を介在させることなく増
圧されることで、前輪側のホイルシリンダ圧PW/C の増
圧は速やかに行なわれる。
【0039】時刻t1 において、マスタシリンダカット
バルブ98、100、及び切替バルブ60がオン状態に
切り替えられると、マスタシリンダ10とホイルシリン
ダ64との間が遮断されることで、マスタシリンダ10
内のブレーキフルードはストロークシミュレータ92に
のみ消費されるようになる。従って、時刻t1 以降、踏
力−ストローク関係は、ストロークシミュレータ92の
特性によって規定されることになり、図3に一点鎖線で
示す如き関係が実現される。また、時刻t1 以降におい
ては、全てのホイルシリンダがレギュレータ18と連通
し、増圧制御バルブ28及び減圧制御バルブ36の開度
が適宜調整されることで、各輪のホイルシリンダ圧P
W/C が所要の液圧に制御される。
【0040】なお、ブレーキペダル12が高速で踏み込
まれた場合等には、上記所定期間Tが経過する前に、ペ
ダルストロークがアイドルストロークに相当する大きさ
に達することがある。そこで、本実施例においては、マ
スタシリンダ圧PM/C が所定圧P0 に達した場合は、そ
れ以上、アイドルストロークをシミュレートするのは妥
当でないと判断し、上記所定期間Tが経過する前であっ
ても、マスタシリンダカットバルブ98、100、及び
切替バルブ60をオン状態に切り替えることとしてい
る。すなわち、一般に、アイドルストロークが終了する
時点でのマスタシリンダ圧PM/C はほぼ一定であると考
えられるため、上記所定値P0 を、アイドルストローク
が終了する時点でのマスタシリンダ圧PM/C に一致させ
ることで、ブレーキ操作が高速に行なわれた場合に、マ
スタシリンダカットバルブ98、100が不必要に長期
間にわたってオフ状態に維持されることが防止されるの
である。この場合、所要のアイドルストロークがシミュ
レートされた時点で、マスタシリンダカットバルブ9
8、100がオン状態に切り替えられることにより、過
大な量のブレーキフルードがマスタシリンダ10からホ
イルシリンダ64、68へ消費されることが防止され
る。
【0041】上述の如く、本実施例においては、ブレー
キ操作が検出された後、所定期間Tが経過するまでであ
って、かつ、マスタシリンダ圧PM/C が所定圧P0 に達
するまでのブレーキ操作の初期段階で、比較的大きなペ
ダルストロークが発生されることにより、アイドルスト
ロークがシミュレートされる。従って、本実施例のブレ
ーキ液圧制御装置によれば、運転者に対して違和感のな
い良好なペダルフィーリングを実現することができる。
【0042】本実施例のシステムが有する上記の性能
は、ECUが所定のルーチンを実行することにより実現
される。以下、図4を参照して、本実施例において、E
CUが実行する処理の内容について説明する。図4は、
本実施例においてECUが実行するルーチンのフローチ
ャートである。図4に示すルーチンは所定の時間間隔で
起動される定時割り込みルーチンである。
【0043】図4に示すルーチンが起動されると、先ず
ステップ200の処理が実行される。ステップ200で
は、ブレーキ操作が開始されたか否かが判別される。そ
の結果、否定判別されたならば、今回のルーチンは終了
される。一方、ステップ200において肯定判別された
場合は、次にステップ202の処理が実行される。ステ
ップ202では、増圧制御バルブ26が全開とされ、続
く、ステップ204において、ブレーキ操作が開始され
てから所定期間Tが経過したか否かが判別される。その
結果、所定期間Tが経過したと判別された場合は、アイ
ドルストロークのシミュレートを終了すべきと判断され
て、次にステップ206の処理が実行される。一方、ス
テップ204において、所定期間Tが経過していないと
判別された場合は、次にステップ208の処理が実行さ
れる。
【0044】ステップ208では、マスタシリンダ圧P
M/C が所定圧P0 に達したか否かが判別される。その結
果、マスタシリンダ圧PM/C が所定圧P0 に達していな
いと判別された場合は、アイドルストロークのシミュレ
ートを続けるべきと判断されて再びステップ204の処
理が実行される。一方、ステップ208において、マス
タシリンダ圧PM/C が所定圧P0 に達していると判別さ
れた場合は、次にステップ206の処理が実行される。
【0045】ステップ206では、マスタシリンダカッ
トバルブ98、100、及び切替バルブ60がオン状態
に切り替えられる。この処理が実行されると、以後、マ
スタシリンダ10内のブレーキルードはストロークシミ
ュレータ92にのみ消費されるようになり、図2に一点
鎖線で示す如き踏力−ストローク関係が実現される。ス
テップ206の処理が終了されると、次にステップ21
0の処理が実行される。
【0046】ステップ210では、ホイルシリンダ圧P
W/C を制御するための制御ルーチンの実行が許可され
る。この制御ルーチンでは、マスタシリンダ圧PM/C
基づいて増圧制御バルブ28及び減圧制御バルブ36の
開度を適宜調整することにより、ホイルシリンダ圧P
W/C を所要の油圧に制御するための処理が実行される。
ステップ210の処理が終了されると今回のルーチンは
終了される。
【0047】なお、上記実施例においては、ブレーキ操
作の開始後、所定期間Tが経過したこと(条件)、又
は、マスタシリンダ圧PM/C が所定圧P0 に達したこと
(条件)の何れか一方の条件が成立した時点で、マス
タシリンダカットバルブ98、100、及び、切替バル
ブ60をオン状態に切り替えることとしたが、本発明は
これに限定されるものではなく、上記条件及びの何
れか一方のみを考慮し、その条件が成立した場合に、上
記切り替えを行なうこととしてもよい。また、ホイルシ
リンダ圧PW/C を検出する圧力センサを設け、上記条件
において、マスタシリンダ圧PM/C に代えてホイルシ
リンダ圧PW/C を基準としてもよく、あるいは、ペダル
ストロークを検出するストロークセンサを設け、条件
においてマスタシリンダ圧PM/C に代えてペダルストロ
ークを基準としてもよい。
【0048】また、上記実施例においては、マスタシリ
ンダカットバルブ98、100を同時にオン状態に切り
替えるものとしたが、本発明はこれに限定されるもので
はなく、マスタシリンダカットバルブ98及び100の
少なくとも一方が上記条件又はが成立するまでオフ
状態に維持されることで、ブレーキ操作の開始直後に、
マスタシリンダ10とホイルシリンダ64及び68の少
なくとも一方とが連通する状態が形成されればよい。す
なわち、本発明においては、マスタシリンダ10が全て
のホイルシリンダから遮断される時点がブレーキ操作の
開始時点から遅延されることにより、アイドルストロー
クがシミュレートされ、その結果、良好なペダルフィー
リングが実現されるのである。
【0049】なお、上記実施例においては、マスタシリ
ンダカットバルブ98、100が請求項1に記載した遮
断手段に相当している。
【0050】
【発明の効果】上述の如く、本発明によれば、マスタシ
リンダとホイルシリンダとの間を遮断する時点をブレー
キ操作の開始時点から遅延させることにより、アイドル
ストロークをシミュレートすることができる。従って、
本発明に係るブレーキ液圧制御装置によれば、運転者に
対して違和感のないペダルフィーリングを実現すること
ができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例であるブレーキ液圧制御装置
のシステム構成図である。
【図2】踏力−ストローク関係を示す図である。
【図3】本実施例のブレーキ液圧制御装置の動作状態を
例示するタイムチャートである。
【図4】本実施例において、ECUが実行するルーチン
のフローチャートである。
【符号の説明】
10 マスタシリンダ 64、68 ホイルシリンダ 98、100 マスタシリンダカットバルブ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 坂本 淳一 愛知県豊田市トヨタ町1番地 トヨタ自動 車株式会社内

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ブレーキ操作中はマスタシリンダとホイ
    ルシリンダとの間を遮断する遮断手段を備えるブレーキ
    液圧制御装置において、 前記遮断手段によりマスタシリンダとホイルシリンダと
    の間を遮断する時点を、ブレーキ操作の開始時点から遅
    延させることを特徴とするブレーキ液圧制御装置。
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