JPH11111048A - 被覆電線 - Google Patents

被覆電線

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JPH11111048A
JPH11111048A JP28455397A JP28455397A JPH11111048A JP H11111048 A JPH11111048 A JP H11111048A JP 28455397 A JP28455397 A JP 28455397A JP 28455397 A JP28455397 A JP 28455397A JP H11111048 A JPH11111048 A JP H11111048A
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JP
Japan
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conductor
heat treatment
electric wire
wire
corrosion cracking
Prior art date
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Pending
Application number
JP28455397A
Other languages
English (en)
Inventor
Yoshihiro Nakai
由弘 中井
Takeshi Miyazaki
健史 宮崎
Michio Uchino
道夫 内野
Ichiro Sumiya
一朗 炭谷
Toshiko Kurosawa
俊子 黒澤
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Sumitomo Electric Industries Ltd
Tokyo Electric Power Company Holdings Inc
Original Assignee
Tokyo Electric Power Co Inc
Sumitomo Electric Industries Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 導体に生じる応力腐食割れを改善できる被覆
電線を提供する。 【解決手段】 導体の外周に絶縁被覆を具える被覆電線
において、この導体はAgを0.01〜0.5重量%含
有し、残部が銅および不可避的不純物からなる。より好
ましくはこの導体に再結晶を起こさないような条件下で
熱処理を施す。このAgの添加や熱処理により、導体表
面の酸化被膜成長速度を低下して酸化被膜の割れを発生
しにくくすると共に、応力腐食割れのクラックの進展速
度を遅くして、耐応力腐食割れを改善する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は導体上にポリエチレ
ンなどの絶縁被覆を施した被覆電線に関するものであ
る。特に、電柱間に架設される被覆配電線に関する。
【0002】
【従来の技術】電柱間などに架設される架空配電線は、
導体として複数の硬銅線を撚り合わせたものが用いら
れ、この撚り線上にポリエチレン,ポリ塩化ビニルなど
による絶縁被覆が施されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】このような撚り合わせ
られた各硬銅線の表面には、撚りを解除しようとする
撚り線反発力、ドラムに巻かれた際の巻癖、架設に
伴う張力、に起因する残留引張応力が現れる。
【0004】一方、被覆電線内に雨水が侵入すると、被
覆電線内は腐食しやすい環境となり、硬銅線表面に酸化
被膜が形成されたりする。このような引張残留応力と腐
食環境とが同時に存在すると、互いに影響し合って硬銅
線に応力腐食割れが発生し、その結果、被覆電線が断線
に至る場合がある。
【0005】この被覆電線の応力腐食割れによる断線の
低減を目的として、被覆線内部への雨水の侵入防止や、
導体の変色防止材の活用、撚り線反発力の低減などの対
策が採られている。しかし、導体自身の耐応力腐食割れ
の改善に関する対策は提案されていない。例えば、被覆
電線の導体に軟銅線を用いれば撚り線反発力や巻癖など
に起因する引張残留応力を低減でき、応力腐食割れの発
生を抑制できる可能性はあるが、引張強さが低下するた
めに実際上は軟銅線を被覆電線の導体に用いることがで
きない。
【0006】従って、本発明の主目的は、被覆電線とし
ての電気的,機械的特性を維持しつつ、導体の耐応力腐
食割れ性を改善し、長寿命化を図ることができる被覆電
線を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明は導体の外周に絶
縁被覆を具える被覆電線で、この導体はAgを0.01
〜0.5重量%含有し、残部が銅および不可避的不純物
からなることを特徴とする。導体は単線でも複数の素線
を撚り合わせたものでもよい。
【0008】応力腐食割れによって破断した導体の断面
および断面近傍の導体表面は必ず黒色の酸化被膜によっ
て覆われている。このような酸化被膜の形成に伴う導体
の破断は次の現象により生じるものと考えられる。
【0009】まず、被覆電線の絶縁被覆層と撚り線導体
との間に侵入した雨水などの影響によって導体素線の表
面が乾いたり湿ったりする。この乾湿の繰り返しによっ
て、導体素線の表面には酸化被膜が形成される。そし
て、導体表面に引張応力が加わると、導体素線表面に形
成された酸化被膜が破壊され、新たに現れた表面上にさ
らに酸化被膜が形成される。このような現象が何回も繰
り返され、クラックが進展し、最終的に導体素線が破断
に至る。
【0010】本発明では銅を主体とする導体の銀の添加
量を限定することにより耐応力腐食割れ性を改善する。
すなわち、本発明ケーブルを腐食環境下におくと導体表
面に酸化被膜が形成されるが、その酸化被膜と導体の界
面にAg濃度が導体内部のAg濃度よりも高い部分(以
下Ag濃化層という)が生成される。このAg濃化層の
存在により、酸化被膜の成長速度が硬銅線と比較して
遅くなること、引張応力を付与した場合に酸化被膜が
割れにくくなること、孔食などの局部腐食が発生しに
くくなることが実現され、耐応力腐食割れ性を改善でき
る。銀の含有量の限定理由は、下限を下回ると耐応力腐
食割れ性を改善する効果が少なくなり、上限を越えると
同効果が飽和したり、導電率が低下して電気的なロスが
多くなって被覆電線としての使用が困難となるからであ
る。
【0011】また、導体に再結晶を起こさないような条
件下で熱処理を施すことで一層耐応力腐食割れ性を改善
することができる。このような条件の熱処理を施すと、 腐食環境下で酸化被膜と導体との界面にAg濃化層が
生成されること、 熱処理によっても導体表面部に内部よりもAg濃度よ
りも高い部分が形成されること、 格子欠陥が減少すること、 などにより酸化被膜の成長速度が一層遅くなる。また、
酸化被膜の割れが発生し難くなる。さらには、孔食など
の局部的な腐食も発生し難くなる。なお、導体に熱処理
を施して完全に再結晶を起こさせると、引張強さが低下
し被覆電線として使用できなくなる。
【0012】この熱処理はさらに次の要件(1),(2) のい
ずれかを満たすことが好適である。 (1) 熱処理温度をT(℃)、熱処理時間をt(時間)と
した場合、150≦T×t≦1200とする。 (2) 熱処理に伴う導体の引張強さの低下を0.1%以上
20%未満とする。
【0013】上記各要件(1),(2) における下限を下回る
と耐応力腐食割れ性を改善する効果が少なく、上限を越
えると同効果が飽和したり、引張強さが低下して被覆電
線としての使用が困難となるからである。
【0014】この熱処理は導体を所定の線径に伸線加工
をした後に施すことが好ましい。導体が撚り線の場合、
この熱処理は所定の線径に伸線加工をした複数の導体素
線を撚り合わせた後に施すことが好適である。これは、
熱処理により生成したAg濃化層および格子欠陥の減少
の効果が電線への加工工程で消失しにくくなるためであ
る。
【0015】さらに、本発明の被覆電線は導体の耐熱性
が向上するため、電流容量の増加も期待できる。
【0016】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を説明
する。まず、表1に示すAg含有量の線径8mmφの荒
引線を作製した。次に、この荒引線を冷間伸線して線径
2mmφの素線を得た。そして、熱処理を施さない場
合、熱処理を施した素線を19本集合して撚り線にす
る場合、素線を19本集合して撚り線してから熱処理
を施す場合とに分けて複数の被覆電線用撚り線導体を試
作した。これらの熱処理条件を表2に示す。表2の熱処
理条件における「工程」に関し、「素線」は素線に熱処
理を施してから撚り合わせを行ったことを、「撚線」は
素線を撚り合わせてから熱処理を行ったことを示してい
る。
【0017】
【表1】
【0018】
【表2】
【0019】試作した被覆電線用導体について、引張試
験,導体抵抗試験および応力腐食割れ感受性試験を実施
した。応力腐食割れ感受性試験は、引張応力試験と曲げ
応力試験との2つの条件で行った。引張応力試験は、図
1に示すように、酢酸銅アンモニア水溶液1中(酢酸銅
40g+純水1000ml+アンモニア水、pH=5.
5、温度35℃)に引張応力(723kg/mm2)を付与し
た状態で撚り線試料2を浸漬し、この撚り線試料2に通
電して温度を35℃とし、断線するまでの試験日数を応
力腐食割れ寿命とした。また、曲げ応力試験は、図2に
示すよう、同様の酢酸銅アンモニア水溶液中に曲げ応力
(曲げ半径=150mm)を付与した状態で撚り線試料
2を浸漬し、クラックが発生するまでの試験日数を応力
腐食割れ寿命とした。この応力腐食割れ感受性試験の結
果は、従来例(試料No.6)の応力腐食割れ寿命を1.0
とした場合の比率で示し、耐応力腐食割れ改善度として
表した。なお、従来例(試料No.6)は従来の硬銅線であ
る。各試験結果と併せて熱処理による引張強さの低下割
合および再結晶組織の有無を表3に示す。
【0020】
【表3】
【0021】線径2.0mmφの素線を19本撚り合わ
せた被覆電線用導体の場合、引張強さは23634N以
上、導体抵抗は0.313Ω/km(20℃)以下であ
ることが必要とされているが、表3に示すように、いず
れの実施例もこれらの要件を満たしている。また、実施
例はいずれも従来例より優れた耐応力腐食割れ改善度を
示しており、再結晶組織は認められていないことがわか
る。特に、熱処理を施したものの方が好結果となってい
る。そして、素線に熱処理を施してから撚り合わせを行
うよりも、素線を撚り合わせてから熱処理を行った方が
概ね好結果となっている。中でも、試料No.1-3,2-5は極
めて優れた耐応力腐食割れ改善度を示している。
【0022】さらに、試料No.1-2および試料No.2-2は、
それぞれ熱処理の「温度×時間」が150未満,120
0超であるが、熱処理に伴う引張強度の低下割合が各々
0.5%,1.0%と小さく、耐応力腐食割れ性が改善
されていることがわかる。
【0023】一方、銀の含有量の最も少ない試料No.4-1
〜4-3 (比較例)は耐応力腐食割れ性が改善されていな
いか、引張強度が不十分であるかのいずれかとなってい
る。逆に、銀の含有量の最も多い試料No.5-1〜5-3 (比
較例)は導体抵抗が大きく、電線の導体として不適切で
あることがわかる。特に、再結晶組織が一部に生じた試
料No.4-2,5-2は引張強さの低下の割合が大きく、被覆電
線としては不十分な引張強さとなっている。
【0024】
【発明の効果】以上説明したように、本発明被覆電線は
銅を主体とする導体のAgの含有量を限定することで高
い耐応力腐食性を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】応力腐食割れ感受性試験における引張応力試験
の説明図である。
【図2】応力腐食割れ感受性試験における曲げ応力試験
の説明図である。
【符号の説明】
1 酢酸銅アンモニア水溶液 2 撚り線試料
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 内野 道夫 大阪市此花区島屋一丁目1番3号 住友電 気工業株式会社大阪製作所内 (72)発明者 炭谷 一朗 神奈川県横浜市鶴見区江ヶ崎町4番1号 東京電力株式会社電力技術研究所内 (72)発明者 黒澤 俊子 神奈川県横浜市鶴見区江ヶ崎町4番1号 東京電力株式会社電力技術研究所内

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 導体の外周に絶縁被覆を具える被覆電線
    において、 前記導体はAgを0.01〜0.5重量%含有し、残部
    が銅および不可避的不純物からなることを特徴とする被
    覆電線。
  2. 【請求項2】 導体に再結晶を起こさないような条件下
    で熱処理を施したことを特徴とする請求項1記載の被覆
    電線。
  3. 【請求項3】 熱処理温度をT(℃)、熱処理時間をt
    (時間)とした場合、 150≦T×t≦1200 を満たす熱処理を施すことを特徴とする請求項2記載の
    被覆電線。
  4. 【請求項4】 導体の引張強さの低下の割合が0.1%
    以上20%未満となる熱処理を施すことを特徴とする請
    求項2記載の被覆電線。
  5. 【請求項5】 熱処理は導体を所定の線径に伸線加工を
    した後に施すことを特徴とする請求項2〜4のいずれか
    に記載の被覆電線。
  6. 【請求項6】 熱処理は所定の線径に伸線加工をした複
    数の導体素線を撚り合わせた後に施すことを特徴とする
    請求項2〜4のいずれかに記載の被覆電線。
JP28455397A 1997-09-30 1997-09-30 被覆電線 Pending JPH11111048A (ja)

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