JPH11108159A - 球状黒鉛鋳鉄製車 - Google Patents

球状黒鉛鋳鉄製車

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JPH11108159A
JPH11108159A JP27305797A JP27305797A JPH11108159A JP H11108159 A JPH11108159 A JP H11108159A JP 27305797 A JP27305797 A JP 27305797A JP 27305797 A JP27305797 A JP 27305797A JP H11108159 A JPH11108159 A JP H11108159A
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JP
Japan
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boss
cast iron
wheel
layer
disk
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JP27305797A
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English (en)
Inventor
Kohei Imanishi
幸平 今西
Yoshimi Kiyama
善美 木山
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Proterial Ltd
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Hitachi Metals Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 鋳物の表層部に砂噛みやノロ噛みが発生して
も破壊しにくい球状黒鉛鋳鉄製車を提供すること。 【解決手段】 中心部にボスを、外周部に輪を配設し、
ボスと輪をディスクまたはスポークで連結して一体に形
成した車とする。更に、少なくともディスクまたはスポ
ークの表層部の基地組織をフエライト層、内部の基地組
織をパーライト層とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、基地組織に於て表
層部がフエライト層、内部がパーライト層で形成された
球状黒鉛鋳鉄製車に関するものである。
【0002】
【従来の技術】鋳鉄製車は鋼製車に比べて一般に鋳造性
が良く、機械加工時の切削性に優れ、価格が安価である
ことから、各種機械、装置等にプーリー、歯車、シー
ブ、Vベルト車等として幅広く使用されている。またこ
のような鋳鉄を材質的にみてみると、片状黒鉛鋳鉄(以
下FCと略称する)、コンパクト・バーミキュラ黒鉛鋳
鉄(以下CVと略称する)、球状黒鉛鋳鉄(以下FCD
と略称する)と低硬度の材質から、高硬度、高強度の材
質まで広範囲の対応が可能である。しかしながら、FC
は機械的強度が低いばかりか靭性(伸び)、耐摩耗性に
も劣るため、高強度や高速機械用には適しない。また、
CVはFCに比べて黒鉛の形状が芋虫状であることから
FCよりも機械的強度は高いが靭性が乏しいため、使用
範囲にも限度がある。一方、FCDは特に靭性を必要と
する場合には基地組織がフエライト系のJIS・FCD
350やFCD400等が使用され、また高強度を必要
とする場合には基地組織がパーライト系のJIS・FC
D700やFCD800が使用され、種々の機械や自動
車等の鋳物部品としても広く用いられている。
【0003】近年各種機械や装置においては益々高速、
高性能化が求められ、剛性を要する重要な鋳物部品は引
張強さ、靭性、耐摩耗性等が揃って良好であることが要
求されている。特に高い機械的強度が求められる部品に
はJIS・FCD700前後の材質が採用され、パーラ
イト系の基地組織であるため耐摩耗性についても優れて
いる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら機械的性
質として引張強さと伸びの関係は逆比例的関係があり、
JIS規格G5502にも定められているように、例え
ばFCD350の場合引張強さが350N/mm2以上
で伸びは22%以上である。FCD700の場合は引張
強さが700N/mm2以上で伸びは2%以上と成って
おり、FCD700近傍の材質ではきわめて靭性に劣る
ことが知られている。
【0005】このようなFCD700近傍の材質を歯車
やシーブ等に採用すると引張強さや耐摩耗性は十分であ
るが靭性や曲げ特性に劣ることになり、特に球状黒鉛鋳
鉄製車のボスと外周部の輪を連結しているディスクまた
はスポーク部の鋳物肌表面近傍に砂噛みやノロ噛み等が
鋳物の欠陥として発生した場合に、切り欠きの作用をし
て破壊の原因となることがある。逆に靭性を優先させた
FCD350のごとき材質にすると、引張強さや耐摩耗
性が低下し、これを補うためには必要以上に厚肉とせざ
るを得ず、原価高や重量増加の原因となる。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記課題に鑑み、本発明
者らは、表層部の基地組織と内部の基地組織が異なる部
材で、球状黒鉛鋳鉄製車を提供することに想到した。
【0007】まず中心部にボスを、該ボスの中心と同心
となるように外周部に輪を配設し、ボスと輪をディスク
またはスポークで連結して一体に形成した車とする。次
に、少なくともディスクまたはスポークの表層部の基地
組織をフエライト層、内部の基地組織をパーライト層で
形成した球状黒鉛鋳鉄製車とする。フエライト層は硬度
が低く、靭性、曲げ特性に優れているので、表層部の強
靭性が大である。フエライト層であるため軟らかく、鋳
物肌表面近傍に砂噛みやノロ噛み等が発生しても切り欠
きの作用を緩和する。また、内部はパーライト層である
ため十分な引張強さが得られる。フエライト層とパーラ
イト層の2層構造であるため、球状黒鉛鋳鉄製車に要求
される理想的な機械的性質に対応可能である。
【0008】次に、外周部の輪に歯形または溝を形成す
る。歯形を設けるとその形状により種々の歯車が製作可
能である。または、溝を形成する。溝形状はロープ用、
Vベルト用等必要な形状とすることにより種々のプーリ
ーやシーブ等が製作可能である。このような歯形または
溝形状は球状黒鉛鋳鉄で車を製作後、機械加工で形状出
しをすれば表層部のフエライト層が削り落とされ、表面
をパーライト層とすることができる。パーライト層とす
ることにより歯形または溝形状部の硬度が高くなり、耐
摩耗性が十分となる。
【0009】表層部のフエライト層の厚さは0.2mm
以上に形成する。0.2mm未満では鋳物肌面の砂噛み
等の影響を緩和するのが不十分である。好ましくは0.
5mm以上であり、特に望ましくは1.0mm以上であ
る。
【0010】また、表層部のフエライト層のフエライト
化率を60%以上に形成する。ここでの「フエライト化
率」とは基地中に占めるフエライト相の割合をいう。な
お、表層部の基地の残部はほとんどがパーライト相であ
る。フエライト化率が60%未満ではパーライトの影響
により表面の硬度が十分に低下しない。好ましいフエラ
イト化率は70%以上であり、特に望ましくは80%以
上である。
【0011】
【発明の実施の形態】以下本発明の実施例を詳細に説明
するが、本発明はこれらの実施例により何等限定される
ものではない。
【0012】
【実施の形態1】図1及び図2は本発明の一実施例であ
る。図1は本発明の球状黒鉛鋳鉄製車1であるVプーリ
ーの正面図であり、図2は図1の断面A−A部の拡大断
面図である。また、図3はディスク4の表層部5から内
部6へ向かってのミクロ組織写真を、図4はV溝表面8
部のミクロ組織写真を示したものである。
【0013】まず、球状黒鉛鋳鉄製車(Vプーリー)1
の主要形状は、中心部にボス2を配し、ボス2の中心と
同心となるように外周部に輪3を配設した。更にボス2
と輪3はディスク4で一体構造に形成した。溝7は後工
程で機械加工で削り出すために、鋳造時の素材形状とし
ては余肉で埋めた形状とした。
【0014】次に、砂型を用いて鋳型を製作し、球状黒
鉛鋳鉄の溶湯を鋳型に注入した。このようにしてVプー
リー1の素材を鋳造後、鋳型内で常温まで冷却し型バラ
シを実施した。更に、押湯、湯道を除去後ショットブラ
ストで鋳物肌面に付着した砂を除去して所望の素材形状
を得た。この時の化学成分は、C:3.75%、Si:2.29
%、Mn:0.21%、P:0.026%、S:0.009%、Cr:
0.052%、Mg:0.031%、Cu:0.43%、残部Fe及び
不可避不純物であった。
【0015】続いて、炉内温度を900℃に保持した熱
処理炉に素材を投入した。900℃で5分間保持後引き
続き740℃迄炉冷し、740℃で10分間保持した。
しかる後、650℃迄炉内徐冷を行った。熱処理完了後
のVプーリー1の表面からショットブラストで酸化スケ
ールを除去後、輪3に所定の形状となるよう溝7を機械
加工で削り出した。
【0016】このようにして製作したVプーリー1の断
面A−A部を鋸切断し、ディスク4の表層部5から内部
6に向かってのミクロ組織と、機械加工で削り出したV
溝表面8近傍のミクロ組織を調べた。図3はディスク4
の表面から深さ2mm迄のミクロ組織写真図で、倍率は
80倍である。図3において、表面から深さ0.5mm
近傍まではフエライト化率80%の基地組織であった。
フエライト基地であるため硬度が低く、靭性に優れてい
る。その後は表面からの深さが増すにしたがってフエラ
イト化率が減少し、フエライト・パーライト混相の基地
組織となっていた。
【0017】図4はV溝表面8の機械加工表面近傍から
深さ2mm近傍までのミクロ組織写真を示したもので、
倍率は80倍である。安定したパーライトの基地組織と
なっており、パーライト化率は70%の基地組織であっ
た。パーライト基地であるため硬く、耐摩耗性が大であ
る。
【0018】
【実施の形態2】図5及び図6は本発明の第2の実施例
である。図5は本発明の球状黒鉛鋳鉄製車である歯車1
0の正面図であり、図6は図5の部分断面側面図であ
る。歯車10の主要形状は、中心部にボス2を配し、ボ
ス2の中心と同心となるように外周部に輪3を配設し
た。更にボス2と輪3は複数のスポーク11で一体構造
に形成した。スポーク11の断面形状は楕円形とした。
また、歯形12は後工程で機械加工で削り出すために、
鋳造時の素材形状としては余肉で埋めた形状とした。次
に、実施の形態1と同様に歯車10の素材を鋳造した
後、熱処理を実施した。熱処理条件も実施の形態1と同
様とした。更に、熱処理完了後の歯車10の表面からシ
ョットブラストで酸化スケールを除去後、輪3に所定の
形状となるよう歯形12を機械加工で削り出した。
【0019】このようにして製作した歯車10のスポー
ク11と歯形12を実施の形態1と同様に鋸切断し、ス
ポーク11の断面13のミクロ組織と、機械加工で削り
出した歯形12の表面部のミクロ組織を調べた。結果
は、実施の形態1と同様スポーク11の表層部ではフエ
ライト基地組織が得られた。表層部から内部に向かって
は表面からの深さが増すにしたがってフエライト化率が
減少し、フエライト・パーライト混相の基地組織が得ら
れ、内部はパーライト組織であった。また、歯形表面部
でも実施の形態1と同様のパーライト基地組織が得られ
た。パーライト組織であるため歯形12に焼入れ処理を
追加すれば更なる表面硬化、耐摩耗性の改善が可能であ
る。
【0020】
【実施の形態3】図7ないし図9は本発明の第3の実施
例である。図7は本発明の球状黒鉛鋳鉄製車であるシー
ブ15の正面図であり、図8は図7の部分断面側面図で
ある。また、図9はスポーク11の断面B−B部の拡大
断面図である。シーブ15の主要形状は、中心部にボス
2を配し、ボス2の中心と同心となるように外周部に輪
3を配設した。更にボス2と輪3は複数のスポーク11
で一体構造に形成した。スポーク11の断面形状は図9
で示しているごとき断面十字形状である。次に実施の形
態1及び2と同様にシーブ15の素材を鋳造した後、熱
処理を実施した。熱処理条件も実施の形態1及び2と同
様とした。更に、ショットブラストで熱処理完了後のシ
ーブ15の表面から酸化スケールを除去した。
【0021】続いて、シーブ15のスポーク11を鋸切
断により切り出して、断面のミクロ組織を調べた。結果
は、実施の形態1と同様、スポーク11の表層部5では
フエライト基地組織が得られ、更に表層部5から内部6
に向かっては表面からの深さが増すにしたがってフエラ
イト化率が減少し、フエライト・パーライト混相の基地
組織が得られた。内部6はパーライト基地組織であっ
た。
【0022】
【発明の効果】以上、本発明によれば、表層部5は優れ
た靭性、曲げ特性を有し、内部6は高強度で耐摩耗性に
も優れた球状黒鉛鋳鉄製車を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施例である球状黒鉛鋳鉄製車
(Vプーリー)の正面図である。
【図2】本発明の図1の断面A−A部の拡大断面図であ
る。
【図3】本発明のVプーリーの、ディスクの表層部近傍
の金属ミクロ組織写真図である。
【図4】本発明のVプーリーの、V溝表面部の金属ミク
ロ組織写真図である。
【図5】本発明の第2の実施例である歯車の正面図であ
る。
【図6】本発明の図5の歯車の部分断面側面図である。
【図7】本発明の第3の実施例であるシーブの正面図で
ある。
【図8】本発明の図7のシーブの部分断面側面図であ
る。
【図9】本発明の図7のシーブの断面B−B部の拡大断
面図である。
【符号の説明】
1:球状黒鉛鋳鉄製車 2:ボス 3:輪 4:ディスク 5:表層部 6:内部 7:溝 8:V溝表面 10:歯車 11:スポーク 12:歯形 13:断面 15:シーブ

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 中心部にボスを、該ボスの中心と同心と
    なるように外周部に輪を配設し、ボスと輪をディスクま
    たはスポークで連結して一体に形成した車であって、少
    なくとも、ディスクまたはスポークの表層部の基地組織
    がフエライト層、内部の基地組織がパーライト層で形成
    されたことを特徴とする球状黒鉛鋳鉄製車。
  2. 【請求項2】 外周部の輪に歯形または溝を形成したこ
    とを特徴とする請求項1記載の球状黒鉛鋳鉄製車。
  3. 【請求項3】 表層部のフエライト層の厚さが0.2m
    m以上であることを特徴とする請求項1または2記載の
    球状黒鉛鋳鉄製車。
  4. 【請求項4】 表層部のフエライト層のフエライト化率
    が60%以上であることを特徴とする請求項1乃至3の
    いずれかに記載の球状黒鉛鋳鉄製車。
JP27305797A 1997-10-06 1997-10-06 球状黒鉛鋳鉄製車 Pending JPH11108159A (ja)

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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2019142263A1 (ja) * 2018-01-17 2019-07-25 三菱電機株式会社 回転電機

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2019142263A1 (ja) * 2018-01-17 2019-07-25 三菱電機株式会社 回転電機
JPWO2019142263A1 (ja) * 2018-01-17 2020-06-11 三菱電機株式会社 回転電機
US11431223B2 (en) 2018-01-17 2022-08-30 Mitsubishi Electric Corporation Rotary electric machine

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