JP7356036B2 - 鍛造用材料、鍛造部材および鍛造部材の製造方法 - Google Patents

鍛造用材料、鍛造部材および鍛造部材の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、鍛造用材料、鍛造部材、および鍛造部材の製造方法に関するものである。
機械、自動車等に使用される鋼製の鍛造部材のうち、軸受、歯車など、特に高い耐摩耗性を必要とされるものは、例えば、JIS G4053規定のクロム鋼を素材として、浸炭焼入焼戻し処理を行ってから使用されている。また、JIS G4805規定の高炭素クロム鋼を素材として、焼戻し処理をして使用されている鍛造部材もある。これらの鍛造部材は、鋼材をオーステナイト単相域、あるいは、オーステナイトとセメンタイトの二相域となる高温に加熱した後に焼入れ・焼戻し処理を行い、表層を550HV以上の高硬度にすることで高い耐摩耗性を得ている。このような鍛造部材は、高い面圧で他部材と接触・摺動することで起きる摩耗に強いことが要求される。
鍛造部材の耐摩耗性を向上させる手段として、浸炭焼入焼戻し処理により表層部のC濃度を上げる方法、又は鍛造部材の素材(鍛造用材料)として高炭素鋼を用いる方法がある。また、合金工具鋼、高速度工具鋼のように、鍛造用材料にCr、Mo、V、Wを添加し、セメンタイトよりも硬い合金炭化物(MoC、WCなど)を鋼中に分散させる方法が知られている。
たとえば、特許文献1には、C、Cr、Mo、V、W、Coを多量に添加した鋼に浸炭焼入焼戻し処理を施し、耐摩耗性、特に300℃~400℃の高温における耐摩耗性を向上させる発明が記載されている。
特許文献2には、Cr、Mo、Vを多く添加した鋼に浸炭焼入焼戻し処理を施し、表面から深さ50μm位置までの領域に存在する炭化物の面積率を6~25%とすることで、耐摩耗性を向上させる発明が記載されている。
特開平7-019252号公報 特開2015-105419号公報
しかしながら、特許文献1および特許文献2に記載された従来技術は、鍛造用材料における合金成分の含有量が高いので、鍛造時の成形荷重が高く、金型寿命が低いという欠点があった。
本発明は、上述の実情に鑑みてなされたものであり、優れた鍛造性を有し、鍛造加工及び浸炭焼入焼戻し処理後に優れた耐摩耗性を発揮可能な鍛造用材料及び鍛造部材、並びにこの鍛造部材の製造方法を提供するものである。
本発明の要旨は以下の通りである。
(1)本発明の一態様に係る鍛造用材料は、外側鋼材と内側鋼材とを備える、側方押出しによる鍛造用材料であって、前記外側鋼材の組成が、質量%で、C:0.15~0.40%、Si:0.05~0.50%、Mn:0.20~1.50%、Cr:0.05~1.50%、P:0.001~0.030%、S:0.005~0.025%、Al:0.005~0.100%、N:0.001~0.025%、V:0.50~3.00%、及びMo:0.80~6.00%を含有し、残部がFeおよび不純物より成り、前記内側鋼材の組成が、質量%で、C:0.05~0.30%、Si:0.05~0.35%、Mn:0.20~1.00%、Cr:0.01~1.50%、P:0.001~0.030%、S:0.005~0.025%、Al:0.005~0.100%、及びN:0.001~0.025%、を含有し、残部がFeおよび不純物より成り、前記鍛造用材料が、側方押出しされる箇所において、前記鍛造用材料の軸方向と垂直な面における前記外側鋼材の面積S1と前記内側鋼材の面積S2とが式1を満たし、端面拘束圧縮試験にてひずみ速度10s-1で得られた変形抵抗で、相当塑性ひずみ1.5における前記外側鋼材の変形抵抗σ’1と前記内側鋼材の変形抵抗σ’2とが、式2を満たす。
0.90≧S2/(S1+S2)<式1>
σ’1×S1/(S1+S2)+σ’2×S2/(S1+S2)≦750[MPa]<式2>
(2)上記(1)に記載の鍛造用材料では、前記外側鋼材の組成が質量%で、B:0~0.0050%、Nb:0~0.100%、Ti:0~0.100%、及びREM:0~0.020%、からなる群から選択される1種以上をさらに含有してもよい。
(3)上記(1)又は(2)に記載の鍛造用材料では、前記外側鋼材と前記内側鋼材との間のクリアランスが0.1mm~2mmであってもよい。
(4)上記(1)~(3)のいずれか一項に記載の鍛造用材料では、前記外側鋼材が、ボンデリューベ処理皮膜を有してもよい。
(5)本発明の別の態様に係る鍛造部材は、上記(1)または(2)に記載の組成を備える前記外側鋼材と前記内側鋼材とで形成された基部と、前記基部から外方に突出した突出部とを備え、前記突出部が、前記基部における前記外側鋼材の部分から突設させた外側突部と、前記基部における前記内側鋼材の部分から突設され、且つ前記外側突部内の少なくとも一部の空間に充填された内側突部とを備え、前記外側突部の厚さが0.5mm以上である。
(6)上記(5)に記載の鍛造部材では、前記突出部の根元における前記外側鋼材の面積S1と前記内側鋼材の面積S2との比率Rと、前記基部における、前記突出部近傍における前記外側鋼材の面積S1と前記内側鋼材の面積S2との比率Rとが、下記式3~式5を満たしてもよい。
=S2/(S1+S2)<式3>
=S2/(S1+S2)<式4>
|(R-R)/R|≦5%<式5>
(7)上記(5)又は(6)に記載の鍛造部材では、前記外側突部のビッカース硬さが740HV以上であってもよい。
(8)本発明の別の態様に係る鍛造部材の製造方法は、上記(5)~(7)のいずれか一項に記載の鍛造部材の製造方法であって、上記(1)~(4)のいずれか一項に記載の鍛造用材料を鍛造加工する工程と、鍛造された前記鍛造用材料に浸炭焼入焼戻し処理をする工程と、を備え、前記鍛造を、前記鍛造用材料に対する側方押出しとし、前記側方押出しによって、前記基部および前記突出部を成形し、前記突出部は、前記側方押出しに際して、前記内側突部が前記外側突部内に入り込んだ状態とし、前記突出部を、0.90≧S2/(S1+S2)が満たされる箇所に設ける。
本発明によれば、優れた鍛造性を有し、鍛造加工及び浸炭焼入焼戻し処理後に優れた耐摩耗性を発揮可能な鍛造用材料及び鍛造部材、並びにこの鍛造部材の製造方法を提供することができる。
本発明の鍛造用材料の一例の斜視図である。 本発明の鍛造用材料の一例の断面図である。 本発明の鍛造用材料の一例の断面図である。 本発明の鍛造用材料の一例の断面図である。 本発明の鍛造部材の一例の模式図である。 実施例の鍛造用材料及びその鍛造用材料を鍛造して成形された鍛造部材の形状を説明する図である。ただし、(a)鍛造前の鍛造用材料の正面図、(b)鍛造により成形された鍛造部材の正面図、(c)同平面図をそれぞれ示す。 (a)端面拘束圧縮試験に用いる試験片の形状、及び(b)使用する治具の形状をそれぞれ説明する図である。 西原式摩耗試験片の形状を説明する図である。
従来技術によれば、鍛造部材の耐摩耗性を高めるためには、鋼を強化する効果を有する合金元素の量を増大させる必要がある。一方、鍛造部材の製造段階での加工性を高めるためには、鍛造部材の素材(鍛造用材料)の硬さを低くする必要があり、そのためには、合金元素の量を減少させる必要がある。従来技術によれば、これら2つの要求を同時に満たすことが困難であった。
本発明では、以下の4点を、詳述の課題の解決手段として採用することとした。
1.鍛造用材料を、外側鋼材と内側鋼材とから構成される複合材料とした。
2.鍛造用材料の外側鋼材においては、Mo、V等の合金炭化物生成元素を含有させる成分設計とした。鍛造用材料の外側鋼材は、鍛造後に鍛造部材の表層部を構成することとなる。従って、鍛造用材料の外側部材の成分を上述のように制御することで、鍛造部材の耐摩耗性を確保することができる。
3.鍛造用材料の内側鋼材においては、外側鋼材と比較して、Mo及びV等の合金元素の含有量を低いものとした。これにより、鍛造用材料の鍛造時に成形荷重を低減できる。
4.外側鋼材と内側鋼材とから構成される複合材料に大きな塑性変形を生じさせると、外側鋼材の破断などが生じる場合がある。そこで、外側鋼材の断面積S1と内側鋼材の断面積S2との比率を所定範囲内とした。さらに、外側鋼材の変形抵抗と内側鋼材の変形抵抗とが所定の関係を満たすこととした。これにより、例えば側方押出しのような複雑形状を形成する鍛造加工を、複合材料に適用することが可能となった。
上述の知見によって得られた、本発明の一態様に係る鍛造用材料1は、側方押出しによる鍛造用材料であって、外側鋼材11と内側鋼材12とを備え、外側鋼材11の組成が、質量%で、C:0.15~0.40%、Si:0.05~0.50%、Mn:0.20~1.50%、Cr:0.05~1.50%、P:0.001~0.030%、S:0.005~0.025%、Al:0.005~0.100%、N:0.001~0.025%、V:0.50~3.00%、及びMo:0.80~6.00%を含有し、残部がFeおよび不純物より成り、内側鋼材12の組成が、質量%で、C:0.05~0.30%、Si:0.05~0.35%、Mn:0.20~1.00%、Cr:0.01~1.50%、P:0.001~0.030%、S:0.005~0.025%、Al:0.005~0.100%、及びN:0.001~0.025%、を含有し、残部がFeおよび不純物より成り、鍛造用材料1が、側方押出しされる箇所において、鍛造用材料1の軸方向と垂直な面における外側鋼材11の面積S1と内側鋼材12の面積S2とが式1を満たし、端面拘束圧縮試験にてひずみ速度10s-1で得られた変形抵抗で、相当塑性ひずみ1.5における外側鋼材11の変形抵抗σ’1と内側鋼材12の変形抵抗σ’2とが、式2を満たす。
0.90≧S2/(S1+S2) <式1>
σ’1×S1/(S1+S2)+σ’2×S2/(S1+S2)≦750[MPa] <式2>
以下に、まず、本実施形態に係る鍛造用材料について詳細に述べる。
(鋼材成分)
本実施形態に係る鍛造用材料1を構成する外側鋼材11と内側鋼材12の化学成分について説明する。以下に示す各元素の割合(%)は全て質量%を意味する。外側鋼材及び内側鋼材それぞれの化学成分においては、同じ数値範囲の元素もあるし、異なる数値範囲の元素もある。以下の説明では、化学成分毎にその含有量の限定理由を説明する。
C(外側鋼材):0.15~0.40%
C(内側鋼材):0.05~0.30%
炭素(C)は鋼材の強度を確保する上で必須の元素である。鍛造後に鍛造部材の表層部を構成することとなる、鍛造用材料の外側鋼材は、高い耐摩耗性を実現するために、浸炭焼入焼戻し後の硬さが740HV以上である必要がある。外側鋼材のC含有量が0.15%未満では、必要な強度が得られない。一方、外側鋼材のC含有量が0.40%を超えると、外側鋼材の鍛造性が劣化する。そのため、外側鋼材のC含有量を0.15~0.40%とする。外側鋼材のC含有量を0.18%以上、0.20%以上、又は0.25%以上としてもよい。外側鋼材のC含有量を0.38%以下、0.35%以下、又は0.30%以下としてもよい。
一方、鍛造部材の基材部には高い耐摩耗性は必要ない。従って、鍛造後に鍛造部材の基材部を構成することとなる、鍛造用材料の内側鋼材においては、鍛造用材料に求められる鍛造性が優先される。そのため、内側鋼材のC含有量は0.05~0.30%とする。内側鋼材のC含有量を0.08%以上、0.10%以上、又は0.15%以上としてもよい。内側鋼材のC含有量を0.28%以下、0.25%以下、又は0.20%以下としてもよい。
Si(外側鋼材):0.05~0.50%
Si(内側鋼材):0.05~0.35%
シリコン(Si)は、焼戻し時に析出するε炭化物が粗大なセメンタイトへと遷移することを抑制し、低温焼戻しマルテンサイト鋼の焼戻し軟化抵抗を顕著に増加させるための元素である。外側鋼材において、Si含有量が0.05%未満では前記作用が発揮できない。一方、外側鋼材においてSi含有量が0.50%を超えると、浸炭焼入焼戻し処理時に表層に酸化層が形成され、表面起点の剥離寿命が低下する。そのため、鍛造後に鍛造部材の表層部を構成することとなる、鍛造用材料の外側鋼材のSi含有量を0.05~0.50%とする。外側鋼材のSi含有量を0.08%以上、0.10%以上、又は0.20%以上としてもよい。外側鋼材のSi含有量を0.45%以下、0.40%以下、又は0.30%以下としてもよい。
一方、鍛造用材料の内側鋼材には高い焼戻し軟化抵抗は必要なく、鍛造性および機械加工時の被削性が優先される。そのため、内側鋼材のSi含有量を0.05~0.35%とする。内側鋼材のSi含有量を0.08%以上、0.10%以上、又は0.15%以上としてもよい。内側鋼材のSi含有量を0.32%以下、0.30%以下、又は0.25%以下としてもよい。
Mn(外側鋼材):0.20~1.50%
Mn(内側鋼材):0.20~1.00%
マンガン(Mn)は焼入性を高めると同時に、赤熱脆性を抑制し、熱間延性を向上させる元素である。外側鋼材のMn含有量が0.20%未満では前記作用が発揮できない。一方、外側鋼材のMn含有量が1.50%を超えると、含有量に見合う効果が期待できない。そのため、外側鋼材のMn含有量を0.20~1.50%とする。外側鋼材のMn含有量を0.25%以上、0.30%以上、又は0.40%以上としてもよい。外側鋼材のMn含有量を1.40%以下、1.30%以下、又は1.20%以下としてもよい。
一方、鍛造用材料の内側鋼材には高い焼入性は必要なく、鍛造性および機械加工時の被削性が優先して求められる。内側鋼材のMn含有量が1.00%を超えると鍛造性が悪化する。そのため、内側鋼材のMn含有量を0.20~1.00%とする。内側鋼材のMn含有量を0.25%以上、0.30%以上、又は0.40%以上としてもよい。内側鋼材のMn含有量を0.90%以下、0.80%以下、又は0.70%以下としてもよい。
Cr(外側鋼材):0.05~1.50%
Cr(内側鋼材):0.01~1.50%
クロム(Cr)は鋼材の焼入性を高めると同時に、硬い炭化物を形成し耐摩耗性を向上させる有用な元素である。外側鋼材のCr含有量が0.05%未満では、焼入性向上の効果が得られない。一方、外側鋼材のCr含有量が1.50%を超えると、鍛造性および被削性が劣化するだけでなく、浸炭焼入焼戻し処理時にオーステナイト粒界に粗大な炭化物が形成する。したがって、外側鋼材のCr含有量を0.05~1.50%とする。外側鋼材のCr含有量を0.10%以上、0.20%以上、又は0.30%以上としてもよい。外側鋼材のCr含有量を1.30%以下、1.10%以下、又は1.00%以下としてもよい。
一方、内側鋼材には高い焼入性及び耐摩耗性は必要なく、部品加工時の鍛造性および被削性が優先される。また、Crはセメンタイトを安定化させる元素でもあり、球状化焼鈍時に球状セメンタイト生成に必要な核をわずかに残すために、微量添加する。内側鋼材のCr含有量が0.01%未満だとその効果が小さい。一方、内側鋼材のCr含有量が1.50%を超えると、鍛造性及び被削性が劣化する。そのため、内側鋼材のCr含有量を0.01~1.50%とする。内側鋼材のCr含有量を0.10%以上、0.15%以上、又は0.20%以上としてもよい。内側鋼材のCr含有量を1.20%以下、1.00%以下、又は0.80%以下としてもよい。
P(外側鋼材および内側鋼材):0.001~0.030%
リン(P)は不純物として含まれる元素である。Pは粒界に偏析して粒界強度を下げる。そのため、P含有量はなるべく低い方が良い。そのため、外側鋼材および内側鋼材の両方におけるP含有量の上限を0.030%以下とする。P含有量の好ましい上限は0.020%以下である。外側鋼材および内側鋼材の両方におけるP含有量の好ましい上限は0.018%、0.015%、又は0.010%である。一方、Pは製鋼工程において低減することができるものの、0.001%未満とするには製造コストがかかり、また0.001%未満としても粒界強度が顕著に向上することはない。そのため、外側鋼材および内側鋼材の両方におけるP含有量の下限を0.001%以上、0.002%以上、又は0.005%以上としてもよい。外側鋼材及び内側鋼材においてP含有量の数値範囲を異ならせてもよい。
S(外側鋼材および内側鋼材):0.005~0.025%
硫黄(S)は鍛造用材料の被削性を向上させる。そのため、外側鋼材および内側鋼材の両方において、0.005%以上のSを含有させる。しかし、S含有量が多すぎると、Mnによって固定されなかったSがFeSとして粒界に生成することで、熱間延性が低下する。また、大量に生成したMnSによって、耐摩耗性が低下する。そのため、外側鋼材および内側鋼材の両方におけるS含有量の上限を0.025%以下とする。したがって、外側鋼材および内側鋼材のS含有量をともに0.005~0.025%とする。外側鋼材および内側鋼材のS含有量を0.008%以上、0.010%以上、又は0.015%以上としてもよい。外側鋼材および内側鋼材のS含有量を0.022%以下、0.020%以下、又は0.018%以下としてもよい。外側鋼材及び内側鋼材においてS含有量の数値範囲を異ならせてもよい。
Al(外側鋼材および内側鋼材):0.005~0.100%
アルミニウム(Al)は脱酸作用を有するとともに、熱処理の際、Nと結合してAlNを形成することによりオーステナイト粒の粗大化を防止し、靭性を高める効果を持つ。外側鋼材および内側鋼材のAl含有量が0.005%未満ではこれらの効果が発揮されない。一方、外側鋼材および内側鋼材のAl含有量が0.100%を超えると上記効果が飽和する。そのため、外側鋼材および内側鋼材のAl含有量をともに0.005~0.100%とする。外側鋼材および内側鋼材のAl含有量を0.008%以上、0.010%以上、又は0.015%以上としてもよい。外側鋼材および内側鋼材のAl含有量を0.080%以下、0.060%以下、又は0.050%以下としてもよい。外側鋼材及び内側鋼材においてAl含有量の数値範囲を異ならせてもよい。
N(外側鋼材および内側鋼材):0.001~0.025%
窒素(N)はAl、Vと結合して窒化物を形成することによりオーステナイト粒の粗大化を防止し、靭性を高める効果を有する。外側鋼材および内側鋼材のN含有量が0.001%未満ではその効果が小さい。一方、外側鋼材および内側鋼材のN含有量が0.025%を超えると上記効果が飽和する。そのため、外側鋼材および内側鋼材のN含有量をともに0.001~0.025%とする。外側鋼材および内側鋼材のN含有量を0.002%以上、0.005%以上、又は0.010%以上としてもよい。外側鋼材および内側鋼材のN含有量を0.022%以下、0.020%以下、又は0.018%以下としてもよい。外側鋼材及び内側鋼材においてN含有量の数値範囲を異ならせてもよい。
V(外側鋼材):0.50~3.00%
バナジウム(V)はMn、Crと同様に、鋼の焼入性を高める。Vはさらに、Cと結合して硬く微細な炭化物を形成して耐摩耗性を向上させるとともに、結晶粒を微細化して靭性を向上させる有用な元素である。外側鋼材のV含有量が0.50%未満では、耐摩耗性向上効果が発揮できない。一方、外側鋼材のV含有量が3.00%を超えると、鍛造性および被削性が低下する。そのため、外側鋼材のV含有量を0.50~3.00%とする。外側鋼材のV含有量を0.60%以上、0.80%以上、又は1.00%以上としてもよい。外側鋼材のV含有量を2.50%以下、2.00%以下、又は1.50%以下としてもよい。
Mo(外側鋼材):0.80~6.00%
モリブデン(Mo)は鋼材の焼入性を高めると同時に、硬い炭化物を形成して耐摩耗性を向上させる有用な元素である。外側鋼材のMo含有量が0.80%未満では上記作用が発揮できない。一方、外側鋼材のMo含有量が6.00%を超えると、鍛造性および被削性が低下する。そのため、外側鋼材のMo含有量を0.80~6.00%とする。外側鋼材のMo含有量を1.00%以上、1.20%以上、又は1.50%以上としてもよい。外側鋼材のMo含有量を5.00%以下、4.00%以下、又は3.00%以下としてもよい。
外側鋼材及び内側鋼材における化学組成の残部は鉄(Fe)及び不純物である。不純物とは、鋼の原料として利用される鉱石やスクラップ、又は、製造工程の環境等から混入する成分であって、本実施形態に係る鍛造用材料の特性を損なわない範囲で許容される成分を意味する。また、外側鋼材が、以下に説明する任意選択的元素をさらに含有してもよい。ただし、これらの任意選択的元素を含有することなく、本実施形態に係る鍛造用材料はその課題を解決することができる。そのため、任意選択的元素の含有量の下限値は0%である。
(外側鋼材の任意選択的元素)
B(外側鋼材):0~0.0050%
ホウ素(B)はオーステナイト中に僅かに固溶させただけで鋼の焼入性を高める。そのため、浸炭焼入焼戻し時にマルテンサイト組織を効率的に得るために、外側鋼材に含有させてもよい。一方、Bを、0.0050%を超えて外側鋼材に含有させると、多量のBNを形成してNを消費するため、オーステナイト粒の粗大化を招来するおそれがある。そのため、外側鋼材のB含有量を0~0.0050%としてもよい。外側鋼材のB含有量を0.0005%以上、0.0010%以上、又は0.0015%以上としてもよい。外側鋼材のB含有量を0.0045%以下、0.0040%以下、又は0.0030%以下としてもよい。
Nb(外側鋼材):0~0.100%
ニオブ(Nb)は、鋼中でN、Cと結合して炭窒化物を形成する元素である。この炭窒化物はオーステナイト結晶粒界をピンニングし、ひいては粒成長を抑制して組織の粗大化を防止する。この組織の粗大化の防止効果を得るために、外側鋼材に、Nbを0.100%以下含有させてもよい。一方、Nbを、0.100%を超えて外側鋼材に含有させると、素材硬さの上昇に起因して鍛造性が顕著に劣化するおそれがある。そのため、外側鋼材のNb含有量を0~0.100%としてもよい。外側鋼材のNb含有量を0.005%以上、0.010%以上、又は0.020%以上としてもよい。外側鋼材のNb含有量を0.090%以下、0.080%以下、又は0.070%以下としてもよい。
Ti(外側鋼材):0~0.100%
チタン(Ti)は、鋼中でN、Cと結合して炭窒化物を形成する元素である。この炭窒化物はオーステナイト結晶粒界をピンニングし、ひいては粒成長を抑制して組織の粗大化を防止する。この組織の粗大化の防止効果を得るために、外側鋼材に、Tiを0.100%以下含有させてもよい。一方、Tiを、0.100%を超えて外側鋼材に含有させると、素材硬さの上昇に起因して鍛造性が顕著に劣化するおそれがある。そのため、外側鋼材のTi含有量を0~0.100%としてもよい。外側鋼材のTi含有量を0.005%以上、0.010%以上、又は0.020%以上としてもよい。外側鋼材のTi含有量を0.090%以下、0.080%以下、又は0.070%以下としてもよい。
REM(外側鋼材):0~0.020%
希土類元素(REM)とは、原子番号57のランタンから原子番号71ルテチウムまでの15元素と、原子番号21のスカンジウム及び原子番号39のイットリウムと、の合計17元素の総称である。REMの含有量とは、これら元素の含有量の合計値である。外側鋼材にREMが含有されると、圧延時にMnS粒子の伸延が抑制される。但し、REM含有量が0.020%を超えると、REMを含む硫化物が大量に生成され、鋼の被削性が劣化するおそれがある。そのため、外側鋼材のREM含有量は0~0.020%としてもよい。外側鋼材のREM含有量を0.002%以上、0.005%以上、又は0.008%以上としてもよい。外側鋼材のREM含有量を0.018%以下、0.015%以下、又は0.010%以下としてもよい。
次に、外側鋼材及び内側鋼材の化学成分以外の構成について説明する。
外側鋼材11は中空状の鋼材であり、内側鋼材12は外側鋼材11の内部に配置されている。本実施形態に係る鍛造用材料1を側方押出しに供する場合、図1に示されるように、内側鋼材12を例えば棒鋼とし、外側鋼材11をパイプ状形状とすることが好ましい。図1に示される鍛造用材料1を側方押出しすることによって、図5に示される鍛造部材2を得ることができる。
(外側鋼材)
外側鋼材11は、本実施形態に係る鍛造用材料1を加工して得られる鍛造部材2において、他の鋼部材と接触して摺動する部位である表層部を構成する。よって、本実施形態に係る鍛造用材料1の外側鋼材11は、鍛造部材の表面のうち、摺動を受ける部分を覆ったものでなければならない。外側鋼材11には、浸炭焼入焼戻し後に高い耐摩耗性が必要となる。そのため、外側鋼材11は、前述のようにCr、Mo等の硬質な合金炭化物生成元素と、高濃度のCとを含有させ、所定条件の浸炭焼入焼戻し後にビッカース硬さを740HV以上とする。鍛造用材料の表層部にあたる外側鋼材11の、所定条件の浸炭焼入焼戻し後にビッカース硬さが740HV未満であると、表層部の耐摩耗性を確保できなくなる。ただし、浸炭焼入焼戻し前の段階における外側鋼材11の硬さは特に規定されない。鍛造加工前の段階では、加工性を考慮すると、外側鋼材11の硬さが低いほうが好ましい。
さらに、外側鋼材11の断面積割合も重要である。外側鋼材11の面積割合が10%未満である肉厚の薄い箇所において側方押出しが行われると、鍛造時に外側鋼材11が破壊されてしまう。よって、側方押出しされる箇所において、鍛造用材料1の軸方向と垂直な面における外側鋼材の面積S1と前記内側鋼材の面積S2が、式1を満たさなければならない。
0.90≧S2/(S1+S2) <式1>
なお、鍛造用材料1の全域にわたり式1が満たされる必要はない。少なくとも鍛造によって大きな変形を受ける箇所、即ち側方押出しされる箇所において式1が満たされていればよい。例えば、図2に示されるように、外側鋼材11の面積S1と内側鋼材12の面積S2との割合が一様であってもよい。一方、鍛造用材料1が側方押出しによる鍛造加工用である場合、少なくとも側方押出しされる箇所において式1が満たされていれば足りる。従って、例えば図3に示されるように、鍛造用材料1の一部に外側鋼材11が配されていてもよい。図3の鍛造用材料1では、その両端において式1が満たされないこととなるが、側方押出しされる箇所に外側鋼材11が配されており、この箇所において式1が満たされていればよい。また、例えば図4に示されるように、外側鋼材11の両端がテーパー形状を有することも妨げられない。図4の鍛造用材料1でも、その両端において式1が満たされないこととなるが、側方押出しされる箇所に外側鋼材11が配されており、この箇所において式1が満たされていればよい。
S2/(S1+S2)の上限を、鍛造部材の形状に応じて変更してもよい。例えば、S2/(S1+S2)を0.88未満、0.85未満、又は0.80未満としてもよい。例えば鍛造用材料1から自動車のスパイダーを製造する場合、外側突部241の厚さを確保する観点から、S2/(S1+S2)を0.90未満としておくことが好ましいと考えられる。
一方、外側鋼材の断面積割合が多すぎると、変形抵抗が高い外側鋼材11が鍛造用材料1に占める割合が過剰となる。そのため、鍛造用材料1の鍛造性が悪化し金型負荷が増大する。金型負荷は外側鋼材11の断面積S1及び内側鋼材12の断面積S2に加え、外側鋼材11及び内側鋼材12それぞれの変形抵抗に大きく影響される。十字軸継手のように、側方押出し加工により成形された鍛造部材2の、側方押出し軸表層に発生するひずみは1.2~1.7である。この範囲における鍛造用材料の変形抵抗が750[MPa]を超えると、成形荷重が高くなり、金型寿命の低下が顕著になる。よって、外側鋼材11の断面積S1、外側鋼材11の相当塑性ひずみ量が1.5となる変形抵抗σ’1、内側鋼材12の面積S2、及び内側鋼材12の相当塑性ひずみ量が1.5となる変形抵抗σ’2が式2を満たすことが必要である。
σ’1×S1/(S1+S2)+σ’2×S2/(S1+S2)≦750[MPa] <式2>
ここで、上記変形抵抗はひずみ速度10s-1で端面拘束圧縮試験を行った際の結果である。
外側鋼材11が、表面処理されていてもよい。例えば、外側鋼材11がボンデリューベ処理皮膜を有していてもよい。ボンデリューベ処理皮膜とは、リン酸亜鉛系化成皮膜と石けん系潤滑剤を用いた処理によって得られる潤滑皮膜である。通常、ボンデリューベ皮膜はリン酸塩皮膜と、未反応石けん(例えばステアリン酸ナトリウム)と、これらの間に形成された金属石けんとの三層構造を有する(「冷間鍛造用潤滑技術」清水秋雄、素形材、素形材センター、2010年、Vol.51、No.10、第24~25頁等参照)。ボンデリューベ処理皮膜によって、型離れを良くし、冷間鍛造時に生じる熱や接触圧力による金型の破損が防止される。
なお、上述の断面積要件を満たす限り、外側鋼材11の厚さは特に規定されないが、例えば、側方押出しされる箇所において0.5mm以上、1.0mm以上、又は1.5mm以上としてもよい。換言すると、外側鋼材11が、厚さ0.5mm以上、1.0mm以上、又は1.5mm以上となる箇所をその一部に備える、と規定してもよい。また、外側鋼材11の厚さは、周方向に沿って一様であっても、一様でなくてもよい。外側鋼材11の厚さが周方向に沿って一様ではない場合、外側鋼材11の側方押出しされる箇所において、周方向に沿って最も薄い箇所の厚さを0.5mm以上、1.0mm以上、又は1.5mm以上としてもよい。
(内側鋼材)
本実施形態の鍛造用材料1における内側鋼材12は、必ずしもその全面が外側鋼材11に覆われていなくともよい。他の部品と接触しない表面に内側鋼材12が露出していてもよい(図3参照)。例えば、本実施形態の鍛造用材料1からなる十字軸継手における中心軸方向には内側鋼材12が露出する場合があるが、この部分には耐摩耗性が要求されないため、内側鋼材12が露出していてもよい。また、内側鋼材12の内部に空洞が設けられてもよい。このような鍛造用材料を側方押出しに供した場合、内側鋼材12の内部の空洞は、側方押出し軸が形成される前に内側鋼材12によって充填され、消失すると考えられる。従って、上述した鍛造用材料1の軸方向と垂直な面における内側鋼材12の面積S2に、空洞部の面積は算入しない。
外側鋼材11と、内側鋼材12との間にクリアランスが設けられていてもよい。クリアランスを設けることにより、外側鋼材11を内側鋼材12の内部に配置する工程の実施が容易となり、鍛造用材料1の製造効率が改善される。また、側方押出しの際には、外側鋼材11及び内側鋼材12によってクリアランスが充填されるので、クリアランスが鍛造部材2の製造を妨げることもない。クリアランスの大きさは特に限定されず、外側鋼材11及び内側鋼材12の形状に応じて適宜定めることができる。例えば、クリアランスを0.1mm~2.0mmとしてもよい。
鍛造用材料1の大きさ(具体的には、鍛造によって大きな変形を受ける箇所である、側方押出しされる箇所の外径)は特に限定されない。例えば、鍛造用材料1を冷間鍛造に供する場合、加工性を考慮すると、鍛造用材料1の外径をφ20mm~φ55mmの範囲内とすることが望ましい。一方、鍛造用材料1を熱間鍛造に供するのであれば、鍛造用材料1のサイズを上述の範囲を超えるものとしても、鍛造設備に負荷をかけることがないと考えられる。
鍛造用材料1の形状も、目的に応じて適宜選択することができる。図1において、鍛造用材料1、及び内側鋼材12は丸棒形状であるが、鍛造用材料1、及び/又は内側鋼材12が角棒形状であってもよい。この場合、鍛造用材料1、外側鋼材11、及び内側鋼材12の「径」(内径及び外径の両方を含む)とは、円相当径を意味する。
次に、本発明の別の態様に係る鍛造部材2について説明する。図5に示されるように、本実施形態に係る鍛造部材2は、外側鋼材21と内側鋼材22とで形成された基部23と、該基部23から外方に突出した突出部24とを備え、突出部24が、基部23における外側鋼材21の部分から突設させた外側突部241と、基部23における内側鋼材22の部分から突設され、且つ外側突部241内の少なくとも一部の空間に充填された内側突部242とで一体に成形されており、外側突部241の厚さが0.5mm以上である。
(鍛造部材)
本実施形態の鍛造用材料1を鍛造加工することにより鍛造部材2が成形される。本実施形態の鍛造部材は、外側鋼材21と内側鋼材22とで形成された基部23と、基部23から外方に突出した突出部24とを備えている。鍛造部材2の外側鋼材21及び内側鋼材22の成分は、上述された鍛造用材料1の外側鋼材21及び内側鋼材22の成分と同じである。また、突出部24は、基部23を形成する外側鋼材21の所定の部分から突設させた外側突部241と、基部23を形成する内側鋼材22の部分から突設され、且つ外側突部241内の少なくとも一部の空間に充填された内側突部242とで一体に成形されている。ここで、突出部24を形成する内側突部242は、外側突部241内の全空間に充填されていてもよいが、必ずしも外側突部241内の全空間に充填されている必要はなく、外側突部241内の一部に入り込んだ状態、すなわち、外側突部241と内側突部242との間に空間が形成された状態であってもよい。
また、外側突部241の厚さは、0.5mm以上とされる。これにより、十分な耐摩耗性を得ることができる。外側突部241の厚さを0.6mm以上、0.8mm以上、又は1.0mm以上としてもよい。外側突部241の厚さの上限を規定する必要はないが、例えば厚さを5.0mm以下、4.0mm以下、又は3.0mm以下と規定してもよい。
また、鍛造部材2において、下記式3~5が満たされることがさらに好ましい。
=S2/(S1+S2) <式3>
=S2/(S1+S2) <式4>
|(R-R)/R|≦5% <式5>
ここで、式3~5における記号は、以下の事項を示す。
1:突出部24の根元における外側鋼材21の面積
2:突出部24の根元における内側鋼材22の面積
:S1及びS2の比率
1:基部23における、突出部24の近傍における外側鋼材21の面積
2:基部23における、突出部24の近傍における内側鋼材22の面積
:S1及びS2の比率
式3~式5が満たされる鍛造部材2では、比率RとRが、実質的に等しい。このような鍛造部材2は、鍛造部材2における外側鋼材21の破断が抑制されるように鍛造がなされていると考えられる。
さらに、外側突部241において、外側鋼材21の面積と内側鋼材22の面積との割合は、上述した鍛造用材料1における割合を引き継いでいると推定される。従って、鍛造用材料1と同様に、0.90≧Rと規定してもよい。0.88>R、0.85>R、又は0.80>Rとしてもよい。
鍛造部材2において、外側鋼材21のビッカース硬さが740Hv以上であることが好ましい。これにより、鍛造部材2の耐摩耗性が一層高められることとなる。なお、外側鋼材21のビッカース硬さとは、外側鋼材21の表面から50μm深さの位置におけるビッカース硬さのことである。外側鋼材21のビッカース硬さを測定する際の荷重は2.94Nとする。
鍛造部材の種類には、例えば自動車用部品のスパイダー、その他インナーレース、トリポード、あるいは歯車等が含まれる。図5は、本実施形態に係る鍛造用材料1を側方押出しすることで成形したスパイダーを示す。中央部分が基部23に該当し、この基部23の周面から外方に突出している軸受部分が突出部24に相当する。
(鍛造部材の製造方法)
以下、本実施形態の鍛造用材料を用いた鍛造部材の製造方法を説明する。本実施形態に係る鍛造部材の製造方法は、本実施形態に係る鍛造用材料1を鍛造加工する工程と、鍛造された鍛造用材料1に浸炭焼入焼戻し処理をする工程と、を備え、鍛造加工を、鍛造用材料1に対する側方押出しとし、側方押出しによって基部23および突出部24を成形し、突出部24は、側方押出しに際して、内側突部242が外側突部241内に入り込んだ状態とし、突出部24を、0.90≧S2/(S1+S2)が満たされる箇所に設ける。以下、この製造方法について詳細に説明する。
上述したように、本実施形態の鍛造用材料1は、外側鋼材11の化学成分を有する鋼材の内側に、内側鋼材12の化学成分を有する鋼材を挿入したものである。例えば図1及び図2に示される実施形態の場合、内側鋼材12は例えば円柱状であり、外側鋼材11は内側鋼材の外径とほぼ同径の内径と、ほぼ同じ軸線方向長さ(高さ)を有する円筒状である。なお、図1及び図2に示される鍛造用材料1においては、その全長にわたり0.90≧S2/(S1+S2)の関係が満たされている。
そして、この鍛造用材料1の軸線方向の両端(上下端)を挟圧して、側方押出しによる鍛造加工を行うことにより、基部23および突出部24を成形する。側方押出しを行うことにより、外側鋼材11(21)および内側鋼材12(22)の所定の部分が軸線と交差する方向に押出される。そのため、外側鋼材11(21)には外側突部241が成形され、内側鋼材12(22)には内側突部242が成形される。このとき、内側鋼材12(22)は外側突部241内に押出され、外側突部241内の空間には内側突部242が入り込んだ状態となる。そのため、突出部24は、外側突部241と内側突部242とが一体に成形されたものとなる。
上述したように、鍛造用材料1の形状は図1及び図2に例示されたものに限られず、図3又は図4に例示されるような、その他の形状を有する鍛造用材料1に対しても、適宜側方押出しを実施することができる。この際は、突出部を、0.90≧S2/(S1+S2)が満たされる箇所に設けることが必要である。例えば、図3に示される鍛造用材料1を、側方押出しによって鍛造する場合、突出部24を設ける箇所が、外側鋼材11が配された箇所と一致するように金型を設計する必要がある。これにより、突出部24における外側鋼材21の破断を防ぎ、突出部24の外側突部241の厚さを0.5mm以上とすることができる。
また、鍛造加工の後は、鍛造部材に浸炭焼入焼戻しを施す。これにより、外側鋼材21の硬さを高め、鍛造部材2の耐摩耗性を確保することができる。
(浸炭処理工程)
鍛造加工後、鍛造部材に対して850~1100℃で浸炭処理を施す。浸炭処理は炭素の拡散現象を利用する処理であり、例えば、ガス浸炭を行う場合には、アセチレン、プロパン及びエチレン等の炭化水素ガスを用いる。浸炭温度が850℃未満では、鍛造部材に十分な炭素を拡散させるために長時間の加熱処理を要し、コストが嵩む。一方、浸炭温度が1100℃を超えると、著しい粗粒化や混粒化を招来する。そのため、浸炭は850~1100℃の温度域で行う。コストの低廉化や粗粒化の抑制及び混粒化の抑制をさらに高いレベルで実現させるためには、浸炭温度を900~1050℃の温度域で行うことが好ましい。なお、浸炭処理は、真空浸炭、又はプラズマ浸炭であってもよい。
(保持工程)
浸炭終了後焼入れ前に、所定の温度で一定時間保持してもよい。浸炭終了後、一定時間保持する目的は、焼入れ時の焼割れの防止やひずみの低減にある。保定温度はCを効率よく拡散させるため850℃以上で10分以上とする。一方、900℃超で60分超保定しても、焼入れ時の焼割れ防止、ひずみ低減の効果は飽和する。従って、保定温度の上限を900℃としてもよい。また、保定時間の上限を60分としてもよい。
(焼入れ工程)
浸炭処理終了後、850~1100℃の温度域から焼入れを行う。浸炭処理後に焼入れを行うのは、表層の組織をマルテンサイトとして、硬さを向上させるためである。焼入れ温度850℃未満であれば、フェライト相など、軟質相の割合が増加する可能性があり、十分なマルテンサイト面積率を確保できないため、鋼の硬さが低下する。
一方、焼入れ温度が1100℃より高い場合、著しい粗粒化や混粒化が生じる。従って、焼入れ温度は850℃~1100℃であることが好ましい。また、焼入れ方法としては、冷却特性に優れる油焼入れが好ましいが、水による焼入れも可能であり、小さな歯車であれば高圧の不活性ガスによる焼入れも可能である。
(焼戻し工程)
焼入れ終了後、130~200℃で焼戻しを行う。焼戻し温度を130℃以上とした場合には、靱性の高い焼戻しマルテンサイトを得ることができる。また、焼戻し温度を200℃以下とすることで、焼戻しによる硬さ低下を防止することができる。なお、これらの効果をそれぞれさらに高いレベルで奏するにためには、焼戻し温度を150~180℃とすることが好ましい。この焼戻し工程を経ることで、本実施形態に係る鍛造部材を得ることができる。
なお、本実施形態の鍛造部材は、表層部を構成する外側鋼材と基材部を構成する内側鋼材との境界で成分、硬さが急激に変化するため、表層部の厚さや使用条件によっては、当該境界が破壊起点となることが考えられる。そのような場合、鍛造部材において、外側鋼材と内側鋼材との中間の成分を有する層を間に挟んで成分を段階的に変化させる、あるいは、高温で拡散処理を施して成分を連続的に変化させるなどの対策を講じることができる。
本発明の効果を確認するため、本発明に係る鍛造用材料、及び本発明の範囲外となる鍛造用材料から鍛造部材を製造し、所定の性能について評価を行った。
まず、表1の「外側鋼材」と「内側鋼材」に示す化学成分を有する鋼を溶製し、連続鋳造によりビレットを作製した。表1において、下線が付された値は、本発明の発明範囲外である。また、表1において、意図的に添加されていない元素の含有量は、記号「-」で示した。
次に、このビレットに熱間圧延を施して直径55mmの丸棒を製造した。さらに、丸棒を球状化焼鈍(SA:Spherodizing Annealing)に供した。
表1の「外側鋼材」に示す化学成分を有し、球状化焼鈍後(SA工程後)の丸棒から外径50mm、内径44.7mmの中空筒上の外側鋼材を作製した。また、表1の「内側鋼材」に示す化学成分を有し、球状化焼鈍後(SA工程後)の丸棒から外径44.7mmの棒状の内側鋼材を作製した。
ただし、表1の本発明例1は、外側鋼材の内径と内側鋼材の外径を47.5mmとし、比較例10は外側鋼材の内径と内側鋼材の外径を48mmとすることで、内側鋼材の割合を増加させた。また、本発明例8は、外側鋼材の内径と内側鋼材の外径を41mmとし、比較例9は外側鋼材の内径と内側鋼材の外径を31.6mmとすることで、内側鋼材の割合を減少させた。さらに、単一鋼材からなる比較例18も作成した。これらの例の製造方法などについては後述する。
次に、外側鋼材の内側に内側鋼材を挿入した状態で(比較例18に関しては、単一鋼材に対して)側方押出し加工を行い、図6(B)及び図6(C)に示す十字軸形状の鍛造部材を成形した。成形時の最大荷重が324kN以下の場合を、鍛造性に優れるとして合格と判定した。また、成形時の最大荷重が324kN超の場合を、鍛造性に劣るとして不合格と判定した。
また、上記球状化焼鈍後(SA工程後)の丸棒のr/2位置(丸棒の半径rの1/2の深さの位置)から、図7の端面拘束溝付き圧縮試験片を作製した。端面拘束溝付き圧縮試験片は、直径R/2位置を中心とした直径8mm、長さ12mmの試験片であり、丸棒試験片の長手方向は、直径55mmの丸棒の鍛伸軸と平行であった。切欠き形状は、「冷間据込み試験方法」冷間鍛造材料強度班、塑性と加工、vol.22.no.241、p139に記載の1号試験片の切欠きに準じた。
各鋼について、図7(a)に示す端面拘束溝付き圧縮試験片を3個作製した。冷間圧縮試験には、富士電波工機(株)製、サーメックマスターZ(登録商標)を使用した。使用した治具はJIS SKH51製で、φ40mm×L50mmの端面拘束溝付き治具である(図7(b)参照)。試験片を圧縮させるときのひずみ速度は、10s-1として、75%以上の圧縮率で冷間圧縮を行い、その後、相当塑性ひずみ量が1.5となる変形抵抗を求めた。
外側鋼材の面積S1および相当塑性ひずみ量が1.5となる変形抵抗σ’1と、内側鋼材の面積S2と相当塑性ひずみ量が1.5となる変形抵抗σ’2が以下の関係
σ’1×S1/(S1+S2)+σ’2×S2/(S1+S2)≦750[MPa]
を満たす場合を、本発明の範囲内であるとして合格と判定した。
耐摩耗性は、西原式摩耗試験によって評価した。ただし、この摩耗試験を、作製した上記鍛造部材に対して実施することはできない。図8に示す西原式摩耗試験片を上記鍛造部材から製造した場合、外側鋼材が空転するので、試験片を回転させて摺動を生じさせることができない。そこで、上記鍛造部材の外側鋼材を模擬するために、外側鋼材と同一の化学成分を有する鋼材から、図8に示す西原式摩耗試験片(評価材)を機械加工にて作製した。これら試験片には、表2に示す条件の浸炭焼入焼戻し処理を行った。
次に、上記西原式摩耗試験片について摩耗試験前の重量を測定し、すべり率9.1%、油潤滑2cc/min、面圧1.5MPa、回転数100rpm、相手材JIS G4805 SUJ2の条件で、摩耗試験を4時間行った。その後、西原式摩耗試験片の重量を再測定し、試験前後の西原式摩耗試験片の重量を算出した。上記西原式摩耗試験を同一水準で3回実施し、摩耗重量の平均値を求めた。摩耗重量の平均値が9mg未満の場合を、耐摩耗性に優れるとして合格と判定した。また、摩耗重量の平均値が9mg以上の場合を、耐摩耗に劣るとして不合格と判定した。摩耗重量の平均値が9mg未満である場合、損耗領域の厚さは、上記鍛造部材の外側鋼材の厚さよりも十分に小さいはずである。従って、上述の判断基準で合格となる鋼材と同一成分の外側鋼材を備える鍛造部材は、耐摩耗性に優れるとみなすことができる。
比較例18は、単一鋼材から構成されたものである。その外径は、上述の例1~17の外側鋼材の外径と同一とした。その製造方法は、上述の例1~17の内側鋼材の製造方法と同一とした。これに、例1~17と同じ条件で側方押出しをした。そして、例1~17と同じ方法で耐摩耗性評価と硬さ測定を行った。
また、上記鍛造部材にも表2に示す条件の浸炭焼入焼戻し処理を行い、その側方押出し軸の、長手方向に対して垂直な面において、半径方向外側の表面50μm深さの位置で、JIS Z 2244に準拠して、試験力を2.94Nとしてビッカース硬さを測定した。表層部のビッカース硬さが740HV以上の場合を、本発明の範囲内であるとして合格と判定した。
表1のNo.1~8が本発明例で、その他(No.9~18)は比較例である。これら発明例及び比較例の内側鋼材面積割合、σ、最大成形荷重、摩耗重量、及び外側鋼材の浸炭焼入れ焼戻し後硬さを表3に記載した。表3において、発明範囲外の値、及び合否基準に満たない値には下線を付した。なお、表3中の「σ」とは、σ’1×S1/(S1+S2)+σ’2×S2/(S1+S2)によって得られる値である。
Figure 0007356036000001
Figure 0007356036000002
Figure 0007356036000003
本発明例1~8の鍛造用材料は、化学成分が本発明の範囲内であり、S2/(S1+S2)が90%以下であり、さらにσが750MPa以下であった。そのため、本発明例1~8の鍛造用材料は側方押出しの際の成形荷重が抑制された。さらに、本発明例1~8の鍛造用材料から得られた鍛造部材は、摩耗重量が小さく、耐摩耗性に優れていた。従って、本発明例1~8の鍛造用材料からは、優れた鍛造性を有し、鍛造加工及び浸炭焼入焼戻し処理後に優れた耐摩耗性を発揮する鍛造部材を得ることができた。
一方、比較例9の鍛造用材料は、外側部材が占める面積率が大きすぎ、σが750MPaを上回ったので、側方押出しの際の成形荷重が過剰となった。
比較例10の鍛造用材料は、外側部材の厚さが小さすぎたので、側方押出しの際に外側部材が割れてしまった。このため、比較例10の鍛造用材料からは、鍛造部材を製造することができなかった。
比較例11の鍛造用材料は、その外側鋼材の炭素量が過剰であった。そのため、比較例11ではσが750MPaを上回り、側方押出しの際の成形荷重が過剰となった。
比較例12の鍛造用材料は、その内側鋼材の炭素量が過剰であった。そのため、比較例12ではσが750MPaを上回り、側方押出しの際には、成形荷重が過剰となった。
比較例13の鍛造用材料は、その外側鋼材においてSi含有量が不足していた。そのため、比較例13の鍛造用材料から得られた鍛造部材は、耐摩耗性が不足した。
比較例14の鍛造用材料は、その外側鋼材においてMn含有量が不足していた。そのため、比較例14の鍛造用材料から得られた鍛造部材は、耐摩耗性が不足した。
比較例15の鍛造用材料は、その外側鋼材においてCr含有量が不足していた。そのため、比較例15の鍛造用材料から得られた鍛造部材は、耐摩耗性が不足した。
比較例16の鍛造用材料は、その外側鋼材においてV含有量が不足していた。そのため、比較例16の鍛造用材料から得られた鍛造部材は、耐摩耗性が不足した。
比較例17の鍛造用材料は、その外側鋼材においてMo含有量が不足していた。そのため、比較例17の鍛造用材料から得られた鍛造部材は、耐摩耗性が不足した。
比較例18の鍛造用材料は、単一鋼材からなるものであり、その化学成分は本発明の外側鋼材の化学成分と近い。ただし、V量が本発明の外側鋼材よりも少なくされている。この比較例18の側方押出の際には、成形荷重は過剰とならなかったが、比較例18の鍛造用材料から得られた鍛造部材は、耐摩耗性が不足した。
本発明によれば、優れた鍛造性を有し、鍛造加工及び浸炭焼入焼戻し処理後に優れた耐摩耗性を発揮可能な鍛造用材料及び鍛造部材、並びにこの鍛造部材の製造方法を提供することができる。これにより、鍛造時の成形荷重の抑制による金型の長寿命化などの効果が得られる。従って、本発明は高い産業上の利用可能性を有する。
1 鍛造用材料
11 外側鋼材
12 内側鋼材
2 鍛造部材
21 外側鋼材
22 内側鋼材
23 基部
24 突出部
241 外側突部
242 内側突部

Claims (8)

  1. 外側鋼材と内側鋼材とを備える、側方押出しによる鍛造用材料であって、
    前記外側鋼材の組成が、質量%で、
    C:0.15~0.40%、
    Si:0.05~0.50%、
    Mn:0.20~1.50%、
    Cr:0.05~1.50%、
    P:0.001~0.030%、
    S:0.005~0.025%、
    Al:0.005~0.100%、
    N:0.001~0.025%、
    V:0.50~3.00%、及び
    Mo:0.80~6.00%
    を含有し、残部がFeおよび不純物より成り、
    前記内側鋼材の組成が、質量%で、
    C:0.05~0.30%、
    Si:0.05~0.35%、
    Mn:0.20~1.00%、
    Cr:0.01~1.50%、
    P:0.001~0.030%、
    S:0.005~0.025%、
    Al:0.005~0.100%、及び
    N:0.001~0.025%、
    を含有し、残部がFeおよび不純物より成り、
    前記鍛造用材料が、側方押出しされる箇所において、前記鍛造用材料の軸方向と垂直な面における前記外側鋼材の面積S1と前記内側鋼材の面積S2とが式1を満たし、
    端面拘束圧縮試験にてひずみ速度10s-1で得られた変形抵抗で、相当塑性ひずみ1.5における前記外側鋼材の変形抵抗σ’1と前記内側鋼材の変形抵抗σ’2とが、式2を満たす
    鍛造用材料。
    0.90≧S2/(S1+S2) <式1>
    σ’1×S1/(S1+S2)+σ’2×S2/(S1+S2)≦750[MPa] <式2>
  2. 前記外側鋼材の組成が質量%で、
    B:0~0.0050%、
    Nb:0~0.100%、
    Ti:0~0.100%、及び
    REM:0~0.020%、
    からなる群から選択される1種以上をさらに含有する
    ことを特徴とする請求項1に記載の鍛造用材料。
  3. 前記外側鋼材と前記内側鋼材との間のクリアランスが0.1mm~2mmであることを特徴とする請求項1又は2に記載の鍛造用材料。
  4. 前記外側鋼材が、ボンデリューベ処理皮膜を有することを特徴とする請求項1~3のいずれか一項に記載の鍛造用材料。
  5. 請求項1または2に記載の組成を備える前記外側鋼材と前記内側鋼材とで形成された基部と、前記基部から外方に突出した突出部とを備え、
    前記突出部が、前記基部における前記外側鋼材の部分から突設させた外側突部と、前記基部における前記内側鋼材の部分から突設され、且つ前記外側突部内の少なくとも一部の空間に充填された内側突部とを備え、
    前記外側突部の厚さが0.5mm以上である
    ことを特徴とする鍛造部材。
  6. 前記突出部の根元における前記外側鋼材の面積S1と前記内側鋼材の面積S2との比率Rと、
    前記基部における、前記突出部近傍における前記外側鋼材の面積S1と前記内側鋼材の面積S2との比率Rとが、下記式3~式5を満たすことを特徴とする請求項5に記載の鍛造部材。
    =S2/(S1+S2) <式3>
    =S2/(S1+S2) <式4>
    |(R-R)/R|≦5% <式5>
  7. 前記外側突部のビッカース硬さが740HV以上であることを特徴とする請求項5又は6に記載の鍛造部材。
  8. 請求項5~7のいずれか一項に記載の鍛造部材の製造方法であって、
    請求項1~4のいずれか一項に記載の鍛造用材料を鍛造加工する工程と、
    鍛造された前記鍛造用材料に浸炭焼入焼戻し処理をする工程と、
    を備え、
    前記鍛造を、前記鍛造用材料に対する側方押出しとし、
    前記側方押出しによって、前記基部および前記突出部を成形し、
    前記突出部は、前記側方押出しに際して、前記内側突部が前記外側突部内に入り込んだ状態とし、
    前記突出部を、0.90≧S2/(S1+S2)が満たされる箇所に設ける
    ことを特徴とする鍛造部材の製造方法。
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