JP4320764B2 - 衝撃疲労強度および耐ピッティング強度に優れた歯車用肌焼鋼 - Google Patents

衝撃疲労強度および耐ピッティング強度に優れた歯車用肌焼鋼 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は,繰返し衝撃負荷の加わる動力伝達歯車の強度を向上する浸炭用鋼に関する。
【0002】
【従来の技術】
動力伝達歯車は耐久性が必要であるとともに軽量化および小型化が求められるため,高い疲労強度と衝撃強度が必要である。このため,自動車などの輸送機械の動力伝達系歯車はJIS鋼のSCr420やSCM420に代表されるクロム系またはクロムモリブデン系肌焼鋼に浸炭焼入れを行う場合が多い。特に衝撃負荷の加わる動力伝達系の後段(たとえばファイナルギヤ対やデファレンシャルギヤ群)の歯車に対しては,靭性の高いSNCM220などのNi含有鋼が適用される場合がある。
【0003】
これらのJIS鋼に対して,さらに疲労強度や靭性,耐ピッティング強度を高めた高強度歯車用肌焼鋼が実用化されている。例えば,特開昭60−21359に開示されているように,ガス浸炭焼入れにおいて発生する粒界酸化層や不完全焼入れ層などの表面異常層を低減する合金組成とすることにより,特に歯元曲げ疲労強度を向上することができる。また,NiやMoの含有量をJIS鋼よりさらに高くして靭性を向上することも可能である。さらにまた,特開昭63−62859に開示されているように,Si,Cr,Moを高めることにより歯面の耐ピッティング性を高めることができる。
【0004】
歯車の高強度化技術としては,高強度歯車用鋼の適用の他に,浸炭焼入れ後にショットピーニングを行うことにより疲労強度を向上する方法が特開平1−31927や特開平6−158266に開示されている。
【0005】
浸炭焼入歯車に対して,負荷の上昇や軽量化を検討する場合,上述の高強度歯車用鋼やショットピーニングの適用が有効であるが,いずれも製造コストの上昇を伴う。特に,ショットピーニングは設備の新設や製造ラインの改造などの投資が必要であるとともに,処理費および工程数の増大によるコストの上昇が大きい。これに対して,高強度歯車用鋼は製造工程の変更が不要なので,ショットピーニングより低コストではあるが,特に高Ni鋼についてはNiの原料コストが高いため,鋼材価格の上昇が大きく,また,歯切り加工性が劣化するため,適用範囲が限定されている。
【0006】
また,前述のように高強度歯車用鋼にはいくつかの種類があり,それぞれに長短所を有しており,歯車としてすべての性能を向上することはできない。たとえば,Siは疲労破壊の起点となる粒界酸化を最も顕著に助長する元素であるので,疲労強度を向上するためには,その含有量を低減する必要があるが,一方で,高温硬度を高める作用があるので,耐ピッティング性を向上するためには,その含有量を増大させる必要がある。また,靭性を重視する場合には,NiやMoを増量された高強度歯車用鋼が有効だが,NiおよびMoは歯車の耐ピッティング性に対しては効果がない。しかも,焼入性が過大となるため,耐ピッティング強度に有効なSi,Mn,Crなどの元素を低減する必要があり,靭性と耐ピッティング性を同時に向上することはできない。仮に焼入性の増大が許容される場合であっても,Ni,Mo,Mn,Crなどの合金元素を過度に添加すると,浸炭焼入れにより多量の残留オーステナイトが生成し,硬さが低下してしまうので,靭性も耐ピッティング性も劣化する。したがって,衝撃負荷と高い面圧が加わる動力伝達系の後段歯車の伝達能力の向上や軽量化を低コストで実現することは困難であった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上記のような事情に着目してなされたものであって,その目的は,衝撃負荷が加わる歯車の伝達能力の向上や軽量化を低コストで実現するための肌焼鋼を提供しようとするものであり,具体的には,合金元素としてNiを多量に添加することなく,また,ショットピーニング等の処理を施すことなく,衝撃疲労強度および耐ピッティング強度を向上する浸炭用鋼を提供するものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明の発明者は,繰返し衝撃負荷における歯元破断寿命(以下,衝撃破断寿命とする)および一定負荷における歯面ピッティング寿命(以下,ピッティング寿命とする)におよぼす化学成分,介在物形態および熱処理条件の影響を調査した結果,以下のようなことを見出した。
【0009】
衝撃破断寿命の向上に対しては,従来から認められているようにNiおよびMoの添加が有効であるが,CrやCuも有効であり,さらにこれらの元素とB(ボロン)との組合わせにより飛躍的に向上する。ただし,Bは浸炭焼入れ温度域で固溶状態で存在することが必要であり,そのため,Bと結合しやすいN(窒素)を低減し,かつ,TiでNを固定する必要がある。また,Mnは衝撃破断寿命を低下させる効果がある。これまでの研究では,Mnの含有量は焼入性の調整のために増減されていたため,これまで,その単独の効果が明らかでなかった。衝撃破断寿命の向上にはMnを積極的に低減することが望ましいが,焼入性の低下が懸念される。一方,Bの添加により焼入性が上昇するので,Mnを低減する場合はBの添加を併用することが望ましい。
【0010】
さらに,衝撃疲労試験における破断面に多くが介在物が観察されることに着目し,介在物形態の影響を調べた結果,疲労起点としての影響度に対応する指標として従来より注目されているような最大サイズではなく,介在物の長さの合計値と衝撃破断寿命が対応していることが判明した。すなわち,鋼材縦断面に観察される介在物の長さを合計し,被検面積で除した値(介在物長さ密度)が小さいほど衝撃破断寿命が長い。この「介在物長さ密度」は介在物の量が多いほど高くなり,介在物の形状が細長いほど高くなるが,量と形状の両方を加味した評価値であることにより,衝撃破断寿命との相関が顕著である。介在物の量や形状は,化学成分や鋼材の溶製方法,圧延方法により制御されるものである。具体的には介在物形成元素である酸素や硫黄の低減や硫化物の硬質化および微細化,圧延温度の最適化などである。硫化物の硬質化や微細化に対しては,Ca,Zr,Ti,Crなどが有効である。特にCaを凝固初期に酸素およびAlと結合したカルシウムアルミネートとして存在させ,かつ,その周囲を硫化物が覆う形態となるように凝固させると,硫化物が微細化するとともに,その後の熱間加工によりCaが硫化物に固溶し,硫化物の変形を抑制するため,介在物長さ密度が顕著に小さくなる。一方,ZrおよびTiは被削性を劣化させる可能性があるので好ましくなく,CrはMn/S(量濃度比)が10以下においては顕著な効果がない。介在物の量や形状は圧延鋼材の段階でほぼ決定され,その後の加工による変化は小さい。したがって,介在物の評価は鋼材の段階で行えばよく,歯車そのものの介在物を評価する必要はない。また,その評価に当っては,長さ15μm未満の微小な介在物を無視し,15μm以上の長さの介在物のみの評価で十分な精度が得られる。
【0011】
衝撃破断寿命は疲労き裂の発生抵抗とき裂伝播抵抗で決定されるものであり,上述の化学成分の調整や介在物形態の制御は,き裂伝播抵抗を向上するものである。一方,き裂発生抵抗に対しては,粒界酸化や不完全焼入れ層の抑制が有効であり,前者に対しては,SiおよびMnの低減が有効であり,後者に対してはCrおよびMoの増大が有効である。
【0012】
歯車の歯面は転動負荷とすべり摩擦負荷を受けており,200c〜300cの高温になると言われている。ピッティング損傷は表面に発生した疲労き裂を起点とする疲労破壊であるため,この温度域における疲労強度がピッティング寿命に大きく影響する。この温度域の強度に対しては,Si,Cr,Moの増量が有効であるが,Siは粒界酸化を助長するので好ましくない。一方,歯面の摩耗はピッティング損傷の前駆段階でもあり,それ自体が歯車の性能を劣化させる。この歯面摩耗を抑制するためには,歯面に炭化物を析出させること(すなわち過共析浸炭)が有効である。ただし,炭化物の量が多すぎると,相手歯車を攻撃する性質があるので,表層の面積率で15%以下にする必要がある。JIS鋼に過共析浸炭を行うと,高温かつ長時間の処理が必要になるとともに,炭化物が粒界に網目状に析出するため,疲労強度や靭性が劣化する。これらを防止するためにはCrおよびMoの増量が有効である。これらの元素は炭化物形成元素であるとともに,浸炭処理において炭化物が生成する臨界炭素濃度(平衡炭素濃度)を低下させるため,比較的低温で迅速な浸炭により球状炭化物を伴う浸炭層が得られる。
【0013】
すなわち,本発明に係る耐衝撃疲労特性に優れた肌焼鋼は,量で,C:0.10〜0.30%,Mn:0.20〜0.40%,Cu:0.05〜0.20%,Cr:2.0〜3.0%,B:0.0005〜0.0030%,Ti:0.01〜0.10%,Nb:0.01〜0.10%を含有し,Si:0.15%以下,P:0.020%以下,S:0.050%以下,Ni:0.20%以下,N:0.010%以下に制限し,残部Fe及び不可避的不純物であることを要旨とするものである。
【0014】
上記の本発明の肌焼鋼においては,さらに他の元素として,Mo:0.02〜1.00%および/またはCa:0.0005〜0.0050%を含有させることによって,耐衝撃疲労特性をさらに向上することができる。
【0015】
本発明の請求範囲の限定理由について以下に説明する。
【0016】
C:0.10〜0.30%
Cは鋼材の強度を向上する元素であるが,0.10%未満ではその効果が小さく,0.30%を越えると被削性が劣化する。よって,Cの含有量は0.10〜0.30%とする。
【0017】
Mn:0.20〜0.40%
MnはSによる赤熱脆性を防止するために必要な元素であり,少なくとも0.20%以上含有させなければならない。しかし,Mnは浸炭焼入れ状態の靭性を低下させ,衝撃破断寿命を劣化させる元素であるので,その含有量を0.40%以下,より好ましくは0.30%以下に抑えるべきである。
【0018】
Cu:0.05〜0.20%
Cuは衝撃破断寿命を向上する元素であるが,0.05%未満では効果が小さく,また,0.20%を越えると熱間圧延における表面割れが顕著に発生しやすくなる。よって,Cuの含有量は0.05〜0.20%とする。
【0019】
Cr:2.0〜3.0%
Crは高温強度の向上,不完全燃焼入れの抑制,マルテンサイトの靭性向上,浸炭濃度の上昇および硫化物の微細化を介して,衝撃破断寿命およびピッティング寿命を向上する元素であるが,十分な寿命向上効果を得るためには,2.0%以上含有させなければならない。しかし,3.0%を超えると浸炭焼入れにより網目状の炭化物が生成しやすくなり,衝撃破断寿命が劣化する。よって,Crの含有量は2.0〜3.0%とする。
【0020】
B:0.0005〜0.0030%
Bは靭性および焼入性を向上する元素であり,浸炭歯車の衝撃破断寿命を向上するが,0.0005%未満では効果が小さく,また,0.0030%を超えると,連続鋳造鋳片やインゴットの初期圧延などの1300℃以上の熱間加工における延性を低下させる。よって,Bの含有量は0.0005〜0.0030%とする。
【0021】
Ti:0.01〜0.10%
TiはNと結合することにより,BとNの結合を防止し,Bを衝撃破断寿命の改善に有効な存在形態とするために必要な元素であるが,0.01%未満では効果が不安定であり,また,0.10%を超えると被削性が顕著に劣化する。よって,Tiの含有量は0.01〜0.10%とする。
【0022】
Nb:0.01〜0.10%
Nbは結晶粒を微細化することにより,衝撃破断寿命を改善する元素であるが,0.01%未満ではその効果が不安定であり,0.10%を超えて添加しても効果が飽和するので不経済である。よって,Nbの含有量は0.01〜0.10%とする。
【0023】
Si:0.15%以下
Siはピッティング寿命および焼入性を向上する元素であるが,浸炭における粒界酸化を助長する元素であり,0.15%を超えて含有させると衝撃破断寿命を顕著に劣化させる。よって,Siの含有量は多くとも0.15%以下,より好ましくは0.10%以下に抑えるべきである。
【0024】
P:0.020%以下
Pは粒界に偏析する元素であり,0.020%を超えて含有させると衝撃破断寿命を顕著に劣化させる。よって,Pの含有量は0.020%以下に抑えるべきである。
【0025】
S:0.050%以下
Sは硫化物系介在物を増加させ,衝撃破断寿命に対応する指標であるところの介在物長さ密度を増大させ,衝撃破断寿命を劣化させる元素であり,その影響は0.050%を超えると顕著になる。よって,Sの含有量は0.050%以下に抑える必要がある。
【0026】
Ni:0.20%以下
Niは延性を向上する元素であるが,添加原料が高価であるとともに,含有量が0.20%を超えると被削性が劣化する。よって,Niの含有量は0.20%以下とする。
【0027】
N:0.010%以下
NはBと結合してBによる衝撃破断寿命の改善効果を低下させる元素であるので,Tiの添加によりTiNを形成させる必要があるが,Nの含有量が0.010%を超えると,多量のTiNが生じて被削性が劣化する。よって,Nの含有量は0.010%以下とする。
【0028】
Mo:0.02〜1.00%
Moは浸炭焼入れにおける不完全焼入層の生成を抑制するとともに,マルテンサイトの靭性を向上することにより,衝撃破断寿命を改善し,さらに,高温強度の向上および浸炭濃度の増大により,ピッティング寿命を改善する元素であるが,0.02%未満では効果が小さく,また,1.00%を超えると被削性が劣化する。よって,Moの含有量は0.02〜1.00%とする。
【0029】
Ca:0.0005〜0.0050%
Caは硫化物を微細化するとともに,MnSに固溶し,硫化物系介在物の長さを減少せしめ,介在物長さ密度を低下させることにより,衝撃破断寿命を改善する元素であるが,0.0005%未満では改善効果が小さく,また,0.0050%を越えると硬質のCaSが生成して被削性が劣化する。よって,Caの含有量は0.0005〜0.0050%とする。
【0030】
介在物長さ密度:0.5mm/mm以下
介在物長さ密度は「長さが15μm以上の介在物の長さの累積値」により定義され,この評価値が被検面積1mm当たり0.5mmを超えると,衝撃破断寿命が顕著に劣化する。よって,介在物長さ密度を0.5mm/mm以下に抑えるべきである。
【0031】
【実施例】
以下に実施例を挙げて本発明を説明する。表1に示す化学組成の鋼をアーク炉で溶製後,熱間圧延により直径90mmの丸棒を製造した。発明鋼1は本発明の第一の発明に該当し,発明鋼2は本発明の第二の発明に該当し,発明鋼3および発明鋼4は本発明の第三の発明に該当する肌焼鋼である。また,比較鋼AおよびBはそれぞれJISの肌焼鋼SCM420およびSNCM220であり,比較鋼Cは疲労強度と靭性に優れた高強度歯車用鋼であり,比較鋼Dは耐ピッティング強度に優れた高強度歯車用鋼である。
【0032】
【表1】
Figure 0004320764
【0033】
圧延材の介在物形態を評価するため,半径の2分の1の位置から縦断面の検鏡試料を作成し,画像解析装置により約100mmの検査面積について,すべての介在物の長さを測定し,15μm以上のものについての合計を算出した。この値を被検面積で除し,介在物長さ密度を求めた。
【0034】
繰返し衝撃負荷における耐久性を調べるため,モジュール2.5,歯数28,歯幅8mmの平歯車を製造し,カーボンポテンシャル0.8%のガス浸炭焼入れを行った。浸炭温度を920℃,焼入れ温度を840℃,焼戻し温度を170℃とした。同じ鋼種の歯車を組合わせ,繰返し衝撃試験および定トルク疲労試験を行った。繰返し衝撃試験は,歯車対の一方の回転を固定し,他方の回転軸に取り付けたアームに衝撃荷重を付与することにより,一対の歯に対して衝撃トルクを繰返し加え,歯元が析損するまでの衝撃回数(衝撃破断寿命)を求める試験である。衝撃トルクは320Nm,衝撃角速度は約3rad/sとし,各鋼種について3対の歯車の平均寿命を求めた。また,定トルク疲労試験はトルク循環式歯車疲労試験機を用いて一定のトルクを付与したまま歯車対を回転させ,歯面にピッティングが発生する寿命を求める試験である。歯車の回転速度は25Hzとし,10回転においてピッティングが発生しない最大トルク(これを「ピッティング強さ」とする)を求めた。表2に圧延材の介在物長さ密度,浸炭後の歯車ピッチ点における炭化物の面積率,衝撃破断寿命およびピッティング強さを示す。
【0035】
【表2】
Figure 0004320764
【0036】
表2において,発明鋼1〜4の衝撃破断寿命は,いずれもNi含有量の高い比較例Cと同等またはそれ以上であり,SCM420(比較鋼A)やSNCM220(比較鋼B)に比べて長い。また,発明鋼1〜4のピッティング強さは,いずれも比較鋼Aより高く,耐ピッティング性を高めた高強度歯車用鋼と同等である。すなわち,本発明に該当する鋼材は,衝撃疲労特性と耐ピッティング性の両方がJIS鋼に比べて改善されている。
【0037】
一方,従来の高強度歯車用鋼(比較鋼C)は介在物長さ密度が低く,衝撃破断寿命に優れるものの,耐ピッティング性に有効なSi,Crの含有量が本発明の範囲より低く,炭化物の析出もないため,ピッティング強さが低い。また,耐ピッティング性を改善した比較鋼Dにおいては,介在物長さ密度が高いため,衝撃破断寿命が劣る。
【0038】
【発明の効果】
以上のように本発明によれば,製造工程の変更や材料コストの大幅な上昇を伴うことなく,浸炭歯車の耐衝撃疲労強度および耐ピッティング強度の向上が可能となり,産業上の利点は極めて大きい。

Claims (3)

  1. 量で,C:0.10〜0.30%,Mn:0.20〜0.40%,Cu:0.05〜0.20%,Cr:2.0〜3.0%,B:0.0005〜0.0030%,Ti:0.01〜0.10%,Nb:0.01〜0.10%を含有し,Si:0.15%以下,P:0.020%以下,S:0.050%以下,Ni:0.20%以下,N:0.010%以下に制限し,残部Fe及び不可避的不純物からなることを特徴とする耐衝撃疲労特性に優れた歯車用肌焼鋼。
  2. 請求項1において,さらに,Mo:0.02〜1.00%を含有する耐衝撃疲労特性に優れた歯車用肌焼鋼。
  3. 請求項1または2において,さらに,Ca:0.0005〜0.0050%を含有する耐衝撃疲労特性に優れた歯車用肌焼鋼。
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