JPH10306343A - 冷間鍛造性及び耐ピッチング性に優れた軟窒化用鋼 - Google Patents
冷間鍛造性及び耐ピッチング性に優れた軟窒化用鋼Info
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- JPH10306343A JPH10306343A JP11153997A JP11153997A JPH10306343A JP H10306343 A JPH10306343 A JP H10306343A JP 11153997 A JP11153997 A JP 11153997A JP 11153997 A JP11153997 A JP 11153997A JP H10306343 A JPH10306343 A JP H10306343A
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Abstract
面圧のかかる歯車等の部品に適用した場合であっても十
分な耐ピッチング性を発揮する軟窒化用鋼を提供する。 【解決手段】 低炭素鋼からなる軟窒化用鋼であって、
Cuを2.0%以下及びNiを2.0%以下含有すると
共に、フェライトの面積率が50面積%以上であり、且
つフェライトの平均粒径が40μm以下であることを要
旨とするものである。具体的な化学成分としては、C:
0.2%以下,Si:0.15%以下,Mn:2.0%
以下,P:0.015%以下,S:0.030%以下,
Cu:2.0%以下,Ni:2.0%以下,Al:1.
0%以下,N:0.030%以下を含有し、残部がFe
及び不可避的不純物からなることが好ましい。
Description
ッチング性に優れた軟窒化用鋼に関し、詳細には、軟窒
化処理前には優れた冷間鍛造性を示し、軟窒化処理後に
は優れた耐ピッチング性を発揮して、浸炭材と同等以上
の耐摩耗性及び耐疲労性を有する軟窒化用鋼に関するも
のである。本発明の軟窒化用鋼は、例えば歯車,継ぎ
手,シャフト等の様に、熱処理時に歪みが発生すること
を嫌う構造用部品に利用でき、特に使用時に高い面圧の
かかる歯車等の部品に好適である。
等の様に耐摩耗性及び耐疲労性が要求される部品につい
ては、浸炭処理が施されて用いられている。浸炭処理
は、鋼材をオーステナイト化温度以上に加熱し、炭素を
鋼中に侵入拡散させ、その後急冷することによりマルテ
ンサイト主体の組織とする方法であり、浸炭後の焼入れ
時に大きな歪みが発生する。このような浸炭処理で発生
する熱処理歪みを抑制する方法としては、窒化法があ
る。窒化法によればA1 変態点温度以下の温度で表面硬
化処理を行うことができ、一般的には、500〜525
℃のアンモニアガスまたは窒素ガスの雰囲気中で、鋼表
面から内部に窒素を侵入させるという方法を採用するこ
とにより極めて高い表面硬さを得ることができる。但
し、窒化処理には非常に長い時間が必要であり、例えば
0.2mm以上の硬化層深さを得るには50時間以上を
必要とする。そこで処理時間の短縮を目的として軟窒化
法が開発されている。軟窒化法は、溶融シアン塩浴(5
70℃)を用いて、この塩浴中に空気を吹き込みつつ窒
化処理を行う方法である。また上記の様なシアン化合物
を用いたくない場合には、RXガス(例えばCO:20
%,H2 :40%,N2 :40%の組成を有するガス)
とNH3 ガスを1:1の割合で混合した雰囲気中で窒化
処理を行う方法を採用すればよいことが知られている。
ては、JIS規格鋼のSACM645があり、その他に
も機械構造用合金鋼のSCM435や機械構造用炭素鋼
であるS45C等に窒化処理が施されて用いられてい
る。
処理を施した場合には、有効硬化層深さが浅く、高い面
圧のかかる歯車等に用いると、鋼の硬化層部と芯部の境
界で剥離が生じ易いという問題を有していた。即ち、従
来の窒化用鋼に軟窒化処理を施すと、浸炭材に比較して
耐ピッチング性や耐スポーリング性等の耐面圧性(以
下、代表的に耐ピッチング性という)が劣ることが指摘
されていた。そこで軟窒化処理により浸炭材と同程度の
耐ピッチング性を得ることが可能な軟窒化用鋼の開発を
目的として種々の研究がなされており、例えば特開平6
−264178号公報には、VやAl等の合金化元素を
増量して添加することにより、SCM435やS45C
と比較して深い有効硬化層深さを得ることができ、浸炭
材と同程度の耐ピッチング性を有する軟窒化用鋼が開示
されている。
より構造用部品の製造コストを削減するという観点か
ら、切削加工を行うことなく冷間鍛造により目的とする
形状に加工する所謂ネットシェイプ加工が可能な鋼材の
開発が要望されており、上記軟窒化用鋼に対しても、よ
り優れた冷間鍛造性が要求されている。軟窒化用鋼の冷
間鍛造性の向上を目的とした技術としては、特開平5−
171347号公報に開示されている軟窒化用鋼が挙げ
られる。この技術によれば、圧延後の硬さをHv200
以下とし、軟窒化処理後の表面硬さをHv600以上、
有効硬化層深さを0.2mm以上にすることができ、優
れた冷間鍛造性を得ることができる。但し、上記軟窒化
用鋼の芯部硬さはHv200以下であることから芯部と
表層部の硬度差が大きく、特に高面圧のかかる歯車等の
部品に適用した場合には十分な耐ピッチング性が得られ
なかった。
目してなされたものであり、冷間鍛造性に優れた軟窒化
用鋼であって、高面圧のかかる歯車等の部品に適用した
場合であっても十分な耐ピッチング性を発揮する軟窒化
用鋼を提供しようとするものである。
明とは、低炭素鋼からなる軟窒化用鋼であって、Cuを
2.0%以下(0%を含まない)及びNiを2.0%以
下(0%を含まない)含有すると共に、フェライトの面
積率が50面積%以上であり、且つフェライトの平均粒
径が40μm以下であることを要旨とするものである。
以下(0%を含まない),Si:0.15%以下(0%
を含まない),Mn:2.0%以下(0%を含まな
い),P:0.015%以下(0%を含まない),S:
0.030%以下(0%を含まない),Cu:2.0%
以下(0%を含まない),Ni:2.0%以下(0%を
含まない),Al:1.0%以下(0%を含まない),
N:0.030%以下(0%を含まない)を含有し、残
部がFe及び不可避的不純物からなることが好ましい。
い),Mo:2.0%以下(0%を含まない),V:
2.0%以下(0%を含まない),Nb:1.5%以下
(0%を含まない),Tiを0.5%以下(0%を含ま
ない)よりなる群から選ばれる1種以上を含有させるこ
とによりフェライト面積率を高めて冷間鍛造性の向上を
図ることができ、中でもTiの添加は耐ピッチング性を
向上させる上でも有効である。
い),Zr:0.08%以下(0%を含まない),T
e:0.08%以下(0%を含まない),Bi:0.0
8%以下(0%を含まない),Pb:0.30%以下
(0%を含まない)よりなる群から選ばれる1種以上を
含有させることにより、被削性の向上を図ることができ
る。
ゴナルフェライトまたはアシキュラーフェライトのこと
であり、フェライト相以外の組織を限定するものではな
く、パーライト,ベイナイト,マルテンサイト等の単相
または混合相のいずれでも良い。
間鍛造性を高めてネットシェイプ加工を可能にすると共
に、軟窒化処理後には優れた耐ピッチング性を発揮する
軟窒化用鋼の開発を目的として鋭意研究を重ねた結果、
軟窒化処理前の冷間鍛造性を高めるには冷間鍛造前のフ
ェライトの面積率を50面積%以上とすると共に、軟窒
化処理後に十分な耐ピッチング性を得るには成分組成と
してCuを含有させ、且つフェライトの平均粒径を40
μm以下に制御すればよいことを見出し本発明に想到し
た。尚、化学成分としてCuを含有すると熱間圧延時に
割れが発生し易いので、Cu添加による熱間圧延時の脆
化を抑制する上で、Niを添加させることが必要であ
る。
は、変形抵抗を大きくする元素の添加を抑制することが
必要であり、具体的にはSi及びPの含有量を制限する
ことにより変形抵抗を小さくし、S含有量を制限するこ
とにより変形能の向上を図ることが望ましい。更に、C
r,Mo,V,Nb,Ti等の炭窒化物形成元素を含有
させれば、炭窒化物の凝集を促進して圧延材におけるフ
ェライト面積率を高めることができるので、冷間鍛造性
の向上に効果的である。
は、窒化処理後の芯部硬さを高めて芯部と表層部の硬度
差を小さくすると共に、有効硬化層深さを深くすること
が必要である。冷間鍛造性の観点からフェライト面積率
を50面積%以上としている組織において、芯部硬さを
高めるには、時効硬化元素であるCuを含有させること
が重要である。即ち、窒化処理時に、鋼中に微細なCu
を析出させることにより芯部硬さを確保することができ
る。
ライト粒界に沿って拡散するので、フェライトの平均粒
径をできるだけ小さくすれば、CやNの拡散を促進する
ことができ、短時間でより深い有効硬化層深さを得るこ
とができる。具体的には、フェライトの平均粒径を40
μm以下とすることが重要である。以下、本発明に係る
軟窒化用鋼の化学成分に関して説明する。
元素である。但し、多過ぎると冷間鍛造性が悪化するの
で上限は0.2%とすることが望ましい。
過ぎると冷間鍛造時の変形抵抗が大きくなるので、上限
を0.15%とすることが望ましい。
過ぎると冷間鍛造性が低下するので、上限を2.0%と
することが望ましく、1.5%以下であるとより望まし
い。尚、Mn含有量の好ましい下限は0.3%である。
て、冷間鍛造性を確保する上で、上限を0.015%と
することが望ましく、0.010%以下であればより望
ましい。
るが、多過ぎると冷間鍛造時の変形能が低下するので上
限は0.030%とすることが望ましい。冷間鍛造性を
より一層向上させるには0.015%以下とすることが
好ましく、0.010%以下であればより好ましい。
素であり、本発明の軟窒化用鋼では必須元素である。但
し、多過ぎると熱間脆性を生じて製造過程中に割れが発
生するので、上限を2.0%に定めた。好ましくは、
1.0%以下である。尚、時効硬化により十分な芯部硬
さを得るには、0.2%以上含有させることが望まし
い。
素であり、本発明の軟窒化用鋼では必須元素である。但
し、過剰に添加すると切削性が急激に低下するので上限
は2.0%とすることが必要である。
て、表面硬さを上げるのに有効な元素である。但し、多
過ぎると生産性が悪化しコストの増加を招くので1.0
%を上限に設定した。好ましくは、0.5%以下であ
る。尚、十分な表面硬さを得るには0.015%以上添
加することが望ましい。
生成し、結晶粒の粗大化を抑制する効果を発揮する。但
し、多過ぎても効果は飽和するので、0.03%を上限
に設定した。尚、十分な効果を発揮させるには、0.0
03%以上含有させることが望ましい。
して残部がFe及び不可避的不純物であることが推奨さ
れるが、以下に説明する理由から、更に、Cr,Mo,
V,Nb,Ti,Ca,Zr,Te,Bi,Pbのいず
れか1種以上を添加することが望ましい。
り、圧延材で炭窒化物の凝集を促進することによりフェ
ライト面積率を高める作用を有するので、添加すること
により冷間鍛造性の向上を図ることができる。
化処理時に炭窒化物を形成し、表面硬さを高める上でも
有効である。但し、多過ぎるとCrが粒界に偏析し、粒
界強度を低下させることにより靭性を劣化させるので、
上限は2.0%とすることが望ましい。
造性を向上させる効果は2.0%を超えると飽和してく
るのでMoの含有量は2.0%以下で十分である。
窒化処理時にC及びNと結合して炭窒化物を生成し、表
面硬さを高めると共に、有効硬化層深さを深くする元素
である。但し、多過ぎると被削性の低下を招くので、上
限は2.0%とすることが望ましい。
効果に加え、窒化処理時にC及びNと結合して炭窒化物
を生成し、表面硬さを高めると共に、有効硬化層深さを
深くする元素である。更に、結晶粒の微細化にも有効で
ある。但し、多過ぎても冷間鍛造性の劣化を招くので、
上限は1.5%とすることが望ましい。
集を促進することによりフェライト面積率を高め、冷間
鍛造性の向上に寄与する。しかも、Nと結合してTi窒
化物を生成し、結晶粒の微細化にも有効であることから
耐ピッチング性の向上にも効果的である。但し、多過ぎ
るとピッチング寿命が短くなると共に、被削性が低下す
るので上限を0.5%とすることが望ましく、0.1%
以下であることがより望ましい。尚、Ti添加の効果を
有効に発揮させるには、0.005%以上添加すること
が望ましい。
させる効果を有する元素である。Caは添加することに
より硬質介在物を軟質な介在物で包むことができ被削性
が向上する。但し、0.01%を超えると効果は飽和す
るので、0.01%以下の添加で十分である。Zrは、
被削性の向上効果に加え、MnSを球状化させる作用も
有するので鋼材の異方性を改善する上でも有効である。
但し、0.08%を超えると効果は飽和するので、0.
08%以下の添加で十分である。Te及びBiの被削性
向上効果も、夫々0.08%を超えると飽和するので、
0.08%以下の添加で十分である。Pbは被削性を向
上させる上で有効な元素であるが、0.30%を超える
とピッチング寿命が短くなり、疲労強度が低下するので
0.30%を上限とすることが望ましい。
あるフェライトの面積率と平均粒径の限定理由について
説明する。フェライト面積率≧50面積% 窒化処理前の冷間鍛造性を高めるためには、冷間鍛造前
の組織をフェライト主体の組織とすることが必要であ
り、少なくとも面積率で50面積%以上が不可欠であ
り、70面積%以上であれば好ましく、80%面積以上
であればより好ましい。
微鏡を用いて組織観察を行い、画像解析により視野内に
おけるフェライト部分の占有面積率を求めればよい。後
述の実施例では光学顕微鏡により400倍で任意に5視
野の組織観察を行い、その平均値をフェライト面積率と
した。
に拡散するため、フェライト粒が小さい程、窒化処理時
にC及びNの拡散が促進される。即ち、フェライトの平
均粒径を小さくすることによりC及びNの拡散が促進さ
れ、短時間で深い有効硬化層深さを得ることができる。
この効果を得るにはフェライト平均粒径を40μm以下
とする必要があり、35μm以下であると望ましい。
合、圧延時にCuが析出し、時効処理により硬さ上昇に
有効に寄与するCu量が少なくなる。この場合には、圧
延後に析出したCuを鋼中に再度溶解させる溶体化処理
を施した後に、冷間鍛造を行うことにより、窒化処理時
に鋼中に微細なCuを析出させることができ、冷間鍛造
性を確保したままで芯部硬さを高めることができる。
径とは、以下の計算式で算出されたフェライト粒径の平
均値であり、例えば後述の実施例では、光学顕微鏡を用
いてランダムに5視野の組織観察(倍率:400倍)を
行い、1視野当り10か所のフェライト粒径を測定し、
平均化することによりフェライト平均粒径を測定した。 フェライト粒径=1/2(フェライト粒の長径+短径)
するには、圧延前の加熱温度を1100℃以上とし、圧
下率を30%以上、圧延仕上げ温度950℃で圧延を行
い、圧延仕上げ後の冷却速度を0.3〜100℃/sec
に制御する方法を採用すればよい。
説明するが、下記実施例は本発明を限定する性質のもの
ではなく、前・後記の主旨に徴して設計変更することは
いずれも本発明の技術的範囲に含まれるものである。
間鍛造性評価の指標として変形抵抗と割れ発生加工率を
調べた。変形抵抗測定用の試験片は、上記鋼材を夫々5
0kg溶製しφ35mmに熱間鍛造した後、焼きならし
処理(900℃で1時間加熱後、空冷)を行い、次いで
φ20mm×30mmに機械加工した丸棒を用い、割れ
発生加工率の測定は、図1に示す形状に機械加工した試
験片を用いた。但し、No.14及びNo.15の試験
片には、上記焼きならし処理に代えて900℃で1時間
加熱した後水冷する溶体化処理を施し、No.16及び
No.17の試験片には、上記焼きならし処理に代え
て、900℃で1時間加熱した後に衝風冷却して機械加
工を行い、No.22及びNo.23の試験片は、上記
焼きならし処理後、球状化処理を施して機械加工を行っ
た。変形抵抗の値と割れ発生加工率は、各鋼材のフェラ
イト面積率及びフェライト平均粒径と共に、表1に示
す。
o.21はJIS規格鋼であるSWRCH10,No.
22はS45C球状化材,No.23はSCr420球
状化材であり、いずれも加工率60%における変形抵抗
は700N/mm2 未満であると共に、割れ発生加工率
が60%以上であり、冷間鍛造性に優れている。
り、いずれも上記従来鋼と同様、加工率60%における
変形抵抗は700N/mm2 未満であると共に、割れ発
生加工率が60%以上であり、冷間鍛造性に優れてい
る。
面積率が低過ぎる場合の比較例であり、変形抵抗が70
0N/mm2 以上であると共に、割れ発生加工率が60
%未満であり冷間鍛造性が乏しい。No.18は、Si
量が多過ぎる場合の比較例であり、変形抵抗が700N
/mm2 以上と大きく、割れ発生加工率も低い。No.
19はP量が多過ぎる場合の比較例であり、割れ発生加
工率は60%以上であるが、変形抵抗が700N/mm
2 以上と大きくなっている。No.20は、S量が多過
ぎる場合の比較例であり、変形抵抗は700N/mm2
未満であるが、割れ発生加工率が低い。
mmに熱間鍛造した後、焼きならし処理(900℃で1
時間加熱後、空冷)を施し、次いで機械加工を行いφ6
0mm×5mmで仕上げ面粗さが2Sのスラスト型転動
疲労試験用試験片を作製した。但し、No.14及びN
o.15の試験片には、上記焼きならし処理に代えて9
00℃で1時間加熱した後水冷する溶体化処理を施し、
No.16の試験片には、上記焼きならし処理に代え
て、900℃で1時間加熱した後に衝風冷却して機械加
工を行い、No.22及びNo.23の試験片は、上記
焼きならし処理後、球状化処理を施して機械加工を行っ
た。
ス:NH3 =1:1のガス雰囲気中において570℃で
8時間加熱する軟窒化処理を施し、空冷した。No.2
3の試験片は、925℃で3時間の浸炭処理を施し、油
焼入れ(130℃)を行った後、180℃で2時間の焼
戻し処理を行った。
後、芯部硬さ及び有効硬化層深さを測定すると共に、ス
ラスト型転動疲労試験機を用いて面圧4000N/mm
2 で転動疲労寿命を測定した。測定結果は、各鋼材のフ
ェライト面積率及びフェライト平均粒径と共に、表2に
示す。
浸炭処理を施した従来の浸炭材である。本発明に係る窒
化用鋼(No.1,9,10,12,14,15)は、
いずれも芯部硬さがHv200以上であると共に、有効
硬化層深さが0.2mm以上であり、しかも上記浸炭材
(No.23)と同等以上の転動疲労寿命を有してい
る。換言すれば、本発明の軟窒化用鋼は耐ピッチング性
に優れ、しかも耐疲労性が高い。従来材であるSWRC
H10(No.21)及びS45C球状化材(No.2
2)は、いずれも芯部硬さが低く、転動疲労寿命が短
い。
且つフェライトの平均粒径が大き過ぎる場合の比較例で
あり、有効硬化層深さが0.2mm以下であって転動疲
労寿命が短い。No.24はフェライトの平均粒径が大
き過ぎる場合の比較例であり、有効硬化層深さが0.2
mm以下であって転動疲労寿命が短い。No.25はA
l量が少な過ぎ、No.26はN量が少な過ぎる場合の
比較例であり、フェライトの平均粒径が大きくなり過
ぎ、有効硬化層深さが0.2mm以下であって転動疲労
寿命が短い。No.27はCu量が多過ぎる場合の比較
例であり、芯部硬さが低いと共に、フェライトの平均粒
径が大きくなり過ぎ、有効硬化層深さが0.2mm以下
であって転動疲労寿命が短い。No.28は、Cuを含
有していない場合の比較例であり、芯部硬さが低く、転
動疲労寿命が短い。この様に、No.16及びNo.2
4〜28の比較例は、いずれも耐ピッチング性が十分で
はなく、耐疲労性も本発明鋼ほどには高くない。
で、冷間鍛造性に優れた軟窒化用鋼であって、高面圧の
かかる歯車等の部品に適用した場合であっても十分な耐
ピッチング性を発揮し、しかも耐疲労性も高い軟窒化用
鋼が提供できることとなった。
である。
Claims (5)
- 【請求項1】 低炭素鋼からなる軟窒化用鋼であって、
Cuを2.0%(質量%の意味:以下同じ)以下(0%
を含まない)及びNiを2.0%以下(0%を含まな
い)含有すると共に、フェライトの面積率が50面積%
以上であり、且つフェライトの平均粒径が40μm以下
であることを特徴とする冷間鍛造性及び耐ピッチング性
に優れた軟窒化用鋼。 - 【請求項2】 更に、Al:1.0%以下(0%を含ま
ない),N :0.030%以下(0%を含まない)の
いずれか1種以上を含有する請求項1に記載の軟窒化用
鋼。 - 【請求項3】 更に、Cr:2.0%以下(0%を含ま
ない),Mo:2.0%以下(0%を含まない),V
:2.0%以下(0%を含まない),Nb:1.5%
以下(0%を含まない)よりなる群から選ばれる1種以
上を含有する請求項1または2に記載の軟窒化用鋼。 - 【請求項4】 更に、Tiを0.5%以下(0%を含ま
ない)含有する請求項1〜3のいずれかに記載の軟窒化
用鋼。 - 【請求項5】 更に、Ca:0.01%以下(0%を含
まない),Zr:0.08%以下(0%を含まない),
Te:0.08%以下(0%を含まない),Bi:0.
08%以下(0%を含まない),Pb:0.30%以下
(0%を含まない)よりなる群から選ばれる1種以上を
含有する請求項1〜4のいずれかに記載の軟窒化用鋼。
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JP11153997A JP3792341B2 (ja) | 1997-04-28 | 1997-04-28 | 冷間鍛造性及び耐ピッチング性に優れた軟窒化用鋼 |
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JPH10306343A true JPH10306343A (ja) | 1998-11-17 |
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ID=14563935
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