JPH11100715A - 高温湿熱性に優れたポリビニルアルコール系繊維 - Google Patents

高温湿熱性に優れたポリビニルアルコール系繊維

Info

Publication number
JPH11100715A
JPH11100715A JP26319097A JP26319097A JPH11100715A JP H11100715 A JPH11100715 A JP H11100715A JP 26319097 A JP26319097 A JP 26319097A JP 26319097 A JP26319097 A JP 26319097A JP H11100715 A JPH11100715 A JP H11100715A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
fiber
acid
weight
strength
pva
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP26319097A
Other languages
English (en)
Inventor
Hirofumi Sano
洋文 佐野
Toshimi Yoshimochi
駛視 吉持
Masahiro Sato
政弘 佐藤
Isao Tokunaga
勲 徳永
Hiroyuki Oki
弘之 大木
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Kuraray Co Ltd
Original Assignee
Kuraray Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Kuraray Co Ltd filed Critical Kuraray Co Ltd
Priority to JP26319097A priority Critical patent/JPH11100715A/ja
Publication of JPH11100715A publication Critical patent/JPH11100715A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Classifications

    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C04CEMENTS; CONCRETE; ARTIFICIAL STONE; CERAMICS; REFRACTORIES
    • C04BLIME, MAGNESIA; SLAG; CEMENTS; COMPOSITIONS THEREOF, e.g. MORTARS, CONCRETE OR LIKE BUILDING MATERIALS; ARTIFICIAL STONE; CERAMICS; REFRACTORIES; TREATMENT OF NATURAL STONE
    • C04B16/00Use of organic materials as fillers, e.g. pigments, for mortars, concrete or artificial stone; Treatment of organic materials specially adapted to enhance their filling properties in mortars, concrete or artificial stone
    • C04B16/04Macromolecular compounds
    • C04B16/06Macromolecular compounds fibrous
    • C04B16/0616Macromolecular compounds fibrous from polymers obtained by reactions only involving carbon-to-carbon unsaturated bonds
    • C04B16/0641Polyvinylalcohols; Polyvinylacetates

Landscapes

  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • Ceramic Engineering (AREA)
  • Chemical Kinetics & Catalysis (AREA)
  • Materials Engineering (AREA)
  • Structural Engineering (AREA)
  • Organic Chemistry (AREA)
  • Artificial Filaments (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】高強度で耐湿熱性の非常に優れ、特に170℃
以上の高温オートグーブが可能なセメント補強材に有望
なポリビニルアルコール系繊維を得る。 【解決手段】ポリビニルアルコール系繊維の紡糸時にア
セタール架橋剤と固体酸をある範囲で含有させ、延伸し
たあと、ホルマリンと酸の水溶液を用いて、繊維の強度
低下を抑えながら繊維内部まで均一にアセタール架橋と
ホルマール架橋を形成させる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、耐湿熱性、耐熱老化
性、高強度、高タクネスが要求されるセメント、ゴム、
プラスチックスなどの補強材やロープ、漁網、テント、
土木シートなどの一般産業資材に有効なポリビニルアル
コール(以下、PVAと略記)系合成繊維及びその製造
法に関するものであり、特に高温オートクレーブ後のセ
メント補強性に優れる高性能PVA系繊維に関するもの
である。
【0002】
【従来の技術】従来、PVA系繊維は強度、弾性率、耐
候性、耐薬品性、接着性などの点でポリアミド、ポリエ
ステル、ポリアクリロニトリル系繊維に比べて優れてお
り、産業資材分野を中心に独自の用途を開拓してきた。
しかしながらPVA系繊維は耐湿熱性に乏しく用途が制
限される欠点を有していた。PVA系繊維の耐湿熱性を
改良しようとする試みは古くからなされて来た。たとえ
ば、特公昭30−7360号公報や特公昭36−145
65号公報には、ホルマリンを用い、PVAのOH基と
架橋反応(ホルマール化)して疎水化により染色や洗濯
に耐えれるPVA系繊維が記載されている。しかし、こ
れらの繊維は強度が低すぎたり、耐熱水性が不十分のた
め高温では溶解したり、繊維の収縮や膠着を生じる問題
があった。
【0003】一方、特開平2−133605号公報や特
開平1−207435号公報には、アクリル酸系重合体
をブレンドするか又は繊維表面を有機系過酸化物やイソ
シアネート化合物、ウレタン系化合物、エポキシ系化合
物などで架橋せしめ耐湿熱性を高める方法が記述されて
いる。しかし、アクリル系重合体はPVAのOH基とエ
ステル結合をするため加水分解し易くその効果を失うこ
と及び他の架橋剤は繊維表面架橋であるため、セメント
補強材のようにショートカットした場合はカット面から
繊維の内部が膨潤、溶解すると言うなどの問題点を抱え
ていた。
【0004】他に酸を用いて脱水架橋により耐湿熱性を
向上させる方法が特開平2−84587号公報や特開平
4−100912号公報などで公知であるが、本発明者
らが追試したところ繊維内部まで架橋させようとすると
PVA繊維の分解が激しく起こり繊維強度の著しい低下
を招き、問題であった。
【0005】一方、ジアルデヒド化合物又はそれのアセ
タール化合物による架橋は特開平5−163609号公
報、特開平5−263311号公報、特開平8−218
271号公報などに開示され、高倍率に乾熱延伸したあ
と、酸処理により繊維内部に架橋を生じさせることが記
載されている。これらは確かに架橋が進み易く耐湿熱性
は向上するが、十分満足されるものではなく、例えば1
75℃以上の高温オートクレーブでスレート板の補強性
が大きく低下する問題があった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】以上の背景を踏まえて
本発明者らは、いかにして高温の湿熱に長時間耐えて高
強度を維持するかについて鋭意検討を重ねた結果、アセ
タール架橋剤と固体酸を繊維内部に含有させた後、ホル
マリンと酸で処理して、繊維の内部までアセタール架橋
とホルマール架橋を生成させることが有効と判り本発明
に至ったものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明は、アセタール架
橋を生じる架橋剤と固体酸を有するPVA系繊維を用
い、ホルマリンと酸をある範囲で混合した水溶液で架橋
処理し繊維の強伸度低下を抑えて、すみやかに繊維内部
まで架橋させることにより、高温湿熱性に優れた耐久性
のあるPVA系繊維を得る方法に関するものである。そ
して本発明は、このような方法により得られる、アセタ
ール架橋とホルマール架橋を有するPVA系繊維であっ
て単繊維強度が10g/d以上、150℃×2時間後の
人工セメント液での繊維溶出量が10重量%以下でかつ
170℃×2時間人工セメント液浸漬処理後の強力保持
率が70%以上であることを特徴とするポリビニルアル
コール系繊維に関するものである。
【0008】本発明のポイントは、架橋剤と固体酸を繊
維内部まで含有させ、乾熱延伸時にはほとんど架橋させ
ずに、ホルマリンと酸の水溶液で処理する時に固体酸が
架橋促進剤と働き、繊維中で架橋剤がマイグレーション
(移行)する前に架橋させること及び同時にホルマール
化によりPVA系繊維のOH基を封鎖して、疎水化する
ことで従来にない高温湿熱に耐えるPVA系繊維を得る
点にある。
【0009】以下、本発明の内容をさらに詳細に説明す
る。本発明に言うPVA系ポリマーとは、粘度平均重合
度が1500以上のものであり、ケン化度が98.5モ
ル%以上、好ましくは99.0モル%以上で分岐度の低
い直鎖状のものである。PVA系ポリマーの平均重合度
が高いほど、分子鎖同志が連結する点が多く、高強度、
高耐熱水性が得られ易く、好ましくは2300以上、よ
り好ましくは3000以上である。
【0010】PVA系ポリマーの溶剤としては、例えば
グリセリン、エチレングリコール、ジエチレングリコー
ル、トリエチレングリコール、ブタンジオールなどの多
価アルコール類やジメチルスルホキシド、ジメチルホル
ムアミド、ジエチレントリアミン、水、ロダン塩/水、
プロパノール/水及びこれら2種以上の混合溶剤などが
挙げられる。またPVA系ポリマーを溶剤で溶解する際
にホウ酸、界面活性剤、分解抑制剤、染料、顔料を添加
しても支障ないが、紡糸性や延伸性を阻害させるものは
好ましくない。なお、乾熱老化性の点では酸化防止剤、
例えばフェノール系、ホスファイト系、チオエーテル
系、ヒンダードアミン系、ベンゾトリアゾール系などの
有機化合物やMn、Cu、Ti、Zn、Crなどのハロ
ゲン化物や硫酸塩などの無機化合物を少量添加するのが
好ましい。
【0011】PVA系ポリマーを溶剤に溶解して得られ
た紡糸原液は常法により湿式、乾式、乾湿式のいずれか
の方法でノズルより吐出され固化する。湿式及び乾湿式
紡糸では凝固浴にて固化し繊維化させるが、その凝固剤
はメタノール、エタノールなどのアルコール類やアセト
ン、メチルエチルケトン、メチルブチルケトンなどのケ
トン類さらにはアルカリ水溶液、アルカリ金属塩水溶液
などのいずれか又はこれら2種以上の混合液でも良い。
なお凝固における溶剤抽出速度を低くすることにより、
均一ゲル構造を生成させ、網目構造で高強度高耐熱水性
に優れた繊維が得られるが、そのために、該凝固剤にP
VAの該溶剤を混合させるのが好ましい。混合させる割
合としては、凝固浴液の10〜60重量%が適当であ
る。さらに、凝固浴温度を20℃以下にして、吐出繊維
を急冷させるのも均一ゲル構造を得るのに都合が良い。
より好ましくは10℃以下である。また繊維間の膠着を
少なくし、その後の乾熱延伸を容易にするために溶剤を
含んだ状態で2倍以上の湿延伸をするのが望ましい。
【0012】次いで溶剤抽出を行うが、抽出剤としては
メタノール、エタノール、プロパノールなどの第1級ア
ルコール類や、アセトン、メチルエチルケトン、ブチル
エチルケトンなどのケトン類や、ジメチルエーテル、メ
チルエチルエーテルなどのエーテル類および水などが使
用できる。続いて必要に応じて油剤などを付与して該抽
出剤を乾燥させるが、乾式の場合は抽出剤を使用せず、
紡糸時及び紡糸後で該溶剤を蒸発させて乾燥させる。
【0013】本発明では、アセタール架橋を生じる架橋
剤と固体酸を原液から紡糸乾燥直前までのいずれかの工
程で含有させ、繊維の内部まで架橋が進むようにしなけ
ればならない。延伸直前又は延伸後に付着させても繊維
内部まで含有することは難しく、本発明の耐湿熱性の優
れたPVA系繊維を得ることは困難である。本発明に言
うアセタール化架橋剤とは、例えばグリオキザール、ス
クシンアルデヒド、マロンアルデヒド、グルタルアルデ
ヒド、ヘプタンジアール、オクタンジアール、ノナンジ
アール、デカンジアール、ドデカンジアール、2,4−
ジメチルヘプタンジアール、4−メチルヘキサンジアー
ルなどの脂肪族ジアルデヒドやテレフタルジアルデヒ
ド、フエニルマロンジアルデヒドなどの芳香族ジアルデ
ヒド、さらにはそれらとメタノール、エタノール、プロ
パノール、エチレングリコール、プロピレングリコール
などのアルコール類が反応したアセタール化合物を意味
する。
【0014】なお、該ジアルデヒド化合物を2種以上混
合しても良いが、好ましくはC7以上のジアルデヒド化
合物類を70重量%以上含む場合である。特にC7以上
の脂肪族又は芳香族ジアルデヒド化合物はPVA分子鎖
間のOH基と反応して耐熱水性に有効な分子間架橋を形
成し易く、また強度低下も少ない利点を有する。該架橋
剤のPVA系繊維に対する含有量は1〜10重量%、好
ましくは3〜7重量%であり、1重量%未満では架橋が
不十分のため、本発明に言うような耐湿熱性を得ること
は出来ない。一方10重量%を超えると架橋は十分進む
が強度低下が大きく繊維補強セメント(FRC)、FR
P、繊維補強ゴム(FRR)などの補強材や産業資材に
使用する時に問題を生じ易い。
【0015】本発明に言う固体酸とは、室温で固体で水
溶液中で酸性を示すものであり、例えばMgCl2、M
nCl2、ZnCl2、CuCl2、AlCl3、CrCl
3、SnCl2などの塩化物やMgSO4、MnSU4、Z
nSO4、CuSO4、NiSO4、Cr2(SO42、F
eSO4、BaSO4などの硫酸塩、あるいはCa(NO
32、Zn(NO32、Mg(NO32などの硝酸塩、
さらにはリン酸ジルコニウム、リン酸チタン、リン酸ア
ルミニウムなどのリン酸塩などを意味する。またクエン
酸、マレイン酸、乳酸、多価カルボン酸などのも含まれ
る。但し、このあとの高温乾熱延伸時に架橋を促進し、
延伸できなくなるような固体酸は除外される。なお架橋
剤と固体酸は繊維内部の近い場所に存在するのが好まし
く、同じ工程で繊維に両者を含有させるのが良い。
【0016】PVA系繊維に対する固体酸の含有量は5
0〜5000ppmであり、好ましくは200〜200
0ppmである。50ppm未満では、このあとのホル
マール化処理時に繊維内部までアセタール化による分子
間架橋を十分に起こさせることが出来ず、本発明に言う
150℃×2時間後のPVA溶出量≦10重量%及び1
70℃×2時間後の強力保持率≧70%を確保すること
は出来ない。また5000ppmを超えると、ホルマー
ル化時に架橋が進みすぎて繊維強度を著しく低下させる
か、又は繊維への残存量が多くなり、高温オートグレー
ブ処理などで熱劣化を起こし易いので好ましくない。
【0017】次に、該架橋剤及び固体酸を含有する紡糸
原糸を乾熱延伸するが、この場合はPVA分子鎖の配向
結晶化を十分起こさせるために200℃以上、好ましく
は220℃以上の温度で総延伸倍率が14倍以上になる
ように延伸するのが良い。総延伸倍率が14倍未満では
分子鎖を十分引伸ばすことが出来ず、繊維強度が低くな
る。なお、260℃以上の温度は、固体酸により架橋や
PVA分解が起こるので好ましくない。本発明で言う総
延伸倍率とは、前記湿延伸倍率と乾熱延伸倍率の積によ
り求められる。
【0018】次に得られた該架橋剤+固体酸の含有延伸
糸をホルマリン+酸の水溶液で架橋処理して繊維内部ま
でアセタール架橋とホルマール架橋を同時に生成させる
ことが必要である。アセタール架橋だけでは十分な耐湿
熱性が得られず、繊維損傷の少ない状態でアセタール架
橋とホルマール架橋によるPVA鎖間の補強及び疎水化
により本発明に言う耐湿熱性が得られるのである。
【0019】さらにアセタール架橋を繊維内部まで均一
に形成させることも重要なポイントであり、このために
固体酸の併用が必要となる。固体酸が存在しない場合は
ホルマリン+酸の水溶液処理で酸が繊維内部に浸透して
行く間にアセタール架橋剤がマイグレーションして繊維
表層へ移行するため、内部架橋が起こりずらいという問
題を生じる。
【0020】酸は、硫酸、塩酸、リン酸、硝酸、クロム
酸などの無機酸やカルボン酸、スルホン酸などの有機酸
などがあるが、特に硫酸、塩酸が好ましい。ホルマリン
と酸の混合重量比は80:20〜20:80で、この範
囲を外れるとアセタール化又はホルマール化が進みずら
く、本発明の繊維性能は得難くなる。また水溶液でのホ
ルマリン及び酸の濃度はそれぞれ1〜8重量%、水溶液
の処理温度は60〜90℃、処理時間は15〜60分が
望ましい。これらの条件は、架橋剤及び固体酸の種類と
含有量により異なり、出来るだけ高強度を維持しながら
耐高温湿熱性を有するように条件設定するのが好まし
い。なお、固体酸及び未反応架橋剤は出来る限り繊維か
ら除外するのが好ましく、撹拌や液流動下でホルマリン
+酸処理やその後の中和、温水洗浄処理を実施すべきで
ある。
【0021】このようにして得られたアセタール+ホル
マール架橋のPVA系繊維は単繊維強度が10g/d以
上、150℃×2時間人工セメント液でのPVA溶出量
が10重量%以下でかつ170℃×2時間人工セメント
液浸漬処理後の強力保持率が70%以上を示し、170
℃以上の高温オートグレーブに耐え、セメントやコンク
リート補強材として従来にない性能を発揮する。また長
期間、水や熱にさらされている漁網、ロープ、テント、
帆布、土木シートなどの一般産業資材やゴム、プラスチ
ックなどの補強材にも優れた効果を示す。
【0022】
【実施例】以下実施例により本発明を具体的に説明する
が、本発明は実施例のみに限定されるものではない。な
お本発明における各種の物性値は、以下の方法で測定さ
れたものである。 1)PVAの粘度平均重合度(PA) PVAポリマーを1〜10g/lの濃度になるように熱
水で溶解して得られた溶液の比粘度ηspをJIS K−
6726に基づき、30℃で測定し、下記式より極限
粘度[η]を求め、さらに次式より粘度平均重合度P
Aを算出した。 [η]=Iim(c→0)ηsp/c ‥‥‥ PA=([η]×104/8.29)1.613 ‥‥‥
【0023】2)単繊維の引張強伸度及びタフネス JIS L−1015に準じ予め調湿された単繊維を試
長10cmになるように台紙に貼り22℃×65%RH
に12時間以上放置。次いでインストロン1122で2
kg用チャックを用い、初荷重1/20g/d、引張速
度50%/minにて破断強度を求め、η≧10の平均
値を採用した。デニールは1/20g/d荷重下で30
cm長にカットし、重量法によりη≧10の平均値で示
した。なおデニール測定後の単繊維を用いて強伸度を測
定し、1本ずつデニールと対応させた。
【0024】3)アセタール化合物の含有量 未架橋紡糸原糸を100℃以上の重水素化したジメチル
スルホキシドに溶解せしめ、NMRよりPVAのCN2
基ピークに対する化合物のピーク面積比を算出し含有量
を求めた。 4)固体酸の含有量 湿式分解法により未架橋紡糸原糸を硫酸+硝酸+過塩素
酸の混酸で分解し、硫酸水溶液でICP発光分析装置に
て発光強度を測定してピーク面積より含有量を算出し
た。
【0025】5)人工セメント液でのPVA溶出量(C
S) 試料約1gを6mmにカットし、人工セメント液(KO
H3.5g/l+NaOH0.9g/l+Ca(ON)
20.4g/l、PH≒13)に加圧容器内で150℃
×2hr浸漬したあと、水洗、ろ過、乾燥して、試料重
量の低下率よりPVAの溶出量CS(wt%)を求め
た。これを繊維内部まで架橋が進んでいるか否か目安に
した。
【0026】6)人工セメント液浸漬処理後の強力保持
率(CRS) 架橋したヤーン(マルチフィラメント)をステンレス製
のパイプに定長に捲付けて両端を固定し、70℃×1h
r前記の人工セメント液で浸漬処理したあと、濡れてい
る状態で試料表面をテンフロンシールテープで全面覆
う。次いで耐圧ステンポットに該パイプ捲付試料と該人
工セメント液を浴比1:100になるように入れて密閉
したあと、170℃×2hr加熱処理を施し、冷却−水
洗−乾燥する。次いで該人工セメント液処理前後のヤー
ン強力をキャプスタンエヤーチャックのオートグラフを
用いて、試長20cm、引張速度50%/minにて測
定し、処理後の強力保持率を算出した。
【0027】7)耐オートグーブ性(スレート板の湿潤
曲げ強度WBS) 架橋したPVA系繊維を4〜8mmの長さに切断し、タ
ッピー式で該繊維2重量部、パルプ3重量部、シリカ3
8重量部、セメント53重量部の配合により、湿式抄造
し、10plyの積層板を作成する。次いで50℃×2
4hr1次養生したのち160℃×15hr、170℃
×15hr、180℃×10hrでオートグレーブ養生
を行い、スレート板を作成する。その後25×70×4
mmの試験片を切り出しJIS K−6911に準じて
3日間水中に浸漬後、オートグラフを用いて、スパン長
50mm、圧縮速度2mm/分で曲げ強度WBS(kg
/cm2)を測定した。
【0028】実施例1及び比較例1 粘度平均重合度2400でケン化度が99.5モル%の
PVAを濃度13%になるように110℃のジメチルス
ルホキシド(DMSO)に溶解し、同時に凍結防止のた
めにメタノールをDMSOに対し1重量%添加したあ
と、得られた溶液を400ホールのノズルより吐出さ
せ、メタノール/DMSO=6/4重量比、0℃の凝固
浴に湿式紡糸した。さらに40℃メタノール浴で3.5
倍湿延伸したあと、メタノールで該溶剤をほとんど全部
抽出除去した。最後のメタノール抽出浴に架橋剤の1,
1,9,9−ビスエチレンジオキノナン(BEN)を5
重量%及び固体酸のCuSO4を50ppmになるよう
に添加し均一溶液にしたあと、繊維を同溶液中に1.5
分間滞留させて繊維に該架橋剤+固体酸を含有させて1
20℃にて乾燥した。得られた紡糸原糸中のBEN含量
は5.1重量%、CuSO4含量は400ppmであっ
た。次いで170℃−200℃−230℃の3セクショ
ンの熱風炉で総延伸倍率15倍になるように延伸して1
500d/400fのマルチフィラメントを得た。その
後、ホルマリン5重量%+硫酸4重量%の水溶液で75
℃×30分架橋処理したあと、40℃で湯洗後、0.5
規定のNaOH水溶液で中和してから再度40℃で湯洗
後、80℃で乾燥した。
【0029】架橋した単繊維強度は、11.5g/dで
150℃×2時間後のPVA溶出量(CS)は7.1%
と低く、従来にないほど繊維内部まで架橋が進んでいる
ことを示唆した。170℃×2時間人工セメント液浸漬
処理後の強力保持率(CRS)は80.6%と高く、非
常に優れた耐湿熱性を有することが判明した。さらに1
60℃、オートグーブ後のスレート板曲げ強度(WB
S)は245kg/cm2、170℃(WBS)が23
8kg/cm2、180℃(WBS)が220kg/c
2と高温養生してもほとんど補強性は変わらず、アス
ベスト代替で新生瓦や外壁材に十分使えるものであっ
た。
【0030】比較例1は実施例1で固体酸を添加しない
場合であるが、単繊維強度は13.0g/dと高いが、
CSは15.0%で繊維内部まで架橋が進んでいないこ
とを暗示した。さらにCRSは64%と低く、耐湿熱性
が実施例1より劣っていた。また170℃WBSが20
5g/cm2、180℃WBSが176g/cm2に低下
し、高温の耐オートグーブ性は十分満足すべきものでは
なかった。
【0031】実施例2及び比較例2 粘度平均重合度が4000でケン化度が99.6モル%
のPVAを濃度10重量%になるようにDMSOに溶解
したあと、得られた溶液を400ホールのノズルより吐
出させ、メタノール/DMSO=7/3重量比、7℃の
凝固浴で湿式紡糸した。さらに40℃メタノール浴で
3.5倍湿延伸したあと、最後のメタノール抽出浴に
1,1,9,9−テトラメトキシノナン(TMN)を4
重量%及びMgCl2を100ppm添加し、繊維に含
有させて130℃で乾燥した。得られた紡糸原糸中のT
MN含量は4.4重量%、MgCl2含量は580pp
mであった。その後170℃−200℃−240℃の3
セクションからなる熱風炉で総延伸倍率16.5倍にな
るように延伸し、1500d/400fマルチフィラメ
ントを得た。次いでホルマリン3重量%+硫酸5重量%
の水溶液で75℃×30分架橋処理を施した。架橋後の
単繊維強度は13.2g/d、CSは6.1%、CRS
は84.7%を示し、高強度で耐湿熱性に非常に優れて
いることが判った。また170℃WBSも250kg/
cm2、180℃WBSも231g/cm2と高く、付加
価値の高い高性能なPVA系繊維であった。
【0032】比較例2は、実施例2でTMN含量を0.
5重量%及びMgCl2含量を75ppmに減少した場
合であるが、内部架橋が十分進まないためCSは28.
4%、170℃×2時間の人工セメント液処理では溶解
してCRSは0%であり、耐湿熱性に乏しいものとなっ
た。また180℃WBSは159kg/cm2と実施例
2より劣っていた。
【0033】実施例3及び比較例3 粘度平均重合度が1700で、ケン化度が99.2モル
%のPVAを濃度20重量%になるようにDMSOに溶
解し、1万ホールのノズルより吐出させてメタノール/
DMSO=6/4重量比の10℃凝固浴で湿式紡糸し
た。さらに40℃のメタノールで3.5倍湿延伸したあ
と、最後のメタノール抽出浴にテトラメトキシプロパン
(TMP)を7重量%及びZnCl2100ppmにな
るように添加し、繊維に含有させて140℃にて乾燥し
た。TMP含量は6.0重量%、ZnCl2含量は62
0ppmであった。得られた紡糸原糸を170〜230
℃の6セクションからなる熱風炉で総延伸倍率15.5
倍に延伸し、20000d/10000fのマルチフィ
ラメントを得た。次いでホルマリン5重量%+硫酸5重
量%の水溶液で70℃×30分架橋処理を施した。単繊
維強度10.6g/d、CSは9.5%、CRSは73
%で160℃WBS=220kg/cm2、170℃W
BS=205kg/cm2を示し、住宅サイデイング補
強材として優れたものであった。
【0034】比較例3は、実施例3でホルマリン3重量
%+硫酸25重量%の従来使用されているホルマール化
条件を用いた場合であるが、単繊維強度は9.2g/
d、CS=215.9%、CRS=63%といずれも実
施例3より劣るものであった。
【0035】
【発明の効果】本発明は、PVA系繊維の紡糸時にアセ
タール架橋剤と固体酸をある範囲で含有させ、延伸した
あと、ホルマリン+酸の水溶液を用いて、繊維の強度低
下を抑えながら繊維内部まで均一にアセタール架橋+ホ
ルマール架橋を形成させることにより高強度で耐湿熱性
の非常に優れたPVA系繊維を得るものである。本発明
の繊維は、特に170℃以上の高温オートグーブが可能
なセメント補強材に有望であり、その他、耐湿熱性や耐
水性などの耐久性が要求されるゴム、プラスチックの補
強材やロープ、漁網、テント、土木シートなどの一般産
業資材などにも幅広く利用できる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 徳永 勲 岡山県倉敷市酒津1621番地 株式会社クラ レ内 (72)発明者 大木 弘之 岡山県倉敷市酒津2045番地の1 株式会社 クラレ内

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 アセタール架橋とホルマール架橋を有す
    るポリビニルアルコール系繊維であって単繊維強度が1
    0g/d以上、150℃×2時間後の人工セメント液で
    の繊維溶出量が10重量%以下でかつ170℃×2時間
    人工セメント液浸漬処理後の強力保持率が70%以上で
    あることを特徴とするポリビニルアルコール系繊維。
  2. 【請求項2】 アセタール架橋を生じる架橋剤を1〜1
    0重量%及び固体酸を50〜5000ppm含有するポ
    リビニルアルコール系紡糸原糸を総延伸倍率が14倍以
    上となるように乾熱延伸したあと、ホルマリン/酸=8
    0/20〜20/80重量比で混合した水溶液で架橋処
    理することを特徴とするポリビニルアルコール系繊維の
    製造法。
JP26319097A 1997-09-29 1997-09-29 高温湿熱性に優れたポリビニルアルコール系繊維 Pending JPH11100715A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP26319097A JPH11100715A (ja) 1997-09-29 1997-09-29 高温湿熱性に優れたポリビニルアルコール系繊維

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP26319097A JPH11100715A (ja) 1997-09-29 1997-09-29 高温湿熱性に優れたポリビニルアルコール系繊維

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH11100715A true JPH11100715A (ja) 1999-04-13

Family

ID=17386029

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP26319097A Pending JPH11100715A (ja) 1997-09-29 1997-09-29 高温湿熱性に優れたポリビニルアルコール系繊維

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH11100715A (ja)

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US5840423A (en) Polyvinyl alcohol-based fiber having excellent hot water resistance and production process thereof
EP0520297B1 (en) Polyvinyl alcohol-based synthetic fiber and process for producing the same
JPH11100715A (ja) 高温湿熱性に優れたポリビニルアルコール系繊維
JP3366476B2 (ja) 耐湿熱性に優れた高強力ポリビニルアルコール系繊維及びその製造方法
JP3489943B2 (ja) 耐湿熱性ポリビニルアルコール系繊維及びその製造方法
JPH01156517A (ja) 耐熱水性に優れた高強度・高弾性率ポリビニルアルコール系繊維およびその製造方法
JPH1181038A (ja) 架橋されたポリビニルアルコール系繊維及びその製造法
JP3357215B2 (ja) 耐湿熱性ポリビニルアルコール系繊維およびその製造法
JPH10310930A (ja) 架橋ポリビニルアルコール系繊維の製造方法
JPH10310939A (ja) ポリビニルアルコール系繊維およびその製造方法
JP3266673B2 (ja) ポリビニルアルコール系合成繊維
JP3043163B2 (ja) ポリビニルアルコール系合成繊維の製造方法
JP3828246B2 (ja) ポリビニルアルコール系合成繊維とその製造方法
JP3067056B2 (ja) 高強度ポリビニルアルコール系繊維及びその製造方法
JPH10226958A (ja) ポリビニルアルコール系合成繊維の製造方法
JP2001146679A (ja) ポリビニルアルコール系繊維及び水硬性硬化体
JPH1077572A (ja) 耐熱水性ポリビニルアルコール系繊維及びその製造方法
JPH05321020A (ja) ポリビニルアルコール系繊維の連続アセタール化処理方法
JPH11140720A (ja) ポリビニルアルコール系合成繊維の製造方法
JP3183479B2 (ja) 高耐湿熱性高強度ポリビニルアルコール系繊維およびその製造法
JPH11350246A (ja) ポリビニルアルコール系繊維及びその製造方法
JP3316300B2 (ja) 耐久性に優れたポリビニルアルコール系繊維およびその製造法
JP2548257B2 (ja) 6,6−ナイロンコードの接着剤処理方法
JPH11286826A (ja) ポリビニルアルコール系合成繊維の製造方法
JPH11293560A (ja) ポリビニルアルコール系繊維及びその製造方法