JPH1181038A - 架橋されたポリビニルアルコール系繊維及びその製造法 - Google Patents

架橋されたポリビニルアルコール系繊維及びその製造法

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JPH1181038A
JPH1181038A JP9235590A JP23559097A JPH1181038A JP H1181038 A JPH1181038 A JP H1181038A JP 9235590 A JP9235590 A JP 9235590A JP 23559097 A JP23559097 A JP 23559097A JP H1181038 A JPH1181038 A JP H1181038A
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cross
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Hirofumi Sano
洋文 佐野
Toshimi Yoshimochi
駛視 吉持
Masahiro Sato
政弘 佐藤
Isao Tokunaga
勲 徳永
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Kuraray Co Ltd
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    • C04CEMENTS; CONCRETE; ARTIFICIAL STONE; CERAMICS; REFRACTORIES
    • C04BLIME, MAGNESIA; SLAG; CEMENTS; COMPOSITIONS THEREOF, e.g. MORTARS, CONCRETE OR LIKE BUILDING MATERIALS; ARTIFICIAL STONE; CERAMICS; REFRACTORIES; TREATMENT OF NATURAL STONE
    • C04B16/00Use of organic materials as fillers, e.g. pigments, for mortars, concrete or artificial stone; Treatment of organic materials specially adapted to enhance their filling properties in mortars, concrete or artificial stone
    • C04B16/04Macromolecular compounds
    • C04B16/06Macromolecular compounds fibrous
    • C04B16/0616Macromolecular compounds fibrous from polymers obtained by reactions only involving carbon-to-carbon unsaturated bonds
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 ポリビニルアルコール系繊維の強度低下を抑
えながら、アセタール架橋とホルマール架橋を繊維内部
まで進行させることにより、高強度で耐湿熱性の優れた
ポリビニルアルコール系繊維を得る。 【解決手段】 アセタール架橋を生じる架橋剤を含有す
るポリビニルアルコール系紡糸原糸を220℃以上の温
度で総延伸倍率が14倍以上となるように乾熱延伸した
あと、ホルマリンと酸を含有し、かつ該ホルマリンと酸
の含有量がそれぞれ1〜6重量%で、さらに該ホルマリ
ンと酸の含有量比が重量で5:1〜1:5である85℃
以下の水溶液で架橋処理する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は耐湿熱性、耐熱老化性、
高強度、高タフネスが要求されるセメント、ゴム、プラ
スチックスなどの補強材やロープ、漁網、テント、土木
シートなどの一般産業資材に有効なポリビニルアルコー
ル(以下PVAと略記)系合成繊維及びその製造法に関
するものであり、特にセメント補強性に優れる高性能P
VA系繊維に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、PVA系繊維は強度、弾性率、耐
候性、耐薬品性、接着性などの点でポリアミド、ポリエ
ステル、ポリアクリロニトリル系繊維に比べて優れてお
り、産業資材分野を中心に独自の用途を開拓してきた。
しかしながらPVA系繊維は耐湿熱性に乏しく用途が制
限される欠点を有していた。PVA系繊維の耐湿熱性を
改良しようとする試みは古くからなされて来た。たとえ
ば、特公昭30−7360号公報や特公昭36−145
65号公報にはホルマリンを用い、これをPVAの水酸
基と架橋反応(ホルマール化)させて疎水化することに
より、染色や洗濯に耐えることができるPVA系繊維が
記載されている。しかし、これらの繊維は強度が低すぎ
たり、耐熱水性が不十分のため、高温では溶解したり、
繊維の収縮や膠着を生じる用問題があった。
【0003】一方、特開平2−133605号公報や特
開平1−207435号公報には、アクリル酸系重合体
をブレンドするか又は繊維表面を有機系過酸化物やイソ
シアネート化合物、ウレタン系化合物、エポキシ系化合
物などで架橋せしめ、耐湿熱性を高める方法が記述され
ている。しかしアクリル酸系重合体はPVAの水酸基と
エステル結合をするため、加水分解し易く、その効果を
失うこと、及び他の架橋剤は繊維表面架橋であるため、
セメント補強材のようにショートカットした場合は繊維
の内部から膨潤、溶解が起こることなどの問題点を抱え
ていた。他に酸を用いて脱水架橋により耐湿熱性を向上
させる方法が特開平2−84587号公報や特開平4−
100912号公報などで公知であるが、本発明者らが
追試したところ繊維内部まで架橋させようとすると、P
VA繊維の分解が激しく起こり繊維強度の著しい低下を
招き、問題であった。
【0004】一方、ジアルデヒド化合物又はそれのアセ
タール化合物による架橋は特開平5−163609号公
報、特開平5−263311号公報、特開平8−218
271号公報などに開示され、高倍率に乾熱延伸したあ
と酸処理により繊維内部に架橋を生じさせることが記載
されている。これらは確かに繊維内部まで架橋が進み易
く、耐湿熱性は向上するがそれと共に強伸度やタフネス
が低くなり、長時間湿熱や乾熱にさらされていると性能
低下が激しく起こり、補強性、耐衝撃性、寸法安定性な
どに問題を生じ易い欠点を有していた。また従来知られ
ているホルマール化条件(本発明の範囲外)では強度低
下が大きいか、又は耐湿熱性が低く、十分満足すべきも
のではなかった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】以上の背景を踏まえて
本発明者らは、いかにすれば長時間の湿熱や乾熱に耐え
て、高強度を維持し、かつ有効な架橋を繊維内部まで十
分に生じさせることが可能であるかについて鋭意検討を
重ねた結果、従来よりも低濃度のホルマリン及び酸を用
いて、アセタール架橋とホルマール架橋を生成させるこ
とが有効と分かり、本発明に至ったものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明はアセタール架橋
を生じる架橋剤を含有するPVA系繊維を酸処理して架
橋する際に低濃度のホルマリンと酸を一定比率で混合し
た水溶液処理し、繊維の強伸度低下を抑えて繊維内部ま
で架橋させることにより、耐久性のある強伸度と耐湿熱
性、耐乾熱性に優れたPVA系繊維を得る方法に関する
ものである。すなわち本発明は、アセタール架橋とホル
マール架橋を有するPVA系繊維であって、単繊維強度
が12g/d以上で、かつ170℃×5時間人工セメン
ト液蒸気処理後の強力保持率が80%以上であることを
特徴とする架橋されたPVA系繊維である。さらに本発
明は、アセタール架橋を生じる架橋剤を含有するPVA
系紡糸原糸を220℃以上の温度で総延伸倍率が14倍
以上となるように乾熱延伸したあと、ホルマリンと酸を
含有し、かつ該ホルマリンと酸の含有量がそれぞれ1〜
6重量%で、さらに該ホルマリンと酸の含有量比が重量
で5:1〜1:5である85℃以下の水溶液で架橋処理
することを特徴とする架橋されたPVA系繊維の製造法
である。
【0007】以下、本発明の内容をさらに詳細に説明す
る。本発明に言うPVA系ポリマーとは、粘度平均重合
度が1500以上のものであり、ケン化度が98.5モ
ル%以上、好ましくは99.0モル%以上で分岐度の低
い直鎖状のものである。PVA系ポリマーの平均重合度
が高いほど、分子鎖同志が連結する点が多く、高強度、
高耐熱水性のものが得られ易く、より好ましくは300
0以上である。
【0008】本発明の方法においては、上記PVA系ポ
リマーを溶剤に溶解し、それを紡糸原液とするのである
が、PVA系ポリマーの溶剤としては、例えばグリセリ
ン、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリ
エチレングリコール、ブタンジオールなどの多価アルコ
ール類やジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミ
ド、ジエチレントリアミン、水、ロダン塩水溶液、プル
パノール水溶液及びこれら2種以上の混合溶剤などが挙
げられる。またPVA系ポリマーを溶剤で溶解する際
に、ホウ酸、界面活性剤、分解抑制剤、染料、顔料等を
添加しても支障ないが、紡糸性や延伸性を阻害させるも
のは好ましくない。なお、耐熱老化性の点では酸化防止
剤、例えばフェノール系、ホスファイト系、チオエーテ
ル系、ヒンダードアミン系、ベンゾトリアゾール系など
の有機化合物やMn、Cu、Ti、Zn、Crなどの金
属のハロゲン化物や硫酸塩などの無機化合物を少量添加
のが好ましい。
【0009】PVA系ポリマーを溶剤に溶解して得られ
た紡糸原液は常法により湿式、乾式、乾湿式のいずれか
の方法でノズルより吐出され固化する。湿式及び乾湿式
紡糸では、凝固浴にて固化し繊維化させるが、その凝固
剤(凝固浴液)としてはメタノール、エタノールなどの
アルコール類やアセトン、メチルエチルケトン、メチル
ブチルケトンなどのケトン類、さらにはアルカリ水溶
液、アルカリ金属塩水溶液などのいずれか又はこれらの
2種以上の混合液が挙げられる。なお凝固における溶剤
抽出をゆっくりさせて均一ゲル構造を生成させ、網目構
造で高強度、高耐熱水性を得るためには、該凝固剤に該
溶剤を凝固剤重量に対して10〜120重量%混合させ
るのが好ましい。さらに、凝固浴温度を20℃以下にし
て吐出繊維を急冷させるのも均一ゲル構造を得るのに都
合が良い。また繊維間の膠着を少なくし、その後の乾熱
延伸を容易にするために溶剤を含んだ状態で、2倍以上
の湿延伸をするのが望ましい。
【0010】次いで溶剤抽出を行うが、抽出剤としては
メタノール、エタノール、プロパノールなどの第1級ア
ルコール類やアセトン、メチルエチルケトン、ブチルエ
チルケトンなどのケトン類やジメチルエーテル、メチル
エチルエーテルなどのエーテル類および水などが使用で
きる。
【0011】続いて必要に応じて油剤などを付与して該
抽出剤を乾燥させるが、乾式紡糸方法を用いた場合には
抽出剤を使用せず、紡糸時及び紡糸後で、該溶剤を蒸発
させて乾燥させる。本発明では、アセタール架橋を生じ
る架橋剤を原液から紡糸乾燥直前までのいずれかの工程
で含有させ、繊維の内部まで架橋が進むようにしなけれ
ばならない。その後の乾熱延伸直前又は乾熱延伸後に付
着させても繊維内部まで含有させることは難しく、本発
明の耐湿熱性の優れたPVA系繊維を得ることは困難で
ある。本発明に言うアセタール化架橋剤とは、例えばグ
リオキザール、スクシンアルデヒド、マロンアルデヒ
ド、グルタルアルデヒド、ヘプタンジアール、オクタン
ジアール、ノナンジアール、デカンジアール、ドデカン
ジアール、2,4−ジメチルヘプタンジアール、4メチ
ルヘキサンジアールなどの脂肪族ジアルデヒドやテレフ
タルジアルデヒド、フェニルマロンジアルデヒドなどの
芳香族ジアルデヒド、さらにはそれらとメタノール、エ
タノール、プロパノール、エチレングリコール、プロピ
レングリコールなどのアルコール類が反応したアセター
ル化合物を意味する。
【0012】なお、該ジアルデヒド化合物を2種以上混
合しても良いが、好ましくは炭素数7以上のジアルデヒ
ド化合物類(すなわち2個のアルデヒド基の間に存在す
る炭素が5以上のジアルデヒド化合物)を70重量%以
上含む場合である。特に上記炭素数7以上の脂肪族又は
芳香族ジアルデヒド化合物はPVA分子鎖間の水酸基と
反応して耐熱水性に有効な分子間架橋を形成し易く、ま
た強度低下も少ない利点を有する。
【0013】次いで、該架橋剤を含有する紡糸原糸を乾
熱延伸するが、この場合はPVA分子鎖の配向結晶化を
十分起こさせるために220℃以上の温度で総延伸倍率
(すなわち湿延伸倍率と乾熱延伸倍率との積)が14倍
以上となるように延伸するのが好ましい。乾熱延伸温度
が220℃未満または総延伸倍率が14倍未満の場合に
は、分子鎖を十分引き伸ばすことが出来ず、繊維強度が
低くなり、かつ結晶化も低いため、その後の酸架橋処理
で強伸度低下が起こり易い。なお260℃以上の温度は
PVAの分解を伴うので好ましくない。
【0014】次に得られた該架橋剤含有延伸糸を低濃度
のホルマリンと酸の水溶液で架橋処理して、繊維損傷を
少なくしつつアセタール架橋とホルマール架橋を同時に
生成させることが必要である。アセタール架橋だけでは
十分な耐湿熱性が得られず、繊維損傷の少ない状態でア
セタール架橋と、ホルマール架橋による疎水化及びPV
A鎖の分子間架橋の増強により初めて本発明に言う人工
セメント液蒸気処理後の強力保持率が80%以上のもの
が得られるのである。ホルマリン濃度は1〜6重量%で
あり、1重量%未満では十分な耐湿熱性は得られず、ま
た6重量%を超えると強度低下が大きくなり、いずれも
好ましくない。
【0015】酸としては、硫酸、塩酸、リン酸、硝酸、
クロム酸などの無機酸やカルボン酸、スルホン酸などの
有機酸などが挙げられるが、特に硫酸、塩酸が好まし
い。酸の濃度も1〜6重量%が用いられ、該範囲以外で
は架橋不十分による耐湿熱性の低下やあるいは強度低下
が激しく好ましくない。なお、従来知られているホルマ
ール化の処理は例えばホルマリン3重量%+硫酸25重
量%やホルマリン10重量%+硫酸8重量%であり、本
発明で用いるホルマリンと酸が共に1〜6重量%の範囲
とは異なる。
【0016】更に本発明では、ホルマリンと酸の混合比
が重量比で5:1〜1:5であり、該範囲外の高ホルマ
リン+低酸では、繊維に含有しているアセタール化合物
の架橋が不十分であり、低ホルマリン+高酸ではホルマ
ール架橋が不十分となりいずれも耐湿熱性の低下を招き
易い。好ましくは重量比で2:1〜1:2である。ま
た、ホルマリンと酸を含有する処理液の温度は85℃以
下であり、好ましくは65〜80℃である。処理温度が
60℃以下では、繊維膨潤が十分でないため、架橋が進
まなかったり、架橋するのに長時間かかり好ましくな
い。また85℃を超えると繊維膨潤が激しく、配向緩和
や損傷により強度低下が起こり易い。処理時間も架橋度
合と強度の点から20〜60分が好ましい。処理方法と
しては、該処理液中に繊維を浸漬する方法が用いられ
る。
【0017】このようにして得られたアセタール架橋と
ホルマール架橋よりなるPVA系繊維は、単繊維強度が
12g/d以上で、170℃×5時間人工セメント蒸気
処理後の強力保持率が80%以上を示し、高温オートク
レーブに耐え、高強度と耐衝撃性を有するためセメント
やコンクリート補強材として優れている。また長期間水
や熱にさらされている漁網、ロープ、テント、帆布、土
木シートなどの一般産業資材やゴム、プラスチックスの
補強材などにも優れた効果を発揮する。
【0018】
【実施例】以下実施例により本発明を具体的に説明する
が、本発明は実施例のみに限定されるものではない。実
施例及び比較例中、%及び部は特に断りがない限り重量
に基づく値である。なお本発明における各種の物性値は
以下の方法で規定されたものである。 1)PVAの粘度平均重合度(PA) PVAポリマーを1〜10g/lの濃度になるように熱
水で溶解して得られた溶液の比粘度ηSPをJIS K−
6726に基づき、30℃で測定し、下記式より極限
粘度〔η〕を求め、さらに次式より粘度平均重合度P
Aを算出した。 〔η〕=lim(c−o) ηSP/c …… PA=(〔η〕×104/8.29)1.613 ……
【0019】2)単繊維の引張強伸度及びタフネス JIS L−1015に準じ予め調湿された単繊維を試
長10cmになるように台紙に貼り、22℃×65%R
Hに12時間以上放置し、次いでインストロン1122
で2kg用チャックを用い、初荷重1/20g/d、引
張速度50%/分にて破断強度を求め、n≧10の平均
値を採用した。デニールは1/20g/d荷重下で30
cm長にカットし、重量法によりn≧10の平均値で示
した。なおデニール測定後の単繊維を用いて強伸度を測
定し、1本ずつデニールと対応させた。 3)アセタール化合物の含有量 未架橋延伸糸を100℃以上の重水素化したジメチルス
ルホキシドに溶解せしめNMRよりPVAのCH2基ピ
ークに対する化合物のピーク面積比を算出し含有量を求
めた。
【0020】4)人工セメント液蒸気処理後の強力保持
率 架橋ヤーンをステンレス製のパイプに定長に捲付けて、
両端を固定し70℃×1時間、人工セメント液(KOH
3.5g/l+NaOH0.9g/l+Ca(OH)2
0.4g/l、PH≒13)に浸漬処理したあと、濡れ
ている状態で試料表面をテフロンシールテープで全面覆
う。次いで耐圧ステンレスポットに該パイプ捲付試料
と、該人工セメント液10ccを入れて密閉したあと1
70℃×5時間加熱して蒸気処理を施し、水洗したのち
80℃で乾燥する。次いで該蒸気処理前後のヤーン強力
をキヤプスタンエアーチャックのオートグラフを用いて
試長20cm、引張速度50%/分にて測定し、蒸気処
理後の強力保持率を算出した。 5)耐オートクレーブ性(スレート板の湿潤曲げ強度W
BSとたわみ量) PVA系合成繊維を4〜8mmの長さに切断し、タッピ
ー式で該繊維2重量部、パルプ3重量部、シリカ38重
量部、セメント57重量部の配合により湿式抄造し、1
0層の積層板を作製する。次いで50℃×20時間、1
次養生したのち、160℃×15時間、170℃×15
時間、180℃×10時間でオートクレーブ養生を行
い、スレート板を作製する。その後25×70×4mm
の試験片を切り出し、JIS K−6911に準じて3
日間水中に浸漬後、オートグラフを用いてスパン長50
mm、圧縮速度2mm/分で曲げ強度(kg/cm2
とたわみ量(mn)を測定した。
【0021】実施例1及び比較例1 粘度平均重合度2400でケン化度が99.5モル%の
PVAを濃度13%になるように110℃のジメチルス
ルホキシド(DMSO)に溶解し、同時に凍結防止のた
めにメタノールをDMSOに対し1重量%添加したあ
と、得られた溶液を400ホールのノズルより吐出さ
せ、メタノール/DMSO=6/4重量比、0℃の凝固
浴で湿式紡糸した。さらに40℃メタノール浴で3.5
倍湿延伸したあと、メタノールで該溶剤をほとんど全部
抽出除去した。最後のメタノール抽出浴に1,1:9,
9ビスエチレンジオキシノナン(1,9−ノナンジアー
ルの両末端アルデヒド基をエチレングリコールでアセタ
ール化した化合物:BENと略す)を5重量%/浴にな
るように添加し、均一溶液にしたあと繊維を1.5分間
滞留させて、繊維に該アセタール化合物を含有させ12
0℃にて乾燥した。得られた紡糸原糸を170℃−20
0℃−230℃の3セクションからなる熱風炉で低温度
から順に、総延伸倍率16.0倍になるように延伸し
て、BEN含量4.5重量%の1500d/400fマ
ルチフィラメントを得た。次いでホルマリン3重量%と
硫酸2重量%を含む水溶液中で75℃×30分架橋処理
したあと、40℃で湯洗し、その後0.5規定のNaO
H水溶液で中和し、再度40℃で湯洗してから80℃で
乾燥した。
【0022】架橋単繊維強度は13.9g/d、伸度は
4.8%を示した。また170℃×5時間人工セメント
液蒸気処理後は膠着もなく、ヤーンの強力保持率は9
1.3%と耐湿熱性に優れていることが判った。さらに
170℃オートクレーブ後のスレート板曲げ強度WBS
は232kg/cm2、たわみは0.7mmと大きく高
強度で耐衝撃性のあるセメント補強材であることが判明
した。
【0023】比較例1は実施例1でホルマリン10重量
%+硫酸8重量%の水溶液を用いて架橋した場合である
が、単繊維強度は13.0g/d、伸度は4.3%、人
工セメント蒸気後強力保持率は80.7%、170℃養
生後のWBSは211kg/cm2といずれも実施例1
より性能が劣っていた。
【0024】実施例2及び比較例2 粘度平均重合度が4000でケン化度が99.6モル%
のPVAを濃度10重量%になるように溶解したあと得
られた溶液を400ホールのノズルより吐出させ、メタ
ノール/DMSO=7/3重量比、7℃の凝固浴で湿式
紡糸した。さらに40℃メタノール浴で4倍湿延伸した
あと最後のメタノール抽出浴に1,1,9,9−テトラ
メトキシノナン(TMNと略す)を3重量%/浴及びフ
ェノール系酸化防止剤である4′4−チオビス−(6−
tブチル−3−メチルフェノール)を0.5重量%/浴
添加し、繊維に含有させて120℃で乾燥した。その
後、170℃−240℃の2セクションからなる輻射炉
で低い温度から順に総延伸倍率17.4倍になるように
延伸し、TMN含量2.9重量%の1500d/400
fマルチフィラメントを得た。次いでホルマリン2重量
%+硫酸4重量%の水溶液で75℃×30分架橋処理を
施した。
【0025】架橋単繊維強度は、14.5g/d、伸度
は4.9%で、人工セメント蒸気処理後の強力保持率は
89.4%を示し、高強度で耐湿熱性に優れていること
が判った。また160℃×24時間で乾熱処理した時の
強力保持率は80.1%と高く、乾熱老化性にも優れ、
タイヤコードや漁網などにも使用可能であった。さらに
180℃養生後のWBSは190kg/cm2、たわみ
は0.5mmと、高温養生にも耐えており、アスベスト
代替の新生瓦補強材として利用価値の高いものであっ
た。
【0026】比較例2は、実施例2で従来知られている
ホルマール化条件(ホルマリン2.5重量%+硫酸24
重量%)で架橋処理を施した場合であるが、単繊維強度
12.3g/d、人工セメント蒸気処理後の強力保持率
71.6%、180℃養生後WBS158kg/cm2
といずれも実施例2より低い性能であった。
【0027】実施例3及び比較例3 粘度平均重合度が1700で、ケン化度が99.2モル
%のPVAを濃度20重量%になるようにDMSOに溶
解し、1万ホールのノズルより吐出させてメタノール/
DMSO=6/4重量比、10℃凝固浴で湿式紡糸し
た。さらに40℃のメタノールで3.5倍湿延伸したあ
と、最後のメタノール抽出浴にテトラメトキシプロパン
(TMP)を7重量%/浴になるように添加し、繊維に
含有させて140℃にて乾燥した。得られた紡糸原糸を
170〜230℃の6セクションからなる熱風炉で総延
伸倍率15.5倍に延伸し、TMP含量4.1重量%の
20000d/10000fのマルチフィラメントを得
た。次いでホルマリン5重量%+硫酸5重量%の水溶液
で70℃×30分架橋処理を施した。
【0028】単繊維強度12.1g/d、伸度5.2
%、人工セメント蒸気処理後の強力保持率81.0%、
160℃養生後のWBS225kg/cm2、たわみ量
1.0mmを示し、高強度で耐湿熱性があり、住宅サイ
デイング補強材として優れたものであった。
【0029】比較例3は、実施例3でホルマリンを使用
せず、硫酸5%のみで架橋処理を施した場合であるが、
該強力保持率は61.4%、該WBSは182kg/c
2に低下した。
【0030】実施例4 粘度平均重合度が8000でケン化度が99.9モル%
のPVAを濃度8重量%になるように170℃のエチレ
ングリコール(EG)に溶解し、200ホールのノズル
より吐出させ、乾湿式紡糸によりメタノール/EG=7
/3、0℃の凝固浴で急冷ゲル化させた。さらに40℃
メタノールで4倍湿延伸したのち最後のメタノール抽出
浴に架橋剤のBEN4重量%と酸化防止剤のMnCl2
100ppmを添加して繊維に含有させて、130℃で
乾燥した。得られた紡糸原糸を180−220−248
℃の3セクションからなる熱風炉で総延伸倍率が17.
8倍になるように低い温度から順に延伸し、BEN含量
2.8重量%の750d/200fマルチフィラメント
を得た。次いでホルマリン3重量%と硫酸4重量%を含
有する水溶液で80℃×20分架橋処理を施した。
【0031】単繊維強度は15.8g/d、伸度は4.
9%、人工セメント蒸気処理後の強力保持率が90.7
%、160℃×24hr乾熱後の強力保持率が82.7
%、180℃養生後のWBSが253kg/cm2と従
来にない耐湿熱性、耐熱老化性と高強度、高タフネスを
兼備した高付加価値繊維であった。
【0032】
【発明の効果】本発明はアセタール架橋剤を含有するP
VA系繊維を酸処理で架橋するに際し、低濃度のホルマ
リンと硫酸が一定範囲で混合された水溶液を用い、繊維
の強度低下を抑えながら、アセタール架橋+ホルマール
架橋を内部まで進行させることにより、高強度で耐湿熱
性の優れたPVA系繊維を得るものである。本発明の繊
維は耐湿熱性、耐衝撃性、耐熱性など耐久性が要求され
るセメント、ゴム、プラスチックの補強材やロープ、漁
網、テント、土木シートなどの一般産業資材など幅広く
利用できる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 徳永 勲 岡山県倉敷市酒津1621番地 株式会社クラ レ内

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 アセタール架橋とホルマール架橋を有す
    るポリビニルアルコール系繊維であって、単繊維強度が
    12g/d以上、かつ170℃×5時間人工セメント液
    蒸気処理後の強力保持率が80%以上であることを特徴
    とする架橋されたポリビニルアルコール系繊維。
  2. 【請求項2】 アセタール架橋を生じる架橋剤を含有す
    るポリビニルアルコール系紡糸原糸を220℃以上の温
    度で総延伸倍率が14倍以上となるように乾熱延伸した
    あと、ホルマリンと酸を含有し、かつ該ホルマリンと酸
    の含有量がそれぞれ1〜6重量%で、さらに該ホルマリ
    ンと酸の含有量比が重量で5:1〜1:5である85℃
    以下の水溶液で架橋処理することを特徴とする架橋され
    たポリビニルアルコール系繊維の製造法。
JP9235590A 1997-09-01 1997-09-01 架橋されたポリビニルアルコール系繊維及びその製造法 Pending JPH1181038A (ja)

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