JPH11140720A - ポリビニルアルコール系合成繊維の製造方法 - Google Patents

ポリビニルアルコール系合成繊維の製造方法

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JPH11140720A
JPH11140720A JP31012897A JP31012897A JPH11140720A JP H11140720 A JPH11140720 A JP H11140720A JP 31012897 A JP31012897 A JP 31012897A JP 31012897 A JP31012897 A JP 31012897A JP H11140720 A JPH11140720 A JP H11140720A
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JP
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fiber
compound
group
polyvinyl alcohol
pva
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JP31012897A
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Hiroyuki Oki
弘之 大木
Masahiro Sato
政弘 佐藤
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Kuraray Co Ltd
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Kuraray Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 高温オートクレーブ養生が可能なセメント製
品の補強用として、また長期間水や湿熱にさらされるゴ
ム製品やプラスチックス製品の補強用として適した、耐
湿熱性に優れた高強力ポリビニルアルコール系繊維を提
供する。 【解決手段】 PVA系繊維を製造する際に、紡糸原液
中、凝固浴中あるいは溶剤抽出浴中に溶解あるいは分散
させた多価エタノール化合物を、該ポリビニルアルコー
ル系繊維内部あるいは繊維表面に0.05モル%から2
0モル%含有あるいは付着させた後、乾熱延伸工程ある
いはそれに続く熱処理工程を経ることによって架橋せし
めることによって、耐湿熱性を有するPVA系繊維を製
造する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、耐湿熱性と高強度
が要求される漁網、ロープ、テント、土木シートなどの
一般産業資材やセメント、ゴム、プラスチックの補強材
に有効なポリビニルアルコール(以下、PVAと略記)
系合成繊維及びその製造法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来PVA系繊維は、ポリアミド、ポリ
エステル、ポリアクリロニトリル系繊維に比べて強度、
弾性率が高く、産業資材用繊維として使用されている。
さらにそれ以外でも、ゴム、プラスチック、セメントな
どの補強繊維として広く利用されており、中でもPVA
系繊維は汎用繊維の中で最も高強力高弾性を有し、かつ
接着性や耐アルカリ性が良好な為、石綿代替のセメント
補強材として脚光を浴びている。しかしながらPVA系
繊維は耐湿熱性に乏しく、一般産業資材や衣料素材とし
て用いられるにしても用途が制限され、さらにセメント
成型品に対して通常行われている高温でのオートクレー
ブ養生が不可能であった。現在セメント補強材にPVA
系繊維を使用する場合は、室温養生製品に限っており、
セメント製品の寸法安定性や強度が十分でなく、かつ養
生日数が長いなどの欠点を有していた。
【0003】PVA系繊維の耐湿熱性を改良しようとす
る試みは古くからなされて来た。たとえば、ホルマリン
のごときモノアルデヒド化合物、あるいはグリオキザー
ルやグルタルアルデヒドのごときポリアルデヒド化合物
とPVAの水酸基とのアセタール化反応を利用してPV
A系繊維を疎水化あるいは架橋せしめることにより、か
かる繊維の耐湿熱性の向上を図る方法が数多く報告され
ている。たとえば特公昭30−7360号公報や特公昭
36−14565号公報には、ホルマリンを用い、PV
Aの水酸基をホルマール化して疎水化することにより染
色や洗濯に耐えられるPVA系繊維が記載されている。
【0004】一方、ジアルデヒド化合物による架橋は特
公昭29−6145号公報や特公昭32−5819号公
報などに明記されており、特開平5−163609号公
報にはジアルデヒド又はそのアセタール化合物を紡糸原
糸に付与し、高倍率に乾熱延伸したあと酸処理により繊
維内部に架橋を生じさせることが記載されている。さら
に、特開平5ー263311号公報(対応ヨーロッパ特
許第520297号、米国特許第5380588号)に
おいては、乾熱延伸したPVA繊維に、上記特開平5ー
163609号公報記載のジアルデヒド化合物を繊維内
部まで浸透させたのち、モノアルデヒドと架橋触媒を含
有する浴に浸漬して架橋反応を起こさせることにより、
耐熱水性に優れたPVA系繊維が得られ、この架橋PV
A系繊維は160℃オートクレーブ養生に耐えうる繊維
であることが報告されている。
【0005】ところで、従来報告されているホルマリン
のごときモノアルデヒド化合物、あるいはグリオキザー
ルやグルタルアルデヒドのごときポリアルデヒド化合物
とPVAの水酸基とのアセタール化反応を利用してPV
A系繊維を疎水化あるいは架橋せしめることにより、か
かる繊維の耐湿熱性の向上を図る方法においては、アセ
タール化処理は全て酸の水溶液中で処理する方法がとら
れている。しかしながら、この方法ではアセタール化反
応を充分進行させるため、塩酸、あるいは硫酸のような
強酸が必要であり、また、その温度も50℃以上が必要
であることが本発明者らの検討で明らかとなった。この
ような条件で処理することはPVAにとっての良溶媒中
で処理することに他ならず、繊維が処理中に膨潤してし
まうことは避けられないばかりか、PVA自身が一部溶
解してしまう恐れもあった。これらの現象はPVAの分
子配向を乱したり結晶化度を低下させる効果があり、そ
の結果、PVA系繊維が本来有する力学的機械的強度の
低下を招くという大きな問題があった。
【0006】また、前述した酸処理工程は通常紡糸後に
行われるが、アセタール化に使用した酸が残存するとP
VA系繊維の着色、強度低下の原因となるため、実際に
は充分な中和と水洗工程が必要であり、工程の高コスト
化の原因となるという問題もあった。
【0007】モノアルデヒド化合物やポリアルデヒド化
合物によるアセタール化反応以外の手法としては、例え
ば酸を用いて脱水架橋により耐湿熱性を向上させる方法
が特開平2−84587号公報や特開平4−10091
2号公報などで公知であるが、本発明者らが追試したと
ころ繊維内部まで架橋させようとするとPVA繊維の分
解が激しく起こり、繊維強度の著しい低下を招いた。ま
た、特開平1−207435号公報、特開平2−133
605号公報、特開平2−216288公報には、アク
リル酸系重合体をブレンドするか、又は繊維表面を有機
系過酸化物やイソシアネート化合物、ウレタン系化合
物、エポキシ化合物などで架橋せしめる方法が記述され
ている。しかしアクリル系重合体による架橋はエステル
結合である為、セメント中のアルカリ成分で容易に加水
分解してその効果を失うこと、及び他の架橋剤も基本的
に繊維表面架橋である為、くり返し湿熱にさらされてい
る時、あるいはオートクレーブ養生中に繊維の中心部か
ら膨潤、溶解が起こることなどの問題点を抱えており、
本発明者らが追試したところ高温オートクレーブ養生に
耐えうる繊維としては不十分な性能であった。
【発明が解決しようとする課題】かかる状況下、本発明
は、高温オートクレーブ養生のような激しい高温高湿条
件においても、本来の優れた性質である高強力、高弾
性、優れた接着性や耐アルカリ性を損なうことなく、ま
た、煩雑な工程を必要とすることなく高い耐湿熱性を有
するPVA系維およびその製造方法を提供せんとするも
のである。
【0008】
【課題を解決するための手段】以上の背景を踏まえて本
発明者らは、高温オートクレーブ養生のような激しい高
温高湿条件においても、本来の優れた性質である高強
力、高弾性、優れた接着性や耐アルカリ性を損なわな
い、高い耐湿熱性を有するPVA系繊維の製造法につい
て鋭意検討を重ねた結果、PVA系繊維を製造する際
に、紡糸原液中、凝固浴中あるいは溶剤抽出浴中に溶解
あるいは分散させた、電子吸引性基と隣接したエタノー
ル構造を2個以上有する多価エタノール化合物を、該P
VA系繊維内部あるいは繊維表面に含有あるいは付着さ
せた後、乾熱延伸工程あるいはそれに続く熱処理工程を
経ることによって反応(架橋)せしめることを特徴とする
PVA系繊維の製造方法及びその方法により得られるP
VA系繊維が上記目的を達成することを見いだし本発明
に至ったものである。
【0009】以下、本発明の内容をさらに詳細に説明す
る。本発明に言うPVA系ポリマーとは、、通常のポリ
ビニルアルコールの製造法であるポリ酢酸ビニルあるい
はその共重合体のけん化から得られる。また、ピバリン
酸ビニル、蟻酸ビニルのごとき側鎖の嵩高いビニルエス
テルまたは極性の高いビニルエステル、もしくはt−ブ
チルビニルエーテルやトリメチルシリルビニルエーテ
ル、ベンジルビニルエーテルのごときビニルエーテルの
単独重合体あるいは共重合体の分解によっても得られ
る。
【0010】ここで、共重合体の場合のコモノマー単位
は、けん化、あるいは分解によってビニルアルコール単
位を生成する単位とそれ以外の単位に分けられる。
【0011】後者のコモノマー単位は、主として変性を
目的に共重合されるもので、本発明の趣旨を損なわない
範囲で使用される。このような単位としては、たとえ
ば、エチレン、プロピレン、1−ブテン、イソブテン等
のオレフィン類、アクリル酸およびその塩、アクリル酸
メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−プロピル、
アクリル酸i−プロピル、アクリル酸n−ブチル、アク
リル酸i−ブチル、アクリル酸t−ブチル、アクリル酸
2−エチルヘキシル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸
オクタデシル等のアクリル酸エステル類、メタクリル酸
およびその塩、メタクリル酸メチル、メ夕クリル酸エチ
ル、メタクリル酸n−プロピル、メタクリル酸i−プロ
ピル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸i−ブチ
ル、メタクリル酸t−ブチル、メ夕クリル酸2−エチル
ヘキシル、メタクリル酸ドデシル、メ夕クリル酸オクタ
デシル等のメタクリル酸エステル類、アクリルアミド、
N−メチルアクリルアミド、N−エチルアクリルアミ
ド、N,N−ジメチルアクリルアミド、ジアセ卜ンアク
リルアミド、アクリルアミドプロパンスルホン酸および
その塩、アクリルアミドプロピルジメチルアミンおよび
その塩と4級塩、N−メチロールアクリルアミドおよび
その誘導体等のアクリルアミド誘導体、メタクリルアミ
ド、N−メチルメタクリルアミド、N−エチルメタクリ
ルアミド、N,N−ジメチルメタクリルアミド、ジアセ
卜ンメタクリルアミド、メタクリルアミドプロパンスル
ホン酸およびその塩、メタクリルアミドプロピルジメチ
ルアミンおよびその塩と4級塩、N−メチロールメタク
リルアミドおよびその誘導体等のメタクリルアミド誘導
体、メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、n
−プロピルビニルエーテル、i−プロピルビニルエーテ
ル、i−ブチルビニルエーテル、t−ブチルビニルエー
テル、ベンジルビニルエーテル、ドデシルビニルエーテ
ル、ステアリルビニルエーテル等のビニルエーテル類、
アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のニトリル
類、塩化ビニル、塩化ビニリデン、フッ化ビニル、フッ
化ビニリデン等のハロゲン化ビニル類、酢酸アリル、塩
化アリル等のアリル化合物、マレイン酸およびその塩と
エステル、イタコン酸およびその塩とエステル、ビニル
トリメトキシシラン等のビニルシリル化合物、酢酸イソ
プロペニル等である
【0012】該ポリビニルアルコール系重合体のけん化
度は通常70モル%以上が好ましい。特に耐熱性、耐水
性、耐油性が要求される場合のけん化度は90〜99.
99モル%が好ましい。ここで、けん化度は酢酸ビニル
の単独重合体または共重合体中のけん化によりビニルア
ルコール単位に変換され得る単位に対する、けん化後の
ビニルアルコール単位の割合を表したものあり、残基は
酢酸ビニル単位である。
【0013】PVA系ポリマーの重合度も本発明の繊維
の性能に影響する。PVA系ポリマーの平均重合度が高
いほど結晶間を連結するタイ分子の数が多く、かつ欠点
となる分子末端数が少なくなるので高強度、高弾性率、
高耐湿熱性が得られやすく、したがって好ましくは重合
度1000以上のPVA系ポリマーであり、さらに好ま
しくは重合度1700以上のPVA系ポリマーである。
但し、重合度30000を超えるようなPVA系ポリマ
ーは一般的に製造が困難であり、工業生産という観点か
らは必ずしも適したものとはいえない。
【0014】PVA系ポリマーの溶剤、すなわち紡糸原
液溶媒としては、たとえばグリセリン、エチレングリコ
ール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコー
ル、ブタンジオールなどの多価アルコール類やジメチル
スルホキシド、ジメチルホルムアミド、ジエチレントリ
アミン、水及びこれら2種以上の混合溶剤などが挙げら
れる。ただし、本発明の多価エタノール化合物を該溶剤
に混合添加する場合は、該化合物を凝集させたり、分離
させる溶剤は望ましくなく、均一分散又は溶解する溶剤
が好ましい。また、紡糸原液中の酸性またはアルカリ性
が高いと原液中で該エタノール化合物とPVA系重合体
が反応する場合があり好ましくない。この点で、上記し
たジメチルスルホキシドやグリセリンなどが好ましく、
特にジメチルスルホキシドがもっとも好ましい。またP
VA系ポリマーを溶剤で溶解する際にホウ酸、界面活性
剤、分解抑制剤、染料、顔料などを添加しても支障ない
が、先述したとおり、多価エタノール化合物を紡糸原液
中に混合添加する場合は、原液中で該エタノール化合物
とPVA系重合体が反応し、その結果、紡糸性や延伸性
を悪化させるような添加剤を用いることは好ましくな
い。また原液中のPVA系ポリマー濃度としては5から
50重量%が好ましく、特に湿式紡糸方法または乾湿式
紡糸方法を用いる場合には5から20重量%が、また乾
式紡糸方法を用いる場合には10から50重量%が好ま
しい。また紡糸原液の温度は80から230℃が一般的
である。
【0015】このようにして得られた紡糸原液は常法に
より湿式、乾式、乾湿式のいずれかの方法でノズルより
吐出され固化する。湿式および乾湿式紡糸では凝固浴に
て固化し繊維化させるが、その凝固剤はアルコール、ア
セトン、メチルエチルケトンなどいずれでも良い。ただ
し、本発明で用いる多価エタノール化合物を紡糸原液中
あるいは凝固浴中に混合添加する場合には、紡糸原液の
固化と同時に該エタノール化合物とPVA系重合体との
反応が進行し、その後の紡糸性や延伸性を悪化させる場
合があるため、凝固浴としてアルカリ水溶液、アルカリ
金属塩水溶液などを使用するのは好ましくない。なお、
凝固における溶剤抽出をゆっくりさせて均一ゲル構造を
生成させ、より高い強度と耐湿熱性を得るため、該凝固
剤に該紡糸原液溶剤を10重量%以上混合させるのが好
ましい。特にメタノールで代表されるアルコールと紡糸
原液溶剤との混合液が好ましい。さらに凝固温度を20
℃以下にして急冷させるのも均一な微結晶構造を得るの
に都合が良い。また、繊維間の膠着を少なくし、その後
の乾熱延伸を容易にするために溶剤を含んだ状態で2か
ら10倍の湿延伸をするのが望ましい。湿延伸温度とし
ては20から60℃の範囲が好ましい。次いで繊維を抽
出浴に浸漬して溶剤の抽出を行なうが、抽出剤としては
メタノール、エタノール、プロパノールなどのアルコー
ル類やアセトン、メチルエチルケトン、エーテル、水な
どが使用できる。続いて、必要に応じ、油剤などを付与
して該抽出剤を乾燥させるが、乾式の場合は、抽出剤を
使用せずに紡糸時及び紡糸後で該紡糸原液溶剤を蒸発さ
せて乾燥させる。
【0016】PVA系繊維の強度を発現するため、乾燥
後紡糸原糸を200℃以上、好ましくは230℃以上で
総延伸倍率が14倍以上、好ましくは16倍以上となる
ように乾熱延伸する。延伸温度は高重合度ほど高くして
高倍率を維持するのが好ましいが、260℃以上ではP
VAの分解が生じ易く好ましくない。なお、総延伸倍率
は湿延伸倍率と乾熱延伸倍率の積で表される。
【0017】本発明の特徴は、繊維を製造する際に、紡
糸原液中、凝固浴中あるいは溶剤抽出浴中に溶解あるい
は分散させた、電子吸引性基と隣接したエタノール構造
を2個以上有する多価エタノール化合物を、該ポリビニ
ルアルコール系繊維内部あるいは繊維表面にポリビニル
アルコール系重合体の繰り返し構成単位に対して0.0
5モル%から20モル%含有あるいは付着させた後、乾
熱延伸工程あるいはそれに続く熱処理工程を経ることに
よって架橋せしめる点である。
【0018】本発明で用いることのできる多価エタノー
ル化合物は、電子吸引性基と隣接したエタノール構造を
2個以上有する様な多価エタノール化合物であれば特に
限定されないが、具体例として、1,5−ジヒドロキシ
−3−ペンタノン、1,7−ジヒドロキシ−3,5−ヘ
プタンジノン、1,8−ジヒドロキシ−3,6−オクタ
ンジノン、1,9−ジヒドロキシ−3,7−ノナンジノ
ン、メチレンビス(2,2’−ヒドロキシエチレー
ト)、ビス(2,2’−ヒドロキシエチル)スルフィ
ン、((2−ヒドロキシエチル)スルフィニル)メチル
−2’−ヒドロキシエチルスルフィン、((2−ヒドロ
キシエチル)スルフィニル)エチル−2’−ヒドロキシ
エチルスルフィン、メチレンビス(2,2’−ヒドロキ
シエチルスルフィネート)、エチレンビス(2,2’−
ヒドロキシエチルスルフィネート)、ビス(2,2’−
ヒドロキシエチル)スルホン、((2−ヒドロキシエチ
ル)スルホニル)メチル−2’−ヒドロキシエチルスル
ホン、((2−ヒドロキシエチル)スルホニル)エチル
−2’−ヒドロキシエチルスルホン、メチレンビス
(2,2’−ヒドロキシエチルスルホネート)、エチレ
ンビス(2,2’−ヒドロキシエチルスルホネート)、
ビス(2,2’−ヒドロキシエチル)フォスホン、
((2−ヒドロキシエチル)フォスホニル)メチル−
2’−ヒドロキシエチルフォスホン、((2−ヒドロキ
シエチル)フォスホニル)エチル−2’−ヒドロキシエ
チルフォスホン 、メチレンビス(2,2’−ヒドロキ
シエチルフォスホネート)、エチレンビス(2,2’−
ヒドロキシエチルフォスホネート)等が挙げられる。特
にこれらのうち、セメント養生のような高温アルカリ条
件下における安定性の面から、カルボン酸エステル、ス
ルホン酸エステル、リン酸エステル等のエステル結合を
化合物中に有しない化合物が好ましい。具体的には下記
化5または化6で表される化合物群(但し、A、A’は
カルボニル基、スルフィニル基、スルホニル基、フォス
ホニル基の中から選ばれる電子吸引性の連結基を示す。
Xは酸素原子または窒素原子を有してもよい2価の炭化
水素基を示す。)が好ましく、これらの具体例として
は、1,5−ジヒドロキシ−3−ペンタノン、ビス
(2,2’−ヒドロキシエチル)スルフィン、ビス
(2,2’−ヒドロキシエチル)スルホン、ビス(2,
2’−ヒドロキシエチル)フォスホン等が挙げられる。
また、これらの多価エタノール化合物は単独で又は2種
以上混合して使用することができる。
【0019】
【化5】
【0020】
【化6】
【0021】本発明で用いる多価エタノール化合物の付
与は、紡糸原液から抽出のいずれの工程において行われ
ても構わない。具体的には、紡糸原液中に溶解あるいは
分散させ、該PVA中に含有せしめる方法、凝固浴のア
ルコールやケトン類に該化合物を溶解あるいは分散し、
紡糸原液を固化し繊維化させる際に該PVA中に含有せ
しめる方法、抽出浴のアルコールやケトン類に該化合物
を溶解し、その中に膨潤状態の糸条を通過させること
で、該化合物を繊維内部へ十分含有させる方法、等が挙
げられる。このうち、抽出浴のアルコールやケトン類に
該化合物を溶解し、その中に膨潤状態の糸条を通過させ
ることで、該化合物を繊維内部へ十分含有させる方法
が、該化合物を繊維中に均一かつ充分量含有させること
ができ、さらにその量を容易に制御できるという点にお
いて好ましい。この場合の多価エタノール化合物を含有
する浴の温度としては−10から50℃、浴中の該化合
物濃度としては0.01から1モル/リッターが好まし
い。また浴への繊維浸漬時間としては5秒以上が好まし
く、5秒以下の浸漬時間では繊維への該化合物の付着量
が不足し十分な耐熱水性が得られない。
【0022】本発明における多価エタノール化合物の好
適な付着量は、乾熱延伸糸を構成するPVA系重合体の
繰り返し構成単位に対し0.05から20モル%であ
り、さらに好ましくは0.1から10モル%である。付
着量が0.05モル%未満では架橋密度が少ないため耐
湿熱性が不十分であり、20モル%を超えると分子配向
を乱したりPVAの分解が促進されて強度低下を招き易
い。付着量は、多価エタノール化合物を含有する浴の多
価エタノール化合物の含有量を変えることによってコン
トロールすることができる。
【0023】PVA系繊維中に含有あるいは付着させた
多価エタノール化合物は、先述した繊維の乾熱延伸工程
において該PVAが有する水酸基と反応せしめる。反応
機構としては、下記化7または化8で示すように、乾熱
延伸工程に加わる熱によって多価エタノール化合物のエ
タノール部位が脱水し、電子吸引性基を隣接に有した反
応活性の高い二重結合を有する化合物に変化し、この活
性二重結合へのPVA水酸基の付加反応によって架橋構
造が形成されるものと推定される。
【0024】
【化7】
【0025】
【化8】
【0026】延伸温度は200℃以上、好ましくは23
0℃以上である。ただし、延伸温度が高すぎると延伸初
期に反応が進行し、その結果、PVA系繊維の強度を発
現するのに充分な延伸ができず、強度が得られない恐れ
があり、またPVAの分解が生じるため延伸温度の上限
は260℃である。乾熱延伸工程において該エタノール
化合物とPVA系重合体との反応が充分進行していない
場合は、乾熱延伸工程に続く熱処理工程を追加すること
ができる。この際の上限加熱温度は、PVAの点から2
60℃である。
【0027】本発明によって得られる繊維の単繊維強度
は好ましくは8g/d以上であり、さらに好ましくは1
0g/d以上である。単繊維強度が8g/d未満の場合
には耐湿熱性と高強度が要求される魚網、ロープ、テン
ト、土木シートなどの一般産業資材やセメント、ゴム、
プラスチックの補強材としての有効性が低く、特にオー
トクレーブ養生を行うセメント製品の補強材としての使
用が困難である。
【0028】
【実施例】以下、実施例により本発明を具体的に説明す
るが、本発明は実施例のみに限定されるものではない。
なお、本発明における各種の物性値は以下の方法で規定
されたものである。 1)PVAの粘度平均重合度PA JIS K−6726に基づき30℃におけるPVA希
薄水溶液の比粘度ηSPを5点測定し、次式(1)より極
限粘度〔η〕を求め、さらに次式(2)より粘度平均重
合度PAを算出した。 〔η〕=lim(C→O)ηSP/C・・・(1) PA=(〔η〕×104/8.29)1.613・・・(2)
【0029】2)PVA系繊維中の多価エタノール化合
物量 乾燥後の多価エタノール化合物含有繊維を50から14
0℃のジメチルスルホキシドに溶解せしめプロトンNM
RによりPVAのCH2基ピークに対する該エタノール
のピーク面積比を算出し、予め作成した検量線より含有
量を求めた。
【0030】3)単繊維の引張強度 JIS L−1015に準じ、予め調湿された単繊維を
試長10cmになるように台紙に貼り25℃×60%R
Hで12時間以上放置。次いでインストロン1122で
2kg用チャックを用い、初荷重1/20g/d、引張
速度50%/minにて破断強度を求めn≧10の平均
値を採用した。デニールは1/10g/d荷重下で30
cm長にカットし重量法により求めた。なおデニール測
定後の単繊維を用いて強伸度、弾性率を測定し1本ずつ
デニールと対応させた。
【0031】4)繊維の熱水中の溶出量 最終的に得られたPVA系繊維約100ミリグラムを8
mmにカットした後、試験管中に精評し、蒸留水10ミ
リリットルを加えた後、封管し、オートクレーブ(ヤマ
ト科学製、SP22)中で熱処理(121℃X2時間)
した。試験管中のPVA系繊維を濾別し、蒸留水で水洗
後、乾燥し(120℃X10時間以上)、溶出率を求め
た。
【0032】実施例1〜6 粘度平均重合度が1700でケン化度が99.5モル%
のPVAを濃度20重量%になるようにジメチルスルホ
キシド(DMSO)に100℃で溶解し、得られた溶液
を1000ホールのノズルより吐出させ、メタノール/
DMSO=7/3重量比、5℃の凝固浴で湿式紡糸し
た。さらに40℃メタノール浴で3.5倍湿延伸したあ
と、繊維を2段のメタノール抽出浴を順次通過させるこ
とによりジメチルスルホキシドを全部除去した。最後の
メタノール抽出浴には、表1に示した各種多価エタノー
ル化合物を、濃度0.2モル/リッターで添加し、均一
溶液としたあと、繊維を1.5分間滞留させてメタノー
ル含有繊維の内部および表面にエタノール化合物を含有
させ、次いで120℃にて乾燥した。乾燥後の繊維中に
含有された多価エタノール化合物量はそれぞれ表1に示
したとおりであった。得られた紡糸原糸を175℃、1
75℃、230℃の3セクションからなる熱風炉で総延
伸倍率16.1倍になるように延伸し、更に、245℃
で120秒間の定長熱処理を行い、6000d/100
0fのマルチフィラメントを得た。最終的に得られた繊
維について、単繊維強度、121℃熱水中で2時間処理
した場合の繊維溶出率をそれぞれ測定した。表1にこれ
らの結果を示した。
【0033】比較例1 最後のメタノール抽出浴に多価エタノール化合物を添加
しない点以外は実施例1〜6と同様の手法で、紡糸、延
伸、熱処理を行った。最終的に得られた繊維物性を表1
に併せて示す。
【0034】
【表1】
【0035】実施例7〜10、比較例2 最後のメタノール抽出浴に、ビス(2,2’−ヒドロキ
シエチル)スルホンを浴に対して各々0.02、0.
1、0.4、2モル/リッターで加えた点以外は実施例
1〜6と同様の手法で、紡糸、延伸、熱処理を行った。
最終的に得られた繊維物性を表2に示す。
【0036】
【表2】
【0037】
【発明の効果】本発明により、高温オートクレーブ養生
のような激しい高温高湿条件においても、本来の優れた
性質である高強力、高弾性、優れた接着性や耐アルカリ
性を損なうことなく、かつ、煩雑な工程を必要とするこ
となく、高い耐湿熱性を有するPVA系繊維が得られ、
ロープ、漁網、テント、土木シートなどの一般産業資材
は勿論の事、高温オートクレーブが可能なセメント補強
材など広幅い用途に利用できる。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】ポリビニルアルコール系重合体から成る繊
    維を製造する際に、紡糸原液中、凝固浴中あるいは溶剤
    抽出浴中に電子吸引性基と隣接したエタノール構造を2
    個以上有する多価エタノール化合物を溶解あるいは分散
    させ、該化合物を該ポリビニルアルコール系繊維内部あ
    るいは繊維表面に含有あるいは付着させた後、乾熱延伸
    工程あるいはそれに続く熱処理工程を経ることによって
    該化合物を反応させることを特徴とするポリビニルアル
    コール系合成繊維の製造方法。
  2. 【請求項2】多価エタノール化合物が化1または化2で
    表わされる化合物である請求項1記載の繊維の製造方
    法。 【化1】 【化2】 (但し、A、A’はカルボニル基、スルフィニル基、ス
    ルホニル基、フォスホニル基の中から選ばれる電子吸引
    性の連結基を示す。Xは酸素原子または窒素原子を有し
    てもよい2価の炭化水素基を示す。)
  3. 【請求項3】平均重合度が1000以上のポリビニルア
    ルコール系重合体からなる繊維において、ポリビニルア
    ルコール系重合体の主鎖中に下記の化3または化4で表
    される構造からなる構成単位をポリビニルアルコール系
    重合体の繰り返し構成単位に対して0.1モル%から4
    0モル%含有し、121℃熱水中で2時間処理した後の
    溶出率が20重量%以下であり、かつ強度が8g/d以
    上である高性能ポリビニルアルコール系合成繊維。 【化3】 【化4】 (但し、A、A’はカルボニル基、スルフィニル基、ス
    ルホニル基、フォスホニル基の中から選ばれる電子吸引
    性の連結基を示す。Xは酸素原子または窒素原子を有し
    てもよい2価の炭化水素基を示す。)
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