JPH08158149A - ポリビニルアルコール系繊維の製造法 - Google Patents

ポリビニルアルコール系繊維の製造法

Info

Publication number
JPH08158149A
JPH08158149A JP30904794A JP30904794A JPH08158149A JP H08158149 A JPH08158149 A JP H08158149A JP 30904794 A JP30904794 A JP 30904794A JP 30904794 A JP30904794 A JP 30904794A JP H08158149 A JPH08158149 A JP H08158149A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
polymer
pva
solution
spinning
acrylic acid
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP30904794A
Other languages
English (en)
Inventor
Atsushi Taniguchi
敦 谷口
Shoichi Sugimura
祥一 杉村
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Toray Industries Inc
Original Assignee
Toray Industries Inc
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Toray Industries Inc filed Critical Toray Industries Inc
Priority to JP30904794A priority Critical patent/JPH08158149A/ja
Publication of JPH08158149A publication Critical patent/JPH08158149A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Artificial Filaments (AREA)
  • Spinning Methods And Devices For Manufacturing Artificial Fibers (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【構成】水、アクリル酸系重合体および水酸化アンモニ
ウムからなり、20℃におけるpH値を6.0〜8.5
とした混合溶媒にポリビニルアルコールを溶解し、20
℃におけるpH値を6.0〜8.5としたポリビニルア
ルコール溶液を紡糸原液とすることを特徴とするポリビ
ニルアルコール系繊維の製造法。 【効果】原液の熱安定性、紡糸安定性、凝固後の延伸性
の向上といった効果が発揮され、耐疲労性や耐熱水性に
優れたPVA系繊維が容易に工業的規模で得ることがで
き、産業資材用途で顕著な効果を発揮できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は水をポリマ溶媒とし、熱
安定性や凝固後の延伸性に優れたポリマ溶液を紡糸して
得られる、ポリビニルアルコール(以下、PVA)とア
クリル酸系重合体とをブレンドされてなる架橋構造を有
するPVA系繊維の製造法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】PVA系繊維は従来より、汎用ポリマ繊
維の中にあっては比較的高強度、高弾性率であることか
らタイヤコード、ベルト、ホースなどのゴム補強材、F
RC、FRPなど産業資材用途や一部の特殊衣料用途に
使われて来た。
【0003】そして、PVA系繊維は水をポリマ溶媒と
した湿式紡糸および乾式紡糸、有機溶媒を用いたゲル紡
糸、乾湿式紡糸によって製造されることは公知である。
これらのうち紡糸原液にホウ酸を含み、アルカリ凝固浴
中へ湿式紡糸するものとしては特公昭34−2061号
公報、特公昭48−7887号公報および特公昭53−
1368号公報、特開平4−18113号公報などがあ
る。
【0004】さらに近年、超高重合度ポリエチレンを使
ったゲル紡糸技術と超延伸技術とを組み合わせることに
より、従来にない高強度、高弾性率ポリエチレン繊維を
得る方法が開示された。この技術をPVAへ適応したも
のは特開昭59−130314号公報によって開示され
ている。また、ジメチルスルホキシドとメタノールやア
セトンといった溶媒の組み合わせでの乾湿式紡糸により
強度12g/d以上、初期弾性率280g/d以上とい
った特性を持つPVA系高強度、高弾性率繊維が特開昭
60−126312号公報によって知られている。
【0005】これらの技術を背景に、特にタイヤコード
などゴム補強材、FRC用途などセメント補強材といっ
た産業資材用途で強く要求される耐熱水性、耐疲労性に
優れた高強度PVA繊維を得ることを目的に、PVAと
アクリル酸系重合体とがブレンドされてなる架橋構造を
有するPVA系繊維が特公平6−27366号公報によ
って開示されている。
【0006】しかし、詳細な検討の結果、ポリマ溶媒に
水を用いた場合、アクリル酸系重合体を加えると、水素
イオンの触媒作用および熱により、原液工程でPVAと
アクリル酸系重合体との間でエステル化反応が進行して
しまい、原液段階で架橋構造を形成するため、原液粘度
の局所的増大による原液の粘度ムラや、高強度発現のた
めに必要な凝固後の繊維の延伸性が劣るなどの欠点があ
ることがわかった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明はかかる従来の
問題点を解決すること、すなわち、産業資材用途で強く
要求される耐熱水性、耐疲労性に優れたPVAとアクリ
ル酸系重合体とがブレンドされてなる架橋構造を有する
PVA系繊維を、水をポリマ溶媒として製造するに際し
て、従来問題となっていた紡糸原液の熱安定性や凝固後
の延伸性に優れた溶液を紡糸して得られるPVA系繊維
の製造法に関するものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するた
め、本発明の製造法は次の構成を有する。すなわち、
水、アクリル酸系重合体および水酸化アンモニウムから
なり、20℃におけるpH値を6.0〜8.5とした混
合溶媒にPVAを溶解し、20℃におけるpH値を6.
0〜8.5としたPVA溶液を紡糸原液とすることを特
徴とするPVA系繊維の製造法である。
【0009】本発明の製造法においては紡糸原液の溶媒
として、水およびアクリル酸系重合体を含むものであ
る。水系の溶媒としない場合には溶媒の回収設備が必要
となるなどの問題がある。アクリル酸系重合体を含まな
い場合には、耐熱水性、耐疲労性に優れた高強度PVA
繊維を得ることが困難である。なお、本発明において、
アクリル酸系重合体とは、当該重合体中のアクリル酸基
が遊離したものまたはアクリル酸のアンモニウム塩をい
い、アクリル酸のアルカリ金属塩は含まないものとす
る。
【0010】アクリル酸系重合体の具体例としては、例
えばアクリル酸、メタクリル酸(α−メチルアクリル
酸)、エタクリル酸(α−エチルアクリル酸)などのポ
リマおよびオリゴマーを挙げることができる。その他、
溶媒中への溶解性を大きく損なうものでなければ、上記
ポリマーおよびオリゴマーの主鎖中にエチレン、プロピ
レン、スチレン、イタコン酸などのオレフィン系モノマ
ーが少量共重合されたもの等も使用することができる。
また、いわゆるアイオノマーも使用することができる。
【0011】このアクリル酸系重合体の重合度として
は、原液中での均一分散性が低下して原液の安定性が低
下するのを防止する観点から、200〜1,000,0
00が好ましく、200〜100,000とするのがよ
り好ましい。
【0012】このアクリル酸系重合体の量は、十分な耐
熱水性や耐疲労性向上を得る一方、、強度低下や脱溶媒
(脱水)速度が遅くなり繊維化が困難になるのを防止す
る観点から、紡糸原液中、アクリル酸系重合体のPVA
に対するブレンド比として、全ポリマ中、0.1〜40
重量%にするのが好ましい。
【0013】ところで、ポリマ溶媒の主成分である水に
所定のアクリル酸系重合体を添加した溶液は、アクリル
酸系重合体に由来する水素イオンの解離により溶液の2
0℃でのpH値が2.0〜5.0の酸性を示す。ここへ
所定のPVAポリマを加え加熱溶解を行うと、水素イオ
ンの触媒作用および熱により、PVAとアクリル酸系重
合体との間でエステル化反応が進行してしまうため、原
液粘度の局所的増大による原液の粘度ムラ、凝固糸の延
伸性不良化が起きてしまう。
【0014】そこで、本発明の製造法においては紡糸原
液の溶媒として、水およびアクリル酸系重合体に加え、
水酸化アンモニウムをも含んだ混合溶媒を用いるもので
ある。水酸化アンモニウム以外のアルカリ、例えば、水
酸化ナトリウムまたはアクリル酸系重合体中のアクリル
酸基をアルカリ金属塩化したものを含ませた場合には、
PVAポリマとのエステル化反応により水酸化アルカリ
金属が再生し、その結果、紡糸原液のpH値が9.0以
上といった強アルカリ性となってしまい、ポリマ分子鎖
の切断が起きてしまう。
【0015】また、アクリル酸系重合体のナトリウム塩
は吸水性に優れたポリマであるために、紡糸、凝固時の
脱溶媒(脱水)が困難となり、繊維化が難しくなるとい
った欠点もある。
【0016】本発明の製造法においては、水、アクリル
酸系重合体および水酸化アンモニウムからなり、20℃
におけるpH値を6.0〜8.5、好ましくは6.0〜
8.0とした混合溶媒を用いるものである。混合溶媒の
pHが6.0未満の場合には、後にPVAポリマを溶解
した紡糸原液中において、アクリル酸系重合体に由来す
る水素イオンの触媒作用および熱により、PVAとアク
リル酸系重合体との間でエステル化反応が進行するため
におこる、原液粘度の局所的増大による原液の粘度ム
ラ、凝固糸の延伸性不良化などの問題を解決できない。
混合溶媒のpHが8.5を越える場合には後にPVAポ
リマを溶解した紡糸原液が強アルカリ性となり、PVA
ポリマ分子鎖の切断が起きてしまう。
【0017】本発明に使用するPVA系ポリマとして
は、一般にポリマの欠陥部をできるだけ少なくするため
にPVAのケン化度は高い方が良く、98 mol%以上が
好ましく、同様にポリマの重合度が大きくなればなるほ
ど得られる繊維の引張強度が高くなるポテンシャルを有
することと、そのポリマの製造コストとの関係から、そ
の平均重合度は好ましくは1500以上15000以
下、さらに好ましくは2000以上12000以下とす
るものである。ポリマ重合度が1500に満たない場合
は得られる繊維を高強度化することが困難となる場合が
ある。
【0018】紡糸原液のポリマ濃度は、ポリマの溶解性
および紡糸時の曳糸性を十分なものとするために5〜4
0重量%とすることが好ましい。
【0019】本発明の製造法においては、前記した混合
溶媒にPVAを溶解した後における紡糸原液として用い
るPVA溶液の20℃におけるpH値を6.0〜8.5
とするものである。PVA溶液のpHが6.0未満の場
合にはアクリル酸系重合体に由来する水素イオンの触媒
作用および熱により、PVAとアクリル酸系重合体との
間でエステル化反応が進行するためにおこる、原液粘度
の局所的増大による原液の粘度ムラ、凝固糸の延伸性不
良化などの問題を解決できない。混合溶媒のpHが8.
5を越える場合には紡糸原液が強アルカリ性となり、P
VAポリマ分子鎖の切断が起きてしまう。
【0020】本発明の製造例における紡糸原液の調製法
の一例を説明すると次のとおりである。
【0021】まず、ポリマ溶媒に所定のアクリル酸系重
合体を添加して撹拌し、溶液のpH値が6.0〜8.5
となるようにアンモニア水を添加撹拌する。次いで所定
のポリマ濃度になるようにPVAポリマを溶液に加え、
ポリマを完全に溶解するために5〜20℃位の温度で十
分にポリマに溶媒を吸収させて膨潤させたあと、100
〜120℃の温度で溶解する。このとき撹拌翼式の溶解
槽や加圧ニーダなどポリマを完全に溶解するといった目
的を達成するものであれば公知のいずれの方式で行って
も良い。またこの時、例えばポリマの分散性を高めるこ
とを目的に親水性界面活性剤を溶液に添加してもかまわ
ない。
【0022】こうして調製された原液を用いて繊維化す
る方法としては、従来公知である乾式紡糸法、湿式紡糸
法、口金面と凝固浴液面との間にエアギャップが存在す
るいわゆる乾湿式紡糸法のいずれも適応できる。次にそ
れぞれの方法について説明する。
【0023】乾式紡糸法は、上記のとおり調製された原
液を、好ましくは100〜160℃に加温された口金よ
り、ポリマ溶媒である水の沸点以上200℃以下の雰囲
気中へ吐出して、紡糸筒中の熱によって乾燥して糸条を
形成する。
【0024】湿式紡糸法は上記原液を、紡糸口金を通し
て凝固浴に吐出する。凝固浴に使用する凝固剤として
は、PVAの凝析能を有する硫酸ナトリウムなど無機塩
飽和水溶液や水酸化ナトリウムを適量添加した無機塩飽
和水溶液が好適に用いられる。乾湿式紡糸法は、上記原
液を、凝固浴液面から好ましくは2〜20mm上に設置さ
れた紡糸口金を通して、上記湿式紡糸法に用いたのと同
様の組成の凝固浴に吐出することができる。また乾湿式
紡糸法の場合、その原液と凝固浴液との比重の違いによ
り、凝固糸条が凝固浴液面に浮遊する傾向があるが、そ
の際には凝固浴中に駆動ロールを設置し、該ロールで糸
条を引き取ることにより解決できる。
【0025】このようにして得られた未延伸糸を、好ま
しくは3〜8倍、さらに好ましくは3〜5倍の延伸を施
したのち乾燥する。このときの延伸は、場合によっては
このあとの乾熱延伸工程での耐熱性を付与する目的で8
0〜120℃の雰囲気中で行っても良い。
【0026】このようにして得られた一次延伸糸を20
0〜250℃の温度で熱延伸を行う。また、この時に、
より高倍率に延伸を施すために延伸温度の異なる条件で
2段以上の多段延伸を施すのも有効な手段である。
【0027】
【実施例】以下、実施例によって本発明を具体的に説明
する。
【0028】なお、本発明における繊維の引張強度、伸
度は単繊維についての引張強度、伸度であり、次のよう
にして求めた値を言う。
【0029】〈引張強度、伸度〉繊維サンプルを20
℃、65%RHに温湿度制御された雰囲気中で24時間
放置後、“テンシロン”DTM−4L型引張試験機(東
洋ボールドウイン(株)製)を使用して、単繊維を試長
250mm、引張速度300mm/分の条件で測定した。
【0030】(実施例1、2)アクリル酸系重合体とし
て重合度400のポリアクリル酸の25%水溶液を所定
量水に加え、全体を撹拌しながら溶液の20℃でのpH
値が7.0となるまでアンモニア水溶液を滴下した。次
いで重合度1800、ケン化度99.9 mol%のPVA
とポリアクリル酸とのポリマ重量比が99.0/1.0
(実施例1)、80/20(実施例2)となるようにP
VAを加え、全ポリマ濃度が35重量%となるよう調整
して室温で撹拌・膨潤させたあと、約120℃の温度で
ポリマが完全に溶解するまでそれぞれ撹拌・溶解させ
た。
【0031】得られた原液の80℃における粘度は28
00ポイズ(実施例1)、2900ポイズ(実施例2)
であり、100℃で24時間撹拌放置したあとも粘度変
化がいずれも観察されず、熱安定性に優れていた。
【0032】この原液を孔径0.10mm、孔数50の口
金から雰囲気温度150℃に保たれた紡糸筒中へ吐出し
た。このときの口金保温温度は120℃であった。得ら
れた乾燥糸は透明感を有しており、その断面形状は真円
であった。次に室温(20℃)で4.0倍の延伸をそれ
ぞれに安定に行って一旦巻き上げたあと、40℃の雰囲
気温度で3時間の真空乾燥を行った。これらを240℃
の雰囲気中で熱延伸を行ったところ高倍率の延伸が可能
で、得られた繊維の物性は表1に示すとおりであった。
【0033】
【表1】 (実施例3)アクリル酸系重合体として重合度400の
ポリアクリル酸の25%水溶液を所定量水に加え、全体
を撹拌しながら溶液の20℃でのpH値が8.0となる
までアンモニア水溶液を滴下した。次いで重合度260
0、ケン化度99.9 mol%のPVAとポリアクリル酸
とのポリマ重量比が99.0/1.0となるようにPV
Aを加え、全ポリマ濃度が30重量%となるよう調整し
た。さらにポリマ対比0.2重量%の親水性界面活性剤
ポリエチレングリコールアルキルフェノールエーテル
(“ノイゲンSS”(登録商標)、第一工業製薬(株)
製)を添加して室温で撹拌・膨潤させたあと、約115
℃の温度でポリマが完全に溶解するまで撹拌・溶解させ
た。
【0034】得られた原液の80℃における粘度は27
50ポイズであり、100℃で24時間撹拌放置したあ
とも粘度変化が観察されず、熱安定性に優れていた。
【0035】この原液を孔径0.12mm、孔数50の口
金から雰囲気温度160℃に保たれた紡糸筒中へ吐出し
た。このときの口金保温温度は120℃であった。得ら
れた乾燥糸は透明感を有しており、その断面形状は真円
であった。次に室温(20℃)で4.2倍の延伸を安定
に行って一旦巻き上げたあと、40℃の雰囲気温度で3
時間の真空乾燥を行った。これを243℃の雰囲気中で
熱延伸を行ったところ、4.5倍といった高倍率の延伸
が可能で、得られた繊維の単繊維物性は、繊度3.1デ
ニール、強度17.5g/d、伸度4.9%であった。
【0036】(実施例4)アクリル酸系重合体として重
合度50000のポリアクリル酸粉末を所定量水に加
え、全体を撹拌しながら溶液の20℃でのpH値が6.
5となるまでアンモニア水溶液を滴下した。次いで重合
度4000、ケン化度99.9 mol%のPVAとポリア
クリル酸とのポリマ重量比が99.5/0.5となるよ
うにPVAを加え、全ポリマ濃度が12重量%となるよ
う調整して室温で撹拌・膨潤させたあと、約120℃の
温度でポリマが完全に溶解するまで撹拌・溶解させた。
【0037】得られた原液の80℃における粘度は13
00ポイズであり、100℃で24時間撹拌放置したあ
とも粘度変化が観察されず、熱安定性に優れていた。
【0038】この原液を温度80℃に保たれた孔径0.
10mm、孔数50の口金から硫酸ナトリムを飽和溶解さ
せた20℃の凝固浴中へ吐出した。次に硫酸ナトリム3
50g/l溶解させた90℃の水溶液中で4.0倍の延
伸を行い、20℃の水で水洗して付着塩を取り除き、乾
燥エアの乱流気体を走行糸条に噴射して付着水を除去し
て一旦巻き上げたあと、40℃の雰囲気温度で3時間の
真空乾燥を行った。これを245℃の雰囲気中で熱延伸
を行ったところ5.1倍の高倍率延伸が可能で、得られ
た繊維の単繊維物性は、繊度1.7デニール、強度1
8.2g/d、伸度5.2%であった。
【0039】(実施例5)アクリル酸系重合体として重
合度400のポリアクリル酸の25%水溶液を所定量水
に加え、全体を撹拌しながら溶液の20℃でのpH値が
7.0となるまでアンモニア水溶液を滴下した。次いで
重合度8000、ケン化度99.9 mol%のPVAとポ
リアクリル酸とのポリマ重量比が98.0/2.0とな
るようにPVAを加え、全ポリマ濃度が10重量%とな
るよう調整して室温で撹拌・膨潤させたあと、約120
℃の温度でポリマが完全に溶解するまで撹拌・溶解させ
た。得られた原液の80℃における粘度は1950ポイ
ズであり、100℃で24時間撹拌放置したあとも粘度
変化が観察されず、熱安定性に優れていた。
【0040】この原液を温度120℃に保たれた孔径
0.08mm、孔数50の口金から5mmのエアギャプを通
過させ、硫酸ナトリムを飽和溶解させた凝固浴中へ吐出
した。次に硫酸ナトリム350g/l溶解させた90℃
の水溶液中で4.0倍の延伸を行い、20℃の水で水洗
して付着塩を取り除き、乾燥エアの乱流気体を走行糸条
に噴射して付着水を除去して一旦巻き上げたあと、40
℃の雰囲気温度で3時間の真空乾燥を行った。これを2
46℃の雰囲気中で熱延伸を行ったところ5.3倍の高
倍率延伸が可能で、得られた繊維の単繊維物性は、繊度
1.0デニール、強度18.5g/d、伸度5.4%で
あった。
【0041】(比較例1)アンモニア水溶液を滴下しな
い以外は実施例1と同一条件で紡糸を行った場合、ポリ
アクリル酸を加えた溶液の20℃でのpH値は4.5
で、得られた原液の80℃における粘度は3200ポイ
ズであり、100℃で24時間放置した後の原液の粘度
は架橋反応の進行により5100ポイズに増大してお
り、粘度増大により均一撹拌が困難であった。そして得
られた乾燥糸はその断面形状がドッグボーン型であっ
た。次に室温(18℃)で延伸を行ったが、単繊維切断
のため2.5倍の延伸しか安定に行えず、これを一旦巻
き上げたあと、40℃の雰囲気温度で3時間の真空乾燥
を行った。これを240℃の雰囲気中で乾熱延伸を行っ
たが、3.9倍の延伸しかできず、得られた繊維の単繊
維物性も繊度7.0デニール、強度8.1g/d、伸度
7.2%と低いものであった。
【0042】(比較例2)アンモニア水溶液の代わりに
水酸化ナトリムを溶解した水溶液を滴下した以外は実施
例3と同一条件で紡糸を行った。得られた原液の80℃
における粘度は2500ポイズであり、100℃で24
時間放置した後の原液の粘度はポリマ分子鎖の切断によ
り2100ポイズに低下してしまっていた。そして得ら
れた乾燥糸は脱溶媒速度が遅く、繊維含有水分率が高
く、単繊維間接着が観察された。
【0043】次に室温(18℃)で延伸を行ったが、単
繊維間接着が多く見られ3.4倍の延伸しか行えず、こ
れを一旦巻き上げたあと、40℃の雰囲気温度で3時間
の真空乾燥を行った。これを240℃の雰囲気中で乾熱
延伸を行ったが、4.0倍の延伸しかできず、得られた
繊維の単繊維物性も繊度4.2デニール、強度10.2
g/d、伸度6.5%と低いものであった。
【0044】(比較例3)ポリアクリル酸の代わりに重
合度400のポリアクリル酸ナトリウムを用いて、アン
モニア水溶液を滴下しない以外は実施例3と同一条件で
紡糸を行った場合、ポリアクリル酸ナトリウムを加えた
溶液の20℃でのpH値は7.0で、得られた原液の8
0℃における粘度は2550ポイズであった。そして、
脱溶媒が非常に困難で、そのあと繊維として扱うことが
できなかった。
【0045】
【発明の効果】本発明によれば、原液の熱安定性、紡糸
安定性、凝固後の延伸性の向上といった効果が発揮さ
れ、耐疲労性や耐熱水性に優れたPVA系繊維が容易に
工業的規模で得ることができる。そして、タイヤコー
ド、ベルト、ホースなどのゴム補強用、ロープ、FR
P、FRC用途など産業資材用途で顕著な効果を発揮で
きる。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】水、アクリル酸系重合体および水酸化アン
    モニウムからなり、20℃におけるpH値を6.0〜
    8.5とした混合溶媒にポリビニルアルコールを溶解
    し、20℃におけるpH値を6.0〜8.5としたポリ
    ビニルアルコール溶液を紡糸原液とすることを特徴とす
    るポリビニルアルコール系繊維の製造法。
JP30904794A 1994-12-13 1994-12-13 ポリビニルアルコール系繊維の製造法 Pending JPH08158149A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP30904794A JPH08158149A (ja) 1994-12-13 1994-12-13 ポリビニルアルコール系繊維の製造法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP30904794A JPH08158149A (ja) 1994-12-13 1994-12-13 ポリビニルアルコール系繊維の製造法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH08158149A true JPH08158149A (ja) 1996-06-18

Family

ID=17988239

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP30904794A Pending JPH08158149A (ja) 1994-12-13 1994-12-13 ポリビニルアルコール系繊維の製造法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH08158149A (ja)

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN102787373A (zh) * 2012-09-12 2012-11-21 上海会博新材料科技有限公司 一种连续制备对位芳纶聚合用复合溶剂的生产装置
EP1358272B2 (en) 2000-09-05 2020-07-15 Donaldson Company, Inc. Filter structure comprising polymer nanofibers
JP2020204104A (ja) * 2019-06-17 2020-12-24 株式会社クラレ ポリビニルアルコール系繊維及びその製造方法

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
EP1358272B2 (en) 2000-09-05 2020-07-15 Donaldson Company, Inc. Filter structure comprising polymer nanofibers
CN102787373A (zh) * 2012-09-12 2012-11-21 上海会博新材料科技有限公司 一种连续制备对位芳纶聚合用复合溶剂的生产装置
JP2020204104A (ja) * 2019-06-17 2020-12-24 株式会社クラレ ポリビニルアルコール系繊維及びその製造方法

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JPH0611927B2 (ja) 高強度、高弾性率ポリビニルアルコ−ル系繊維およびその製造法
JPH0627366B2 (ja) ポリビニルアルコール系繊維、該繊維からなるタイヤコード並びにそれらの製造法
JPS63120107A (ja) 耐熱水性に優れた高強度・高弾性率ポリビニルアルコ−ル系繊維およびその製造法
JPH08158149A (ja) ポリビニルアルコール系繊維の製造法
JPH01156517A (ja) 耐熱水性に優れた高強度・高弾性率ポリビニルアルコール系繊維およびその製造方法
JP4025742B2 (ja) ポリビニールアルコール架橋繊維及びその製造方法
JPS61108713A (ja) 優れた繊維物性を有するポリビニルアルコ−ル系繊維およびその製造法
JP3364099B2 (ja) 分割性アクリル系合成繊維及びその製造方法
JP3067056B2 (ja) 高強度ポリビニルアルコール系繊維及びその製造方法
JP2856837B2 (ja) ポリビニルアルコール系繊維およびその製造法
JP2927304B2 (ja) ポリビニルアルコール系合成繊維の製造法
JPH06212513A (ja) 高強度ポリビニルアルコール系繊維の製造法
JPH06235117A (ja) 高強度ポリビニルアルコール系繊維の製造法
JPS61215708A (ja) マルチフイラメントヤ−ンの製造方法
JP2905545B2 (ja) 耐熱水性にすぐれた高強度高弾性率ポリビニルアルコール系繊維
JP3316300B2 (ja) 耐久性に優れたポリビニルアルコール系繊維およびその製造法
JPH02216211A (ja) 改良されたポリパラフェニレンテレフタルアミド系繊維の製造法
JP2503092B2 (ja) ポリビニルアルコ―ル系合成繊維の製造方法
JP2765951B2 (ja) 光沢高強度ポリビニルアルコール系繊維およびその製造法
JPH1046428A (ja) ポリビニルアルコ−ル系繊維及びその製造方法
JPH0733604B2 (ja) 結節強度に優れた高強度ポリビニルアルコール系繊維
JPH07305222A (ja) ポリビニルアルコール系繊維の製造法
JPH02251608A (ja) ポリビニルアルコール系繊維の製造法
JPH07189066A (ja) ポリビニルアルコール系カーカス用タイヤコードの製造方法
JP4774518B2 (ja) ポリビニルアルコール系繊維の製造法