JP2888502B2 - 耐熱水性に優れた高強度ポリビニルアルコール系繊維の製造法 - Google Patents

耐熱水性に優れた高強度ポリビニルアルコール系繊維の製造法

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JP2888502B2 JP26843391A JP26843391A JP2888502B2 JP 2888502 B2 JP2888502 B2 JP 2888502B2 JP 26843391 A JP26843391 A JP 26843391A JP 26843391 A JP26843391 A JP 26843391A JP 2888502 B2 JP2888502 B2 JP 2888502B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、セメントやゴムの補強
材などの分野において有用な耐熱水性に優れた高強力ポ
リビニルアルコール(以下PVAと略記)系繊維の製造
法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、汎用ポリマー繊維の中でPVA系
繊維は、ポリエステル、ポリアミド、ポリアクリロニト
リル系繊維などに比べ強度、弾性率が高く、漁網、ロー
プなどの産業資材用としてはもちろん、セメント、ゴム
などの補強材用などに実用化されている。
【0003】近年、汎用ポリマーであるポリエチレンに
おいて、超高分子量の原料をゲル紡糸し超延伸すること
により、高強力高弾性率繊維が得られることが報告され
ている。しかしポリエチレン自体が低融点で耐熱性が不
十分であること及び補強用繊維としてはマトリックスと
の接着性が悪い欠点を有している。
【0004】そこで他の汎用ポリマーにおいてもゲル紡
糸超延伸の手法を用いて高強力高弾性率化の試みがなさ
れている。中でもPVAは、エチレンと同じ平面ジグザ
グ構造を有し、しかも活性な水酸基を有するため、分子
間水素結合を作り易く、高強力、高弾性率、高耐熱性、
高接着性の繊維を得る可能性があり、例えば特開昭59
−100710号などが提案されている。これらPVA
繊維は市販のPVA繊維に比べると高強力、高弾性率と
なっているが、PVA繊維の欠点である耐熱水性に対す
る改良は不十分である。
【0005】そこで高強力PVA系繊維の耐熱水性を改
善する提案がなされている。例えば特開昭63−120
107号、特開平1−156517号、特開平2−84
587号、特開平2−133605号などである。しか
し、これらは強度、弾性率、工業的生産性、安全性の点
について満足しうる提案はなされていない。我々も特願
平2−249476号、特願平2−280732号を提
案しているが、耐熱水性のさらなる改良が望まれてい
る。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】従って本発明は、セメ
ントやゴムの補強材などに有用な耐熱水性と強度の両性
能ともに優れたPVA繊維を安価に得んとしたものであ
る。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは上記課題を
追求し、後述する如く、架橋剤付着原糸を所定の条件で
2段で熱延伸することにより、耐熱水性と強度の両性能
とも優れ、しかも安価に製造しうることを認め、本発明
に至ったものである。すなわち本発明は、「平均重合度
1700以上のPVAを溶解した紡糸原液を、PVAに
対して凝固作用もしくはゲル化作用を有する有機溶媒系
もしくは水系固化浴に湿式もしくは乾湿式紡糸し、しか
る後溶媒を抽出もしくは乾燥させ、得られた紡糸原糸
に、全延伸倍率が15倍以上になるような乾熱延伸を行
って、PVA系繊維を製造するに際して、乾熱延伸工程
に至るまでの紡糸原糸中もしくは/および表面に、PV
Aの架橋剤を付与しておき、該架橋剤付与原糸に、第一
段熱処理は220〜260℃で2〜8倍の熱延伸を行
い、第二段熱処理は第一段熱処理より2〜10℃高温と
し、延伸倍率1.02〜1.10倍の熱延伸を行うこと
を特徴とするPVA系繊維の製造法。」である。
【0008】以下本発明を具体的に説明する。本発明に
用いるPVAの重合度は特に限定されるものではない
が、1700以上で、より高重合度のPVAを用いると
強度、耐熱水性とも優れるので好ましい。本発明の如
く、架橋剤を含有する原糸を熱延伸により架橋させる場
合、高重合度PVA程耐熱水性向上効果も大きいので、
30℃水溶液の粘度より求めた平均重合度が3000以
上であるとより好ましい。平均重合度が7000以上で
あると未架橋糸の耐熱水性が良好である上、架橋による
耐熱水性向上効果も大きいのでさらに好ましい。
【0009】本発明に用いるPVAのケン化度も特に限
定されるものではないが、98モル%以上が好ましく、
99モル%以上であるとさらに好ましい。99.7モル
%以上であると耐熱水性が優れるので特に好ましい。ま
た用いるPVAは、他のビニル基を有するモノマー、例
えばエチレン、イタコン酸、アクリル酸類、アクリル酸
エステル類などのモノマーを20モル%以下の比率で共
重合したPVA系ポリマーであってもよい。
【0010】本発明に用いるPVAの溶媒は、ジメチル
スルホキシド(以下DMSOと略記)、グリセリン、エ
チレングリコール、ジメチルホルムアミド、ジメチルイ
ミダゾリジノン、水、ロダン塩水溶液などの溶媒及びこ
れらの溶媒同志の混合溶媒などがあげられる。
【0011】PVAに溶媒を加えて加熱攪拌して紡糸原
液とするが、この際目的に応じて各種添加剤を加えても
よい。ポリアクリル酸、ポリイタコン酸、スルホン酸系
コポリマーなどの高分子酸など本発明にいう架橋剤を紡
糸原液に添加してもよい。繊維内部まで均一な架橋を施
すためには架橋剤を原液添加することが好ましい傾向に
ある。その他酸化チタンなどの陰ぺい剤や顔料などの着
色剤、重合度低下防止剤などを目的に応じて強度や耐熱
水性を阻害しない程度、例えば5%/PVA以下原液に
添加してもよい。
【0012】得られた紡糸原液をノズルを通してメタノ
ール、エタノール、アセトンなどPVAに対して凝固作
用を示す有機溶媒を主体とする固化浴あるいは芒硝、苛
性ソーダなどの水系固化浴に湿式あるいは乾湿式紡糸す
る。均質な固化糸篠を得るためには、20℃以下の凝固
性有機溶媒を主体とする固化浴に湿式あるいは乾湿式紡
糸することが好ましい。凝固浴温度を10℃以下とする
と、より均質な固化糸篠を容易に得ることができるので
さらに好ましい。なお、所謂ゲル化紡糸は冷却のみで固
化する系であり、通常一旦空気中に押し出すものであ
り、本明細書ではこのゲル紡糸も乾湿式紡糸としてい
る。
【0013】固化浴にて固化した糸篠は湿延伸と溶媒抽
出を行う。湿延伸は大気中あるいは抽出浴中で2〜6倍
行う。溶媒抽出は固化浴と同じ凝固性有機溶媒に糸篠を
接触させ、原液溶媒を抽出する。溶媒抽出後、硬着防
止、集束性向上、延伸性向上のため油剤を付与し、50
〜140℃で乾燥する。
【0014】本発明においては、耐熱水性向上のため、
乾熱延伸前に架橋剤を含有させねばならない。本発明に
いう架橋剤とは熱処理により、PVAが架橋するものな
ら特に限定はない。PVA同志の架橋反応の触媒となる
ものや、PVAと反応して架橋化させるものなどがあ
る。例えば硫酸、塩酸、リン酸、ポリリン酸などの無機
酸、酢酸、イタコン酸、アルキルスルホン酸、アルキル
りん酸、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸などの有機
酸、リン酸アンモン、リン酸第1ナトリウム、硫安など
の酸性物質、アルキルリン酸エステルのアミン中和物な
ど熱分解により酸性物質に変化する物質、各種過酸化
物、各種エポキシ化合物、各種イソシアネート化合物な
どが包含される。架橋剤は架橋密度や架橋分布(表面架
橋か内部架橋か)などの目的に応じて選定すべきであ
る。一般的にはPVAに対する熱分解反応と架橋反応の
バランス及び不揮発性の点で無機酸の中ではりん酸が好
ましい。
【0015】架橋剤の付与方法としては、前述の如くポ
リカルボン酸を原液に添加する方法、固化浴及び/また
は抽出浴に架橋剤を添加し、固化あるいは抽出時に付与
する方法、油剤浴に添加する方法、さらに一旦乾燥後架
橋剤を繊維表面に付与する方法などがある。繊維内部ま
で均一に付与したい場合は、原液あるいは固化浴、抽出
浴に添加することが好ましい場合が多く、繊維表面に優
先的に付与したい場合は紡糸油剤浴かあるいは更に好ま
しくは一旦乾燥後架橋剤を繊維表面に付与することによ
り達成される。
【0016】架橋剤の含有量は、酸性物質においてはそ
の酸度や後述の熱処理条件(温度、滞留時間)によって
大きく変更する必要がある。例えば強酸の塩酸では1〜
50ppm、りん酸では20〜1000ppm、長鎖ア
ルキルリン酸では0.1〜5%の範囲が好ましい。また
高温及び/或いは滞留時長く熱処理する場合は架橋剤含
有量は少な目が好ましい。エポキシ化合物やイソシアネ
ート化合物では0.5〜10%の範囲が好ましい。
【0017】架橋剤含有紡糸原糸を熱処理することによ
り、PVAを配向結晶化させると同時に、架橋をさせね
ばならない。この熱処理を2段で行ない、第1段は22
0〜260℃で2〜8倍熱延伸し、第2段は第1段より
0〜20℃高温で1.001〜1.200倍熱延伸する
ことが本発明のポイントである。第1段延伸温度が22
0℃未満では分子を配向結晶化が充分には起こらず、低
強度低耐熱水性のものしか得られない。260℃を越え
るとPVAが分解したり、分子鎖がフローするので満足
な性能が得られない。好適な延伸温度はPVAの重合度
によって異なり、例えば重合度1700では220〜2
45℃、重合度8000では235〜255℃である。
第1段での熱延伸倍率が2倍未満では配向結晶化が充分
起こらず、低強度、低耐熱水性のものしか得られない。
8倍を越えて延伸すると毛羽や捲付が多発し、工程安定
性が悪く、糸斑が大きい。第1段延伸温度は温度勾配
(例えば第1炉150℃〜180℃、第2炉170〜2
10℃、第3炉220〜260℃)をつけて多段延伸す
ることが好ましい。温度勾配をつけた場合本発明の炉温
は最高炉温で定義される。第1段での好ましい延伸倍率
は、紡糸原糸段階での湿延伸倍率によっても異なるが、
3〜6倍であり、断糸倍率の0.7〜0.95掛けで実
施すると好ましい場合が多い。さらに好ましい第1段熱
延伸倍率は3.5〜5倍である。第1段熱延伸は、PV
Aの配向及び結晶化の大部分がなされ、繊維の強度が決
定づけられる重要な工程である。架橋もこの工程で行わ
れるが、PVA分子鎖の配向結晶化が第一義的に配慮さ
れる。すなわち第1段熱延伸は配向結晶化が最適となる
よう延伸温度、延伸倍率が設定され、この延伸条件で好
適な架橋となるよう、架橋剤の種類や含有量を設定する
ことが好ましい。
【0018】第1段熱処理は前述の如くPVAの配向結
晶化が第一義であり、耐熱水性を改善するための架橋を
満足に行うことが困難である。そこで耐熱水性、耐熱性
改善のために強度を低下させずに架橋させる方法を検討
し、本発明に達した。すなわち、第1段熱処理に続い
て、第1段熱処理温度より2〜10℃高温で、延伸倍率
1.02〜1.10倍の第2段熱処理を行うことであ
る。第2段熱処理温度が第1段より低いと架橋が不充分
となり、目的を達成することができない。第1段より2
0℃を越える高い熱処理温度では熱分解による悪影響が
支配的となり強度が低下する。より好ましい第2段熱処
理温度は第1段のそれより2〜10℃高温であり、本発
明では、この好適条件を用いる。第2段の延伸倍率が
1.001倍未満であると、第2段熱処理時繊維の張力
が0.1g/d以下となり、特に本発明の如く架橋剤を
含有している系では強力の低下が大きくなる。架橋剤を
含んでいない通常繊維の場合、第1段で熱延伸後、第2
段は3〜20%の熱収縮を施すことはよく行われている
が、これは熱延伸で緊張した分子鎖を緩和させるために
行うもので、切断伸度の増大及びタフネスの増大をはか
るもので、高強力、高弾性率繊維では熱収縮により強力
および弾性率ともに低下するので殆ど実施されていな
い。本発明では、強力低下を抑えつつ架橋を充分に行わ
せることを意図して、高温で張力が0.1g/d以上と
なるように僅かな延伸を行う第2段熱処理を施すことが
キーポイントである。第2段熱処理での延伸倍率が1.
20倍を越えると、毛羽の発生など糸斑が大きくなる
し、強度も却って低下することが多いので好ましくな
い。より好ましい第2段での延伸倍率は1.02〜1.
10倍であり、本発明ではこの好適延伸倍率を用いる。
【0019】以上の如く本発明は、架橋剤を含有させた
紡糸原糸を、PVA分子鎖の配向結晶化を第一義とした
第1段熱処理と、第1段熱処理に続いて僅かな延伸を施
こしながら高強力下で高温熱処理する第2段熱処理とを
組み合わせることが重要なポイントであり、これによ
り、PVA分子鎖の配向結晶化を乱さずに架橋を促進す
ることが可能となり、高強度を維持しながら、架橋によ
る耐熱水性の向上を可能ならしめたものである。さらに
本発明では従来の未架橋繊維の製造工程を変更したり、
追加したりすることなく条件の変更のみで架橋をさせ、
耐熱水性を向上させることが可能であり、工業的に安価
である点も特徴である。
【0020】
【発明の効果】従来の架橋によるPVA繊維の耐熱水性
改良方法は、繊維製造工程中に架橋するのではなく、延
伸後の製品を別工程の後処理によって架橋する方法であ
ったり、あるいは繊維製造工程内に組み入れられた架橋
法の場合は配向結晶化と架橋を同時に行なうため強度と
耐熱水性のバランスがとりにくかったのに対し、本発明
の架橋処理法では、繊維工程内に組み入れ、かつ配向結
晶化を主体とする第1段熱処理と僅かに延伸しながら高
強力下での高温熱処理による架橋処理を主体とする第2
段熱処理とを組み合わせることにより、繊維製造工程内
処理でもPVAの配向結晶化を乱さずに架橋を促進する
ことが可能となり、これにより高強度と高耐熱水性を兼
備する繊維を安価に製造することが可能となったもので
ある。従って本発明によって得られた高強度PVA繊維
は、パラ系アラミド繊維など他の高強度繊維や従来の高
強度PVA繊維に比べてコストパーフォーマンスに優れ
ており、セメントやプラスチックなどの補強材分野や、
タイヤ、ホースなどのゴム資材分野に広く有効に用いる
ことができる。特にオートクレーブ養生のスレート板の
補強用繊維の如く、高強度、耐アルカリ性、耐熱水性の
いずれの性能も優れることが必須である用途に対しては
極めて有用である。
【0021】
【実施例】以下実施例により具体的に説明するが、本発
明はこれら実施例に限定されるものではない。
【0022】実施例1: 粘度平均重合度4000、ケ
ン化度99.9モル%のPVAを濃度9重量%となるよ
うにDMSOに添加し、80℃にて窒素雰囲気で溶解し
た。得られた紡糸原液を孔径0.14mm、孔数400
のノズルを通して5℃のメタノール/DMSO=70/
30(重量比)よりなる固化浴中に湿式紡糸した。
【0023】得られた固化糸を固化浴と同じメタノール
/DMSO組成の第2浴に浸漬した。次いで40℃のメ
タノール浴中にて4倍の湿延伸を行ない、さらに20℃
のメタノール浴でDMSOを抽出し、次いでりん酸20
0ppmを含むメタノール浴に浸漬し、その後100℃
の熱風で乾燥した。このようにしてりん酸450ppm
(対PVA)を含有する紡糸原糸を得た。
【0024】この紡糸原糸を第1炉180℃、第2炉2
00℃、第3炉235℃の温度勾配を有する熱風延伸炉
中で5倍の第1段熱延伸を行ない、次いで238℃の第
4炉中で1.03倍の第2段熱延伸を行なった。この時
第1段熱延伸の炉内滞留時間は合計55秒であり、第2
段熱延伸でのそれは31秒であった。
【0025】得られた延伸糸は1480d/400fで
あり、紫系統の色相をしており、熱延伸中にりん酸が触
媒となって脱水架橋反応が起こっていると推定された。
ヤーンの強度は18.3g/dであった。またこの繊維
を0.2g/dの荷重下オートクレーブ中の熱水に浸漬
し、1℃/minで昇温した時に錘りが落下する熱水溶
断温度を測定したところ179℃と優れた耐熱水性を示
した。なお第1段熱延伸後繊維の強度は18.6g/d
であり、熱水溶断温度は155℃であった。これより、
第2段熱延伸は強度低下を押さえて耐熱水性を向上させ
ることがわかった。
【0026】比較例1: 実施例1の第2段延伸倍率
1.03倍を熱収縮5%とする以外は実施例1と同様に
行なった。得られた繊維のヤーン強度は16.8g/d
と実施例1に比べて低強度であった。
【0027】比較例2: 実施例1の第2段熱延伸温度
を232℃とする以外は実施例1と同様に行なった。強
度は18.4g/dとあまり変わらなかったが、熱水溶
断温度が168℃と実施例1に比べて耐熱水性の向上効
果が充分でなかった。
【0028】実施例2: 粘度平均重合度8000、ケ
ン化度99.8モル%のPVAを濃度65%となるよう
DMSOに添加し、90℃にて窒素雰囲気で溶解した。
得られた紡糸原液を孔径0.15mm、孔数500のノ
ズルを通して2℃のメタノール/DMSO=68/32
よりなる固化浴中に湿式紡糸した。
【0029】得られた固化糸を固化浴と同じメタノール
/DMSO組成の第2浴に浸漬後、40℃のメタノール
浴にて4.5倍の湿延伸を行ない、さらに20℃のメタ
ノールでDMSOを抽出し、80℃で乾燥した。なお凝
固浴〜抽出浴に至る全ての浴に200ppmのりん酸を
加えた。このようにしてりん酸480ppmを含有する
紡糸原糸を得た。
【0030】この紡糸原糸を第1炉150℃、第2炉1
80℃、第3炉243℃の温度勾配を有する熱風延伸炉
中で4.3倍の第1段熱延伸を行ない、次いで247℃
の第4炉中で1.05倍の第2段熱延伸を行なった。
【0031】得られた延伸糸は1520d/500fで
あり、紫系統の色相をしており、ヤーン強度は20.3
g/dと優れており、かつ熱水溶断温度は180℃以上
と高かった。またこの繊維をオートクレーブ中165℃
の熱水に定長で1時間浸漬後取り出して乾燥後の強度は
18.3g/dと優れており、スレート板の165℃オ
ートクレーブ養生の補強材として使用しうる可能性を示
した。
【0032】なお、本実施例において、第1段熱延伸倍
率が1.8倍ではヤーン強度が10g/d以下のものし
か得られず、熱延伸倍率8.5倍は断糸した。また第1
段延伸温度(第1段延伸での最高炉温)が220℃以下
では正常延伸が不可能であり、260℃以上では熱分解
が激しく脆い繊維しか得ることができなかった。
【0033】実施例3: 粘度平均重合度7500、ケ
ン化度99.7モル%のPVAを濃度7%となるようD
MSOに添加し、90℃にて窒素雰囲気で溶解した。得
られた紡糸原液を孔径0.15mm、孔数400のノズ
ルを通して0℃のメタノール/DMSO=65/35よ
りなる固化浴中に湿式紡糸した。
【0034】得られた固化糸を固化浴と同じメタノール
/DMSO組成の第2浴に浸漬後、40℃のメタノール
浴にて4.0倍の湿延伸を行ない、さらにリン酸50p
pmを含有する20℃のメタノール浴でDMSOを抽出
し、次いで長鎖アルキルリン酸モノエステル1.0%を
含有する油剤浴に接触させ120℃の熱風で乾燥した。
このようにしてリン酸110ppmと長鎖アルキルリン
酸モノエステル0.2%を含有する紡糸原糸を得た。
【0035】この紡糸原糸に長鎖アルキルリン酸モノエ
ステルをローラータッチ方式で付着させ、合計の長鎖ア
ルキルリン酸モノエステルの含有量を0.5%として8
0℃の熱ローラーで乾燥後、第1炉160℃、第2炉1
80℃、第3炉240℃の温度勾配を有する熱風延伸炉
で3.8倍の第1段熱延伸を行ない、次いで245℃の
第4炉で1.02倍の第2段熱延伸を行なった。この時
の第1段熱延伸の炉内全滞留時間は42秒であり、第2
段熱延伸のそれは5秒であった。
【0036】得られた延伸糸は1200d/400fで
あり、紫系統の色相をしており、ヤーン強度は21.2
g/dと優れており、熱水溶断温度も180℃以上と優
れていた。本実施例で得られたPVA架橋繊維は表面の
架橋密度が高く、高温高湿で繊維同志が圧着されても膠
着し難く、従来のPVA繊維の短所が著しく改良されて
いた。
【0037】実施例4: 粘度平均重合度4070、ケ
ン化度99.8モル%のPVAを濃度11%となるよう
グリセリンに添加し、窒素置換を十分に行なった後18
0℃で窒素雰囲気下溶解した。得られた紡糸原液を孔径
0.16mm、孔数100のノズルより、5mmの空気
層を通して、−5℃のメタノール/グリセリン=85/
15よりなる固化浴に乾湿式紡糸をした。
【0038】得られた固化糸を40℃のメタノール浴で
4倍湿延伸した後0℃のメタノール浴でで抽出し、さら
に20℃のメタノール浴で抽出後油剤を付与して80℃
で乾燥した。この際20℃のメタノール浴に炭素数15
〜17よりなるアルキルを有するリン酸エステルのエタ
ノールアミン中和物を0.6%添加し、長鎖アルキルリ
ン酸エステルのアミン中和物を1.2%含有する紡糸原
糸を得た。
【0039】この紡糸原糸を第1炉180℃、第2炉2
00℃、第3炉238℃の熱風延伸炉中で5.2倍の第
1段熱延伸を行ない、次いで241℃の第4炉中で1.
02倍の第2段熱延伸を行なった。この時第1段熱延伸
の炉内滞留時間の合計は63秒であり、第2段熱延伸の
それは37秒であった。
【0040】得られた延伸糸のヤーン強度は17.9g
/dであり、熱水溶断温度は180℃以上を示し、重合
度4000のPVAとしては強度、耐熱水性とも満足す
べき性能を示した。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平4−240207(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) D01F 6/14

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】平均重合度1700以上のポリビニルアル
    コールを溶解した紡糸原液を、ポリビニルアルコールに
    対して凝固作用もしくはゲル化作用を有する有機溶媒系
    もしくは水系固化浴に湿式もしくは乾湿式紡糸し、しか
    る後溶媒を抽出もしくは乾燥させ、得られた紡糸原糸
    に、全延伸倍率が15倍以上になるような乾熱延伸を行
    って、ポリビニルアルコール系繊維を製造するに際し
    て、乾熱延伸工程に至るまでの紡糸原糸中もしくは/お
    よび表面に、ポリビニルアルコールの架橋剤を付与して
    おき、該架橋剤付与原糸に、第一段熱処理は220〜2
    60℃で2〜8倍の熱延伸を行い、第二段熱処理は第一
    段熱処理より2〜10℃高温とし、延伸倍率1.02〜
    1.10倍の熱延伸を行うことを特徴とするポリビニル
    アルコール系繊維の製造法。
  2. 【請求項2】第一段熱処理を、第1炉が150〜200
    ℃とし、最終炉が225〜255℃として温度勾配をつ
    け第一段での全延伸倍率が3〜6倍である請求項1に記
    載のポリビニルアルコール系繊維の製造法。
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