JPH10310930A - 架橋ポリビニルアルコール系繊維の製造方法 - Google Patents

架橋ポリビニルアルコール系繊維の製造方法

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JPH10310930A
JPH10310930A JP11554797A JP11554797A JPH10310930A JP H10310930 A JPH10310930 A JP H10310930A JP 11554797 A JP11554797 A JP 11554797A JP 11554797 A JP11554797 A JP 11554797A JP H10310930 A JPH10310930 A JP H10310930A
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fiber
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pva
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JP11554797A
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Hirofumi Sano
洋文 佐野
Toshimi Yoshimochi
駛視 吉持
Hideki Kamata
英樹 鎌田
Takashi Oku
貴至 奥
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Kuraray Co Ltd
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Kuraray Co Ltd
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    • C04CEMENTS; CONCRETE; ARTIFICIAL STONE; CERAMICS; REFRACTORIES
    • C04BLIME, MAGNESIA; SLAG; CEMENTS; COMPOSITIONS THEREOF, e.g. MORTARS, CONCRETE OR LIKE BUILDING MATERIALS; ARTIFICIAL STONE; CERAMICS; REFRACTORIES; TREATMENT OF NATURAL STONE
    • C04B16/00Use of organic materials as fillers, e.g. pigments, for mortars, concrete or artificial stone; Treatment of organic materials specially adapted to enhance their filling properties in mortars, concrete or artificial stone
    • C04B16/04Macromolecular compounds
    • C04B16/06Macromolecular compounds fibrous
    • C04B16/0616Macromolecular compounds fibrous from polymers obtained by reactions only involving carbon-to-carbon unsaturated bonds
    • C04B16/0641Polyvinylalcohols; Polyvinylacetates

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Abstract

(57)【要約】 【課題】ポリビニルアルコール系繊維の強度・伸度の低
下を抑え、耐湿熱性に有効な架橋を繊維内部まで十分生
じさせる。 【解決手段】アセタール架橋剤を含有するPVA系繊維
を硫酸水溶液で処理して該架橋剤を反応させて架橋結合
を形成する方法において、硫酸の水溶液に無機塩化物を
添加し、繊維を膨潤させて、架橋をスムーズに進行させ
ると共に強度低下を抑える。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、耐湿熱性と高強
度、高タフネスが要求されるセメント、ゴム、プラスチ
ックなどの補強材やロープ、漁網、テント、土木シート
などの一般産業資材に有効な架橋ポリビニルアルコール
(以下PVAと略す)系繊維を製造する方法に関するも
のである。
【0002】
【従来の技術】従来PVA系繊維は強度、弾性率、耐候
性、耐薬品性、接着性などの点でポリアミド、ポリエス
テル、ポリアクリロニトリル系繊維に比べて優れてお
り、産業資材分野を中心に独自の用途を開拓してきた。
しかしながらPVA系繊維は耐湿熱性に乏しく、用途が
制限される欠点を有していた。PVA系繊維の耐湿熱性
を改良しようとする試みは古くからなされて来た。たと
えば、特公昭30−7360号公報や特公昭36−14
565号公報にはホルマリンを用い、PVAのOH基と
ホルマリンにより架橋反応(ホルマール化)して疎水化
して、染色や洗濯に耐え得るPVA系繊維が記載されて
いる。しかし、これらの繊維は強度が低すぎたり、耐熱
水性が不十分のため、高温では溶解したり、繊維の収縮
や膠着を生じる問題があった。
【0003】一方、特開平2−133605号公報や特
開平1−207435号公報には、アクリル酸系重合体
をPVAにブレンドするか又は繊維表面を有機系過酸化
物やイソシアネート化合物、ウレタン系化合物、エポキ
シ系化合物などで架橋せしめ、耐湿熱性を高める方法が
記述されている。しかしアクリル酸系重合体はPVAの
OH基とエステル結合を形成するため加水分解し易く、
その効果を失うこと、及び他の架橋剤は主として繊維表
面のみの架橋であるため、セメント補強材のようにショ
ートカットした場合は繊維の内部から膨潤、溶解が起こ
るなどの問題点を抱えていた。他に、酸を用いて脱水架
橋により耐湿熱性を向上させる方法が特開平2−845
87号公報や特開平4−100912号公報などで公知
であるが、本発明者らが追試したところ繊維内部まで架
橋させようとするとPVA繊維の分解が激しく起こり繊
維強度の著しい低下を招き、問題であった。
【0004】一方、ジアルデヒド化合物又はそれのアセ
タール化合物による架橋は特開平5−163609号公
報、特開平5−263311号公報、特開平8−218
271号公報などに開示され、高倍率に乾熱延伸したあ
と酸処理により繊維内部に架橋を生じさせることが記載
されている。これらの方法では、確かに繊維内部まで架
橋が進み易く、耐湿熱性は向上するが、それと共に強度
・伸度やタフネスが低下し、耐衝撃性や寸法安定性ある
いは耐久性のあるものは得難いという問題点があった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】以上の背景を踏まえ
て、本発明者らは繊維の強度・伸度の低下を抑え、いか
に耐湿熱性に有効な架橋を繊維内部まで十分生じさせる
かについて鋭意検討を重ねた結果、酸架橋処理におい
て、PVA系繊維を膨潤させ内部架橋を容易にさせるこ
とが有効と判り、本発明に至ったものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明は、アセタール架
橋を生じる架橋剤を含有するPVA系繊維を酸処理して
架橋反応させる方法において、酸処理液として、無機塩
化物を0.1〜10重量%含有する60〜90℃の硫酸
水溶液を用い、該水溶液によりPVA系繊維を10分以
上処理することを特徴とする架橋PVA系繊維の製造方
法である。すなわち本発明は、アセタール架橋を生じる
架橋剤を含有するPVA系繊維を酸処理して架橋するに
際し、膨潤剤である無機塩化物を硫酸水溶液に添加し、
強伸度低下を少なくして繊維内部まで架橋させることに
より、高強度かつ高タフネスで耐湿熱性に優れたPVA
系繊維を得る方法に関するものである。
【0007】以下、本発明の内容をさらに詳細に説明す
る。本発明に言うPVA系ポリマーとは粘度平均重合度
が1500以上のものであり、ケン化度が98.5モル
%以上、好ましくは99.0モル%以上で分岐度の低い
直鎖状のものである。PVA系ポリマーの平均重合度が
高いほど、分子鎖同士が連結する点が多く、高強度かつ
高耐熱水性の繊維が得られ易く、好ましくは粘度平均重
合度が3000以上のPVA系ポリマーである。
【0008】このようなPVA系ポリマーを溶剤に溶解
した紡糸原液を紡糸口金から吐出してPVA系ポリマー
溶液中の溶剤を除去し、繊維とするのであるが、PVA
系ポリマーの溶剤としては、例えばグリセリン、エチレ
ングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレング
リコール、ブタンジオールなどの多価アルコール類やジ
メチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド、ジエチレ
ントリアミン、水、ロダン塩/水、プロパノール/水及
びこれら2種以上の混合溶剤などが挙げられる。なかで
も、高強力かつ高伸度の繊維が得られやすいことからジ
メチルスルホキシドがもっとも適している。また、PV
A系ポリマーを溶剤で溶解する際に、ホウ酸、界面活性
剤、分解抑制剤、染料、顔料を添加しても支障ないが、
紡糸性や延伸性を阻害させるものは好ましくない。
【0009】PVA系ポリマーを溶剤に溶解して得られ
た紡糸原液は、常法により湿式、乾式、乾湿式のいずれ
かの方法で紡糸口金(ノズル)より吐出され繊維化され
る。湿式及び乾湿式紡糸では、凝固浴にて固化させ繊維
化させるが、その際の凝固剤(凝固浴液)としてはメタ
ノール、エタノールなどのアルコール類やアセトン、メ
チルエチルケトン、メチルブチルケトンなどのケトン
類、さらには、アルカリ水溶液、アルカリ金属塩水溶液
などのいずれか又はこれら2種以上の混合液でも良い。
凝固における溶剤抽出をゆっくりさせて均一ゲル構造を
生成させ、網目構造で高強度、高耐熱水性を得るため、
該凝固剤に紡糸原液を構成する溶剤を10〜50重量%
混合させるのが好ましい。さらに凝固浴温度を20℃以
下、特に15℃以下にして吐出液を急冷させるのも均一
ゲル構造を得るのに都合が良い。
【0010】繊維間の膠着を少なくし、その後の乾熱延
伸を容易にするために溶剤を含んだ状態で2倍以上の湿
延伸を行うのが望ましい。次いで繊維を抽出剤浴に浸漬
するかあるいは繊維に抽出剤をリンスして溶剤抽出を行
うが、抽出剤としてはメタノール、エタノール、プロパ
ノールなどの第1級アルコール類やアセトン、メチルエ
チルケトン、ブチルエチルケトンなどのケトン類やジメ
チルエーテル、メチルエチルエーテルなどのエーテル類
および水などが使用できる。続いて必要に応じて、油剤
などを付与し、繊維中に含まれている該抽出剤を乾燥さ
せる。なお乾式紡糸の場合は、抽出剤を使用せず、紡糸
時及び紡糸後に原液中の溶剤を蒸発させて乾燥させる。
【0011】本発明では、アセタール架橋を生じる架橋
剤を原液工程から前記乾燥工程の直前までのいずれかの
工程で含有させ、繊維の内部まで乾燥が進むようにしな
ければならない。乾熱延伸直前又は延伸後に架橋剤を繊
維に付着させても繊維内部まで含有させることは難し
く、本発明の耐湿熱性の優れたPVA系繊維を得ること
は困難である。本発明に言うアセタール化架橋剤とは例
えばグリオキザール、スクシンアルデヒド、マロンアル
デヒド、グルタルアルデヒド、ヘプタンジアール、オク
タンジアール、ノナンジアール、デカンジアール、ドデ
カンジアール、2,4−ジメチルヘプタンジアール、4
−メチルヘキサンジアールなどの脂肪族ジアルデヒド類
やテレフタルジアルデヒド、フェニルマロンジアルデヒ
ドなどの芳香族ジアルデヒド類、さらにはそれらのジア
ルデヒド類とメタノール、エタノール、プロパノール、
エチレングリコール、プロピレングリコールなどのアル
コール類が反応したアセタール化合物類を意味する。な
かでも炭素数7以上のジアルデヒド類あるいはそのアセ
タール化物が優れた耐水性が得られる点で好ましい。
【0012】なお、該ジアルデヒド化合物類を2種以上
混合したりホルマリンと混合することも可能であるが、
好ましくは炭素数7以上のジアルデヒド化合物あるいは
そのアセタール化物を70重量%以上含むのが良い。特
に炭素数7以上の脂肪族又は芳香族ジアルデヒド化合物
はPVA分子鎖間のOH基と反応して、耐熱水性に有効
な分子間架橋を形成し易く、また強度低下も少ない利点
を有する。
【0013】次いで、該架橋剤を含有する紡糸原糸を乾
熱延伸するが、この場合はPVA分子鎖の配向結晶化を
十分起こさせるために220℃以上の温度で総延伸倍率
が14倍以上に延伸するのが好ましい。220℃未満ま
たは総延伸倍率が14倍未満では分子鎖を十分引伸ばす
ことが出来ず、繊維強度が低くなり、かつ結晶化も低い
ため、その後の酸架橋処理で強伸度低下が起こり易い。
なお260℃以上の温度はPVAの分解を伴うので好ま
しくない。
【0014】次に得られた該架橋剤含有の延伸糸を、無
機塩化物を0.1〜10重量%含有する硫酸水溶液を用
いて架橋処理する。本発明において、この際に用いる硫
酸水溶液として、無機塩化物を0.1〜10重量%含有
する硫酸水溶液を用いることが特徴点であり、これによ
り高強度・高タフネスで耐湿熱性の優れたPVA系繊維
を得ることができる。無機塩化物としては、例えばHC
lの他に、NaCl、KCl、CuCl、AgClなど
のいわゆる元素周期表でのアルカリ族又は銅族の元素の
塩化物や、MgCl2、CaCl2、ZnCl2、BaC
2、CdCl2などのアルカリ土族又は亜鉛族の元素の
塩化物、さらにはAlCl3、CrCl3、MnCl2
NiCl2、SnCl2、FeCl3などの金属塩化物が
含まれる。
【0015】硫酸水溶液中の硫酸濃度は0.5〜20重
量%、好ましくは1〜10重量%であり、さらに該無機
塩化物濃度が0.5〜5重量%で、かつ硫酸濃度との和
が15重量%以下が好ましい。硫酸濃度が0.5重量%
未満では架橋が十分に進みずらく、20重量%を越える
と強度低下が大きく、いずれも好ましくない。
【0016】さらに本発明において、硫酸水溶液がホル
マリンを含有している場合には、より一層の耐湿熱性が
達成される。硫酸水溶液がホルマリンを含有する際のホ
ルマリン濃度としては1〜15重量%が好ましく、ホル
マリン濃度が15重量%を越えると、該アセタール架橋
を妨害したり、またはPVA分子間のアセタール架橋が
外れて分子内のホルマール架橋が多くなり、逆に耐湿熱
性の低下を招く。また強度低下も激しくなる。ホルマリ
ン濃度が1〜15重量%でかつ硫酸濃度が0.5〜20
重量%の場合には、該アセタール架橋とホルマール架橋
がPVA分子間で起こり、硫酸のみの場合より耐湿熱性
の優れたものが得られる。
【0017】このように架橋処理を行ったPVA系繊維
を水洗したのち、中和し、さらに水洗し、そして乾燥の
工程を通して該架橋PVA系繊維を得る。このようにし
て得られたアセタール架橋PVA系繊維は、高温オート
クレーブによる水蒸気養生に耐えるものであることか
ら、高強度と耐衝撃性を有するセメントやコンクリート
補強材として優れている。また長期間水や熱にさらされ
て使用する漁網、ロープ、テント、帆布、土木シートな
どの一般産業資材やゴム、プラスチックの補強材などに
も優れた効果を発揮する。
【0018】
【実施例】以下実施例により本発明を具体的に説明する
が、本発明は実施例のみに限定されるものではない。な
お本発明における各種の物性値は以下の方法で測定され
たものである。 1)PVA系ポリマーの粘度平均重合度(PA) PVA系ポリマーを1〜10g/lの濃度になるように
熱水で溶解して得られた溶液の比粘度ηSPをJIS K
−6726に基づき、30℃で測定し、下記式より極
限粘度〔η〕を求め、さらに次式より粘度平均重合度
Aを算出した。 〔η〕=lim(C0)ηSP/c …… PA=(〔η〕×104/8.29)1.613 ……
【0019】2)単繊維の引張強度及び引張伸度及びタ
フネス JIS L−1015に準じ予め調湿された単繊維を試
長10cmになるように台紙に貼り、22℃×65%R
Hに12時間以上放置する。次いでインストロン112
2で2kg用チャックを用い、初荷重1/20g/d、
引張速度50%/minにて破断強度を求め、n≧10
の平均値を採用した。デニールは1/20g/d荷重下
で30cm長にカットし、重量法によりn≧10の平均
値で示した。なおデニール測定後の単繊維を用いて強伸
度を測定し、1本ずつデニールと対応させた。
【0020】3)アセタール化合物の含有量 未架橋延伸糸を100℃以上の重水素化したジメチルス
ルホキシドに溶解せしめNMRよりPVAのCH2基ピ
ークに対する化合物のピーク面積比を算出し含有量を求
めた。 4)人工セメント液での溶出量(CS) 試料約1gを6mmにカットし、加圧容器内で150℃
の人工セメント液(KOH3.5g/l+NaOH0.
9g/l+Ca(OH)2 0.4g/l、pH≒13)
に2時間浸漬したあと、水洗、乾燥して、試料重量の低
下率を求め、溶出量CS(%)を求めた。これを繊維内
部まで架橋が進んでいるか否かの目安にした。
【0021】5)耐オートクレーブ性(スレート板の湿
潤曲げ強度WBSとたわみ量) PVA系合成繊維を4〜8mmの長さに切断し、タッピ
ー式で該繊維2重量部、パルプ3重量部、シリカ38重
量部、セメント57重量部の配合により湿式抄造し、1
0層の積層板を作製する。次いで50℃×20時間1次
養生したのち、160℃×15hr、170℃×15h
r、180℃×10hrでオートクレーブ養生を行い、
厚さ4mmのスレート板を作製する。その後25mm×
70mmの試験片を切り出し、JIS K−6911に
準じて3日間水中に浸漬後、オートグラフを用いて、ス
パン長50mm、圧縮速度2mm/分で曲げ強度(kg
/cm2)とたわみ量(mm)を測定した。
【0022】実施例1及び比較例1 粘度平均重合度が2400でケン化度が99.5モル%
のPVAを濃度14重量%になるように110℃のジメ
チルスルホキシド(DMSO)に溶解し、同時に凍結防
止の為に、メタノールをDMSOに対し、1重量%添加
したあと、得られた溶液を1000ホールのノズルより
吐出させ、メタノール/DMSO=6/4重量比、0℃
の凝固浴で湿式紡糸した。さらに40℃メタノール浴で
3.5倍湿延伸したあとメタノールで該溶剤をほとんど
全部抽出除去した。最後のメタノール抽出浴に1,1,
9,9−ビスエチレンジオキシノナン(BEN)を5重
量%/浴になるように添加し、均一溶液としたあと、繊
維を1.5分間滞留させて、繊維に該アセタール化合物
を含有させ、120℃にて乾燥した。得られた紡糸原糸
を170℃−200℃−230℃の3セクションからな
る熱風炉で全延伸倍率(すなわち湿延伸倍率と乾熱延伸
倍率の積)16.2倍になるように延伸して、BEN含
量4.4重量%の3500d/1000fのマルチイラ
メントを得た。次いでホルマリンを10重量%、硫酸を
8重量%、ZnCl2を2重量%含有する水溶液を添加
し、70℃で30分間架橋処理したあと40℃で湯洗
し、その後0.5規定のNaOH水溶液で50℃にて中
和し、再度40℃で湯洗してから120℃で乾燥した。
得られた繊維の架橋単繊維強度(引張強度)は14.2
g/d、伸度(引張伸度)は4.8%を示し、また架橋
度合を表す150℃×2hr人工セメント液処理後のP
VA溶出量(CS)は8.7%と少なく、高強度・高架
橋性を有していた。また170℃オートクレーブ後のス
レート板曲げ強度WBSは240kg/cm2、たわみ
0.7mmと大きく、高強度で耐衝撃性のあるセメント
補強材であることが判明した。
【0023】比較例1は、上記実施例1の方法において
硫酸水溶液にZnCl2を添加しない場合であるが、架
橋処理時の強伸度低下が大きく、単繊維強度は13.5
g/d、伸度は4.3%に低下した。またCS=10.
9%とやや高く、170℃オートクレーブ後WBS=2
12kg/cm2、たわみ量=0.5mmといずれも実
施例1より性能が劣っていた。
【0024】実施例2及び比較例2 粘度平均重合度が4000でケン化度が99.3モル%
のPVAを濃度10重量%になるようにメタノール1重
量%含有DMSOに溶解したあと、得られた溶液を40
0ホールのノズルより吐出させメタノール/DMSO=
7/3重量比、8℃の凝固浴で湿式紡糸した。さらに4
0℃メタノール浴で4倍湿延伸したあと、メタノールで
該溶剤をほとんど全部抽出除去した。最後のメタノール
抽出浴に1,1,9,9−テトラメトキシノナン(TM
N)を3重量%/浴添加し、繊維に含有させて120℃
で乾燥した。その後、170℃−240℃の2セクショ
ンからなる輻射炉で全延伸倍率(すなわち湿延伸倍率と
乾熱延伸倍率の積)17.6倍になるように延伸し、T
MN含量2.6重量%で1500d/400fのマルチ
イラメントを得た。次いで硫酸4重量%の水溶液にMg
Cl2を4重量%添加し、75℃×20分間架橋処理を
施した。
【0025】このようにして得られた繊維の架橋単繊維
強度は14.9g/d、伸度は4.9%でCS=10.
1%と高強度で耐湿熱性に優れていることが判った。ま
た抄造したのち170℃オートクレーブ処理して得られ
るセメント抄造板のWBSは288kg/cm2、たわ
み量1.0mmといずれも高く、180℃オートクレー
ブ後でもWBSは215kg/cm2、たわみ量0.6
mmを示し、新生瓦の補強材として非常に優れていた。
【0026】比較例2として、実施例2においてMgC
2の添加量を15重量%に変更する以外は実施例2と
同一の方法により架橋繊維を製造した。その結果、強度
が12.7g/dに低下し、かつCSが16.8%に増
大し、実施例2より性能的に見劣りするものであった。
【0027】実施例3 粘度平均重合度が1700でケン化度が99.2モル%
のPVAを濃度18重量%になるようにメタノール1重
量%含有DMSOに溶解し、1万ホールのノズルより吐
出させて、メタノール/DMSO=6/4重量比、10
℃の凝固浴で湿式紡糸した。さらに45℃のメタノール
浴で3倍湿延伸したあと、最後のメタノール抽出浴にテ
トラメトキシプロパン(TMP)を7重量%/浴になる
ように添加し、繊維に含有させ140℃にて乾燥した。
得られた紡糸原糸を170〜230℃の6セクションか
らなる熱風炉で全延伸倍率(すなわち湿延伸倍率と乾熱
延伸倍率の積)15.6倍に延伸し、TMP含量5.1
重量%の20000d/10000fのトウを得た。次
いでホルマリン4重量%及びNaClを6重量%含有す
る硫酸濃度2重量%の水溶液で70℃×30分間架橋処
理を施した。得られた繊維の単繊維強度は11.7g/
d、伸度は5.3%、CSは15.8%、160℃オー
トクレーブ後のWBS=238kg/cm2、たわみ量
1.1mmを示し、高強度で耐衝撃性のある住宅サイデ
ィング補強材として優れたものであった。
【0028】実施例4 粘度平均重合度が8000でケン化度が99.9モル%
のPVAを濃度8重量%になるように170℃のエチレ
ングリコール(EG)に溶解し、200ホールのノズル
より吐出させ乾湿式紡糸によりメタノール/EG=7/
3、0℃の凝固浴で急冷ゲル化させた。さらに40℃の
メタノール中で4倍湿延伸したのち、最後のメタノール
抽出浴に1,1,9,9−ビスエチレンジオキシノナン
(BEN)を4重量%/浴になるように添加し、繊維を
この抽出浴に浸漬することにより、溶剤抽出とともに架
橋剤付与を行い、そして140℃で乾燥した。得られた
紡糸原糸を180−220−248℃の3セクションか
らなる熱風炉で全延伸倍率が18.3倍になるように延
伸し、BEN含量2.8重量%で、750d/200f
のマルチフィラメントを得た。次いでMnCl2を0.
8重量%含有する硫酸4重量%水溶液にて、80℃×2
0分架橋処理したのち、水洗、中和処理、さらに水洗処
理を行い、その結果、単繊維強度が16.4g/d、伸
度が4.9%、CSが9.7%、の繊維が得られた。こ
の繊維を抄造してセメント抄造板を作製し、180℃オ
ートクレーブ処理後のWBSを測定したところ、WBS
261kg/cm2、たわみ量0.7mmという極めて
優れた結果を示し、このことより本実施例の繊維は従来
にない高強度、高タフネスで耐湿熱性の非常に優れたも
のであることが判る。
【0029】
【発明の効果】本発明は、アセタール架橋剤を含有する
PVA系繊維を硫酸水溶液で処理して該架橋剤を反応さ
せて架橋結合を形成する方法において、硫酸の水溶液に
無機塩化物を添加し、繊維を膨潤させて、架橋をスムー
ズに進行させると共に強度低下を抑え、高強度で耐湿熱
性の優れたPVA系繊維を得るものである。本発明の繊
維は、耐湿熱性、耐衝撃性、耐久性が要求されるセメン
ト、ゴム、プラスチックの補強材やロープ、漁網、テン
ト、土木シートなどの一般産業資材など幅広く利用でき
る。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI // D06M 101:24 (72)発明者 奥 貴至 岡山県倉敷市酒津2045番地の1 株式会社 クラレ内

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 アセタール架橋を生じる架橋剤を含有す
    るポリビニルアルコール系繊維を酸処理して架橋反応さ
    せる方法において、酸処理液として、無機塩化物を0.
    1〜10重量%含有する60〜90℃の硫酸水溶液を用
    い、該水溶液によりポリビニルアルコール系繊維を10
    分以上処理することを特徴とする架橋ポリビニルアルコ
    ール系繊維の製造方法。
  2. 【請求項2】 無機塩化物含有硫酸水溶液がホルマリン
    を含有する請求項1記載の架橋ポリビニルアルコール系
    繊維の製造方法。
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