JPH1090268A - 免疫学的粒子凝集反応方法 - Google Patents
免疫学的粒子凝集反応方法Info
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- JPH1090268A JPH1090268A JP8267918A JP26791896A JPH1090268A JP H1090268 A JPH1090268 A JP H1090268A JP 8267918 A JP8267918 A JP 8267918A JP 26791896 A JP26791896 A JP 26791896A JP H1090268 A JPH1090268 A JP H1090268A
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Abstract
体粒子による免疫学的粒子凝集反応におけるプロゾーン
現象を抑制することである。また、試料の希釈機構を持
たない分析装置であっても、高濃度域の測定を可能にす
る新しい技術の提供である。 【解決手段】本発明は、ポリクローナル抗体とモノクロ
ーナル抗体を組み合わせて用いる免疫学的粒子凝集反
応、ならびに試薬である。 【効果】本発明は、プロゾーン現象を効果的に抑制す
る。血清アミロイドAのようなダイナミックレンジの広
い抗原性成分でも、広い濃度範囲にわたって正しい測定
値を得ることができる。高濃度域での定量レンジが広が
るので、試料の希釈操作無しでも測定が可能である。
Description
免疫学的粒子凝集反応に関するものである。抗原抗体反
応を利用した物質の測定方法には、様々な技術が知られ
ている。本発明は、これらの免疫学的な測定方法の中
で、免疫成分を不溶性担体粒子に固定して用い、抗原抗
体反応によって生じる不溶性担体粒子の凝集を観察する
免疫学的粒子凝集反応に関するものである。
分離が必要なELISAやRIAに比べて反応ステップ
が少ないため機械化に適している。このような特徴から
早くから機械化が進み、種々の自動分析装置が商品化さ
れている。また最近では専用の自動分析装置のみなら
ず、酵素反応などに基づく他の測定項目とともに汎用の
自動分析装置を利用して測定されるようになってきた。
こうして免疫学的粒子凝集反応が広く普及するのに伴っ
て、幅広い成分が測定対象として採用されるようになっ
ている。測定対象成分には、たとえばイムノグロブリ
ン、補体、ホルモン、ウイルス抗原、腫瘍マーカー、炎
症マーカー、あるいは薬剤等が知られている。これらの
測定対象成分が狭い濃度範囲にあれば、免疫学的粒子凝
集反応によって正しい測定値を得ることができる。とこ
ろが実際には、もともと高い濃度で含まれている成分
や、あるいは低濃度から非常に高い濃度まで広い濃度範
囲にわたって濃度が変動するような成分については場合
によって不正確な測定値を与えることがある。
成分としては、イムノグロブリンを挙げられる。特にI
gGはヒト血清中に7−15mg/ml[ 1]の濃度で存在す
る主要な血漿蛋白質である。このような高い濃度は通常
の測定操作では正確に測定することができない。測定対
象成分が多量に存在する時には、抗原過剰となりプロゾ
ーン現象と呼ばれる見かけの測定値が低くなる現象が現
れるためである。したがって、あらかじめ試料を希釈し
て抗原濃度を下げる、あるいは遊離の抗体を同時に反応
させて粒子上の抗体と競合させることによって抗原過剰
の状態を緩和する[ 2]といった操作が必要であった。免
疫学的粒子凝集反応におけるこのような問題点を解消す
るために、試料のサンプリング量を少なくする方法も考
えられるが機械的な分注精度を維持できる範囲には限度
がある。あるいは試料を希釈するにしても分注精度の影
響は考慮しなければならないし、先に述べた汎用の分析
装置においては予め試料を希釈する機構を持たないもの
も多い。また、たとえ希釈機構を備えていたとしても、
多くの場合希釈操作は作業効率の低下につながるので歓
迎されない。
を利用することによって希釈操作を省略しうる方法が報
告された。第一の方法ではモノクローナル抗体のみで免
疫比濁法を実施している[ 3][ 4]。またモノクローナル
抗体のみでは非特異反応の原因となりやすい増感剤を多
量に添加しなければならないため、ポリクローナル抗体
をモノクローナル抗体と組み合わせることで試料を希釈
することなく高い精度を達成した報告もある[ 5]。しか
しこれらの報告はあくまでも粒子担体を利用しない免疫
比濁法に基づくものであり、免疫学的粒子凝集反応に関
してはこの種の改善策は知られていないのが現状であ
る。一方これらの先行技術はいずれも免疫比濁法を採用
しているので、抗体分子と抗原分子のみで光学的に検出
可能な大きさの沈降物を生成しなければならない。した
がって用いる抗体はいずれもFcと呼ばれる定常領域を
備えた完全な分子形態を保っていた。Fcを備えた抗体
は、免疫学的粒子凝集反応に用いた場合にリウマチ因子
や補体の干渉を受けて非特異的な凝集の原因となること
が知られている。
子凝集阻止反応系を構成した報告[6]が有るが、この報
告は高濃度域の精度の改善を目的としたものではなくモ
ノクローナル抗体の特異性を凝集反応系に活用するため
に1種の抗体による反応系を提案している。同じく感度
や特異性を達成するためにモノクローナル抗体を逆受け
身赤血球凝集反応用試薬に応用した報告[ 7]や、凝集反
応用の溶媒にモノクローナル抗体を加える技術[ 8]も知
られている。更に免疫学的粒子凝集反応に着目すれば、
モノクローナル抗体のみで反応系を構成する試みも報告
されているが[9]、高濃度域における定量性の改善をも
たらすものではない。
うに高濃度で存在するもののみならず、低濃度から高濃
度にいたる幅広い濃度範囲で存在する成分も知られてい
る。炎症マーカーであるC反応性蛋白質(以下CRPと
省略する)や血清アミロイドA(以下SAAと省略す
る)、あるいはアレルギー症状などの指標となるIgE
は、このようなダイナミックレンジの広い成分の代表的
なものである。SAAは、ある種のアミロイドーシスに
おいて組織に沈着するアミロイド蛋白A(以下、AA蛋
白と省略する)の前駆体蛋白とされる、分子量約120
00の血清蛋白である[10]。近年になって、このSAA
の血清値が炎症性疾患で上昇することが明らかにされ、
鋭敏な炎症マーカーとして評価されている[11]。SAA
は血清中で通常は0.5−50μg/ml程度の濃度範囲に
ある。しかし、急性期には100−10000μg/mlに
も達することのあるたいへんダイナミックレンジの広い
成分である。この種の成分では、先に述べたような希釈
操作を省略する方法では、特に高い濃度域で正確な測定
結果を得られない可能性が有る。
あるいは遊離の抗体を共存させる方法では、結果的に感
度を下げていることになり、低濃度域での精度を下げる
ことになりかねない。この他にもSAAの免疫学的な測
定に関する報告は多いが、免疫学的粒子凝集反応法にお
いて広い濃度範囲にわたり高い測定精度を実現した報告
はない。
アッセイを利用した報告[12]では、1−13μg/mlの間
で直線性を確認している。ELISAで1.5−30μ
g/ml[13]、あるいは55−750ng/200μl[14]を測定
した報告が有る。また免疫学的ラテックス凝集法による
測定例[15]では、検出限界が0.5μg/mlであるのに対
して反応曲線は30μg/ml付近で傾きを失っている。す
なわちこの文献では60倍程度の濃度差しか測定できて
いないことになる。この値は必ずしも不十分なものでは
ない。しかし先に述べたようにSAAの血中濃度は大き
く変動するので、たくさんの検体を測定する場合には測
定範囲の上限を越えることも少なからず観察される。S
AAでは、ドットブロットと酵素標識抗体を組み合わせ
た特殊な反応系で1.25−160μg/mlという測定レ
ンジを実現した報告も有る[16]。しかしこの報告におい
ては加熱処理によって抗原性を強める処理が必要であ
り、本発明のように試料を前処理無しで測定する方法と
は区別される。また固相イムノラジオメトリックアッセ
イによって、試料の変性処理を行うことなく1000倍
に及ぶ測定範囲を実現した報告[17]もある。ただしこの
結果はRI標識抗体を使い固相の洗浄工程を実施して得
たものである。更に標準に利用されたSAAの濃度が不
明なので、測定範囲の評価を行うことができない。
ノクローナル抗体の反応性を増強し、またリウマチ因子
等の干渉を防ぐ目的で各種の変性処理を施す。IgGの
抗体活性が、酸、加温、あるいは尿素のようなカオトロ
ピック剤の処理によって高まる現象はELISAで確認
されている[18][19]。しかしこれらの報告はELISA
用の固相抗体に関するものであり、免疫学的粒子凝集反
応において測定レンジの拡大が期待できることを示唆す
るものではない。
Aのようなダイナミックレンジの広い成分を免疫学的粒
子凝集反応によって測定するための新しい技術を提供す
ることに有る。より具体的には、測定対象成分のダイナ
ミックレンジに応じた広い濃度範囲で高い精度を実現で
きる免疫学的粒子凝集反応を提案するものである。
担体粒子に固定した抗体を抗原と反応させ、抗原−抗体
によって生じる不溶性担体粒子の凝集を観察することに
よって抗原を検出、または測定する方法であって、抗体
として分析対象抗原に対するポリクローナル抗体とモノ
クローナル抗体の両方を用いる免疫学的粒子凝集反応方
法によって達成される。
ノクローナル抗体には、分析対象抗原を認識する公知の
抗体を利用することができる。これらの抗体は、それぞ
れを不溶性担体粒子に固定してから混合するか、あるい
は抗体を混合したものを不溶性粒子に固定することによ
って利用される。測定性能を経験的に設定するには、ポ
リクローナル抗体とモノクローナル抗体とを個別に固定
した不溶性担体粒子を抗体固定後に混合する方が容易で
ある。
合体粒子(ラテックス粒子)、ゼラチン粒子、金属コロ
イド、顔料、動物の血球、細菌菌体、あるいはリポソー
ム等を利用することができる。これらの不溶性担体粒子
へ抗体を固定する方法も公知である。基本的な方法で
は、ポリスチレン製のラテックス粒子に抗体溶液を接触
させることによって抗体が物理吸着される。またSH
基、カルボキシル基、あるいはアミノ基のような官能基
を導入したラテックス粒子には、化学的な結合によって
抗体を固定することができる。いずれの方法を採用する
にしろ、抗体を固定した粒子は十分に洗浄され、更に必
要に応じてウシ血清アルブミン(以下BSAと省略す
る)、正常動物血清、乳タンパク成分等の不活性成分で
ブロックし、必要な濃度になるように適当な分散媒で希
釈して抗体固定粒子懸濁乳液(以下、単に乳液とする)
とし測定に利用する。
は、抗原を含む試料溶液と混合して粒子担体の凝集を観
察すれば良い。凝集反応は、肉眼的に凝集塊の形成を確
認する、あるいは凝集反応を光学的に追跡することによ
って観察する。たとえば不溶性担体としてポリスチレン
ラテックス粒子を利用した場合、免疫学的な粒子の凝集
は、600nm前後の近赤外部における吸収、あるいは散
乱光強度の変化としてとらえることができる。光学測定
は、たとえばLX−3000(栄研化学・アナリティカ
ルインスツルメント製、商品名)等の免疫学的ラテック
ス凝集反応分析専用の免疫学的自動分析装置や、あるい
は汎用の自動分析装置を利用して自動的に行わせること
ができる。本発明の測定方法は高濃度域での定量性に優
れるので、試料の希釈機構を持たない汎用の自動分析装
置でも容易に実施することができる。
は、公知の免疫学的測定方法によって測定されていた多
くの成分を挙げることができる。これらの公知の抗原性
成分の中でも、ダイナミックレンジの広い、つまり抗原
濃度の変動幅の大きい成分では特に本発明の効果が大き
くなる。具体的には、先に紹介したSAA、あるいはC
RPやIgEがダイナミックレンジの広い代表的な成分
と言える。以下にSAAを測定対象とする場合を例に本
発明を具体的に説明する。
公知の抗体を利用できる。これまでに報告されたSAA
に対するポリクローナル抗体は、ウサギ等を精製SAA
で免疫して得たものである。免疫原とする精製SAAを
得る方法は公知である。たとえば、SAAを豊富に含む
ヒト血清を出発原料とし、超遠心分離によって得た高比
重リポ蛋白質(以下HDLと省略する)分画から疎水ク
ロマトグラフィーやゲルろ過等の操作を経てSAAを高
度に精製した状態で得ることができる[20]。あるいは同
じくHDL分画をもとに、ゲルろ過や抗アポAI抗体等
によるイムノアフィニティクロマトグラフィーを組み合
わせて精製SAAを得る方法も公知である[21]。また血
清のみならず遺伝子組み換え体として発現させたSAA
も免疫原に利用することができる。免疫にはフロイント
のコンプリートアジュバント(以下FCAと省略す
る)、百日咳トキソイド、あるいは結核死菌等のアジュ
バントを利用することにより良好な免疫応答を期待でき
る。たとえば結核死菌を増強したFCAは、SAAの免
疫にあたって凝集活性に優れた抗体を効率良く生成させ
るために有効なアジュバントである[22]。必要に応じて
追加免疫した後に、抗体価の上昇を確認してから採血し
公知の方法で抗体を精製すれば本発明に用いるポリクロ
ーナル抗体を得ることができる。
も、やはり公知の方法によって得ることができる[23][2
4]。すなわち、マウスやラット等の免疫動物をポリクロ
ーナル抗体の免疫操作と同じように免疫し、抗体価の上
昇を確認したところでその抗体産生細胞を回収する。回
収した抗体産生細胞は、ミエローマとの細胞融合でハイ
ブリドーマとする、あるいはEBVトランスフォーム等
により形質転換させ不死化する。これを抗体産生能でス
クリーニングし、更に必要な活性を持つ抗体を産生する
株をクローニングすれば抗体産生株を樹立することがで
きる。抗体産生株は、マウスの腹腔に接種して培養すれ
ば腹水としてモノクローナル抗体を得られる。またin v
itroで抗体産生株を大量に培養してモノクローナル抗体
を製造する技術も公知である。
単独で用いても良いし複数のモノクローナル抗体を組み
合わせて用いることもできる。複数種のモノクローナル
抗体を利用する時には、抗体の混合物を不溶性担体粒子
に結合する方法、別々に結合した後に混合する方法のい
ずれを採用してもよい。ただし試薬性能を抗体の混合割
合で経験的に制御しようとすると、ポリクローナル抗体
との混合と同じように別々に結合したものを後から混合
する方が混合割合の変更を容易に行えるので有利であ
る。
SAAを特異的に認識するものであれば特に限定されな
い。本発明者らの知見によればSAAに関しては抗体の
凝集活性には多くの要因が影響を与えている。そのため
モノクローナル抗体の反応性を評価するための一般的な
指標であるエピトープや親和性のみでは凝集活性の強弱
を説明することができない。本発明者らは、SAAと反
応させたときに様々な凝集活性を示すいくつかのモノク
ローナル抗体を得ているが、本発明の効果はいずれのモ
ノクローナル抗体を用いても達成することができる。
反応して単独でも凝集を生じるモノクローナル抗体、あ
るいは他のモノクローナル抗体と組み合わせた時に強い
凝集活性を示すモノクローナル抗体をポリクローナル抗
体と組み合わせることによって、高濃度域における高い
定量性を実現できる。このようなモノクローナル抗体を
産生するハイブリドーマとして本発明者らはSAA−1
7およびSAA−21を樹立している[25]。SAA−1
7はFERM BP-5616として、またSAA−21はFERM BP-
5617として特許微生物寄託センターに寄託されている。
SAA−17とSAA−21は、SAA高値のヒト血清
からゲルろ過とイムノアフィニティクロマトグラフィー
によって精製したSAAを免疫原に用い、結核死菌と沈
降精製百日咳ジフテリア破傷風混合ワクチンをアジュバ
ントとしてラットを免疫し、その抗体産生細胞をマウス
・ミエローマ細胞X−63−Ag8−653と細胞融合
することによって樹立したものである。SAA−17
は、ラテックス粒子に結合させてSAAと反応させた時
に単独でも明瞭な凝集を示す。一方SAA−21は単独
で反応させた時の凝集は弱いが、SAA−17と組み合
わせて反応させるときわめて強い凝集活性を示す。
因子や補体による非特異的な影響を抑制することを目的
として適当な酵素で消化した断片として用いることもで
きる。抗体断片としては、ペプシンによるF(ab’)
2、プラスミンによるFacb’等が知られている[26]
[27][28][29]。このような酵素処理は、非特異的な反応
を抑制するのみならず高濃度域における定量性の向上に
も大きく貢献する。抗体の定常領域を酵素的に切断する
ことが、どのような機序でこのような作用をもたらすの
かは明らかでないが、本発明においては明らかに定量性
の向上という効果の現れることを確認した。酵素処理に
あたっては、処理後に必ずしも定常領域を分離しなくて
も良い。定常領域に起因する非特異的な反応は、酵素処
理によって効果的に抑制することが可能で、定常領域を
除去してしまう操作は必ずしも要求されない[28][29]。
に抗体を各種の変性条件にさらすことによっても得るこ
とができる。変性処理には、先に述べたような酸を始め
とするいくつかの処理技術が知られている。たとえば酸
性処理した抗体による免疫学的な測定は、先行技術とし
て紹介したELISAの他に甲状腺刺激ホルモンのRI
A[30]、逆受け身凝集反応への応用[31]が知られてい
る。しかし酸処理のみでは抗体の定常領域を残すおそれ
が有り、実際の血清試料と接触した時にはリウマチ因子
や補体の影響を受けて非特異的な反応の原因となる可能
性が有る。したがって、非特異反応の防止と高濃度域に
おける定量性の向上という2つの効果をもたらす酵素処
理が本発明のより望ましい態様ということができる。
を実施するのに必要な、ポリクローナル抗体とモノクロ
ーナル抗体を組み合わせた新規な試薬を提供する。本発
明の試薬には、ポリクローナル抗体とモノクローナル抗
体を結合した粒子の他に公知の成分を組合せることがで
きる。すなわち、免疫反応に必要なpHを与える緩衝
剤、免疫反応を促進する反応増強剤、非特異反応を抑制
する反応安定剤やブロッカー、試薬の保存性を高めるア
ジ化ナトリウムのような防腐剤等を組合せても良い。
れている。 GOOD緩衝剤 3−[ビス(2−ヒドロキシエチル)アミノ]−2−ヒ
ドロキシプロパンスルホン酸(3-[N,N-Bis(2-hydroxyet
hyl)amino]-2-hydroxypropanesulfonic acid、DIPS
Oと省略する) 2−ヒドロキシエチルピペラジン−3−プロパンスルホ
ン酸(N-2-Hydroxyethylpiperazine-N'-3-propanesulfo
nic acid、EPPSと省略する) トリス(ヒドロキシメチル)メチル−2−アミノメタン
スルホン酸(N-Tris(hydroxymethyl)methyl-2-aminoeth
anesulfonic acid、TESと省略する) ヒドロキシエチルピペラジン−2−エタンスルホン酸
(N-2-Hydroxyethylpiperazine-N'-2-ethanesulfonic a
cid 、HEPESと省略する) 2−ヒドロキシエチルピペラジン−2−ヒドロキシプロ
パン−3−スルホン酸(N-2-Hydroxyethylpiperazine-
N'-2-hydroxypropane-3-sulfonic acid、HEPPSO
と省略する) ピペラジン−ビス(2−ヒドロキシプロパンスルホン
酸)(Pioerazine-N,N'-bis(2-hydroxypropanesulfonic
acid)、POPSOと省略する) N-Tris(hydroxymethyl)methyl-3-aminopropanesulfonic
acid 、TAPSと省略する) トリス(ヒドロキシメチル)メチル−2−ヒドロキシ−
3−アミノプロパンスルホン酸(N-Tris(hydroxymethy
l)methyl-2-hydroxy-3-aminopropanesulfonic acid、T
APSOと省略する) その他の緩衝剤 2−アミノ−2−ヒドロキシメチル−1、3−プロパン
ジオール(2-Amino-2-hydroxymethyl-1,3-propanedio
l)、またはトリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン
(Tris(hydroxymethyl)aminomethane)とも呼ばれる リン酸緩衝液 アンモニウム緩衝液 これらの緩衝剤の中でもHEPES等のGOOD緩衝剤
は、免疫反応に有利なpHを与えるのみならず、蛋白質
への影響が小さいので特に好ましい緩衝剤として挙げら
れる。
SA(ウシ血清アルブミン)、動物血清、IgG、Ig
G断片(FabやFc)、アルブミン、乳蛋白、アミノ
酸、ポリアミノ酸、コリン、ショ糖等の多糖類、ゼラチ
ン、ゼラチン分解物、カゼイン、グリセリン等の多価ア
ルコール等が免疫反応において反応の安定化や非特異反
応の抑止に有効なことが知られている。
は、溶液状態で、あるいは乾燥状態で供給することがで
きる。溶液状態で流通させるには、粒子担体の分散状態
の維持や蛋白の安定性を高めることを目的として、更に
各種界面活性剤、糖、不活性蛋白等を加えても良い。こ
れらの安定化剤は、試薬を乾燥するときにも安定剤とし
て、あるいは賦形剤として有効である。
いるモノクローナル抗体は、ダイナミックレンジの大き
な測定対象成分に対して高濃度域におけるプロゾーン現
象を抑制し、結果として定量レンジを拡大する作用を持
つ。公知のポリクローナル抗体のみで構成された免疫学
的粒子凝集反応方法では、試料を希釈しなければ測定す
ることができなかった濃度域であっても、モノクローナ
ル抗体を結合した粒子を組み合わせることによって希釈
すること無く測定することが可能である。
高濃度域での測定範囲拡大効果は、先行技術として知ら
れている免疫比濁法におけるモノクローナル抗体の応用
で得られるものとよく似ている。しかし本発明では、ポ
リクローナル抗体もモノクローナル抗体も不溶性担体粒
子に結合された形で利用している。免疫比濁法と不溶性
担体粒子を用いた免疫学的な凝集反応は基本的に異なっ
た反応原理に基づく分析方法である。したがって、一方
で得られる効果が他方でも容易に実現するとは限らな
い。特にモノクローナル抗体を利用する場合には、等価
な抗体結合部位を抗原分子上に複数備えた特殊な構造の
抗原でなければ凝集は起きないものと認識されている。
そのモノクローナル抗体を粒子に結合してポリクローナ
ル抗体による粒子凝集反応系に組み合わせた時に、予想
を越えてプロゾーン現象の抑制作用の得られることを確
認し本発明にいたったものである。
酵素処理を施した特殊なものを利用することで、より確
実な定量レンジの拡大効果を実現した。免疫学的粒子凝
集反応において、変性処理を施したモノクローナル抗体
をポリクローナル抗体と組み合わせたときに広い定量レ
ンジを期待できることは新規な知見である。
たダイナミックレンジの大きな測定対象成分を希釈操作
無しで広い濃度範囲にわたって測定することが可能とな
る。試料の希釈機構を持たない、あるいは希釈操作によ
って処理能力が低下する自動分析装置であっても、本発
明を利用すれば処理能力を犠牲にすることなく正しい測
定値を得ることができる。たとえばSAAにおいては、
33μg/mlを越える検体が平均すると40−50%程度
の確率で存在する。このような検体は公知の免疫学的粒
子凝集反応法では確実に測定範囲をオーバーする。その
結果、半数近い試料は希釈再測定を行わざるをえず、著
しい作業能率の低下をもたらす恐れが有る。本発明によ
って330μg/mlまで定量レンジを拡大(10倍)した
場合、測定可能レンジの上限を越える試料に遭遇する確
率は理論的には10%程度にまで減少する。この程度の
確率であれば、その他の測定項目で発生する日常的な再
測定の頻度と大差が無く許容範囲と言える。
定したラテックス粒子とモノクローナル抗体を固定した
ラテックス粒子を別々に調製後、両者を混合することに
よって本発明によるポリクローナル抗体−モノクローナ
ル抗体混合試薬とする方法を採用した。そして本発明に
よる定量レンジを、ポリクローナル抗体のみで構成され
る従来の試薬と比較した。 1.SAA免疫原の調製 SAA高値血清(100μg/ml)1L を出発原料とし、
まず超遠心法により比重1.23の上層部を採取、次い
で比重1.063の下層部を採取し、冷却下メタノール
/エーテル (1:3)で脱脂後、セファデックスG−2
00カラム(6M 尿素、0.5%Tween 20を含む0.
01M トリス−塩酸緩衝液pH 8.6で平衡化)にア
プライし、更にブロムシアンで活性化したセファロース
4B(ファルマシア) に常法により、 抗ApoA−I
抗体、抗ApoCIII抗体、および抗ヒト血清アルブミ
ン抗体を結合させたカラムに通して夾雑蛋白を除去し、
1Lの血清より精製SAA30mgが得られた。 精製SA
AはSDS−PAGEにより、分子量12000の位置
に単一のバンドを示し、他のアポリポ蛋白抗体とは反応
しなかった。また、アミノ酸配列はN末端からSer Phe
Phe Ser Phe Leu Gly Glu Ala Phe Asp Gly Ala Arg As
p Met Trp Arg Ala Tyr であり、データベース検索か
ら、ダウレット他の報告[32]によるN末端のArg を欠い
たformII, IVと同一であることがわかった。
ス乳液 2−1.ラットの免疫 1で精製したSAA100μg/頭とヒト型結核死菌4mg
/mlを加えたFCAで常法によりエマルジョンを作製
し、9週齢のWKAH/HKmラットのメスに免疫し
た。同時に沈降精製百日咳ジフテリア破傷風混合ワクチ
ン(武田薬品工業製)100μl/頭を左後肢腿に筋肉注
射した。この後3週おきにSAA50μg/頭をFCAと
常法によりエマルジョンとしたものを免疫原として腹腔
内注射し、定期的に採血してELISAで抗体価を測定
した。ELISAの操作は次のとおりである。
Aで行った。ブロック、コンジュゲート希釈、血清希釈
には1%のBSAを加えた0.15MのNaClを含む2
0mMリン酸緩衝液(pH7.2、以下BSA−PBSと
省略する)を用いた。精製SAAを10μg/mlとなるよ
うに20mMリン酸緩衝液(pH7.2、以下PBSと省
略する)に溶解し住友ベークライトメディカル社製60
穴テラサキプレート(MS−31600)に10μl/we
ll入れ37℃で2時間感作し、PBSで洗浄後1%BS
A−PBSを10μl/well入れ、37℃で2時間ブロッ
クし、4℃で保存する。
を調べようとする検体10μlをテラサキプレートに採
り37℃で30分インキュベートした。このプレートを
PBSで3回洗浄し、1%BSA−PBSで10,00
0倍に希釈した市販の抗ラットIgG−PODコンジュ
ゲート(Cappel社製)10μlを入れ、37℃3
0分インキュベートし、PBSで3回洗浄後、OPDと
過酸化水素を含む基質液10μlを加え37℃で30分
インキュベートして発色を測定した。陰性対照として1
%BSA−PBSを、陽性対照として102に希釈した免
疫ラット血清10μlを用意し、検体にかえて同じ操作
を行った。
したところで、生理食塩水に溶解したSAA50μgを
腹腔内注射し3日後に脾臓を摘出した。 脾細胞を採取
してRPMI1640培地で洗浄し、マウスミエローマ
細胞X−63−Ag8−653とポリエチレングリコー
ル(以下PEGと省略する)法によって細胞融合させ
た。融合条件は次のとおりである。すなわち、脾細胞:
ミエローマ細胞が3:1となるように遠心管に分注し、
50%PEG溶液1mlを加え、更に加温した50mlのR
PMI1640をゆっくり加えてPEGを希釈した。次
いで遠心してPEGを除き、脾細胞として7.1×10
5/wellとなるようにHAT培地に分散し、これを96穴
プレートにプレーティングした。HATセレクション後
にほとんどのウエルでコロニーが観察された。各ウエル
の培養上清はPOD標識抗ラットIgG抗体を用いてE
LISAでスクリーニングし、発色した30ウエルから
クローニングを始め、3回から4回の限界希釈法による
クローニングを行い、最終的にSAAとの反応性を示す
IgGクラスのモノクローナル抗体を産生する13クロ
ーンを確立した。
調製 2−3で得たハイブリドーマ13クローンを、それぞれ
プリスタン処理したヌードマウス(BALB/c−n
u)の腹腔に接種し2週間後腹水を採集した。この腹水
を遠心(3000rpm、5分)後、上清から硫安分画に
よってモノクローナル抗体を沈殿させた。沈殿を回収し
てPBSに溶解し、同じPBSに対して透析し抗SAA
モノクローナル抗体(10mg/ml)とした。用いたモノ
クローナル抗体のサブクラスは以下のとおりである。サ
ブクラスは、Bethyl社製抗ラットサブクラス抗血
清と精製モノクローナル抗体とのオクテロニー法で決定
した。 クローン 3:IgG2a クローン 6:IgG2b クローン 7:IgG2a クローン14:IgG2c クローン15:IgG2a クローン16:IgG2a クローン17:IgG1 クローン18:IgG2a クローン20:IgG2a クローン21:IgG2a クローン22:IgG2a クローン25:IgG2a クローン27:IgG2a このモノクローナル抗体を公知の方法[29]に基づいてプ
ラスミン処理した。すなわち、100mlのモノクローナ
ル抗体(10mg/ml)を塩酸でpH2.8に調整し、プ
ラスミン(SIGMA製)を5U添加して30℃で1時
間反応させた。反応後NaOHでpH7.0に調整し、
37℃で2時間放置してプラスミン処理IgGとした。
この状態では、反応液中にFacbとpFcとが混在し
ている状態にある。また酸処理による効果を確認するた
めに、プラスミンを添加しないで同じ操作を行うことに
より酸処理したモノクローナル抗体を調製した。
Aモノクローナル抗体(0.5%)をポリスチレンラテ
ックス(平均粒径0.109μm)に37℃で1時間物
理吸着させ、最終的にラテックス濃度0.4%となるよ
うに分散媒(1%BSAを含む10mMのHEPES緩衝
液pH7.4)に懸濁させてモノクローナル抗体感作S
AAラテックス凝集反応用試薬(以下モノクローナル抗
体感作乳液と呼ぶ)を得た。これらモノクローナル抗体
感作乳液には、SAAと反応させたときに単独でも凝集
するもの、単独では凝集しないが他の乳液の凝集を増強
するもの、複数種を組み合せたときに始めて凝集を認め
られるものといった様々な反応性を持つものが含まれて
いた。
核死菌を加えたFCA(FCA1mlに対して結核死菌を
4mg)と等量混合し、じゅうぶんに乳化させた後に1ml
を家兎の四肢に免疫した。同時に百日咳ワクチンを後足
基部に筋注した。免疫は2週間ごとに行った。4ヶ月後
に一部採血して得られる抗血清について、SAAに対す
る反応性をオクテロニー法によって確認した。高い抗体
価が確認された個体の抗血清をヒトHDLで吸収してか
ら40%硫安分画してIgGを回収し、PBSに対して
透析して抗SAA抗体(10mg/ml)を得た。更に得ら
れた抗体をモノクローナル抗体と同様に公知の方法[29]
に基づいてプラスミン処理してプラスミン処理IgGと
した。この状態では、反応液中にFacbとpFcとが
混在している状態にある。
調製 3−1で得た抗SAA・プラスミン処理IgG(0.5
%)をポリスチレンラテックス(平均粒径0.109μ
m)に37℃で1時間物理吸着させた後、10mMのHE
PES緩衝液で洗浄し、最終的にラテックス濃度0.4
%となるように分散媒(1%BSAを含む10mMのHEP
ES緩衝液、pH7.4)に懸濁させてSAAラテック
ス凝集反応用試薬(以下単に乳液と呼ぶ)を得た。
ノクローナル抗体混合試薬 2で調製したモノクローナル抗体感作乳液と、3で得た
乳液とを1:4となるように混合して本発明によるモノ
クローナル抗体・ポリクローナル抗体混合感作ラテック
ス(以下、混合乳液と称する)とした。モノクローナル
抗体感作乳液としては、SAAと反応させたときに単独
でも強い凝集を示したSAA−17から調製したものを
利用した。比較に用いた従来の試薬には、3で得たポリ
クローナル抗体による乳液をそのまま用いた。
定試薬の直線性を、従来の抗体によって得られる試薬と
比較した。0−2800μg/mlのSAAを含む希釈系列
を用意し、4で得た乳液による測定を試みた。操作は次
のとおりである。希釈系列は、あらかじめ濃度を検定し
たSAAを高濃度で含む血清をSAA濃度が2800μ
g/mlとなるように馬血清(50mMのHEPES緩衝液p
H7.4で10倍に希釈したもの)で濃度を調整し、更
に倍々希釈して作成した。希釈液には、0.5%BS
A、12%塩化コリン、および0.9%NaClを含む
0.1MのHEPES緩衝液(pH7.4、以下、希釈
液と記載する)を用いた。希釈液225μlと各濃度の
SAA含有溶液3μlを測定セルに分注し、5分後に乳
液75μlを添加して更に1分後−5分後にかけて波長
660nmで吸光度を測定し各測定点の間の吸光度変化量
を求めた。測定には全自動分析装置日立7070(日立
製作所製)を用いた。
図2(酸処理)に示した。図から明らかなように、本発
明の抗体を利用した試薬では0.52〜2800μg/ml
まで測定値が増加し続けている。この濃度範囲において
は、本発明によって同じ条件の基で測定が可能となるこ
とを示している。一方ポリクローナル抗体のみで構成さ
れた従来の試薬を用いた場合、測定値が濃度に応じて変
化している範囲は700μg/ml程度までである。従来の
抗体による測定範囲も不十分なものではなく、むしろサ
ンプルボリュームが小さいために従来の定量レンジに比
べればかなり高濃度までカバーできていると言うべきか
もしれない。しかしそれでも本発明に比べれば測定可能
範囲が狭いために希釈を要するサンプルが発生する可能
性が有る。従来抗体に対して非常に測定範囲が広い本発
明の抗体によれば、測定範囲を越えるために希釈再測定
しなければならないサンプルに遭遇する機会を大きく減
らすことが可能である。
した本発明の試薬によるSAAの測定結果。図中、縦軸
は吸光度の差(ΔOD)を、横軸は試料のSAA濃度
(μg/ml)を示す。
明の試薬によるSAAの測定結果。図中、縦軸は吸光度
の差(ΔOD)を、横軸は試料のSAA濃度(μg/ml)
を示す。
Claims (9)
- 【請求項1】不溶性担体粒子に固定した抗体を抗原と反
応させ、抗原抗体反応によって生じる不溶性担体粒子の
凝集を観察することによって抗原を検出、または測定す
る方法であって、抗体として分析対象抗原に対するポリ
クローナル抗体とモノクローナル抗体の両方を用いる免
疫学的粒子凝集反応方法 - 【請求項2】ポリクローナル抗体とモノクローナル抗体
が別の粒子上に固定されている請求項1の免疫学的粒子
凝集反応方法 - 【請求項3】モノクローナル抗体が、パパイン、ペプシ
ン、プラスミン、及びトリプシンで構成される群から選
択されたプロテアーゼで変性処理を施したものである請
求項1の免疫学的粒子凝集反応方法 - 【請求項4】モノクローナル抗体が、加熱、酸、および
カオトロピック剤で構成される群から選択された変性処
理を施したものである請求項1の免疫学的粒子凝集反応
方法 - 【請求項5】抗原が血清アミロイドAである請求項1の
免疫学的粒子凝集反応方法 - 【請求項6】抗原を含む試料を予め希釈すること無く抗
体と接触させる請求項1の免疫学的粒子凝集反応方法 - 【請求項7】不溶性担体粒子の凝集を光学的に測定する
請求項1の免疫学的粒子凝集反応方法 - 【請求項8】不溶性担体粒子に固定した抗体を抗原と反
応させ、抗原−抗体によって生じる不溶性担体粒子の凝
集を観察することによって抗原を検出、または測定する
方法に用いる試薬であって、抗体として分析対象抗原に
対するポリクローナル抗体とモノクローナル抗体の両方
を用いる免疫学的粒子凝集反応方法のための試薬 - 【請求項9】不溶性担体粒子に固定した抗体を抗原と反
応させ、抗原抗体反応によって生じる不溶性担体粒子の
凝集を観察することによって抗原を検出、または測定す
る方法において、抗体として分析対象抗原に対するポリ
クローナル抗体とモノクローナル抗体の両方を用いるプ
ロゾーン現象の抑制方法
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