JP2005502711A - Aa4rpアッセイのための組成物および方法 - Google Patents
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Abstract
本発明は、試料中のアポリポタンパク質AIV関連タンパク質のアッセイまたは検出のための組成物および方法に関する。特に、本発明は、生物学的試料中のAA4RPを直接測定する方法に関する。本発明はまた、AA4RPの合成産物、対応する抗体およびそれらを含むキット、ならびに試料中のAA4RPの検出、定量、または試料中のアテローム生成および非アテローム生成リポ粒子の検出、定量のためのその使用に関する。
Description
【技術分野】
【0001】
本発明は、「アポリポタンパク質AIV関連タンパク質」(AA4RP)をアッセイまたは検出するための組成物および方法に関する。特に、AA4RPの直接的な検出および定量を可能とする方法に関する。本発明はまた、AA4RPの合成産物、対応する抗体、それらを含むキット、ならびに生物学的試料中のAA4RPを検出および定量するためのその使用に関する。
【0002】
血漿中トリグリセリドレベルの上昇は、今日では世界中の死亡原因の第一位である心臓血管疾患の発症における決定的な因子の1つである(HokansonおよびAustin1996)。研究により、アポリポタンパク質の濃度または構造の変化が脂質レベルの異常およびアテローム動脈硬化症のリスク増加に連関していることが示された(Rubin, Kraussら、1991;Plump, Smithら、1992;Duverger, Trempら、1996;Huang, Liuら1998;Lusis 2000;RubinおよびTall 2000)。血漿トリグリセリドバランスにアポリポタンパク質が関与している1つの非常に適切な例はAA4RPの例である。この近年に発見されたアポリポタンパク質は、マウスおよびヒトにおけるトリグリセリド代謝の調節において重要な因子であることが示された(Pennacchio, Olivierら 2001)。ヒトAA4RPに対してトランスジェニックなマウスは、対照マウスに比べて、血漿トリグリセリドの3倍の減少を示した。逆に、AA4RPをコードする遺伝子を所有しないノックアウトマウスは、対照マウスより4倍高い血漿中トリグリセリドレベルを有していた。トランスジェニックマウスおよびAA4RPノックアウトマウスで観察されたトリグリセリドレベルの変化は、アポリポタンパク質CIII(アポCIII)のレベルの変化に沿っており、このアポリポタンパク質は、リポタンパク質リパーゼ(LpL)によるトリグリセリドの加水分解を阻害するという事実のためにトリグリセリドレベルの積極的な指標であることが知られている。アポCIIIの血漿中濃度は、脂質の豊富な食餌を与えたヒトAA4RPに対してトランスジェニックなマウスにおいて減少しており、一方、ノックアウトマウスにおけるアポCIIIレベルは増加しており、これは、AA4RPの作用機序の1つが、アポCIII遺伝子の発現を調節するものであるかもしれないことを示し、したがって、トリグリセリドの排除におけるAA4RPの積極的な役割を確認する。
【0003】
ヒトでは、非常に密接な関連がAA4RP多型とトリグリセリドレベルとの間で実証されている。事実、AA4RP多型のマイナーな対立遺伝子SNPs1−3は、高いトリグリセリドレベルに関連している。代表的な結果は、野生型対立遺伝子に対してホモ接合性である被験者に比べて、これらの1つの対立遺伝子を有する個体におけるトリグリセリドレベルの30%の増加である(Pennacchio, Olivierら 2001)。
【0004】
マウスおよびヒトにおいて得られた結果は明らかに、トリグリセリド恒常性におけるAA4RPの役割の重要性を示し、AA4RPが、高トリグリセリド血症の予後または診断のマーカーとして使用し得ることを示唆する。それ故、AA4RPを検出および/または定量する方法の開発は特に関連性がある。
【0005】
種々の理由から、血漿中のAA4RP濃度を測定することは極めて困難である。第一に、AA4RPは、アポリポタンパク質AIV(アポAIV)とで27%の同一性および48%の類似性を共有する。第二に、AA4RPは血漿中に非常に低い濃度で存在している。それ故、このアポリポタンパク質を定量および/または検出する特異的かつ感度の高い方法の開発が必須である。
【0006】
366のアミノ酸を含む前記タンパク質は、以下の一次構造(配列番号1)を有する。
【0007】
【表1】
【0008】
前記タンパク質は、肝再生に関与する可能性があるとして以前に記載されたRAP3タンパク質の配列に対応する(Genbankアクセス番号:AF202889.1:Van der Vliet H.N. Groenink M.、Leegwater A.C.J.およびChamuleau R.A.F.M.提出(1999年11月9日)Experimental Hepatology, Academic Medical Center、Meibergdreef 9、アムステルダム1105AZ、オランダ)。国際特許出願番号WO01/00803A2中のAA4RPタンパク質(アポリポタンパク質AIV関連タンパク質)にも対応する(前記出願の配列番号3)。
【0009】
本発明は、AA4RPに特異的な合成ペプチド(特異的な抗AA4RP抗体の産生に使用される)を産生する手法、および、このアポリポタンパク質を検出および直接的に定量する新規な免疫酵素的方法を提供する。AA4RPの定量は、有利には、サンドイッチ型のELISA法(酵素結合免疫吸着アッセイ)により実施される。抗AA4RP抗体をタンパク質の捕獲のために固相支持体上にコーティングし、その後、今や酵素で標識されている同じ抗体を、最初の抗体に結合したAA4RPを検出する抗体として使用する。検出段階が酵素の基質の存在下で実施され、酵素とその基質との間に展開する反応の強度がAA4RP濃度に正比例する。特異的抗AA4RP抗体を使用してAA4RPを検出、定量または精製するためには、ポリクローナル抗体、またはモノクローナル抗体、またはその混合物を使用することができる。
【0010】
本発明はまた、前記抗体、それらを含むキット、および、試料中、特に血清または血漿中のAA4RPの検出、定量または精製におけるその使用を記載する。前記抗体はまた、インビトロまたはインビボでAA4RP活性を変調し、被験者における脂質代謝を調節するための新規な手法を与える。
【0011】
本発明の第一の具体的な目的は、配列番号2の配列を含むAA4RPに特異的な実質的に純粋な合成ペプチド、または前記ペプチドの免疫原性断片もしくは誘導体に関する。
【0012】
本発明の別の目的は、本明細書で先に定義したようなAA4RPに特異的な合成ペプチドを用いる免疫化ステップを含む抗AA4RPの作製法に関する。本発明はまた、前記方法にしたがって調製された抗体、より一般的には本明細書で先に定義したようなペプチドに結合できる抗体、ならびに、前記抗体の断片または誘導体を含む。
【0013】
本発明の別の態様は、本明細書で先に定義したような抗体(その断片または誘導体を含む)を使用して、生物学的試料(特に調製したリポ粒子または全血漿または血清試料)中のAA4RPを検出またはアッセイする方法に関する。
【0014】
本発明の別の目的は、本明細書で先に定義したような抗体(その断片または誘導体を含む)を用いて、被験者由来の試料中のAA4RPをインビトロで検出することを含む、被験者における脂質代謝疾患を発症させるリスクまたは素因の存在を検出する方法に関する。
【0015】
本発明のさらなる目的は、本明細書で先に定義したような抗体(その断片または誘導体を含む)を用いて、AA4RPを含む粒子をインビトロで検出することを含む、被験者におけるトリグリセリドの豊富なリポタンパク質およびHDLの細胞取り込みを検出またはモニタリングする方法に関する。
【0016】
本発明の別の目的は、本明細書で先に定義したような抗体(その断片または誘導体を含む)を用いて、AA4RPの量またはレベルを、被験者由来の試料中でインビトロで検出することを含む、被験者におけるアテローム動脈硬化症の形成、発症または進行を検出および/またはモニタリングする方法に関する。
【0017】
被験者は、一般に、哺乳動物、好ましくはヒトであり、さらにより好ましくは、例えば冠状動脈疾患などの異常脂貧血症(より好ましくは高トリグリセリド血症)に連関した心臓血管疾患を発症するリスクのある被験者である。
【0018】
本発明の別の目的は、本明細書で先に定義したような抗体(その断片または誘導体を含む)および薬学的に許容される賦形剤もしくはビヒクルを含む医薬組成物に関する。
【0019】
特異的ペプチド
本明細書で前記に示したように、本発明の1つの態様は、配列番号2の配列を含むAA4RPの特異的な実質的に純粋な合成ペプチドまたは前記ペプチドの免疫原性断片もしくは誘導体に関する。「実質的に純粋」とは、ペプチドが、アポAIVに存在するアミノ酸配列および/または通常存在するか、特にアポA1のようなリポ粒子と結合しているタンパク質の混入を実質的に欠いていることを示す。「合成」とは、ペプチドが、天然で得られた分子ではなく、特に実施例に記載したような人工的方法(例えば化学的合成、アセンブリ(assembly)など)により調製されていることを示す。この点から、本発明のAA4RPに特異的な合成ペプチドは、好ましくは本質的にグリコシル化されていない。本発明のペプチドは、一般に、200未満のアミノ酸、より好ましくは150未満のアミノ酸、さらにより好ましくは120未満のアミノ酸を含む。
【0020】
本発明はここで、AA4RPの特異的な合成ペプチドを作製し、これを使用して特異的な抗AA4RP抗体を生成し得ることを実証する。本発明はさらに、前記抗体が、天然にまたは可溶性抗原の形で得られる、またはリポ粒子に含まれるAA4RPの特異的に結合できることを実証する。本発明はまた、前記抗体が、AA4RPを含む異なるリポ粒子(VLDLおよびHDL)に結合できることを実証する。したがって、AA4RPの特異的な前記合成ペプチドおよびその対応する抗体は、AA4RPの検出および前記アポリポタンパク質の特異的定量に特に有利である新規な産物を表す。
【0021】
より具体的には、本発明のAA4RPの特異的な好ましい合成ペプチドは、本明細書で下記に示すような配列番号2の配列、または前記ペプチドの免疫原性断片もしくは誘導体を含む。
【0022】
配列番号2
【0023】
【表2】
【0024】
前記95のアミノ酸のペプチド断片は、成熟なヒトAA4RP配列の残基20〜114に対応する。
【0025】
実施例に示すように、前記ペプチド(配列番号2の配列を含む)は、特に有利な様式で、固相合成により、より具体的にはBoc/Bzl手法(Merrifield 1963)を使用することにより、調製することができる。
【0026】
「誘導体」とは、1つ以上のアミノ酸残基の1つ以上の変異、置換、欠失および/または付加を含み、実質的に同じ抗原特異性を有するペプチドを包含する。誘導体の典型的な例には、AA4RP多型、スプライシングなどによる配列変化がある。特に好ましい誘導体は、配列番号2の配列、または配列番号2の配列に存在するアミノ酸とは異なる多くて5つのアミノ酸を含む修飾配列を含む。付加残基は、輸送または結合配列残基、保護基などであることができる。さらに、ペプチドは、その安定性を向上させるか、その免疫原性を向上させるか、「タグ」または他のキャリッジ(carriage)分子もしくはマーカーなどを取り込むよう、化学的、物理的および/または酵素的経路により修飾されていることができる。このような修飾の例には、グリコシル化、キャリッジ、マーカー(例えば放射性または酵素的標識など)の付加などがある。
【0027】
「断片」とは、配列番号2の配列の5〜95の連続残基、好ましくは10〜95の連続残基を含む任意のペプチドをいう。「断片」とは、エピトープを含む配列番号2の配列の任意の部分を含む。
【0028】
本発明の具体的な目的は、AA4RPの特異的なエピトープを含み、アポAIVに特異的なエピトープを欠き、配列番号2の配列または前記配列の断片もしくは誘導体を含む、AA4RPの特異的な合成ペプチドに関する。
【0029】
ペプチドは可溶性であっても、精製されていても、例えばKLH(キーホールリムペットヘモシアニン)または血清アルブミンなどの担体分子、またはさらに任意の他の不活性分子(例えば合成品)、例えばビーズなどとで複合体を形成していてもよい。本発明の特定の実施態様によると、ペプチドは担体分子にカップリング(coupling)している。特に、抗体の作製に使用される場合に当てはまる。カップリングは、当業者に既知の従来の方法にしたがって実施することができる(Vaitukaitis、Robbinsら1971)(Bassiri 1979)。
【0030】
ペプチドは、例えば生物学的に活性な分子などの異種ペプチド性分子とコンジュゲート(conjugate)またはカップリングしていてもよい。異種性は、AA4RP分子から派生しない任意のペプチドを示す。
【0031】
本発明の特定の目的は、配列番号2の配列を含む合成ペプチドを含み、他のタンパク質、特にアポリポタンパク質を欠く組成物に関する。
【0032】
ペプチドは、力価試験用のスクリーニング法の構成において、対照として、標準物質として、または試験校正に使用することができる。AA4RPの活性の変調にも使用することができる。また、抗AA4RP抗体の作製に特に有用である。
【0033】
抗体
これに関して、本発明の別の目的は、本明細書で先に定義したようなペプチドに結合できる任意の抗体に関する。抗体は、ポリクローナル抗体であってもよいし、モノクローナル抗体であってもよい。さらに、「抗体」とは一般に、任意の抗体断片または誘導体、特に、実質的に同じ抗原特異性を示す前記モノクローナルまたはポリクローナル抗体の断片または誘導体を含む。後者は、抗体断片(Fab、Fab′2、CDRなど)、ヒト化抗体、多機能抗体、単鎖抗体(ScFv)などを含む。本発明の抗体は、動物を免疫化し、血清(ポリクローナル)または脾臓細胞を回収すること(適切な細胞系との融合によるハイブリドーマの作製のため)を含む、従来の方法により作製することができる。
【0034】
マウス、げっ歯類、霊長類、ウマ、ブタ、ウサギ、家禽などを含む種々の種に由来するポリクローナル抗体の作製法は、例えばVaitukaitisら(Vaitukaitis、Robbinsら、1971)に見いだすことができる。抗原をアジュバント(例えばフロイントのアジュバント)と合わせ、動物に、典型的には皮下注射により投与する。繰り返し注射してもよい。血液試料を回収し、免疫グロブリンまたは血清を単離する。
【0035】
異なる種からモノクローナル抗体を作製する方法は、例えばHarlowら(Harlow 1988)またはKohlerら(KohlerおよびMilstein 1975)に見いだすことができる。前記方法は、動物を抗原で免疫化し、その後、脾臓細胞を回収し、これをその後、骨髄腫細胞などの不死化細胞と融合することを含む。得られたハイブリドーマはモノクローナル抗体を生じ、限界希釈により選択して個々のクローンを単離することができる。抗体はまた、例えばWardら(Ward、Gussowら 1989)に開示されているようなコンビナトリアル免疫グロブリンライブラリーの選択により作製することができる。
【0036】
好ましい本発明の抗体は、好ましくは配列番号2の配列または前記ペプチドの免疫原性断片もしくは誘導体、例えば少なくとも1つのエピトープを含む亜断片を含む、本明細書で前記したような特異的で実質的に純粋なAA4RPの合成ペプチドを用いた免疫化により調製する。
【0037】
FabまたはFab′2断片は、従来の方法によるプロテアーゼを用いた消化により作製することができる。ヒト化抗体は、例えばRiechmannら(Riechmann 1988)(Jones 1986)に記載のような方法の1つにより調製することができる。
【0038】
本発明はまた、配列番号2の配列を有するペプチドまたは前記ペプチドの免疫原性断片もしくは誘導体を非ヒト動物に注射し、抗体または抗体産生細胞を回収することを含む、抗AA4RP抗体の作製法に関する。この方法により、有利には特異的抗体の作製が可能となる。特異性は、他の循環中の血液タンパク質との交差反応がないことを実証することにより確証することができる。より一般的には、特異性は、抗体が任意の他の抗原に結合するよりも高い親和性でAA4RPに結合できることを示す。実施例に示すように、本発明のポリクローナル抗体は、高い効率でAA4RPを検出および/またはアッセイするために使用することができる。
【0039】
抗体は、共有結合的にまたはそうでなく、直接的に、またはカップリング剤を用いたいずれかで、毒素、マーカー、医薬、または任意の他の治療剤などの異種断片にカップリングすることができる。マーカーは、放射性標識、酵素、蛍光剤、磁気粒子などからなる群から選択することができる。好ましい毒素は、ジフテリア毒素、ボツリヌス毒素などにより例示される。医薬または治療剤は、特に、リンホカイン、抗生物質、アンチセンス配列、成長因子などから選択される。抗体を前記の異種断片とカップリングする方法は、例えば米国特許第4,277,149号および米国特許第3,996,345号に示されている。
【0040】
本発明の抗体は、治療、予防、診断用途、精製、検出などを含む多くの使い道を有する。
【0041】
インビトロでは、スクリーニング剤として、または、異なる生物学的試料(例えば血液試料)を含む種々の試料から抗原を精製するために使用することができる。また、被験者から回収した試料、典型的には哺乳動物または好ましくはヒト由来の血液試料中の、リポ粒子中のAA4RPの存在または量を検出または定量するために使用することができる。
【0042】
検出/アッセイ
これに関して、本発明の別の目的は、生物学的試料中のAA4RPを検出、測定、アッセイ、または定量する方法であって、試料を、本明細書で先に定義したような抗体(その断片または誘導体を含む)と接触させ、抗原−抗体免疫複合体(の存在)を検出、測定、アッセイ、または定量することを含む方法に関する。典型的には、前記の方法により、例えば標準条件または校正曲線との比較により、試料中のAA4RPレベルを測定することが可能となる。
【0043】
免疫複合体の測定は、直接的または競合的免疫学的方法などの従来の技術により、例えばRIA法(ラジオイムノアッセイ)、EIA(エレクトロイムノアッセイ)、比濁分析、濁度法、定量イムノブロット、熱量測定、干渉分光計、表面共鳴、力場測定、開発中の他のバイオセンサーなどにより実施することができる。しかし、本発明の特に好ましい目的は、ELISAサンドイッチアッセイに基づいた方法に関する。事実、本明細書で前記に示したように、抗体は特異的であり、試料中のAA4RPを認識でき、したがって、ポリクローナル抗AA4RP抗体(またはモノクローナル抗体の混合物)を用いてのAA4RPの正確で感度が高い効率的なアッセイが可能となる。
【0044】
それ故、本発明のより好ましい目的は、試料(またはその希釈液)を、本明細書で先に定義した、捕獲抗体と呼ばれる、支持体上に固定した第一抗体(その断片または誘導体を含む)と接触させ、本明細書で先に定義した、検出抗体と呼ばれる第二標識抗体(その断片または誘導体を含む)により形成された抗原−抗体免疫複合体を露呈させることを含む、生物学的試料中のAA4RPを検出、測定、アッセイまたは定量する方法に関する。
【0045】
特に好ましい態様において、捕獲抗体および検出抗体はポリクローナル抗体である。それらは同じポリクローナル抗体であってもよい。捕獲抗体は、任意のタイプの支持体、特にプラスチック、例えばプレート、ビーズ、カラム、ゲルなどに固定化することができる。有利には、支持体はマルチウェルプレートである。固定化は、典型的には、ウェルの表面に抗体を吸着させることにより達成される。任意の他のコーティング法を、直接的または間接的に、共有結合的にまたはそうではなく使用し得ることが理解されよう。捕獲抗体は、典型的には可溶性の形態で使用する。その検出および定量が可能となるように最初に標識する。放射能、蛍光、酵素、発光標識などの種々のタイプの標識が存在する。特定の態様において、標識は酵素標識であり、免疫複合体は、酵素活性の測定により判る。酵素標識の具体例はペルオキシダーゼであり、その活性は、例えばOPD基質の存在下で可視化することができる。
【0046】
本発明の特に好ましい目的は、生物学的試料中のAA4RPの検出、測定、アッセイ、または定量法であって、試料(またはその希釈液)を、本明細書で先に定義したようなポリクローナル捕獲抗体が固定化されている支持体と、特異的な免疫複合体の形成が可能となる条件下で接触させ、標識ポリクローナル検出抗体により最終的に形成された抗原−抗体複合体を露呈させることを含み、前記ポリクローナル抗体が本明細書で先に定義した通りである方法に関する。
【0047】
方法は、血漿、血清、間質液、細胞培養上澄みなどを含む異なる生物学的試料で実施することができる。試料は、被験者(例えばヒト被験者)から回収し、試験に直接使用することができる。あるいはまた、試料を希釈したり、後日の試験に備えて保存(例えば凍結)したりしてもよい。本発明はまた、非常に高い感度、再現性および反復性で、特異的抗AA4RP抗体の使用により、リポ粒子中のAA4RP濃度を測定する。
【0048】
検出は、異なる実験的、臨床的、疫学的、予後的および診断条件下で実施することができる。特に、この方法を使用して、ある被験者が脂質代謝疾患を発症させる素因を検出することができる。
【0049】
したがって、本発明の特定の目的は、被験者における脂質代謝疾患を発症させる素因またはリスクの存在を検出する方法であって、本明細書で先に定義したような抗体(その断片または誘導体を含む)を使用して、被験者から採取した試料上で、AA4RPを含むリポ粒子をインビトロで検出またはインビトロで測定することを含む方法に関する。AA4RPレベル(正常な被験者における平均値と比較することにより)は、脂質代謝疾患を発症させるリスクの高さを特徴とすることができる。
【0050】
本発明の別の目的は、被験者におけるHDLおよびトリグリセリドの豊富なリポタンパク質の細胞取り込みを検出またはモニタリングする方法であって、本明細書で先に定義したような抗体(その断片または誘導体を含む)を使用して、リポ粒子に存在するAA4RPの量をインビトロで検出することを含む方法に関する。
【0051】
本発明の別の目的は、被験者における脂質代謝疾患を直す処置をモニタリングする方法であって、該処置を該被験者に施した後、本明細書で先に定義したような抗体(その断片または誘導体を含む)を使用して、該被験者由来の試料におけるAA4RPレベルをインビトロで検出することを含む方法に関する。処置の効力は、被験者におけるAA4RPレベルと相関する。これらの結果は、AA4RPのレベルもしくは活性を調節する処置能力または被験者における正常なAA4RPレベルもしくは活性を回復する能力と相関させることができる。
【0052】
本発明のさらなる目的は、被験者の生理的状態、例えば被験者における脂質代謝レベルを評価する方法であって、本明細書で先に定義したような抗体(その断片または誘導体を含む)を使用して、被験者由来の試料におけるAA4RPレベルをインビトロまたはエクソビボ(ex vivo)で検出することを含む方法に関する。
【0053】
本明細書で先に示したように、該方法は、異なる試料(典型的には血漿または血清)に対し、RIA、EIA、比濁分析、濁度法、定量イムノブロット、熱量測定、干渉分光計、表面共鳴、力場測定、開発中の他のバイオセンサーなどにより、または好ましくはELISAサンドイッチアッセイにより実施することができる。
【0054】
本発明はまた、本明細書で先に定義したような抗体およびおそらくは薬学的に許容される賦形剤もしくはビヒクルを含む医薬組成物を含む。
【0055】
本発明はさらに、本明細書で前記したようなペプチドまたは抗体を含むキットに関する。キットは、任意の試料におけるAA4RPの検出または定量に使用することができる。
【0056】
本発明の他の態様および利点を以下の実施例に記載するが、これは、説明のためであり、限定のために記載するものではない。
【実施例】
【0057】
実施例1:ペプチド配列
1.適切なペプチド配列の選択
以下のペプチド断片を合成した。前記断片は、可撓性、親水性、抗原性、および二次構造を予測する種々のアルゴリズムを使用することにより規定した。95のアミノ酸を含む前記断片は、配列番号1の残基20〜114に対応する。
【0058】
【表3】
【0059】
2.ペプチド合成
ペプチドは、0.5mmol(0.57mmol/g)MBHA樹脂上でBoc/Bzl法を使用して、ABI431A自動合成機(Applied Biosystems社、米国カリフォルニア州)で固相合成(Merrifield 1963)により合成した。各アミノ酸を、キャッピングすることなくジシクロヘキシルカルボジイミド/ヒドロキシベンゾトリアゾールの存在下で2回カップリングした。側鎖保護基は以下の通りであった:Arg(Ts)、Asp(Ochex)、Glu(Ochex)、Lys(2−Cl−Z)、His(Dnp)、Ser(Bzl)、Thr(Bzl)、Met(O)、Trp(formy)、およびTyr(Br−Z)。
【0060】
ヒスチジン残基上のDnp基は、支持体からの開裂の前に、DCM媒体中、10%β−メルカプトエタノール、5%ジイソプロピルエチルアミンの存在下で2時間、その後NMP媒体中で2時間処理することにより、ペプチドから排除した。ペプチジル樹脂を、DCM媒体中50%TFAで20分間処理し、末端アミノ酸Bocを排除した。ペプチドを樹脂から開裂させると同時にスロー&ラピッドHF法にしたがって脱保護した。樹脂(1g)を、p−クレゾール(0.75g)、p−チオクレゾール(0.25g)およびジメチルスルフィド(0.5ml)の存在下、0℃の無水HF(2.5ml)で処理した。
【0061】
3時間後、フッ化水素およびジメチルスルフィドを真空蒸発により排除し、残りのスカベンジャーおよび二次生成物をジエチルエーテルで抽出した。反応容器に、p−クレゾール(0.75g)、p−チオクレゾール(0.25g)、および無水HF10mlを再度添加し、混合物を0℃で1.5時間インキュベートした。フッ化水素を蒸発により排除し、残渣をジエチルエーテルの存在下で混合した。残渣をろ過し、ジエチルエーテルで洗浄し、10%酢酸水溶液200mlで抽出し、その後、凍結乾燥した。
【0062】
質量分析
分子量は、イオンエレクトロスプレー質量分析計で測定した。エレクトロスプレースペクトルは、イオンスプレー(噴霧器を担持したエレクトロスプレー)を装備した単一四極子イオンエレクトロスプレー質量分析計であるAPI装置(Perkin-Elmer-Sciex)を使用することにより得た。
【0063】
4.免疫化
ペプチドを完全フロイントアジュバント中で乳化し、ウサギに、最初の2回の注射では1回あたり0.5mgの用量で、その後、2週間毎に同じアジュバント中で0.25mgのブースター用量で皮下注射した。
【0064】
実施例2:ウサギ特異的抗AA4RP抗体の単離および特性決定
1.抗AA4RP抗体の単離
ポリクローナル抗体を、27%硫酸ナトリウムで沈降することにより単離し、その後、AA4RPペプチド残基20〜114AA(Axen、Porathら1967)とカップリングした、活性化セファロース4Bゲル(Pharmacia、Uppsala、スウェーデン)でのアフィニティクロマトグラフィーにより精製した。抗原性ゲルに保持されなかったタンパク質を、リン酸緩衝生理食塩水(PBS:リン酸50mmol/L、pH7.2、NaCl 150mmol/L)で洗浄することにより排除した。AA4RPゲルに特異的に結合しなかった画分をPBS25mmol/Lで排除した。AA4RP特異的ポリクローナルIgGを0.2MグリシンpH2.8で溶出した。精製した抗体をただちにPBS10mmol/Lに対して透析し、その後、Amiconシステム(カットオフ100kD)(Amicon, Dr. Bervely、米国マサチューセッツ州)で限外ろ過により濃縮し、タンパク質含量(Lowry O.H. 1951)についてアッセイし、その後、1mlアリコート(1mg)で−30℃で保存した。
【0065】
2.ウェスタンブロット解析
2.1−プロトコール:
抗体純度および特異性をウェスタンブロット(Towbin, Staehelinら、1979)により解析した。ヒトHDL、LDLおよびVLDL粒子を変性SDS−PAGE電気泳動(5〜24%)にかけ、その後、ニトロセルロース膜に転写し、精製した抗ヒトAA4RP抗体と反応させた。免疫反応性タンパク質を、セイヨウワサビペルオキシダーゼ結合抗IgGポリクローナル抗体(Sanofi-Diagnostics Pasteur、Marnes-la-Coquette、フランス)で可視化した。反応を化学ルミネセンスにより展開した(Amersham、Pharmacia、Biotec)。
【0066】
2.2−結果
結果を図1に提示する。抗AA4RP抗体により判明した特異的バンドが、32.5kDaの分子量マーカーと47.5kDaの分子量マーカーの間に位置することがこの図面で分かる。
【0067】
2.3−解釈
異なるヒトリポタンパク質に関するイムノブロット結果により、AA4RPがVLDLおよびHDL、主にHDLに局在することが示される。
【0068】
VLDL中のAA4RPの存在は、これらのトリグリセリドの豊富なリポタンパク質の代謝調節におけるこのアポリポタンパク質の役割を説明し、したがって、これらのアテローム生成性脂質の濃度の調節を説明する。
【0069】
HDLにおけるAA4RPの局在は、逆コレステロール輸送におけるこれらの粒子の役割に疑いなく関連している。事実、HDLに局在するアポリポタンパク質の大半は、HDLによる細胞由来コレステロールの取り込みを促進し、肝臓に移され、そこで排除される。
【0070】
実施例3:AA4RPのELISAアッセイ(サンドイッチ型)
1.ELISA試験に使用される試薬および材料
1.1−捕獲抗体
抗AA4RP母液を1mg/mlに濃縮し、コーティング(96ウェルプレートのウェル中における抗体の固定)を10μg/mlで実施し、抗体をリン酸緩衝生理食塩水(0.1M PBS、0.15M NaCl、pH7.2〜7.4)で希釈した。
【0071】
1.2−検出抗体
捕獲に使用した同じ抗体をペルオキシダーゼで標識した。これを、1%BSAを含む0.1M PBS緩衝液中で1:5000に希釈した。
【0072】
1.3−標準物質
20〜114ペプチドを使用して、一連の検量点を調製した。ペプチド濃度は1mg/mlであった。検量曲線をプロットするために、標準物質を、以下の表にしたがって、0.1M PBS/1%BSAに希釈した。
【0073】
【表4】
【0074】
1.4−試料の調製
新鮮な試料が解析には勧められる。血漿は、確立された手順により収集し、臨床実験室で使用すべきである。必要であれば、血漿を1週間まで2℃ないし8℃で保存してもよい。凍結して保存されている試料はより長期間使用することができる。試料はその起源にしたがって希釈した:
−脂質の正常な被験者由来の血漿:1.3〜4倍
−高トリグリセリド血症被験者由来の血漿:2〜16倍
−超遠心分離により血漿から調製したHDL:4〜128倍
希釈はPBS/1%BSA中であった。
【0075】
2.プロトコール
−「コーティング」:標識されていない抗AA4RP捕獲抗体を、室温で一夜、100μl/ウェル(96ウェルマイクロタイタープレート)でインキュベートした。
−プレートの洗浄:プレート上に結合していない抗体は、プレートを0.1M PBSで4回洗浄することにより排除した。
−試料の添加および検量点:ペプチド検量溶液、ヒト血漿およびHDLを、1ウェルあたり100μl加え、その後、37℃で2時間インキュベートした。
−洗浄:抗AA4RP捕獲抗体に結合しなかった過剰なペプチドおよび生物学的試料由来のAA4RPは、マイクロタイタープレートを4回連続で洗浄することにより排除した。
−検出:検出は、PBS/1%BSA中1/5000に希釈したペルオキシダーゼ標識抗AA4RP抗体を用いて実施した。100μlの調製液をマイクロタイタープレートの各ウェルに加えた。インキュベートは37℃で2時間であった。
−洗浄:過剰な抗AA4RP検出抗体は、プレートを0.1M PBSで4回洗浄することにより排除した。
−酵素比色反応の展開:1ウェルあたり100μlのo−フェニレンジアミン二塩酸塩(OPD)基質の添加により実施し、その後、反応を暗所で30分間展開した。
−停止反応:1ウェルあたり100μlの1N HClの添加による。
−吸光度読み取り:492nmに設定した分光光度計。
【0076】
3.結果および解釈
3.1−検量曲線
検量曲線は、検量点の種々の希釈度の濃度に応じて、光学密度の増加を示す4つの未知数の関数にしたがって作成した。それはELISA免疫酵素アッセイに特徴的なシグモイド曲線である(図2)。
【0077】
種々の希釈度の20〜114ペプチド、脂質の正常なヒト血漿およびHDLを示す曲線がオーバーラップし、これは、抗AA4RP抗体が、合成ペプチドと、ヒト血漿またはリポタンパク質中の天然AA4RPとに同じ親和性を有することを示す。さらに、ペプチドまたはプールしたヒト血漿のいずれかから作成した一連の検量点を使用する、数人の被験者におけるAA4RPのアッセイは、AA4RP濃度について有意に類似した結果を与えた(図3)。
【0078】
3.2−作業範囲および検出限界
1〜62ng/mlの約2Logで、非常に異なるAA4RP濃度を有する試料のアッセイを可能とする。検出限界は1ng/mlであり、これはアッセイが非常に高い感度を有することを示す。
【0079】
3.3−正常値
トリグリセリドレベルが1mg/mlを超えない脂質の正常な被験者の集団におけるAA4RPアッセイにより、9.84〜29.44ng/mlの範囲のアポリポタンパク質濃度値が得られた。
【0080】
実施例4:異なる血漿区分におけるAA4RP濃度と全トリグリセリドレベルとの相関
1.プロトコール
血漿トリグリセリドレベルと、血漿中AA4RP濃度、または非HDLリポタンパク質(VLDL、IDLおよびLDL)中のAA4RP、またはHDLリポタンパク質中のAA4RPとの相関を、0.5〜4mg/mlのトリグリセリドレベルを有する集団で決定した。
【0081】
1.1−HDLおよび非HDLリポタンパク質の調製
HDLおよび非HDLリポタンパク質は、異なる被験者由来の血漿にリンタングステン酸およびMg2+を添加することによって後者を沈降させることによって調製した(アポB含有リポタンパク質、すなわちVLDL、IDLおよびLDLの選択的沈降)(Burstein、Scholnickら1970;Lopes-Virella、Stoneら1977)。簡潔には、血漿を、リンタングステン溶液中、室温で10分間インキュベートし、その後、2500rpmで15分間遠心分離し、最後にHDLを含む上澄みを、非HDLリポタンパク質を含むペレットから分離した。
【0082】
1.2−トリグリセリドアッセイ
血漿中トリグリセリドを、CFAS脂質キャリブレーター、参照番号759350(Boehringer Mannheim社、ドイツ)を用いて作成した検量曲線に対して、酵素比色法によりアッセイした。検量曲線は、16〜500μg/mlの濃度範囲を網羅するものであった。100μlの各試料希釈液または検量標準物質を、96ウェルマイクロタイタープレートの各ウェルに被着させた。次に、200μlのトリグリセリド試薬、参照番号701912(Boehringer Mannheim社、ドイツ)を各ウェルに加え、プレートを37℃で30分間インキュベートした。492nmに設定した分光光度計で光学密度(OD)を読み取った。各試料中のトリグリセリド濃度を、一次方程式y=ax+b(yはODを示し、xはトリグリセリド濃度を示す)としてプロットした標準曲線から計算した。
【0083】
1.3−HDLリポタンパク質および非HDLリポタンパク質中の全AA4RPのアッセイ
血漿中およびHDLリポタンパク質中の全AA4RPレベルを、実施例3のプロトコールにしたがってアッセイした。非HDLリポタンパク質中のAA4RP濃度を、全血漿AAR4RP濃度と、HDLリポタンパク質の濃度との差異として計算した。
【0084】
2.結果および解釈:
血漿中のAA4RP濃度と、全トリグリセリドまたは非HDLリポタンパク質のトリグリセリドの濃度との間に相関関係は認められなかった。一方、タンパク質の濃度と、HDLリポタンパク質中のトリグリセリド濃度との間には有意な負の相関が見いだされた(r=0.5、p<0.001)。この知見は、トリグリセリドレベルの増加が大きくなればなるほど、HDL中のAA4RP濃度の低下は大きくなり、よって、HDL、ひいてはこのタイプのリポタンパク質中に存在するAA4RPの抗アテローム生成的役割が確認される。
【0085】
実施例5:ヒトAA4RPにトランスジェニックなマウスにおけるAA4RPの定量
1.−プロトコール:
AA4RP濃度を、正常なC57BL/6マウス、非トランスジェニックFVBマウス、FVB遺伝的背景をもつAA4RPノックアウトマウス(KO)およびヒトAA4RPにトランスジェニックなマウス(FVB遺伝的背景)で測定した。アッセイプロトコールは、実施例3に記載のものと同一であった。
【0086】
2.結果および解釈:
図4は、アッセイにより、ヒトAA4RPにトランスジェニックなマウスにおいてのみAA4RPが検出されたことを示し、ヒトとマウスとの間でのこの方法の特異性を実証する。これは非常に興味深い。なぜなら、内因性タンパク質が混入することなく修飾動物モデルにおける外来性AA4RPを定量することが可能であり、したがって、動物の内因性AA4RPの作用と外来性起源の作用とを区別できるからである。
【0087】
【表5】
【図面の簡単な説明】
【0088】
【図1】抗体特異性。抗AA4RP抗体特異性のSDS PAGE対照ならびにVLDLおよびHDLにおけるAA4RP分布の実証。
【図2】AA4RPに対するELISA試験。検量曲線を、実施例3に記載のプロトコールにしたがって、ペプチド20〜114の濃度(◆)、脂質の正常な被験者由来の血漿の濃度(▲)、および脂質の正常な被験者由来の血漿から調製したHDLの濃度(●)に対するODとしてプロットした。
【図3】ELISAによる、ペプチド20〜114の検量系から計算した血漿または脂質の正常な被験者からプールした血漿中のAA4RP濃度。
【図4】非トランスジェニックC57 BL/6マウスおよびFVBマウス、FVB遺伝子的背景を有するAA4RPノックアウト(KO)マウスおよびヒトAA4RP(FVB遺伝的背景)にトランスジェニックなマウスにおけるAA4RPのELISAアッセイ。
【0001】
本発明は、「アポリポタンパク質AIV関連タンパク質」(AA4RP)をアッセイまたは検出するための組成物および方法に関する。特に、AA4RPの直接的な検出および定量を可能とする方法に関する。本発明はまた、AA4RPの合成産物、対応する抗体、それらを含むキット、ならびに生物学的試料中のAA4RPを検出および定量するためのその使用に関する。
【0002】
血漿中トリグリセリドレベルの上昇は、今日では世界中の死亡原因の第一位である心臓血管疾患の発症における決定的な因子の1つである(HokansonおよびAustin1996)。研究により、アポリポタンパク質の濃度または構造の変化が脂質レベルの異常およびアテローム動脈硬化症のリスク増加に連関していることが示された(Rubin, Kraussら、1991;Plump, Smithら、1992;Duverger, Trempら、1996;Huang, Liuら1998;Lusis 2000;RubinおよびTall 2000)。血漿トリグリセリドバランスにアポリポタンパク質が関与している1つの非常に適切な例はAA4RPの例である。この近年に発見されたアポリポタンパク質は、マウスおよびヒトにおけるトリグリセリド代謝の調節において重要な因子であることが示された(Pennacchio, Olivierら 2001)。ヒトAA4RPに対してトランスジェニックなマウスは、対照マウスに比べて、血漿トリグリセリドの3倍の減少を示した。逆に、AA4RPをコードする遺伝子を所有しないノックアウトマウスは、対照マウスより4倍高い血漿中トリグリセリドレベルを有していた。トランスジェニックマウスおよびAA4RPノックアウトマウスで観察されたトリグリセリドレベルの変化は、アポリポタンパク質CIII(アポCIII)のレベルの変化に沿っており、このアポリポタンパク質は、リポタンパク質リパーゼ(LpL)によるトリグリセリドの加水分解を阻害するという事実のためにトリグリセリドレベルの積極的な指標であることが知られている。アポCIIIの血漿中濃度は、脂質の豊富な食餌を与えたヒトAA4RPに対してトランスジェニックなマウスにおいて減少しており、一方、ノックアウトマウスにおけるアポCIIIレベルは増加しており、これは、AA4RPの作用機序の1つが、アポCIII遺伝子の発現を調節するものであるかもしれないことを示し、したがって、トリグリセリドの排除におけるAA4RPの積極的な役割を確認する。
【0003】
ヒトでは、非常に密接な関連がAA4RP多型とトリグリセリドレベルとの間で実証されている。事実、AA4RP多型のマイナーな対立遺伝子SNPs1−3は、高いトリグリセリドレベルに関連している。代表的な結果は、野生型対立遺伝子に対してホモ接合性である被験者に比べて、これらの1つの対立遺伝子を有する個体におけるトリグリセリドレベルの30%の増加である(Pennacchio, Olivierら 2001)。
【0004】
マウスおよびヒトにおいて得られた結果は明らかに、トリグリセリド恒常性におけるAA4RPの役割の重要性を示し、AA4RPが、高トリグリセリド血症の予後または診断のマーカーとして使用し得ることを示唆する。それ故、AA4RPを検出および/または定量する方法の開発は特に関連性がある。
【0005】
種々の理由から、血漿中のAA4RP濃度を測定することは極めて困難である。第一に、AA4RPは、アポリポタンパク質AIV(アポAIV)とで27%の同一性および48%の類似性を共有する。第二に、AA4RPは血漿中に非常に低い濃度で存在している。それ故、このアポリポタンパク質を定量および/または検出する特異的かつ感度の高い方法の開発が必須である。
【0006】
366のアミノ酸を含む前記タンパク質は、以下の一次構造(配列番号1)を有する。
【0007】
【表1】
【0008】
前記タンパク質は、肝再生に関与する可能性があるとして以前に記載されたRAP3タンパク質の配列に対応する(Genbankアクセス番号:AF202889.1:Van der Vliet H.N. Groenink M.、Leegwater A.C.J.およびChamuleau R.A.F.M.提出(1999年11月9日)Experimental Hepatology, Academic Medical Center、Meibergdreef 9、アムステルダム1105AZ、オランダ)。国際特許出願番号WO01/00803A2中のAA4RPタンパク質(アポリポタンパク質AIV関連タンパク質)にも対応する(前記出願の配列番号3)。
【0009】
本発明は、AA4RPに特異的な合成ペプチド(特異的な抗AA4RP抗体の産生に使用される)を産生する手法、および、このアポリポタンパク質を検出および直接的に定量する新規な免疫酵素的方法を提供する。AA4RPの定量は、有利には、サンドイッチ型のELISA法(酵素結合免疫吸着アッセイ)により実施される。抗AA4RP抗体をタンパク質の捕獲のために固相支持体上にコーティングし、その後、今や酵素で標識されている同じ抗体を、最初の抗体に結合したAA4RPを検出する抗体として使用する。検出段階が酵素の基質の存在下で実施され、酵素とその基質との間に展開する反応の強度がAA4RP濃度に正比例する。特異的抗AA4RP抗体を使用してAA4RPを検出、定量または精製するためには、ポリクローナル抗体、またはモノクローナル抗体、またはその混合物を使用することができる。
【0010】
本発明はまた、前記抗体、それらを含むキット、および、試料中、特に血清または血漿中のAA4RPの検出、定量または精製におけるその使用を記載する。前記抗体はまた、インビトロまたはインビボでAA4RP活性を変調し、被験者における脂質代謝を調節するための新規な手法を与える。
【0011】
本発明の第一の具体的な目的は、配列番号2の配列を含むAA4RPに特異的な実質的に純粋な合成ペプチド、または前記ペプチドの免疫原性断片もしくは誘導体に関する。
【0012】
本発明の別の目的は、本明細書で先に定義したようなAA4RPに特異的な合成ペプチドを用いる免疫化ステップを含む抗AA4RPの作製法に関する。本発明はまた、前記方法にしたがって調製された抗体、より一般的には本明細書で先に定義したようなペプチドに結合できる抗体、ならびに、前記抗体の断片または誘導体を含む。
【0013】
本発明の別の態様は、本明細書で先に定義したような抗体(その断片または誘導体を含む)を使用して、生物学的試料(特に調製したリポ粒子または全血漿または血清試料)中のAA4RPを検出またはアッセイする方法に関する。
【0014】
本発明の別の目的は、本明細書で先に定義したような抗体(その断片または誘導体を含む)を用いて、被験者由来の試料中のAA4RPをインビトロで検出することを含む、被験者における脂質代謝疾患を発症させるリスクまたは素因の存在を検出する方法に関する。
【0015】
本発明のさらなる目的は、本明細書で先に定義したような抗体(その断片または誘導体を含む)を用いて、AA4RPを含む粒子をインビトロで検出することを含む、被験者におけるトリグリセリドの豊富なリポタンパク質およびHDLの細胞取り込みを検出またはモニタリングする方法に関する。
【0016】
本発明の別の目的は、本明細書で先に定義したような抗体(その断片または誘導体を含む)を用いて、AA4RPの量またはレベルを、被験者由来の試料中でインビトロで検出することを含む、被験者におけるアテローム動脈硬化症の形成、発症または進行を検出および/またはモニタリングする方法に関する。
【0017】
被験者は、一般に、哺乳動物、好ましくはヒトであり、さらにより好ましくは、例えば冠状動脈疾患などの異常脂貧血症(より好ましくは高トリグリセリド血症)に連関した心臓血管疾患を発症するリスクのある被験者である。
【0018】
本発明の別の目的は、本明細書で先に定義したような抗体(その断片または誘導体を含む)および薬学的に許容される賦形剤もしくはビヒクルを含む医薬組成物に関する。
【0019】
特異的ペプチド
本明細書で前記に示したように、本発明の1つの態様は、配列番号2の配列を含むAA4RPの特異的な実質的に純粋な合成ペプチドまたは前記ペプチドの免疫原性断片もしくは誘導体に関する。「実質的に純粋」とは、ペプチドが、アポAIVに存在するアミノ酸配列および/または通常存在するか、特にアポA1のようなリポ粒子と結合しているタンパク質の混入を実質的に欠いていることを示す。「合成」とは、ペプチドが、天然で得られた分子ではなく、特に実施例に記載したような人工的方法(例えば化学的合成、アセンブリ(assembly)など)により調製されていることを示す。この点から、本発明のAA4RPに特異的な合成ペプチドは、好ましくは本質的にグリコシル化されていない。本発明のペプチドは、一般に、200未満のアミノ酸、より好ましくは150未満のアミノ酸、さらにより好ましくは120未満のアミノ酸を含む。
【0020】
本発明はここで、AA4RPの特異的な合成ペプチドを作製し、これを使用して特異的な抗AA4RP抗体を生成し得ることを実証する。本発明はさらに、前記抗体が、天然にまたは可溶性抗原の形で得られる、またはリポ粒子に含まれるAA4RPの特異的に結合できることを実証する。本発明はまた、前記抗体が、AA4RPを含む異なるリポ粒子(VLDLおよびHDL)に結合できることを実証する。したがって、AA4RPの特異的な前記合成ペプチドおよびその対応する抗体は、AA4RPの検出および前記アポリポタンパク質の特異的定量に特に有利である新規な産物を表す。
【0021】
より具体的には、本発明のAA4RPの特異的な好ましい合成ペプチドは、本明細書で下記に示すような配列番号2の配列、または前記ペプチドの免疫原性断片もしくは誘導体を含む。
【0022】
配列番号2
【0023】
【表2】
【0024】
前記95のアミノ酸のペプチド断片は、成熟なヒトAA4RP配列の残基20〜114に対応する。
【0025】
実施例に示すように、前記ペプチド(配列番号2の配列を含む)は、特に有利な様式で、固相合成により、より具体的にはBoc/Bzl手法(Merrifield 1963)を使用することにより、調製することができる。
【0026】
「誘導体」とは、1つ以上のアミノ酸残基の1つ以上の変異、置換、欠失および/または付加を含み、実質的に同じ抗原特異性を有するペプチドを包含する。誘導体の典型的な例には、AA4RP多型、スプライシングなどによる配列変化がある。特に好ましい誘導体は、配列番号2の配列、または配列番号2の配列に存在するアミノ酸とは異なる多くて5つのアミノ酸を含む修飾配列を含む。付加残基は、輸送または結合配列残基、保護基などであることができる。さらに、ペプチドは、その安定性を向上させるか、その免疫原性を向上させるか、「タグ」または他のキャリッジ(carriage)分子もしくはマーカーなどを取り込むよう、化学的、物理的および/または酵素的経路により修飾されていることができる。このような修飾の例には、グリコシル化、キャリッジ、マーカー(例えば放射性または酵素的標識など)の付加などがある。
【0027】
「断片」とは、配列番号2の配列の5〜95の連続残基、好ましくは10〜95の連続残基を含む任意のペプチドをいう。「断片」とは、エピトープを含む配列番号2の配列の任意の部分を含む。
【0028】
本発明の具体的な目的は、AA4RPの特異的なエピトープを含み、アポAIVに特異的なエピトープを欠き、配列番号2の配列または前記配列の断片もしくは誘導体を含む、AA4RPの特異的な合成ペプチドに関する。
【0029】
ペプチドは可溶性であっても、精製されていても、例えばKLH(キーホールリムペットヘモシアニン)または血清アルブミンなどの担体分子、またはさらに任意の他の不活性分子(例えば合成品)、例えばビーズなどとで複合体を形成していてもよい。本発明の特定の実施態様によると、ペプチドは担体分子にカップリング(coupling)している。特に、抗体の作製に使用される場合に当てはまる。カップリングは、当業者に既知の従来の方法にしたがって実施することができる(Vaitukaitis、Robbinsら1971)(Bassiri 1979)。
【0030】
ペプチドは、例えば生物学的に活性な分子などの異種ペプチド性分子とコンジュゲート(conjugate)またはカップリングしていてもよい。異種性は、AA4RP分子から派生しない任意のペプチドを示す。
【0031】
本発明の特定の目的は、配列番号2の配列を含む合成ペプチドを含み、他のタンパク質、特にアポリポタンパク質を欠く組成物に関する。
【0032】
ペプチドは、力価試験用のスクリーニング法の構成において、対照として、標準物質として、または試験校正に使用することができる。AA4RPの活性の変調にも使用することができる。また、抗AA4RP抗体の作製に特に有用である。
【0033】
抗体
これに関して、本発明の別の目的は、本明細書で先に定義したようなペプチドに結合できる任意の抗体に関する。抗体は、ポリクローナル抗体であってもよいし、モノクローナル抗体であってもよい。さらに、「抗体」とは一般に、任意の抗体断片または誘導体、特に、実質的に同じ抗原特異性を示す前記モノクローナルまたはポリクローナル抗体の断片または誘導体を含む。後者は、抗体断片(Fab、Fab′2、CDRなど)、ヒト化抗体、多機能抗体、単鎖抗体(ScFv)などを含む。本発明の抗体は、動物を免疫化し、血清(ポリクローナル)または脾臓細胞を回収すること(適切な細胞系との融合によるハイブリドーマの作製のため)を含む、従来の方法により作製することができる。
【0034】
マウス、げっ歯類、霊長類、ウマ、ブタ、ウサギ、家禽などを含む種々の種に由来するポリクローナル抗体の作製法は、例えばVaitukaitisら(Vaitukaitis、Robbinsら、1971)に見いだすことができる。抗原をアジュバント(例えばフロイントのアジュバント)と合わせ、動物に、典型的には皮下注射により投与する。繰り返し注射してもよい。血液試料を回収し、免疫グロブリンまたは血清を単離する。
【0035】
異なる種からモノクローナル抗体を作製する方法は、例えばHarlowら(Harlow 1988)またはKohlerら(KohlerおよびMilstein 1975)に見いだすことができる。前記方法は、動物を抗原で免疫化し、その後、脾臓細胞を回収し、これをその後、骨髄腫細胞などの不死化細胞と融合することを含む。得られたハイブリドーマはモノクローナル抗体を生じ、限界希釈により選択して個々のクローンを単離することができる。抗体はまた、例えばWardら(Ward、Gussowら 1989)に開示されているようなコンビナトリアル免疫グロブリンライブラリーの選択により作製することができる。
【0036】
好ましい本発明の抗体は、好ましくは配列番号2の配列または前記ペプチドの免疫原性断片もしくは誘導体、例えば少なくとも1つのエピトープを含む亜断片を含む、本明細書で前記したような特異的で実質的に純粋なAA4RPの合成ペプチドを用いた免疫化により調製する。
【0037】
FabまたはFab′2断片は、従来の方法によるプロテアーゼを用いた消化により作製することができる。ヒト化抗体は、例えばRiechmannら(Riechmann 1988)(Jones 1986)に記載のような方法の1つにより調製することができる。
【0038】
本発明はまた、配列番号2の配列を有するペプチドまたは前記ペプチドの免疫原性断片もしくは誘導体を非ヒト動物に注射し、抗体または抗体産生細胞を回収することを含む、抗AA4RP抗体の作製法に関する。この方法により、有利には特異的抗体の作製が可能となる。特異性は、他の循環中の血液タンパク質との交差反応がないことを実証することにより確証することができる。より一般的には、特異性は、抗体が任意の他の抗原に結合するよりも高い親和性でAA4RPに結合できることを示す。実施例に示すように、本発明のポリクローナル抗体は、高い効率でAA4RPを検出および/またはアッセイするために使用することができる。
【0039】
抗体は、共有結合的にまたはそうでなく、直接的に、またはカップリング剤を用いたいずれかで、毒素、マーカー、医薬、または任意の他の治療剤などの異種断片にカップリングすることができる。マーカーは、放射性標識、酵素、蛍光剤、磁気粒子などからなる群から選択することができる。好ましい毒素は、ジフテリア毒素、ボツリヌス毒素などにより例示される。医薬または治療剤は、特に、リンホカイン、抗生物質、アンチセンス配列、成長因子などから選択される。抗体を前記の異種断片とカップリングする方法は、例えば米国特許第4,277,149号および米国特許第3,996,345号に示されている。
【0040】
本発明の抗体は、治療、予防、診断用途、精製、検出などを含む多くの使い道を有する。
【0041】
インビトロでは、スクリーニング剤として、または、異なる生物学的試料(例えば血液試料)を含む種々の試料から抗原を精製するために使用することができる。また、被験者から回収した試料、典型的には哺乳動物または好ましくはヒト由来の血液試料中の、リポ粒子中のAA4RPの存在または量を検出または定量するために使用することができる。
【0042】
検出/アッセイ
これに関して、本発明の別の目的は、生物学的試料中のAA4RPを検出、測定、アッセイ、または定量する方法であって、試料を、本明細書で先に定義したような抗体(その断片または誘導体を含む)と接触させ、抗原−抗体免疫複合体(の存在)を検出、測定、アッセイ、または定量することを含む方法に関する。典型的には、前記の方法により、例えば標準条件または校正曲線との比較により、試料中のAA4RPレベルを測定することが可能となる。
【0043】
免疫複合体の測定は、直接的または競合的免疫学的方法などの従来の技術により、例えばRIA法(ラジオイムノアッセイ)、EIA(エレクトロイムノアッセイ)、比濁分析、濁度法、定量イムノブロット、熱量測定、干渉分光計、表面共鳴、力場測定、開発中の他のバイオセンサーなどにより実施することができる。しかし、本発明の特に好ましい目的は、ELISAサンドイッチアッセイに基づいた方法に関する。事実、本明細書で前記に示したように、抗体は特異的であり、試料中のAA4RPを認識でき、したがって、ポリクローナル抗AA4RP抗体(またはモノクローナル抗体の混合物)を用いてのAA4RPの正確で感度が高い効率的なアッセイが可能となる。
【0044】
それ故、本発明のより好ましい目的は、試料(またはその希釈液)を、本明細書で先に定義した、捕獲抗体と呼ばれる、支持体上に固定した第一抗体(その断片または誘導体を含む)と接触させ、本明細書で先に定義した、検出抗体と呼ばれる第二標識抗体(その断片または誘導体を含む)により形成された抗原−抗体免疫複合体を露呈させることを含む、生物学的試料中のAA4RPを検出、測定、アッセイまたは定量する方法に関する。
【0045】
特に好ましい態様において、捕獲抗体および検出抗体はポリクローナル抗体である。それらは同じポリクローナル抗体であってもよい。捕獲抗体は、任意のタイプの支持体、特にプラスチック、例えばプレート、ビーズ、カラム、ゲルなどに固定化することができる。有利には、支持体はマルチウェルプレートである。固定化は、典型的には、ウェルの表面に抗体を吸着させることにより達成される。任意の他のコーティング法を、直接的または間接的に、共有結合的にまたはそうではなく使用し得ることが理解されよう。捕獲抗体は、典型的には可溶性の形態で使用する。その検出および定量が可能となるように最初に標識する。放射能、蛍光、酵素、発光標識などの種々のタイプの標識が存在する。特定の態様において、標識は酵素標識であり、免疫複合体は、酵素活性の測定により判る。酵素標識の具体例はペルオキシダーゼであり、その活性は、例えばOPD基質の存在下で可視化することができる。
【0046】
本発明の特に好ましい目的は、生物学的試料中のAA4RPの検出、測定、アッセイ、または定量法であって、試料(またはその希釈液)を、本明細書で先に定義したようなポリクローナル捕獲抗体が固定化されている支持体と、特異的な免疫複合体の形成が可能となる条件下で接触させ、標識ポリクローナル検出抗体により最終的に形成された抗原−抗体複合体を露呈させることを含み、前記ポリクローナル抗体が本明細書で先に定義した通りである方法に関する。
【0047】
方法は、血漿、血清、間質液、細胞培養上澄みなどを含む異なる生物学的試料で実施することができる。試料は、被験者(例えばヒト被験者)から回収し、試験に直接使用することができる。あるいはまた、試料を希釈したり、後日の試験に備えて保存(例えば凍結)したりしてもよい。本発明はまた、非常に高い感度、再現性および反復性で、特異的抗AA4RP抗体の使用により、リポ粒子中のAA4RP濃度を測定する。
【0048】
検出は、異なる実験的、臨床的、疫学的、予後的および診断条件下で実施することができる。特に、この方法を使用して、ある被験者が脂質代謝疾患を発症させる素因を検出することができる。
【0049】
したがって、本発明の特定の目的は、被験者における脂質代謝疾患を発症させる素因またはリスクの存在を検出する方法であって、本明細書で先に定義したような抗体(その断片または誘導体を含む)を使用して、被験者から採取した試料上で、AA4RPを含むリポ粒子をインビトロで検出またはインビトロで測定することを含む方法に関する。AA4RPレベル(正常な被験者における平均値と比較することにより)は、脂質代謝疾患を発症させるリスクの高さを特徴とすることができる。
【0050】
本発明の別の目的は、被験者におけるHDLおよびトリグリセリドの豊富なリポタンパク質の細胞取り込みを検出またはモニタリングする方法であって、本明細書で先に定義したような抗体(その断片または誘導体を含む)を使用して、リポ粒子に存在するAA4RPの量をインビトロで検出することを含む方法に関する。
【0051】
本発明の別の目的は、被験者における脂質代謝疾患を直す処置をモニタリングする方法であって、該処置を該被験者に施した後、本明細書で先に定義したような抗体(その断片または誘導体を含む)を使用して、該被験者由来の試料におけるAA4RPレベルをインビトロで検出することを含む方法に関する。処置の効力は、被験者におけるAA4RPレベルと相関する。これらの結果は、AA4RPのレベルもしくは活性を調節する処置能力または被験者における正常なAA4RPレベルもしくは活性を回復する能力と相関させることができる。
【0052】
本発明のさらなる目的は、被験者の生理的状態、例えば被験者における脂質代謝レベルを評価する方法であって、本明細書で先に定義したような抗体(その断片または誘導体を含む)を使用して、被験者由来の試料におけるAA4RPレベルをインビトロまたはエクソビボ(ex vivo)で検出することを含む方法に関する。
【0053】
本明細書で先に示したように、該方法は、異なる試料(典型的には血漿または血清)に対し、RIA、EIA、比濁分析、濁度法、定量イムノブロット、熱量測定、干渉分光計、表面共鳴、力場測定、開発中の他のバイオセンサーなどにより、または好ましくはELISAサンドイッチアッセイにより実施することができる。
【0054】
本発明はまた、本明細書で先に定義したような抗体およびおそらくは薬学的に許容される賦形剤もしくはビヒクルを含む医薬組成物を含む。
【0055】
本発明はさらに、本明細書で前記したようなペプチドまたは抗体を含むキットに関する。キットは、任意の試料におけるAA4RPの検出または定量に使用することができる。
【0056】
本発明の他の態様および利点を以下の実施例に記載するが、これは、説明のためであり、限定のために記載するものではない。
【実施例】
【0057】
実施例1:ペプチド配列
1.適切なペプチド配列の選択
以下のペプチド断片を合成した。前記断片は、可撓性、親水性、抗原性、および二次構造を予測する種々のアルゴリズムを使用することにより規定した。95のアミノ酸を含む前記断片は、配列番号1の残基20〜114に対応する。
【0058】
【表3】
【0059】
2.ペプチド合成
ペプチドは、0.5mmol(0.57mmol/g)MBHA樹脂上でBoc/Bzl法を使用して、ABI431A自動合成機(Applied Biosystems社、米国カリフォルニア州)で固相合成(Merrifield 1963)により合成した。各アミノ酸を、キャッピングすることなくジシクロヘキシルカルボジイミド/ヒドロキシベンゾトリアゾールの存在下で2回カップリングした。側鎖保護基は以下の通りであった:Arg(Ts)、Asp(Ochex)、Glu(Ochex)、Lys(2−Cl−Z)、His(Dnp)、Ser(Bzl)、Thr(Bzl)、Met(O)、Trp(formy)、およびTyr(Br−Z)。
【0060】
ヒスチジン残基上のDnp基は、支持体からの開裂の前に、DCM媒体中、10%β−メルカプトエタノール、5%ジイソプロピルエチルアミンの存在下で2時間、その後NMP媒体中で2時間処理することにより、ペプチドから排除した。ペプチジル樹脂を、DCM媒体中50%TFAで20分間処理し、末端アミノ酸Bocを排除した。ペプチドを樹脂から開裂させると同時にスロー&ラピッドHF法にしたがって脱保護した。樹脂(1g)を、p−クレゾール(0.75g)、p−チオクレゾール(0.25g)およびジメチルスルフィド(0.5ml)の存在下、0℃の無水HF(2.5ml)で処理した。
【0061】
3時間後、フッ化水素およびジメチルスルフィドを真空蒸発により排除し、残りのスカベンジャーおよび二次生成物をジエチルエーテルで抽出した。反応容器に、p−クレゾール(0.75g)、p−チオクレゾール(0.25g)、および無水HF10mlを再度添加し、混合物を0℃で1.5時間インキュベートした。フッ化水素を蒸発により排除し、残渣をジエチルエーテルの存在下で混合した。残渣をろ過し、ジエチルエーテルで洗浄し、10%酢酸水溶液200mlで抽出し、その後、凍結乾燥した。
【0062】
質量分析
分子量は、イオンエレクトロスプレー質量分析計で測定した。エレクトロスプレースペクトルは、イオンスプレー(噴霧器を担持したエレクトロスプレー)を装備した単一四極子イオンエレクトロスプレー質量分析計であるAPI装置(Perkin-Elmer-Sciex)を使用することにより得た。
【0063】
4.免疫化
ペプチドを完全フロイントアジュバント中で乳化し、ウサギに、最初の2回の注射では1回あたり0.5mgの用量で、その後、2週間毎に同じアジュバント中で0.25mgのブースター用量で皮下注射した。
【0064】
実施例2:ウサギ特異的抗AA4RP抗体の単離および特性決定
1.抗AA4RP抗体の単離
ポリクローナル抗体を、27%硫酸ナトリウムで沈降することにより単離し、その後、AA4RPペプチド残基20〜114AA(Axen、Porathら1967)とカップリングした、活性化セファロース4Bゲル(Pharmacia、Uppsala、スウェーデン)でのアフィニティクロマトグラフィーにより精製した。抗原性ゲルに保持されなかったタンパク質を、リン酸緩衝生理食塩水(PBS:リン酸50mmol/L、pH7.2、NaCl 150mmol/L)で洗浄することにより排除した。AA4RPゲルに特異的に結合しなかった画分をPBS25mmol/Lで排除した。AA4RP特異的ポリクローナルIgGを0.2MグリシンpH2.8で溶出した。精製した抗体をただちにPBS10mmol/Lに対して透析し、その後、Amiconシステム(カットオフ100kD)(Amicon, Dr. Bervely、米国マサチューセッツ州)で限外ろ過により濃縮し、タンパク質含量(Lowry O.H. 1951)についてアッセイし、その後、1mlアリコート(1mg)で−30℃で保存した。
【0065】
2.ウェスタンブロット解析
2.1−プロトコール:
抗体純度および特異性をウェスタンブロット(Towbin, Staehelinら、1979)により解析した。ヒトHDL、LDLおよびVLDL粒子を変性SDS−PAGE電気泳動(5〜24%)にかけ、その後、ニトロセルロース膜に転写し、精製した抗ヒトAA4RP抗体と反応させた。免疫反応性タンパク質を、セイヨウワサビペルオキシダーゼ結合抗IgGポリクローナル抗体(Sanofi-Diagnostics Pasteur、Marnes-la-Coquette、フランス)で可視化した。反応を化学ルミネセンスにより展開した(Amersham、Pharmacia、Biotec)。
【0066】
2.2−結果
結果を図1に提示する。抗AA4RP抗体により判明した特異的バンドが、32.5kDaの分子量マーカーと47.5kDaの分子量マーカーの間に位置することがこの図面で分かる。
【0067】
2.3−解釈
異なるヒトリポタンパク質に関するイムノブロット結果により、AA4RPがVLDLおよびHDL、主にHDLに局在することが示される。
【0068】
VLDL中のAA4RPの存在は、これらのトリグリセリドの豊富なリポタンパク質の代謝調節におけるこのアポリポタンパク質の役割を説明し、したがって、これらのアテローム生成性脂質の濃度の調節を説明する。
【0069】
HDLにおけるAA4RPの局在は、逆コレステロール輸送におけるこれらの粒子の役割に疑いなく関連している。事実、HDLに局在するアポリポタンパク質の大半は、HDLによる細胞由来コレステロールの取り込みを促進し、肝臓に移され、そこで排除される。
【0070】
実施例3:AA4RPのELISAアッセイ(サンドイッチ型)
1.ELISA試験に使用される試薬および材料
1.1−捕獲抗体
抗AA4RP母液を1mg/mlに濃縮し、コーティング(96ウェルプレートのウェル中における抗体の固定)を10μg/mlで実施し、抗体をリン酸緩衝生理食塩水(0.1M PBS、0.15M NaCl、pH7.2〜7.4)で希釈した。
【0071】
1.2−検出抗体
捕獲に使用した同じ抗体をペルオキシダーゼで標識した。これを、1%BSAを含む0.1M PBS緩衝液中で1:5000に希釈した。
【0072】
1.3−標準物質
20〜114ペプチドを使用して、一連の検量点を調製した。ペプチド濃度は1mg/mlであった。検量曲線をプロットするために、標準物質を、以下の表にしたがって、0.1M PBS/1%BSAに希釈した。
【0073】
【表4】
【0074】
1.4−試料の調製
新鮮な試料が解析には勧められる。血漿は、確立された手順により収集し、臨床実験室で使用すべきである。必要であれば、血漿を1週間まで2℃ないし8℃で保存してもよい。凍結して保存されている試料はより長期間使用することができる。試料はその起源にしたがって希釈した:
−脂質の正常な被験者由来の血漿:1.3〜4倍
−高トリグリセリド血症被験者由来の血漿:2〜16倍
−超遠心分離により血漿から調製したHDL:4〜128倍
希釈はPBS/1%BSA中であった。
【0075】
2.プロトコール
−「コーティング」:標識されていない抗AA4RP捕獲抗体を、室温で一夜、100μl/ウェル(96ウェルマイクロタイタープレート)でインキュベートした。
−プレートの洗浄:プレート上に結合していない抗体は、プレートを0.1M PBSで4回洗浄することにより排除した。
−試料の添加および検量点:ペプチド検量溶液、ヒト血漿およびHDLを、1ウェルあたり100μl加え、その後、37℃で2時間インキュベートした。
−洗浄:抗AA4RP捕獲抗体に結合しなかった過剰なペプチドおよび生物学的試料由来のAA4RPは、マイクロタイタープレートを4回連続で洗浄することにより排除した。
−検出:検出は、PBS/1%BSA中1/5000に希釈したペルオキシダーゼ標識抗AA4RP抗体を用いて実施した。100μlの調製液をマイクロタイタープレートの各ウェルに加えた。インキュベートは37℃で2時間であった。
−洗浄:過剰な抗AA4RP検出抗体は、プレートを0.1M PBSで4回洗浄することにより排除した。
−酵素比色反応の展開:1ウェルあたり100μlのo−フェニレンジアミン二塩酸塩(OPD)基質の添加により実施し、その後、反応を暗所で30分間展開した。
−停止反応:1ウェルあたり100μlの1N HClの添加による。
−吸光度読み取り:492nmに設定した分光光度計。
【0076】
3.結果および解釈
3.1−検量曲線
検量曲線は、検量点の種々の希釈度の濃度に応じて、光学密度の増加を示す4つの未知数の関数にしたがって作成した。それはELISA免疫酵素アッセイに特徴的なシグモイド曲線である(図2)。
【0077】
種々の希釈度の20〜114ペプチド、脂質の正常なヒト血漿およびHDLを示す曲線がオーバーラップし、これは、抗AA4RP抗体が、合成ペプチドと、ヒト血漿またはリポタンパク質中の天然AA4RPとに同じ親和性を有することを示す。さらに、ペプチドまたはプールしたヒト血漿のいずれかから作成した一連の検量点を使用する、数人の被験者におけるAA4RPのアッセイは、AA4RP濃度について有意に類似した結果を与えた(図3)。
【0078】
3.2−作業範囲および検出限界
1〜62ng/mlの約2Logで、非常に異なるAA4RP濃度を有する試料のアッセイを可能とする。検出限界は1ng/mlであり、これはアッセイが非常に高い感度を有することを示す。
【0079】
3.3−正常値
トリグリセリドレベルが1mg/mlを超えない脂質の正常な被験者の集団におけるAA4RPアッセイにより、9.84〜29.44ng/mlの範囲のアポリポタンパク質濃度値が得られた。
【0080】
実施例4:異なる血漿区分におけるAA4RP濃度と全トリグリセリドレベルとの相関
1.プロトコール
血漿トリグリセリドレベルと、血漿中AA4RP濃度、または非HDLリポタンパク質(VLDL、IDLおよびLDL)中のAA4RP、またはHDLリポタンパク質中のAA4RPとの相関を、0.5〜4mg/mlのトリグリセリドレベルを有する集団で決定した。
【0081】
1.1−HDLおよび非HDLリポタンパク質の調製
HDLおよび非HDLリポタンパク質は、異なる被験者由来の血漿にリンタングステン酸およびMg2+を添加することによって後者を沈降させることによって調製した(アポB含有リポタンパク質、すなわちVLDL、IDLおよびLDLの選択的沈降)(Burstein、Scholnickら1970;Lopes-Virella、Stoneら1977)。簡潔には、血漿を、リンタングステン溶液中、室温で10分間インキュベートし、その後、2500rpmで15分間遠心分離し、最後にHDLを含む上澄みを、非HDLリポタンパク質を含むペレットから分離した。
【0082】
1.2−トリグリセリドアッセイ
血漿中トリグリセリドを、CFAS脂質キャリブレーター、参照番号759350(Boehringer Mannheim社、ドイツ)を用いて作成した検量曲線に対して、酵素比色法によりアッセイした。検量曲線は、16〜500μg/mlの濃度範囲を網羅するものであった。100μlの各試料希釈液または検量標準物質を、96ウェルマイクロタイタープレートの各ウェルに被着させた。次に、200μlのトリグリセリド試薬、参照番号701912(Boehringer Mannheim社、ドイツ)を各ウェルに加え、プレートを37℃で30分間インキュベートした。492nmに設定した分光光度計で光学密度(OD)を読み取った。各試料中のトリグリセリド濃度を、一次方程式y=ax+b(yはODを示し、xはトリグリセリド濃度を示す)としてプロットした標準曲線から計算した。
【0083】
1.3−HDLリポタンパク質および非HDLリポタンパク質中の全AA4RPのアッセイ
血漿中およびHDLリポタンパク質中の全AA4RPレベルを、実施例3のプロトコールにしたがってアッセイした。非HDLリポタンパク質中のAA4RP濃度を、全血漿AAR4RP濃度と、HDLリポタンパク質の濃度との差異として計算した。
【0084】
2.結果および解釈:
血漿中のAA4RP濃度と、全トリグリセリドまたは非HDLリポタンパク質のトリグリセリドの濃度との間に相関関係は認められなかった。一方、タンパク質の濃度と、HDLリポタンパク質中のトリグリセリド濃度との間には有意な負の相関が見いだされた(r=0.5、p<0.001)。この知見は、トリグリセリドレベルの増加が大きくなればなるほど、HDL中のAA4RP濃度の低下は大きくなり、よって、HDL、ひいてはこのタイプのリポタンパク質中に存在するAA4RPの抗アテローム生成的役割が確認される。
【0085】
実施例5:ヒトAA4RPにトランスジェニックなマウスにおけるAA4RPの定量
1.−プロトコール:
AA4RP濃度を、正常なC57BL/6マウス、非トランスジェニックFVBマウス、FVB遺伝的背景をもつAA4RPノックアウトマウス(KO)およびヒトAA4RPにトランスジェニックなマウス(FVB遺伝的背景)で測定した。アッセイプロトコールは、実施例3に記載のものと同一であった。
【0086】
2.結果および解釈:
図4は、アッセイにより、ヒトAA4RPにトランスジェニックなマウスにおいてのみAA4RPが検出されたことを示し、ヒトとマウスとの間でのこの方法の特異性を実証する。これは非常に興味深い。なぜなら、内因性タンパク質が混入することなく修飾動物モデルにおける外来性AA4RPを定量することが可能であり、したがって、動物の内因性AA4RPの作用と外来性起源の作用とを区別できるからである。
【0087】
【表5】
【図面の簡単な説明】
【0088】
【図1】抗体特異性。抗AA4RP抗体特異性のSDS PAGE対照ならびにVLDLおよびHDLにおけるAA4RP分布の実証。
【図2】AA4RPに対するELISA試験。検量曲線を、実施例3に記載のプロトコールにしたがって、ペプチド20〜114の濃度(◆)、脂質の正常な被験者由来の血漿の濃度(▲)、および脂質の正常な被験者由来の血漿から調製したHDLの濃度(●)に対するODとしてプロットした。
【図3】ELISAによる、ペプチド20〜114の検量系から計算した血漿または脂質の正常な被験者からプールした血漿中のAA4RP濃度。
【図4】非トランスジェニックC57 BL/6マウスおよびFVBマウス、FVB遺伝子的背景を有するAA4RPノックアウト(KO)マウスおよびヒトAA4RP(FVB遺伝的背景)にトランスジェニックなマウスにおけるAA4RPのELISAアッセイ。
Claims (18)
- アミノ酸配列の配列番号2またはその免疫原性断片もしくは誘導体を含む、実質的に純粋な合成ペプチド。
- 可溶性であるか、または、KLH、血清アルブミンもしくはビーズのような担体分子と複合体を形成している、請求項1記載のペプチド。
- 請求項1または2に記載のペプチドの特異的な抗体または実質的に同じ抗原特異性を有する該抗体の断片もしくは誘導体。
- 請求項1または2に記載のペプチドで非ヒト動物を免疫化し、抗体または抗体産生細胞を回収することより産生される、請求項3記載の抗体。
- ポリクローナル抗体である、請求項3または4記載の抗体。
- モノクローナル抗体である、請求項3または4記載の抗体。
- 請求項1または2記載のペプチドを非ヒト動物に投与し、抗体または抗体産生細胞を回収することを含む、特異的抗AA4RP抗体を産生するための方法。
- 試料を、請求項3〜6のいずれか1項記載の抗体と、または、請求項7記載の方法により産生された抗体と接触させ、抗原−抗体免疫複合体の存在を検出することを含む、生物学的試料中のAA4RPを検出するための方法。
- 抗原−抗体免疫複合体の存在を、EIA、RIA、比濁分析、濁度法、定量イムノブロット、熱量測定、干渉分光計、表面共鳴、または力場測定により決定する、請求項8記載の方法。
- 抗原−抗体免疫複合体の存在をELISA試験により決定する、請求項8記載の方法。
- 試料を、請求項3〜6のいずれか1項記載の抗体と、または請求項7記載の方法により産生される抗体と接触させ、AA4RP−抗体免疫複合体を定量することを含む、生物学的試料中のAA4RPを定量するための方法。
- 定量をELISA法により行なう、請求項11記載の方法。
- 生物学的試料が、血液、血清、間質液、または組織もしくは細胞抽出物の試料である、請求項8〜12のいずれか1項記載の方法。
- 被験者由来の試料中のAA4RPのレベルを、インビトロまたはエクソビボで、請求項3〜6のいずれか1項記載の抗体、または請求項7記載の方法により産生される抗体を用いて定量することを含む、被験者における脂質代謝疾患の発症のリスクまたは素因の存在を検出するための方法。
- 被験者由来の試料中のAA4RPの量を、インビトロまたはエクソビボで、請求項3〜6のいずれか1項記載の抗体、または、請求項7記載の方法により産生される抗体を用いて測定することを含む、被験者における脂質代謝疾患を直すための処置をモニタリングするための方法。
- 毒素、マーカー、医薬、または他の治療剤のような異種断片にカップリングしている、請求項3〜6のいずれか1項記載の、または請求項7記載の方法により産生される抗体。
- 請求項3〜6および16のいずれか1項記載の、または請求項7に記載の方法により産生される抗体、ならびに、薬学的に許容される賦形剤またはビヒクルを含む医薬組成物。
- 請求項1または2記載のペプチドまたは請求項3〜6のいずれか1項記載の、もしくは請求項7に記載の方法により産生される抗体を含むキット。
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