JP3419746B2 - エンドセリン−3前駆体に対するモノクローナル抗体およびその用途 - Google Patents

エンドセリン−3前駆体に対するモノクローナル抗体およびその用途

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はエンドセリン−3の前駆
体、例えばビッグエンドセリン−3に結合特異性を有す
る点で有用かつ新規な抗体に関する。更に詳しくは、抗
原抗体反応に基づくエンドセリン−3の前駆体、例えば
ビッグエンドセリン−3の測定法の開発、あるいはエン
ドセリン−3が関与する疾患の診断、予後治療に有用な
抗体に関する。
【0002】
【従来の技術】エンドセリン−1は血管内皮細胞の培養
上清中に見出された21個のアミノ酸からなるペプチド
であり、極めて強力かつ持続的な血管平滑筋収縮活性な
らびに血圧上昇活性を有する。また、エンドセリン−1
のcDNAの解析から、その生合成過程の中間体とし
て、アミノ酸約40個からなるビッグエンドセリン−1
(エンドセリン−1前駆体)の存在も想定されている。
これまでにエンドセリン−1およびビッグエンドセリン
−1に対するモノクローナル抗体が作製され、高感度な
酵素免疫測定法が開発されたことによりエンドセリン−
1の生理的役割・病態との関連の解明に向けて幅広い研
究を展開することが可能となった。既に、中和活性能を
有するモノクローナル抗体を特異的アンタゴニストとし
て用いることにより、エンドセリン−1が虚血性疾患と
深い関わりを有することが明らかにされ、さらに該測定
法を用いて血漿エンドセリン−1レベルと病態との関連
について詳細な研究が進められている。一方、染色体D
NAの解析から、新たにエンドセリン−2およびエンド
セリン−3の配列が見出され、エンドセリンが遺伝子フ
ァミリーを形成していることが明らかにされた。特にエ
ンドセリン−3は、エンドセリン−1、エンドセリン−
2とは、以下の例に示すように21アミノ酸残基中6残
基(アンダーライン参照)が異なっており、その平滑筋
収縮、血圧上昇活性もエンドセリン−1、エンドセリン
−2と比較してかなり微弱であることが報告されてい
る。 エンドセリン−1(ブタ、ヒト。エンドセリン−αと呼
ぶこともあった。) Cys Ser Cys Ser Ser Leu Met Asp Lys Glu Cys Val Tyr Phe Cys His Leu Asp Ile Ile Trp エンドセリン−2(ヒト) Cys Ser Cys Ser Ser Trp Leu Asp Lys Glu Cys Val Tyr Phe Cys His Leu Asp Ile Ile Trp エンドセリン−3(ラット、ヒト。γと呼ぶこともあっ
た。) Cys Thr Cys Phe Thr Tyr Lys Asp Lys Glu Cys Val Tyr Tyr Cys His Leu Asp Ile Ile Trp また、エンドセリン−3のcDNAの解析から、エンド
セリン−3の前駆体構造が明らかにされ(特願平1−2
53797)、エンドセリン−3が下記の配列を有する
ビッグエンドセリン−3を直接の前駆体として合成され
ることが示唆された。 Cys Thr Cys Phe Thr Tyr Lys Asp Lys Glu Cys Val Tyr Tyr Cys His Leu Asp Ile Ile Trp Ile Asn Thr Pro Glu Gln Thr Val Pro Tyr Gly Leu Ser Asn Tyr Arg Gly Ser Phe Arg X (X=Gly−OHまたはNH2 =Gly−Lys−OH =Gly−Lys−Arg−OH) このように、構造および薬理作用の研究結果は、エンド
セリン−3がエンドセリン−1、−2とは異なるリセプ
ターシステムを形成していることを強く示唆しており、
その生理的役割に深い関心が寄せられている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】上述したように、エン
ドセリン−3の生理的役割に対する関心が高まっている
にもかかわらず、これまで、エンドセリン−3の発現部
位、血漿レベル等、基本的な生理的情報はほとんで得ら
れていない。この主たる原因として、これまでエンドセ
リン−3あるいはエンドセリン−3前駆体を特異的に認
識するモノクローナル抗体が作製されておらず、さらに
エンドセリン−3あるいはエンドセリン−3前駆体を特
異的かつ高感度に測定する免疫学的測定法が開発されて
いないことが挙げられる。これらの免疫学的手法は、エ
ンドセリン−3の研究、特に代謝経路、分泌機構、リセ
プターシステム、病態との関連等に関する研究を総合的
に行う上で最も有効な手段の一つと考えられ、該手法の
確立が各界から切望されていた。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、エンドセ
リン−3前駆体である、例えばビッグエンドセリン−3
に結合特異性を有するモノクローナル抗体を作製し、該
抗体を用いてビッグエンドセリン−3を高感度にかつ特
異的に検出し得る免疫測定法を開発した。さらに該抗体
特有の薬理作用、すなわち、該抗体が種々の動物の平滑
筋のエンドセリン−3による収縮を抑制することを見出
した。これらの知見は、該抗体をエンドセリン−3の特
異的アンタゴニストとして使用し得ることを示してお
り、該抗体がエンドセリン−3と因果的に、または症候
的に関連する各種疾患の予防あるいは治療薬となり得る
ことを示している。すなわち、本発明はエンドセリン−
3前駆体に結合性を有するモノクローナル抗体、該モノ
クローナル抗体を産生するハイブリドーマ細胞、および
該抗体を用いた競合法あるいはサンドイッチ法によるエ
ンドセリン−3前駆体である、例えばビッグエンドセリ
ン−3の免疫測定法に関する。
【0005】エンドセリン−3のサンドイッチ法におい
ては、1次反応および2次反応に用いられる抗体はそれ
ぞれポリクローナル抗体またはモノクローナル抗体であ
ってもよいが、好ましくはその一方がエンドセリン−3
とは反応するが、エンドセリン−3のC端部とは反応し
ない抗エンドセリン−3モノクローナル抗体であって、
他方がエンドセリン−3のC端部と反応する抗エンドセ
リン−3ポリクローナルもしくはモノクローナル抗体が
用いられる。この後者のエンドセリン−3のC端部と反
応する抗エンドセリン−3ポリクローナルもしくはモノ
クローナル抗体は、上記のエンドセリン−1,2とのア
ミノ酸配列の比較から判るように、エンドセリン−1ま
たは−2のC端部と反応する抗体と同一のものを含み、
これについては特願平1−46560号で言及してい
る。また、ビッグエンドセリン−3のサンドイッチ法に
おいても、好ましくは、1次反応および2次反応に用い
られる抗体の一方が、ビッグエンドセリン−3とは反応
するが、エンドセリン−3とは反応しないモノクローナ
ル抗体であって、他方がエンドセリン−3と反応するモ
ノクローナル抗体が用いられる。さらに、ビッグエンド
セリン−3とは反応するが、エンドセリン−3とは反応
しないモノクローナル抗体において、特に好ましくは、
ビッグエンドセリン−3のC端部分の構造に対し、広い
特異性を有する抗体、例えばC末端がArg−Glyの
配列でも、Arg−NH2の配列でも、同程度に反応す
る抗体が用いられる。本発明のポリクローナル抗体の調
製は一般に免疫抗原のエンドセリン−3あるいはビッグ
エンドセリン−3とキャリアー蛋白との複合体をつく
り、このものを動物に接種して免疫を行い、該免疫動物
から目的とする抗体含有物を採取、抗体の分離精製を行
うことによる。
【0006】本発明のモノクローナル抗体の調製に当っ
ては、上記免疫動物から抗体価の高い個体を選び、最終
免疫2〜5日後に脾臓あるいはリンパ節を採取、それら
に含まれる抗体産生細胞を骨髄腫細胞と融合させ、安定
的に力価の高い抗体を産生するハイブリドーマを選択
し、モノクローナルなハイブリドーマを得ることによ
る。免疫抗原としては、天然精製標品、合成標品等いず
れも使用でき、先に述べたエンドセリン−3、ビッグエ
ンドセリン−3、およびビッグエンドセリン−3の一部
分が用いられる。また免疫抗原として、エンドセリン−
3の構造を含む化合物、あるいはエンドセリン−3の一
部分の構造を含む化合物が用いられる場合もある。本発
明で用いられる種々のペプチドは、ペプチド合成の公知
の常套手段で製造しうる。固相合成法、液相合成法のい
ずれによってもよい。例えば固相法によりエンドセリン
−3を合成する場合、メリーフィールドの固相ペプチド
合成方法〔ジャーナル オブ ジ アメリカン ケミカル
ソサィエティ(J.Am. Chem. Soc.),85,2149(1963)〕を
用いるのが好ましい。不溶性樹脂として当該技術分野で
知られたもののいずれであってもよく、例えばクロロメ
チル化されたスチレン−ジビニルベンゼン共重合体、フ
ェナシルアセティックメチル化されたスチレン−ジビニ
ルベンゼン共重合体のようなポリスチレン型樹脂、ポリ
ジメチルアクリルアミド樹脂のようなポリアミド型樹脂
が挙げられる。C末端のN−保護アミノ酸を不溶性樹脂
に結合させた後、エンドセリン−3のC末端側から保護
アミノ酸を常法に従って順次結合し、次いでフッ化水素
で処理した後、ジスルフィド結合を形成させ目的とする
エンドセリン−3を合成することができる。N−保護ア
ミノ酸としては、α−アミノ基はすべてBoc基で保護
し、セリンおよびスレオニンの水酸基はBzl基で、グ
ルタミン酸、アスパラギン酸のω−カルボン酸はOBz
l基、リジンのε−アミノ基はCl−Z基、システイン
のチオール基はAcm基、MeBzl基、チロシンの水酸
基はBr−Z基、ヒスチジンのイミダゾール基およびア
ルギニンのグアニド基はTos基、トリプトファンのイ
ンドール基はCHO基で保護するのが好ましい。液相法
による合成の手段としては、たとえば「ザ ペプチズ(T
he Peptides)」、第1巻(1966年)、Schroder and Lu
bke 著、Academic Press, New York,U.S.A.あるいは
“ペプチド合成"、泉屋ら著、丸善株式会社(1975年)
に記載された方法、たとえばアジド法、クロライド法、
酸無水物法、混合無水物法、DCC法、活性エステル
法、ウッドワード試薬Kを用いる方法、カルボジイミダ
ゾール法、酸化還元法、DCC/アディテイブ(例、H
ONB,HOBt,HOSu)法などがあげられる。
【0007】哺乳動物を免疫するために用いられる免疫
抗原とキャリアー蛋白との蛋白複合体に関し、キャリア
ー蛋白の種類およびキャリアーとハプテンとの混合比
は、キャリアーにカプリングさせて免疫したハプテンに
対して抗体が効率よく出来れば、どの様なものをどの様
な比率でカプリングさせてもよいが、例えば、牛血清ア
ルブミンや牛サイログロブリン、ヘモシアニン等を重量
比でハプテン1対し 0.1〜20、好ましくは1〜5の割合
でカプルさせる方法が用いられる。また、ハプテンとキ
ャリアーのカプリングには、種々の縮合剤を用いること
が出来るが、グルタルアルデビトやカルボジイミド、マ
レイミド活性エステル等が好都合に用いられる。縮合生
成物は温血動物に対して投与により抗体産生が可能な部
位にそれ自体あるいは担体、希釈剤とともに投与される
が、なかでも皮下注射が好ましい。投与に際して抗体産
生能を高めるため、完全フロイントアジュバントや不完
全フロイントアジュバントを投与してもよい。投与は通
常2〜6週毎に1回ずつ行われる。用いられる温血動物
としては、たとえばサル、ウサギ、イヌ、モルモット、
マウス、ラット、ヒツジ、ヤギ、ニワトリがあげられ
る。抗体は上記の方法で免疫された温血動物の血液、腹
水(好ましくは血液)などから採取される。例えば、免
疫原がエンドセリン−3あるいはその部分ペプチドであ
る場合、抗血清中の抗エンドセリン−3抗体価の測定
は、例えば後記の標識化エンドセリン−3と抗血清とを
反応させたのち、抗体に結合した標識剤の活性を測定す
ることによりなされる。抗体の分離精製は免疫グロブリ
ンの分離精製法〔例、塩析法、アルコール沈殿法、等電
点沈殿法、電気泳動法、イオン交換体(例、DEAE)
による吸脱着法、超遠心法、ゲルろ過法、抗原抗体結合
物あるいは活性吸着剤により特異抗体のみを採取し、結
合を解離させて抗体を得る特異的精製法〕に従って行わ
れる。このようにして作製された抗体は、IgGを主た
る成分とし、IgM,IgA等、他の免疫グロブリンも
含む。
【0008】一方、上記のポリクローナル抗体の調製法
と同様に免疫された温血動物、たとえばマウスから抗体
価の認められた個体を選択し最終免疫の2〜5日後に脾
臓またはリンパ節を採取し、それらに含まれる抗体産生
細胞を骨髄腫細胞と融合させることにより、抗エンドセ
リン−3抗体および抗エンドセリン−3前駆体抗体産生
ハイブリドーマを調製することができる。融合操作は既
知の方法、たとえばケーラーとミルスタインの方法〔ネ
ーチャー(Nature)、256、495 (1975)〕に従い実施で
きる。融合促進剤としてはポリエチレングリコール(P
EG)やセンダイウィルスなどが挙げられるが、好まし
くはPEGが用いられる。骨髄腫細胞としてはたとえば
NS−1、P3U1、SP2/0などがあげられるが、
特にP3U1が好ましく用いられる。用いられる抗体産
生細胞(脾臓細胞)数と骨髄細胞数との好ましい比率は
1:1〜20:1程度であり、PEG(好ましくはPEG
1000〜PEG6000)が10〜80%程度の濃度で添加され、
20〜40℃、好ましくは30〜37℃で1〜10分間インキュベ
ートすることにより効率よく細胞融合を実施できる。抗
エンドセリン−3抗体産生ハイブリドーマあるいは抗ビ
ッグエンドセリン−3抗体産生ハイブリドーマのスクリ
ーニングには種々の方法が使用できるが、たとえばエン
ドセリン−3、ビッグエンドセリン−3、あるいはビッ
グエンドセリン−3の部分ペプチドを吸着させた固相
(例、マイクロプレート)にハイブリドーマ培養上清を添
加し、次に西洋ワサビペルオキシダーゼ(HRP)で標
識した抗免疫グロブリン抗体(細胞融合に用いられる細
胞がマウスの場合、抗マウス免疫グロブリン抗体が用い
られる)またはプロテインAを加え、固相に結合した抗
エンドセリン−3モノクローナル抗体を検出するELI
SA(Enzyme-linked immunosorbent assay)法、抗免疫
グロブリン抗体またはプロテインAを吸着させた固相に
ハイブリドーマ培養上清を添加し、HRPで標識したエ
ンドセリン−3、ビッグエンドセリン−3、あるいはビ
ッグエンドセリン−3の部分ペプチドを加え、固相に結
合したモノクローナル抗体を検出するEIA(Enzyme im
munoassay)法などがあげられる。ハイブリドーマの選
別、育種は通常HAT(ヒポキサンチン、アミノプテリ
ン、チミジン)を添加して、10〜20%牛胎児血清を含む
動物細胞用培地(例、RPMI1640)で行われる。ハイ
ブリドーマ培養上清の抗体価は、上記の抗血清中の抗体
価の測定と同様にして測定できる。
【0009】抗エンドセリン−3モノクローナル抗体あ
るいは抗ビッグエンドセリン−3抗体の分離精製は上記
のポリクローナル抗体の分離精製と同様に免疫グロブリ
ンの分離精製法に従って行われる。エンドセリン−3の
一部領域と反応する抗エンドセリン−3ポリクローナル
抗体は、その一部領域に相当するペプチド(部分ペプチ
ド)をハプテンとして免疫し上記の方法で調製すること
もできるが、エンドセリン−3をハプテンとして用いて
調製された抗エンドセリン−3ポリクローナル抗体か
ら、その一部領域に相当するペプチドを結合したカラム
によるアフィニティクロマトグラフィを用いて調製する
こともできる。また、ビッグエンドセリン−3の一部領
域と反応する抗ビッグエンドセリン−3ポリクローナル
抗体は、その一部領域に相当するペプチドをハプテンと
して免疫し上記の方法で調製することもできるが、ビッ
グエンドセリン−3をハプテンとして用いて調製された
抗ビッグエンドセリン−3ポリクローナル抗体から、そ
の一部領域に相当するペプチドを結合したカラムによる
アフィニティクロマトグラフィを用いて調製することも
できる。また、エンドセリン−3あるいはビッグエンド
セリン−3の一部領域と反応するモノクローナル抗体を
産生するハイブリドーマおよび、エンドセリン−3ある
いはビッグエンドセリン−3とは反応するがその一部領
域とは反応しないモノクローナル抗体を産生するハイブ
リドーマの選別はたとえばその一部領域に相当するペプ
チドとハイブリドーマが産生する抗体との結合性を測定
することにより行うことができる。特にエンドセリン−
3 C端ペプチドCys His Leu Asp Ile Ile
Trp 以外を認識するモノクローナル体のスクリーニ
ングには、該ペプチドに対する抗体の標識体を用いるサ
ンドイッチ型EIAを用いるのが好ましい。すなわち、
抗免疫グロブリン抗体またはプロテインAを吸着させた
固相にハイブリドーマ培養上清を添加し、エンドセリン
−3を加え、さらにHRPで標識した抗エンドセリン−
3 C端ペプチド抗体を反応させたのち、固相上の酵素
活性を測定するEIA法である。
【0010】上記で得られた抗エンドセリン−3および
抗ビッグエンドセリン−3モノクローナル抗体を用い
て、エンドセリン−3の測定ないし組織染色等を行ない
得る。エンドセリン−3およびビッグエンドセリン−3
の測定法には通常、以下に述べる競合法が用いられる
が、後述するサンドイッチ法を用いるのが好ましい。競
合法においては、本発明で得られた抗エンドセリン−3
あるいは抗ビッグエンドセリン−3抗体と、被検液およ
び標識化エンドセリン−3あるいは標識化ビッグエンド
セリン−3あるいはその部分ペプチドとを競合的に反応
させたのち、抗体に結合した標識剤の割合を測定するこ
とにより、被検液中のエンドセリン−3、ビッグエンド
セリン−3、あるいはビッグエンドセリン−3の部分ペ
プチドを定量する。
【0011】該エンドセリン−3、ビッグエンドセリン
−3、あるいはビッグエンドセリン−3の部分ペプチド
の標識剤あるいは後記の抗体の標識剤としては、放射性
同位元素、酵素、蛍光物質、発光物質などが挙げられ
る。放射性同位元素としては、例えば125I,131I,3H,
14Cなどが、上記酵素としては、安定で比活性の大きな
ものが好ましく、例えばβ−ガラクトシダーゼ、β−グ
ルコシダーゼ、アルカリフォスファターゼ、パーオキシ
ダーゼ、リンゴ酸脱水素酵素等が、蛍光物質としては、
フルオレスカミン、フルオレッセンイソチオシアネート
などが、発光物質としては、ルミノール、ルミノール誘
導体、ルシフェリン、ルシゲニンなどがそれぞれ挙げら
れる。さらに、抗体あるいはエンドセリン−3、ビッグ
エンドセリン−3、あるいはビッグエンドセリン−3の
部分ペプチドと標識剤との結合にビオチン−アビジン系
を用いることもできる。上記の標識剤の活性の測定に当
っては、例えばエンドセリン−3の測定の場合、抗体に
結合した標識化エンドセリン−3と遊離の標識化エンド
セリン−3とを分離(以後B/F分離と略す)する必要
があるが、標識剤として酵素を用いた場合には、このた
めの試薬に不溶化した抗エンドセリン−3抗体に対する
抗体あるいは不溶化したプロテインA等の活性吸着剤が
有利に用いられる。例えば、抗IgG抗体(抗エンドセ
リン−3抗体に対する抗体に相当)を固相として用い、
これと反応性のある上記抗体を介して標識化エンドセリ
ン−3を固相にある抗IgG抗体に結合させ、該固相上
の標識剤を測定することによって行なうことができる。
標識剤として酵素を用いた場合には、不溶化担体上の酵
素活性の測定には通常の比色法あるいは蛍光法が用いら
れる。標識剤にラジオアイソトープ等、非蛋白性物質を
用いた場合には、B/F分離に上記の試薬以外にも不溶
化しない抗エンドセリン−3に対する抗体、硫酸ナトリ
ウム、デキストラン炭末、ポリエチレングリコール等の
試薬が用いられる。いずれの方法においても上清中ある
いは沈降物中の標識剤の活性を測定する。上記の不溶化
に当っては、物理的吸着を用いてもよく、また通常蛋白
質あるいは酵素等を不溶化、固定化するのに用いられる
化学結合を用いる方法でもよい。担体としては、アガロ
ース、デキストラン、セルロースなどの不溶性多糖類、
ポリスチレン、ポリアクリルアミド、シリコン等の合成
樹脂、あるいはガラス等が挙げられる。
【0012】競合法においては、例えばエンドセリン−
3の測定の場合、抗エンドセリン−3抗体、被検液、標
識化エンドセリン−3、およびB/F分離用試薬は、ど
のような順序に反応させることも可能であり、また全部
あるいは一部を同時に反応させてもよいが、少なくとも
標識化エンドセリン−3は、被検液と抗エンドセリン−
3抗体との反応と同時に、あるいは反応後に遅れて反応
系に加えられることが好ましい。ただし硫酸ナトリウ
ム、デキストラン炭末、ポリエチレングリコール等のB
/F分離試薬は主として反応系の最後に用いられる。
【0013】一方、サンドイッチ法においては不溶化し
た抗エンドセリン−3あるいはビッグエンドセリン−3
抗体に被検液を接触(反応)させ(1次反応)、さらに
標識化抗エンドセリン−3あるいはビッグエンドセリン
−3抗体を反応させ(2次反応)たのち、不溶化担体上
の標識剤の活性を測定することにより被検液中のエンド
セリン−3あるいはビッグエンドセリン−3量を定量す
ることができる。1次反応と2次反応は同時に行なって
もよいし時間をずらして行なってもよい。標識化剤およ
び不溶化の方法は前記のそれらに準じることができる。
2次反応に用いられる抗エンドセリン−3抗体あるい
は抗ビッグエンドセリン−3抗体としては、1次反応に
用いられる抗エンドセリン−3抗体あるいは抗ビッグエ
ンドセリン−3抗体とはエンドセリン−3あるいはビッ
グエンドセリン−3の該抗体と結合する部位が相異なる
抗体が好ましく用いられる。たとえばエンドセリン−3
の測定の場合、1次反応で用いられる抗体がエンドセリ
ン−3のC端部との結合能を有する場合、2次反応で
は、好ましくはC端部以外(例、N端部)と結合する抗
エンドセリン−3抗体が用いられ、また1次反応で用い
られる抗体がエンドセリン−3のN端部との結合能を有
する場合、2次反応では、好ましくはN端部以外(例、
C端部)と結合する抗エンドセリン−3抗体が用いられ
る。1次反応および2次反応に用いられる抗体はそれぞ
れポリクローナル抗体またはモノクローナル抗体であっ
てもよいが、例えばエンドセリン−3の測定の場合、好
ましくはその一方がエンドセリン−3とは反応するが、
エンドセリン−3のC端部とは反応しない抗エンドセリ
ン−3モノクローナル抗体であって、他方がエンドセリ
ン−3のC端部と反応する抗エンドセリン−3ポリクロ
ーナルもしくはモノクローナル抗体が用いられる。サン
ドイッチ法によるエンドセリン−3の免疫学的測定法に
おいて特に好ましくは、エンドセリン−3のC端ペプチ
ド、すなわちCys−His−Leu−Asp−Ile−Ile−T
rpと反応する抗エンドセリン−3ポリクローナル抗体お
よび、エンドセリン−3とは反応するが、上記エンドセ
リン−3のC端ペプチドとは反応しない抗エンドセリン
−3モノクローナル抗体が用いられる。サンドイッチ法
による免疫測定法においては、固相用抗体および標識用
抗体いずれもいかなるクラス、サブクラスのものでもよ
く、また、抗体活性が保持されているなら、それらから
Fc’あるいはFc領域を除去したF(ab’)2画分、
Fab’画分あるいはFab画分でもよい。サンドイッ
チ法による免疫測定法において、モノクローナル抗体を
用いる場合、固相用抗体あるいは標識用抗体に用いられ
る抗体は必ずしも1種類である必要はなく、測定感度を
向上させる等の目的で2種類以上の抗体の混合物を用い
てもよい。また、本発明で得られた抗体を用いる免疫測
定法は、エンドセリン−3が関与する疾患の診断および
予後管理に使用し得る。
【0014】被検試料としては、血漿、血清、尿、脳脊
髄液、腹水、胸水、羊水等の体液や、痰、便などが使用
し得る。これらの試料は、そのまま、あるいは各種緩衝
液で希釈あるいは抽出後濃縮し、イムノアッセイの試料
とし得る。試料の希釈あるいは抽出に用いられる溶媒と
してはどのような緩衝液あるいは有機溶媒を用いてもよ
いが、好ましくはイムノアッセイ用緩衝液、水、生理食
塩水、酢酸緩衝液、アセトン、クロロホルム−メタノー
ルあるいは、界面活性剤を含むこれらの溶液が用いられ
る。また、濃縮は、試料を直接減圧下、あるいは常圧、
窒素気流下濃縮してもよいし、また試料をイオン交換あ
るいは逆相クロマトグラフィー用担体あるいは抗エンド
セリン−3抗体結合担体に添加したのち、適当な溶出条
件で溶出後、減圧下あるいは常圧、窒素気流下濃縮して
も良い。濃縮用担体として特に好ましくは、逆相クロマ
トグラフィー用担体のC2,C8あるいはC18カートリ
ッジが用いられる。濃縮物はイムノアッセイ用緩衝液に
溶解後、イムノアッセイの試料とする。さらに、本発明
で得られた抗エンドセリン−3および抗ビッグエンドセ
リン−3抗体はエンドセリン−3およびビッグエンドセ
リン−3の免疫組織染色法等にも用いる事ができる。そ
の方法は、例えば標識化抗エンドセリン−3あるいは標
識化ビッグエンドセリン−3抗体を用いる直接法、抗エ
ンドセリン−3抗体あるいはビッグエンドセリン−3抗
体および該抗体に対する抗体の標識化されたものを用い
る間接法等に準ずることができる。
【0015】また、さらに本発明で得られた抗エンドセ
リン−3抗体のうちエンドセリン−3の血管収縮能を中
和し得る抗体は、エンドセリン−3の特異的アンタゴニ
ストとして使用し得る。抗エンドセリン−3抗体の中か
らエンドセリン−3の作用を特異的に抑制する抗体をス
クリーニングする方法としては、エンドセリン−3の薬
理作用を検出するいかなる方法を用いることも可能であ
り、例えば、エンドセリン−3のブタ、ラット、ウサ
ギ、モルモット、イヌ、ヒト等、各種血管平滑筋収縮活
性を指標とする生体外の測定系、あるいはエンドセリン
−3の上記動物の血圧上昇活性または血圧下降活性を指
標とする生体の測定系が挙げられる。得られたエンドセ
リン−3の作用を特異的に抑制する抗体はIgG,Ig
A,IgMいかなるクラスのものでもよく、またそれら
からFc′あるいはFc領域を除去したFab′あるい
はFab画分あるいはその重合体でもよい。また、エン
ドセリン−3の作用を特異的に抑制及し得るモノクロー
ナル抗体の可変遺伝子部と、ヒトイムノグロブリン定常
遺伝子部とを融合させ、組み換え体として発現させたキ
メラ抗体を用いることもできる。
【0016】
【実施例】以下に実施例を示して本発明をさらに詳しく
説明するが、本発明はこれに限定されるべきものではな
い。後述の実施例で用いられているマウスモノクローナ
ル抗体AET−30aを産生するハイブリドーマ細胞A
ET−30は財団法人発酵研究所(IFO)に受託番号IF
O 50193として平成1年7月7日から寄託されて
いる。また、該ハイブリドーマは通商産業省工業技術院
微生物工業研究所(FRI)に受託番号FERMBP−25
23としてブダペスト条約に基き平成1年7月20日か
ら寄託され、FRIに保管されている。後述の実施例で
用いられているマウスモノクローナル抗体bET−31
aを産生するハイブリドーマ細胞bET−31は財団法
人発酵研究所(IFO)に受託番号IFO 50247とし
て平成2年5月24日から寄託されている。また、該ハ
イブリドーマは通商産業省工業技術院微生物工業研究所
(FRI)に受託番号FERM BP−2949としてブダ
ペスト条約に基き平成2年6月12日から寄託され、F
RIに保管されている。後述の実施例で用いられている
マウスモノクローナル抗体bET−23aを産生するハ
イブリドーマ細胞bET−23は財団法人発酵研究所(I
FO)に受託番号IFO 50246として平成2年5月
24日から寄託されている。また、該ハイブリドーマは
通商産業省工業技術院微生物工業研究所(FRI)に受託番
号FERM BP−2948としてブダペスト条約に基
き平成2年6月12日から寄託され、FRIに保管され
ている。
【0017】I.酵素標識化抗エンドセリン−3 C端
ペプタイド抗体の作製 I−1.ペプタイドの合成 i)H-Cys-His-Leu-Asp-Ile-Ile-Trp-OH (エンドセリン
−3のC端部)の合成 Boc-Ile-Trp-OBzl:H-Trp-OBzl-pTsOH 84gをDMF100
mlに溶解し、TEA25mlで中和ののち Boc-Ile-OH・1/
2 H2O 48.9g,HONB 40.12g、DCC 46.20gより調製の
Boc-Ile-ONB を加え一晩撹拌した。溶媒を減圧留去
し、残留物にジエチルエーテル 400mlと酢酸エチル20
mlを加え溶解し、0.5N−HCl,5%−NaHCO
水で洗い、水洗ののち無水 MgSOで乾燥した。溶
媒を留去し、残留物に石油エーテルを加え結晶をろ取し
た。収量 83.1g(90.9%) 〔α〕D 18−19.7°(c=0.99 MeOH) 元素分析:C293735として 計算値:C,68.62 ;H,7.35 ;N,8.28 実測値:C,68.69 ;H,7.35 ;N,8.16 Boc-Ile-Ile-Trp-OBzl:Boc-Ile-Trp-OBzl 53.3gをジ
オキサン120mlに溶解し、氷冷下に7.1N−HCl−ジオ
キサン 160mlを加え、90分間撹拌した。溶媒を減圧留
去し、残留物にジエチルエーテルを加え、析出物をろ取
した。これをアセトニトリル150mlとDMF250mlの混
合溶媒に溶解し、氷冷下、TEA14.6mlで中和し析出
するTEA・HClをろ去した。ろ液にBoc-Ile-ONB 45.
33gを加え一晩撹拌した。 溶媒を留去し残留物をCHCl
3 1リットルに溶解し、0.5N−HCl,5%−NaHC
,水で洗い、無水MgSOで乾燥した。溶媒を減
圧留去し、残留物にジエチルエーテルを加え析出物を結
晶としてろ取したのちアセトニトリルとジエチルエーテ
ルで洗い乾燥した。 収量 54.95g(84.3%) 〔α〕D 18−12.0°(c=0.98, CHCl3) 元素分析:C354846としての 計算値:C,67.72;H,7.79;N,9.03 実測値:C,67.72;H,7.91;N,8.87 Boc-Asp-(OBzl)-Ile-Ile-Trp-OBzl:Boc-Ile-Ile-Trp-O
Bzl 49.7 gを氷冷下に10%−1,2−エタンジチオー
ル含有TFA250mlに溶解し、室温下に15分間放置し
た。溶媒を留去し、残留物に4N−HCl−ジオキサン2
0mlを加えよくかきまぜたのち、ジエチルエーテルを加
え、析出物をろ取した。これをDMF 250mlに溶解
し、氷冷下にTEA11.1mlで中和したのち、析出する
TEA・HClをろ去した。ろ液にBoc-Asp-(OBzl)-OH 3
1.0g,HONB 20.6g,DCC 23.8gより調製のBoc-Asp-
(OBzl)-ONB を加え一晩攪拌した。溶媒を減圧留去し、
残留物に酢酸エチル 800mlを加え溶解し、10%クエン
酸水、5%−NaHCO、水で洗い、無水MgSO
で乾燥した。溶媒を減圧留去し、残留物にジエチルエー
テルを加え析出物を結晶としてろ取し、アセトニトリル
から再結晶した。収量 54.0g(81.7%) 〔α〕D 18−13.7°(c=1.04, CHCl3) 元素分析:C465959としての 計算値:C,66.89;H,7.20;N,8.48 実測値:C,66.69;H,7.23;N,8.31 Boc-Leu-Asp(OBzl)-Ile-Ile-Trp-OBzl:Boc-Asp(OBzl)-
Ile-Ile-Trp-OBzl 48.0gを氷冷下に 10%−1,2−エ
タンジチオール含有TFA210mlに溶解し、室温下に15
分間放置した。溶媒を留去し、残留物に4N−HCl−
ジオキサン14.5mlを加えよくかきまぜたのち、ジエチ
ルエーテルを加え、析出物をろ取した。これをDMF 3
00mlに溶解し、氷冷下TEA42mlで中和したのち、析
出するTEA−HClをろ去し、ろ液にBoc-Leu-ONB 27.
3gを加え、一晩撹拌した。溶媒を減圧留去し、残留物
にCHCl3 600mlを加えて溶解し、10%−クエン酸水、5
%−NaHCO、水で洗い無水MgSOで乾燥し
た。残留物に石油エーテルを加え析出物をろ取し、含水
アセトニトリルより再結晶した。収量 53.1g(97.5
%) 〔α〕D 18−20.6°(c=1.02, CHCl3) 元素分析:C5270610・1/2HOとしての 計算値:C,65.87;H,7.55;N,8.86 実測値:C,66.08;H,7.58;N,8.78 Boc-His-Leu-Asp(OBzl)-Ile-Ile-Trp-OBzl:Boc-Leu-As
p(OBzl)-Ile-Ile-Trp-OBzl 46.5gを氷冷下に10%−
1,2−エタンジチオール含有TFA220mlに溶解し、
室温下15分間放置した。溶媒を減圧留去し、残留物にジ
エチルエーテルを加えろ取した。これをDMF25mlに
溶解し、TEA20mlを加えよくかきまぜたのち、ジエ
チルエーテル 500mlを加え析出物を粉末としてろ取し
た。これをDMF 200mlに溶解し、Boc-His(Tos)-OH 2
2.3g, HONB 11.7g,DCC 13.5gより調製した Boc-H
is(Tos)-ONB を加え、一晩攪拌した。溶媒を留去し、残
留物にアセトニトリルを加え、粉末をろ取した。収量
45.9g(86.2%) 〔α〕D 18−16.6°(c=1.0, DMF) 元素分析:C5877911・2.5HOとしての 計算値:C,62.13;H,7.37;N,11.24 実測値:C,62.25;H,7.02;N,11.03 Boc-Cys(MeBzl)-His-Leu-Asp(OBzl)-Ile-Ile-Trp-OBz
l:Boc-His-Leu-Asp(OBzl)-Ile-Ile-Trp-OBzl 17.2gを
氷冷下、10%−1,2−エタンジチオール含有TFA88
mlに溶解し、室温下15分間放置した。溶媒を減圧留去
し、残留物にエーテルを加え粉末としてろ取したのちD
MF 25mlに溶解した。これにTEA25mlを加えよく撹
拌したのち、エーテル 500mlを加え析出物を粉末とし
てろ取した。これをDMF40mlに溶解し、Boc-Cys(Me
Bzl)-OH 5.72g,HONB 3.48g,DCC 4.00gより調製
した Boc-Cys(MeBzl)-ONB を加え、一晩撹拌した。溶媒
を留去し、残留物にアセトニトリルを加え、析出物を粉
末としてろ取し、さらに熱アセトニトリル中で洗い、室
温に冷却後粉末をろ取した。収量 15.0g(72.9%) 〔α〕D 18−23.3°(c=1.02, DMF) 元素分析:C69901012S・3HOとしての 計算値:C,61.96;H,7.23;N,10.47;S,2.40 実測値:C,62.24;H,6.90;N,10.49;S,2.53 H-Cys-His-Leu-Asp-Ile-Ile-Trp-OH:Boc-Cys(MeBzl)-
His-Leu-Asp(OBzl)-Ile-Ile-Trp-OBzl 100mgを氷冷
下、10%−1,2−エタンジチオール含有TFA1ml
に溶解し、室温下15分間放置後、溶媒を減圧留去した。
残留物にエーテルを加え粉末としてろ取、乾燥したの
ち、m−クレゾール 0.5mlと共にHF5mlで0℃、1
時間処理した。HFを減圧留去し、残留物にジエチルエ
ーテルを加え、析出物を粉末としてろ過し、水洗した。
これを60%酢酸に溶解し、同溶媒で充填したセファデッ
クスLH−20(2.5×90cm)のカラムに付し160ml〜180
mlの区分を集め凍結乾燥した。収量 23mg(32.8%)
【0018】ii)H-Arg-His-Leu-Asp-Ile-Ile-Trp-OH
(エンドセリン−3 C端部に類似、溶解性大)の合成 Boc-His-Leu-Asp(OBzl)-Ile-Ile-Trp-OBzl 538mgを氷冷
下、20%−1,2−エタンジオチール含有TFA 5ml
に溶解し、室温下15分放置後、pTsOH・H2O 95mgを加え
溶解したのち、溶媒を減圧留去した。残留物をDMF
5mlに溶解し、氷冷下、10%−TEA含有DMF 0.75
mlを加え中和した。これにBoc-Arg(NO2)-OH 60mg,HON
B 50mg,WSCD・HCl 50mgを加え一晩撹拌した。溶媒を減
圧留去し、残留物に水を加え沈殿をろ取した。これを乾
燥ののち熱アセトニトリル10mlに懸濁し、室温に冷却
後、析出物をろ取した。収量 0.5g(78.3%) このうち 102mgをアニソール 0.2ml、1,2−エタン
ジチオール 0.2mlと共にHFで0℃60分間処理し、H
Fを減圧留去した。残留物をジエチルエーテルで洗った
のち、50%−酢酸6mlに溶解し、同じ溶媒で充填した
セファデックスG−25(2.5×90cm)のカラムに付し展
開し、100〜137mlの区分を集め凍結乾燥した。収量 2
0 mg(26.3%)
【0019】I−2 免疫原の作製 上記I−1(i)で得られたポリペプタイド Cys His L
eu Asp Ile Ile Trpと牛血清アルブミン(以下BSAと
略す)との縮合物を以下に述べるマレイミド架橋法によ
り作製し、免疫原とした。即ち、BSA 20mgを 1.4ml
の0.1Mリン酸緩衝液、pH 7.0に溶解させ、N−(γ
−マレイミドブチリロキシ)サクシニミド(以下GMB
Sと略す)2.6mgを含むDMF溶液100μlと混合し、室
温で 40分反応させた。反応後、あらかじめ、2.5mMの
EDTAを含む、0.1 Mリン酸緩衝液、pH 6.5で平衡
化したセファデックスG−25カラムで分画した。次にマ
レイミド基の導入されたBSA 5.4 mgを含む該溶出画
分 1.2 mlと、90%ジメチルスルホキシドを含む水溶液
1.2 mlに溶解あるいは分散させたポリペプチド Cys H
is Leu Asp Ile Ile Trp 1.8mgとを4℃で3日間反応さ
せた。反応後、生理食塩水に対し、4℃、2日間透析し
た。
【0020】I−3 免疫 上記I−2で得た免疫原600μgを含む生理食塩水450μl
に550μlの完全フロイントアジュバント(Freund comple
te adjuvant)を加えてよく混和し乳剤を作成し、ウサギ
の皮下約20ヶ所に接種した。6週間後に、不完全フロイ
ントアジュバントを用い、同様の操作で乳剤を作りウサ
ギの皮下に接種した。この操作を以後1ヶ月おきに4回
行ない、追加免疫の7日後、ウサギから血液を部分採取
し常法により抗血清を得た。
【0021】I−4 アフィニティ固相の作製 ポリペプタイド Arg His Leu Asp Ile Ile Trpを直接C
NBr活性化セファロース4Bに結合させ、アフィニテ
ィ固相とした。即ち、Arg His Leu Asp Ile Ile Trp 1.
5 mgを10mlの0.5M食塩を含む0.1M炭酸水素ナトリウ
ムに溶解させ、1gのCNBr活性化セファロース4B
と室温3時間反応させた。次に、未反応の活性基を 0.1
Mトリス−塩酸緩衝液、pH8で処理したのち、PBS
に分散させ、4℃で保存した。
【0022】I−5 アフィニティ固相による抗エンド
セリン−3 C端ペプタイド抗体の精製 上記I−3記載ウサギ抗血清16mlから、硫安塩析法によ
り抗体を部分精製した。すなわち、抗血清10mlにPB
S10mlを加え、さらに16.5mlの飽和硫安を徐々に撹拌
しながら加えた(最終45%)。30分間放置したのち、1
2,000×gで20分間遠心し、沈殿をPBS 10mlに溶解
させた。次に、同様に飽和硫安を最終30%飽和になるよ
うに加えたのち遠心した。沈殿を、0.15M食塩を含む0.
01Mホウ酸緩衝液、pH8(以下BBSと略す),10m
lに溶解させたのち0.01M食塩を含む0.01Mリン酸緩衝
液pH8(緩衝液B)に対し、4℃,2日間透析した。
抗体画分をBBSに透析した後、上記I−4記載のアフ
ィニティ固相を充填したカラム(10mmφ×40mm)に付し
た。BBSで十分に洗浄したのち特異抗体を、0.5M食
塩を含む 0.1M酢酸緩衡液、pH 4.5で溶出し、さらに
0.1M食塩を含む 0.05Mグリシン−塩酸緩衡液、pH2.0
で溶出した。溶出液は中和したのち、BBSに対し透析
した。特異抗体はpH2で溶出した画分に認められ、該
画分から18mgの特異抗体が得られた。
【0023】I−6 西洋ワサビパーオキシダーゼ(H
RP)標識化抗エンドセリン−3 C端ペプタイド抗体
の作製 上記I−5記載のアフィニティ精製抗Cys His Leu
Asp Ile Ile Trp抗体より石川らの方法〔ジャーナル
オブ アプライド バイオケミストリィー(J. Appl. Bio
chem).,6:56−63(1984)〕に従ってFab'-HRP標識体
を作製した。即ち、0.1M酢酸緩衡液、pH4.5に溶解し
た特異抗体 6.4mg にペプシン(シグマ社、2回結晶)1
60μgを加え、37℃、16 時間反応させたのち、BBSで
平衡化したスーパーロース12カラムを用いるFPLC
(ファルマシア社製)でF(ab')2画分を精製した。該画
分を 0.1M酢酸緩衡液、pH5で透析したのち、最終20
mMのβ−メルカプトエチルアミンを加え、37℃で90分
放置した。反応液を 2.5mM EDTAを含む 0.1Mリン
酸緩衡液、pH 6.0で平衡化したスーパーロース12カラ
ムを用いるFPLCで分離し、Fab'画分を得た。一
方、西洋ワサビペルオキシダーゼ5mgを 0.9mlの0.1M
リン酸緩衡液、pH7に溶解させ、50μlのDMFに溶
解させたGMBS 1.05 mgを加えて室温 40分反応させ
た。反応液をセファデックスG−25カラム(溶離液0.1
Mリン酸緩衝液、pH6.8)で分離し、得られたマレイ
ミド化ペルオキシダーゼ 3.5 mgと上記Fab′画分 0.8m
gとを混合し、コロジオンパック(エムエス機器社)で約
0.3mlにまで濃縮したのち、4℃で 16時間放置した。
反応液を溶離液に0.1Mリン酸緩衝液、pH6.5を用いる
ウルトロゲルAcA44カラム(10mmφ×40mm)に供し、F
ab′−ペルオキシダーゼ複合体画分を精製した。
【0024】II.モノクローナル抗エンドセリン−3抗
体の作製 II−1 免疫原の作製 エンドセリン−3と牛チログロブリン(TG)とを以下
に述べるマレイミド架橋法により縮合させ、免疫原とし
た。即ち、エンドセリン−3(ペプチド研究所より購
入)265nmoleを450μlの0.1Mリン酸緩衝液、pH7.
0(10%のDMFを含む)に溶解させ、GMBS 6.
6μmoleを含むDMF溶液50μlと混合し、室温で30分
反応させた。一方、TG 20mg(40 nmole)を0.15M食
塩を含む 0.02Mリン酸緩衝液、pH 6.8、1.4mlに溶
解させ、N−サクシニミジル−3−(2−ピリジルジチ
オ)プロピオネート(以下SPDPと略す)2.5mg(8.0
μmole)を含むDMF溶液100μlを混合したのち室温4
0分間反応させた。反応後、ジチオスレイトール 12.4mg
(80 μmole)を含む0.1M酢酸緩衝液、pH 4.5、0.5
mlを加え、室温20分反応させたのち、セファデックス
G−25カラムで分画を行ない、SH基の導入されたTG
12mg(24 nmole)を得た。次にマレイミド基導入エン
ドセリン−3 190nmoleと、SH基導入TG 5.9nmole
とを混合し、4℃で2日間反応させたのち、生理食塩
水に対し、4℃、2日間透析した。
【0025】II−2 免疫 6〜8週令のBALB/C雌マウスに上記II−1記載の
免疫原100 μg/匹をアジュバントとともに皮下免疫し
た。以後3週間おきに2〜3回追加免疫を実施した。
【0026】II−3 HRP標識化エンドセリン−3の
作製 エンドセリン−3 80 nmoleを450μlの0.1Mリン酸緩衝
液、pH 7.0に溶解させ、GMBS 295μg(2.0μmol
e)を含むDMF溶液 50μlと混合し、室温で30分反
応させた。反応後、セファデックスG−15カラムで分
画を行ないマレイミド基の導入されたポリペプチド60 n
moleを得た。一方、HRP 10mg(250nmole)を0.15M
食塩を含む0.02Mリン酸緩衝液、pH 6.8、1.4mlに溶
解させ、SPDP 1.17mg(3.75μmole)を含むDMF溶
液100μlを混合したのち室温40分間反応させた。反応
後、ジチオスレイトール12.4mg(80μmole)を含む 0.1
M酢酸緩衝液、pH4.5、0.5mlを加え、室温20分反応
させたのち、セファデックスG−25カラムで分画を行な
い、SH基の導入された酵素6mg(150 nmole)を得
た。次に、マレイミド基導入エンドセリン−3 50nmol
eとSH基導入ペルオキシダーゼ20nmole とを混合し、
4℃、16時間反応させた。反応後、ウルトロゲルAcA
44(LKB−ファルマシア社製)カラムで分画し、ペル
オキシダーゼ標識化エンドセリン−3を得た。
【0027】II−4 細胞融合 比較的高い抗体価を示したマウスに対して240μgの免疫
原を生理食塩水 0.25mlに溶解させたものを静脈内に接
種することにより最終免疫を行なった。最終免疫3日後
のマウスから脾臓を摘出し、ステンレスメツシュで圧
迫、ろ過し、イーグルズ・ミニマム・エツセンシヤルメ
デイウム(MEM)に浮遊させ、脾臓細胞浮遊液を得
た。細胞融合に用いる細胞として、BALB/Cマウス
由来ミエローマ細胞 P3−× 63.Ag8.U1(P3U
1)を用いた〔カレント トピツクスイン マイクロバイ
オロジー アンド イムノロジー、81、1(1978)〕。細
胞融合は、原法〔ネイチャー、256、495(1975)〕に準じ
て行なった。即ち、脾臓細胞およびP3U1をそれぞれ
血清を含有しないMEMで3度洗浄し、脾臓細胞とP3
U1数の比率を5:1になるよう混合して、800 回転で
15分間遠心を行なって細胞を沈殿させた。上清を充分に
除去した後、沈殿を軽くほぐし、45%ポリエチレングリ
コール(PEG)6000(コッホライト社製)を0.3ml加
え、37℃温水槽中で7分間静置して融合を行なった。融
合後細胞に毎分2mlの割合でMEMを添加し、合計12m
lのMEMを加えた後 600回転15分間遠心して上清を除
去した。この細胞沈殿物を10%牛胎児血清を含有するG
ITメデイウム(和光純薬)(GIT−10FCS)に
P3U1が1ml当り2× 106個になるように浮遊し、2
4穴マルチデイシユ(リンブロ社製)に1ウェル1mlずつ
120ウェルに播種した。播種後、細胞を 37℃で5%炭
酸ガスフラン器中培養した。24時間後HAT(ヒポキサ
ンチン1×10-4M、アミノブリテリン4×10-7M、チミ
ジン 1.6×10-3M)を含んだGIT−10FCS培地(H
AT培地)を1ウェル当り1mlずつ添加することによ
り、HAT選択培養を開始した。HAT選択培養は、培
養開始3、6、9日後に旧液を1ml捨てたあと、1mlの
HAT培地を添加することにより継続した。ハイブリド
ーマの増殖は、細胞融合後9〜14日で認められ、培養液
が黄変したとき(約1×106セル/ml)、上清を採取し、
後述するEIA法で、抗体価を測定した。
【0028】II−5 ハイブリドーマのスクリーニング ハイブリドーマ培養上清中の抗体価を以下の2種の方法
により測定した。いずれの方法にも抗マウスイムノグロ
ブリン抗体結合マイクロプレートを用いた。該プレート
は、まず抗マウスイムノグロブリン抗体(IgG画分、
カッペル社製)を 20μg/ml含む 0.1M炭酸緩衝液、p
H 9.6溶液を 96ウェルマイクロプレートに 100μlずつ
分注し、4℃で 24 時間放置した。次に、プレートをP
BSで洗浄したのち、ウェルの余剰の結合部位をふさぐ
ため25%ブロックエース(雪印乳業社製)を含むPBS
を300μlずつ分注し、少なくとも4℃で 24時間処理し
た。 i)HRP標識化エンドセリン−3を用いるEIA法 抗マウスイムノグロブリン抗体結合マイクロプレートに
バッファーE(10%ブロックエース、2mg/ml BS
A、0.4M NaCl、2mM EDTAおよび0.1%Na
3を含む0.02Mリン酸緩衝液、pH7.0)50μlおよびハ
イブリドーマ培養上清50μlを加え、室温4時間反応さ
せた。反応後、PBSで洗浄したのち、上記II−3で作
製したHRP標識化エンドセリン−3〔1%BSAを含
む0.02Mリン酸緩衝液、pH7(バッファーA)で100倍
希釈〕100μlを加え、4℃で16時間反応させた。反応後
PBSで洗浄したのち、固相上の酵素活性を測定するた
め 0.2%オルソフェニレンジアミン、0.02%過酸化水素
を含む 0.1Mクエン酸緩衝液、pH5.5を100μlずつ分
注し、室温で10分間反応させた。4規定硫酸 100μlを
加え、反応を停止させたのち 492nmの吸収をプレート
リーダー(MTP−32,コロナ社製)で測定した。このよ
うにして、ハイブリドーマの増殖が認められた全120ウ
ェルの上清を調べたところ、No.5およびNo.93の
ウェルに強い抗体価が検出された。 ii)HRP標識化エンドセリン−3 C端ペプチド抗体
を用いるEIA法 抗マウスイムノグロブリン抗体結合マイクロプレートに
バッファーE50μl、ハイブリドーマ培養上清50μl、お
よび6ng/mlのエンドセリン−3を含むバッファー
E溶液50μlを加え、室温で4時間反応させた。プレー
トをPBSで洗浄したのち、上記I−6で作製したHR
P標識化エンドセリン−3 C端ペプチド抗体〔バッフ
ァーC(1%BSA、0.4M NaCl、2mM EDTA
を含む0.02Mリン酸緩衝液、pH7.2)で300倍に希釈〕10
0μlを加え、4℃で16時間反応させた。次に、プレート
をPBSで洗浄したのち、固相上の酵素活性を上記II−
5(i)記載の方法により測定した。このようにして、
ハイブリドーマの増殖が認められた全120ウェルの上清
を調べたところ、No.93のウェルに強い抗体価が検出
された。
【0029】II−6 クローニング 抗体活性が陽性を示したNo.5およびNo.93のウェ
ルの各ハイブリドーマを限界希釈法によるクローニング
に付した。即ちハイブリドーマが 1.5個/mlになるよう
RPMI1640−20FCSに浮遊させ、96穴マイクロプレ
ート(ヌンク社製)に1ウェル当り 0.2mlずつ分注し
た。分注する際、フィーダー細胞としてBALB/Cマ
ウスの胸腺細胞をウェル当り5× 105個になるように加
えた。約1週間後には細胞の増殖が認められるようにな
り、上清中の抗体価を上記II−5記載のEIA法により
調べたところ、No.5ハイブリドーマでは 41クローン
中8クローンが、またNo.93のハイブリドーマでは41
クローン中7クローンが抗体を産生していた。これらの
クローンのうち、No.93−18 より得られたクローンA
ET-30およびその産生するモノクローナル抗体AET-
30aに注目し、以下の実験を実施した。
【0030】II−7 大量のモノクローナル抗体の調製 ミネラルオイル 0.5mlを腹腔内投与されたマウス、ある
いは未処置マウス(BALB/C)にハイブリドーマA
ET−30 1〜3×106セル/匹を腹腔内注射したのち、
10〜30日後に抗体含有腹水を採取した。
【0031】II−8 モノクローナル抗体の精製 上記II−7調製腹水よりプロテイン−Aカラムによりモ
ノクローナル抗体を精製した。即ち腹水8mlを等量の結
合緩衡液(3.5M NaCl、0.05%NaN3を含む1.5M
グリシン、pH9.0)で希釈したのち、あらかじめ結合
緩衡液で平衡化したプロテイン−A−セファロース(フ
ァルマシア製)カラムに供し、特異抗体を溶離緩衡液
(0.05%NaN3を含む0.1Mクエン酸緩衡液、pH3.
0)で溶出した。以上の操作により、40mgの特異抗体を
得た。
【0032】II−9 モノクローナル抗体のクラス・サ
ブクラスの決定 上記II−8精製モノクローナル抗体を1μg/ml含む0.
1M炭酸緩衡液、pH9.6 溶液を96ウェルマイクロプレー
トに 100μlずつ分注し、4℃で24時間放置した。上記I
I−5で述べた方法に従って、ウェルの余剰の結合部位
をブロックエースでふさいだのち、アイソタイプタイピ
ングキット( Mouse-TyperTM Sub-Isotyping Kit バイ
オラッド社製)を用いるエンサイム−リンクトイムノソ
ーベントアッセイ(ELISA)によってクラス、サブ
クラスを調べた。その結果AET−30aはIgG1、κ
クラスに属することが分かった。
【0033】III.競合法−EIA 上記II−5記載の抗マウスイムノグロブリン抗体結合マ
イクロプレートに、バッファーCで75倍に希釈したAE
T−30含有培養上清50μl、およびエンドセリン−1標
準液50μlあるいはエンドセリン−3標準液50μlを加
え、室温で1時間反応させたのち、上記II−3記載HR
P標識化エンドセリン−3(バッファーAで100倍希釈)
を加え、4℃で16時間反応させた。反応後、PBSで洗
浄したのち固相上の酵素活性をII−5(i)記載の方法
により測定した。結果を図1に示す。図中、−●−がエ
ンドセリン−3の標準曲線を、また−○−がエンドセリ
ン−1の標準曲線を示す。図1の結果から、AET−30
aがエンドセリン−3と反応し、エンドセリン−1と反
応しないことが分った。
【0034】IV.サンドイッチ法−EIA 精製したモノクローナル抗体AET−30a 20μg/ml
を含む 0.1M炭酸緩衝液、pH 9.6溶液を 96ウェルマ
イクロプレートに100μlずつ分注し、4℃で24時間放
置した。ウェルの余剰の結合部位をPBSで4倍希釈し
たブロックエース(雪印乳業社製、大日本製薬社販売
)300μlを加え不活化した。以上のように調製したプ
レートにバッファーEで希釈したエンドセリン−3、エ
ンドセリン−1、エンドセリン−2(ヒト)、ビッグエン
ドセリン−1(ヒト)、ビッグエンドセリン−1(ブタ)お
よびビッグエンドセリン−3(22−42)(ヒト)標準液100
μlを加え、4℃で24時間反応させた。PBSで洗浄し
たのち、上記I−6で作製したHRP標識化エンドセリ
ン−3 C端ペプタイド抗体(バッファーCで300倍希釈)
100μlを加え、4℃で24時間反応させた。PBSで洗
浄したのち、上記II−5(i)記載の方法により固相上の
酵素活性を測定した。結果を図2に示す。図中、−●−
がエンドセリン−3の、また−▲−がエンドセリン−1
の、−■−がエンドセリン−2(ヒト)の、−○−がビッ
グエンドセリン−1(ヒト)の、−△−がビッグエンドセ
リン−1(ブタ)、および−□−がビッグエンドセリン−
3(ヒト)の標準曲線を示す。図2の結果から、この測定
法がエンドセリン−3に特異的であり、エンドセリン−
3 4×10-17モル/ウェルを、他のエンドセリンとは
ほとんど反応することなく(交差反応性、0.1%以
下)、検出し得ることが分った。
【0035】V.モノクローナル抗ビッグエンドセリン
−3C端ペプタイド抗体の作製 V−1.ペプタイドの合成 (1)ビッグエンドセリン−3(big ET-3)(22-42);H-Ile-A
sn-Thr-Pro-Glu-Gln-Thr-Val-Pro-Tyr-Gly-Leu-Ser-Asn
-Tyr-Arg-Gly-Ser-Phe-Arg-Gly-OHの合成 市販の Boc-Gly-OCH2-PAM樹脂 (アプライド バイオシ
ステムズ社製) 0.77g(0.5 n mole)を用い、ペプチド合
成機(アプライド バイオシステムズ社製モデル430A)
を使用し、合成した。樹脂上のBoc基を50%トリフルオ
ロ酢酸/塩化メチレンで処理し、アミノ基を遊離させた
後、このアミノ基に、Boc-Arg(Tos), Boc-Phe, Boc-Ser
(Bzl), Boc-Gly, Boc-Tyr(Br-Z), Boc-Asn, Boc-Leu, B
oc-Pro, Boc-Val, Boc-Thr(Bzl), Boc-Gln,Boc-Glu(OBz
l), Boc-Ileをbig ET-3(22-42)のアミノ酸配列通り順に
HOBt/DCCで活性化し縮合した。さらにDCCまたは、HOBt/
DCCで活性化した同じアミノ酸誘導体で再度縮合をした
後、未反応のアミノ基は無水酢酸でアセチル化し、保護
された big ET-3(22-42)-OCH2-PAM樹脂0.88gを得た。
この樹脂0.35gをp−クレゾール0.70g共存下無水フッ化
水素5mlで0℃, 60分間処理した後、フッ化水素を減圧
留去し、残渣をエチルエーテル5mlで2回洗浄した後、
残渣を50%-酢酸水5mlで抽出した。不溶物を濾去し、5
0%-酢酸水5mlで洗浄した。濾液、洗液を合し、2〜3
mlに減圧濃縮し、セファデックスLH−20(2×90cm)
のカラムに付し、50%-酢酸で溶出した。主要画分を集
め濃縮し0.1%トリフルオロ酢酸水100mlに溶解し、YM
C−ODS AM120 S−50樹脂カラム(2.6×7
cm)に付け、0.1%トリフルオロ酢酸水と50%アセトニ
トリル(0.1%トリフルオロ酢酸含有) の間での直線型
濃度勾配で溶出した。主要画分を合し、凍結乾燥し、白
色粉末76mgを得た。 アミノ酸分析値 Asp 1.97(2), Thr 1.76(2), Ser 1.68(2), Glu 2.04
(2), Gly 3.00(3), Val 1.00(1), Pro 1.90(2),Ile 0.9
5(1), Leu 0.99(1), Tyr 0.95(1), Phe 1.02(1), Arg
2.27(2) 質量分析による (M+H)+ 2356.16 HPLC溶出時間 17.01分 カラム条件 カラム: YMC−ODS(AM-301,S-5 120A) 溶離液: A液(0.1%-トリフルオロ酢酸水) B液(0.1%-トリフルオロ酢酸含有アセトニトリル) を用いA液からB液へ直線型濃度勾配溶出(50分) 流速
: 1.0ml/分
【0036】(2) big ET-3(1-42);H-Cys-Thr-Cys-Phe-T
hr-Tyr-Lys-Asp-Lys-Glu-Cys-Val-Tyr-Tyr-Cys-His-Leu
-Asp-IleOIle-Trp-Ile-Asn-Thr-Pro-Glu-Gln-Thr-Val-P
ro-Tyr-Gly-Leu-Ser-Asn-Tyr-Arg-Gly-Ser-Phe-Arg-Gly
-OHの合成 市販の Boc-Gly-OCH2-PAM樹脂 (アプライド バイオシ
ステムズ社製) 0.78g(0.5 n mole)を用い、ペプチド合
成機(アプライド バイオシステムズ社製モデル430A)
を使用し、合成した。樹脂上のBoc基を50%トリフルオ
ロ酢酸/塩化メチレンで処理し、アミノ基を遊離させた
後、このアミノ基に、Boc-Arg(Tos), Boc-Phe, Boc-Ser
(Bzl), Boc-Gly, Boc-Tyr(Br-Z), Boc-Asn, Boc-Leu, B
oc-Pro, Boc-Val, Boc-Thr(Bzl), Boc-Gln,Boc-Glu(OBz
l), Boc-Ile, Boc-Trp(CHO),Boc-Asp(0Bzl), Boc-His(D
NP), Boc-Cys(MeBzl),Boc-Lys(Cl-Z)をbig ET-3(1-42)
のアミノ酸配列通り順にHOBt/DCCで活性化し縮合した。
さらにDCCまたは、HOBt/DCCで活性化した同じアミノ酸
誘導体で再度縮合をした後、未反応のアミノ基は無水酢
酸でアセチル化し、保護されたbig-ET-3(1-42)-OCH2-PA
M 樹脂を得た。これをN,N'-ジメチルホルムアミド20ml
に懸濁し、チオフェノール2mlを加え、室温で2時間ゆ
るやかに攪拌した後グラスフィルター上に樹脂を濾過
し、N,N'-ジメチルホルムアミドとジクロロメタンで洗
浄の後乾燥し1.00gの樹脂を得た。この樹脂0.39gをp−
クレゾール0.74g, 1, 4−ブタンジチオール1.0ml共存
下無水フッ化水素10mlで0℃, 60分間処理した後、フッ
化水素を減圧留去し、残渣をエチルエーテル5mlで2回
洗浄した後、残渣をトリフルオロ酢酸4mlで抽出した。
不溶物を濾去し、トリフルオロ酢酸2mlで2回洗浄し
た。これを4M-ウレア水溶液750mlにそそぎ、氷冷下にpH
8.25に調節し、緩やかに空気を吹き込みながら一晩攪拌
した。Ellmanテストが陰性になったことを確認した後、
全溶液をYMC−ODS AM120 S−50樹脂カ
ラム(2.6×7cm)に付け、0.1%トリフルオロ酢酸水と5
0%アセトニトリル(0.1%トリフルオロ酢酸含有)の間
での直線型濃度勾配で溶出した。主要画分を合し、凍結
乾燥し、白色粉末16mgを得た。同じカラムを用い、20-5
0%のあいだでの直線型濃度勾配の溶出で再クロマト精
製し目的物6.3mgを得た。 アミノ酸分析値 Asp 3.84(4), Thr 3.31(4), Ser 2.02(2), Glu 3.04
(3), Pro 2.22(2), Gly 3.31(3), Cys 1.20(2),Val 1.7
7(2), Ile 1.83(3), Leu 2.00(2), Tyr 4.64(5), Phe
1.92(2), Lys 1.78(2), His 0.88(1),Arg 2.12(2) 質量分析による (M+H)+ 4979.48 HPLC溶出時間 21.00分 カラム条件 カラム: YMC−ODS(AM-301,S-5 120A) 溶離液: A液(0.1%-トリフルオロ酢酸水) B液(0.1%-トリフルオロ酢酸含有アセトニトリル) を用いA液からB液へ直線型濃度勾配溶出(50分) 流速
: 1.0ml/分
【0037】(3) big ET-3(22-41)-NH2;H-Ile-Asn-Thr-
Pro-Glu-Gln-Thr-Val-Pro-Tyr-Gly-Leu-Ser-Asn-Tyr-Ar
g-Gly-Ser-Phe-Arg-NH2の合成 市販の p−メチルBHA樹脂(アプライド バイオシス
テムズ社製)0.60g(0.5 n mole) を用い、ペプチド合
成機 (アプライド バイオシステムズ社製モデル430A)
を使用し、合成した。樹脂にBoc-Arg(Tos) をHOBt/DCC
で導入した後、樹脂上のBoc基を50%トリフルオロ酢酸/
塩化メチレンで処理し、アミノ基を遊離させた。このア
ミノ基に、Boc-Phe, Boc-Ser(Bzl), Boc-Gly, Boc-Ar
g('Tos), Boc-Tyr(Br-Z), Boc-Asn, Boc-Leu, Boc-Pro,
Boc-Val, Boc-Thr(Bzl), Boc-Gln, Boc-Glu(OBzl), Bo
c-Ileをbig ET-3(22-41)-NH2のアミノ酸配列通り順にHO
Bt/DCCで活性化し縮合した。さらにDCCまたは、HOBt/DC
Cで活性化した同じアミノ酸誘導体で再度縮合をした
後、未反応のアミノ基は無水酢酸でアセチル化し、保護
されたbig ET-3(22-41)-BHA樹脂1.96gを得た。この樹脂
0.23gをp−クレゾール0.40g共存下無水フッ化水素5ml
で0℃,60分間処理した後、フッ化水素を減圧留去し、
残渣をエチルエーテル5mlで2回洗浄した後、残渣を50
%-酢酸水5mlで抽出した。不溶物を濾去し、50%-酢酸
水5mlで洗浄した。濾液、洗液を合し、2〜3mlに減圧
濃縮し、セファデックスLH−20(2×90cm) のカラ
ムに付し、50%-酢酸で溶出した。主要画分を集め濃縮
し0.1%トリフルオロ酢酸水100mlに溶解し、YMC−O
DS AM120 S−50樹脂カラム(2.6×7cm)に
付け、0.1%トリフルオロ酢酸水と50%アセトニトリル
(0.1%トリフルオロ酢酸含有) の間での直線型濃度勾
配で溶出した。主要画分を合し、凍結乾燥し、白色粉末
56mgを得た。 アミノ酸分析値 Asp 1.97(2), Thr 1.88(2), Ser 1.75(2), Glu 2.05
(2), Gly 3.00(3), Val 1.00(1), Pro 1.93(2),Ile 0.9
5(1), Leu 0.98(1), Tyr 0.95(1), Phe 1.02(1), Arg
2.18(2) 質量分析による (M+H)+ 2298.19 HPLC溶出時間 17.01分 カラム条件 カラム: YMC−ODS(AM-301,S-5 120A) 溶離液: A液(0.1%-トリフルオロ酢酸水) B液(0.1%-トリフルオロ酢酸含有アセトニトリル) を用いA液からB液へ直線型濃度勾配溶出(50分) 流速
: 1.0ml/分
【0038】(4) big ET-3(1-41)-NH2;H-Cys-Thr-Cys-
Phe-Thr-Tyr-Lys-Asp-Lys-Glu-Cys-Val-Tyr-Tyr-Cys-Hi
s-Leu-Asp-Ile-Ile-Trp-Ile-Asn-Thr-Pro-Glu-Gln-Thr-
Val-Pro-Tyr-Gly-Leu-Ser-Asn-Tyr-Arg-Gly-Ser-Phe-Ar
g-NH2の合成 市販の p−メチルBHA樹脂 (アプライド バイオシステ
ムズ社製) 0.60g(0.5n mole) を用い、ペプチド合成機
(アプライド バイオシステムズ社製モデル430A) を使
用し、合成した。樹脂にBoc-Arg(Tos)をHOBt/DCCで導
入した後、樹脂上のBoc基を50%トリフルオロ酢酸/塩化
メチレンで処理し、アミノ基を遊離させた後、このアミ
ノ基に、Boc-Phe, Boc-Ser(Bzl), Boc-Gly, Boc-Arg(To
s), Boc-Tyr(Br-Z), Boc-Asn,Boc-Leu, Boc-Pro, Boc-
Val, Boc-Thr(Bzl), Boc-Gln, Boc-Glu(OBzl), Boc-Il
e, Boc-Trp(CHO), Boc-Asp(0Bzl), Boc-His(DNP), Boc-
Cys(MeBzl), Boc-Lys(Cl-Z)をbig ET-3(1-41)-NH2のア
ミノ酸配列通り順にHOBt/DCCで活性化し縮合した。さら
にDCCまたは、HOBt/DCCで活性化した同じアミノ酸誘導
体で再度縮合をした後、未反応のアミノ基は無水酢酸で
アセチル化し、保護されたbig-ET-3(1-41)-BHA樹脂を得
た。これをN,N'-ジメチルホルムアミド20mlに懸濁し、
チオフェノール2mlを加え、室温で2時間ゆるやかに撹
拌した後グラスフィルター上に樹脂を濾過し、N,N'-ジ
メチルホルムアミドとジクロロメタンで洗浄の後乾燥し
1.34gの樹脂を得た。この樹脂0.74gをp−クレゾール1.
0g, 1, 4−ブタンジチオール1.0ml共存下無水フッ化
水素10mlで0℃,60分間処理した後、フッ化水素を減圧
留去し、残渣をエチルエーテル5mlで2回洗浄した後、
残渣をトリフルオロ酢酸6mlで抽出した。不溶物を濾去
し、トリフルオロ酢酸2mlで2回洗浄した。これを4M-
ウレア水溶液1000mlにそそぎ、氷冷下にpH8.0に調節
し、緩やかに空気を吹き込みながら一晩撹拌した。Ellm
anテストが陰性になったことを確認した後、全溶液をY
MC−ODS AM120 S−50樹脂カラム(2.6
×7cm)に付け、0.1%トリフルオロ酢酸水と50%アセト
ニトリル(0.1%トリフルオロ酢酸含有)の間での直線
型濃度勾配で溶出した。主要画分を合し、凍結乾燥し、
白色粉末35mgを得た。同じカラムを用い、20-50%のあ
いだでの直線型濃度勾配の溶出で再クロマト精製を繰り
返し、目的物9.5mgを得た。 アミノ酸分析値 Asp 3.89(4), Thr 3.81(4), Ser 1.98(2), Glu 3.04
(3), Pro 2.09(2), Gly 3.30(3), Cys 1.60(2),Val 1.7
9(2), Ile 1.83(3), Leu 2.00(2), Tyr 4.72(5), Phe
1.92(2), Lys 1.88(2), His 0.91(1),Arg 2.20(2) 質量分析による (M+H)+ 4921.31 HPLC溶出時間 21.00分 カラム条件 カラム: YMC−ODS(AM-301,S-5 120A) 溶離液: A液(0.1%-トリフルオロ酢酸水) B液(0.1%-トリフルオロ酢酸含有アセトニトリル) を用いA液からB液へ直線型濃度勾配溶出(50分) 流速
: 1.0ml/分
【0039】V−2.免疫原の作製 上記V−1で得られたビッグエンドセリン−3 C末端
ペプタイド Ile-Asn-Thr-Pro-Glu-Gln-Thr-Val-Pro-Tyr
-Gly-Leu-Ser-Asn-Tyr-Arg-Gly-Ser-Phe-Arg-Gly と牛
チログロブリン(TG)とを以下に述べるマレイミド架
橋法により縮合させ、免疫原とした。即ち、ポリペプタ
イド1.28μmoleを350μlの0.1Mリン酸緩衝液、pH7.0
(10%のDMFを含む)に溶解させ、GMBS 25.6μm
oleを含むDMF溶液100μlと混合し、室温で30分反応
させた。一方、TG30mg(60nmole)を0.15M食塩を含む
0.02Mリン酸緩衝液、pH6.8、1.4mlに溶解させ、S
PDP3.7mg(12.0μmole)を含むDMF溶液を混合した
のち室温40分間反応させた。反応後、ジチオスレイトー
ル18.6mg(120μmole)を含む0.1M酢酸緩衝液、pH4.
5、0.5mlを加え、室温20分反応させた後、セファデッ
クスG−25カラムで分画を行ない、SH基の導入され
たTG18mg(36 n mole) を得た。次にマレイミド基導入
ポリペプタイド920 n moleと、SH基導入TG29 n moleと
を混合し、4℃で2日間反応させたのち、生理食塩水に
対し、4℃、2日間透析した。
【0040】V−3.免疫 6〜8週令のBALB/c雌マウスに上記V−2記載の免疫
原15μg/匹(ビッグエンドセリン−3C端ペプタイドと
して)をアジュバントとともに皮下免疫した。以後3週
間おきに2回追加免疫を実施した。
【0041】V−4.HRP標識化ビッグエンドセリン
−3C端ペプタイドの作製 ビッグエンドセリン−3C端ペプタイド330 n mole を5
00μlの0.1Mリン酸緩衝液、pH7.0に溶解させ、GMBS
2.78mg(9.9 μ mole)を含むDMF溶液50μlと混合
し、室温で60分反応させた。反応後、セファデックスG
−25カラムで分画を行ないマレイミド基の導入されたポ
リペプチド200 n moleを得た。一方、HRP10mg(250 n
mole)を用いて、II−3記載の方法によりSH基の導入
された酵素6mg(150 n mole)を得た。次に、マレイミド
基導入ビッグエンドセリン−3C端ペプチド200 n mole
とSH基導入ペルオキシダーゼ50 n moleとを混合し、
4℃、16時間反応させた。反応後、ウルトロゲルAcA44
(LKB−ファルマシア社製)カラムで分画し、ペルオキ
シダーゼ標識化ビッグエンドセリン−3C端ペプチドを
得た。
【0042】V−5.細胞融合 V−3記載の、ビッグエンドセリン−3C端ペプチドを
免疫中のマウスを用いて、II−4記載の方法により細胞
融合を実施し、ハイブリドーマを得た。
【0043】V−6.ハイブリドーマのスクリーニング ハイブリドーマ培養上清中の抗体価を以下の2種の方法
により測定した。すなわち、抗マウスイムノグロブリン
抗体又はビッグエンドセリン−3C端ペプタイド結合マ
イクロプレートを用いた。該プレートは、まず抗マウス
イムノグロブリン抗体(IgG 画分、カッペル社製) 又は
ビッグエンドセリン−3C端ペプタイドを20μg/ml含む
0.1M炭酸緩衝液、pH9.6溶液を96ウェルマイクロプレー
トに100μlずつ分注し、4℃で24時間放置した。次にプ
レートをPBSで洗浄したのち、ウェルの余剰の結合部
位をふさぐため25%ブロックエース(雪印乳業社製)を
含むPBSを300μlずつ分注し、少なくとも4℃で24時
間処理した。 i)HRP標識化ビッグエンドセリン−3C端ペプタイ
ドを用いるEIA法 抗マウスイムノグロブリン抗体結合マイクロプレートに
バッファーE(10%ブロックエース、2mg/ml BS
A、0.4M NaCl、2mM EDTAおよび0.1%NaN3を含む
0.02Mリン酸緩衝液、pH7.0)50μlおよびハイブリドーマ
培養上清50μlを加え、室温4時間反応させた。反応
後、上記V−4で作製したHRP標識化ビッグエンドセ
リン−3C端ペプタイド[バッファーCで400倍希釈]1
00μlを加え、4℃で16時間反応させた。反応後PBS
で洗浄したのち、固相上の酵素活性をII−5(i)に記
載の方法により測定した。このようにして、ハイブリド
ーマの増殖が認められた全120ウェルの上清を調べたと
ころ、No.44およびNo.77のウェルに強い抗体価が検出さ
れた。 ii)ビッグエンドセリン−3 C端ペプチド結合マイク
ロプレートを用いるELISA法 ビッグエンドセリン−3 C端ペプタイド結合マイクロ
プレートにバッファ−E50μl、ハイブリドーマ上清100
μlを加え、室温4時間反応させた。反応後PBSで洗
浄したのち、HRP標識抗マウスイムノグロブリン抗体
[バッファーCで10000倍希釈] 100μlを加え、4℃で1
6時間反応させた。次に、プレートをPBSで洗浄した
のち、固相上の酵素活性を上記V−6(i)記載の方法
により測定した。このようにして、ハイブリドーマの増
殖が認められた全120ウェルの上清を調べたところ、No.
77のウェルに強い抗体価が検出された。
【0044】V−7.クローニング 抗体活性が陽性を示したNo.44およびNo.77のウェルの各
ハイブリドーマをII−6の項に従い、クローニングを行
った。約1週間後には細胞の増殖が認められるようにな
り、上清中の抗体価を上記V−6(i)記載のEIA法
により調べたところ、No.44ハイブリドーマでは76クロ
ーン中2クローンが、またNo.77のハイブリドーマでは7
6クローン中75クローンが抗体を産生していた。これら
のクローンのうち、No.77−30より得られたクローンbET
-31およびその産生するモノクローナル抗体bET-31a、N
o.44-52より得られたクローンbET-23およびその産生す
るモノクローナル抗体bET-23aに注目し、以下の実験を
実施した。
【0045】V−8.大量のモノクローナル抗体の調製 ミネラルオイル0.5mlを腹腔内投与されたマウス、ある
いは未処置マウス(BALB/C)にハイブリドーマbET-31ま
たはbET-23 1〜3×106セル/匹を腹腔内注射したの
ち、10〜14日後に抗体含有腹水を採取した。
【0046】V−9.モノクローナル抗体の精製 上記V−8調製腹水よりプロティン−Aカラムによりモ
ノクローナル抗体bET-31aおよびbET-23aをII−8の方法
に従い精製した。bET-31aが30mg bET-23aが50mgの特異
抗体を得た。
【0047】V−10.モノクローナル抗体のクラス・サ
ブクラスの決定 上記V−9精製モノクローナル抗体bET-31aおよびbET-2
3aのクラス・サブクラスをII−9で述べた方法に従い決
定した。その結果、bET-31aおよびbET-23aはいずれもIg
Gl、κクラスに属することが分かった。
【0048】VI.ビッグエンドセリン−3に関する競合
法−EIA 上記V−6記載の抗マウスイムノグロブリン抗体結合マ
イクロプレートに、バッファーCで100倍に希釈したbET
-31aおよびbET-23a含有培養上清50μl、およびビッグエ
ンドセリン−1,エンドセリン−3,ビッグエンドセリ
ン−3,ビッグエンドセリン−3 C端ペプタイド(22-
42)、あるいはビッグエンドセリン−3C端ペプタイド
(22-41)-NH2標準液50μlを加え、室温で1時間反応さ
せたのち、上記V−4記載HRP標識化ビッグエンドセ
リン−3 C端ペプタイド(バッファーCで200倍希釈)
を加え、4℃で16時間反応させた。反応後、PBSで洗
浄したのち固相上の酵素活性をII−5(i)記載の方法
により測定した。その結果を図3(A),(B)に示
す。図中、−▲−がビッグエンドセリン−3を、−〇−
がビッグエンドセリン−1を、−●−がエンドセリン−
3を、−■−がビッグエンドセリン−3C端ペプチド
(22-42) を、また、−□−がビッグエンドセリン−3
C端ペプチド(22-41)-NH2の標準曲線を示し、(A) がb
ET-31a、(B)がbET-23aを用いた競合法の結果を示す。
図3の結果から、bET-31aおよびbET-23aはともに、ビッ
グエンドセリン−1およびエンドセリン−3と反応しな
いことから、ビッグエンドセリン−3に特異的な抗体で
あり、さらに、ビッグエンドセリン−3 C端ペプタイ
ド(22-42) およびビッグエンドセリン−3 C端ペプタ
イド(22-41)-NH2と同程度に反応することから、ビッグ
エンドセリン−3のC端部位に広い特異性を有すること
がわかった。
【0049】VII.ビッグエンドセリン−3に関するサ
ンドイッチ法−EIA VII−1.HRP標識化モノクローナル抗体bET-31aの作製 上記V−9記載の方法で精製したbET-31aをI−6記載
の方法に従ってFab'-HRP標識体を作製した。即ち、
0.1M酢酸緩衝液、pH4.5に溶解したモノクローナル抗体b
ET-31a 10.5にペプシン(シグマ社、2回結晶)3.17μg
を加え、37℃,16時間反応させたのち、BBSで平衡化
したウルトロゲルAcA44カラムでF(ab')2画分を精製し
た。該画分を0.1M酢酸緩衝液、pH5で透析したのち、最
終20mMのβ-メルカプトエチルアミンを加え、37℃で90
分放置した。反応液を2.5mM EDTAを含む0.1Mリン酸
緩衝液,pH6.0で平衡化したセファデックスG−25カラ
ムで分離し、Fab'画分を得た。一方、西洋ワサビペル
オキシダーゼ5mgを0.9mlの0.1Mリン酸緩衝液、pH7に
溶解させ、50μlのDMFに溶解させたGMBS 1.05mg
を加えて室温で40分反応させた。反応液をセファデック
スG−25カラム (溶離液0.1Mリン酸緩衝液、pH6.8) で
分離し、得られたマレイミド化ペルオキシダーゼ3.5mg
と上記Fab'画分1.3mgとを混合し、コロジオンパック
(エムエス機器社) で約0.3mlにまで濃縮したのち、4℃
で16時間放置した。反応液を溶離液に0.1Mリン酸緩衝
液、pH6.5を用いるウルトロゲルAcA44カラム (10mmφ×
40mm) に供し、Fab'−ペルオキシダーゼ複合体画分を
精製した。
【0050】VII−2.HRP標識化モノクローナル抗体bE
T-23aの作製 上記VII−1記載の方法に従いモノクローナル抗体bET-2
3a 12.7mgを用いて、HRP標識化bET-23aを作製した。
【0051】VII−3.サンドイッチ法EIA IVで作製したAET-30a結合マイクロプレートにバッファ
ーEで希釈したビッグエンドセリン−3、ビッグエンド
セリン−1(ヒト)、エンドセリン−3、エンドセリン
−1およびエンドセリン−2(ヒト)標準液100μlを加
え、4℃で24時間反応させた。PBSで洗浄したのち、
上記VII−1、VII−2で作製したHRP標識化bET-31a
またはbET-23a(バッファーCで200倍希釈) 100μlを加
え、4℃で24時間反応させた。PBSで洗浄したのち、
上記II−5(i)記載の方法により固相上の酵素活性を測
定した。HRP標識化bET-31aを用いた場合の結果を図
4に、HRP標識化bET-23aを用いた場合の結果を図5
に示す。図中、−▲−がビッグエンドセリン−3の、ま
た−〇−がビッグエンドセリン−1(ヒト)の、−●−
がエンドセリン−3の、−■−がエンドセリン−1の、
−□−がエンドセリン−2の標準曲線を示す。図4の結
果から、HRP標識化bET-31aを用いる測定法はビッグ
エンドセリン−3に特異的であり、他のエンドセリンと
はほとんど反応せず(交差反応性、0.1%以下)、また測
定感度は、6×10~17モル/ウェルであることが分った。
同様に図5の結果から、HRP標識化bET-23aを用いる
測定法は、ビッグエンドセリン−3に特異的であり、他
のエンドセリンとはほとんど反応しない(交差反応性、
0.1%以下)ことが分った。また、測定感度は、8×10
-16モル/ウェルであった。
【0052】VIII.羊水中のエンドセリン−3の定量 羊水(1ml)をセップパックC-18カートリッジで濃縮
・前処理したのち、エンドセリン−3を上記IV記載サン
ドイッチ法−EIAにより定量した。羊水の前処理の方
法をスキーム1に、測定結果を表1に示した。表1の結
果より、出産時の羊水中に4.2±3.9pg/ml(mean±S
D,n=8)のエンドセリン−3が存在することが分っ
た。 IX.羊水中のエンドセリン−3の逆相高速液体クロマト
グラフィー(RP−HPLC)による検出 表1、No.3の羊水1.5mlを上記V記載のセップパ
ックC−18カートリッジを用いて前処理したのち、チッ
素気流下で濃縮した。次に濃縮物を、後述する溶離液A
100μlに溶解したのち、RP−HPLCで分離した。
分離条件を以下に示す。 カラム:ODS−80TM(4.6 mmφ×250mm,東ソー社
製) 溶離液A:0.05%−トリフルオロ酢酸(TFA)を含む
5%アセトニトリル 溶離液B:0.05%TFAを含む60%アセトニトリル 溶出方法:溶離液Bの濃度を最初の5分間の間に0〜40
%に、次の20分間に40〜65%に、さらに次の5分間に65
〜100%に、直線的に上昇させる。 流 速:1ml/分 分 画:0.5ml/tube 溶出画分を減圧下、遠心濃縮乾固したのち、250μlの
バッファーEに溶解させ、上記IV記載のサンドイッチ法
−EIAに供した。結果を図6に示す。羊水中のエンド
セリン−3の免疫活性は合成エンドセリン−3の溶出位
置に検出されたことから、該サンドイッチ法−EIAが
エンドセリン−3を検出していることが確認された。
【0053】
【化1】
【0054】
【表1】
【0055】X.健常人および透析患者血漿中のエンド
セリン−3の定量 ヒト血漿(1ml) をスキーム1に示す方法により、濃
縮、前処理したのち、エンドセリン−3を上記IV記載サ
ンドイッチ法−EIAにより定量した。健常人17名(男
性、37.5±4.9才) および透析患者24名 (男性、46.0±
7.0才) の血漿の測定結果を図7に示す。この結果か
ら、この測定法により血漿中のエンドセリン−3が定量
可能であること、および、透析患者でエンドセリン−3
の血漿レベルが増加することから、この測定法が臨床上
も有用であることが明らかにされた。
【0056】XI.健常人および透析患者血漿中のエンド
セリン−3免疫活性のRP−HPLCによる検出 健常人血漿、20ml、あるいは透析患者血漿80mlを同量の
PBSで希釈したのち、AET-30の結合セファロース4B
カラム(I−4記載の方法により、1.5mgの抗体を1g
のCNBr活性化セファロース4Bに結合させたゲル1.
5mlを含む) に10ml/時間の速度で通した。カラムを15ml
のPBSで洗浄したのち、3mlの0.05%TFAを含む60
%アセトニトリル溶液で溶出し、窒素気流下濃縮した。
濃縮物を0.05%TFAおよび0.05%CHAPS(3−
[(3−コラミドプロピル)ジメチルアンモニオ]1−プ
ロパンスルホネート)(3−[(3−cholamidopropyl)d
imethylammonio]−1−propanesultonate) を含む5%
アセトニトリル溶液で溶解したのち、IX記載の溶出条件
により、RP−HPLCで分析した。結果を図8に示
す。健常人(A)および透析患者(B)いずれの免疫活
性も、標準の合成エンドセリン−3の溶出位置に検出さ
れたことから、該サンドイッチ−EIAが、血漿中のエ
ンドセリン−3を検出していることが確認され、その優
れた特性が明らかとなった。
【0057】XII モノクローナル抗体AET−30a
の中和活性能の検討 ブタ左冠状動脈より摘出した約2cmのらせん状条片を、
混合ガス(95%O2+5%CO2)通気下にクレブス−ヘ
ンゼライト液(以下栄養液と略す)で満たされたマグヌ
ス管内に懸垂した。37℃で3時間放置したのち、血管平
滑筋の収縮により発生する張力をアイソメトリックトラ
ンスデューサー(ポリグラフ、NEC三栄社製)により
測定した。試料として、あらかじめ20倍 moleのAE
T−30aと37℃、20分間反応させたエンドセリン
-3溶液(最終エンドセリン−3濃度 1×10-8M)を添
加しても発生する張力は、同濃度のエンドセリン−3に
より惹起される張力の7.0%(n=5)であるのに対し、
対照抗体H272−11(抗癌胎児性抗原)とエンドセ
リン−3とを反応させた溶液(最終1×10-8M)を添加
した場合には エンドセリン−3と同程度(121%,n=
5)の収縮による張力が観測された。以上のことから、
AET−30aはエンドセリン−3の血管平滑筋収縮活
性を中和することが明らかとなった。
【0058】
【発明の効果】本発明のエンドセリン−3に対するモノ
クローナル抗体は、極めて高い結合能を有し、かつエン
ドセリン−3の血管平滑筋収縮活性を中和することがで
きる。該モノクローナル抗体とエンドセリン−3のC端
部を認識する抗体とを用いるサンドイッチ法による免疫
学的測定法により、エンドセリン−3を高感度にかつエ
ンドセリン−1あるいはエンドセリン−2あるいはビッ
グエンドセリン−3と交差反応することなく定量するこ
とができる。また該抗体は、エンドセリン−3と関連す
る各種疾患において、エンドセリン−3の強力なアンタ
ゴニストとして使用し得る。また、本発明のビッグエン
ドセリン−3 C端ペプチドに対するモノクローナル抗
体は、ビッグエンドセリン−3 C末端に対し、幅広い
特異性を有することから、ビッグエンドセリン−3免疫
活性の検出に有利であり、該モノクローナル抗体とエン
ドセリン−3に対するモノクローナル抗体とを用いるサ
ンドイッチ法による免疫学的測定法により、ビッグエン
ドセリン−3を高感度にかつ、エンドセリン−1、−
2、−3、およびビッグエンドセリン−1と交差反応す
ることなく定量することができる。
【0059】
【図面の簡単な説明】
【図1】モノクローナル抗体AET−30aを用いる競
合法−EIAにおけるエンドセリン−3およびエンドセ
リン−1の標準曲線を示す。
【図2】モノクローナル抗体AET−30aおよび抗エ
ンドセリン−3 C端ペプタイド抗体を用いるサンドイ
ッチ法−EIAにおけるエンドセリン−3(−●−)、
エンドセリン−1(−▲−)、エンドセリン−2(−■
−)、ヒトビッグエンドセリン−1(−○−)、ブタビ
ッグエンドセリン−1(−□−)、およびビッグエンド
セリン−3(−△−)の標準曲線を示す。
【図3】(A)モノクローナル抗体bET-31aを用いる競
合法−EIA、(B)はモノクローナル抗体bET-23aを用
いる競合法−EIA、各々におけるビッグエンドセリン
−3(−▲−)、ビッグエンドセリン−1(ヒト)(−〇
−)、エンドセリン−3(−●−)、ビッグエンドセリン
−3 C端ペプチド(22-42)(−■−)、およびビッグエ
ンドセリン−3C端ペプチド(22-41)-NH2(−□−)の
標準曲線を示す。
【図4】モノクローナル抗体AET-30aおよびモノクロー
ナル抗体bET-31aを用いるサンドイッチ法−EIAにお
けるビッグエンドセリン−3(−▲−)ビッグエンドセ
リン−1(ヒト)(−〇−)、エンドセリン−3(−●
−)、エンドセリン−1(−■−)、およびエンドセリン
−2(−□−)の標準曲線を示す。
【図5】モノクローナル抗体AET-30aおよびモノクロー
ナル抗体bET-23aを用いるサンドイッチ法−EIAにお
けるビッグエンドセリン−3(−▲−)ビッグエンドセ
リン−1(ヒト)(−〇−)、エンドセリン−3(−●
−)、エンドセリン−1(−■−)、およびエンドセリン
−2(−□−)の標準曲線を示す。
【図6】セップパックC−18カートリッジ処理後のヒ
ト羊水の逆相HPLCによる分離および、上記サンドイ
ッチ法−EIAによる検出結果を示す。矢印は合成標準
エンドセリンおよびビッグエンドセリンの溶出位置を示
す。 略号:ET−3,エンドセリン−3;(a)ヒトビッグ
エンドセリン−1の酸化物;hbig−ET−1,ヒト
ビッグエンドセリン−1;(b)エンドセリン−1の酸
化物;pbig−ET−1,ブタビッグエンドセリン−
1;ET−1,エンドセリン−1,およびET−2,エ
ンドセリン−2。
【図7】健常人および透析患者血漿中のエンドセリン−
3濃度の測定結果を示す。
【図8】健常人および透析患者血漿エンドセリン−3免
疫活性の逆相HPLCによる分離および上記サンドイッ
チ法−EIAによる検出結果を示す。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI G01N 33/577 C12N 15/00 ZNAC //(C12N 15/02 ZNA 5/00 B C12R 1:91) (C12P 21/08 C12R 1:91) 微生物の受託番号 FERM BP−2948 (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C07K 16/18 - 16/26 C12P 21/08 C12N 15/02 BIOSIS(DIALOG) CA(STN)

Claims (18)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】以下の特徴を有する、エンドセリン−3前
    駆体に結合性を有するモノクローナル抗体: (1)エンドセリン−3前駆体と結合性を有し、かつエン
    ドセリン−3 C端ペプチド、すなわち Cys His Leu A
    sp Ile Ile Trp で表わされるペプチドと反応しない、 (2)エンドセリン−3前駆体と結合性を有し、一方、下
    記のアミノ酸配列を有する、 エンドセリン−1 Cys Ser Cys Ser Ser Leu Met Asp Lys Glu Cys Val Tyr Phe Cys His Leu Asp Ile Ile Trp、 エンドセリン−2 Cys Ser Cys Ser Ser Trp Leu Asp Lys Glu Cys Val Tyr Phe Cys His Leu Asp Ile Ile Trp、 およびマウス・エンドセリン−2 Cys Ser Cys Asn Ser Trp Leu Asp Lys Glu Cys Val Tyr Phe Cys His Leu Asp Ile Ile Trp、 のいずれとも反応しない、 (3)ビッグエンドセリン−3(式2) Cys Thr Cys Phe Thr Tyr Lys Asp Lys Glu Cys Val Tyr Tyr Cys His Leu Asp Ile Ile Trp Ile Asn Thr Pro Glu Gln Thr Val Pro Tyr Gly Leu Ser Asn Tyr Arg Gly Ser Phe Arg X (X=Gly−OHまたはNH2) またはその部分ペプチドと結合性を有し、かつエンドセ
    リン−3と反応しない、または (4)式3の配列を有するビッグエンドセリン−3C端ペ
    プチドと反応する、式3 Ile Asn Thr Pro Glu Gln Thr Val Pro Tyr Gly Leu Ser Asn Tyr Arg Gly Ser Phe Arg X (X=Gly−OHまたはNH2)。
  2. 【請求項2】エンドセリン−3の前駆体が、式1の配列
    を有するポリペプチド、または式2で表されるビッグエ
    ンドセリン−3、もしくはその一部分である、請求項1
    記載のモノクローナル抗体。 式1 Met Glu Pro Gly Leu Trp Leu Leu Phe Gly Leu Thr Val Thr Ser Ala Ala Gly Phe Val Pro Cys Ser Gln Ser Gly Asp Ala Gly Arg Arg Gly Val Ser Gln Ala Pro Thr Ala Ala Arg Ser Glu Gly Asp Cys Glu Glu Thr Val Ala Gly Pro Gly Glu Glu Thr Val Ala Gly Pro Gly Glu Gly Thr Val Ala Pro Thr Ala Leu Gln Gly Pro Ser Pro Gly Ser Pro Gly Gln Glu Gln Ala Ala Glu Gly Ala Pro Glu His His Arg Ser Arg Arg Cys Thr Cys Phe Thr Tyr Lys Asp Lys Glu Cys Val Tyr Tyr Cys His Leu Asp Ile Ile Trp Ile Asn Thr Pro Glu Gln Thr Val Pro Tyr Gly Leu Ser Asn Tyr Arg Gly Ser Phe Arg Gly Lys Arg Ser Ala Gly Pro Leu Pro Gly Asn Leu Gln Leu Ser His Arg Pro His Leu Arg Cys Ala Cys Val Gly Arg Tyr Asp Lys Ala Cys Leu His Phe Cys Thr Gln Thr Leu Asp Val Ser Arg Gln Val Glu Val Lys Asp Gln Gln Ser Lys Gln Ala Leu Asp Leu His His Pro Lys Leu Met Pro Gly Ser Gly Leu Ala Leu Ala Pro Ser Thr Cys Pro Arg Cys Leu Phe Gln Glu Gly Ala Pro 式2 Cys Thr Cys Phe Thr Tyr Lys Asp Lys Glu Cys Val Tyr Tyr Cys His Leu Asp Ile Ile Trp Ile Asn Thr Pro Glu Gln Thr Val Pro Tyr Gly Leu Ser Asn Tyr Arg Gly Ser Phe Arg X (X=Gly−OHまたはNH2
  3. 【請求項3】エンドセリン−3前駆体と結合性を有し、
    かつエンドセリン−3C端ペプチド、すなわち Cys Hi
    s Leu Asp Ile Ile Trp で表わされるペプチドと反応
    しない抗体である、請求項1記載のモノクローナル抗
    体。
  4. 【請求項4】エンドセリン−3前駆体と結合性を有し、
    一方、下記のアミノ酸配列を有する、 エンドセリン−1 Cys Ser Cys Ser Ser Leu Met Asp Lys Glu Cys Val Tyr Phe Cys His Leu Asp Ile Ile Trp、 エンドセリン−2 Cys Ser Cys Ser Ser Trp Leu Asp Lys Glu Cys Val Tyr Phe Cys His Leu Asp Ile Ile Trp、 およびマウス・エンドセリン−2 Cys Ser Cys Asn Ser Trp Leu Asp Lys Glu Cys Val Tyr Phe Cys His Leu Asp Ile Ile Trp、 のいずれとも反応しない抗体である、請求項1記載のモ
    ノクローナル抗体。
  5. 【請求項5】ビッグエンドセリン−3(式2)またはそ
    の部分ペプチドと結合性を有し、かつエンドセリン−3
    と反応しない抗体である、請求項1記載のモノクローナ
    ル抗体。
  6. 【請求項6】式3の配列を有するビッグエンドセリン−
    3C端ペプチドと反応する抗体である、請求項5記載の
    モノクローナル抗体。 式3 Ile Asn Thr Pro Glu Gln Thr Val Pro Tyr Gly Leu Ser Asn Tyr Arg Gly Ser Phe Arg X (X=Gly−OHまたはNH2
  7. 【請求項7】bET−31aで標示される、請求項6記
    載のマウスモノクローナル抗体。
  8. 【請求項8】bET−23aで標示される、請求項6記
    載のマウスモノクローナル抗体。
  9. 【請求項9】エンドセリン−3前駆体に結合性を有する
    モノクローナル抗体を産生するハイブリドーマ細胞。
  10. 【請求項10】bET−31で標示される、請求項9記
    載のハイブリドーマ細胞。
  11. 【請求項11】bET−23で標示される、請求項9記
    載のハイブリドーマ細胞。
  12. 【請求項12】請求項1記載のモノクローナル抗体と、
    被検液および標識化エンドセリン−3前駆体とを競合的
    に反応させ、該抗体に結合した標識化エンドセリン−3
    前駆体の割合を測定することを特徴とする、被検液中の
    エンドセリン−3前駆体の定量法。
  13. 【請求項13】エンドセリン−3前駆体に対する抗体
    と、被検液および標識化ビッグエンドセリン−3または
    標識化ビッグエンドセリン−3 C端ペプチドとを競合
    的に反応させ、該抗体に結合した標識化ビッグエンドセ
    リン−3または標識化ビッグエンドセリン−3 C端ペ
    プチドの割合を測定することを特徴とする、被検液中の
    エンドセリン−3前駆体の定量法。
  14. 【請求項14】担体上に不溶化した抗エンドセリン−3
    モノクローナル抗体AET−30aまたはエンドセリン
    −3前駆体に対する抗体に、被検液を接触させた後、標
    識化されたエンドセリン−3モノクローナル抗体AET
    −30aまたは標識化されたエンドセリン−3前駆体に
    対する抗体を接触させ、不溶化担体上の標識剤の活性を
    測定することを特徴とする、被検液中のエンドセリン−
    3前駆体の定量法。
  15. 【請求項15】担体上に不溶化した抗体、および標識化
    された抗体の一方がAET−30aであり、他方がエン
    ドセリン−3前駆体に結合性を有するがエンドセリン−
    3とは反応しないモノクローナル抗体である、請求項1
    4記載のエンドセリン−3前駆体の定量法。
  16. 【請求項16】担体上に不溶化したエンドセリン−3前
    駆体に対する抗体、および標識化されたエンドセリン−
    3前駆体に対する抗体が請求項6記載のモノクローナル
    抗体である請求項15記載のエンドセリン−3前駆体の
    定量法。
  17. 【請求項17】担体上に不溶化したエンドセリン−3前
    駆体に対する抗体、および標識化されたエンドセリン−
    3前駆体に対する抗体がbET−31aまたはbET−
    23aである請求項15記載のエンドセリン−3前駆体
    の定量法。
  18. 【請求項18】担体上に不溶化したエンドセリン−3モ
    ノクローナル抗体AET−30aと標識化されたbET
    −31aまたはbET−23aとを用いる請求項17記
    載のエンドセリン−3前駆体の定量法。
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