JP4374316B2 - β−アミロイドまたはその誘導体に対する抗体およびその用途 - Google Patents
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β-アミロイドは、約40個のアミノ酸からなるペプチドであり、アミロイド前駆体蛋白質(Amyloid Precursor Protein:以下、APPと称する)の細胞膜貫通領域の近傍にコードされている。β-アミロイドのアミノ酸配列を以下に示す。
〔β-アミロイド(1−38)〕配列番号:1
Asp-Ala-Glu-Phe-Arg-His-Asp-Ser-Gly-Tyr-Glu-Val-His-His-Gln-Lys-Leu-Val-Phe-Phe-
Ala-Glu-Asp-Val-Gly-Ser-Asn-Lys-Gly-Ala-Ile-Ile-Gly-Leu-Met-Val-Gly-Gly
〔β-アミロイド(1−39)〕配列番号:2
Asp-Ala-Glu-Phe-Arg-His-Asp-Ser-Gly-Tyr-Glu-Val-His-His-Gln-Lys-Leu-Val-Phe-Phe-
Ala-Glu-Asp-Val-Gly-Ser-Asn-Lys-Gly-Ala-Ile-Ile-Gly-Leu-Met-Val-Gly-Gly-Val
〔β-アミロイド(1−40)〕配列番号:3
Asp-Ala-Glu-Phe-Arg-His-Asp-Ser-Gly-Tyr-Glu-Val-His-His-Gln-Lys-Leu-Val-Phe-Phe-
Ala-Glu-Asp-Val-Gly-Ser-Asn-Lys-Gly-Ala-Ile-Ile-Gly-Leu-Met-Val-Gly-Gly-Val-Val
〔β-アミロイド(1−41)〕配列番号:4
Asp-Ala-Glu-Phe-Arg-His-Asp-Ser-Gly-Tyr-Glu-Val-His-His-Gln-Lys-Leu-Val-Phe-Phe-
Ala-Glu-Asp-Val-Gly-Ser-Asn-Lys-Gly-Ala-Ile-Ile-Gly-Leu-Met-Val-Gly-Gly-Val-Val-
Ile
〔β-アミロイド(1−42)〕配列番号:5
Asp-Ala-Glu-Phe-Arg-His-Asp-Ser-Gly-Tyr-Glu-Val-His-His-Gln-Lys-Leu-Val-Phe-Phe-
Ala-Glu-Asp-Val-Gly-Ser-Asn-Lys-Gly-Ala-Ile-Ile-Gly-Leu-Met-Val-Gly-Gly-Val-Val-
Ile-Ala
〔β-アミロイド(1−43)〕配列番号:6
Asp-Ala-Glu-Phe-Arg-His-Asp-Ser-Gly-Tyr-Glu-Val-His-His-Gln-Lys-Leu-Val-Phe-Phe-
Ala-Glu-Asp-Val-Gly-Ser-Asn-Lys-Gly-Ala-Ile-Ile-Gly-Leu-Met-Val-Gly-Gly-Val-Val-
Ile-Ala-Thr
しかし、このようにβ-アミロイドに深い関心が寄せられているにもかかわらず、これまでβ-アミロイドを簡便に高感度に検出する測定系に関する報告はほとんど発表されておらず、僅かに、P. Seubertらにより、β-アミロイドのサンドイッチ酵素免疫測定法の報告がなされたに過ぎない(Nature, 359, 325-327, 1992)。このP. Seubertらの測定法の検出感度は100 pg/mlと報告されており、満足できる感度とはいえない。また、該測定法はβ-アミロイドのN端28残基からなる部分ペプチド〔β-アミロイド(1−28)と略す〕とも反応すると報告されている。しかしながら、β-アミロイドのC端部、β-アミロイド(29−39)、β-アミロイド(29−40)、β-アミロイド(29−41)、β-アミロイド(29−42)あるいはβ-アミロイド(29−43)には疎水的アミノ酸が数多く存在することから、細胞膜に埋め込まれている領域と考えられており、この部分がペプチドの凝集や沈着に重要な役割を果たしていると想定される。このため、C端部疎水的領域を有するβ-アミロイドを測定することが重要であると言えるが、上記のP. Seubertらの方法は、該特異性および感度の点で、社会的要求を満足していないものである。
P. Seubertら「Nature」, 359, 325-327, 1992年 B. A. Yankner ら「Science」, 250, 279-282, 1990年 「アーチブス オブ バイオケミストリー アンド バイオフィジックス(Arch. Biochem. Biophys.)」, 301, 41-53, 1993年 「バイオケミストリー(Biochemistry), 32, 4693-4697, 1993」
すなわち、本発明は、β-アミロイドまたはその誘導体のC端側の部分ペプチドに特異的に反応する抗体(好ましくは、モノクローナル抗体)、β-アミロイドまたはその誘導体のN端側の部分ペプチドに特異的に反応するモノクローナル抗体、β-アミロイドまたはその誘導体の中心部分の部分ペプチドに特異的に反応する抗体(好ましくは、モノクローナル抗体)、該モノクローナル抗体を産生するハイブリドーマ細胞、該抗体およびハイブリドーマ細胞の製造法、該抗体を用いた競合法あるいはサンドイッチ法によるβ-アミロイドおよびその誘導体の免疫測定法(アルツハイマー病などの診断方法)に関する。
(1)β-アミロイドまたはその誘導体のC端側の部分ペプチドに特異的に反応することを特徴とする抗体、
(2)抗体が配列番号:8で表されるアミノ酸配列を有する部分ペプチドおよび配列番号:9で表されるアミノ酸配列を有する部分ペプチドを認識しないことを特徴とする第(1)項記載の抗体、
(3)抗体が配列番号:8で表されるアミノ酸配列を有する部分ペプチドを認識するが、配列番号:9で表されるアミノ酸配列を有する部分ペプチドを認識しないことを特徴とする第(1)項記載の抗体、
(4)抗体が配列番号:8で表されるアミノ酸配列を有する部分ペプチドを認識しないが、配列番号:9で表されるアミノ酸配列を有する部分ペプチドを認識することを特徴とする第(1)項記載の抗体、
(5)抗体がモノクローナル抗体である第(1)ないし(4)項記載の抗体、
(6)第(5)項記載モノクローナル抗体を産生するハイブリドーマ細胞、
(7)配列番号:7で表されるアミノ酸配列を有する部分ペプチドおよび(または)配列番号:10で表されるアミノ酸配列を有する部分ペプチドを認識することを特徴とするβ-アミロイドまたはその誘導体のN端側の部分ペプチドに特異的に反応するBAN−052aで標示されるモノクローナル抗体、
(8)配列番号:7で表されるアミノ酸配列を有する部分ペプチドおよび(または)配列番号:10で表されるアミノ酸配列を有する部分ペプチドを認識することを特徴とするβ-アミロイドまたはその誘導体のN端側の部分ペプチドに特異的に反応することを特徴とするBAN−50aで標示されるモノクローナル抗体、
(9)第(7)項記載のモノクローナル抗体を産生するハイブリドーマ細胞、
(10)第(8)項記載のモノクローナル抗体を産生するハイブリドーマ細胞、
(11)配列番号:7で表されるアミノ酸配列を有する部分ペプチドを認識せず、配列番号:12で表されるアミノ酸配列を有する部分ペプチドを認識することを特徴とするβ-アミロイドまたはその誘導体に特異的に反応する抗体、
(12)抗体がモノクローナル抗体である第(11)項記載の抗体、
(13)第(12)項記載モノクローナル抗体を産生するハイブリドーマ細胞、
(14)第(1)、第(7)、第(8)または第(11)項記載の抗体を用いることを特徴とする被検液中のβ-アミロイドまたはその誘導体の定量法、
(15)第(1)項記載の抗体と、第(7)または第(8)項記載の抗体を用いることを特徴とする被検液中のβ-アミロイドの定量法、
(16)第(11)項記載の抗体と、第(1)、第(7)または第(8)項記載の抗体を用いることを特徴とする被検液中のβ-アミロイドの定量法および
(17)アルツハイマー病の診断に用いられる第(14)〜(16)項記載の定量法に関する。
上記(1)の好ましい態様は、
(18)β-アミロイドが配列番号:1、配列番号:2、配列番号:3、配列番号:4、配列番号:5または配列番号:6で表されるアミノ酸配列を有するペプチドである第(1)項記載の抗体、
(19)β-アミロイドの誘導体が 配列番号:5で表されるアミノ酸配列の第2番目〜42番目のアミノ酸配列を有するペプチド、 配列番号:5で表されるアミノ酸配列の第3番目〜42番目のアミノ酸配列を有するペプチドであってN端のグルタミン酸がピログルタミン酸に変換したペプチド、 配列番号:5で表されるアミノ酸配列の第4番目〜42番目のアミノ酸配列を有するペプチドまたは 配列番号:1〜配列番号:6で表されるアミノ酸配列から第1番目〜16番目のアミノ酸配列または第1番目〜17番目のアミノ酸配列が欠如したアミノ酸配列を有するペプチドである第(1)項記載の抗体、
(20)β-アミロイドまたはその誘導体のC端側の部分ペプチドのC端側の部分ペプチドが、β-アミロイドのN端のアミノ酸から数えて25番目以降のアミノ酸配列を有する部分ペプチドである第(1)項記載の抗体、
(21)抗体が配列番号:7で表されるアミノ酸配列を有する部分ペプチドを認識しないことを特徴とする第(1)、(18)ないし(20)項記載の抗体、
(22)抗体が配列番号:8で表されるアミノ酸配列を有する部分ペプチドを認識することを特徴とする第(1)、(18)ないし(21)項記載の抗体および
(23)抗体が配列番号:9で表されるアミノ酸配列を有する部分ペプチドを認識することを特徴とする第(1)、(18)ないし(21)項記載の抗体である。
(24)配列番号:8で表されるアミノ酸配列を有する部分ペプチドおよび配列番号:9で表されるアミノ酸配列を有する部分ペプチドを認識しないことを特徴とする配列番号:1で表されるアミノ酸配列を有するβ-アミロイド、配列番号:2で表されるアミノ酸配列を有するβ-アミロイドおよび(または)配列番号:3で表されるアミノ酸配列を有するβ-アミロイドのC端側の部分ペプチドに特異的に反応する抗体および
(25)配列番号:5で表されるアミノ酸配列を有するβ-アミロイドを認識することを特徴とする第(24)項記載の抗体である。
上記(3)の好ましい態様は、
(26)配列番号:8で表されるアミノ酸配列を有する部分ペプチドを認識するが、配列番号:9で表されるアミノ酸配列を有する部分ペプチドを認識しないことを特徴とする配列番号:1で表されるアミノ酸配列を有するβ-アミロイド、配列番号:2で表されるアミノ酸配列を有するβ-アミロイド、配列番号:3で表されるアミノ酸配列を有するβ-アミロイドおよび(または)配列番号:5で表されるアミノ酸配列を有するβ-アミロイドのC端側の部分ペプチドに特異的に反応する抗体である。
上記(4)の好ましい態様は、
(27)配列番号:8で表されるアミノ酸配列を有する部分ペプチドを認識しないが、配列番号:9で表されるアミノ酸配列を有する部分ペプチドを認識することを特徴とするアルツハイマー病患者の脳ギ酸抽出物中に含まれるβ-アミロイドまたはその誘導体のC端側の部分ペプチドに特異的に反応する抗体、
(28)アルツハイマー病患者の脳ギ酸抽出物中に含まれるβ-アミロイドまたはその誘導体が配列番号:5で表されるアミノ酸配列を有するβ-アミロイドである第(27)項記載の抗体および
(29)配列番号:1で表されるアミノ酸配列を有するβ-アミロイド、配列番号:2で表されるアミノ酸配列を有するβ-アミロイドおよび配列番号:3で表されるアミノ酸配列を有するβ-アミロイドを認識しないことを特徴とする第(28)項記載の抗体である。
(30)BA−27aで標示される第(24)または(25)項記載のモノクローナル抗体、
(31)BS−85aで標示される第(26)項記載のモノクローナル抗体および
(32)BC−05aで標示される第(27)ないし(29)項記載のモノクローナル抗体である。
特に、
(33)β-アミロイドまたはその誘導体のサンドイッチ法酵素免疫測定法による定量に用いられる第(1)ないし(5)および第(18)ないし(32)項記載の抗体が好ましい。
上記(6)の好ましい態様は、
(34)第(30)項記載モノクローナル抗体を産生するハイブリドーマ細胞、
(35)第(31)項記載のモノクローナル抗体を産生するハイブリドーマ細胞および
(36)第(32)項記載のモノクローナル抗体を産生するハイブリドーマ細胞である。
上記(7)および(8)の好ましい態様としては、
(37)β-アミロイドが配列番号:1、配列番号:2、配列番号:3、配列番号:4、配列番号:5または配列番号:6で表されるアミノ酸配列を有するペプチドである第(7)または(8)項記載のモノクローナル抗体、
(38)β-アミロイドの誘導体が 配列番号:5で表されるアミノ酸配列の第2番目〜42番目のアミノ酸配列を有するペプチド、 配列番号:5で表されるアミノ酸配列の第3番目〜42番目のアミノ酸配列を有するペプチドであってN端のグルタミン酸がピログルタミン酸に変換したペプチドまたは 配列番号:5で表されるアミノ酸配列の第4番目〜42番目のアミノ酸配列を有するペプチドである第(7)または(8)項記載の抗体および
(39)β-アミロイドまたはその誘導体のサンドイッチ法酵素免疫測定法による定量に用いられる第(7)、(8)、(37)または(38)項記載の抗体である。
(40)β-アミロイドが配列番号:1、配列番号:2、配列番号:3、配列番号:4、配列番号:5または配列番号:6で表されるアミノ酸配列を有するペプチドである第(11)項記載の抗体、
(41)β-アミロイドの誘導体が 配列番号:5で表されるアミノ酸配列の第2番目〜42番目のアミノ酸配列を有するペプチド、 配列番号:5で表されるアミノ酸配列の第3番目〜42番目のアミノ酸配列を有するペプチドであってN端のグルタミン酸がピログルタミン酸に変換したペプチド、 配列番号:5で表されるアミノ酸配列の第4番目〜42番目のアミノ酸配列を有するペプチドまたは 配列番号:1〜配列番号:6で表されるアミノ酸配列から第1番目〜16番目のアミノ酸配列または第1番目〜17番目のアミノ酸配列が欠如したアミノ酸配列を有するペプチドである第(11)項記載の抗体、
(42)β-アミロイドまたはその誘導体が配列番号:1〜配列番号:6で表されるアミノ酸配列から第1番目〜16番目のアミノ酸配列または第1番目〜17番目のアミノ酸配列が欠如したアミノ酸配列を有するペプチドである第(11)項記載の抗体、
(43)β-アミロイドまたはその誘導体が配列番号:3で表されるアミノ酸配列から第1番目〜16番目のアミノ酸配列または第1番目〜17番目のアミノ酸配列が欠如したアミノ酸配列を有するペプチドである第(11)項記載の抗体、
(44)抗体が配列番号:11で表されるアミノ酸配列を有するペプチドを認識することを特徴とする第(11)、(40)ないし(43)記載の抗体および
(45)β-アミロイドまたはその誘導体のサンドイッチ法酵素免疫測定法による定量に用いられる第(11)、(40)ないし(44)項記載の抗体である。
上記(12)の好ましい態様としては、
(46)BP−90aで標示される第(12)項記載のモノクローナル抗体である。
上記(13)の好ましい態様としては、
(47)第(46)項記載のモノクローナル抗体を産生するハイブリドーマ細胞である。
(48)第(1)、第(7)、第(8)または第(11)項記載の抗体と、被検液および標識化β-アミロイドまたはその誘導体とを競合的に反応させ、該抗体に結合した標識化β-アミロイドまたはその誘導体の割合を測定することを特徴とする被検液中のβ-アミロイドまたはその誘導体の定量法である。
上記(15)の好ましい態様としては、
(49)担体上に不溶化したβ-アミロイドまたはその誘導体に対する抗体、標識化されたβ-アミロイドまたはその誘導体に対する抗体および被検液を反応させた後、不溶化担体上の標識剤の活性を測定することを特徴とし、担体上に不溶化したβ-アミロイドまたはその誘導体に対する抗体および標識化されたβ-アミロイドまたはその誘導体に対する抗体の一方が第(1)項記載の抗体であり、他方が配列番号:7または配列番号:10で表されるアミノ酸配列を有する部分ペプチドを認識する抗体であることを特徴とする被検液中のβ-アミロイドまたはその誘導体の定量法、
(50)配列番号:7または配列番号:10で表されるアミノ酸配列を有する部分ペプチドを認識する抗体がBAN−052aまたはBAN−50aで標示されるモノクローナル抗体である第(49)項記載の定量法、
(51)担体上に不溶化したβ-アミロイドに対する抗体および標識化されたβ-アミロイドに対する抗体の一方がBA−27a、BS−85aまたはBC−05aで標示されるモノクローナル抗体であり、他方がBAN−052aまたはBAN−50aで標示されるモノクローナル抗体である第(49)項記載の定量法、
(52)担体上に不溶化したβ-アミロイドに対する抗体および標識化されたβ-アミロイドに対する抗体の一方がBA−27aで標示されるモノクローナル抗体であり、他方がBAN−052aまたはBAN−50aで標示されるモノクローナル抗体であり、β-アミロイドまたはその誘導体が配列番号:1で表されるアミノ酸配列を有するペプチド、配列番号:2で表されるアミノ酸配列を有するペプチド、配列番号:3で表されるアミノ酸配列を有するペプチドおよび(または)配列番号:5で表されるアミノ酸配列を有するペプチドである第(49)項記載の定量法、
(53)担体上に不溶化したβ-アミロイドに対する抗体および標識化されたβ-アミロイドに対する抗体の一方がBS−85aで標示されるモノクローナル抗体であり、他方がBAN−052aまたはBAN−50aで標示されるモノクローナル抗体であり、β-アミロイドまたはその誘導体が配列番号:1で表されるアミノ酸配列を有するペプチド、配列番号:2で表されるアミノ酸配列を有するペプチド、配列番号:3で表されるアミノ酸配列を有するペプチドおよび(または)配列番号:5で表されるアミノ酸配列を有するペプチドである第(49)項記載の定量法および
(54)担体上に不溶化したβ-アミロイドに対する抗体および標識化されたβ-アミロイドに対する抗体の一方がBC−05aで標示されるモノクローナル抗体であり、他方がBAN−052aまたはBAN−50aで標示されるモノクローナル抗体であり、β-アミロイドまたはその誘導体が配列番号:5で表されるアミノ酸配列を有するペプチドである第(49)項記載の定量法である。
(55)担体上に不溶化したβ-アミロイドまたはその誘導体に対する抗体、標識化されたβ-アミロイドまたはその誘導体に対する抗体および被検液を反応させた後、不溶化担体上の標識剤の活性を測定することを特徴とし、担体上に不溶化したβ-アミロイドまたはその誘導体に対する抗体および標識化されたβ-アミロイドまたはその誘導体に対する抗体の一方が第(11)項記載の抗体であり、他方が第(1)項記載の抗体または配列番号:7もしくは配列番号:10で表されるアミノ酸配列を有する部分ペプチドを認識する抗体であることを特徴とする被検液中のβ-アミロイドまたはその誘導体の定量法、
(56)配列番号:7または配列番号:10で表されるアミノ酸配列を有する部分ペプチドを認識する抗体がBAN−052aまたはBAN−50aで標示されるモノクローナル抗体である第(55)項記載の定量法、
(57)担体上に不溶化したβ-アミロイドに対する抗体および標識化されたβ-アミロイドに対する抗体の一方がBP−90aで標示されるモノクローナル抗体であり、他方がBA−27a、BS−85a、BC−05a、BAN−052aまたはBAN−50aで標示されるモノクローナル抗体である第(55)項記載の定量法、
(58)担体上に不溶化したβ-アミロイドに対する抗体および標識化されたβ-アミロイドに対する抗体の一方がBP−90aで標示されるモノクローナル抗体であり、他方がBAN−052aまたはBAN−50aで標示されるモノクローナル抗体であり、β-アミロイドまたはその誘導体が配列番号:1で表されるアミノ酸配列を有するペプチド、配列番号:2で表されるアミノ酸配列を有するペプチド、配列番号:3で表されるアミノ酸配列を有するペプチド、配列番号:4で表されるアミノ酸配列を有するペプチド、配列番号:5で表されるアミノ酸配列を有するペプチド、および(または)配列番号:6で表されるアミノ酸配列を有するペプチドである第(55)項記載の定量法および
(59)担体上に不溶化したβ-アミロイドに対する抗体および標識化されたβ-アミロイドに対する抗体の一方がBP−90aで標示されるモノクローナル抗体であり、他方がBA−27a、BS−85aまたはBC−05aで標示されるモノクローナル抗体であり、β-アミロイドまたはその誘導体が配列番号:1〜配列番号:6で表されるアミノ酸配列から第1番目〜16番目のアミノ酸配列または第1番目〜17番目のアミノ酸配列が欠如したアミノ酸配列を有するペプチドである第(55)項記載の定量法である。
ハイブリドーマ細胞 IFO FERM-BP(NIBH)
BAN−052 50386 4138
BA−27 50387 4139
BS−85 50388 4140
また、本発明で得られたハイブリドーマ細胞のうち、BAN−50は平成5年1月8日から財団法人発酵研究所(IFO)に、そして平成5年1月27日から通商産業省工業技術院生命工学技術研究所(NIBH)に以下の受託番号で寄託されている。
ハイブリドーマ細胞 IFO FERM-BP(NIBH)
BAN−50 50390 4163
さらに、本発明で得られたハイブリドーマ細胞のうち、BC−05およびBP−90は平成5年11月2日から通商産業省工業技術院生命工学技術研究所(NIBH)に以下の受託番号で寄託されている。
ハイブリドーマ細胞 FERM-BP(NIBH)
BC−05 4457
BP−90 4458
なお、各ハイブリドーマ細胞から得られる抗体については細胞名の後にaを付けた形で表している。
〔配列番号:1〕β−アミロイド(1−38)
〔配列番号:2〕β−アミロイド(1−39)
〔配列番号:3〕β−アミロイド(1−40)
〔配列番号:4〕β−アミロイド(1−41)
〔配列番号:5〕β−アミロイド(1−42)
〔配列番号:6〕β−アミロイド(1−43)
〔配列番号:7〕β−アミロイド(1−28)
〔配列番号:8〕β−アミロイド(25−35)
〔配列番号:9〕β−アミロイド(35−43)
〔配列番号:10〕β−アミロイド(1−16)
〔配列番号:11〕β−アミロイド(17−28)
〔配列番号:12〕β−アミロイド(18−28)
本発明におけるβ−アミロイドの誘導体としては、上記β−アミロイドのN端部のアミノ酸がそれぞれ1ないし17残基程度欠落したもの、L−アスパラギン酸がL−イソアスパラギン酸、D−イソアスパラギン酸またはD−アスパラギン酸に異性化したもの、N端部にピログルタミン酸を有するものなどが用いられる。具体的には、 配列番号:5で表されるアミノ酸配列の第2番目〜42番目のアミノ酸配列を有するペプチド、 配列番号:5で表されるアミノ酸配列の第3番目〜42番目のアミノ酸配列を有するペプチドであってN端のグルタミン酸がピログルタミン酸に変換したペプチド、 配列番号:5で表されるアミノ酸配列の第4番目〜42番目のアミノ酸配列を有するペプチド、 配列番号:1〜配列番号:6で表されるアミノ酸配列から第1番目〜16番目のアミノ酸配列または第1番目〜17番目のアミノ酸配列が欠如したアミノ酸配列を有するペプチド(例えば、β-アミロイド(17−40)、β-アミロイド(18−40)など)などが用いられる。これらのβ−アミロイドまたはその誘導体は、例えばヒト、サル、ラット、マウスなどの哺乳動物より自体公知の方法で調製することもできるし、また市販の天然精製標品であってもよい。
本発明におけるβ-アミロイドまたはその誘導体のC端側の部分ペプチドに特異的に反応する抗体(好ましくは、モノクローナル抗体)としては、例えばβ-アミロイドまたはその誘導体を認識するが、配列番号:7で表されるアミノ酸配列を有する部分ペプチド(すなわち、β-アミロイド(1−28)で表されるβ-アミロイドのN端側の部分ペプチド)を認識しない抗体などが用いられる。より具体的には、これらの抗体の中でも、
(i)配列番号:8および配列番号:9で表されるアミノ酸配列を有する部分ペプチド(すなわち、β-アミロイド(25−35)およびβ-アミロイド(35−43))を認識しない抗体、
(ii)配列番号:8で表されるアミノ酸配列を有する部分ペプチド(すなわち、β-アミロイド(25−35))を認識する抗体、より好ましくは配列番号:8で表されるアミノ酸配列を有する部分ペプチド(すなわち、β-アミロイド(25−35))を認識するが、配列番号:9で表されるアミノ酸配列を有する部分ペプチド(すなわち、β-アミロイド(35−43))を認識しない抗体、
(iii)配列番号:9で表されるアミノ酸配列を有する部分ペプチド(すなわち、β-アミロイド(35−43))を認識する抗体、より好ましくは配列番号:8で表されるアミノ酸配列を有する部分ペプチド(すなわち、β-アミロイド(25−35))を認識しないが、配列番号:9で表されるアミノ酸配列を有する部分ペプチド(すなわち、β-アミロイド(35−43))を認識する抗体などが好ましい。
また、上記(ii)の抗体の中でも、配列番号:1で表されるアミノ酸配列を有するβ−アミロイド(1−38)、配列番号:2で表されるアミノ酸配列を有するβ−アミロイド(1−39)、配列番号:3で表されるアミノ酸配列を有するβ−アミロイド(1−40)および(または)配列番号:5で表されるアミノ酸配列を有するβ−アミロイド(1−42)を特に認識する抗体が好ましい。
さらに、上記(iii)の抗体の中でも、アルツハイマー病患者の脳ギ酸抽出物中に含まれるβ-アミロイド(特に、配列番号:5で表されるアミノ酸配列を有するβ−アミロイド(1−42))を特に認識する抗体が好ましく、さらには配列番号:5で表されるアミノ酸配列を有するβ−アミロイド(1−42)を認識するが、配列番号:1で表されるアミノ酸配列を有するβ−アミロイド(1−38)、配列番号:2で表されるアミノ酸配列を有するβ−アミロイド(1−39)および配列番号:3で表されるアミノ酸配列を有するβ−アミロイド(1−40)を認識しない抗体が好ましい。
上記(i)の抗体の代表例としては、BA−27aで標示されるモノクローナル抗体があり、上記(ii)の抗体の代表例としては、BS−85aで標示されるモノクローナル抗体があり、上記(iii)の抗体の代表例としては、BC−05a、BC−15a、BC−65a、BC−75a、BC−55a(特に、BC−05aが好ましい)で標示されるモノクローナル抗体がある。
さらに、本発明におけるβ-アミロイドまたはその誘導体の中心部の部分ペプチドに特異的に反応するモノクローナル抗体としては、例えば配列番号:7で表されるアミノ酸配列を有する部分ペプチドを認識せず、配列番号:12で表されるアミノ酸配列を有する部分ペプチドを認識することを特徴とするβ-アミロイドまたはその誘導体に特異的に反応する抗体(好ましくは、モノクローナル抗体)などが用いられる。これら抗体のなかでも、配列番号:1〜配列番号:6で表されるアミノ酸配列から第1番目〜16番目のアミノ酸配列または第1番目〜17番目のアミノ酸配列が欠如したアミノ酸配列を有するペプチドを特に認識する抗体が好ましく、なかでも配列番号:3で表されるアミノ酸配列から第1番目〜16番目のアミノ酸配列(配列番号:11のアミノ酸配列)または第1番目〜17番目のアミノ酸配列が欠如したアミノ酸配列(配列番号:12のアミノ酸配列)を有するペプチドを特に認識する抗体が好ましい。具体的には、BP−01a、BP−02a、BP−03aまたはBP−90aで標示されるモノクローナル抗体などが用いられる。これらモノクローナル抗体のうち、BP−03aおよびBP−90aは配列番号:11で表されるアミノ酸配列を有する部分ペプチドをも認識することができる。これらモノクローナル抗体のなかでも、特にBP−90aが好適である。
(1)抗原の調製
本発明の抗体を調製するために使用される抗原としては、例えばβ−アミロイドまたはその誘導体、β−アミロイドまたはその誘導体を加水分解して得られる部分ペプチド、β−アミロイドと同一の抗原決定基を1種あるいは2種以上有する合成ペプチドなど何れのものも使用することができる(以下、これらを単にβ−アミロイド抗原と称することもある)。
該β−アミロイドまたはその誘導体としては、前述したものが用いられる。これらβ−アミロイドまたはその誘導体は、例えばヒト、サル、ラット、マウスなどの哺乳動物から自体公知の方法あるいはそれに準ずる方法を用いて調製することもできるし、また市販の天然精製標品であってもよい。
該β−アミロイドを加水分解して得られる部分ペプチドとしては、例えば配列番号:6で表されるアミノ酸配列を有するβ−アミロイド(1−43)などをアミノペプチダーゼやカルボキシペプチダーゼなどのエキソプロテアーゼによりN末端および(または)C末端から順次加水分解して得られる部分ペプチドまたはそれらの混合物、あるいはβ−アミロイド(1−43)を種々のエンドペプチダーゼにより加水分解して得られる部分ペプチドまたはそれらの混合物などが用いられる。この方法でβ−アミロイド(1−42)を作製した場合、標品中にβ−アミロイド(1−41)および(または)β−アミロイド(1−43)が混合している場合がある。
該合成ペプチドとしては、例えば上述した天然より精製したβ−アミロイド抗原と同一の構造を有するものや、β−アミロイド(1−43)などのアミノ酸配列において3個以上、好ましくは6個以上のアミノ酸からなる任意の箇所のアミノ酸配列と同一のアミノ酸配列を1種あるいは2種以上含有するペプチド(以下β−アミロイド関連合成ペプチドと略す)などが用いられる。
上記合成ペプチドは、公知の常套手段で製造することができ、固相合成法、液相合成法のいずれによっても製造することができる。具体的な、ペプチド合成の方法としては、例えばB. Merrifield〔ジャーナル オブ アメリカン ケミカル ソサイェティ(J. Am. Chem. Soc.),85. 2149(1963)〕、M. BodanszkyおよびM. A. Ondetti〔ペプチド シンセーシス(Peptide Synthesis), Interscience Publishers, New York,1966年〕、SchroderおよびLubke〔ザ ペプチド(The Peptide), Academic Press,New York, 1965年〕、泉屋信夫他〔ペプチド合成の基礎と実験、丸善、1985年〕、矢島治明および榊原俊平〔生化学実験講座1、タンパク質の化学IV, 205,1977年〕などが用いられる。例えば、固相法によりβ−アミロイドあるいはβ−アミロイド関連合成ペプチドを合成する場合には、不溶性樹脂として当該技術分野で知られたもの(例えば、クロロメチル樹脂、4−オキシメチルフェニルアセタミドメチル樹脂など)の何れかの樹脂を用い、β−アミロイドあるいはβ−アミロイド関連合成ペプチドのC末端側から保護アミノ酸を常法に従って順次縮合する。次いで、フッ化水素処理で全保護基を除去して、高速液体クロマトグラフィーなどのそれ自体公知の方法による精製後、目的とするβ−アミロイドあるいはβ−アミロイド関連合成ペプチドを得ることができる。また、N−保護アミノ酸としては、α−アミノ基はBoc基で保護し、さらに例えばセリンおよびスレオニンの水酸基はBzl基で保護し、グルタミン酸、アスパラギン酸のω−カルボキシル基はOBzl基で保護し、リジンのε−アミノ基はCl−Z基で保護し、チロシンの水酸基はBr−Z基で保護し、アルギニンのグアニド基はTos基で保護し、ヒスチジンのイミダゾール基はBom基で保護する方法で製造することができる。
PAM :フェニルアセタミドメチル
Boc :t−ブチルオキシカルボニル
Cl−Z :2−クロロ−ベンジルオキシカルボニル
Bг−Z :2−ブロモーベンジルオキシカルボニル
Bzl :ベンジル
OcHex:シクロヘキシルエステル
OBzl :ベンジルエステル
Tos :p−トルエンスルホニル
HOBt :1−ベンゾトリアゾール
MeBzl:4−メチルベンジル
Bom :ベンジルオキシメチル
DCC :N,N’−ジシクロヘキシルカルボジイミド
Gly :グリシン
Ala :アラニン
Val :バリン
Leu :ロイシン
Ile :イソロイシン
Ser :セリン
Thr :スレオニン
Cys :システイン
Met :メチオニン
Glu :グルタミン酸
Asp :アスパラギン酸
Lys :リジン
Arg :アルギニン
His :ヒスチジン
Phe :フェニルアラニン
Tyr :チロシン
Trp :トリプトファン
Pro :プロリン
Asn :アスパラギン
Gln :グルタミン。
また、ハプテンとキャリアーのカプリングには、種々の縮合剤を用いることができる。例えば、チロシン、ヒスチジン、トリプトファンを架橋するビスジアゾ化ベンジジンなどのジアゾニウム化合物、アミノ基同志を架橋するグルタルアルデビトなどのジアルデヒド化合物、トルエン−2,4−ジイソシアネートなどのジイソシアネート化合物、チオール基同志を架橋するN,N'-o-フェニレンジマレイミドなどのジマレイミド化合物、アミノ基とチオール基を架橋するマレイミド活性エステル化合物、アミノ基とカルボキシル基とを架橋するカルボジイミド化合物などが好都合に用いられる。また、アミノ基同志を架橋する際にも、一方のアミノ基にジチオピリジル基を有する活性エステル試薬(例えば、SPDPなど)を反応させた後還元することによりチオール基を導入し、他方のアミノ基にマレイミド活性エステル試薬によりマレイミド基を導入後、両者を反応させることもできる。
β−アミロイド抗原は、温血動物に対して、例えば腹腔内注入、静脈注入,皮下注射などの投与方法によって、抗体産生が可能な部位にそれ自体単独であるいは担体、希釈剤と共に投与される。投与に際して抗体産生能を高めるため、完全フロイントアジュバントや不完全フロイントアジュバントを投与してもよい。投与は、通常2〜6週毎に1回ずつ、計2〜10回程度行われる。温血動物としては、例えばサル、ウサギ、イヌ、モルモット、マウス、ラット、ヒツジ、ヤギ、ニワトリなどがあげられるが、モノクローナル抗体作製にはマウス、ラットなどが好ましく用いられる。
モノクローナル抗体の作製に際しては、β−アミロイド抗原を免疫された温血動物、たとえばマウスから抗体価の認められた個体を選択し最終免疫の2〜5日後に脾臓またはリンパ節を採取し、それらに含まれる抗体産生細胞を骨髄腫細胞と融合させることにより、抗β−アミロイドモノクローナル抗体産生ハイブリドーマを調製することができる。血清中の抗β−アミロイド抗体価の測定は、例えば後記の標識化β−アミロイドと抗血清とを反応させたのち、抗体に結合した標識剤の活性を測定することによりなされる。融合操作は既知の方法、例えばケーラーとミルスタインの方法〔ネイチャー(Nature)、256、495 (1975)〕に従い実施できる。融合促進剤としては、ポリエチレングリコール(PEG)やセンダイウィルスなどが挙げられるが、好ましくはPEGなどが用いられる。骨髄腫細胞としてはたとえばNS−1、P3U1、SP2/0、AP−1などがあげられるが、P3U1などが好ましく用いられる。用いられる抗体産生細胞(脾臓細胞)数と骨髄細胞数との好ましい比率は、通常1:1〜20:1程度であり、PEG(好ましくはPEG1000〜PEG6000)が10〜80%程度の濃度で添加され、通常20〜40℃、好ましくは30〜37℃で通常1〜10分間インキュベートすることにより効率よく細胞融合を実施できる。
抗β−アミロイド抗体産生ハイブリドーマのスクリーニングには種々の方法が使用できるが、例えばβ−アミロイドあるいはβ−アミロイド関連合成ペプタイドを直接あるいは担体とともに吸着させた固相(例、マイクロプレート)にハイブリドーマ培養上清を添加し、次に放射性物質や酵素などで標識した抗免疫グロブリン抗体(細胞融合に用いられる細胞がマウスの場合、抗マウス免疫グロブリン抗体が用いられる)またはプロテインAを加え、固相に結合した抗β−アミロイドモノクローナル抗体を検出する方法、抗免疫グロブリン抗体またはプロテインAを吸着させた固相にハイブリドーマ培養上清を添加し、放射性物質や酵素などで標識したβ−アミロイドを加え、固相に結合した抗β−アミロイドモノクローナル抗体を検出する方法などがあげられる。抗β−アミロイドモノクローナル抗体の選別、育種は通常HAT(ヒポキサンチン、アミノプテリン、チミジン)を添加して、10〜20%牛胎児血清を含む動物細胞用培地(例、RPMI1640)で行われる。ハイブリドーマ培養上清の抗体価は、上記の抗血清中の抗β−アミロイド抗体価の測定と同様にして測定できる。
抗β−アミロイドモノクローナル抗体の分離精製は、通常のポリクローナル抗体の分離精製と同様に免疫グロブリンの分離精製法〔例、塩析法、アルコール沈殿法、等電点沈殿法、電気泳動法、イオン交換体(例、DEAE)による吸脱着法、超遠心法、ゲルろ過法、抗原結合固相あるいはプロテインAあるいはプロテインGなどの活性吸着剤により抗体のみを採取し、結合を解離させて抗体を得る特異的精製法など〕に従って行われる。
また、β−アミロイドの一部領域と反応する抗β−アミロイド抗体を産生するハイブリドーマおよび、β−アミロイドとは反応するがその一部領域とは反応しない抗β−アミロイドモノクローナル抗体を産生するハイブリドーマの選別はたとえばその一部領域に相当するペプチドとハイブリドーマが産生する抗体との結合性を測定することにより行うことができる。
以上のようにして得られる 本発明のβ-アミロイドまたはその誘導体のC端側の部分ペプチドに特異的に反応することを特徴とする抗体、 BAN−052aで標示されるモノクローナル抗体、 BAN−50aで標示されるモノクローナル抗体および β-アミロイドまたはその誘導体の中心部分の部分ペプチドに特異的に反応することを特徴とする抗体は、それぞれβ-アミロイドのN端側、C端側および中心部分の部分ペプチドを特異的に認識することができるので、被検液中のβ-アミロイドまたはその誘導体の定量、特にサンドイッチ免疫測定法による定量などに使用することができる。
(1)本発明のβ-アミロイドまたはその誘導体に対する抗体と、被検液および標識化β-アミロイドまたはその誘導体とを競合的に反応させ、該抗体に結合した標識化β-アミロイドまたはその誘導体の割合を測定することを特徴とする被検液中のβ-アミロイドまたはその誘導体の定量法、
(2)担体上に不溶化したβ-アミロイドまたはその誘導体に対する抗体、標識化されたβ-アミロイドまたはその誘導体に対する抗体および被検液を反応させたのち、不溶化担体上の標識剤の活性を測定することを特徴とする被検液中のβ-アミロイドまたはその誘導体の定量法であって、担体上に不溶化したβ-アミロイドまたはその誘導体に対する抗体および標識化されたβ-アミロイドまたはその誘導体に対する抗体の一方がβ-アミロイドまたはその誘導体のC端側の部分ペプチドに特異的に反応することを特徴とする抗体であり、他方が配列番号:7で表されるアミノ酸配列を有する部分ペプチド(すなわち、β−アミロイド(1−28))および(または)配列番号:10で表されるアミノ酸配列を有する部分ペプチド(すなわち、β−アミロイド(1−16))を認識する抗体である定量法、
(3)担体上に不溶化したβ-アミロイドまたはその誘導体に対する抗体、標識化されたβ-アミロイドまたはその誘導体に対する抗体および被検液を反応させた後、不溶化担体上の標識剤の活性を測定することを特徴とし、担体上に不溶化したβ-アミロイドまたはその誘導体に対する抗体および標識化されたβ-アミロイドまたはその誘導体に対する抗体の一方がβ-アミロイドまたはその誘導体の中心部分の部分ペプチドに特異的に反応することを特徴とする抗体であり、他方がβ-アミロイドまたはその誘導体のC端側の部分ペプチドに特異的に反応することを特徴とする抗体または配列番号:7もしくは配列番号:10で表されるアミノ酸配列を有する部分ペプチドを認識する抗体である定量法を提供する。
上記の定量法(2)の中でも、特に
担体上に不溶化したβ-アミロイドに対する抗体および標識化されたβ-アミロイドまたはその誘導体に対する抗体の一方がBA−27aで標示されるモノクローナル抗体であり、他方がBAN−052aまたはBAN−50aで標示されるモノクローナル抗体であり、β-アミロイドが配列番号:1、配列番号:2、配列番号:3または配列番号:4で表されるアミノ酸配列を有するペプチドである定量法、
担体上に不溶化したβ-アミロイドに対する抗体および標識化されたβ-アミロイドまたはその誘導体に対する抗体の一方がBS−85aで標示されるモノクローナル抗体であり、他方がBAN−052aまたはBAN−50aで標示されるモノクローナル抗体であり、β-アミロイドが配列番号:1、配列番号:2、配列番号:3または配列番号:5で表されるアミノ酸配列を有するペプチドである定量法、あるいは
担体上に不溶化したβ-アミロイドまたはその誘導体に対する抗体および標識化されたβ-アミロイドまたはその誘導体に対する抗体の一方がBC−05aで標示されるモノクローナル抗体であり、他方がBAN−052aまたはBAN−50aで標示されるモノクローナル抗体であり、β-アミロイドが配列番号:5で表されるアミノ酸配列を有するペプチドである定量法が好適である。
上記の定量法(3)の中でも、特に
担体上に不溶化したβ-アミロイドに対する抗体および標識化されたβ-アミロイドに対する抗体の一方がBP−90aで標示されるモノクローナル抗体であり、他方がBAN−052aまたはBAN−50aで標示されるモノクローナル抗体であり、β-アミロイドまたはその誘導体が配列番号:1で表されるアミノ酸配列を有するペプチド、配列番号:2で表されるアミノ酸配列を有するペプチド、配列番号:3で表されるアミノ酸配列を有するペプチド、配列番号:4で表されるアミノ酸配列を有するペプチド、配列番号:5で表されるアミノ酸配列を有するペプチド、および(または)配列番号:6で表されるアミノ酸配列を有するペプチドである定量法、あるいは
担体上に不溶化したβ-アミロイドに対する抗体および標識化されたβ-アミロイドに対する抗体の一方がBP−90aで標示されるモノクローナル抗体であり、他方がBA−27a、BS−85aまたはBC−05aで標示されるモノクローナル抗体であり、β-アミロイドまたはその誘導体が配列番号:1〜配列番号:6で表されるアミノ酸配列から第1番目〜16番目のアミノ酸配列または第1番目〜17番目のアミノ酸配列が欠如したアミノ酸配列を有するペプチドである定量法が好適である。
本発明の抗体はβ−アミロイドを認識することができるので、β−アミロイドの測定あるいは組織染色などによる検出を行なうことができる。これらの目的には、抗体分子そのものを用いてもよく、また抗体分子のF(ab')2、Fab'あるいはFab画分などを用いてもよい。本発明の抗体を用いる測定法は、特に制限されるべきものではなく、被測定液中の抗原量(例えば、β−アミロイド量)に対応した抗体、抗原もしくは抗体−抗原複合体の量を化学的または物理的手段により検出し、これを既知量の抗原を含む標準液を用いて作製した標準曲線より算出する測定法であれば、いずれの測定法を用いてもよい。例えば、ネフロメトリー、競合法、イムノメトリック法、サンドイッチ法などが好適に用いられるが、感度、特異性の点で後述するサンドイッチ法を用いるのが特に好ましい。
標識物質を用いる測定法に用いられる標識剤としては、放射性同位元素、酵素、蛍光物質、発光物質などが用いられる。放射性同位元素としては、例えば125I、131I、3H、14Cなどが、上記酵素としては、安定で比活性の大きなものが好ましく、例えばβ−ガラクトシダーゼ、β−グルコシダーゼ、アルカリフォスファターゼ、パーオキシダーゼ、リンゴ酸脱水素酵素などが、蛍光物質としては、例えばフルオレスカミン、フルオレッセンイソチオシアネートなどが、発光物質としては、例えばルミノール、ルミノール誘導体、ルシフェリン、ルシゲニンなどがそれぞれ挙げられる。さらに、抗体あるいはβ−アミロイドと標識剤との結合にビオチン−アビジン系を用いることもできる。
抗原あるいは抗体の不溶化に当っては、物理吸着を用いてもよく、また通常蛋白質あるいは酵素等を不溶化、固定化するのに用いられる化学結合を用いる方法でもよい。担体としては、例えばアガロース、デキストラン、セルロースなどの不溶性多糖類、例えばポリスチレン、ポリアクリルアミド、シリコンなどの合成樹脂あるいはガラスなどが挙げられる。
サンドイッチ法においては、不溶化した抗β−アミロイド抗体に被検液を反応させ(1次反応)、さらに標識化抗β−アミロイド抗体を反応させ(2次反応)た後、不溶化担体上の標識剤の活性を測定することにより被検液中のβ−アミロイド量を定量することができる。1次反応と2次反応は同時に行なってもよいし時間をずらして行なってもよい。標識化剤および不溶化の方法は前記のそれらに準じることができる。また、サンドイッチ法による免疫測定法において、固相用抗体あるいは標識用抗体に用いられる抗体は必ずしも1種類である必要はなく、測定感度を向上させる等の目的で2種類以上の抗体の混合物を用いてもよい。
本発明のサンドイッチ法によるβ−アミロイドの測定法においては、1次反応と2次反応に用いられる抗β−アミロイド抗体とはβ−アミロイドの該抗体と結合する部位が相異なる抗体が好ましく用いられる。すなわち、例えば1次反応で用いられる抗体がβ−アミロイドのN端側の部分ペプチドを認識する場合は、2次反応で用いられる抗体は、好ましくはN端側の部分ペプチド以外(すなわち、C端側の部分ペプチド)を認識する抗体が用いられる。
また、本発明のサンドイッチ免疫測定法に用いられるβ−アミロイドのC端側の部分ペプチドと特異的に反応するモノクローナル抗体としては、β−アミロイド(25−35)を免疫原として作製した抗体が好適に用いられる。本発明者らは、これらの抗体を産生するハイブリドーマを5種類確立した。これらの抗体は、後述するβ−ガラクトシダーゼ標識化β−アミロイド(1−40)を用いる競合法の酵素免疫測定法において、β−アミロイド(25−35)と反応し(B/B。=0.5を与える抗原濃度:20nM、1ng/well)、β−アミロイド(1−40)とも反応した(B/B。=0.5を与える抗原濃度:800nM、160ng/well)。さらに、上述したBAN−50aまたはBAN−052aと組み合わせたサンドイッチ法に用いた場合、予想外にもβ−アミロイドをより高感度に測定できることが明らかになった(検出感度、3pg/well)。すなわち、本発明のサンドイッチ法酵素免疫測定法においては、β−アミロイドのC端側の部分ペプチドに特異的に反応するモノクローナル抗体として、β−アミロイド(25−35)に対するモノクローナル抗体が好適に用いられるが、これらの抗体は必ずしもβ−アミロイド(1−40)に高親和性である必要はない。このような抗体として、例えば、BS−85aが好都合に用いられる。
なお、BS−85aとBAN−50aあるいはBAN−052aとを組み合わせたサンドイッチ法、あるいはBA−27aとBAN−50aあるいはBAN−052aとを組み合わせたサンドイッチ法において、β−アミロイド(1−28)との交差反応性は認められなかった。
一方、本発明のサンドイッチ免疫測定法に用いられるβ−アミロイドのN端側の部分ペプチドを認識するモノクローナル抗体としては、β−アミロイド(1−16)を免疫原として作製した抗体が好適に用いられる。本発明者らは、これらの抗体を産生するハイブリドーマを8種類作製した。これらの抗体のβ−アミロイド(1−40)に対する反応性を後述するパーオキシダーゼ標識化β−アミロイド(1−16)を用いる競合法により調べたところ、4種類の抗体がβ−アミロイド(1−40)に良好な反応性を有していた(B/B。=0.5を与える抗原濃度:25〜70nM、5〜15ng/well)。さらに、これらの抗体をサンドイッチ法に適用した場合、これら抗体の間で予想外にも大きな感度の差が認められた。すなわち、モノクローナル抗体BAN−052aが他の3種類(BAN−11a、BAN−20a、BAN−30a)の抗体と比較して群を抜いて高感度のサンドイッチ−測定法を与えることが明らかとなった。そこで、サンドイッチ法にさらに適した抗β−アミロイド(1−16)モノクローナル抗体を選択すべく新たに16種類の抗体を作製した。パーオキシダーゼ標識化β−アミロイド(1−16)を用いる競合法により調べたところ、これらの抗体のうち10種類の抗体がβ−アミロイド(1−40)に良好な反応性を有していたが、そのなかでも特にBAN−50aが極めて高感度のサンドイッチ−測定法を与えることが明らかとなった。すなわち、本発明において、サンドイッチ法に適したβ−アミロイドのN端側の部分ペプチドを認識する抗体として、β−アミロイド(1−16)に対する抗体を数種類提供するが、特にBAN−50aおよびBAN−052aが好適に用いられる。
さらに、本発明のサンドイッチ免疫測定法に用いられるβ−アミロイドの中心部分の部分ペプチドを認識するモノクローナル抗体としては、配列番号:12で表されるβ−アミロイド(18−28)を免疫原として作製した抗体が好適に用いられる。本発明者らは、これらの抗体を産生するハイブリドーマを9種類作製した。なかでも、BP−01、BP−02、BP−03、BP−90の4つのハイブリドーマから産生されるモノクローナル抗体BP−01a、BP−02a、BP−03a、BP−90aが好適であり、BP−03aおよびBP−90aは配列番号:11で表されるβ−アミロイド(17−28)をも認識することができる。これらモノクローナル抗体のなかでも、特にBP−90aが好適である。
イムノメトリック法では、被検液中の抗原と固相化抗原とを一定量の標識化抗体に対して競合反応させた後固相と液相を分離するか、あるいは被検液中の抗原と過剰量の標識化抗体とを反応させ、次に固相化抗原を加え未反応の標識化抗体を固相に結合させたのち、固相と液相を分離する。次に、いずれかの相の標識量を測定し被検液中の抗原量を定量する。
また、ネフロメトリーでは、ゲル内あるいは溶液中で抗原抗体反応の結果生じた不溶性の沈降物の量を測定する。被検液中の抗原量が僅かであり、少量の沈降物しか得られない場合にもレーザーの散乱を利用するレーザーネフロメトリーなどが好適に用いられる。
これら個々の免疫学的測定法を本発明法に適用するにあたっては、特別の条件、操作等の設定は必要とされない。それぞれの方法における通常の条件、操作法に当業者の通常の技術的配慮を加えてβ−アミロイドの測定系を構築すればよい。これらの一般的な技術手段の詳細については、総説、成書などを参照することができる[例えば、入江 寛編「ラジオイムノアッセイ](講談社、昭和49年発行)、入江 寛編「続ラジオイムノアッセイ](講談社、昭和54年発行)、石川栄治ら編「酵素免疫測定法」(医学書院、昭和53年発行)、石川栄治ら編「酵素免疫測定法」(第2版)(医学書院、昭和57年発行)、石川栄治ら編「酵素免疫測定法」(第3版)(医学書院、昭和62年発行)、「Methods in ENZYMOLOGY」 Vol. 70(Immunochemical Techniques(Part A))、同書 Vol. 73(Immunochemical Techniques(Part B))、同書 Vol. 74(Immunochemical Techniques(Part C))、同書 Vol. 84(Immunochemical Techniques(Part D:Selected Immunoassays))、同書 Vol. 92(Immunochemical Techniques(Part E:Monoclonal Antibodies and General Immunoassay Methods))、同書 Vol. 121(Immunochemical Techniques(Part I:Hybridoma Technology and Monoclonal Antibodies))(以上、アカデミックプレス社発行)など参照]。したがって、本発明のサンドイッチ免疫測定法によりβ−アミロイドの測定系を構築する場合、その方法は後述する実施例に限定されない。
以上のように、本発明の抗体は、β-アミロイドまたはその誘導体を感度良く定量することができるので、アルツハイマー病の診断剤等として有用である。
(1)β−アミロイド(1−40)の製造
市販のBoc-Val-OCH2-PAM樹脂(アプライド バイオシステムズ社製) 0.71g(0.5ミリモル)を用い、ペプチド合成機(アプライド バイオシステムズ社製モデル430A)を使用し合成した。樹脂上のBoc基を50%トリフルオロ酢酸/塩化メチレンで処理しアミノ基を遊離させた後、このアミノ基に各2ミリモルのBoc-Gly, Boc-Val, Boc-Met, Boc-Leu, Boc-Ile, Boc-Ala, Boc-Lys(Cl-Z), Boc-Asn, Boc-Asp(OcHex), Boc-Glu(OcHex), Boc-Phe, Boc-Gln, Boc-His(Bom), Boc-Tyr(Br-Z), Boc-Ser(Bzl), Boc-Arg(Tos) をβ−アミロイド(1−40)のアミノ酸配列通りにHOBt/DCCで活性化して縮合し、保護β−アミロイド(1−40)-OCH2-PAM樹脂2.70gを得た。この保護β−アミロイド(1−40)-OCH2-PAM樹脂0.56gをp-クレゾール共存下無水弗化水素10mlで0℃、60分間処理した後、弗化水素を減圧留去し残渣をエーテル10mlで2回洗浄した。これを50%−酢酸水で抽出し、不溶物を濾去し50%−酢酸水で洗浄した。濾液、洗浄液を合わせ、2〜3mlに減圧濃縮し、50%−酢酸水で充填したセファデックスG−25のカラム(2.0×85cm)に付し、同溶媒で展開した。主要画分を集め凍結乾燥し黄白色の粉末約150mgを得た。これを20%−アセトニトリル水(0.1%トリフルオロ酢酸含有)50mlに溶解し、同溶媒で充填したLiChroprep RP−18カラム(4.1×10cm)に付し、20%〜70%までのアセトニトリル水溶液(0.1%トリフルオロ酢酸含有)の直線型濃度勾配溶出した。主要画分を集め再度LiChroprep RP−18カラム(2.6×6cm)に付し、0%〜50%までのアセトニトリル水溶液(0.1%トリフルオロ酢酸含有)の直線型濃度勾配溶出、主要画分を集め凍結乾燥し白色粉末10mgを得た。
アミノ酸分析値:
Gly 6.85(6), Ala 3.44(3), Val 5.68(6), Leu 2.00(2), Ile 1.39(2), Met 0.89(1), Phe 3.21(3), Ser 1.89(2), Asp 4.35(4), Glu 4.52(4), Lys 2.05(2), His 2.86(3), Arg 1.10(1), Tyr 0.97(1)
質量分析による(M+H)+ 4328.05
HPLC溶出時間 22.8分
カラム条件
カラム:Wakosil−5C18 HG (4.6×100mm)
溶離液:A液(0.1%−トリフルオロ酢酸水溶液)
B液(0.1%−トリフルオロ酢酸含有アセトニトリル)を用いA液からB液へ直線型濃度勾配溶質(50分)
流 速:1.0 ml/分。
市販のBoc-Cys(MeBzl)−OCH2-PAM樹脂(アプライド バイオシステムズ社製) 0.75g(0.5ミリモル)を用い、ペプチド合成機(アプライド バイオシステムズ社製モデル430A)を使用し合成した。樹脂上のBoc基を50%トリフルオロ酢酸/塩化メチレンで処理しアミノ基を遊離させた後、このアミノ基に各2ミリモルのBoc-Lys(Cl-Z), Boc-Gln, Boc-His(Bom), Boc-Val, Boc-Glu(OcHex), Boc-Tyr(Br-Z), Boc-Gly, Boc-Ser(Bzl), Boc-Asp(OcHex), Boc-Arg(Tos), Boc-Phe を[Cys17]β−アミロイド(1−16)のアミノ酸配列通りにHOBt/DCCで活性化して縮合し、保護 [Cys17]βーアミロイド(1−16)(MeBzl)-OCH2-PAM樹脂1.90gを得た。この保護 [Cys17]β−アミロイド(1−16)(MeBzl)-OCH2-PAM樹脂0.68gをp-クレゾール共存下無水弗化水素10mlで0℃、60分間処理した後、弗化水素を減圧留去し残渣をエーテル10mlで2回洗浄した。これを50%−酢酸水で抽出し、不溶物を濾去し50%−酢酸水で洗浄した。濾液、洗浄液を合わせ、1〜2mlに減圧濃縮し、50%−酢酸水で充填したセファデックスG−25(2.0×85cm)のカラムに付し、同溶媒で展開した。主要画分を集め凍結乾燥し、白色の粉末136.7mgを得た。
アミノ酸分析値:
Asp 2.17(2), Ser 0.96(1), Glu 3.04(3), Gly 1.00(1), Ala 1.00(1), Cys 0.82(1), Val 0.99(1), Tyr 0.94(1), Phe 1.09(1), Lys 1.05(1), His 2.89(3), Arg 0.97(1)
質量分析による(M+H)+ 2056.83
HPLC溶出時間 14.8 分
カラム条件
カラム:Wakosil−5C18 HG (4.6×100mm)
溶離液:A液(0.1%−トリフルオロ酢酸水溶液)
B液(0.1%−トリフルオロ酢酸含有アセトニトリル)を用いA液からB液へ直線型濃度勾配溶質(50分)
流 速:1.0 ml/分。
市販のBoc-Met-OCH2-PAM樹脂(アプライド バイオシステムズ社製) 0.66g(0.5ミリモル)を用い、ペプチド合成機(アプライド バイオシステムズ社製モデル430A)を使用し合成した。樹脂上のBoc基を50%トリフルオロ酢酸/塩化メチレンで処理しアミノ基を遊離させた後、このアミノ基に各2モリモルのBoc-Leu, Boc-Gly, Boc-Ile, Boc-Ala, Boc-Lys(Cl-Z), Boc-Asn, Boc-Ser(Bzl)をβ−アミロイド(25−35)のアミノ酸配列通りにHOBt/DCCで活性化し縮合し、保護β−アミロイド(25−35)-OCH2-PAM樹脂1.14gを得た。この保護β−アミロイド(25−35)-OCH2-PAM樹脂0.61gをp-クレゾール共存下無水弗化水素10mlで0℃、60分間処理した後、弗化水素を減圧留去し残渣をエーテル10mlで2回洗浄した。これを50%−酢酸水で抽出し、不溶物を濾去し50%−酢酸水で洗浄した。濾液、洗浄液を合わせ、2〜3mlに減圧濃縮し0.1%トリフルオロ酢酸水50mlで希釈した後、0.1%トリフルオロ酢酸水で充填したLiChroprep RP−18カラム(2.6×10cm)に付し、0%〜50%までのアセトニトリル水溶液(0.1%トリフルオロ酢酸含有)の直線型濃度勾配溶出した。主要画分を集め凍結乾燥し白色の粉末100mgを得た。これをN−酢酸0.5 mlに溶解し、同溶媒で充填したセファデックスLH−20(1.0×96cm)に付し同溶媒で展開した。主要画分を集め凍結乾燥し白色粉末91mgを得た。
アミノ酸分析値:
Asp 0.97(1), Ser 0.95(1), Gly 2.94(3), Ala 1.00(1), Met 0.89(1), Ile 1.59(2), Leu 1.00(1). Lys 0.97(1)
質量分析による(M+H)+ 2056.83
HPLC溶出時間 18.9 分
カラム条件
カラム:Wakosil−5C18 HG (4.6×100mm)
溶離液:A液(0.1%−トリフルオロ酢酸水溶液)
B液(0.1%−トリフルオロ酢酸含有アセトニトリル)を用いA液からB液へ直線型濃度勾配溶質(50分)
流 速:1.0 ml/分。
Fmoc-Thr(tBu)-ワン樹脂(0.46g=0.25ミリモル、渡辺化学社製)を出発原料として、アプライド・バイオシステムズ社のFmoc-アミノ酸誘導体カートリッジ(1.0ミリモル)を用い、20%ピペリジン−DMF溶液によるFmoc基の脱保護後、DCC−HOBt法にて順次C末端側からペプチド鎖を延長する。このようにして、次式で表される保護ペプチド樹脂0.73gを得る。
Fmoc-Cys(Trt)-Met-Val-Gly-Gly-Val-Val-Ile-Ala-Thr(tBu)-ワン樹脂
このペプチド樹脂のうち0.58g(0.20ミリモル)を氷冷下フェノール0.75g、ブタンジチオール0.25ml、チオアニソール0.5ml、脱イオン水0.5ml、トリフルオロ酢酸10mlを加え、室温で1.5時間撹拌した。樹脂を濾去し、濾液を濃縮し、残渣に氷冷下エーテルを加えて、沈澱として濾取し、十分にエーテルで洗浄した後、乾燥し白色粉末を得た。
収量 168mg(89%)
質量分析による(M+H)+=949.5 (理論値=949.5)。
β-アミロイド(1−40)をカルボキシペプチダーゼ Y で限定分解することによりβ-アミロイド(1−38)およびβ-アミロイド(1−39)を作製した。すなわち、β-アミロイド(1−40)(Bachem社製)50μgとカルボキシペプチダーゼ Y(オリエンタル酵母社製)0.5μgを0.5%酢酸アンモニウム水溶液に溶解して60μlとし、10℃で2時間反応させた。反応後、Vydac C4(The Sep/a/ra/tions Group社製)を用いる逆相-HPLCにより分画し、UV(210nm)で検出された3本の主なピークを質量分析により同定した。
カラム条件
カラム:Vydac C4
(The Sep/a/ra/tions Group社製、4.6×250mm)
溶離液:A液(0.1% トリフルオロ酢酸含有 5% アセトニトリル)
B液(0.1% トリフルオロ酢酸含有 80% アセトニトリル)
溶出方法:溶離液Bの濃度を最初の5分間は30 %に維持、次に60分間かけて30−50 %に直線的に上昇させた。
流 速:0.5 ml/分
質量分析による(M+H)+=4132.9:β-アミロイド(1−38)(理論値 4132.6)
4231.6:β-アミロイド(1−39)(理論値 4231.8)
4330.9:β-アミロイド(1−40)(理論値 4330.9)。
(1)β-アミロイド(1−40)を含む免疫原の作製
上記実施例1(1)で得られたβ-アミロイド(1−40)と牛チログロブリン(BTG)との複合体を作製し免疫原とした。すなわち、β-アミロイド(1−40)0.6mgを15%のDMFを含む3mMリン酸緩衝液、 pH6.5、1.1mlに溶解させたのち、0.5mlの水に溶解させたBTG2.5mgを加え、さらに終濃度0.3%のグルタルアルデヒドを加えて室温で3時間反応させた。反応後、生理食塩水に対し、4℃で2日間透析した。
(2)β-アミロイド(25−35)を含む免疫原の作製
上記実施例1(3)で得られたβ-アミロイド(25−35)とBTGとの複合体を作製し免疫原とした。すなわち、β-アミロイド(25−35)0.5mgとBTG2.5mgとを、pH4.5に調節した水1mlに溶解させ、終濃度0.4%のグルタルアルデヒドを加えて室温で3時間反応させた。反応後、生理食塩水に対し、4℃で2日間透析した。
(3)β-アミロイド(1−16)を含む免疫原の作製
上記実施例1(2)で得られた[Cys17]β-アミロイド(1−16)とBTGとの複合体を作製し、免疫原とした。すなわち、BTG20mgを、0.1Mリン酸緩衝液(pH6.9)1.4mlに溶解させ、N−(γ−マレイミドブチリロキシ)サクシニミド(GMBS)2.2mg(8μmol)を含むDMF溶液100μlと混合し、室温で40分反応させた。反応後、セファデックスG−25カラムで分画したのち、マレイミド基の導入されたBTG15mgと[Cys17]β-アミロイド(1−16)3.6mgとを混合し、4℃で2日間反応させた。反応後、生理食塩水に対し、4℃で2日間透析した。
(4)β-アミロイド(35−43)を含む免疫原の作製
上記実施例1(4)で得られた[Cys34]β-アミロイド(35−43)と牛血清アルブミン(BSA)との複合体を作製し、免疫原とした。すなわち、BSA21mg(0.31μmol)を0.1Mリン酸緩衝液(pH6.8)1.4mlに溶解させ、GMBS3.5mg(12.5μmol)を含むDMF溶液100μlと混合し、室温で35分反応させた。反応後、セファデックスG−25カラムで分画したのち、マレイミド基の導入されたBSA4.5mgと[Cys34]β-アミロイド(35−43)2.1mgとを混合し、4℃で一晩反応させた。反応後、生理食塩水に対し、4℃で2日間透析した。
(5)β−アミロイド(18−28)を含む免疫原の作製
[Cys29]β−アミロイド(18−28)とBTGとの複合体を作製し、免疫原とした。すなわち、BTG21mgを0.1Mリン酸緩衝液(pH6.9)1.5mlに溶解させ、GMBS2.4mg(8.4μmol)を含むDMF溶液100μlと混合し、室温で40分反応させた。反応後、セファデックスG−25カラムで分画したのち、マレイミド基の導入されたBTG約7mgと[Cys29]β−アミロイド(18−28)(アコード社製)2.0mgとを混合し、4℃で一晩反応させた。反応後、生理食塩水に対し4℃で3日間透析した。
6〜8週令のBALB/C雌マウスに上記実施例2記載の免疫原β-アミロイド(1−40)−BTG複合体、β-アミロイド(25−35)−BTG複合体、β-アミロイド(1−16)−BTG複合体、β-アミロイド(35−43)−BSA複合体あるいはβ-アミロイド(18−28)−BTG複合体を、それぞれ約80μg/匹を完全フロイントアジュバントとともに皮下免疫した。以後3週間おきに同量の免疫原を不完全フロイントアジュバントとともに2〜3回追加免疫した。
(1)β−D−ガラクトシダーゼ(β−Gal)標識化β-アミロイド(1−40)の作製
β-アミロイド(1−40)70μg(16nmol)を40μlのDMSOに溶解させ、トリエチルアミン160nmol(10μl DMSO溶液)とN−スクシニミジル−3−(2−ピリミジルジチオ)プロピオネート(SPDP)23nmol(7μl DMSO溶液)とを加えた後、室温で90分反応させた。反応液の全量をβ−Gal(酵素免疫測定法用、 ベーリンガーマンハイム社製)1.7mg(3.3nmol)の溶液(0.1Mリン酸緩衝液、pH7.5、0.45mlに溶解)に加え、 4℃で1日反応させた。反応後、ウルトロゲルAcA34カラム(LKB−ファルマシア社製)で分画し、β−Gal標識化β-アミロイド(1−40)を得た。
(2)西洋ワサビパーオキシダーゼ(HRP)標識化β-アミロイド(1−16)の作製
上記実施例1(2)で得られた[Cys17]β-アミロイド(1−16)とHRP(酵素免疫測定法用、ベーリンガーマンハイム社製)とを架橋し、酵素免疫測定法(EIA)の標識体とした。すなわち、HRP5mg(125nmol)を0.95mlの0.1Mリン酸緩衝液、pH6.8に溶解させ、GMBS3.6mg(1.3μmol)を含むDMF溶液50μlと混合し、室温で30分間反応させたのち、セファデックスG−25カラムで分画した。このようにして作製した、マレイミド基の導入されたHRP3.3mg(78nmol)と実施例1(2)で作製された[Cys17]β-アミロイド(1−16)0.56mg(270nmol)とを混合し、4℃で1日反応させた。反応後ウルトロゲルAcA44(LKB−ファルマシア社製)カラムで分画し、HRP標識化β-アミロイド(1−16)を得た。
(3)HRP標識化β-アミロイド(35−43)の作製
上記実施例1(4)で得られた[Cys34]β-アミロイド(35−43)とHRPとを架橋し、EIAの標識体とした。すなわち、HRP12mg(310nmol)を1.4mlの0.1Mリン酸緩衝液、pH6.8に溶解させ、GMBS1.3mg(4.5μmol)を含むDMF溶液100μlと混合し、室温で30分間反応させたのち、セファデックスG−25カラムで分画した。このようにして作製した、マレイミド基の導入されたHRP3.2mg(76nmol)と実施例1(4)で作製された[Cys34]β-アミロイド(35−43)2.1mg(7.2μmol)とを混合し、4℃で1日反応させた。反応後ウルトロゲルAcA44カラムで分画し、HRP標識化β-アミロイド(35−43)を得た。(4)HRP標識化β−アミロイド(18−28)の作製
[Cys29]β−アミロイド(18−28)とHRPとを架橋し、EIAの標識体とした。すなわち、HRP16mg(390nmol)を1.4mlの0.1Mリン酸緩衝液(pH6.8)に溶解させ、GMBS1.1mg(3.9μmol)を含むDMF溶液100μlと混合し室温で40分間反応させたのち、セファデックスG−25カラムで分画した。このようにして作製したマレイミド基の導入されたHRP6.0mg(150nmol)と[Cys29]β−アミロイド(18−28)2.5mg(1.9μmol)とを混合し、4℃で2日間反応させた。反応後ウルトロゲルAcA44カラムで分画し、HRP標識化β−アミロイド(18−28)を得た。
(1)β-アミロイド(1−40)を免疫したマウスの抗血清中の抗体価の測定
β-アミロイド(1−40)を免疫中のマウス抗血清中の抗体価を以下の方法により測定した。抗マウスイムノグロブリン抗体結合マイクロプレートを作製するため、まず抗マウスイムノグロブリン抗体(IgG画分、カッペル社製)を100μg/ml含む0.1M炭酸緩衝液、pH9.6溶液を96ウェルマイクロプレートに100μlずつ分注し、4℃で24時間放置した。次に、プレートをリン酸緩衝生理食塩水(PBS、pH7.4)で洗浄したのち、ウェルの余剰の結合部位をふさぐため25%ブロックエース(雪印乳業社製)を含むPBSを300μlずつ分注し、4℃で少なくとも24時間処理した。
上記、抗マウスイムノグロブリン抗体結合マイクロプレートの各ウエルにバッファーA[0.1%BSA、0.1M NaCl、1mM MgCl2、0.05%CHAPS〔3-[(コラミドプロピル)ジメチルアンモニオ]プロパンスルホン酸〕および0.1%NaN3を含む0.02Mリン酸緩衝液、pH7.0] 50μl、バッファーAで希釈したマウス抗β-アミロイド(25−35)抗血清100μlを加え4℃で16時間反応させた。次に、該プレートをPBSで洗浄したのち、上記実施例4(1)で作製したβ−Gal標識化β-アミロイド(1−40)(バッファーAで200倍希釈)100μlを加え室温で1日反応させた。次に、該プレートをPBSで洗浄したのち、固相上の酵素活性を4−メチルウンベリフェリル−β−D−ガラクトシド(4−MUG)を用いて測定するため、20μg/mlの4−MUGのバッファーA(ただしCHAPSを含まない)溶液100μlを加え37℃で3時間反応させた。反応を0.2M Na2CO3 100μl加えることにより停止させたのち、遊離した4−メチルウンベリフェロンを蛍光プレートリーダー(フルオロスキャンII、 ラボシステム社製)を用い、 励起波長355nm、測定波長460nmで測定した。結果を〔第1図〕に示す。免疫した8匹のマウスのうち4匹に比較的高い抗体価が認められた。
(2)β-アミロイド(25−35)を免疫したマウスの抗血清中の抗体価の測定
β-アミロイド(25−35)を免疫中のマウス抗血清中の抗体価を同様の方法により測定した。 抗マウスイムノグロブリン抗体結合マイクロプレートの各ウエルにバッファーA50μl、バッファーAで希釈したマウス抗β-アミロイド(25−35)抗血清50μl、および上記実施例4(1)で作製したβ−Gal標識化β-アミロイド(1−40)(バッファーAで100倍希釈)50μlを加え4℃で16時間反応させた。次に、該プレートをPBSで洗浄したのち、固相上の酵素活性を4−MUGを用いて同様に測定した。結果を〔第2図〕に示す。免疫した8匹のマウスのうち5匹に比較的高い抗体価が認められた。
(3)β-アミロイド(1−16)を免疫したマウスの抗血清中の抗体価の測定
マウス抗血清中の抗体価を以下の方法により測定した。抗マウスイムノグロブリン抗体結合マイクロプレートの各ウエルにバッファーC[1%BSA、0.4M NaCl、および2mM EDTAを含む0.02Mリン酸緩衝液、pH7.0]50μl、バッファーCで希釈したマウス抗β-アミロイド(1−16)抗血清50μl、および上記実施例4(2)で作製したHRP標識化β-アミロイド(1−16)(バッファーCで2000倍希釈)を加え4℃で16時間反応させた。次に、該プレートをPBSで洗浄したのち、固相上の酵素活性をTMBマイクロウェルパーオキシダーゼ基質システム(KIRKEGAARD&PERRY LAB, INC、 フナコシ薬品取り扱い)100μlを加え室温で10分間反応させることにより測定した。反応を1Mリン酸100μlを加え停止させたのち、450nmの吸収をプレートリーダー(MTP−32、コロナ社製)で測定した。結果を〔第3図〕に示す。免疫した7匹のマウス全てにβ-アミロイド(1−16)に対する抗体価の上昇が認められた。
(4)β-アミロイド(35−43)を免疫したマウスの抗血清中の抗体価の測定
上記実施例5(3)記載の方法に従って、抗マウスイムノグロブリン抗体結合マイクロプレート、マウス抗β-アミロイド(35−43)抗血清、および上記実施例4(3)で作製したHRP標識化β-アミロイド(35−43)を反応させることにより、マウス抗血清中の抗体価を測定した。結果を〔第4図〕に示す。免疫したマウス9匹のうち3匹に比較的高い抗体価が認められた。
(5)β−アミロイド(18−28)を免疫したマウスの抗血清中の抗体価の測定
上記実施例5(3)記載の方法に従って、抗マウスイムノグロブリン抗体結合マイクロプレート、マウス抗β−アミロイド(18−28)抗血清、および上記実施例4(4)で作製したHRP標識化β−アミロイド(18−28)を反応させることにより、マウス抗血清中の抗体価を測定した。免疫した7匹のマウスのうち4匹に比較的高い抗体価が認められた。
比較的高い抗体価を示したマウスに対して200〜300μgの免疫原を生理食塩水0.25〜0.3mlに溶解させたものを静脈内に接種することにより最終免疫を行なった。最終免疫3〜4日後のマウスから脾臓を摘出し、ステンレスメッシュで圧迫、ろ過し、イーグルズ・ミニマム・エッセンシャルメデイウム(MEM)に浮遊させ、脾臓細胞浮遊液を得た。細胞融合に用いる細胞として、BALB/Cマウス由来ミエローマ細胞P3−X63.Ag8.U1(P3U1)を用いた〔カレント トピックス イン マイクロバイオロジー アンド イムノロジー、81、1(1978)〕。細胞融合は、原法〔ネイチャー、256、495(1975)〕 に準じて行なった。すなわち、脾臓細胞およびP3U1をそれぞれ血清を含有しないMEMで3度洗浄し、脾臓細胞とP3U1数の比率を5:1になるよう混合して、800回転で15分間遠心を行なって細胞を沈澱させた。上清を充分に除去した後、沈殿を軽くほぐし、45%ポリエチレングリコール(PEG)6000(コッホライト社製)を0.3ml加え、37℃温水槽中で7分間静置して融合を行なった。融合後細胞に毎分2mlの割合でMEMを添加し、合計15mlのMEMを加えた後600回転15分間遠心して上清を除去した。この細胞沈殿物を10%牛胎児血清を含有するGITメデイウム(和光純薬)(GIT−10% FCS)にP3U1が1ml当り2×105個になるように浮遊し、24穴マルチディッシュ(リンブロ社製)に1ウェル1mlずつ120ウェルに播種した。播種後、細胞を37℃で5%炭酸ガスインキュベーター中で培養した。24時間後HAT(ヒポキサンチン1×10-4M、アミノプテリン4×10-7M、チミジン1.6×10-3M)を含んだGIT−10% FCS培地(HAT培地)を1ウェル当り1mlずつ添加することにより、HAT選択培養を開始した。HAT選択培養は、培養開始3、6、9日後に旧液を1ml捨てたあと、1mlのHAT培地を添加することにより継続した。ハイブリドーマの増殖は、細胞融合後9〜14日で認められ、培養液が黄変したとき(約1×106セル/ml)、上清を採取し、実施例5に記載の方法に従って抗体価を測定した。
β-アミロイド(1−40)を免疫したマウス由来のハイブリドーマのスクリーニングの典型例として、マウスNo.1(第1図参照)を用いて得られた結果を〔第5図(a)〕に示した。これらも含め計2種類のハイブリドーマを選択した〔第1表〕。
β-アミロイド(1−16)を免疫したマウス由来のハイブリドーマのスクリーニングの典型例としてマウスNo.5(第3図参照)を用いて得られた結果を〔第5図(c)〕に示した。これらも含め当初ハイブリドーマ8株を選択し、 さらにその後ハイブリドーマ16株を新たに選択した〔第2表〕。
β-アミロイド(35−43)を免疫したマウス由来のハイブリドーマのスクリーニングの典型例として、マウスNo.4(第4図参照)を用いて得られた結果を〔第5図(d)〕に示した。これらを含め計18種類のハイブリドーマを選択した〔第3表〕。さらに、β-アミロイド(18−28)を免疫したマウス由来のハイブリドーマをスクリーニングし、計9種類のハイブリドーマを選択した〔第4表〕。
モノクローナル抗体は得られた腹水よりプロテイン−Aカラムにより精製した。即ち、 腹水6〜20mlを等量の結合緩衝液(3.5M NaCl、0.05%NaN3を含む1.5Mグリシン、pH9.0)で希釈したのち、あらかじめ結合緩衝液で平衡化したリコンビナントプロテイン−A−アガロース(Repligen社製)カラムに供し、特異抗体を溶離緩衝液(0.05%NaN3を含む0.1Mクエン酸緩衝液、pH3.0)で溶出した。溶出液はPBSに対して4℃、2日間透析したのち、0.22μmのフィルター(ミリポア社製)により除菌濾過し4℃あるいは−80℃で保存した。モノクローナル抗体のクラス・サブクラスの決定に際しては、精製モノクローナル抗体結合固相を用いるエンザイム−リンクトイムノソーベントアッセイ(ELISA)法を行った。すなわち、抗体2μg/mlを含む0.1M炭酸緩衝液、pH9.6溶液を96ウェルマイクロプレートに100μlずつ分注し、4℃で24時間放置した。上記実施例5で述べた方法に従って、ウェルの余剰の結合部位をブロックエースでふさいだのち、アイソタイプタイピングキット(Mouse-TyperTM Sub-Isotyping Kit バイオラッド社製)を用いるELISAによって固相化抗体のクラス、サブクラスを調べた。
(1)競合法−EIA(その1)
β−アミロイド(1−40)あるいはβ−アミロイド(25−35)を免疫原として作製したモノクローナル抗体の反応特異性を以下の方法により調べた。まず、各モノクローナル抗体溶液の抗体価を実施例5(1)または実施例5(2)記載の方法により調べ、競合法−EIAに用いる抗体濃度として、標識体の結合量が飽和結合量の約40%となる抗体濃度(約3〜15ng/ml)を決定した。次に、上記実施例5記載の抗マウスイムノグロブリン抗体結合マイクロプレートに、決定された濃度にバッファーAで希釈された抗体溶液50μl、β−アミロイドあるいはβ−アミロイド部分ペプタイド、すなわちβ−アミロイド(1−40)(以下、免疫測定法用のβ-アミロイド(1−40)はBachem社より購入したものを使用)、β−アミロイド(1−28)(Peninsula社より購入)およびβ−アミロイド(25−35)のバッファーA溶液50μl、および上記実施例4(1)記載β−Gal標識化β−アミロイド(1−40)(バッファーAで100倍希釈)を50μl加え、4℃で16時間反応させた。反応後、PBSで洗浄したのち固相上の酵素活性を上記実施例5(2)記載の方法により測定した。結果を〔第1表〕に示す。いずれの抗体もβ−Gal標識化β−アミロイド(1−40)と反応し、またβ−アミロイド(1−40)に対しても反応性を有していた〔第1表〕。
典型例として、β−アミロイド(1−40)あるいはβ−アミロイド(25−35)に対するモノクローナル抗体として、それぞれBA−27a(IgG2a,κ)あるいはBS−85a(IgG1,κ)を用いた場合の競合法−EIAの結果を〔第6図〕に示した。BA−27aのβ−アミロイド(1−40)の標準曲線から、(B/B。)=0.5を与えるβ-アミロイド(1−40)濃度は、200nM、40ng/wellであることが分かった。また、この抗体はβ−アミロイド(1−16)、β−アミロイド(1−28)およびβ−アミロイド(25−35)に対しては交差反応性を示さないことから、 β-アミロイドのC端側の部分ペプチドに反応するものの、β−アミロイド(25−35)の部分構造を認識するものではないことが分かった〔第6図(a)〕。一方、BS−85aのβ−アミロイド(25−35)の部分構造に対する反応性((B/B。)=0.5を与える抗原濃度:20nM、1ng/well)は、β-アミロイド(1−40)に対する反応性((B/B。)=0.5を与える抗原濃度:800nM、160ng/well)の40倍であることが分かった〔第6図(b)〕。
抗β-アミロイド(1−16)モノクローナル抗体の反応特異性を同様の方法により調べた。まず、各モノクローナル抗体溶液の抗体価を実施例5(3)記載の方法により調べ、競合法−EIAに用いる抗体濃度として、標識体の結合量が飽和結合量の約40%となる抗体濃度(約30〜50ng/ml)を決定した。次に、抗マウスイムノグロブリン抗体結合マイクロプレートに、決定された濃度にバッファーCで希釈された抗体溶液50μl、β-アミロイドあるいはβ-アミロイド部分ペプタイド、すなわちβ-アミロイド(1−40)、 β-アミロイド(1−28)、[Cys17]β-アミロイド(1−16)のバッファーC溶液50μl、および上記実施例4(2)記載HRP標識化β-アミロイド(1−16)(バッファーCで2000倍希釈)を50μl加え、4℃で16時間反応させた。反応後、PBSで洗浄したのち固相上の酵素活性を上記実施例5(3)記載の方法により測定した。結果を〔第2表〕に示す。当初選択したモノクローナル抗体8種類のうちのうち4種類がβ-アミロイド(1−40)とも比較的強く反応し、 さらにその後新たに選択したモノクローナル抗体16種類のうち10種類がβ-アミロイド(1−40)とも比較的強く反応した〔第2表〕)。典型例として、 これらの中でβ-アミロイド(1−40)に対して最も高い反応性を示したモノクローナル抗体BAN−052a(IgG1,κ)およびBAN−50a(IgG1,κ)の競合法-EIAの結果を〔第7図〕に示す。これらの抗体がβ-アミロイド(1−40)、β-アミロイド(1−28)、β-アミロイド(1−16)に対して同程度の反応性を有することが分かる。また、〔第8図〕に、これら2種類の抗体に加え、当初選択したβ-アミロイド(1−40)に対して高い反応性を示したモノクローナル抗体3種類、BAN−11a(IgG1,κ)、BAN−20a(IgG1,κ)およびBAN−30a(IgG1,κ)を用いた競合法−EIAにおけるβ−アミロイド(1−40)の標準曲線を示した。これらの抗体の(B/B。)=0.5を与えるβ-アミロイド(1−40)濃度は 25〜70nM(5〜15ng/well)の範囲内にあり、 抗体間で3倍未満の差しか認められなかった。そのなかで、 BAN−50aを用いる競合法−EIAが最も高感度であり、約0.6ng/well[(B/B。)=0.9]のβ-アミロイド(1−40)を検出可能であった。
アルツハイマー病患者脳 10gより、森らの方法(本文参照)に従ってβ-アミロイド画分(蟻酸抽出物)0.1gを得た。次に、上記実施例7(2)記載の方法に従って、抗マウスイムノグロブリン抗体結合マイクロプレート、抗体溶液、β-アミロイドまたはその部分ペプチド、すなわちβ-アミロイド(1−40)、[Cys34]β-アミロイド(35−43)、あるいは上記アルツハイマー病患者脳由来β-アミロイド画分、および上記実施例4(3)記載HRP標識化β-アミロイド(35−43)(バッファーCで50倍希釈)を反応させた。結果を〔第3表〕に示す。当初選択したモノクローナル抗体のうち、4種類がアルツハイマー病患者脳由来β-アミロイド画分と比較的強く反応した。これらの中から、高い抗体価を示したモノクローナル抗体BC−05a(IgG1,κ)を選択し、以下の実験に用いた。
抗β−アミロイド(18−28)モノクローナル抗体の反応特異性を上記実施例7(2)記載の方法により調べた。すなわち、各抗体濃度を決定したのち、β−アミロイドあるいはβ−アミロイド部分ペプタイドとしてβ−アミロイド(1ー40)、[Cys29]β−アミロイド(17−28)(アコード社製)、[Cys29]β−アミロイド(18−28)およびβ−アミロイド(1−28)を用い、標識化抗原として上記実施例4(4)記載HRP標識化β−アミロイド(18−28)(バッファーCで1000倍希釈)を用いて反応させ、反応後の酵素活性を測定した。結果を[第4表]に示す。選択した9種類の抗体はいずれも、抗原であるβ−アミロイド(18−28)と高い反応性を有しており、さらにそのうち5種類の抗体はβ−アミロイド(17−28)とも比較的強く反応した。いずれの抗体もβ−アミロイド(1−28)およびβ−アミロイド(1−40)とは反応しなかった。
これらのうち、β−アミロイド(17−28)およびβ−アミロイド(18−28)の両者と高い反応性を有するモノクローナル抗体BP−90a(IgG1,κ)を今後の実験で主に用いることとした。
(1)BS−85a−HRP
BS−85a精製画分4.2mg(28nmol)を含む0.1Mリン酸緩衝液、pH6.8溶液にGMBS420nmolを含むDMF50μlを加え、室温で40分反応させた。反応液をセファデックスG−25カラム(溶離液、0.1Mリン酸緩衝液、pH6.7)で分離し、マレイミド基の導入された抗体画分3mgを得た。 次に、HRP12mg(300nmol)を含む0.02Mリン酸緩衝液(0.15M NaClも含む)、pH6.8、1.4mlにSPDP4.5μmolを含むDMF50μlを加え、室温で40分反応させた。次に、68μmolのジチオスレイトールを含む0.2M酢酸緩衝液(pH4.5)0.5mlを加え、室温で20分反応させた後セファデックスG−25カラム(溶離液、2mM EDTAを含む0.1Mリン酸緩衝液、pH6)で分離し、SH基の導入されたHRP8mgを得た。次に、SH基の導入されたHRP8mgとマレイミド基の導入された抗体画分3mgとを混合し、コロジオンバッグ(ザルトリウス社製)で約0.3mlにまで濃縮したのち、4℃で16時間放置した。反応液を溶離液に0.1Mリン酸緩衝液、pH6.5を用いるウルトロゲルAcA34カラムに供し、BS−85a−HRP複合体画分を精製した。
(2)BA−27a−HRP
同様の方法により、BA−27a精製画分4.7mgとHRP14mgを用いてBA−27a−HRP複合体を作製した。
(3)BAN−052a−HRP
同様の方法により、BAN−052a精製画分5mgとHRP14mgを用いてBAN−052a−HRP複合体を作製した。
(4)BC−05a−HRP
同様の方法により、BC−05a精製画分5mgとHRP14mgとを用いてBC−05a−HRP複合体を作製した。
(1)BS−85a−HRPを用いるサンドイッチ法−EIA
上記実施例6記載の精製したモノクローナル抗体BAN−052a、BAN−11a、BAN−20a、BAN−30a、BS−85aまたはBA−27aを10μg/ml含む0.1M炭酸緩衝液、pH9.6溶液を96ウェルマイクロプレートに100μlずつ分注し、4℃で24時間放置した。ウェルの余剰の結合部位をPBSで4倍希釈したブロックエース300μlを加え不活化した。
以上のように調製したプレートに、バッファーE〔10%ブロックエース、0.2%BSA、0.4M NaCl、0.05% CHAPS、0.05% NaN3を含む0.02Mリン酸緩衝液、pH7〕で希釈したβ-アミロイド(1−40)標準液100μlを加え、4℃で24時間反応させた。PBSで洗浄したのち、上記実施例8(1)で作製したBS−85a−HRP(バッファーCで1500倍希釈)100μlを加え、4℃で24時間反応させた。PBSで洗浄したのち、上記実施例5(3)記載の方法によりTMBを用いて固相上の酵素活性を測定した(酵素反応20分)。結果を〔第9図〕に示す。実施例7に記したように、BS−85aの競合法EIAにおけるβ−アミロイド(1−40)に対する反応性は高いものではなかった。しかし、上記のようにβ−アミロイド(1−16)を免疫原とするモノクローナル抗体を固相に用いるサンドイッチ法−EIAの標識抗体として用いる場合には、極めて高感度にβ−アミロイド(1−40)を検出することがわかった。特に、BAN−052aの固相を用いたとき、他の3種類の抗体固相と比較して10〜30倍高感度であり、3pg/wellのβ-アミロイド(1−40)を検出することが可能であった。
(2)BA−27a−HRPを用いるサンドイッチ法−EIA
同様に、BAN−052a、BAN−11a、BAN−20a、BAN−30a、BS−85aまたはBA−27aを固定したマイクロプレートにβ-アミロイド(1−40)標準液100μlを加え、4℃で24時間反応させた。PBSで洗浄したのち、上記実施例8(2)で作製したBA−27a−HRP(バッファーCで2500倍希釈)100μlを加え、4℃で24時間反応させた。PBSで洗浄したのち、固相上の酵素活性をTMBにより測定した(酵素反応20分)。結果を〔第10図〕に示す。BS−85aの場合と同様、BA−27aも競合法EIAにおいてはβ−アミロイド(1−40)に対し高い反応性を示さなかった。しかし、上記のようなサンドイッチ法−EIAの標識抗体として用いる場合には、BS−85aよりもさらに高感度にβ−アミロイド(1−40)を検出することがわかった。特に、BAN−052aの固相を用いたとき、他の3種類の抗体固相と比較して約30倍高感度であり、0.6pg/wellのβ-アミロイド(1−40)を検出することが可能であった。
(3)BAN−052a−HRPを用いるサンドイッチ法−EIA
BS−85aまたはBA−27aを固定したマイクロプレートにβ-アミロイド(1−40)標準液100μlを加え、4℃で24時間反応させた。PBSで洗浄したのち、上記実施例8(3)で作製したBAN−052a−HRP(バッファーCで2500倍希釈)100μlを加え、4℃で24時間反応させた。PBSで洗浄したのち、固相上の酵素活性をTMBにより測定した(酵素反応20分)。結果を〔第11図〕に示す。 このように、実施例8(2)とは逆の系、すなわち、BS−85aまたはBA−27aのC端抗体を固相とし、BAN−052aのN端抗体を標識体とするサンドイッチ-EIAにおいても、 それぞれ約80pg/wellおよび10pg/wellのβ-アミロイド(1−40)を検出することが可能であった。
また、BAN−052aを固相とするサンドイッチ-EIAにおいて、標識体にもBAN−052a−HRPを用いた場合(バッファーCで1000倍希釈)には、BA−27a−HRPを用いた場合(バッファーCで1500倍希釈)と比較して、検出感度が1/100以下となることから、本発明で用いている実験条件下では多量体のβ-アミロイド(1−40)はほとんど存在しないことが示唆される〔第12図〕。
抗β-アミロイド(1−16)モノクローナル抗体のなかで、BAN−052aが群を抜いて高感度のサンドイッチ-EIAを与えたことから、サンドイッチ-EIAにより適した抗β-アミロイド(1−16)モノクローナル抗体を選択すべくさらに16種類の抗体を作製した〔第2表〕。その結果、BAN−50aを得ることができた。〔第13図〕および〔第14図〕にBAN−50aを固相抗体とするサンドイッチ-EIAの結果を示した。アッセイ方法は上記実施例9(3)に従ったが、標識体濃度としてBS−85a−HRPは1000倍希釈〔第13図〕、BA−27a−HRPは1500倍希釈〔第14図〕を用いた。また、これら測定系の特異性を調べるため、β-アミロイド(1−28)に対する反応性も検討した[図中で●および▲がβ-アミロイド(1−40)に対する反応性を、また○および△がβ-アミロイド(1−28)に対する反応性を示す]。その結果、いずれの標識体を用いても、BAN−50a固相を用いた場合にはBAN−052a固相を用いた場合と比較して2〜3倍高感度であり、BA−27a−HRP標識体と組み合わせたとき0.2pg/wellのβ-アミロイド(1−40)を検出可能であった。また、いずれの測定系もβ-アミロイド(1−28)を検出せず、β-アミロイド(1−40)に特異的であることが分かった。
(1)BS−85a−HRPまたはBA−27a−HRPを用いるサンドイッチ法−EIAの特異性
実施例10に示したようにBAN−50aを固相抗体として用い、標識体としてBS−85a−HRPまたはBA−27a−HRPを用いる2種類のサンドイッチ法−EIAの測定系の特異性をさらに詳しく検討した。アッセイ方法は上記実施例10に従ったが、標識体濃度としてBS−85a−HRPは670倍希釈、BA−27a−HRPは1000倍希釈を用い、β−アミロイド(1−38)、β−アミロイド(1−39)、β−アミロイド(1−40)、β−アミロイド(1−42)およびβ−アミロイド(1−28)に対する反応性を調べた(〔第15図〕(a)、(b))。ここで、β−アミロイド(1−38)およびβ−アミロイド(1−39)は実施例1(5)で作製したものを用いた。実施例1(5)でβ−アミロイド(1−38)およびβ−アミロイド(1−39)に対応した逆相HPLCの溶出画分中のそれぞれの濃度は、実施例7(2)の方法に従い、BAN050aを用いる競合法EIAにより決定した。その結果、標識体としてBS−85a−HRPを用いた測定系は(〔第15図〕(a))、β−アミロイド(1−38)、β−アミロイド(1−39)、およびβ−アミロイド(1−40)をほとんど同一の感度(0.7pg/well)で検出し、β−アミロイド(1−42)については上記の3種のβ−アミロイドに対する感度と比較して1/2から1/3の感度で検出することがわかった。また、β−アミロイド(1−28)は全く検出せず、実施例10と同様の結果を得た。一方、標識体としてBA−27a−HRPを用いた測定系は(〔第15図〕(b))、β−アミロイド(1−40)、β−アミロイド(1−42)をそれぞれ0.2pg/well、18pg/wellの感度で検出した。また、β−アミロイド(1−38)、β−アミロイド(1−39)についてはそれぞれ85pg/well、17pg/wellの検出が可能であった。
以上の結果から、標識体としてBS−85a−HRPを用いた測定系はβ−アミロイドのC端部に非特異的であり、標識抗体の免疫原として用いた部分ペプチドであるβ−アミロイド(25−35)の配列を含むβ−アミロイドに対しては、ほぼ同等の感度を有することがわかった。一方、標識体としてBA−27a−HRPを用いた測定系はβ−アミロイド(1−40)のC末端に特異的と考えられ、β−アミロイド(1−38)、β−アミロイド(1−39)およびβ−アミロイド(1−42)に対しては2%以下の交差反応性で弱く反応することがわかった。
固相抗体としてBAN−50aを用い、標識体として上記実施例8(4)で作製したBC−05a−HRPを用いるサンドイッチ法−EIAの特異性および感度を調べた。上記実施例11(1)と同様にしてβ−アミロイド(1−38)、β−アミロイド(1−39)、β−アミロイド(1−40)、β−アミロイド(1−42)およびβ−アミロイド(1−28)に対する反応性を調べたが、標識体濃度としては200倍希釈のものを用いた(〔第15図〕(c))。その結果、このBC−05a−HRPを用いたサンドイッチ法−EIAは、0.7pg/wellのβ−アミロイド(1−42)を検出することが可能だったが、β−アミロイド(1−42)以外の4種のβ−アミロイド、すなわちβ−アミロイド(1−38)、β−アミロイド(1−39)、β−アミロイド(1−40)およびβ−アミロイド(1−28)は全く検出しなかった。したがって、固相抗体としてBAN−50aを用い、標識体としてBC−05a−HRPを用いるサンドイッチ法−EIAは、β−アミロイド(1−42)を極めて高感度にかつ極めて選択的に検出することが可能であるとわかった。
以上の結果から、固相抗体としてBAN−50aを用い、標識体としてBA−27a−HRPまたはBC−05a−HRPを用いる2種類の測定系を組み合わせることにより、β−アミロイド(1−40)およびβ−アミロイド(1−42)の分別定量ができることがわかった。
(1)BAN−052a固定化アフィニティ固相の作製
BAN−052aを充填剤に固定化することにより、アフィニティ固相を作製した。即ち、BAN−052a 45 mgとTSKgel AF−トレシルトヨパール 650M(東ソー株式会社製)5gとを0.5M NaCl含有0.1M 炭酸水素ナトリウム水溶液中、4℃で一晩反応させた。反応後、0.5Mの食塩水で洗浄し、余剰の活性基をふさぐため、0.5M NaCl含有0.1M トリス−塩酸(pH8.0)中、室温で1時間反応させた。得られたBAN−052a−トレシルトヨパール25mlはPBSで洗浄後、バッファーE 中、4℃で保存した。
(2)BA−27a固定化アフィニティ固相の作製
上記(1)と同様にして、BA−27aを充填剤に固定化することによりアフィニティ固相を作製した。すなわち、BA−27a 15mgとTSKgel AF−トレシルトヨパール650M 2gとを反応させ、10mlのBA−27a−トレシルトヨパールを得た。
上記実施例12(1)で作製したBAN−052a固定化アフィニティ固相により精製したアルツハイマー病患者の脳脊髄液を逆相−HPLCで分画し、サンドイッチ−EIAによって分析した。
まず、アルツハイマー病患者の脳脊髄液1.5mlをバッファーEで2倍に希釈後、BAN−052a−トレシルトヨパール充填カラム(0.8×0.3cm)より溶出し部分精製した。溶離液には、0.2% トリフルオロ酢酸含有60% アセトニトリルを用いた。次に、この溶出画分を濃縮後、実施例1(5)記載の方法によりVydac C4を用いる逆相−HPLCによって分離し、実施例10記載のBAN−50a結合固相とBS−85a−HRPあるいはBA−27a−HRPとを用いるサンドイッチ−EIAで溶出画分中のβ-アミロイドを定量した。結果を〔図16〕に示す。分画No.59は、合成β−アミロイド(1−40)の溶出位置にほぼ一致したため、〔第16図〕(a)(b)で共に検出された免疫活性はβ−アミロイド(1−40)に対するものと考えられた。従って、〔第16図〕の結果から、アルツハイマー病患者の脳脊髄液中には高濃度のβ−アミロイド(1−40)が存在することが明らかとなったが、さらに〔第16図〕(a)からBS−85a−HRPのみで検出可能な分子種も少量含まれていることがわかった(分画No.47およびNo.48)。これらの溶出位置は、β−アミロイド(1−40)の溶出位置よりもアセトニトリル濃度が低いため、分画No.47およびNo.48で溶出されるのはβ−アミロイド(1−40)よりもより親水性の分子種であると考えられる。実施例11の結果より、標識体としてBS−85a−HRPを用いる測定系は、β−アミロイド(1−40)のC末端から1、2残基欠落した分子種に対してもβ−アミロイド(1−40)と同等の感度を有することが示された。従って、分画No.47およびNo.48に見られる免疫活性は、β−アミロイド(1−40)のC端部が欠落した分子種に対するものである可能性が高い。
上記実施例7(3)記載のアルツハイマー病患者脳由来β-アミロイド画分(ギ酸抽出物)11mgをギ酸に溶解し、TSK G3000PWを用いるゲルろ過により分離した。
カラム条件
カラム:TSK G3000PW (東ソー株式会社製)
溶離液:0.1% トリフルオロ酢酸含有40%アセトニトリル
流 速:0.5 ml/分
上記実施例10記載のBAN−50a抗体結合固相とBS−85a−HRPとを用いるサンドイッチ−EIAで溶出画分中のβ-アミロイドを定量した結果、HPLC溶出時間14分から15分の間に強い免疫活性が認められた。次に、この画分に0.05% CHAPSを添加後濃縮し、実施例1(5)記載の方法によりVydac C4を用いる逆相-HPLCにより分離した。溶出結果を〔図17〕に示す。
得られたNo.35およびNo.41−45の画分それぞれを300μlずつ濃縮したのち、質量分析(HX110、日本電子社製)に付した。No.35、No.41およびNo.43の画分の分析結果を〔図18〕に示す。No.35はβ-アミロイド(1−40)が、No.41はβ-アミロイド(1−42)が、また、No.43はβ-アミロイド(3−42)(分子量18相当分が不足しているためピログルタミン酸になっていると推測される)が主要な構成成分であり、さらにN端部が欠落した他の分子種が混在していた。また、No.35は合成β-アミロイド(1−40)の溶出位置に一致した。
次に、上記実施例11記載の方法により、溶出画分の免疫活性を調べた。各画分3μlを試料とし、BC−05a−HRPは200倍希釈で用いた。結果を〔第19図〕に示す。BS−85aを用いる測定系ではNo.35およびNo.41−45の両ピークが、BA−27aを用いる測定系では主としてNo.35のピークが、またBC−05aを用いる測定系ではNo.41−45のピークが検出された。
以上の結果は、実施例11で示した各測定系の特異性に基づくものであり、実施例13とともに、本発明による測定系がアルツハイマー病の診断、病因の解明、およびアルツハイマー病の予防・治療を目的とする医薬品の開発において重要な手段を提供できることを示す。
β−アミロイドは巨大な前駆体タンパク質(APP)のごく一部であり、APPをコードするcDNAはこれまでに5種類見いだされている。APP695、APP714、APP751、APP770、およびAPP563と呼ばれるこれらのcDNAは、同一のAPP遺伝子からオルターナティブスプライシングの結果生じることがわかっている。これらのうちヒト型APP695の高発現用プラスミドDNAを構築するため、ヒトAPP695遺伝子のクローニングを行った。
まず、強力なSRαプロモーター(モレキュラー・アンド・セルラー・バイオロジー、第8巻、466−472ページ、1988年)を持つプラスミドpME18sをベクターとして、ヒト肺ガン細胞由来の細胞であるMAC10のcDNAライブラリーを作製した。既に報告されているヒトAPPのcDNA塩基配列を基に、タンパク質をコードしている領域より上流側の配列(センス)
5'-ATCCCACTCGCACAGCAGCGCACTC-3' (配列番号:13)
および下流側の配列(アンチセンス)
5'-TGCTGTCCAACTTCAGAGGCTGCTG-3' (配列番号:14)
の合成DNAを作製し、これをプローブに用いて上記cDNAライブラリーをスクリーニングした。得られたcDNAをクローニングし、その塩基配列を合成鎖停止法で決定したところ、すべてがAPP751をコードするcDNAであった。そこで、λgt10をベクターとして作製されたヒト胎児脳のcDNAライブラリー(ストラタジーン社)を同様の方法でスクリーニングした結果、APP695をコードするcDNAを得た。APP751とAPP695のcDNAの配列はプロテアーゼインヒビター領域を除くと完全に一致しているので、APP751のcDNAを持つプラスミドDNAとAPP695のcDNAを持つファージDNAを切断し再結合させて、APP695のcDNAをSRαプロモーターの下流に結合させたプラスミドDNAを構築した。
ラットC6グリオーマ細胞(ATCC CCL 107)は、37℃、5% CO2存在下、直径10cmの培養用シャーレで、10%ウシ胎児血清を含むDMEMを培地として培養した。上記実施例15で構築したヒトAPP695高発現用プラスミドDNA 20μgをネオマイシン耐性遺伝子を持つプラスミドDNA pTB6(セル・ストラクチャー・アンド・ファンクション、12巻、205−217ページ、1987年)1μgと混合し、80%飽和まで培養したC6グリオーマ細胞にリン酸カルシウム共沈殿法を用いて導入した。24時間後に終濃度750μg/mlのネオマイシン(GIBCO社)を加えて培養を続け、耐性株を選択した。得られた選択株18株をそれぞれ100μlのPBSに懸濁し、凍結融解と超音波処理ののち8%ポリアクリルアミドゲルでSDS電気泳動を行った。タンパク質をニトロセルロース膜に転写後、抗ヒトAPPマウスモノクローナル抗体(ベーリンガーマンハイム社)を用いたウェスタンブロットを行い、APP695の発現量が最も高いC6−695−18を得た。
上記実施例16記載ヒトAPP695高発現C6グリオーマ細胞の培養上清中に含まれるβ−アミロイド分子種を同定するため、実施例13と同様の方法で培養上清を精製し、サンドイッチ−EIAによって分析した。すなわち、まず、培養上清1リットルを上記実施例12(2)で得られたBA−27a−トレシルトヨパール充填カラムを用いて部分精製し、この溶出画分を濃縮後Vydac C4を用いる逆相HPLCによって分画した。
カラム条件
カラム:Vydac C4 (4.6 x 250 mm)
溶離液:A液(0.1%トリフルオロ酢酸含有 5%アセトニトリル)
B液(0.1%トリフルオロ酢酸含有 80%アセトニトリル)
溶出方法:溶離液Bの濃度を最初の5分間に15%から25%まで上昇させ、次に60分間かけて25−50%に直線的に上昇させた。
流速:0.5ml/分
実施例9(1)記載の方法に従いBP−90aを固定化した96ウェルマイクロプレート、および標識体としてBA−27a−HRPをもちいて、上記の逆相HPLC画分のサンドイッチEIAを行った。強い免疫活性が認められた分画No.28およびNo.38−39を濃縮し質量分析を行ったところ、それぞれβ−アミロイド(20−40)またはβ−アミロイド(18−40)が主要な構成成分であることがわかった。以上の結果から、BP−90aおよびBA−27aを用いるサンドイッチEIA法は、β−アミロイドC端側の誘導体を選択的に検出することが可能であるとわかった。従って、本測定系はAPPの代謝を研究する際の重要な手段を提供するものと考えられる。
Claims (14)
- β -アミロイドまたはその誘導体を認識し、配列番号:7で表されるアミノ酸配列からなる部分ペプチドを認識しないモノクローナル抗体であって、
該β -アミロイドの誘導体は、
(a)N 端部のアミノ酸が1ないし17残基欠落したβ−アミロイド、
(b)L−アスパラギン酸がL−イソアスパラギン酸、D−イソアスパラギン酸またはD−アスパラギン酸に異性化したβ -アミロイド、または
(c)N 端部にピログルタミン酸を有するβ−アミロイドであり、
該モノクローナル抗体は
(i) 配列番号:8および配列番号:9で表されるアミノ酸配列からなる部分ペプチドを認識しない、
(ii)配列番号:9で表されるアミノ酸配列からなる部分ペプチドを認識するが、配列番号:8で表されるアミノ酸配列からなる部分ペプチドを認識しない、または、
(iii)配列番号:8で表されるアミノ酸配列からなる部分ペプチドを認識するが、配列番号:9で表されるアミノ酸配列からなる部分ペプチドを認識しない、
モノクローナル抗体。 - β−アミロイドまたはその誘導体を認識し、配列番号:7で表されるアミノ酸配列からなる部分ペプチドを認識しないモノクローナル抗体であって、
該β -アミロイドの誘導体は、
(a)N 端部のアミノ酸が1ないし17残基欠落したβ−アミロイド、
(b)L−アスパラギン酸がL−イソアスパラギン酸、D−イソアスパラギン酸またはD−アスパラギン酸に異性化したβ -アミロイド、または
(c)N 端部にピログルタミン酸を有するβ−アミロイドであり、
該モノクローナル抗体は、
(i) 配列番号:8で表されるアミノ酸配列からなる部分ペプチドおよび配列番号:9で表されるアミノ酸配列からなる部分ペプチドを認識せず、
該モノクローナル抗体は、
配列番号:1で表されるアミノ酸配列からなるβ−アミロイド(1−38)、配列番号:2で表されるアミノ酸配列からなるβ−アミロイド(1−39)、および配列番号: 3 で表されるアミノ酸配列からなるβ−アミロイド(1−40)を認識する、
モノクローナル抗体。 - β−アミロイドまたはその誘導体を認識し、配列番号:7で表されるアミノ酸配列からなる部分ペプチドを認識しないモノクローナル抗体であって、
該β -アミロイドの誘導体は、
(a)N 端部のアミノ酸が1ないし17残基欠落したβ−アミロイド、
(b)L−アスパラギン酸がL−イソアスパラギン酸、D−イソアスパラギン酸またはD−アスパラギン酸に異性化したβ−アミロイド、または
(c)N 端部にピログルタミン酸を有するβ−アミロイドであり、
当該モノクローナル抗体は、
(i)配列番号:9で表されるアミノ酸配列からなる部分ペプチドを認識するが、配列番号:8で表されるアミノ酸配列からなる部分ペプチドを認識しない、
(ii)アルツハイマー病患者の脳ギ酸抽出物中に含まれ、かつ配列番号:5で表されるアミノ酸配列からなるβ−アミロイド(1−42)を認識し、および
(iii)配列番号:5で表されるアミノ酸配列からなるβ−アミロイド(1−42)を認識するが、配列番号:1で表されるアミノ酸配列からなるβ−アミロイド(1−38)、配列番号:2で表されるアミノ酸配列からなるβ−アミロイド(1−39)および配列番号:3で表されるアミノ酸配列からなるβ−アミロイド(1−40)を認識しない、
モノクローナル抗体。 - β -アミロイドまたはその誘導体を認識し、配列番号:7で表されるアミノ酸配列からなる部分ペプチドを認識しないモノクローナル抗体であって、
該β -アミロイドの誘導体は、
(a)N 端部のアミノ酸が1ないし17残基欠落したβ−アミロイド、
(b)L−アスパラギン酸がL−イソアスパラギン酸、D−イソアスパラギン酸またはD−アスパラギン酸に異性化したβ−アミロイド、または
(c)N 端部にピログルタミン酸を有するβ−アミロイドであり、
該モノクローナル抗体は、
配列番号:8で表されるアミノ酸配列からなる部分ペプチドを認識するが、配列番号:9で表されるアミノ酸配列からなる部分ペプチドを認識せず、
該モノクローナル抗体は、
配列番号:1で表されるアミノ酸配列からなるβ−アミロイド(1−38)、配列番号:2で表されるアミノ酸配列からなるβ−アミロイド(1−39)、配列番号:3で表されるアミノ酸配列からなるβ−アミロイド(1−40)、および配列番号:5で表されるアミノ酸配列からなるβ−アミロイド(1−42)を認識する、
モノクローナル抗体。 - 請求項1記載のモノクローナル抗体を産生するハイブリドーマ細胞。
- 受託番号がFERM BP 4139である請求項5記載のハイブリドーマ細胞。
- 請求項6記載のハイブリドーマ細胞により産生されるモノクローナル抗体。
- 受託番号がFERM BP 4457である請求項5記載のハイブリドーマ細胞。
- 請求項8記載のハイブリドーマ細胞により産生されるモノクローナル抗体。
- 受託番号がFERM BP 4140である請求項5記載のハイブリドーマ細胞。
- 請求項10記載のハイブリドーマ細胞により産生されるモノクローナル抗体。
- 請求項1記載の抗体を用いることを特徴とする被験液中のβ−アミロイドまたはその誘導体の定量法であって、
該β -アミロイドの誘導体は、
(a)N 端部のアミノ酸が1ないし17残基欠落したβ−アミロイド、
(b)L−アスパラギン酸がL−イソアスパラギン酸、D−イソアスパラギン酸またはD−アスパラギン酸に異性化したβ -アミロイド、または
(c)N 端部にピログルタミン酸を有するβ−アミロイドである、
定量法。 - (1)請求項7,9または11のいずれかの抗体、および
(2) (a)BAN-052a(FERM−BP 4138)もしくは
(b)BAN-50a(FERM−BP 4163)の抗体
を用いるサンドイッチ法による被験液中のβ -アミロイドまたはその誘導体の定量法であって、
該β -アミロイドの誘導体は、
(a)N 端部のアミノ酸が1ないし17残基欠落したβ−アミロイド、
(b)L−アスパラギン酸がL−イソアスパラギン酸、D−イソアスパラギン酸またはD−アスパラギン酸に異性化したβ−アミロイド、または
(c)N 端部にピログルタミン酸を有するβ−アミロイドである、
定量法。 - アルツハイマー病の診断に用いられる、請求項12または13記載の定量法。
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