JP3978226B2 - アルコール中毒患者を同定しアルコール消費を監視するためのイムノアッセイ - Google Patents

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Description

発明の分野
本発明は、アルコール中毒者を同定し、アルコール消費を監視するのに有益なイムノアッセイに関する。特に、本発明は、アルコール中毒者中に見られるが、非アルコール中毒者中に見られないトランスフェリン同族体の検出及び定量化に関する。
発明の背景
米国単独のアルコールに関連する問題の大きさは、ばく大である。現在、毎年200,000人を越える死亡(10人に1人の死亡)はアルコール中毒を原因としており、病院の全医療費の20%がアルコールに関連している(ウェスト(West,L.T)、マックスウェル(Maxwell,D.S.)、ノーブル(Noble,E.P.)及びソロモン(Solomon,D.H)著、Ann.Int.Med.,100,405-416,1984)。米国中で、アルコール中毒に関連する生産性の損失及び健康管理費用の年間経費は1170億ドルと推定される(Sixth Special Report to Congress on Alcohol and Health,Rockville,MD,Dept.Health and Human Services,NIAAA,1987:21-23.(DHHS Publication No.ADM 87-1519))。約1800万人のアメリカ人がアルコール依存性であると考えられる。
アルコール中毒を診断するのに使用される現在の試験は、その条件につき特定しない。それ故、多重試験が行われ、評価されてアルコール中毒の診断に至る。多重試験に基く重度指数がアルコール関連の肝臓病の治療を監視するのに使用される(ブレーク(Blake,J.)及びオレゴ(Orrego,H.)著、Clin.Chem.,37,5-13,1991)。アルコール中毒において、血清γ−グルタミルトランスフェラーゼがしばしば増加される(ロラソン(Rollason,J.)、ピンチャーリィ(Pincherly,G.)及びロビンソン(Robinson,D.)著、Clin.Chim.Acta,39,75-80,1972;ロサルキ(Rosalki,S.)及びラウ(Rau,D.)著、Clin.Chim.Acta,39,41-47,1972)。また、増加がα−リポタンパク質(ジョハンソン(Johansson,B.)及びメドフス(Medhus,A.)著、Acta Med.Scand.,195,273-277,1974)及び血清鉄(ヒルマン(Hillman,R)著、Ann.N.Y.Acad.Sci.,252,297-306,1975;ハーバート(Herbert,V.)及び.チスマン(Tisman,G.)著、Ann.N.Y.Acad.Sci.,252,307-315,1975)で観察された。アルコール中毒者はしばしば種々の形態の貧血及び血液凝固障害を有するので、その他の異常な研究結果として、増大されたプロトロンビン時間及び血小板減少が挙げられる(ギトロウ(Gitlow,S.)及びペイサー(Peyser,H.S.)著、“Alcoholism,A Practical Treatment Guide”,Grune and Stratton,Inc.,フィラデルフィア,PA,218頁,1988)。最近、ブレーク及びオレゴはアルコール関連の肝臓病の治療に対する予後徴候の重要性の種々の指数を説明し、機能変数(主として血液試験)が組織学的異常性よりも重要であると結論した(ブレーク及びオレゴ著、Clin.Chem.,37,5-13,1991)。それにもかかわらず、高レベルの臨床熟練化がアルコール中毒患者からの臨床データを評価するのに必要である。
アルコール摂取のレベルの評価が、治療結果に関するその効果のために非常に重要である(ブレーク及びオレゴ著、Clin.Chem.,37,5-13,1991;オレゴ、ブレーク、ブレンディス(Blendis,L.M.)、コンプトン(Compton,K.V.)及びイスラエル(Israel,Y.)著、N.Eng.J.Med.,317,1421-1427,1987)。しかしながら、患者、特にアルコール中毒者は、アルコール消費を報告する点で信頼できない(オレゴ、ブレーク、ブレンディス、カパー(Kapur,B.M.)及びイスラエル著、Lancet,1354-1356,1979)。こうして、長期間の過度のアルコール消費と相関関係のある生化学試験が非常に有益である。例えば、スチブラー及び共同研究者(スチブラー(Stibler,H.)、ボルグ(Borg,S)及びアルグランデ(Alluglande,C.)著、Acta Med Scand.,206,275-281,1979)は、トランスフェリンの高い等電点(pI)のイソ型が1週間以上にわたって毎日60g以上のエタノールを摂取した患者の81%で増加され、そして患者が10日以上にわたって禁酒する場合に高いpIのイソ型が正常なレベルに戻ることを見出した。
トランスフェリンは、79,500ダルトンの分子量を有する血液の主要な鉄輸送糖タンパク質である。そのタンパク質部分は、夫々、鉄結合部位を有する二つの同種の半分を有する単一ポリペプチド鎖からなる(マックギラーリィ(MacGillirray,R.T.A.)、メンデツ(Mendez,E.)、シェワール(Shewale,J.G.)、シンハ(Sinha,S.K.)、ラインバック−ジング(Lineback-Zing,J.)及びブリュー(Brew,K.)著、J.Biol.Chem.,258,3543-3553,1983)。その分子の炭水化物鎖は、糖タンパク質のC末端ドメインの413及び611の位置にあるアスパラギン(Asn)残基に結合されている(マックギラーリィ、メンデツ、シェワール、シンハ、ラインバック−ジング及びブリュー著、J.Biol.Chem.,258,3543-3553,1983)。
その分子の5種のイソ型が、等電点電気泳動の差異(これらは炭水化物鎖の末端に結合されたシアル酸の異なる量を反映すると考えられる)に基いて検出された。主要なイソ型は5.4のpIを有し、かつトランスフェリン分子当たり4個のシアル酸末端を有する(バン・エイク(van Eijk,H.G.)、バン・ノート(van Noort,W.L.)、デ・ジョング(de Jong,G.)及びコスター(Koster,J.F.)著、Clin.Chm.Acta,165,141-145,1987;ペトレン(Petren,S.)及びベスターベルグ(Vesterberg,O.)著、Biochim.Biophys.Acta,994,161-165,1989)。5.6及び5.7の高pI値に集中する少量のトランスフェリンは正常な血清中に存在し、夫々1個または2個のシアル酸末端を欠いているトランスフェリンに相当すると考えられる。これらのイソ型が夫々トリシアロ−トランスフェリン及びジシアロ−トランスフェリンと称される(マルツ(Marz,L.)、ハットン(Hatton,M.W.C.)、ベリィ(Berry,L.R.)及びレゲルジ(Regoerzi,E.)著、Can.J.Biochem.,60,624-630,1982)。アルコール中毒者からの血清中にかなり増加されているイソ型は5.7のpIで集中し、“ジシアロ−トランスフェリン”として広く知られている。更に、アルコール中毒の血清は痕跡量のpI5.8及び5.9のトランスフェリンイソ型(これらは夫々1個及び0個のシアル酸末端を有すると考えられる)を含むことがある。これらのイソ型は夫々モノシアロ−トランスフェリン及びアシアロ−トランスフェリンと称される。トランスフェリンの約80%は二つの“アンテナ”中に配置されると考えられるオリゴ糖鎖を有し、2アンテナ(biantennary)型と称される。トランスフェリンのその他の15%は3アンテナ形態であり、トランスフェリンの残りの5%は4アンテナ形態である(マルツ、ハットン、ベリィ及びレゲルジ著、Can.J.Biochem.,60,624-630,1982)。トランスフェリンの3アンテナのオリゴ糖形態及び4アンテナのオリゴ糖形態は約5.2〜5.3のpIで表示されると考えられる。
上記のトランスフェリンイソ型は、3-10または3-11のpH勾配で等電点電気泳動を使用して検出された。狭いpH範囲(5-7または4-8)が使用される場合、トランスフェリンの更に別のイソ型が5.5〜6.0のpIで見られる(バン・エイク、バン・ノート及びバン・デル・ヘウル(van der Heul,C.)著、J.Clin.Chem.Clin.Biochem.,18,563-566,1980;バン・エイク、バン・ノート、クロース(Kroos,M.J.)及びバン・デル・ヘウル著、Clin.Chim.Acta,121,201-216,1982;バン・エイク、バン・ノート及びバン・デル・ヘウル著、J.Clin.Chem.Clin.Biochem.,16,557-560,1970)。これらの更に別のイソ型が単離され、異なる量の鉄を結合するとして特性決定された。一種のジ鉄(III)形態、二種のモノ鉄(III)形態、及び結合された鉄を欠いている(無鉄)トランスフェリンの一形態がある。鉄の“飽和”を増大するための条件が使用されていたが、これらの条件は二つの鉄結合部位の完全な飽和を生じない。従って、“飽和”条件はpI5.7のイソ型を特性決定し、定量化するのに研究者らにより使用されていたが、シアル酸末端を欠いているトランスフェリンイソ型と同時に移動し得るトランスフェリンのモノ鉄(III)形態及び無鉄形態の量につき依然として或る種の疑問がある。
アルコール中毒の血清中のpI5.7のイソ型の量は検出の方法により変化する。超薄ポリアクリルアミドゲル分離、続いて定量的デンシトメトリーを使用して、シレンベルグ及びウェイル(Schnerenberg,F.及びWeill,J.著、Drug Alcohol Depend.,19,181-191,1987)は、トランスフェリンのpI5.7のイソ型が非アルコール中毒者中の全トランスフェリンの1.4〜3.7%に相当し、かつ男性及び女性が夫々3.0%及び2.4%の平均レベルを有することを見出した。アルコール中毒者では、pI5.7のイソ型が全トランスフェリンの2.5〜16.4%を構成した。男性及び女性は夫々6.4%及び7.4%の平均レベルを有していた。キンらは抗トランスフェリン抗体でトランスフェリンイソ型を検出する同様の方法を使用した(キン(Xin,Y.)、ラスカー(Lasker,J.M.)、ロスマン(Rosman,A.S.)及びリーバー(Lieber,C.S.)著、Gastroenterology,100,A812,1991)。キンらは、アルコール中毒の血清が145±43mg/l(肝臓病の場合)及び117±30mg/l(肝臓病ではない場合)の量の炭水化物欠乏トランスフェリン(CDT)を含むことを見出した。禁酒家又は非アルコール中毒者(肝臓病の場合又は肝臓病ではない場合)のCDTレベルは68〜86mg/lの範囲であった。異常値が対照群の平均+2標準偏差の合計と定義される場合、CDTはアルコール中毒患者の約80%で異常であった。不運なことに、CDT又はpI5.7〜5.9のイソ型のかなりの量(68〜86mg/l)がまた対照群中で見られた。ストレイら(ストレイ(Storey,E.L.)、マック(Mack,U)、ポーウェル(Powe-ll,L.W.)及びホリデイ(Holliday,J.W.)著、Clin.Chem.,31,1543-1545,1986;ストレイ、アンダーソン(Anderson,G.J.)、マック、ポーウェル及びホリデイ著、Lancet,1292-1294,1987)は、予想された電荷の相違に基いてイソ型を分離するのにクロマトフォーカシングを使用して“部分脱シアリル化された”トランスフェリン画分(または高pIイソ型)を測定した。溶離されたトランスフェリンは、その後、トランスフェリンにつきラジオイムノアッセイ(RIA)により同定された。非アルコール中毒血清中の高pIトランスフェリンイソ型の最大量は1.5%であり、一方、20種のアルコール中毒血清のうちの18種が2〜13%のアルコール中毒イソ型を含んでいた。
スチブラーら(スチブラー(Stibler,H.)、ボルグ(Borg,S.)及びジョウストラ(Joustra,M.)著、Alcohol Clin.Exp.Res.,10,534-544,1986)は、小さい使い捨てのアニオン交換カラムを使用する別法を開発した。最初に、鉄がトランスフェリンを飽和するのに不十分な量で患者の血清に添加される。その後、ピペラジン緩衝液(pH5.65)中に希釈された血清がカラムに通される。pI5.7以上のpIイソ型を含む溶出液が、その後、二重抗体RIAを使用してトランスフェリンにつき試験された。これらの異常なイソ型のレベルは血清1リットル当たりのCDTのmg数の量で報告された。全禁煙家は27〜71mg/lのCDT範囲及び平均50mg/lを有していた。正常な(適度の)アルコール消費者は26〜74mg/lのCDT範囲及び平均53mg/lを有していた。アルコール中毒者は34〜372mg/lの範囲及び平均138mg/lの高いCDT値を有することがわかった。これらの平均値は、等電点電気泳動、続いて抗ヒトトランスフェリンによるウェスタンプロットによるイソ型定量化を使用してキンら(キン、ラスカー、ロスマン及びリーバー著、Gastroenterology,100,A812,1991)により得られた値に非常に近似している。正常な“pI5.7”イソ型値はトランスフェリンのモノ鉄(III)形態及び無鉄形態の存在によるものと考えられる。
スチブラーら(スチブラー、ボルグ及びジョウストラ著、Alcohol Clin.Exp.Res.,10,534-544,1986)によるミクロアニオン交換法の臨床評価は、アルコール中毒患者が100%の特異性及び91%の感度で禁煙家及び適度の消費者から明らかに分離し得ることを示した。CDT値は、先月中のアルコール消費と相関関係があった。アルコール中毒者を禁煙させると、その値は17日の平均半減期で減少した。それにもかかわらず、この試験は欠点を有する。何となれば、トランスフェリンイソ型が最初に等電点電気泳動に基いて分離される必要があるからである。また、ピペラジン緩衝液のpHが5.65のpHからわずかに0.05pH単位だけ異なる場合に、そのアッセイは正確に行われない。しかも最後に、その分離は普通の血液凝固阻止薬EDTA及びヘパリンの如きイオン性添加剤に非常に感受性であることがわかった。
トランスフェリンの遺伝B変異体及びD変異体は殆どの集団で稀であるが、D変異体はアメリカの黒人及び或るアジア人並びに南アメリカの人口の約10%中に見られる(プットマン(Putman,F.)著、The Plasma Proteins:Structure, Function and Genetic Control,プットマン編集,アカデミック・プレス,ニューヨーク,265-316頁,1975)。これは擬陽性の結果を生じ得る。何となれば、B変異体及びD変異体のpIはアルコール中毒のpI5.7のイソ型の値に近似しているからである(ベーレンズ(Behrens,U.J.)、ワーナー(Warner,T.M.)、ブラリィ(Braly,L.F.)、シャフナー(Schaffner,F.)及びリーバー(Lieber,C.S.)著、Alcoholism:Clin.Exp.Res.,12,427-431,1988;スチブラー、ボルグ及びベックマン(Beckman,G)著、Alcoholism:Clin.Exp.Res.,12,450-453,1988)。
トランスフェリンの高pIイソ型に関する発表されたアッセイのありうる欠点にもかかわらず、そのアッセイの実用性及び重要性が確立された。また、スチブラーの研究所(スチブラー及びフルトクランツ(Hultcrantz,R.)著、Alcoholism:Clin.Exp.Res.,11,468-473,1987;スチブラー、ダールグレン(Dahlgren,L.)及びボルグ著、Alcohol,5,393-398,1988)は、アルコール中毒者の高CDTレベルが先の肝臓障害または関連肝臓障害に非依存性であり(また非アルコール中毒の肝臓病患者は高CDTレベルを示さない)、かつCDTレベルの測定がアルコール中毒の初期段階で婦人に関する早期の診断目的を与え得ることを示した。
最近、重度の神経系欠乏及び炭水化物欠乏の血清糖タンパク質並びに高レベルのCDT(全トランスフェリンの約25%)を特徴とする新しい遺伝的症候群がスチブラー及び同僚(ジェーケン(Jaeken,J.)、エッガーマウント(Eggermount,E.)及びスチブラー著、Lancet,1398,1987;スチブラー及びジェーケン著、Arch.Dis.Childhood,65,107-111,1990;ジェーケン及びスチブラー著、Genetics of Neurophysiatric Diseases,ウェッターブルグ(Wetterburg,L.)編集,WennerGren Int.SymP.Series,51巻,マクミラン・プレス(Macmillan Press),ロンドン,69-80頁,1989)、クリスチャンソンら(クリスチャンソン(Kristiansson,B.)、アンダーソン(Andersson,M.)、トンビイ(Tonnby,B.)及びハグベルグ(Hagberg,B.)著、Arch.Dis.Childhood,64,71-76,1989)及びジェーケンら(ジェーケン、バン・エイク、バン・デル・ヘウル、コルビール(Corbeel,L.)、エッケルズ(Eeckels,R.)及びエッガーマウント著、Clin.Chim.Acta,144,245-247,1984)により記載された。これらの幼児からのCDT及び或る種のグリコシル−トランスフェラーゼ活性の炭水化物組成物に基いて、ジェーケン及びスチブラーは、その欠乏がGlcNAc−トランスフェラーゼIまたはII(これらはGlcNAcをN連鎖オリゴ糖の末端トリサッカリド配列に結合させる)にあり得ると結論した。GlcNAc−トランスフェラーゼの欠乏はオリゴ糖鎖にマンノース末端を有する糖タンパク質を生じる。これらの幼児のCDTがアルコール中毒者のCDTとは異なること、または異常なCDTが正常なトランスフェリンとは同様に異なることは、未だ知られていない。しかしながら、アルコール中毒のトランスフェリンのスチブラー及びボルグの分析はオリゴ糖鎖の末端トリサッカリド部分の減少された含量を示した(スチブラー及びボルグ著、Alcohol Clin.Exp.Res.,10,61-64,1986)。幼児のpI5.7のイソ型の炭水化物成分に関する同様のデータは未だ報告されていなかった。
5.6、5.7、5.8及び5.9のpIに移動するCDT種は、トランスフェリンの共通のpI5.4のイソ型を異なる期間にわたってノイラミニダーゼ酵素でインキュベートすることにより人工的に生成し得る。(ペトレン(Petren,S.)及びベスターベルグ(Vesterberg,O.)著、Biochim.Biophys.Acta,994,161-165,1989;マルツ(Marz,L.)、ハットン(Hatton,M.W.C.)、ベリイ(Berry,LR.)及びレゲルジ(Regoerzi,E.)著、Can.J.Biochem.,60,624-630,1982;バン・エイク、バン・ノート、クロース及びバン・デル・ヘウル著、Clin.Chim.Acta,121,201-216,1982を参照のこと)。
CDTがそれらの炭水化物鎖で一つ以上のシアル酸末端を欠いているトランスフェリンに相当する場合には、新しいトランスフェリン種は末端ガラクトース部分を有するべきである。1981年に、セルベンら(セルベン(Cerven,C.)、スチブラー及びボルグ著、Uppsala J.Med.Sci.,86,39-57,1991;セルベンの欧州特許出願第0043359号A2,1982)は、血清標本中のアルコール中毒のトランスフェリンと正常なトランスフェリンの相違を定量化する方法を記載した。抗ヒトトランスフェリンが血清からトランスフェリンを捕捉するのに使用され、その後トランスフェリンが125I標識されたクロタラリア・ジュンセア(Crotalaria juncea)(そのレクチンがガラクトースに結合する)と反応させられた。ジョウストラら(米国特許第4,626,355号)は、セルベンらの方法がアルコール中毒の血清と非アルコール中毒の血清の間にかなりの相違を示さないこと、そして高いバックグラウンドが見られたことを報告している。
先に説明されたように、等電点電気泳動、続いて定量的デンシトメトリー(タンパク質染色または抗ヒトトランスフェリン抗体による検出のいずれかの後)、及びミクロアニオン交換カラム法は、正常なCDT及びアルコール中毒のCDTの量を区別するための明らかな相違を生じる。これらのアッセイは有益であるが、時間を浪費し、労力を集中するので不便である。等電点電気泳動、続いて染色は複雑な操作である。ミクロアニオンカラム技術は、夫々の試料につき別個の使い捨てカラムを必要とし、続いて溶出液のRIA分析を必要とする。また、上記のように、これらの方法により定量化されたCDTの一部は、おそらく、正常な血清中のCDTの存在を原因とするトランスフェリンのモノ鉄(III)形態及び無鉄形態である。また、或る人種/民族の集団の約10%に見られるトランスフェリンのD変異体が許容できない程に高い割合の擬陽性の結果を生じる。
ルメング及びリン(ルメング(Lumeng,L.)及びリン(Lin,RC.)著、Review on Protein-Acetaldehyde Adducts as Biochemical Markers of Alcohol Consumption,印刷中)は、現在入手でき、また開発中であるアルコール中毒マーカー、特にエタノール代謝により生産されたマーカーを最近要約していた。彼らは、CDT血清の定量化が現在最も信頼できる試験であり、一方、その他の全てのマーカーが特異性または感度を欠如していると結論していた。エタノール代謝産物の測定は、アルコールデヒドロゲナーゼ(ADH)及びアルデヒドデヒドロゲナーゼ(ADLH)の遺伝変異、環境因子及び肝臓障害のために制限を有する。血液タンパク質のアセトアルデヒド付加物(AA)(特に、AA-ヘモグロビン)の定量化が若干有望であったが、アルコール中毒関連の測定の精度及び特異性の欠如をまた問題としている。還元AAに対し産生された抗体を使用する最近のAA-アルブミンの試験が有望である。
発明の要約
本発明は、アルコール中毒者中に見られるが、非アルコール中毒者中に見られないトランスフェリン同族体と選択的に反応する抗体を提供する。抗体はポリクローナル抗体またはモノクローナル抗体であってもよい。
また、本発明は、所望の抗体を誘導するのに充分なアルコール中毒トランスフェリン同族体、またはその部分を含む免疫原で動物を免疫することを含む抗体の産生方法を提供する。モノクローナル抗体が所望される場合、その方法は免疫された動物からの免疫グロブリン産生細胞を不死細胞(immortal cells)と融合し、所望の抗体を産生するハイブリドーマを選択する付加的な工程を含む。選択されたハイブリドーマ細胞は培養されてモノクローナル抗体を産生するか、またはモノクローナル抗体を含む腹水を産生するように動物に注射される。また、本発明は、モノクローナル抗体を産生するハイブリドーマを提供する。
最後に、本発明はイムノアッセイ及びイムノアッセイを行うためのキットを提供する。イムノアッセイは、1)トランスフェリンを含む体液の試料を用意する工程、2)試料を、アルコール中毒者中に見られるが、非アルコール中毒者中に見られないトランスフェリン同族体と選択的に反応する抗体と接触させる工程、及び3)試料中に存在するアルコール中毒トランスフェリン同族体のいずれかを検出または定量化する工程を含む。キットは、アルコール中毒者中に見られるが、非アルコール中毒者中に見られないトランスフェリン同族体と選択的に反応する抗体の容器を含む。
本発明のイムノアッセイは、アルコール中毒者の同定を可能にし、かつアルコール消費の監視を可能にする。それは、アルコール中毒者及びアルコール消費の監視につき従来技術のアッセイよりも極めて迅速かつ使用し易いアッセイである。また、それは従来技術のアッセイよりも信頼性があり、かつ正確である。何となれば、それはアルコール中毒者の体液中にのみ見られるトランスフェリン同族体を検出するからである。特に、従来技術の方法はアルコール中毒と関連するかなりの量のpIイソ型の非アルコール中毒者中の存在のために或る個人ではアルコール中毒を正確に評価できなかった。この難点が本発明の方法により解消される。
現在好ましい実施態様の詳細な説明
本発明は、アルコール中毒者中に見られるが、非アルコール中毒者中に見られないトランスフェリン同族体と選択的に反応する抗体を提供する。“アルコール中毒者”は、本明細書において、1週間以上の期間にわたって毎日60g以上のエタノールを摂取する個人であると定義される。“非アルコール中毒者”は、アルコール中毒者の定義を満足しない個人である。非アルコール中毒者は、酒を飲まない者または上記の量よりも更に適度の酒を飲む者を含む。また、非アルコール中毒者は、アルコール中毒の病歴を有するが、少なくとも10日の期間にわたってアルコールを控えている者を含む。
本明細書に使用される“同族体”は、トランスフェリンが存在し得る種々の化学形態を表す。例えば、トランスフェリン同族体として、トリシアロ−トランスフェリン、ジシアロ−トランスフェリン及びアシアロ−トランスフェリン並びにトランスフェリンのジ鉄(III)形態、2種のモノ鉄(III)形態及び無鉄形態が挙げられる。トランスフェリン同族体は従来技術に記載された“pIイソ型”とは区別できる。何となれば、pIイソ型は等電点電気泳動におけるそれらの挙動により特定されるが、一方、同族体はそれらの化学組成に関して特定されるからである。こうして、pIイソ型は一種以上の同族体からなることがある。
本明細書に使用される“アルコール中毒トランスフェリン同族体”は、アルコール中毒者中に見られるが、非アルコール中毒者中に見られないトランスフェリン同族体を表す。“正常なトランスフェリン同族体”は、非アルコール中毒者中に見られるトランスフェリン同族体(これはまたアルコール中毒者中に見られることがある)を表す。アルコール中毒トランスフェリン同族体と正常なトランスフェリン同族体の化学的な相違は未だ完全には特性決定されていない。しかしながら、トランスフェリンに通常存在する二つの2アンテナ炭化水素鎖のうちの一つ(または殆ど一つ)を欠いていることが明らかであるアルコール中毒トランスフェリン同族体が存在することが測定された(以下を参照のこと)。
本発明の抗体はアルコール中毒トランスフェリン同族体と選択的に反応する。“選択的に”は、抗体が正常なトランスフェリン同族体よりもアルコール中毒トランスフェリン同族体との統計上かなり大きな反応性を示すことを意味する。この選択的反応性を測定するのに適した統計方法が当業界で公知である。
本発明の抗体を調製するために、動物がアルコール中毒トランスフェリン同族体を含む免疫原で免疫し得る。こうして、免疫原は、アルコール中毒者の体液から単離された少なくとも一種のアルコール中毒トランスフェリン同族体を含むトランスフェリン同族体の混合物であってもよい。例えば、免疫原は、全てのトランスフェリン同族体と反応性の抗トランスフェリン抗体を使用するアフィニティークロマトグラフィーによりアルコール中毒者の血清から単離されたトランスフェリン同族体の集団であり得る。また、免疫原は等電点電気泳動により単離されたpI5.7を有するトランスフェリン同族体の集団であり得る。背景の部分に説明されたように、pI5.7のトランスフェリンのレベルはアルコール中毒者でかなり増大されることが示された。アルコール中毒の血清中に見られるが、正常な血清中に見られないその他のpIのイソ型がまた免疫原として使用し得る。
また、免疫原は所望の抗体を誘導するのに充分なアルコール中毒トランスフェリン同族体の部分であってもよい。例えば、トランスフェリンに通常存在する二つの2アンテナ炭化水素鎖のうちの一つ(または殆ど一つ)を欠いていることが明らかであるアルコール中毒トランスフェリン同族体が存在することが測定された(実施例1を参照のこと)。鎖の一つが全部または殆ど失われていると、正常なトランスフェリン同族体では露出されないタンパク質領域がアルコール中毒トランスフェリン同族体で露出され、そして本発明の抗体は二つの2アンテナオリゴ糖鎖のうちの一つが失われている場合に露出された領域に対して誘導された抗体を含む。このような抗体の産生に適した免疫原は、炭水化物鎖が結合されているAsn残基(Asn 413及びAsn 611)付近のアミノ酸配列を有するペプチドである。トランスフェリンのアミノ酸配列が知られており(ヤング(Yang,F.)、ラム(Lum,J.B.)、マックギル(McGill,J.R.)、ムーア(Moore,C.M.)、ナイラー(Naylor,S.L.)、バン・ブラグト(van Bragt,P.H.)、ボールドウィン(Baldwin,W.D.)及びボウマン(Bowman,B.H.)著、Proc.Natl.Acad.Sci.,81,2752-2756,1984)、Asn 411及びAsn 613付近の配列が容易に決定し得る。トランスフェリンの配列は個人により変化し得るが、Asn 411及びAsn 613付近の配列は保存される。ペプチド免疫原のサイズは変化し得るが、長さが約13〜14のアミノ酸であることが好ましい。下記の配列を有するペプチドが特に好ましい。
Figure 0003978226
ペプチドは、メリフィールド(Merrifield)著、JACS,85,2149,1963;デービス(Davis)ら著、Biochemistry International,10,394-414,1985;スチュワード(Steward)及びヤング著、Solid Phase Peptide Synthesis,1969;米国特許第3,941,763号明細書;フィン(Finn)ら著、The Proteins,第3編,2巻,ノイラス(Neurath)ら編集,105-253頁,1976;並びにエリクソン(Erickson)ら著、The Proteins,第3編,2巻,ノイラスら編集,257-527頁,1976に記載された方法のような固相ペプチド合成法により合成し得る。また、ペプチドは、下記の会社を含む種々の源から商業上購入し得る。シグマ・ケミカル社(Sigma Chemical Co.,St.Louis,Missouri);ペニンスラ・ラボラトリィズ(Peninsula Laboratories,Belmont'California);ベーチャム社(Bachem Inc.,Torrance,California);及びベガ・バイオケミカルズ(Vega Biochemicals,Tucson,Arizona)。
ペプチドは動物を直接に免疫するのに使用し得るが、使用される前に免疫原キャリヤーにカップリングされることが好ましい。好適なキャリヤーは、それらにカップリングされたハプテンに対して宿主動物中で抗体の産生を刺激できる化合物である。このようなキャリヤーは通常であり、公知である。それらは一般に高分子量の化合物である。殆どの場合、キャリヤーはタンパク質またはポリペプチドであるが、その他の物質、例えば、充分なサイズと免疫原性の炭水化物、多糖、リポ多糖、核酸、等が使用し得る。好適な免疫原キャリヤータンパク質及びポリペプチドは一般に4,000〜10,000,000、好ましくは15,000より大きい分子量を有する。好適なキャリヤータンパク質及びポリペプチドとして、アルブミン(例えば、ウシ血清アルブミン、卵白アルブミン、ヒト血清アルブミン)、免疫グロブリン、チログロブリン(例えば、ウシチログロブリン)、ヘモシアニン(例えば、キーホールリンペットヘモシアニン)及びポリペプチド、例えば、ポリリシンまたはポリアラニンリシンが挙げられる。
ペプチドは、当業界で公知の方法を使用してキャリヤーにカップリングされる。例えば、ペプチドは、接合試薬、例えば、グルタルアルデヒド、水溶性カルボジイミド、N,N−カルボニルジイミダゾール、1−ヒドロキシベンゾトリアゾール一水和物、N−ヒドロキシスクシンイミド、n−トリフルオロアセチルイミダゾールシアノーゲンブロミド、3−(2’−ベンゾチアゾリル−ジチオ)プロピオネートスクシンイミドエステル、ヒドラジン、またはアフィニティー標識法を用いてキャリヤーにカップリングし得る。また、可能なカップリング剤のリストにつきPierce Handbook and General Catalog(1989)を参照のこと。
通常の免疫原キャリヤー物質及びカップリング技術に関する追加の参考文献は以下のとおりである。エーランガー(Erlanger)著、Meth.Enzymol.,70,85-104,1980;マケラ(Makela)及びセパラ(Seppala)著、Handbook of Experimental Immunology,Blackwell,1986;パーカー(Parker)著、Radioimmunoassay of Biologically Active Compounds,Rrentice-Hall,1976;バトラー(Butler)著、J.Immunol.Meth.,7,1-24,1974;ワインリブ(Weinryb)及びシュロッフ(Shroff)著、Drug.Metab-Rev.,10,271-83,1979;ブロウトン(Broughton)及びストロング(Strong)著、Clin.Chem.,22,726-32,1976;プレイフェアー(Playfair)ら著、Br.Med.Bull.,30,24-31,1974。
キャリヤー分子にカップリングされたペプチドの数(“エピトープ密度”)は1からキャリヤー分子の利用可能なカップリング基の数までの範囲である。特別なキャリヤーのエピトープ数はキャリヤーの分子量並びにカップリング部位の密度及び利用可能性に依存する。最適のエピトープ密度はキャリヤー分子の利用可能なカップリング基の約10%〜約50%にはいる。
ポリクローナル抗体を産生するために、免疫原が動物を免疫するのに使用される。動物を免疫する方法は公知であり、通常であり、適当な免疫化プロトコル及び免疫原濃度は当業者により容易に決定し得る。例えば、本発明の抗体は、アジュバント(例えば、完全フロイントアジュバントまたは不完全フロイントアジュバント)と混合した本発明の免疫原を適当な宿主動物(例えば、ウサギ、ヤギ、ウマ、またはその他の哺乳類)に注射することにより調製し得る。免疫原の注射は、適当な力価の抗血清が得られるまで続けられる。抗血清が回収され、必要または所望により既知技術を使用して更に精製されてもよい。例えば、抗体はアフィニティー精製されてもよく、またはDE-52クロマトグラフィーによるように分別されてもよい。
また、本発明の抗体は、免疫された動物(例えば、ラット、ハムスター、マウスまたはその他の哺乳類)からの細胞を不死細胞(例えば、骨髄腫細胞)と融合することにより体細胞ハイブリダイゼーションにより調製し得る。体細胞ハイブリダイゼーションの方法及びモノクローナル抗体の産生方法は公知である。
簡単に言えば、動物がポリクローナル抗体の産生につき上記されたのと同じ方法で免疫原で免疫される。その後、免疫グロブリンを産生できる免疫された細胞(B細胞)が動物のリンパ器官(通常、好ましくは脾臓)から回収される。細胞の回収は当業界で公知の通常の手段により行われる。
動物の免疫化の別法として、抗原特異的B細胞の刺激が試験管内で行い得る。そうするために、免疫担当細胞が動物から除去されたリンパ器官から回収される。回収及び試験管内の免疫化に関する操作は当業者に公知である(リーディング(Reading)著、Meth.Enzymol.,121,18-27,1986;グレートコス(Gratecos)ら著、J.Imm.Meth.,103,169-178,1985;ミッシェル(Mishell)及びシイギ(Shiigi)著、Selected Methods in Cellular Immunology,1980)。
ハイブリドーマの産生のために融合パートナーとして使用するのに適した不死細胞は当業界で公知である。免疫グロブリン成分を分泌しない骨髄腫細胞が不死細胞として使用されることが好ましい。
融合は、一般に、免疫原の最後の注射の約4〜5日後に行われる。融合は、ポリエチレングリコール(PEG)融合法、電気融合法並びに免疫化学法及び生化学法(例えば、サモイロビッチ(Samoilovich)ら著、J.Imm.Meth,101,153-170,1987を参照のこと)を含む幾つかの公知の方法のいずれかに従って行い得る。
融合ハイブリッド細胞は既知の方法により選択され、クローン化され、適当な特異性のモノクローナル抗体を産生するハイブリドーマが種々の公知のイムノアッセイ技術のいずれかを使用してクローン化されたハイブリッド細胞をスクリーニングすることにより同定される。本発明の抗体を産生するために、選択されたハイブリドーマが培地中で培養でき、その結果、ハイブリドーマが抗体を産生し、培地中に分泌する。また、ハイブリドーマが動物に腹腔内注射されて抗体を含む腹水を産生する腫瘍を生じ得る。モノクローナル抗体を調製し、精製する方法は公知である(例えば、ボデウス(Bodeus)ら著、Immnol.Meth,79,1(1985);バジン(Bazin)ら著、Int.J.Cancer,10,568(1982);バジン著、Adv.Cancer Res.,50,279(1987);バジン著、J.Immnol.Meth.,71,9(1984)を参照のこと)。
また、好適な抗体試薬は、組換えDNA技術を使用して調製し得る。このような技術は公知であり、一本鎖抗体の産生を含む。
こうして、本発明に使用するのに適した抗体はモノクローナル抗体またはポリクローナル抗体であってもよく、抗血清またはその精製画分(例えば、DE52分別された抗体またはアフィニティー精製された抗体)であってもよく、既知のイソタイプまたはサブクラス(例えば、IgG、IgM、等)であってもよく、抗原を結合できる抗体フラグメント(例えば、Fab、F(ab')またはF(ab')2)であってもよく、または一本鎖抗体試薬の如きその他の抗体試薬であってもよい。抗体に関する唯一の要件は、それが少なくとも一種のアルコール中毒トランスフェリン同族体に対し特異性を有することである。
本発明の抗体は、体液中のアルコール中毒トランスフェリン同族体の検出または定量化を可能にするあらゆるイムノアッセイ法に使用し得る。多くのこのようなイムノアッセイ技術が知られている。適当なイムノアッセイ法として、ラジオイムノアッセイ、酵素イムノアッセイ及び蛍光イムノアッセイが挙げられる。イムノアッセイは競合結合フォーマットで行われてもよく、またはイムノメトリック(immunometric)アッセイであってもよい。それは均一アッセイまたは不均一アッセイであってもよい。適当な均一技術は、蛍光消光及び蛍光増強、エネルギー転移イムノアッセイ、第二抗体立体障害イムノアッセイ、基質標識イムノアッセイ、補欠分子族標識イムノアッセイ及び酵素モジュレーター標識イムノアッセイである。イムノアッセイは自動化されてもよく、または手動で行われてもよい。
イムノアッセイを行うために、トランスフェリンを含む体液の試料が、アルコール中毒トランスフェリン同族体と選択的に反応する本発明の抗体と接触させられる。体液は、血清、血漿、唾液またはその他の体液であってもよいが、血清であることが好ましい。
イムノアッセイに使用される試薬の一つは、アルコール中毒トランスフェリン同族体の検出または定量化を可能にするために標識される必要がある。好適な標識が当業界で公知である。それらとして、以下のものが挙げられる。1)酵素(例えば、ホースラディッシュペルオキシダーゼ、マレートデヒドロゲナーゼ、スタフィロコッカルヌクレアーゼ、δ−5−ステロイドイソメラーゼ、酵母アルコールデヒドロゲナーゼ、α−グリセロホスフェートデヒドロゲナーゼ、トリオースホスフェートイソメラーゼ、アルカリホスファターゼ、アスパラギナーゼ、グルコースオキシダーゼ、β−ガラクトシダーゼ、リボヌクレアーゼ、ウレアーゼ、カタラーゼ、グルコース−6−ホスフェートデヒドロゲナーゼ、グルコアミラーゼ及びアセチルコリンエステラーゼ);2)蛍光体(例えば、フルオレセインイソチオシアネート、ローダミン、フィコエリトリン、フィコシァニン、アロフィコシアニン、o−フタルデヒド及びフルオレスカミン);3)ラジオヌクレオチド(例えば、125I);4)生物発光標識(例えば、ルシフェリン、ルシフェラーゼ及びアエクオリン(aequorin);5)化学発光標識(例えば、ルミノール、イソルミノール、芳香族アクリジニウムエステル、イミダゾール、アクリジニウム塩及びオキサレートエステル);及び6)ビオチン。所望の試薬へのこれらの標識の結合及び標識の検出は、当業者に公知の通常の技術を使用して行い得る。
好ましいイムノアッセイ構造はサンドイッチ(捕捉、二部位)アッセイである。このアッセイにおいて、アルコール中毒トランスフェリン同族体と選択的に反応する抗体が固体表面に固定化される。その後、体液が固体表面と接触させられ、体液中のアルコール中毒トランスフェリン同族体が固定化抗体に結合する。未結合の物質を洗浄して除いた後、標識成分が添加剤され、これが固定化抗体に既に結合されたアルコール中毒トランスフェリン同族体に結合する。好適な標識は上記の標識である。この標識成分は、全てのトランスフェリン同族体と反応性の標識抗体であることが好ましい。結合された標識成分の量は最初の試料中のアルコール中毒トランスフェリン同族体の量に比例する。また、固体表面に結合された抗体は全てのトランスフェリン同族体と反応性の抗体であってもよく、標識抗体はアルコール中毒トランスフェリン同族体と選択的に反応する抗体であってもよい。
固体表面を必要とする上記のアッセイ構造及びその他のアッセイ構造に使用するのに適した固体表面は公知である。それらとして、ポリスチレン、ガラス、ポリプロピレン、ポリエチレン、ナイロン、ポリアクリルアミド、アガロース、ラテックス、及び紙が挙げられる。固体表面はマイクロタイタ・プレートの壁部、バイアルまたは試験管の内表面、ディップストリップまたはラテックスビーズが挙げられる。
その他の好ましいアッセイは競合アッセイである。このアッセイにおいて、アルコール中毒トランスフェリン同族体と選択的に反応する制限量の抗体が固体表面に固定化される。好適な固体表面は上記のものである。そのアッセイを行うために、体液及び表面成分が固定化抗体に同時に添加される。標識成分は制限量の抗体に結合することにつき体液中のアルコール中毒トランスフェリン同族体と競合する。標識成分は標識免疫原、例えば、ペプチド及びペプチド−キャリヤー(これらの調製は上記されている)であってもよい。好適な標識は上記の標識である。固定化抗体に結合された標識成分の量は、体液中に存在するアルコール中毒トランスフェリン同族体の量に反比例する。
特定の濃度、インキュベーションの温度及び時間、並びにその他のアッセイ条件は、試料中のアルコール中毒トランスフェリン同族体の濃度、試料の性質、等の如き因子に応じて、どのようなイムノアッセイが使用されるかにより変化し得る。当業者はルーチン実験により操作条件及び最適のアッセイ条件を決定できるであろう。
また、本発明は、アルコール中毒トランスフェリン同族体を検出または定量化するためのキットを含む。キットは、本発明のイムノアッセイを実施するのに有益な試薬を保持する1個以上の容器の包装された組み合わせである。キットの試薬に適した容器として、びん、バイアル、試験管及びマイクロタイタ・プレートが挙げられる。
キットは、アルコール中毒トランスフェリン同族体と選択的に反応する抗体の容器を含む。抗体は上記の抗体であり、それらがアルコール中毒トランスフェリン同族体を検出または定量化するのに使用される場合には、それらは上記の標識で標識されてもよい。抗体は溶液中にあってもよく、凍結乾燥されていてもよく、または上記の固体表面の如き固体表面に結合されていてもよい。
アルコール中毒トランスフェリン同族体と選択的に反応する抗体が標識されない場合には、キットはまた体液中に存在するアルコール中毒トランスフェリンイソ型の量を検出または定量化するのに有益な標識成分の容器を含んでいてもよい。この標識成分は全てのトランスフェリン同族体または標識免疫原と反応性である標識抗体であってもよく、または蛍光偏光用のポリ−L−リシンにカップリングされた標識ペプチドであってもよい。
最後に、キットは、当業界で公知であり、かつ商用の観点及び使用者の観点から望ましいその他の物質、例えば、緩衝剤、酵素基質、希釈剤、標準物質、等を含んでいてもよい。また、キットは、イムノアッセイを実施するための試験管及びマイクロタイタ・プレートの如き容器を含んでいてもよい。
トランスフェリン以外の糖タンパク質はアルコール中毒者中でグルコシル化の変化パターンを有し得ることが考えられる。こうして、本発明の原理は、アルコール中毒者中に見られるが、非アルコール中毒者中に見られないこれらのその他の糖タンパク質の同族体と選択的に反応する抗体を産生することに拡張できること、かつこれらの抗体はこれらのその他の糖タンパク質のアルコール中毒同族体を検出し、定量化するのに使用し得ることが考えられる。
更に、本発明の原理は、背景部分に説明された遺伝的症候群(これは炭水化物欠乏血清糖タンパク質を特徴とする)に見られるトランスフェリン及びその他の糖タンパク質同族体を検出し、定量化するのに拡張できることが考えられる。実際に、アルコール中毒トランスフェリン同族体と選択的に反応する本明細書に記載された抗体は、この症候群を患っているものに見られるトランスフェリン同族体と選択的に反応し得るものと、おそらく考えられる。
実施例
実施例1:免疫原の調製
背景部分に説明されたように、トランスフェリンのpI5.7及びpI5.9のイソ型は部分脱シアリル化されていると一般に考えられていた。これらは、アルコール中毒で増大されるトランスフェリンイソ型である。また、pI5.7及びpI5.9のイソ型は同様に或る種のガラクトース部分及びN−アセチル−グルコサミン部分を欠いていることが示唆されていた。スチブラー及びボルグ著、J.Alcohol Clin.Exp.Res.10,61-64,1986。しかしながら、本発明の前に、誰もが、完全な2アンテナ炭水化物鎖が失われているかもしれないという可能性を意図していなかった。
pI5.7及びpI5.9のイソ型の部が本発明の前に一般に考えられていたようにガラクトース末端であった(即ち、脱シアリル化されていた)場合、ガラクトースを検出するアッセイが考案し得た。抗ヒトトランスフェリンを使用して血清からトランスフェリンを捕捉し、ビオチン標識リシヌス・コムニス(Ricinus communis)I(RCA-I)レクチンを使用してガラクトース末端部分を定量化するこのようなアッセイを開発しようとする努力がなされた。このアッセイの幾つかの変形が試みられたが、6〜15%のpI5.7のイソ型を含むアルコール中毒血清とのRCA-I反応性が実証し得なかった。しかしながら、そのアッセイ系は、トランスフェリンをノイラミニダーゼで処理することにより調製された部分脱シアリル化トランスフェリン標準物質を正確に定量化した。
それ故、実験を行ってアルコール中毒のpI5.7のイソ型と正常なpI5.4のイソ型の化学的相違を更に直接に測定した。pI5.7のイソ型をストレイら著、Clin.Chem.,3119,1543,1985に記載されたモノ−Pクロマトフォーカシングゲルカラム(ファーマシア社(Pharmacia,Uppsala,Sweden))による多重運転によりアルコール中毒者の血清から単離した。pI5.7の画分を溜め、等電点電気泳動により少なくとも90%のpI5.7のイソ型であることが示された。差別的酸加水分解を、ハーディ(Hardy,M.R)、タウンセンド(Townsend,R.R.)及びリー(Lee,Y.C.)著、Anal.Biochem.,170,54-62,1988に記載されたようにして精製画分に対して行った。次に炭水化物組成分析をディオネックス(Dionex)LC(HPLC)系(ディオネックス社(Dionex Corp.,Sunnvale,CA))で行った。結果はpI5.7のイソ型につき約2:4:3のガラクトース:N−アセチルグルコサミン:マンノースの比を示し、同じ比がpI5.4のイソ型について得られた。しかしながら、pI5.7のイソ型の単位重量当たりの夫々の炭水化物の合計%はpI5.4のイソ型で得られた値のほぼ半分であった。これらのデータに基いて、本発明者らは、アルコール中毒者中のpI5.7のイソ型の殆どが二つの2アンテナオリゴ糖鎖の一つを欠いていると仮定した。
それは、これらの鎖の一つの不在下で、鎖が結合されているAsn残基(Asn 413またはAsn 611)の周囲のアミノ酸が露出されていることで理由付けされた。それ故、2アンテナ鎖の一つが失われている場合に露出されるAsn 413及び611付近の領域に対して抗体を誘導するのに使用し得る免疫原が設計された。
A.ペプチド合成
ヒトトランスフェリン(ヤング、ラム、マックギル、モーア、ナイラー、バン・ブラグト、ボウルドウィン及びボウマン著、Proc.Natl.Acad.Sci.,81,2752-2756,1984)のアミノ酸配列のアミノ酸405-417及び607-619に相当する2種のペプチドを合成した。位置413及び611にあるAsn残基は通常グリコシル化されており、そしてこれらのAsn残基に結合された炭水化物鎖が存在しないか、または実質的に端を切り取られていた場合には、これらの残基付近のアミノ酸が露出されるので、これらのペプチド配列を選んだ。合成された2種のペプチドの配列を以下に示す。
Figure 0003978226
このペプチドを本明細書中P1と称する。
Figure 0003978226
このペプチドを本明細書中P2と称する。
P1ペプチド及びP2ペプチドを、ターシャリーブチルオキシカルボニル(BOC)アミノ酸化学を使用してアプライド・バイオシステム(Applied Biosystem)の型式431Aペプチド合成装置で合成した。保護基を液体フッ化水素で除去した。
B.ペプチド接合
ペプチドを、以下のようにしてカルボジイミドを使用してウシ血清アルブミン(BSA)(シグマ・ケミカル社(セントルイス、MO))またはキーホールリンペットヘモシアニン(KLH)(シグマ・ケミカル社)にカップリングした。蒸留水0.5ml中のペプチドP1またはP2 2mgの溶液を蒸留水0.2ml中のBSAまたはKLH 2mgと混合した。カルボジイミド10mgを添加し、その反応を室温で2時間進行させた。その後、反応混合物を4℃で蒸留水に対して徹底的に透析した。ペプチドが蒸留水に置換された対照を、接合の程度及び抗体の特異性の両方の評価のために入れた。接合体、キャリヤータンパク質及びペプチドにつきUVスペクトル(280mm)を得、そして接合の程度を230nm及び280nmにおける光学密度(OD)の比から計算してキャリヤータンパク質1モル当たりのペプチドのモル数を得た。調製された接合体、カップリング剤として使用されたカルボジイミド及びキャリヤータンパク質1モル当たりのペプチドのモル数を表1に示す。
Figure 0003978226
実施例2:アルコール中毒トランスフェリン同族体に対するウサギポリクローナル抗体の調製
A.ウサギの免疫化
雌のニュージーランド白ウサギ(ラングシャウ・ファーム(Langshaw Farm,Augusta,GA,USA)を最初にバイタカイチス(Vaitakaitis)らの方法(Clin.Endo.Metab.,33,988,1971)により実施例1に記載されたようにして調製されたBASに接合されたペプチドP1(P1-BSA)及びBASに接合されたペプチドP2(P2-BSA)夫々300μgを含む完全フロイントアジュバント(CFA)(ICNイムノバイオロジカルズ(ICN Immunologicals,Lisle,IL,USA))からなるエマルション2mlで免疫した。二つのその後の免疫化をP1-BSA及びP2-BSAの夫々300μgを含む不完全フロイントアジュバント(IFA)(ICNイムノバイオロジカルズ)のエマルション2mlを使用して行った。これらのその後の免疫化を最初の免疫化の3週後及び5週後に行った。第三の注射の7日後にウサギをネレンベルト(Nerenbert)らの方法(J.Immunol.Meth.,24,19,1978)により耳から採血した(30ml)。血清を下記の項目Fに記載されたようにして試験し、その後、更なる使用の前に-20℃で凍結して貯蔵した。
B.抗ヒトトランスフェリン−セファロースの調製
ヒト血清(正常及びアルコール中毒)からのトランスフェリンをアフィニティー精製するために、抗ヒトトランスフェリン(アキセル(AXELL)、アキュレート・ケミカル&サイエンティフィック社(Accurate Chemical&Scientific Corporaion,Westbury,N.Y.,USA))40mgを、0.5MのNaClを含む0.1MのNaHCO3(pH8.3)中のCNBr-活性化セファロース4B(ファーマシア・ファイン・ケミカルズAB(Pharmacia Fine Chemicals AB,Uppsala,Sweden))(製造業者の指示により前洗浄した)2gに添加することにより免疫吸着剤を調製した。その後、その混合物を4℃で一夜にわたる反転により混合した。次に免疫吸着剤を0.2Mのグリシン緩衝液(pH8.0)に移し、室温で2時間にわたる反転により混合した。その後、そのゲルを、a)0.5Mの塩化ナトリウムを含む0.1Mの重炭酸ナトリウム(pH8.0);及びb)0.5Mの塩化ナトリウムを含む0.1Mの酢酸ナトリウム(pH4.0)で交互に洗浄した。次に、そのゲルをPBS(0.15MのNaClを含む0.01Mのリン酸ナトリウム緩衝液、pH7.3)中に懸濁させ、使用前に0.02%のNaN3の存在下で貯蔵した。
C.ヒトトランスフェリンの精製
ヒトトランスフェリンのアフィニティー精製を、上記のようにして調製された抗トランスフェリン−セファロース4B3mlをバイオ−ラド(Bio-Rad)使い捨てポリプロピレン・エコノ−カラム(バイオ−ラド・ラボラトリィズ(Bio-Rad Laboratories,Richmond,CA,USA))に入れることにより行った。その後、マトリックスをPBS 10mlで洗浄した。洗浄したマトリックスをヒト血清(正常またはアルコール中毒)1mlと共に室温で2時間にわたって回転によりインキュベートした。未結合物質を回収し、マトリックスをPBS 10ml、続いて2Mのヨウ化カリウム2ml、次にPBS 10mlで2回洗浄した。結合したトランスフェリンを、塩酸を添加してpHを2.3に調節した0.1Mのグリシン2mlで溶離した。溶離したトランスフェリンを直ちに中和し、4℃で一夜にわたって水2リットルに対し透析し、最後に凍結乾燥した。
D.アフィニティー精製されたトランスフェリンのノイラミニダーゼ処理
上記のようにしてアフィニティ「精製されたトランスフェリンをノイラミニダーゼ(シグマ・ケミカルズ社)によりその製造業者の指示に従って消化した。簡単に言えば、2mMの酢酸ナトリウム(pH5.0)を含む水溶液合計30μl中のトランスフェリン20μgを37℃で1時間にわたってノイラミニダーゼ30ミリ単位と共にインキュベートした。その後、その製剤をスクリーニングアッセイ(以下を参照のこと)に使用した。
E.アフィニティー精製されたトランスフェリンのN−グリカナーゼ処理
トランスフェリンをヒラニ(Hirani)らの方法(Anal.Biochem.,162,485-92,1987)によりN−グリカナーゼで消化した。全容積25μlの150mMのリン酸ナトリウム(pH7.6)中0.5μg/ulの濃度のトランスフェリンを37℃で18時間にわたって1単位のN−グリカナーゼと共にインキュベートした。その後、その製剤をスクリーニングアッセイ(以下を参照のこと)に使用した。
F.ウサギ抗血清のスクリーニング
ウサギ抗血清を、実施例3、パートBに記載された方法を使用して下記の抗原に対して試験した。1)表1にリストされたペプチド接合体の全部、2)カルボジイミドで処理されたBSA及びKLH、3)BSA及びKLH(未処理)、4)P1及びP2、5)アフィニティー精製された正常なトランスフェリン及びアルコール中毒トランスフェリン、6)ノイラミニダーゼ処理されたアフィニティー精製された正常なトランスフェリン及びアルコール中毒トランスフェリン、及び7)N−グリカナーゼ処理されたアフィニティー精製された正常なトランスフェリン及びアルコール中毒トランスフェリン。抗血清はペプチド接合体、キャリヤータンパク質並びにP1及びP2に対して高い反応性を示した。また、それはN−グリカナーゼ処理されたトランスフェリンに対して反応性を示し、それはアフィニティー精製された正常なトランスフェリンに対するよりもアフィニティー精製されたアルコール中毒トランスフェリンに対して大きな反応性を示した。従って、ウサギ抗血清のIgGフラクションを更なる試験のために得た。
実施例3:アルコール中毒トランスフェリン及び正常なトランスフェリンに対するウサギ抗血清のIgGフラクションの反応性
A.IgGフラクションの精製及び標識
“γ結合プレパッグ”プロテインGカラム(ゲネックス社(Genex Corporation,Gaithersburg,MD,USA))を使用して、先の実施例に記載されたようにして調製されたウサギ抗P1及びP2血清のIgGフラクションを精製した。ウサギ抗血清1mlを、0.15MのNaCl(結合緩衝液)を含む0.01Mのリン酸塩緩衝液(pH6.0)で1:1に希釈し、プロテインGカラムに装填した(1ml/分)。次にカラムを結合緩衝液10mlで洗浄した。0.1MのグリシンHCl(pH3.0)4mlを使用して溶離を行った。IgGを含む溶離画分を回収し、0.15MのNaClを含む0.1Mのリン酸ナトリウム緩衝液、pH9.2で直接中和し、その後PBS(0.15MのNaClを含む0.01Mのリン酸ナトリウム緩衝液、pH7.3)に対して透析した。続いて、ウサギ抗体の精製IgGフラクションの一部をケンダール(Kendall)らの方法(J.Immunol.Meth,56:329,1983)に従ってビオチンで標識した。
B.ウサギ抗体のIgGフラクションのアッセイ
ポリスチレンのマイクロタイタ・プレート(イムノロン(Immunolon)2、コーク・エンジニアリング社(Cooke Engineering Co.,Alexandria,VA,USA)のウェルを、0.1Mの重炭酸ナトリウム(pH9.0)中のヒトトランスフェリンペプチドP1及びP2(先の項目に記載された製剤)に特異的なウサギ抗体の標識されていないIgGフラクションの5μg/ml溶液100μlを夫々のウェルに添加し、プレートを37℃で2時間インキュベートすることにより被覆した。未結合の抗体をデカントにより除去し、残っているポリスチレンのタンパク質結合部位を、ウェルをPBS中の卵白アルブミンの1%溶液で満たすことによりブロックした。その後、ウェルをPBSで3回洗浄した。
次に、PBS中のアフィニティー精製されたトランスフェリン(正常またはアルコール中毒)(実施例2に記載されたようにして調製)20μg/mlの溶液100μl/ウェルを夫々のウェルに添加し、4℃で一夜インキュベートした。その後、ウェルをPBSで3回洗浄し、PBS中の1:6500に希釈されたホースラディッシュペルオキシダーゼで標識されたヒトトランスフェリンのヒツジ抗体(バイオデザイン・インターナショナル(Biodesign International,Kennebunkport,ME,USA))100μlを添加し、プレートを37℃で2時間インキュベートした。着色反応を室温で20分間にわたって基質緩衝液(0.1MのNa2HPO4、0.05Mのクエン酸塩一水和物、pH5.0、0.015%の過酸化水素)中の基質o−フェニレンジアミン−2HCl(OPD)0.8mg/mlで発生させた。その後、その反応を2Nの硫酸50μlの添加により停止し、492nmにおける吸光度をタイターテク・マルチスキャン(Titertek Multiskan)(フロー・ラボラトリィズ(Flow Laboratories,McClean,VA,USA))で読み取った。
対照ウェルを、或るウェルが吸着抗体を有しておらず(吸着抗体を含まない対照)、或るウェルがトランズフェリンを有しておらず(抗原を含まない対照)、また或るウェルが吸着抗体を有しておらず、また抗原を有していない(基質対照)こと以外は、上記と同じ方法で調製した。これらの対照を使用して抗原と標識抗体の非特異的結合及び非酵素的基質加水分解に関する読み取り値を修正した。このアッセイの結果を表2に示す。
Figure 0003978226
等しいか、または等しくないと仮定された変数を用いる2試料t−検定によるデータ(アルコール中毒トランスフェリン対正常なトランスフェリン)の統計分析は、トランスフェリンペプチドP1及びP2のウサギ抗体のIgGフラクションとアルコール中毒トランスフェリン対正常なトランスフェリンの反応性につき<0.001のp値を生じた。平均と標準偏差は正常なトランスフェリンにつき0.051±0.035であり、アルコール中毒トランスフェリンにつき0.210±0.143であった。アルコール中毒トランスフェリンに関する14の値のうちのわずかに二つが正常なトランスフェリンの平均+2標準偏差の範囲内に入った。それ故、トランスフェリンペプチドP1及びP2のウサギ抗体は正常なトランスフェリンに対するよりもアルコール中毒トランスフェリンに対してかなり大きい反応性を示すことが結論された。
実施例4:アフィニティー精製されたトランスフェリンへの抗トランスフェリンペプチドP1及びP2抗体のビオチン標識IgGフラクションの結合
アルコール中毒血清及び正常な血清からのアフィニティー精製されたトランスフェリン(実施例2に記載されたようにして調製)(400n9)を37℃で2時間にわたって0.1Mの重炭酸ナトリウム(pH9.0)中5μg/mlのタンパク質の濃度でマイクロフロアー(Microfluor)“B”ブラックポリスチレンマイクロタイタ・プレート(ダイナテック・ラボラトリィズ(Dynatech Laboratories,Alexandria,VA,USA))のウェルに吸着させた。結合されなかった抗原をデカントにより除去した。残りのポリスチレンタンパク質−結合部位を、ウェルをPBS中のフィッシュスキンゼラチン(シグマ・ケミカル社)の1:45希釈液で満たし、プレートを37℃で1時間インキュベートすることによりブロックした。その後、マイクロタイタ・ウェルをPBSで3回洗浄し、1:100に希釈されたビオチンで標識したウサギ抗トランスフェリンペプチドP1及びP2のIgGフラクション(実施例3に記載されたようにして調製)100μlをウェルに添加し、37℃で2時間インキュベートした。PBSで3回洗浄した後、1%のBSAを含むPBS中に1:2000に希釈されたストレプトアビジン−β−ガラクトシダーゼ(ベセスダ・リサーチ・ラボラトリィズ(Bethesda Research Laboratories,Gaithersburg,MD,USA))100μlをプレートに添加し、プレートを37℃で1時間インキュベートした。PBSで3回洗浄した後、0.1Mの塩化ナトリウム及び1mMの二塩化マグネシウムを含む0.01Mのリン酸ナトリウム緩衝液(pH7.5)中の4−メチル−ウンベリフェリル−β−D−ガラクトピラノシドの0.1μg/mlの溶液100μlをマイクロタイタ・プレートのウェルに添加した。メチル−ウンベリフェロンの蛍光を、365mmの励起波長及び450mmの発光波長を使用して相対蛍光単位(RFU)として測定した。
対照ウェルを、或るウェルが吸着抗原を有しておらず(抗原を含まない対照)、或るウェルが一次抗体(ウサギ抗トランスフェリンIgG)を有しておらず(一次抗体を含まない対照)、或るウェルが抗原または一次抗体を有しておらず(ストレプトアビジン−β−ガラクトシダーゼ対照)、或るウェルが抗原、一次抗体及びストレプトアビジン−β−ガラクトシダーゼを有していない(基質対照)こと以外は、上記と同じ方法で調製した。抗原を含まない対照及び一次抗体を含まない対照またはストレプトアビジン−β−ガラクトシダーゼ対照は、抗体及び標識試薬の非特異的結合に関する読み取り値を修正するのに利用でき、一方、基質対照は非酵素的基質加水分解につき修正した。
結果を表3に示す。
Figure 0003978226
アルコール中毒トランスフェリンに関する平均と標準偏差は593±320であり、正常なトランスフェリンに関して84±83であった。二つの平均の有意差の推定のt−検定は<0.001のp値を生じた。11のアルコール中毒値のうちの二つが正常な平均+2標準偏差の合計の下にあった。正常値のうちの一つが比較的高かったが、正常値+2標準偏差の合計を越えなかった。トランスフェリンペプチドP1及びP2に対して産生されたウサギ抗血清はアルコール中毒血清からのトランスフェリン製剤に対して特異性を有する抗体集団を有することが結論された。
実施例5:アルコール中毒トランスフェリン同族体のモノクローナル抗体の調製
A.マウスの免疫化
Balb/cマウス(スプラギュウ−ダウレイ社(Sprague-Dawley Inc.,Indianapolis,IN,USA))を、バイタカイチスらの方法(Clin.Endo.Metab.,33,988,1971)を使用して免疫した。最初に、夫々生後6週のマウスにP1-KLH及びP2-KLH(実施例1に記載されたようにして調製)夫々20μgを含むCFAからなるエマルション0.1mlを腹腔内注射した。続いて、マウスを、P1-KLH及びP2-KLH夫々15μgを含むIFAのエマルション0.1mlで免疫した。その後5回の免疫化を最初の注射後に合計6回の注射につき30日間隔で行った。
3回目及び6回目の注射の後にマウスから採血し、ウサギ抗血清につき実施例2、項目Fに記載された幾つかの抗原に対して血清を試験した。予想されるように、全ての抗血清がペプチド−接合体及びキャリヤータンパク質に対し高い反応性を示した。2匹のマウスはP2に対し高い反応性を示したが、P1に対し反応性を示さなかった。1匹のマウスはN−グリカナーゼ処理トランスフェリンに対し反応性を示し、すべての抗血清がアルコール中毒トランスフェリン対正常なトランスフェリンとのそれらの反応性の相違を明らかにした。
ハイブリドーマをN−グリカナーゼ処理トランスフェリンと反応性の1匹のマウスから産生した。融合の4日前に、マウスにアフィニティー精製されたアルコール中毒トランスフェリン20μg及び精製されたアルコール中毒のpI5.7のイソ型(実施例1に記載されたようにして調製)60μgを静脈内注射した。
B.ハイブリドーマの産生
免疫されたBalb/cマウスからの脾臓の単の細胞懸濁液を、脾臓を2枚の無菌ガラススライドの間で圧潰し、細胞を、1%のFCA、ペニシリン(100単位/ml)、ストレプトマイシン(100μg/ml)及びグルタミン(0.03%)(全てギブコ(Gibco,Grand Island,NY,USA)から入手した)を補給した培地(HL1培地、エンドトロニクス(Endotronics,Coon Rapids,MN,USA)から入手し得る)中で再懸濁させることにより調製した。その後、5x107個の脾臓細胞を、コーラー(Kohler,G.)及びミルステイン(Milstein,C.)の方法(Nature,256,495,1975)に従ってポリエチレングリコール1mlと共に2.5x107個のHLI-653マウス骨髄腫細胞(ATCC,Bethesda,MD,USA)と共にインキュベートし、ペレットにし、融合させた。ハイブリッド細胞をHAT培地(ヒポキサンチン、アミノプテリン及びチミジン)及びAAT培地(アデノシン、アミノプテリン及びチミジン)による増殖により選択した。ハイブリドーマ培養物を、安定な細胞系が得られるまで限界希釈法によりクローン化した。ハイブリドーマ培養上澄みを下記の項目Cに記載されたようにしてスクリーニングした。
C.ハイブリドーマのスクリーニング
ハイブリドーマにより産生されたモノクローナル抗体を、ビオチン標識モノクローナル抗体を使用するのではなく、アルカリホスファターゼ標識ヤギ抗マウスIgG+IgM抗体を使用して結合モノクローナル抗体を検出した以外は、実施例4の方法を使用して、P2並びにアルコール中毒血清及び正常な血清からのアフィニティー精製されたトランスフェリンに対してスクリーニングした。
簡単に言えば、ポリスチレンマイクロタイタ・プレートのウェルを、0.05Mの炭酸塩緩衝液(pH9.6)中の800ng/ウェルのペプチドP2または400ng/ウェルのアルコール中毒血清または正常な血清からのアフィニティー精製されたトランスフェリンで一夜にわたって被覆した。洗浄後に、ウェルを室温で30分間にわたって1%のBSA-PBS溶液と共にインキュベートすることにより裏面被覆した。次に、ハイブリドーマクローンの培養上澄み100μlをウェルに添加し、プレートを4℃で16時間インキュベートした。0.5%のトゥイーン(Tween)20(シグマ・ケミカル社)を含むPBSで3回洗浄した後、アルカリホスファターゼ標識抗マウスIgG+IgM試薬(アメリカン・クアレックス(American Qualex,LaMarinda,CA,USA))、からのカタログNo.A108AN)の1:1000希釈液100μlをウェルに添加し、プレートを室温で60分間インキュベートした。PBSで3回洗浄した後、5.3g/lのNa2CO3mM、0.4g/lのMgCl2・6H2O及び2g/lのNaN3(pH9.5)からなる基質緩衝液中の1μg/mlのホスファターゼ基質溶液(シグマ社からのシグマ104)100μlをプレートに添加した。次に、プレートを室温で60分間インキュベートした。その後、動的マイクロプレート・リーダー(モレキュラー・デバイシィズ(Molecular Devices,Menlo Park,CA,USA))を使用して405nmにおけるODを読み取った。結果を表4に示す。
Figure 0003978226
群1は、ペプチドP2及びアルコール中毒トランスフェリンと反応性であるが、正常なトランスフェリンと反応性ではない抗体を産生するクローンを含む4C9クローンはこの群の2種のクローンのうちの一種である。ベーリンガー・マンハイム(Boehringer Mannheim)から入手し得るマウスイソタイピングキットを使用するイソタイピングは、4C9クローンがIgM抗体を産生することを示した。
群2は、全ての3種の抗原標的(ペプチドP2並びにアルコール中毒トランスフェリン及び正常なトランスフェリン)と反応するクローンを含む。
群3は、正常なトランスフェリンのみと明らかに反応するクローンを含む。
群4は、ペプチドP2のみと反応するクローンを含む。
実施例6:4C9モノクローナル抗体とアルコール中毒トランスフェリン、正常なトランスフェリン、ノイラミニダーゼ処理トランスフェリン及びN−グリカナーゼ処理トランスフェリンの反応性
アフィニティー精製されたアルコール中毒トランスフェリン及び正常なトランスフェリン、ノイラミニダーゼ処理トランスフェリン並びにN−グリカナーゼ処理トランスフェリンに対する4C9モノクローナル抗体の反応性を、実施例5に記載されたようにして試験した。そうするために、マイクロタイタ・プレートのウェルを夫々の抗原400ngで被覆し、そのアッセイの残りを実施例5に記載されたようにして行った。結果を表5に示す。
Figure 0003978226
表5が示すように、4C9モノクローナル抗体は脱グリコシル化された(N−グリカナーゼ処理された)トランスフェリン及び既知のアルコール中毒血清からのアフィニティー精製されたトランスフェリンと反応する。それは正常な血清または禁酒家の血清と殆ど反応しない。JMは、血清標本が得られる前に3週間にわたって禁酒したアルコール中毒患者であったことに注目されたい。また、4C9抗体は脱シアリル化された(ノイラミニダーゼ処理された)トランスフェリンと反応下しない。
4C9がアルコール中毒と関連していると従来技術により示されたpIイソ型と反応するか否かを決定するために予備実験を行った。そうするために、等電点電気泳動を、4〜8のpH勾配を使用して表5にリストされたトランスフェリン製剤につき行った。二つのバンド(pI5.7-5.8及び6.1-6.2)はアルコール中毒トランスフェリン製剤の特徴であることがわかったが、バンドの一つ(pI5.7-5.8)は未処理の正常なトランスフェリン製剤中に見られた。等電点電気泳動の結果を上記のイムノアッセイの結果と比較し、そのイムノアッセイにおける4C9の活性とpI5.7-5.8のバンド及び6.1-6.2のバンドの強さとのおよその関係を示した。その相関関係がわずかに近似するという事実は、pI5.7-5.8のバンド及び6.1-6.2のバンドがおそらく非アルコール中毒トランスフェリン同族体を含むこと、及びアルコール中毒トランスフェリン同族体がおそらくその他のpIバンド中に見られることを示す。
実施例7:アルコール中毒患者及び正常な患者からのトランスフェリン製剤に対する4C9モノクローナル抗体の反応性
マイクロタイタ・プレートウェルに吸着されたアフィニティー精製されたアルコール中毒トランスフェリン及び正常なトランスフェリンの1μg(400ngではない)を使用して実施例6を繰り返した。また、トランスフェリン製剤を、全てのトランスフェリン(アルコール中毒及び正常)と反応するモノクローナル抗体1C11、並びにモノクローナル抗体4C9と反応させた。光学密度を非特異的結合につき修正した。結果を表6に示す。
Figure 0003978226
4C9抗体と正常なトランスフェリンの反応性は殆ど検出されなかった。4C9とアルコール中毒トランスフェリンの反応性は明らかであり、正常な血清からアフィニティー精製されたトランスフェリンとの反応性よりもかなり高かった。1C11抗体はアルコール中毒トランスフェリン及び正常なトランスフェリンと実質的に同様に反応し、これはほぼ同じ量のトランスフェリン(アルコール中毒及び正常)がポリスチレンマイクロタイタ・プレートウェルに吸着されたことを示す。正常なトランスフェリン及びアルコール中毒トランスフェリンとの4C9抗体の反応性の平均と標準偏差は夫々0.0068±0.0047及び0.172±0.132であった。これらの相違の有意差に関する平均の統計上の比較は<0.05のp値を生じた。五つのアルコール中毒トランスフェリン値のいずれもが、正常な平均+2標準偏差の合計よりも小さくなかった。
4C9がアルコール中毒と関連していると従来技術により示されたpIイソ型と反応するか否かを決定するために予備実験を行った。そうするために、等電点電気泳動を、4〜8のpH勾配を使用して表6にリストされたアルコール中毒トランスフェリン製剤及び正常なトランスフェリン製剤につき行った。先の実施例のように、イムノアッセイの結果はpI5.7-5.8のバンド及び6.1-6.2のバンドの強さに関するおよその関係を示した。その相関関係がわずかに近似するという事実は、pI5.7-5.8のバンド及び6.1-6.2のバンドがおそらく非アルコール中毒トランスフェリン同族体を含むこと、及びアルコール中毒トランスフェリン同族体がおそらくその他のpIバンド中に見られることを示す。
配列表
(1)一般情報:
(i)出願人:マクロウフ(Makhlouf,Samar)
(i)出願人:パンコウ(Pankow,Mark L.)
(i)出願人:アンダーソン(Anderson,Byron E.)
(i)出願人:ビーン(Bean,Pamela)
(ii)発明の名称:アルコール中毒者を同定し、アルコール消費を監視するためのイムノアッセイ
(iii)配列の数:2
(iv)通信住所:
(A)受取人:ウィリアン・ブリンクス・オールズ・ホファー・ギルソン&リオーネ(Willian Brinks Olds Hofer Gilson &Lione)
(B)通り:P.O.ボックス10395
(C)都市:シカゴ
(D)州:イリノイ
(E)国:米国
(F)郵便番号;60610
(v)コンピュータ読み取り可能形態:
(A)媒体型:ディスケット、5.25インチ、360Kb記憶
(B)コンピュータ:IBM XTコンパチブル
(C)操作システム:MS-DOS
(D)ソフトウェア:ワードパーフェクト(WordPerfect)5.1
(vi)現在の出願データ:
(A)出願番号:
(B)出願日:1992年9月25日
(vii)先行出願データ:
(A)出願番号:US 07/765,169
(B)出願日:1991年9月25日
(viii)弁理士の情報:
(A)名称:クローク(Crook,Wannell M.)
(B)登録番号:31071
(C)参照/明細書番号:2545/44
(ix)電話連絡情報:
(A)電話:(312)321-4229
(B)テレファックス:(312)321-4299
(2)配列番号1に関する情報:
(i)配列の特徴:
(A)長さ:13のアミノ酸
(B)型:アミノ酸
(xi)配列の記載:配列番号1:
Figure 0003978226
(2)配列番号2に関する情報:
(i)配列の特徴:
(A)長さ:13のアミノ酸
(B)型:アミノ酸
(xi)配列の記載:配列番号2:
Figure 0003978226

Claims (19)

  1. 動物(人間を除く)を免疫原キャリヤーに結合した下記のペプチドで免疫することによって産生される、通常はトランスフェリンに結合している二のオリゴ糖鎖のいずれか一をすべて欠くトランスフェリン同族体と選択的に反応する抗体
    Figure 0003978226
  2. マウス骨髄腫細胞を、免疫原キャリヤーに結合した下記のペプチドで免疫されたマウスからの脾臓細胞と融合することにより調製される、通常はトランスフェリンに結合している二のオリゴ糖鎖のいずれか一をすべて欠くトランスフェリン同族体と選択的に反応するモノクローナル抗体を産生するハイブリドーマ
    Figure 0003978226
  3. 通常はトランスフェリンに結合している二のオリゴ糖鎖のいずれか一をすべて欠くトランスフェリン同族体と選択的に反応する抗体の産生方法であって、その方法が動物(人間を除く)を免疫原キャリヤーに結合した下記のペプチドで免疫することを特徴とする抗体の産生方法:
    Figure 0003978226
  4. 通常はトランスフェリンに結合している二のオリゴ糖鎖のいずれか一をすべて欠くトランスフェリン同族体と選択的に反応するモノクローナル抗体の産生方法であって、その方法が以下の工程を含む方法:
    a)動物(人間を除く)を免疫原キャリヤーに結合した下記のペプチドで免疫する工程;
    Figure 0003978226
    b)免疫された動物(人間を除く)からの免疫グロブリン産生細胞を不死細胞と融合する工程;
    c)アルコール中毒トランスフェリン同族体と選択的に反応する抗体を産生するハイブリドーマを選択する工程。
  5. トランスフェリンを含む体液の試料を用意し、
    その試料を、動物(人間を除く)を免疫原キャリヤーに結合した下記のペプチドで免疫することによって産生される、通常はトランスフェリンに結合している二のオリゴ糖鎖のいずれか一をすべて欠くトランスフェリン同族体と選択的に反応する抗体と接触させ、
    Figure 0003978226
    そして
    試料中に存在するアルコール中毒トランスフェリン同族体のいずれかを検出または定量することを特徴とするイムノアッセイ。
  6. 体液が血清である、請求項5に記載のイムノアッセイ。
  7. 抗体が固体表面に付着する、請求項5に記載のイムノアッセイ。
  8. 抗体を標識する、請求項5に記載のイムノアッセイ。
  9. 動物(人間を除く)を免疫原キャリヤーに結合した下記のペプチドで免疫することによって産生される、通常はトランスフェリンに結合している二のオリゴ糖鎖のいずれか一をすべて欠くトランスフェリン同族体と選択的に反応する抗体を含む容器を含むことを特徴とするイムノアッセイを行うためのキット:
    Figure 0003978226
  10. モノクローナル抗体である、請求項1に記載の抗体。
  11. マウス骨髄腫細胞を、免疫原キャリヤーに結合した下記のペプチドで免疫されたマウスからの脾臓細胞と融合することにより調製されたハイブリドーマにより産生される、請求項10に記載のモノクローナル抗体
    Figure 0003978226
  12. IgMクラスのマウスモノクローナル抗体である、請求項11に記載のモノクローナル抗体。
  13. ポリクローナル抗体である、請求項1に記載の抗体。
  14. 免疫原キャリヤーに結合した下記のペプチドで免疫されたウサギにより産生される、請求項13に記載のポリクローナル抗体
    Figure 0003978226
  15. IgMクラスのマウスモノクローナル抗体を産生する、請求項に記載のハイブリドーマ。
  16. さらに以下の工程を含む、請求項に記載の方法:
    d)選択されたハイブリドーマ細胞を培地中で培養する工程;及び
    e)抗体を培地から回収する工程。
  17. さらに以下の工程を含む、請求項に記載の方法:
    d)腹水を生じる腫瘍の生成を生じるように選択されたハイブリドーマ細胞を動物(人間を除く)に注射する工程;及び
    e)抗体を腹水から回収する工程。
  18. 不死細胞がマウス骨髄腫細胞であり、マウス骨髄腫細胞を、免疫原キャリヤーに結合した該ペプチドで免疫されたマウスからの脾臓細胞と融合する、請求項に記載の方法。
  19. ハイブリドーマがIgMクラスのマウスモノクローナル抗体を産生する、請求項18に記載の方法。
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