JP2925479B2 - 肺小細胞癌検出薬及びその使用 - Google Patents
肺小細胞癌検出薬及びその使用Info
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することができる肺小細胞癌検出用キット及び方法に関
する。
質と共に、正常細胞はほとんど産生しない物質を産生す
ることが知られている。この物質を測定することによ
り、一部の癌細胞や癌患者の存在、特性を診断すること
が可能となっている。癌細胞が異常に多量に産生する物
質には、癌遺伝子産物及び、増殖因子などがあり、細胞
の癌化・増殖・進展に寄与している。また、癌胎児性抗
原やホルモン、酵素などの産生も細胞の癌化の特性と考
えられている。従って、癌細胞に特徴的なこれらの物
質、いわゆる腫瘍マーカーのいずれかを充分な感度で測
定できれば、その癌の診断が可能となる。
れてきたものには、癌胎児性抗原(CEA)、α−フェ
トプロテイン(AFP)、CA125などの胎児性癌抗
原、神経特異的エノラーゼ(NSE)、酸性フォスファ
ターゼ、クレアチンキナーゼ(CK)などの酵素類、副
腎皮質刺激ホルモン(ACTH)、抗利尿ホルモン(A
DH)、カルシトニン(CT)などのホルモン関連物質
などの測定系がある。しかしながら、これらの測定系を
用いた癌患者血清の陽性率は高くなく、癌でありながら
既存の腫瘍マーカーは陰性である場合も多く、健常人・
良性疾患患者血清でも偽陽性になってしまうなど特異性
に大きな問題があり、悪性疾病を立証することはできな
かった。
せて診断することが必要となっている。新たな腫瘍マー
カーによりこれまで陽性とならなかった癌患者を診断で
きれば、癌診断の精度を高めることができる。肺癌に関
しては、神経内分泌細胞に由来する小細胞癌と、他の上
皮腫瘍である非小細胞癌に区別されてきた。肺小細胞癌
では、セロトニン、ACTH(副腎皮質刺激ホルモ
ン)、カルシトニン、GRP(ガストリン放出ペプチ
ド)などの各種ペプチドホルモン類の産生が知られ、ま
た、APUD系の細胞または、腫瘍に特徴的なL−ドパ
・デカルボキシラーゼ(L−dopa decarbo
xylase)活性の高いこと、神経細胞に特徴的な神
経特異的エノラーゼ(neuron specific
enolase)、クレアチンキナーゼBB活性が高
いことが報告されている。
ているものには神経特異的エノラーゼ(NSE)、カル
シトニン(CT)などがあるが、肺小細胞癌患者の陽性
率は充分なものではない。GRPは、1978年McD
onaldらがブタ胃組織より単離したガストリン分泌
促進作用を有する27個のアミノ酸よりなる脳腸ペプチ
ドである。ヒトGRP遺伝子は1984年にクローニン
グされ、その後、各種の細胞においては、オールターナ
テイブスプライシングによって3種のGRP mRNA
が生成され、活性を有するN端側のGRPの構造は同一
だがC端側構造の異なる3種のGRP前駆体(ProG
RP)が産生されることも明らかにされた。
理活性ペプチドのスクリーニングの過程で、GRPが重
要な産物であり、さらに、肺小細胞癌で産生され得るA
CTH、抗利尿ホルモン(ADH)、カルシトニンなど
を含む多種のペプチドの中でGRPが、最も高頻度にか
つ大量に産生されるペプチドであることを明らかにし
た。そして、肺小細胞癌患者で高頻度に血中GRP濃度
が高値を呈することを証明した。生理活性ペプチドなど
のシグナル伝達物質は、一般にその生体内での濃度を迅
速に調節する必要性から、生体内での半減期が短く、素
早く分解または修飾され、生理活性を失う事が知られて
いる。GRPは生理活性ペプチドであることから、一般
的に血中で不安定なことが予想される。このことが、従
来のGRPを測定する方法が、感度の低さから実用的で
はなかった大きな理由の一つに挙げられる。
は、それが活性を持たないため生体内で素早く分解され
る必要はない。従って、こうしたペプチドは生体内半減
期が長く、そのため比較的高濃度で存在する場合が多
い。GRPの場合、始めProGRPとして生合成さ
れ、このC末端部分が切断され、生理活性を有するGR
Pとなる。従って、GRPとProGRPのC末端部分
は等モル存在することになるが、ProGRPのC末端
部分の分解速度は活性を持つGRPよりも遅いため、P
roGRPのC末端部分の血中濃度はGRPの70倍も
の高濃度で存在する。
; 1831-1838)らはProGRPのC末端部分の42−
53部分の抗血清を取得し、RIA(ラジオイムノアッ
セイ)の系を開発し、肺小細胞癌の有力な癌マーカーと
なりえることを示したが、感度、実用性の面から診断方
法・診断薬としては不十分であった。この方法は大量の
検体を必要とし、そこからの抽出操作が必要であり、抽
出した検体と抗血清と24時間反応させ、次に放射ラベ
ルしたペプチドと48時間反応させてProGRPを測
定している。このように反応時間として、3日間も必要
としたが、その検出限界能は、約10pmol/L、つまり
10fmol/mlであり、健常人を測定することもできず、
臨床応用には容易ではなく、実用に到っていない。
の前駆体のC−末端の不活性領域31−98(ProG
RP(31−98)(配列番号1))に対して生成せし
めたモノクローナル抗体とポリクローナル抗体を用いて
血中のProGRP断片を検出して肺小細胞癌を検出す
る方法が記載されている。しかしながら、本発明者らは
この方法では尿中のProGRP断片を検出することが
難かしいことを発見した。
ることは、測定者側にとっては採血、血球成分の分離と
いった作業が減少され、検体の採取が容易なことから、
患者や検診受診者等の肉体的、精神的負担も大きく減少
する。
細胞癌の存在を正確に反映し、しかも生体内及び尿中で
も比較的安定なProGRP分子形を明らかにし、その
断片を特異的に認識する抗体を用いて、血液だけでなく
尿に対しても使用し得る、高感度で実用的な、肺小細胞
癌検出用キット及び方法を提供しようとするものであ
る。
ストリン放出ペプチド(GRP)の前駆体(ProGR
P)中のC−末端側の不活性領域70−90(本明細書
においてProGRP(70−90)と略す場合があ
る)(配列番号:12)を含む63−98(ProGR
P(63−98)(配列番号:13)に対して特異的に
結合するモノクローナル抗体を一次抗体及び二次抗体と
して使用して血中又は尿中のProGRP断片を測定又
は検出することを特徴とする肺小細胞癌の検出方法を提
供する。
8)(配列番号:13)に対して特異的に結合するモノ
クローナル抗体2種類を含んで成る、上記の方法を実施
するために有用な、肺小細胞癌検出用キットを提供す
る。ProGRP(63−98)(配列番号:13)に
対して特異的に結合するモノクローナル抗体としては、
モノクローナル抗体2B10,3G2,1E2,3H1
等が挙げられ、特に好ましくはハイブリドーマproG
RP−2B10(FERM BP−4110)とにより
生産されるモノクローナル抗体GRP−2B10、ハイ
ブリドーマproGRP−3G2(FERM BP−4
109)により生産されるハイブリドーマGRP−3G
2が挙げられる。測定方法としては、エンザイム・イム
ノ・アッセイ(EIA)が特に好ましい。
て、特異性という点で非常にすぐれている。つまり、抗
血清は、類似の抗原決定基を有する2種のタンパク質と
抗体との間に広範な交叉反応を生じやすいが、モノクロ
ーナル抗体を用いることにより、非特異的なバックグラ
ンドの交叉反応性は大きく減少する。また、モノクロー
ナル抗体は、免疫グロブリンの混入等も少なく精製する
ことが可能であり、このことも特異性を高める要因とな
っている。モノクローナル抗体は、半永久的に安定して
供給することが可能である。
って得ることができる。マウス、ラット等に上記抗原ペ
プチド、例えばProGRP(31−98)を単独で、
あるいはアジュバントと混合して定期的に免疫する。望
ましくは3回以上の免疫の後、例えば脾臓、リンパ節を
摘出し、そのB細胞を適当な骨髄腫細胞と細胞融合させ
る。細胞融合は、例えばKohlerとMileste
inの方法(Nature 256,495−497
1975)により行なうことができる。得られたハイブ
リドーマ細胞を、例えば10%ウシ胎児血清を含むHA
T−RPMI1640培地等の適当な培養液中で培養す
る。培養上清中に産生された抗体を例えばELISA等
で検出することにより、ProGRPに対し特異的に反
応する抗体を産生するハイブリドーマ細胞株を選択し、
クローン化する。
ル抗体は、例えばマウスまたはラット腹腔にハイブリド
ーマ細胞を移植し、得られた腹水から回収することがで
きる。また、ハイブリドーマ細胞の培養上清から回収す
ることもできる。回収したモノクローナル抗体は、硫安
沈殿クロマトグラフィーなどの公知の方法により分離精
製することができる。本発明に用いられた抗血清は、常
法に従って得ることができる。ウシ、ウマ、ヤギ、ヒツ
ジ、ウサギ、ニワトリ、モルモット等に上記抗原ペプチ
ドを単独で、あるいはアジュバントと混合して定期的に
免疫する。望ましくは3回以上の免疫の後、免疫した動
物の血液、卵等を採取し、抗血清や、抗体を含んだ黄卵
を回収することができる。
ラッピングが存在する抗体も好適である。このエピトー
プ−オーバーラッピングは競合性試験を用いて容易に検
出できる。このために、たとえば酵素−イムノアッセイ
を用いて、1抗体と、前記の2つの結合配列の1つを免
疫源として用いて得られた1抗体とが、特定の基質もし
くは特定のエピトープへの結合に関してどの程度競合す
るかを試験する。このために、相応する配列のフラグメ
ントを含有する溶液を、標識された形の本発明により製
造された特定の抗体および過剰の当該抗体と共にインキ
ュベートする。
分離およびこの双方の相の1方中の結合された標識の立
証により、当該モノクローナル抗体が結合から特定の抗
体をどの程度排除できるかを容易に測定することができ
る。105 倍過剰のときの最低50%の排除が得られる
と、エピトープ−オーバーラッピングが存在し、相応す
る抗体は、本発明の方法に使用するために好適である。
定法(RIA)、酵素免疫測定法(EIA)、蛍光免疫
測定法(FIA)などの公知の免疫測定法を構築するこ
とにより、ヒトProGRPを測定することができる。
標識として酵素を使うことは有利である。酵素として
は、ペルオキシダーゼ、アルカリホスファターゼ、およ
びB−ガラクトシダーゼが好適である。酵素の検出は基
質の添加および生じる色の測定によりおこなう。また、
標識に金コロイド粒子のような目視で判別できるものを
用いても有利である。公知の免疫測定法の一つの例とし
て、いわゆる競合免疫測定法の応用が考えられる。
たProGRPを一定量混合し、さらに抗ProGRP
抗体を混合し検体中のProGRP及び標識ProGR
Pと反応させる。検体中のProGRPは、標識Pro
GRPと競合して抗ProGRP抗体と反応するため、
検体中にProGRPが存在する分、標識ProGRP
との反応が減少する。反応後、抗ProGRP抗体をあ
らかじめ固相担体に結合させておくか、抗イムノグロブ
リン抗体、プロテインAと抗ProGRP抗体を反応さ
せることにより、結合、非結合標識ProGRPを分離
する。
い分画を洗い、標識されている放射性同位元素等を検出
する事によりProGRPを測定することが可能とな
る。公知の免疫測定法のもう一つの例として、いわゆる
サンドイッチ系の応用が考えられる。例えば、抗Pro
GRP抗体をマイクロタイタープレート、ビーズ、ニト
ロセルロース膜、ナイロン膜等の免疫測定法に一般に用
いられる担体に結合させ、これを検体と接触させる事に
より、検体中のProGRPを担体上にある抗ProG
RP抗体と反応させる。
い分画を洗い、放射性同位元素、酵素、蛍光物質、ビオ
チン等で標識した抗ProGRP抗体と接触させ、担体
上にある抗ProGRP抗体と結合したProGRPと
反応させる。一般に用いられる方法により結合していな
い分画を洗い、標識されている放射性同位元素、酵素、
蛍光物質、ビオチン等を検出する事によりProGRP
を測定することが可能となる。また、金コロイドのよう
な視覚的に判定可能な物質を前述の抗体の一方に標識を
して、上述のサンドイッチ系又は競合法に応用し、判定
することも可能である。この測定系に用いる抗ProG
RP抗体、標識抗ProGRP抗体は、モノクローナル
抗体、ポリクローナル抗体、またはその組み合わせのい
づれを用いることも可能である。
とProGRPとの複合体が標識抗体と結合できるよ
う、抗体を組み合わせることであり、このような抗体の
組み合わせは、前述の系を組み立て、その系に適用して
みることにより選択することができる。凝集検定も有利
な実施形であり、前述の抗体の1方で被覆された粒子
と、他の抗体で被覆された粒子を作製する。検出すべき
物質への粒子の結合により、凝集がおこり、これは濁り
変化を目視で判定あるいは検出することができる。
合可能である2個のエピトープを含有するProGRP
のペプチドフラグメントの存在を検出することができ
る。このようなフラグメントは主として腫瘍組織内に生
じ、腫瘍細胞から分泌されていると考えられる。このP
roGRP測定系を診断薬として用いることにより、血
液のみならず尿もサンプルとして、検診時等での癌患者
のスクリーニング、癌の性質の特定、および癌治療時の
治療効果モニタリング等に有用な情報が得られる。特
に、検体として尿を用いることは、血液と比較してより
測定者側の作業の減少と、検体の採取が容易なことか
ら、検診時での癌患者のスクリーニングへの応用が期待
される。
的に説明するが、この発明は下記実施例に限定されるも
のではない。例1. 血中又は尿中に存在する抗原決定基の検索(実
施例) ProGRP(31−98)の中で、特に血中及び尿中
に存在する抗原決定基を調べた結果、ProGRP(7
0−90)を含んだProGRP(63−98)部分
は、ProGRP(31−62)(配列番号:10およ
び配列番号:11)の部分に比較して、多量に存在して
いる可能性が高く、ProGRP免疫活性を検出する上
で必要な領域であることを見いだした(表1)。以下に
その解析方法を述べる。
合させた各種ペプチド、すなわち、ProGRP(31
−98)(配列番号:1)、ProGRPのアミノ酸3
1〜52の断片(ProGRP(31−52)(配列番
号:10)と略す場合がある)、ProGRPのアミノ
酸44〜62の断片(ProGRP(44−62)(配
列番号:11)と略す場合がある)又はProGRP
(70−90)(配列番号:12)と、サンプル中の抗
原が、そのペプチドに対する抗体を加えたとき、競合的
にその抗体と結合反応を起こすので、その結果として固
相化したペプチドと反応した抗体量を検出する。もしサ
ンプル中の抗原の、固相化ペプチドに対応する領域が、
サンプル中で抗原抗体反応をおこなえるように、変性や
切断、そしてマスキング等なく露出あるいは保存されて
おれば、ProGRPを検出する上で非常によいエピト
ープとなるはずである。
1)をキャリアー蛋白質として、サイログロブリンに結
合させ、リン酸緩衝液pH7.4に溶解し、1.0mg/ml
とし等量のフロイント完全アジュバントと混合し懸濁さ
せた。ニュージーランドホワイト種、ジャパニーズホワ
イト種ウサギに1匹あたりProGRP(31−98)
100μg含有分を免疫した。その後、10日毎にPr
oGRP(31−98)を100μg含有分で6回免疫
を繰り返した。高い抗体価を認めたウサギの採血をする
ことにより、抗血清を得た。
プレートウエルに、各種血清、尿サンプルまたはスタン
ダード液を50μlずつ加えた。ただちに、反応緩衝液
で希釈した上述のウサギ抗ProGRP(31−98)
抗血清を150μl添加して、4℃で一晩反応させた。
洗浄液で5回洗浄後、ペルオキシダーゼ標識抗ウサギI
gGを添加して室温で1時間反応させた。洗浄液で5回
洗浄後、オルトフェニレンジアミンを基質として酵素反
応を室温で1時間反応させ、硫酸を添加して反応停止さ
せた。492nmの吸光度を測定し、スタンダードの吸光
度から検量線を作製した後、サンプル中のProGRP
抗原活性を検出した。10例の肺小細胞癌患者血清ある
いは1例の肺小細胞癌患尿中で実施した。各ペプチドの
スタンダード検量線を図1及び図2に示し、結果を表1
に示す。
は、3種のペプチドの抗原性はほぼ均等でありProG
RP(31−98)と比較しても大きな差は認められな
かった。血清4や5は、ProGRP(31−98)に
比較してProGRP(31−52)及びProGRP
(44−62)はほぼ同じ量の抗原性が認められたが、
ProGRP70−90はその約2倍量の活性が認めら
れた。血清6・7および8は、ProGRP(31−5
2)の抗原性がかなり失われているが、ProGRP
(44−62)及びProGRP(70−90)の抗原
性は比較的保持されていた。血清10例の結果から、P
roGRP(31−62)の部分よりもProGRP
(70−90)の部分を含んだ領域がよく抗原性が保持
されており、ProGRP(31−98)に対して約1
38%であった。
(70−90)を含んだ領域の抗原性が多量に存在して
おり、ProGRP(31−52)及びProGRP
(44−62)はほとんど存在しなかった。特に、Pr
oGRP31−52は血清7,8及び尿1において、P
roGRP(31−98)の抗原活性の約10%以下で
あり、ProGRP免疫活性の検出のためには、Pro
GRP(31−52)以外の部分に対する抗体をもちい
ることが望ましい。
分泌されてから循環中に様々な影響によって分解・修飾
をうけ、そのうちProGRP(70−90)を含んだ
領域は、他の部分よりも安定的に保存される検体が多
く、腎からそのまま排出されるが、N端側は生体内でな
んらかの影響で分解等を受け、腎からはほとんど免疫活
性を失ってから排出されていくと考えられる。以上の結
果から、ProGRPを測定する場合、血液及び尿を検
体としたときは、ProGRP(31−62)以外の、
ProGRP(70−90)を含むProGRP(63
−98)領域に結合しうる抗体またはレセプターを用い
ることが重要と判明した。
例) 後記の例1により得たProGRP(31−98)(配
列番号:1)をキャリアー蛋白質として、サイログロブ
リンに結合し、リン酸緩衝液(pH7.4)(PBS
(−))に溶解し、1.0mg/mlとし、等量のフロイン
ド完全アジュバンドと混和し、懸濁させた。得られた懸
濁液の前記ProGRP(31−98)0.01〜0.
05mg含有分を4〜6週令のBALB/C系マウスに腹
腔内投与した。約12週間後、免疫化動物に前記と同じ
濃度のProGRP(31−98)のPBS(−)溶液
0.01〜0.03mg含有分を尾静脈内に投与し、投与
3日後、免疫動物より無菌的に脾臓を摘出した。
にほぐし、RPMI−1640培地で3回洗浄し、8−
アザグアニン存在下で数日間培養し、復帰突然変異体を
完全に除いた、対数増殖期のマウス骨髄腫細胞株P3×
63Ag8〔Nature256,495−497(1
975)〕を前記と同様に洗浄後、その1.1×107
個と、前記脾臓細胞1.4×108 個とを、混合した。
200×g、5分遠心後、上清除去し、37℃に保温し
た50%PEG4000(Merck)含有RPMI−
1640培地1mlを加え、細胞融合させた。
た後、96穴マイクロプレートを用いて、ヒポキサンチ
ン、アミノブテリン及びチミジン(以下HATと略す)
を含む、15%FCS(牛胎児血清)含有RPMI−1
640培地中で1〜2週間培養してハイブリドーマのみ
を増殖させた。その後HATを含まない培地中で成育さ
せ、約2週間後、目的の抗体を産生するクローンを以下
に示すELISA法により検索し、所望の反応特異性を
有する本発明のモノクローナル抗体を産生するハイブリ
ドーマを得た。
衝液pH7.4(PBS)に溶解し、濃度1μg/mlとし
たものを、96穴マイクロプレートの各ウエルに50μ
lずつ分注し、4℃で一晩、もしくは室温1時間以上で
吸着させた。吸着後、0.05%Tween−20含有
PBS(−)(T−PBS)で3回洗浄し、1%BSA
含有PBS(−)を1ウエル200μlずつ分注し、室
温で1時間処理した。1%BSA含有PBS(−)を除
き、ハイブリドーマ培養上清、また粗製または精製モノ
クローナル抗体等を各々50μlずつウエルに加え、室
温で1時間反応させた。
SA、1%ポリビニルピロリドン、0.05%Twee
n−20含有PBS(−)で5000倍に希釈した酵素
標識抗マウスIq(G+M)抗体(Jackson社)を1ウエ
ルにつき50μl加え、室温で30分間反応させた。未
反応抗体をT−PBSで4回洗浄することにより除き、
オルトフェニレンジアミン溶液(和光純薬)を1ウエル
に50μlずつ加え、反応させ、室温20分後、2N硫
酸溶液で反応を停止させ、波長492nmにおける吸光度
を測定した。
1E2,ProGRP−3D6,proGRP−2B1
0,proGRP−3H1,及びproGRP−3G2
と命名し、この内ハイブリドーマproGRP−2B1
0及びproGRP−3G2はそれぞれ微工研条寄第4
110号(FERM BP−4110)及び微工研条寄
第4109号(FERM BP−4109)として工業
技術院微生物工業技術研究所にブダペスト条約に基き1
992年12月9日に寄託された。
ed社)を用いた二重免疫拡散法により、これらのハイブ
リドーマの産生するモノクローナル抗体のイソタイプ
は、GRP−1E2,GRP−2B10及びGRP−3
G2がIgG1,GRP−3D6はIgG2b,GRP
−3H1はIgMであることが明らかとなった。なお、
proGRPとはGRP前駆体を意図する。上記の方法
により得たハイブリドーマproGRP−2B10,P
roGRP−3G2,ProGRP−3D6,proG
RP−1E2及びproGRP−3H1の1つをマウス
の腹水に接種し、その腹水から、プロテインAカラム、
ゲルろ過カラム又はプロテインGカラムを用いて純度9
0%以上に精製して、それぞれモノクローナル抗体GR
P−2B10,GRP−3G2,GRP−3D6,GR
P−1E2,GRP−3H1を得た。
るモノクローナル抗体のスクリーニング(実施例) 各種ペプチドを固相化したマイクロプレートに各種モノ
クローナル抗体を一定量添加し、反応させた。洗浄後、
ペルオキシダーゼ結合抗マウスIg(G+M)を添加し
て一定時間反応させた。洗浄後、オルトフェニレンジア
ミンを基質として酵素反応を室温で30分間反応させ、
硫酸を添加して反応停止させ、ただちに492nmの吸光
度を測定した。その結果を表2のAに示す。モノクロー
ナル抗体が認識するペプチドと反応すればシグナルは高
くなり、反応しなければ低い反応性を示すこととなる。
表2のAからモノクローナル抗体2B10,1E2,3
G2及び3H1はProGRP(70−90)を、モノ
クローナル抗体3D6はProGRP(44−62)を
認識することがわかった。また、これらの結果を確認す
るため、以下の方法でペプチド阻害試験をおこなった。
プチド5μg/mlと室温で2時間インキュベーションし
た。その反応液を、ProGRP(31−98)を固相
化したマイクロプレートに添加し、室温で1時間反応さ
せることにより、モノクローナル抗体は液相中ペプチド
と固相化したProGRP(31−98)と競合的に反
応する。洗浄後、ペルオキシダーゼ結合抗マウスIg
(G+M)を添加して一定時間反応させて、固相化した
ProGRP(31−98)に結合したモノクローナル
抗体と反応させた。
として酵素反応を室温で30分間反応させ、硫酸を添加
して反応停止後、ただちに492nmの吸光度を測定し
た。ペプチドと無処理のものを各々のモノクローナル抗
体のコントロールとして、その結果を図3に示した。モ
ノクローナル抗体が認識するペプチドと反応すればシグ
ナルは低くなり、反応しなければ固相化したProGR
P(31−98)と反応してシグナルは高くなる。表2
のBから、モノクローナル抗体2B10はGRP(70
−90)のペプチドで阻害が認められ、前述と同じ結果
となった。同様にモノクローナル抗体1E2,3G2及
び3H1もProGRP(70−90)をエピトープに
もつと考えられる。
でスクリーニングしてきた2B10,1E2,3G2及
び3H1は確かにProGRP(70−90)の内部を
認識していることが確認された。
出(実施例) 3G2を吸着させたマイクロプレートの各ウエルに反応
溶液を100μlずつ加えてから、検体または希釈した
各スタンダードを100μlを加えた。室温中で、2時
間撹拌しながら反応させた。各ウエルを約350μlの
洗浄液で5回洗浄した。ペルオキシダーゼ標識2B10
溶液を200μl加え、室温(20〜30℃)で60分
間反応させた。各ウエルを約350μlの洗浄液で5回
洗浄した。オルトフェニレンジアミン基質溶液200μ
lを加えて、暗所、室温で60分間静置後反応停止液5
0μlを加えた。マイクロプレートリーダーを用いて、
ブランクウエルを対照として(波長492nm、2波長の
場合は副波長600〜700nm)の吸光度を測定した。
各種濃度のProGRPスタンダードの吸光度(図3)
から、各々の血清及び尿検体のProGRP濃度(pg/
ml)を求めた。その結果を表3及び表4に示す。
は肺小細胞癌の診断に有用であり、かつ、表4から、尿
中のProGRP免疫活性をも測定することが可能であ
り、健常人と比較して、有意に肺小細胞癌患者尿中で多
量に存在することがわかった。
例) モノクローナル抗体2B10及び3G2を混合吸着させ
たマイクロプレートの各ウエルに反応溶液(1%BS
A,0.05%Tween20,0.5M NaClを
含むリン酸緩衝液pH7.0)を100μlずつ加えてか
ら、血清検体、または希釈した各スタンダードを50μ
lを加えた。プレートをふらん器に入れ37℃で60分
間反応させた。各ウエルを約350μlの洗浄液(0.
05%Tween20を含むリン酸緩衝液pH7.3)で
5回洗浄した。ペルオキシダーゼ標識抗ProGRPウ
サギIgG溶液を100μl加え、室温(20〜30
℃)で30分間反応させた。各ウエルを約350μlの
洗浄液で5回洗浄した。オルトフェニレンジアミン基質
溶液100μlを加えて、暗所、室温で30分間静置
後、反応停止液(2N硫酸)100μlを加えた。
ンクウエルを対照として(波長492nm、2波長の場合
は副波長600〜700nm)の吸光度を測定した。各種
濃度のProGRPスタンダード(ProGRP(31
−98))の吸光度から、各々の検体のProGRP濃
度(pg/ml)を求めた。スタンダードから得られた標準
曲線を図4に示し、血清検体の測定結果を次の表5に示
す。例4(実施例)において使用したのと同じ尿検体を
上記の方法により測定した結果を表6に示す。
者血清及び尿検体を測定したところ、一次抗体としてモ
ノクローナル抗体を使用し、二次抗体としてポリクロー
ナル抗体を使用した場合、血清検体では肺小細胞癌で有
意に高値を示し、健常人血清、肺の良性疾患では、ほと
んど低値を示すことが判明したが、尿検体の分析は困難
であった。
疫活性のゲルろ過解析(実施例) 血清または尿100μlを、炭酸緩衝液pH8.0で膨潤
させたSuperdex30pg(1×50)カラムに添
加し、溶出画分を実施例5の測定法で免疫活性を測定し
た。その結果を図5に示す。この結果から、実施例5の
測定法における血清の免疫活性は、フラクションNo.2
1−22にメインピークをもち、そのピークの低分子側
に分解産物と予想されるピークの肩が確認された。
のピークは認められず、血清で分解産物と予想されたピ
ークのみを、フラクションNo.25−26の付近に認め
た。これらの結果から、主に血液中では、分子量100
00−12000前後の蛋白として存在し、生体内を循
環中に部分分解をおこし、分解したものがすみやかに尿
中に排出されるということが予想された。そして、その
尿中の分解産物は、主にProGRP(70−90)を
含んだ分子量2500−7000前後のものが多く含ま
れていると考えられる。
作製 (1)クローニングベクターの構築 図1に示す通り、ProGRP遺伝子を約60塩基対か
ら成るDNAフラグメントに分割し、それぞれをホスホ
アミダイト法により合成した。
フィーにより精製し、T4リガーゼによる酵素反応によ
りProGRP遺伝子を得た。得られた遺伝子の5′−
及び3′−末端はそれぞれ制限酵素EcoRI部位及び
SalI部位を持ち、EcoRI及びSalIで消化し
たクローニングベクターpUC9に挿入した。これを用
い大腸菌JM107株を形質転換し、40μg/mlのア
ンピシリン、IPTG及びX−gal存在下、L培地に
て一晩培養し、候補株を得た。
後、サンガー法により挿入遺伝子の塩基配列を調べ、設
計した通りの遺伝子配列を持つことを確認した。この目
的とするProGRPを含むクローニングベクターを持
つ菌をpUC−GRP(31−98)/JM107と命
名した。
酵素EcoRI,SalIで消化し、約220塩基対の
ProGRP遺伝子断片を抽出し、別途、制限酵素Ec
oRI,SalIで消化した発現ベクターpAT−Tr
pE−TGF−αの大断片とT4リガーゼを用いて結合
した。これを用い大腸菌HB101株を形質転換し、4
00μg/mlのアンピシリン存在下、L培地にて一晩培
養し、候補株を得、これをpAT−TrpE−GRP
(31−98)/HB101株とした。
RP(31−98)/HB101株について培養を行な
い組換えタンパク質の発現を調べた。pAT−TrpE
−GRP(31−98)/HB101を40μg/mlの
アンピシリンを含む32mlのL培地中で一晩培養した
後、3.21の0.5%カザミノ酸を含むM9培地に接
種し、37度で培養し、600nmにおける吸光度が0.
4になるまで培養したところでインドールアクリル酸を
最終濃度30μg/mlになるように加え、さらに20時
間培養を継続した後、遠心分離により10gの菌体を集
めた。集めた菌体を2mg/mlのリゾチーム、2mM ED
TA及び100mMトリス−塩酸緩衝液(pH8.0)を含
む溶液中に懸濁し、0度、30分間放置した。さらに超
音波処理を行ない菌体を粉砕した後、遠心操作により不
溶性画分である沈殿を得た。
可溶化し、遠心分離により上清を集め、DEAEトヨパ
ール(TOSO社製)カラムクロマトグラフィーにより分離
精製した(溶出液:A:20mMトリス塩酸/6M尿素
(pH8.0)B:0.5MNaCl/溶出液A(pH8.
0)、グラジエント濃度:AからBを直線勾配/300
分、カラム:φ1.6×40cm、流速1ml/分)。溶出
画分を集め、透析、凍結乾燥を行ない、臭化シアンによ
りTrpE部分を切断、除去した。これは、70%ギ酸
中にタンパク質濃度が1%になるように発現組成物を加
え、臭化シアンを100当量加え、37度で24時間放
置することにより行なった。
(溶出液;A:0.1%トリフルオロ酢酸/水、B:6
0%アセトニトリル−0.1%トリフルオロ酢酸/水)
により精製を行ない、30mgのProGRP(31−9
8)のタンパク質を得た。このものの純度は逆層カラム
クロマトグラフィー及びSDS−ポリアクリルアミドゲ
ル電気泳動法により単一のものであることを確認した。
またペプチドシーケンサーによるアミノ酸配列決定によ
り目的とするProGRP配列を有していることを確認
した。
1−98)又はProGRP(31−52)と液相中の
種々の濃度のProGRP(31−98)とを抗−Pr
oGRP(31−98)ポリクローナル抗体に対して競
争させた場合の、ProGRP(31−98)の濃度と
固相に捕捉された該ポリクローナル抗体との関係を示す
グラフである。
P(44−62)又はProGRP(70−90)を用
いた場合の図1と同様の結果を示すグラフである。
し、二次抗体としてペルオキシダーゼ標識2B10抗体
を用いてELISA法によりProGRP(31−9
8)を測定した場合の標準曲線を示すグラフである。
2の混合物を固相化し、二次抗体としてペルオキシダー
ゼ標識抗ProGRP(31−98)抗体を用いてEL
ISA法によりProGRP(31−98)を測定した
場合の標準曲線を示すグラフである。
のゲル濾過における溶出パターンを、ProGRP(7
0−90)に対して特異的に反応する2種類のモノクロ
ーナル抗体を用いて観察した結果を示すグラフである。
Claims (4)
- 【請求項1】 ヒトガストリン放出ペプチド(GRP)
の前駆体(ProGRP)中のC−末端側の不活性領域
63−98(ProGRP(63−98))(配列番
号:13)に対して特異的に結合するモノクローナル抗
体を一次抗体及び二次抗体として使用して血中又は尿中
のGRP断片を測定又は検出することを特徴とする肺小
細胞癌の検出方法。 - 【請求項2】 ProGRP(63−98)(配列番
号:13)に対して特異的に結合するモノクローナル抗
体2種類を含んで成る、請求項1に記載の方法を実施す
るための肺小細胞癌検出用キット。 - 【請求項3】 ヒトガストリン放出ペプチド(GRP)
の前駆体(ProGRP)中のC−末端側の不活性領域
70−90(ProGRP(70−90))(配列番
号:12)に対して特異的に結合するモノクローナル抗
体を一次抗体及び二次抗体として使用して血中又は尿中
のGRP断片を測定又は検出することを特徴とする肺小
細胞癌の検出方法。 - 【請求項4】 ProGRP(70−90)(配列番
号:12)に対して特異的に結合するモノクローナル抗
体2種類を含んで成る、請求項3に記載の方法を実施す
るための肺小細胞癌検出用キット。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP7341834A JP2925479B2 (ja) | 1995-12-27 | 1995-12-27 | 肺小細胞癌検出薬及びその使用 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP7341834A JP2925479B2 (ja) | 1995-12-27 | 1995-12-27 | 肺小細胞癌検出薬及びその使用 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH09178742A JPH09178742A (ja) | 1997-07-11 |
JP2925479B2 true JP2925479B2 (ja) | 1999-07-28 |
Family
ID=18349118
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP7341834A Expired - Lifetime JP2925479B2 (ja) | 1995-12-27 | 1995-12-27 | 肺小細胞癌検出薬及びその使用 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2925479B2 (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
EP1916256A2 (en) | 2001-09-25 | 2008-04-30 | JAPAN as represented by PRESIDENT OF NATIONAL CANCER CENTER | Search for cancer markers by a novel screening method |
Families Citing this family (2)
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---|---|---|---|---|
JP2007127472A (ja) * | 2005-11-02 | 2007-05-24 | Osaka Prefecture | グリシル化ガストリン(glycine−extendedgastrin)の分析方法 |
CN108982858B (zh) * | 2018-07-05 | 2021-06-15 | 陕西师范大学 | 一种基于单克隆抗体检测人proGRP的双夹心ELISA试剂盒 |
-
1995
- 1995-12-27 JP JP7341834A patent/JP2925479B2/ja not_active Expired - Lifetime
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EP1916256A2 (en) | 2001-09-25 | 2008-04-30 | JAPAN as represented by PRESIDENT OF NATIONAL CANCER CENTER | Search for cancer markers by a novel screening method |
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