JPH0750115B2 - ヒト酸性グルタチオンs―トランスフェラーゼの測定方法 - Google Patents

ヒト酸性グルタチオンs―トランスフェラーゼの測定方法

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JPH0750115B2
JPH0750115B2 JP63268292A JP26829288A JPH0750115B2 JP H0750115 B2 JPH0750115 B2 JP H0750115B2 JP 63268292 A JP63268292 A JP 63268292A JP 26829288 A JP26829288 A JP 26829288A JP H0750115 B2 JPH0750115 B2 JP H0750115B2
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【発明の詳細な説明】 (イ) 産業上の利用分野 本発明は、例えば、悪性腫瘍特に消化器系癌の診断に用
いることができる、ヒト・酸性グルタチオンS−トラン
スフェラーゼ(酸性GST)を免疫学的に測定する方法、
それに用いる測定試薬及びキットに関する。
(ロ) 従来の技術 GSTは、生体に侵入する各種物質あるいは生体内で生じ
る代謝物質と還元型グルタチオンとの抱合反応を触媒す
る解毒酵素として知られている。すわち、これらの物質
の多くは、生体内の蛋白質や核酸などと反応して種々の
病変(例えば発癌)の原因になるものであるが、これら
の物質の反応性はグルタチオン抱合により中和され、よ
り水溶性の生成物となり肝臓などで代謝され、最終的に
は対外に排泄される。
GSTは哺乳動物を含む多くの生物種に存在しており、特
に肝臓の細胞質に多く、その他脾臓,腎臓,脳,骨格
筋,睾丸,小腸等に広く分布し、胎盤や赤血球からも特
殊な分子種が分離されている。一般にGSTは多種の酵素
からなっており、種特異性があるだけでなく臓器又は組
織特異性も有している。
ヒトの場合は塩基性GSTと酸性GSTが知られている(J.Bi
ol.Chem.,259 12444(1984))。
塩基性GSTは等電点(pI)が7〜9で、2つのサブユニ
ットから成り、各サブユニットの分子量は約23,000であ
る。酸性GSTは等電点(pI)が4〜5で、2つのサブユ
ニットから成り、各サブユニットの分子量は約22,000で
ある。
塩基性GSTはα,β,γ,δ,εの5つの分子種が知ら
れており、いずれも主として健常な成人の肝臓に存在
し、その他腎臓,睾丸,小腸,脳,肺臓等にも存在す
る。一方、酸性GSTは胎盤に存在するπ,赤血球に存在
するρが知られており、健常な成人の肺臓には殆んど存
在せず、胎児の肝臓,胎盤,肝癌細胞,胃癌細胞等の増
殖性細胞に存在する。そして、これら増殖性細胞が産生
する酸性GSTは血中に遊離してくるので、肝癌,胃癌,
大腸癌,食道癌,膵臓癌等の消化器癌等に特異性の高い
腫瘍マーカーとして利用できる可能性がある。
従って、酸性GSTを測定すれ試みとして、ポリクローナ
ル抗体を用いる方法、あるいは2種のモノクローナル抗
体を用いて極めて高い特異性でヒト・酸性GSTを測定す
る方法(WO 87/03377号明細書参照)が行なわれてい
る。
(ハ) 発明が解決しようとする課題 しかしながら、ポリクローナル抗体を用いたヒト・酸性
GSTの測定においては、アイソザイムの多い酵素故に特
異性の面で必ずしも十分に高いとは云い難い場合があ
り、また2種のモノクローナル抗体を用いたヒト・酸性
GSTの測定方法においては、抗原の特定部以外とは反応
しないと云うモノクローナル抗体の特性故に抗原と親和
性が必ずしも十分に高くない場合があり、より高い特異
性及び高い感度でヒト・酸性GSTを測定することができ
る免疫学的測定方法が望まれていた。
(ニ) 課題を解決するための手段 そこで本発明者らは、かかる従来技術の課題に鑑みて、
ヒト・酸性GSTを高特異性かつ高感度で測定し得る測定
方法,測定試薬及びキットを開発するべく鋭意検討した
結果、抗原との親和性が高いヒト・酸性GSTを特異的に
認識するポリクローナル抗体と、ヒト・酸性GSTを特異
的に認識するモノクローナル抗体とを組み合わせること
により、高特異性及び高感度でヒト・酸性GSTを測定し
得ることを知見し本発明に到達した。
すなわち本発明は、 (1) 不溶性担体に結合した抗体と標識抗体とを用い
てヒト・酸性グルタチオンS−トランスフェラーゼの免
疫学的測定を行なうに際し、いずれか一方の抗体として
ヒト・酸性グルタチオンS−トランスフェラーゼに対す
るポリクローナル抗体を用い、他方の抗体としてヒト・
酸性グルタチオンS−トランスフェラーゼを特異的に認
識するモノクローナル抗体を用いることを特徴とするヒ
ト・酸性グルタチオンS−トランスフェラーゼの免疫学
的測定方法、 (2) 上記(1)のヒト・酸性グルタチオンS−トラ
ンスフェラーゼの免疫学的測定方法に使用する、ポリク
ローナル抗体とモノクローナル抗体の二種類の抗体を組
み合わせてなる測定試薬、及び (3) 上記(2)の二種類の抗体を組み合わせてなる
測定試薬と、これに(a)溶解剤,(b)洗浄剤及び
(c)酵素で標識化した抗体を用いる場合には、(c)
酵素活性を測定するための基質及びその反応停止剤を組
合せてなるヒト・酸性グルタチオンS−トランスフェラ
ーゼの免疫学的測定用のキット である。
一般に抗原の2つの異なる部位に結合する抗体を用いて
抗原の有無又はその量を測定する方法は、サンドイッチ
法と呼ばれ、例えばワイド(Wide)の「放射線免疫検定
法(Radioimmunoassay Methods)」199〜206(1970)に
記載されている。
本発明のヒト・酸性GSTの免疫学的測定方法において
は、抗原の2つの異なる部位に結合する2種類の抗体と
して、ヒト・酸性GSTに対するモノクローナル抗体とポ
リクローナル抗体を使用し、そのモノクローナル抗体と
してはヒト・酸性GSTを特異的に認識して結合し得るモ
ノクローナル抗体を使用し、好ましくはヒト・酸性GST
のうちヒト胎盤由来グルタチオンS−トランスフェラー
ゼ(GST−π)分子のN端から44残基までのシーケンス
を有するフラグメントを認識するモノモノクローナル抗
体、またはGST−π分子のN端176残基から209残基(C
端)までのシーケンスを有するフラグメントを認識する
モノクローナル抗体を使用し、ポリクローナル抗体とし
てはヒト・酸性GSTに対する抗ヒト・酸性GST抗血清の抗
体成分好ましくはGST−π分子のN端92残基から209残基
(C端)までのシーケンスを主に認識するポリクローナ
ル抗体を使用する。
このことにより、サンドウィッチ免疫測定法で高感度が
期待される、‘抗原認識部位の異なる2つの抗体を用い
る’という条件が本測定法において満たされる異にな
る。その証明として、GST−π分子を家兎に免疫して得
られる抗体は、実施例1の中で示されるごとく、GST−
πのブロムシアン分解ペプチドの中でN端92残基からN
端209残基(C端)までのシーケンスを有するフラグメ
ントを主に認識することにより、N端からN端44残基を
認識するモノクローナル抗体と、抗原認識部位が明らか
に異なる。
また、参考例1で得られた6Aが認識するフラグメントA
176Leu−209Gln]を固定化し、固定化フラグメントA
によるポリクローナル抗体吸収実験の結果、ポリクロー
ナル抗体がほとんど吸収されないことから、このポリク
ローナル抗体は、GST−πのN端176残基209残基を認識
するモノクローナル抗体とも、抗原認識部位が異なる事
が示されたことになる。
本発明において使用される標識抗体をF(ab′)分画
またはFab′に変換させることにより、さらに高感度な
測定系が達成でき、本発明の目的にさらに近づくことと
なる。
次に本発明によるヒト・酸性GSTの免疫学的測定方法、
それに用いる測定試薬及びキットを具体的に説明する。
ヒト・酸性GSTの免疫学的測定方法; ヒト・酸性GSTに対するポリクローナル抗体(第1抗
体)を適当な不溶性担体(例えばプラスチック容器)に
固定化する(以下これを“固定化抗体”という)。つい
で不溶性担体と測定しようとする試薬又は検体試料との
非特異的結合を避けるために適当な物質(例えば牛血清
アルブミン)で不溶性担体の表面を被覆する。
このようにして得られた第1抗体が固定化された不溶性
担体を検体試料と一定時間及び温度で接触させ反応させ
る。この間に固定化抗体(第1抗体)と検体試料中のヒ
ト・酸性GSTが結合する。ついで適当な洗浄液で洗った
後、適当な標識物質(例えば酵素)で標識したヒト・酸
性GSTに対するモノクローナル抗体(第2抗体)の溶液
(例えば水溶液)を、不溶性担体における固定化抗体に
結合したヒト・酸性GSTと一定時間及び温度で接触させ
第2抗体と反応させる。これを適当な洗浄液で洗い、次
いで不溶性担体上に存在する第2抗体に標識された標識
物質の量を測定する。
なお上記反応は、固定化抗体,標識抗体及びヒト・酸性
GSTを含有する検体試料を同時に混合し、一定時間及び
温度でこれら三者を同時に接触させて反応させることも
できる。
かくしてその値から検体試料中のヒト・酸性GSTの量を
算出することができる。
測定試薬及びキットの構成 ヒト・酸性GSTの免疫学的測定用の測定試薬は、上述し
た不溶性担体に結合した抗体と、標識抗体とからなる。
また、ヒト・酸性GSTの免疫学的測定用のキットは、上
述の測定試薬と、これら測定試薬を能率よく且つ簡便に
利用するための補助剤として、例えば固体状の試薬又は
液状の検体を溶解させるための溶解剤,不溶性担体に非
特異的に結合した抗原,抗体を洗浄するために使用され
る洗浄剤,及び酵素で標識化した抗体を用いる場合に
は、酵素活性を測定するための基質及びその反応停止
剤,その他の免疫学的測定用のキットとして通常使用さ
れるものが挙げられる。
本発明のヒト・酸性GSTの免疫学的測定方法等に使用さ
れる不溶性担体としては、例えばポリスチレン,ポリエ
チレン,ポリプロピレン,ポリエステル,ポリアクリル
ニトリル,弗素樹脂,架橋デキストラン,ポリサツカラ
イドなどの高分子、その他紙,ガラス,金属,アガロー
ス及びこれらの組合せなどを例示することができる。
また不溶性担体の形状としては、例えばトレイ状,球
状,繊維状,棒状,盤状,容器状,セル,試験管などの
種々の形状であることができる。
また、標識抗体の標識物質としては、酵素,螢光物質,
発光物質及び放射性物質等を使用するのが有利である。
酵素としては、ペルオキシダーゼ,アルカリフォスファ
ターゼ,β−D−ガラクトシダーゼ、螢光物質としては
フルオレッセインイソチオシアネート,フイコビリプロ
テイン等、発光物質としてはイソルシノール,ルシゲニ
ン等、そして放射性物質としては125I,131I,14C,3H等を
用いることができるが、これらは例示したものに限ら
ず、免疫学的測定法に使用し得るものであれば、他のも
のでも使用できる。
標識剤が酵素である場合には、その活性を測定するため
に基質、必要により発色剤が用いられる。
酵素としてペルオキシダーゼを用いる場合には、基質と
してH2O2を用い、発色剤として2,2′−アジノジ−[3
−エチルベンズチアゾリンスルホン酸]アンモニウム塩
(ABTS),5−アミノサリチル酸,O−フェニレンジアミ
ン,4−アミノアンチピリン,3,3′,5,5′−テトラメチル
ベンジン等、酵素にアルカリフォスァターゼを用いる場
合は基質としてO−ニトロフェニルフォスフェート等、
酵素にβ−D−ガラクトシダーゼを用いる場合は基椎と
してフルオレセイン−ジ−(β−D−ガラクトピラノシ
ド),4−メチルウンベリフェニル−β−D−ガラクトピ
ラノシド等を用いることができる。
本発明のポリクローナル抗体は、従来公知の方法でヒト
・酸性GSTを抗原として動物に免疫して得られる抗ヒト
・酸性GST抗血清の抗体成分として得られるものが挙げ
られる。なかでも例えば山羊抗ヒト・酸性GST−ポリク
ローナル抗体,兎抗ヒト・酸性GST−ポリクローナル抗
体等が好ましく挙げられる。また好ましくは、抗原のア
フィニティ精製ポリクローナル抗体が挙げられる。
本発明に使用されるモノクローナル抗体(そのフラグメ
ントを含む)及びその製造方法については、先に出願さ
れた特願昭60−259858号(昭和60年11月21日出願:発明
の名称“グルタチオンS−トランスフェラーゼに対する
モノクローナル抗体及びその製造法”)の特許出願明細
書に詳細に説明されている。F(ab′)の作成につい
ては、ペプシンを用いる従来の方法で良い。
(ホ) 発明の効果 本発明により、血清中などに存在するヒト・酸性GSTを
高い特異性及び高い感度で容易に測定することができる
と共に、ヒト・酸性GSTを正確かつ迅速に測定し得る測
定試薬及びキットが提供される。
(ヘ) 実施例 以下、実施例により本発明を詳述する。実施例中の%は
重量%を意味する。
参考例1 (1) 酸性GST(GST−π)の分離精製 ヒト胎盤を0.25Mシュークロス,10mMリン酸緩衝液(pH7.
4)中で細切りした後、ホモジナイザーでホモナイズし
た。得られたホモジネートを、10,000xgで4℃において
30分間延伸分離し、上清を採取した。次いで、この上清
を、更に100,000xgで4℃において1時間延伸分離を行
なって、上清を採取した。この上清を10mMリン酸緩衝液
(pH6.8)を用いて透析した後、透析内液をこの緩衝液
で平衡化したCMセルロース充填カラムに通じて、非吸着
分画を採取した。次に、この分画を還元型グルタチオン
固定セファロースを充填したカラムに通じて、酸性GST
を吸着させた後、10mMリン酸緩衝液(pH7.4)でカラム
を洗浄し、流出液の紫外吸収スペクトルにおける280nm
の吸収強度が0.02以下になった時点で、還元型グルタチ
オン含有トリス緩衝液(pH8.0)をカラムに通液して、
吸着物を溶出させた。この溶出液を限外濾過した後、10
mMリン酸緩衝生理的食塩水(PBS)(pH7.4)を用いて、
セファデックスG−100(フアルマシア社)カラムによ
りゲル濾過することによって、酸性GSTを含有する画分
を得た。この画分を、再度限外濾過により濃縮した後、
等電点電気泳動カラム(LKB社製)を用い、濃度勾配作
成にシュークロースを、pH勾配作成にアンフォライン
(ファルマシア社製:pH3.5〜10)を使用してカラム等電
点電気泳動(pH3.5〜10)を行ない、精製したGST−πを
含有する画分を得た。
(2) 抗体の作製 前記の如くしてヒト胎盤から抽出,採取したGST−π
を、フロイント完全アジュバンドに乳化し、7週齢のBA
LB/Cマウスの腹腔に100mg/匹の量を投与した。そして、
15日後に、マウスに追加免疫を初回と同様の方法で行な
った。次に、10日後に血中に抗体量が増大したことを確
認して、更に7日後に抗原を100mg/匹の量で静注により
投与した。
一方、15%の牛胎児血清を添加したRPMI1640(ギブコ社
製)で、ミエローマ細胞P3−X63−Ag8−U1を維持培養し
ておいた。最終免疫の3日後、マウスから摂取した脾臓
細胞とP3U1を、Oi等の方法(Selective methods in cel
lular immunology 1980,351〜372,参照)によりポリエ
チレングリコール4000を用い細胞融合させ、96穴マイク
ロプレートにまいた。細胞融合後、培地を100μMヒポ
キサンチン,0.4μMアミノプテリン,16μMチミジンを
添加したRPMI培地(HAT培地)に置き換えた。HAT培地で
培養中2〜3週間で脾臓細胞とミエローマ細胞のハイブ
リドーマのみが生育した。ハイブリドーマの培養液中の
抗体活性を、以下に述べるELISAで調べた。
(3) 抗体のスクリーニング GST−πをELISA用のプレートに付着させ、10mMリン酸生
理食塩水(pH7.4)に3%(W/V)の牛血清アルブミン
(BSA)を添加した液でブロッキングを行なった。ブロ
ッキング後、ハイブリドーマ培養液50mlをELISAプレー
トに添加し、室温で2時間放置した。その後、ハイブリ
ドーマ培養液を除去して洗浄した後、ペルオキシダーゼ
標識山羊抗マウスIgG−Fc特異抗体(2mg/ml)100mlを添
加し、3℃で1.5時間反応させた。更に、この酵素標識
抗体溶液を除去した後、洗浄し、0.05%2,2′−アジノ
ジ−[2−エチルベンツチアゾリンスルフォネート
(3)](ABTS),0.0034%H2O2,0.1Mクエン酸緩衝液
(pH)4.6)を200ml添加して発色させることにより検出
した。
(4) クローニング及びモノクローナル抗体の作製GS
T−πに対する抗体を産生するハイブリドーマ培養液を
選別し、更に限界希釈法によるクローニングを行ない、
最終的に単一クローンのハイブリドーマ3種を得た。こ
のハイブリドーマを、夫々、プリンスタン投与BALB/Cマ
ウスの腹腔に投与して増殖させ、モノクローナル抗体を
含む腹水を得た。得られた腹水に50%飽和硫安を加え、
抗体を沈澱させ、この沈澱物を0.1Mリン酸生理食塩水
(pH8.0)に溶解させた。そして透析後、プロテインA
−フラァロースCL4Bカラム(ファルマシア社製)にか
け、抗体を0.2Mグリシン−塩酸緩衝液(pH3.0)で溶出
し、中和して精製した。
3種類のハイブリドーマから得られたモノクローナル抗
体を、夫々5F,2H,6Aと命名した。
(5) モノクローナル抗体の性質 後述の如きウエスタンブロッティング(Westernblottin
g)法で3種のモノクローナル抗体は、GST−πを認識し
た。また、ELISA用プレート固定したGST−πに対して、
ビオチン化した第一の抗体と非標識の第二の抗体を共存
させて反応させるインヒビジョン・アッセイ(Inhibiti
on assay)法により、いずれの2つの組み合せにおいて
もビオチン化抗体の反応量に変化がないことより、3種
のモノクローナル抗体はいずれも互に異なるエピトープ
(抗原部位)を認識することが示された。
これらの抗体は、ヒトの塩基性GSTとは反応せず、また
健常人の血清とも反応しなかった。
(6) ウエスタンブロッティング法 モノクローナル抗体に特異的な抗原を、Towbingの方法
(Pro.N.A.S.76 4350〜4354)によるウエスタンブロッ
ティング法を用いて固定した。
最初にGST−πを、SDS−PAGEにかけた。SDS−PAGE後電
解液バッファーを25mMグリシン,20%(V/V)メタノール
を用い、電圧傾斜が7V/cm,2時間の条件でスラブ(Sla
b)ゲルからニトロセルロースシートへ蛋白を移した。
ニトロセルロースシートの各レーンを切り離し、片一方
のシートをアミドブラックで蛋白染色を行ない、他方は
次の様な酵素免疫アッセイを行なった。
3%(W/V)BSA/PBSでブロッキング後、1次抗体として
モノクローナル抗体(2Fまたは5F)を加えた。2次抗体
としてペルオキシダーゼ標識山羊抗マウスIgG−Fc特異
抗体加えた後、洗浄、0.04%3,3′−ジアミノベンジジ
ン,0.0034%H2O2,0.01M PBSからなる基質溶液を加えて
発色させることにより検出し、固定した。
実施例1 モノクローナル抗体(抗GST−π)に対する
抗原(GST−π)の抗原決定基の決定 (1) 本実施例において用いた、GST−πの消化,SDS
−PAGE,Western Blotting,HPLCによる分離および抗GST
−π・PCAの作成法は以下のとおりである。
(a) CNBrによるGST−πの消化 GST−πの消化は、2.5μgGST−π/5μ Tris−Hcl(2
5mM,pH7.7)と40μgCNBr/10μギ酸と混合し、25℃で
終夜反応させた。
(b) 固定化トリプシンによるGST−πの消化 25μgGST−π/50μの25mM Tris−HCl(pH7.7)と、1
0μの固定化トリプシンサスペンジション(20U/μ
,シグマ,U.S.A)と混合し37℃,10分間反応させた。
(c) SDS−PAGE SDS−PAGEは、0.1%のSDS含む、17.5%のアクリルアミ
ド分離ゲルと0.1%のSDSを含む5%のアクリルアミド濃
度スラブゲルを用いて行なった。分子量マーカーとし
て、97.4K,66.1K,45.0K,31.0K,21.5K,14.4Kはバイオラ
ッドLabから、また21.5K,12.5K,6.5Kのマーカーはベー
リンガーマンハイムより得た。2.5μgのGST−π CNBr
digestと5μgの固定化トリプシン分解物をそれぞれス
ラブゲルの1レーンにのせ、40mAの定電流にて、電気泳
動を行なった。
(d) Western Blotting SDS−PAGEによる分解後、タンパクを電気泳動的にアク
リルアミドスラブゲルからニトロセルロース膜に転写を
行なった。(250aA,2.5hr)この転写において、バイオ
ラッド社製,電気転写装置を用いた。
転写後、ニトロセルロース膜を3%BSAを含むPBSにてア
フターコート(37℃,1hr)反応し、次いでMCA(40μ
g)を含む3%BSAで4℃,16hr反応を行なった。その
後、ニトロセルロース膜を0.05%Tween20を含むPBS(T
−PBS)にて3回洗浄し、酵素標識(ペルオキシター
ゼ)抗マウスIgA(カペル社製)を含む3%BSA溶液にて
2時間反応させ、4回T−PBS洗浄後、4−クロロ−1
−ナフトールを用いて、ニトロセルロースメンブレン上
のGST−π由来のタンパクの発色を行なった。
(e) HPLCを用いたGST−πのトリプシン分解物の分
離 すべてのクロマトグラフィーは、トーソーModelを用い
て行なった。流出は、280umと210umでモニターした。10
0μgのGST−πの固定化トリプシン分解物はC−18カラ
ムを用いた逆相HPLsystenにおいて、0.1%TFAをベース
にしたアセトニトリルのリニアグラジェント(アセトニ
トリル0→80%(160分間))により分取を行なった。
それぞれのピークを採取してSpeed Vac Concertratoeを
用いて濃縮し、Western Blotting,Dot Blotting,ペプチ
ドシーケンサーに供した。
(f) 抗GST−πポリクローナル抗体の作成 200μgのGST−πをフロイントのコンプリートアジェバ
ンドと混合し、兎の背中の皮下に注射した。次いで2週
間後に100μgのGST−πをフロイントのインコンプリー
トアジバント1mlと混合し、同様に皮下に投与した。こ
のブーストの投与を合計3回行ない、最終投与の10日後
に、全血採血した。
抗体は、プロテインA固定化セファロース4Bを用いて精
製した。
(2) CNBr分解プラグメントに対する各種モノクロー
ナル抗体の反応性 各モノクローナル抗体に対する抗原決定基を決定するた
めに、最初にCNBrにより、GST−πを分解した。そのCNB
r分解フラグメントをSDS−PAGEにかけニトロセルロース
に転写しWestern Blottingを行なった。その結果を第2
図に示す。第2図より、これらのモノクローナル抗体に
対する抗原決定基は、大きく2種類に別れることが判明
した。すなわち、26K(原料のGST−π),24.2Kのフラグ
メント以外に11.4Kを認識する6A,5Fと、9.8K,7.8Kを認
識する2Hである。
Muramatsuら(Cancer Res.,47;5626〜5630(1987))の
報告によるGST−πの全アミノ酸配列からCNBrによる切
断フラグメントは第3図のごとくになると考えられる。
メチオニンがN端から19と91番目にあり、以上を考慮す
ると切断フラグメントは、190残基(24.2K,20→209),1
18残基(11.4K,92→209),91残基(9.8K,1→91),72残
基(7.8K,20→91)であることが推定される。
以上により、2Hのモノクローナル抗体はGST−πの1→9
1のフラグメントを認識し、6A,5FおよびPCAは、92→209
のフラグメントを認識することが推定された(第4
図)。
(3) 固定化トリプシン分解フラグメントに対する各
種モノクローナル抗体の反応性 次にGST−πを固定化トリプシンにより分解し、SDS−PA
GEを行なった(第5図)。次いでWestern Blottingを行
なった結果を第6図に示す。第6図により、2Hはトリプ
シン分解物の5.6Kのフラグメントを認識し、6A,5Fは、
トリプシン分解物の7.4Kのフラグメントを認識する事が
わかった。
以上のトリプシン分解物の5.6K,7.4Kのフラグメントの
単離を目的として、逆相HPLC(トーソーCCPM,TSKgel OD
S−120T)により分離を試みた。そのクロマトグラフの
1部を第7図に示す。No.37〜No.43までの各ピークのdo
t blottingを行ない各モノクローナル抗体との反応性を
検討した結果、特にピークNo.40と2Hのモノクローナル
抗体との反応が確認された(第8図)。ピークNo.40の
分画をSpeed Vac Concentratorを用いて延伸乾燥し、TF
Aに再溶解し、ABI社製ペプチドシーケンサーにアプライ
したところ、このフラグメントのN端20残基は、第9図
に示される配列であることが判明した。MuramatsuらのG
ST−πのアミノ酸配列と比較した結果、GST−πのN端2
0残基と完全に一致した。
またGST−πのN端44残基目にLysが存在することから、
5.6Kのフラグメントは、GST−πのN端から44残基まで
のフラグメントであり、このフラグメントを2Hのモノク
ローナル抗体が認識することが確認された。2HがN端側
のフラグメントを認識する事は、同抗体がGST−πのCNB
r分解によるフラグメントのうちで1→91(1Pro−91Me
t)を認識する実験事実からも支持される。
続いて、7.4Kのフラグメントの分取を、逆相HPLCを用い
て検討したが、適当な分離条件をさがし得ず、分取不可
能であった。このため、スラブゲルによる分取を検討し
た。すなわち、スラブゲル(18×8cm)に1レーン当
り、200μgのGST−πトリプシン分解物をのせ、SDS−P
AGEを行なった。泳動後PVDF膜(ファルマシア製)に転
写し(90V,300mA,30分,r.t.)クマジーブルーにより染
色した。目的とするバンドを切り取り直接ペプチドシー
ケンサー(ABI社製)にかけ、N末アミノ酸配列の決定
を行ない、1Thr−Phe−Ile−Val−Glyであることが判明
した。
前述の村松らのGST−πのアミノ酸配列と比較した結
果、141Lysから145Glyの5残基のシーケンスが、ヒトGS
T−πのそれと完全に一致したことにより、この7.4Kの
フラグメントが141Thr→209Glnである事を結論した。す
なわち、6A,5FがC端側の141Thr→209Glnのフラグメン
トを認識することがわかり、またこの事実は、GST−π
のCNBr分解物の中で、同抗体が92〜209のフラグメント
を認識する実験事実からも裏づけられる。
(4) 合成ペプチドに対する各種モノマー抗体の反応
性 次いで、これらの6A,5Fのモノクローナル抗体の反応性
をさらに確認するために、141Thr−209GlnのC端69残基
のペプチドを、2つに分けて、すなわ、フラグメントA
176Leu−209Gln)とフラグメントB(141Thr−175Le
u)を合成した。それぞれのペプチドを精製し、ニトロ
セルロース膜に各100ng,10ngスポットし、モノクローナ
ル抗体を用いたDot Blottingを行なったところ、第10図
で示すように、6AはフラグメントAと、5Fはフラグメン
トBとそれぞれ特異的に反応する事が判明した。
以上の結果から抗原決定基は以下のように結論される。
(1) 6Aは、C端の176Leu〜209Glのフラグメントの
エピトープと反応する。
(2) 5Fは、141Thr〜175Leuフラグメントのエピトー
プと反応する。
(3) 2Hは、N端の1Pro〜44Lysフラグメントのエピ
トープと反応する。
これらの結論を第11図に示した。
実施例2 各種GST−π測定法の感度比較 (1) 以下の操作により、ポリクローナル抗体,モノ
クローナル抗体6A,5F,2Hの固相化および標識化を行なっ
た。
(a) 抗体固定化ビーズの調製 ポリスチレン製ビーズ(直径6mm)をよく洗浄してか
ら、各種抗GST−π抗体の20μg/mlの濃度を有するPBS
(pH7.4)溶液中に4℃の温度で1昼夜放置した後、PBS
で洗浄し、0.5%BSA水溶液中に4℃の温度で1昼夜放置
してポストコーティング処理を実施して、抗GST−π抗
体固定化ビーズを得た。
(b) ホースラディッシュ・ペルオキシダーゼ(HR
P)標識抗体の調製 抗GST−π抗体の1.0mg/mlのPBS溶液に、N−(m−マレ
イミド安息香酸)−N−サクシンイミドエステル(MB
S)の10mg/mlの濃度のジメチルホルムアミド溶液50mlを
添加し、25℃の温度で30分間反応させた。次いでセファ
デックスG−25を充填したカラムを用い、0.1Mリン酸緩
衝液(pH6.0)でゲル濾過を行ない、マレイミド化抗体
と未反応MBSとを分離した。
一方、HRPの1.0mg/mlのPBS溶液に、N−サクシンイミジ
ル−3−(2−ピリジルチオ)プロピオネート(SPDP)
の10mg/mlの濃度のエタノール溶液を添加し、25℃で30
分間反応させた。次いで、セファデックスG−25を充填
したカラムを用い、0.01M酢酸緩衝液(pH4.5)でゲル濾
過して精製し、ピリジルジスルフィド化HRPを含有する
画分を採集し、これをコロジオンバック中において氷冷
下に約10倍に濃縮した。次に、これに0.85%NaClと0.1M
ジチオスレイトールとを含有する0.1M酢酸緩衝液(pH4.
5)1mlを添加して、25℃で30分攪拌してHRP分子中に導
入したピリジルジスフィド基を還元した後、セファデッ
クスG−25カラムにかけてゲル濾過し、チオール化HRP
を含有する画分を得た。
次に、マレイミド化抗体とチオール化HRPとを混合し、
コロジオンバックを用いて氷冷下に4mg/mlの蛋白質濃度
まで濃縮し、4℃で1昼夜放置した。その後、ウルトロ
ゲルAcA44(LKB社)を充填したカラムでゲル濾過し、HR
P標識抗GST−π抗体を得た。
(2) 同時サンドイッチ酵素免疫測定法によるGST−
πの測定(標識抗体としてポリクローナル抗体を用いた
場合) 各種抗体(ポリクローナル抗体,モノクローナル抗体6
A,5F,2H)を固定化したビーズ各1個と、精製したGST−
π(標準物質)を0ng/ml〜15ng/mlの範囲で含有する0.5
%BSA含有PBS溶液(pH7.4)200μとHRP標識兎抗GST−
πポリクローナル抗体を含有する0.5%BSA含有PBS溶液
(pH7.4)200μとを、各種固相抗体と標識ポリクロー
ナル抗体の組み合せでそれぞれ試験管に添加して37℃の
温度で2時間インキュベートした。次に、試験管内の溶
液を吸引除去した後、PBSで洗浄してから、3,3′,5,5′
−テトメチルベンジジン塩酸塩0.02%,H2O20.005%を含
有する0.1Mリン酸−クエン酸緩衝液(pH4.0)を0.4mlず
つ各試験管内に加え、37℃の温度で30分間インキュベー
トした後、反応停止剤として1N硫酸水溶液を1mlずつ加
えて酵素反応を停止させた。
次いで、この溶液を分光光度計を用いて450nmの波長の
吸収強度を測定し、これを標準物質濃度0および15ng/m
lに対してプロットすることにより各種固相抗体組合せ
によるN/S比(0DAg/=0/OD Ag=15ng/ml)を算出した。
結果を第1表に示す。
第1表に示すごとく、HRP標識兎抗GST−πポリクローナ
ル抗体と、モノクローナル抗体6Aまたは2Hの固相抗体の
組みあわせによる測定系が、N/S比が低く、すなわちGST
−π濃度0ng/mlにおける吸光度を低く保ち、しかも15ng
/mlにおける吸光度が十分に高い測定系を達成しえるこ
とがわかった。
(3) 同時サンドイッチ酵素免疫測定法によるGST−
πの測定(固相抗体としてポリクローナル抗体を用いた
場合) 各種酵素標識抗体(ポリクローナル抗体,モノクローナ
ル抗体6A,5F,2H)と、ポリクローナル抗体固定化ビーズ
を用い、(2)に準じて実験を行なった。
結果を第2表に示すが、第2表に示すごとく、固相ポリ
クローナル抗体と、モノクローナル抗体6Aまたは2Hの酵
素標識抗体の組みあわせによる測定系が、N/S比が低い
良好な測定系であることがわかった。
(4) 兎ポリクローナル抗体の固定化フラグメントA
176Leu−209Gln]による吸収実験 兎抗GST−πポリクローナル抗体の中に6Aが認識するフ
ラグメントA[176Leu−209Gln]に対する認識部位を有
する抗体が、どの程度含まれているかを確認するために
標記実験を行なった。
すなわち、フラグメントA20mgを0.1M炭酸バッファー(p
H9.0)1mlに溶解しCNBr活性化Sepharose4B(ファルマシ
ア製)1mlと4℃,終夜反応させた。フラグメントA固
定化Sepharose4Bを、3M KSCNにて洗浄後、カラムに充填
し兎抗GST−πポリクローナル抗体2mlを反応させた。10
0mlのPBSにより洗浄後、3M KSCNにて溶出させた。溶出
液5mlの280nmの吸光度は0.016であった。
比較実験として、GST−π1mgを固定したSepharose4Bを
用いて同様の吸収実験を行なって得られた溶出液5mlの2
80nmの吸光度は、0.352であった。前値0.016(11.5μg/
ml)は、全抗GST−π抗体値0.352(251μg/ml)の4.6%
に相当した。
以上により、兎抗GST−πポリクローナル抗体は、GST−
π分子のN端からN端44残基のシーケンスを確認するモ
ノクローナル抗体(実施例1参照)と抗原認識部位を共
有せず、また、N端176残基からN端209残基のシーケン
スを認識するモノクローナル抗体ともほとんど抗原認識
部位を共有しないことが判明した(実施例2(4))。
そして、ポリクローナル抗体と、抗原認識部位を異にす
るN端からN端44残基のシーケンスを認識するモノクロ
ーナル抗体、または、N端176残基からN端209残基のシ
ーケンスを認識するモノクローナル抗体を組みあわせた
測定系のみがN/S比の低い高感度な測定系をもたらすこ
とを実験にて証明しえた。
それは、比較実験として採用した同一の抗原決定基を有
する抗体の組合せであるポリクローナル抗体−ポリクロ
ーナル抗体の組みあわせでは、非特異的反応が高いため
に高感度の測定系が達成できなかった事、また、共通の
抗原決定基を有するかもしれないポリクローナル抗体−
5F(141Thr−175Leuがその抗原決定基)の組み合せで
は、特異的反応が低いために高感度の測定系が達成でき
なかったことからも裏づけされる。
実施例3 モノクローナル抗体F(ab′)のHRP標識
体を用いたGST−πの測定 (1) モノクローナル抗体F(ab′)のHRP標識化 モノクローナル抗体6Aの2.0mg/mlのPBS溶液に、1Mの酢
酸緩衝液(pH3.7)100μと、40μgのペプシンを2μ
の同緩衝液に溶解して37℃,3時間反応させた。反応終
了後、PBSにて平衡化したセファデックスG25カラム(φ
2cm×4cm)を用いて分離しF(ab′)を採取した。HR
P標識6A−F(ab′)の調整は、実施例2(1)
(b)に準じて行なった。
(2) 同時サンドイッチ酵素免疫測定法によるGST−
πの測定 兎抗GST−πポリクローナル抗体を固定化したビーズ
と、HRP標識6A−F(ab′)を用いて、濃度0〜15ng/
mlの精製したGST−π(標準物質)の免疫測定法を実施
例2(2)に準じて行なった。比較例として、HRP標識6
A−IgGを用いて測定を行なった。結果を第3表に示す。
第3表のごとく、HRP標識6A−F(ab′)は、6A−IgG
に比べて、3〜4倍の感度上昇を見た。
実施例4 兎抗GST−πポリクローナル抗体Fab′のHRP
標識体を用いたGST−πの測定 (1) 兎抗GST−πポリクローナル抗体Fab′のHRP標
識化 兎抗GST−πポリクローナル抗体の2mg/mlのPBS溶液に、
1Mの酢酸緩衝液(pH4.2)100μと、40μgのペプシン
を20μの同緩衝液に溶解して、37℃,16時間反応させ
た。反応終了後、5mM EDTA含有0.1Mのリン酸緩衝液(pH
6.0)にて平衡化したセファデックスG−25カラム(φ2
cm×45cm)を用いて分離しF(ab′)を採取した。次
いで、同F(ab′)を−メルカプトエチルアミンを用
いて還元し、トーソーG3000SWカラムによるゲル濾過HPL
CにてFab′を精製した。
一方、HRPは、MBSを用いてマレイミド化HRPを単離し
た。最後にFab′とマレイミド化HRPを混合しながら、フ
ィルトロン(限外濾過ユニット)を用いて濃縮し反応さ
せた。4℃で終夜反応させ、HRP標識6AをトーソーG3000
SWにて単離精製した。
(2) 同時サンドイッチ酵素免疫測定法によるGST−
πの測定 モノクローナル抗体6Aを固定化したビーズと、HRP標識
ポリクローナル抗体Fab′を用いて、濃度0〜15ng/mlの
精製したGST−πの免疫測定法を実施例2(2)に準じ
て行なった。比較例として、HRP標識ポリクローナル抗
体IgGを用いて行なった。結果を第4表に示す。
第4表に示すごとく、HRP標識兎抗GST−πポリクローナ
ル抗体Fab′は、IgGに比べて8〜10倍の感度上昇を見
た。
【図面の簡単な説明】
第1図は、GST−π分子のCNBr分解フラグメントのSDS−
PAGEパターンを示している。レーンは原料のGST−
π,→にいくに従い、GST−πに対するブロムシア
ンの反応重量比が増加している。 第2図は、GST−πのCNBr分解フラグメントに対する各
種抗体の反応性を示すウェスタンブロッティングを示
す。 以下の抗体を各レーンにて反応させた。 レーン1;PCA,レーン2;2H,レーン3;6A,レーン4;5Fであ
る。 第3図は、GST−πのCNBr分解フラグメントの模式図を
示す。 原料以外4つのフラグメントの出現が予想される。 第4図は、各モノクローナル抗体のGST−π分子上の反
応部位を示す。 第5図は、(a)GST−π分子のトリプシン分解フラグ
メントのSDS−PAGEパターンと(b)同上のデンシトメ
ーターによるスキャニングを示す。 第6図は、GST−πのトリプシン分解フラグメントに対
する各種抗体の反応を示すウェスタンブロッティングを
示す。 以下の抗体を、各レーンにて反応させた。 レーン1;PCA,レーン2;2H,レーン3;6A,レーン4;5Fであ
る。 第7図は、GST−πのトリプシン分解フラグメントの逆
相HPLCによる溶出パターンを示す(溶出は210nmにてモ
ニター)。TSKgel ODS−ROTカラムを用い、0.1%TFA)
トリフルオロ酢酸)にて、アセトニトリル0→80%のグ
ラジェント(160分)にて溶出した。 第8図は、GST−πのトリプシン分解フラグメントの逆
相HPLCによる溶出ピークに対する各抗体の反応性を示す
ドットブロットである。7つのピーク(No.37〜43)
を、ニトロセルロース膜にドットスポットし、以下の抗
体を各レーンにて反応させた。 レーン1;PCA,レーン2;2H,レーン3;6A,レーン4;5Fであ
る。 第9図は、2Hの反応したピークNo.40を単離して決定し
たピークNo.40のN末端アミノ酸配列を示す。 第10図は、GST−π分子の合成ペプチド[176Leu〜209Gl
n]=フラグメントA,[141Thr〜175Leu]=フラグメン
トBに対する各モノクローナル抗体の反応性を示すドッ
トブロットである。以下の抗体を各レーンにて反応させ
た。 レーン1;5F,レーン2;6A,レーン3;2Hである。 第11図は、(a)GST−π分子のハイドロパシープロフ
ィルを示し、(b)最終決定された各種モノクローナル
抗体のGST−π分子に対する反応部位を示す。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭59−163565(JP,A) 特開 昭61−202162(JP,A) 特開 昭62−39772(JP,A) 特開 昭62−184353(JP,A) 国際公開87/3377(WO,A)

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】不溶性担体に結合した抗体と標識抗体とを
    用いてヒト酸性グルタチオンS−トランスフェラーゼの
    免疫学的測定を行なうに際し、いずれか一方の抗体とし
    てヒト酸性グルタチオンS−トランスフェラーゼに対す
    るポリクローナル抗体を用い、他方の抗体としてヒト胎
    盤由来グルタチオンS−トランスフェラーゼのN端176
    残基からN端209残基のシーケンスを有するフラグメン
    トを認識するヒト酸性グルタチオンS−トランスフェラ
    ーゼを特異的に認識するモノクローナル抗体を用いるこ
    とを特徴とするヒト酸性グルタチオンS−トランスフェ
    ラーゼの免疫学的測定方法。
  2. 【請求項2】ポリクローナル抗体が、ヒト胎盤由来グル
    タチオンS−トランスフェラーゼ(GST−π)を認識す
    る抗体であることを特徴とする、請求項1記載のヒト酸
    性グルタチオンS−トランスフェラーゼの免疫学的測定
    方法。
  3. 【請求項3】請求項1記載のヒト酸性グルタチオンS−
    トランスフェラーゼの免疫学的測定方法に使用されるポ
    リクローナル抗体とモノクローナル抗体の二種類の抗体
    を組み合わせてなる測定試薬。
  4. 【請求項4】請求項3記載の二種類の抗体を組み合わせ
    てなる測定試薬と、これに(a)溶解剤、(b)洗浄剤
    及び(c)酵素活性を測定するための基質及びその反応
    停止剤を組合せてなるヒト酸性グルタチオンS−トラン
    スフェラーゼの免疫学的測定用のキット。
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