JPH1080746A - 金型およびその焼入れ方法 - Google Patents
金型およびその焼入れ方法Info
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- JPH1080746A JPH1080746A JP25551196A JP25551196A JPH1080746A JP H1080746 A JPH1080746 A JP H1080746A JP 25551196 A JP25551196 A JP 25551196A JP 25551196 A JP25551196 A JP 25551196A JP H1080746 A JPH1080746 A JP H1080746A
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Abstract
耐ヒートクラック性を向上し、そして熱処理歪みを少な
くして、熱処理時の寸法変化を低減することで仕上げ代
を少なくし、さらに金型寿命が延長された金型およびそ
の焼入れ方法を提供するものである。 【解決手段】 真空焼入れされた金型の表面から40m
m内部までに析出するベイナイト組織が、長さ20μm
以下、幅2μm以下であることを特徴とする金型であ
り、真空焼入れされた金型の底面で検出する金型の長さ
方向のそりが0.2%以下、長さ方向の収縮率が0.1
5%以下である。さらに真空中で加熱された金型に対し
て冷却ガスを吹き付けて冷却する焼入れ方法において、
冷却の途中でベイナイト変態を開始する前に冷却ガスの
圧力を高めることを特徴とする焼入れ方法である。
Description
処理、特に真空焼入れ炉を用いた熱処理歪みが少ない上
に、靭性を向上した金型およびその焼入れ方法に関する
ものである。
の初期の高温側では、炭化物やトルースタイトが析出し
ないように急速に冷却を行ない、焼割れの発生を防止す
るため、過冷オーステナイト域よりも低温側を比較的徐
冷をしてマルテンサイト変態を徐々に進行させるという
のが一般的であった。しかし、上述したような高温側を
急冷すると歪が発生しやすいこと、低温側を徐冷すると
ベイナイト組織が生成しやすく、靭性が低下することが
わかってきたので、近年では高温側は炭化物やトルース
タイトが生成しない程度に比較的徐冷を行ない、低温側
を逆に急冷をしてベイナイト組織の析出を防止するとい
う焼入れ方法が採用されるようになってきた。
ルミニウムに繰り返しさらされるため、金型やダイスの
表面は、熱疲労によるヒートクラックが発生し易く、そ
のヒートクラックが進展して、クラックの口が大きくな
ると製品に割れが転写されたり、クラックが深くなると
金型が使用中に大割れを起こすことがある。このような
ヒートクラックの発生と進展を抑制するためには、金型
の硬さを高くして強度を高くすることが有効であること
が知られている。しかし、むやみに硬さを高くすると、
一方では材料の靭性が低下するため、小さなヒートクラ
ックが一気に大割れに到る心配が発生する。硬さを高
め、しかも靭性を維持するためには、金型の焼入れ組織
をより緻密な組織(マルテンサイト組織または下部(針
状)ベイナイト組織)とし、上部(塊状)ベイナイト組
織の生成を極力抑えることが必要であることが知られて
いる。
速焼入れ冷却を採用する必要があるが、ダイカスト金型
の場合には、形状が複雑で肉厚も一様でなく、且つ仕上
代も少ないものが多い。このような製品において、急速
に焼入れ冷却を行うと焼割れや焼入れ歪みを発生しやす
いので、真空炉で加熱した金型を高温のままで真空炉の
外に取り出して焼入れ温度から衝風冷却を行い、冷却過
程の途中で歪みを測定しながら、金型への衝風のあて方
をコントロールして冷却を行っているのが、一般的な方
法である。このため、この焼入れ方法は、耐熱作業であ
るうえに非常に熟練を必要とするのである。
度が不十分であるし、また金型表面に焼入れ冷却過程中
に不可避的に脱炭が発生する。この脱炭は、取り代の少
ない金型表面に残存して、ヒートクラックの生成を速
め、金型寿命を低下させたり、またダイカスト金型の水
冷孔内部のように、熱処理後仕上げ加工しないかまたは
できない部分では、この脱炭層が金型の大割れの起点と
なることもある。上記2つの理由により、ダイカスト金
型の焼入れにおいても、近年真空熱処理を用い、脱炭を
防止して熱処理後可能な限り仕上加工を減らして使用さ
れるようになってきた。真空熱処理炉の冷却では、窒素
ガスに代表される不活性ガスを用いて冷却を行うが、こ
のガスの圧力を高めると冷却能力が高まることから、最
近では、例えば6bar、10bar等のような高圧ガ
スにて冷却を行う真空炉も登場している。
真空炉では、細径〜中径(概ね5mmφ〜50mmφ)
の主として高速度工具鋼等を念頭に於いて設計し、使用
されているため、ダイカスト金型のような、大型の複雑
形状で肉厚の差の大きな金型では、冷却速度が不均一に
なりやすいため、ベイナイト組織の発生の点および歪み
発生の点で十分に適用できないのが実状である。そし
て、通常の真空焼入れでは、高圧の冷却ガスを吹き付け
た後、炉内に導入された冷却ガスは、熱交換機で冷却し
て再利用される。したがって、炉内に導入された直後冷
却ガスは、断熱膨脹により低温化しているので、金型を
急速に冷却し、その後熱交換機の能力によっては、冷却
ガスが温まってくるので、冷却速度が遅くなってしま
う。
よって歪や反りが発生しやすく、冷却後半で冷却速度が
不足してベイナイト組織が析出してしまう。そのため、
このような弊害を避けるため、前述したように真空中で
加熱した後、炉外に取り出して冷却速度を調整しながら
衝風冷却するという焼入れ方法が行なわれるが、これで
は冷却中に脱炭が生じてしまうのである。また、真空炉
を用いてダイカスト金型のような大型品を焼入れする従
来技術としては、ガス冷却と油冷却を組み合わせて高温
側を徐冷し低温側を急冷する方法も知られているが(特
開平8−67909号)、この方法では、装置が大がか
りなこと、また油冷却によるため金型表面に付着した油
の洗浄作業があるなどの不具合がある。
高圧ガス冷却の優れた特性、すなわち無脱炭で、高速冷
却ができることを生かしつつ、しかも急速冷却に伴い金
型の焼入れ歪みが増大し、ベイナイト組織が生成しやす
いという課題を解決しようとするものである。
間鍛造型に使用される熱間ダイス鋼の真空熱処理での問
題点を解消するために多くの実験を行った結果、得られ
たものであって、その目的とするところは、ベイナイト
変態を抑制して靭性を向上させ、耐ヒートクラック性を
向上し、そして熱処理歪みを少なくして、熱処理時の寸
法変化を低減することで仕上げ代を少なくし、さらに金
型寿命が延長された金型およびその焼入れ方法を提供す
るものである。
熱処理炉における問題点を解消するため、種々の実験と
検討を行い、下記に示すような知見を得た結果によりな
されたものである。図1は、高圧ガスで冷却する構造の
真空炉におけるガスの圧力と冷却速度の関係を表わした
ものであり、ガスの圧力によって材料の冷却速度を大き
く変化させることができることがわかる。通常は、早い
冷却速度が必要なものは、高圧ガスを、そうでない場合
には比較的低圧の冷却ガスを用いて、主に反り等の変形
を防止できるような冷却をするのが普通である。
イト変態と異なり、熱の発生を伴う変態であるため、変
態時に材料自身が発熱する。その発熱量は、マルテンサ
イト変態が5cal/g以下であるのに比べて、18c
al/g程度とかなり大きく、冷却速度が不十分で上部
ベイナイトが生成する場合は、発熱量も大きいので、図
2に示すようにベイナイト変態点付近で冷却が停止した
り、時には温度が上がったりする場合があるので、この
付近の冷却速度がますます不足するようになる。図3
は、焼入れ冷却時におけるベイナイト変態域通過時間と
シャルピー衝撃値との関係を示す図である。ベイナイト
変態に長い時間を費やすと靭性が大幅に低下するが、焼
入れ冷却時たとえベイナイト変態が始まっても、その後
を急速に冷却してやれば高い靭性が得られるのである。
な冷たいガスを導入してしかもガス圧を上げることで、
ベイナイト変態生成域での冷却速度を上げることが可能
となり、ベイナイト組織の生成を抑制することができ
る。真空炉の冷却室に導入されたガスは、被処理材であ
る金型の冷却に使われ、温められるので、熱交換機に送
られて再び冷却された後、金型の冷却に用いられる。し
かし、ダイカスト金型のように比較的重量のあるもので
は、冷却の過程で熱交換機の力が不十分でガスの温度が
十分に下がらないまま金型の冷却を行うこととなり、必
要とする冷却速度が得られなくなる。この点もベイナイ
ト変態付近の冷却速度を遅くする要因の一つである。本
発明はこのような点にも着目してなされたものである。
い圧力の高いガスを真空炉の冷却室に導入してやれば、
再度冷却能を高くすることができるのである。そして、
金型の靭性は、ベイナイト域の急冷のみでほぼ満足する
靭性値が得られ、ベイナイト組織も小さいことがわかっ
た。そして、高温域は比較的徐冷しておいて、ベイナイ
ト変態域を急冷してやれば、変形、靭性ともに優れた金
型が得られることがわかった。
複雑形状で、かつ肉厚差の大きな熱間ダイス鋼の金型に
おいて、高圧ガス冷タイプを用いた真空炉の熱処理で
は、熱応力による歪みが発生し易い高温域を比較的緩冷
を行い、材料の靭性に影響の大きいベイナイト変態温度
域を急冷することが重要であるという知見を得て本発明
に到達したのである。
された金型の表面から40mm内部までに析出するベイ
ナイト組織が、長さ20μm以下、幅2μm以下である
ことを特徴とする金型であり、真空焼入れされた金型の
底面で検出する金型の長さ方向のそりが0.2%以下、
長さ方向の収縮率が0.15%以下であることを特徴と
するものである。またさらに、真空焼入れされた金型の
表面の熱処理肌が残存する部位が無脱炭または無浸炭で
あることを特徴とするものである。
された金型に対して冷却ガスを吹き付けて冷却をする焼
入れ方法において、冷却の途中で冷却ガスの圧力を高め
ることを特徴とする焼入れ方法である。そして、真空炉
に一次冷却ガスを導入して冷却を開始し、冷却の途中で
金型がベイナイト変態を開始する前に、圧力を高めた二
次冷却ガスを導入して冷却する焼入れ方法である。さら
に真空炉に1〜4barの一次冷却ガスを導入して炭化
物もしくはトルースタイトが析出するよりも速い冷却速
度で650℃ないし300℃まで冷却し、次いで4〜1
0barの二次冷却ガスを導入してベイナイトの析出を
防止することに特徴がある焼入れ方法である。
出するベイナイト組織が長さ 20μm、幅2μmを超
えると、靭性が低下して早期にヒートクラックが発生し
やすく、大割れに進展する危険が増大するので、ベイナ
イト組織は長さ 20μm以下、幅2μm以下に規定す
る。ベイナイト組織の発生を抑制する深さを40mm以
下とする。40mm深さがあれば、ヒートクラックや大
割れの進展を抑えることができるので、それよりも深い
部分で粗大なベイナイト組織が生成しても特に支障はな
い。
え、また、金型の長さ方向の収縮率が0.15%を超え
ると、熱処理後仕上げ加工を施して金型全体や型彫部の
寸法形状を補修する必要が生じ、加工工数が増加して、
金型の製造コストの増大要因となる。したがって、金型
の反りを0.2%以下、収縮率を0.15%以下に規定
する。反りや収縮率がこれ以下であれば、ほとんどの金
型が仕上げをしないでそのままで使用できる。
理肌が残存する部位の断面で、硬さ、またはミクロ組織
的に内外に差異がないことを意味しており、これを最も
簡便に確認する時は、最表面と若干彫り込んだ位置で硬
さを測定すればよい。さらに、金型の焼入時には冷却の
途中で冷却ガスの圧力を高めて真空炉に導入する。前述
したように、真空炉に導入して金型の冷却に使用された
冷却ガスは熱交換機に送られて冷却され、再度金型の冷
却に使用される。すなわち、真空炉に導入された冷却ガ
スは、真空炉と熱交換機とを循環するが、金型がダイカ
スト用の金型のように大型になると冷却ガスが暖まって
冷却能が不足してくる。
却中にベイナイト組織が析出しやすくなるので、冷却の
途中で圧力を高めた新しいガスを導入して冷却速度を高
くすることにより、ベイナイト組織の析出を防止するこ
とができる。冷却ガスの圧力を高める時期は、金型がベ
イナイト組織を析出する前に行なうことが必要である。
ベイナイトノーズに到達してから圧力を高めても一度析
出したベイナイトを消去することはできないから、ベイ
ナイトノーズを極力早く冷却をする。
冷却するための一次冷却ガスは、真空炉に導入された
時、断熱膨脹効果によってより低下するので、冷却速度
を高めるのに寄与する。一次冷却ガスが1〜4barの
圧力であれば、金型が炭化物析出ノーズやトルースタイ
ト析出ノーズに到達する前に、過冷オーステナイト域ま
で冷却することができる。この付近の冷却速度が遅くな
って炭化物やトルースタイトが析出すると金型として十
分な硬さが得られないし、靭性も低下するので、炭化物
やトルースタイトを析出しない程度に速い冷却を施せば
よいが、焼入れ後の金型の歪や反りなど大きくなるの
で、むやみに速い冷却速度で冷却する必要はなく、適度
の冷却速度で冷却すればよい。ベイナイト組織が析出す
る前に真空炉に再度導入してベイナイト組織の析出を防
止するための二次冷却ガスは4〜10barの圧力であ
ることが重要である。二次冷却ガスが4barに満たな
いような時には、十分にベイナイト組織の析出を防ぐこ
とができなくなる。
表面温度として650〜300℃とする。この温度はい
わゆる過冷オーステナイト域であり、650℃まで冷却
すれば、炭化物やトルースタイトが析出する温度を通過
しており、さらに表面が300℃では材料内部では未だ
ベイナイト変態が起っていないから、二次冷却ガスによ
りさらに速い冷却に移行する。本発明で言う真空とは実
質的な減圧雰囲気を総称するが、実作業的には10マイ
ナス2乗ないし10マイナス4乗Torr程度が望まし
い。10マイナス2乗Torrよりも真空度が低いと加
熱中に脱炭が発生するし、10マイナス4乗Torrよ
りも真空度を高くしようとすると装置が大型化してコス
ト高になってしまう。
細に説明する。まず、表1に示す組成(SKD61)の
金型材料を準備し、図6に示すような200mm×20
0mm×90mm厚さで200mm×200mmの面に
概ね150mm×150mm×90mm高さの突起を有
するダイカスト用のオス型に加工するとともに、突起の
表面から40mmの位置で冷却速度を測定するための熱
電対挿入用の孔を明けておいて、冷却速度の確認用とし
た。
孔にシース熱電対を挿入し、有効容量がおよそ0.4m
3(600mm×600mm×900mm)の真空炉を
用いて所定の焼入れ温度に加熱した。この時の真空度は
10マイナス3乗torrであった。所定の時間、焼入
れ温度に保持した後、金型に窒素ガスを吹き付けて冷却
した。冷却に用いるガスは不活性であるアルゴンガス、
ヘリウムガス等も使えるが、窒素ガスが冷却能も比較的
高いし、安価でもあるので最も使いやすい。窒素ガスの
圧力は、比較例としては冷却開始から冷却終了まで一貫
して2barと6barのガスを用い、本発明は始めに
2barまたは3barのガスを用いて冷却した後、4
50℃付近まで冷却された時、ガスを6barまたは8
barに上げて冷却した。本発明の焼入れ方法では、二
次冷却ガスを導入する時、高めた圧力分だけ新たな二次
冷却ガスを導入する。
定したところ、ほぼ図4に示すような冷却速度が得られ
た。最も重要なベイナイト変態域の通過時間は、本発明
ではおよそ10分(A)であるが、比較例1で15分
(B)、比較例2においては30分(C)も要している
ことがわかる。この冷却速度をSKD61の等温変態曲
線上で示すと概ね図5に示すようになる。焼入れが終了
した後、580℃×4時間 2回の焼戻しを施して概ね
所定の硬さ HRC48に調質して、金型の縮みと反り
を測定した。結果を表2に示す。比較例1では高温側が
冷却速度が大きいため、金型の変形が大きいので使用時
若干の手直しが必要であった。
前と焼入れ焼戻し後寸法の変化より求め、反りは金型を
定盤の上に載置し、金型の両端部に生ずる隙間をすきみ
ゲージにより求めたものである。次に金型の表面から4
0mm位置でのシャルピー値の測定とミクロ組織の観察
を40mm位置と最表面にて行なった。結果を表3に示
す。
ベイナイト組織が認められシャルピー値が低い。図7に
40mm位置で光学顕微鏡ミクロ組織写真の一例を示
す。図7によれば本発明による金型はほぼ健全なマルテ
ンサイト組織が得られたが、比較例2の場合に、強度の
ベイナイト組織になっている。また、最表面のミクロ組
織の観察結果より、内外に組織的な差異は認められず、
硬さ分布測定の結果でも内外ともにほぼ一定の硬さレベ
ルであったので、脱炭は認められず、従来の真空中で加
熱した後、油中に冷却する焼入れ方法の時にしばしば発
生するような浸炭現象も認められなかった。参考までに
従来の衝風焼入れした金型の表層部の脱炭状況の光学顕
微鏡ミクロ組織写真を図8に示す。金型の型彫り部表面
には概ね0.15mm深さの脱炭層が認められ、水冷孔
の表面にはおよそ0.01mm深さのフェライト化した
脱炭層が認められた。
れたダイカスト金型を実機に組み込んでアルミ合金の鋳
造試験を行なった。表4によれば、比較例2では、金型
のコーナー部に発生したヒートクラックが深くなり、修
正手直しなしで、使用した場合、5万ショットでその部
分より大割れに到ったが、本発明は従来方法の2倍以上
の寿命が得られ、冷却の初期より高圧ガスで冷却したも
のに比較して遜色のない寿命であった。
なく、ベイナイト組織は発生しても微小であり、長寿命
が得られるので使い易いが、その反面比較例1の場合に
は、ベイナイト組織も小さいし、長寿命が得られるが、
金型の変形(縮み、反り)が大きいので使い難いし、比
較例2は、金型の変形は小さいけれども、ベイナイト組
織が大きいため短寿命になった。
真空炉を用いて加熱し、冷却にはガスを用いて炭化物ま
たはトルースタイトが析出する冷却速度よりも速い冷却
を行なった後、ガス圧を高めて急速に冷却するものであ
る。このような焼入れを施すことによって、金型の変寸
や反りを少なくすると共に、ベイナイトの析出を低減
し、金型表面が脱炭も浸炭もない靭性に優れて健全な金
型が得られる。その結果、使用中早期にヒートクラック
の発生や大割れの発生がなく、安定した長寿命の金型を
提供することができるので、工業上非常に有効な発明で
ある。
の一般的な関係を示す図である。
熱の状況を示す図である。
速度と靭性の関係を示す図である。
冷却ガスの圧力と冷却速度の関係を示す図である。
D61の等温変態曲線上で示す図である。
ス型)の寸法形状を示す斜視図である。
ら40mm深さでの光学顕微鏡ミクロ組織写真である。
の表層部の脱炭状況を示す光学顕微鏡ミクロ組織写真で
ある。
ベイナイト組織が認められシャルピー値が低い。図7に
40mm位置における本発明の典型的なミクロ組織写真
と粗大なベイナイト組織が生成してしまった従来の金型
のミクロ組織写真を示す。図7は、比較のため本発明に
おいてベイナイトのセルが明確に確認できるものを選ん
だもので表3に示す試料ではない。また、最表面のミク
ロ組織の観察結果より、内外に組織的な差異は認められ
ず、硬さ分布測定の結果でも内外ともにほぼ一定の硬さ
レベルであったので、脱炭は認められず、従来の真空中
で加熱した後、油中に冷却する焼入れ方法の時にしばし
ば発生するような浸炭現象も認められなかった。参考ま
でに従来の衝風焼入れした金型の表層部の脱炭状況の光
学顕微鏡ミクロ組織写真を図8に示す。金型の型彫り部
表面には概ね0.15mm深さの脱炭層が認められ、水
冷孔の表面にはおよそ0.01mm深さのフェライト化
した脱炭層が認められた。
Claims (6)
- 【請求項1】 真空焼入れされた金型の表面から深さ4
0mmの部位に析出するベイナイト組織が、長さ20μ
m以下、幅2μm以下であることを特徴とする金型。 - 【請求項2】 真空焼入れされた金型の底面で検出する
金型のそりが0.2%以下、収縮率が0.15%以下で
あることを特徴とする請求項1に記載の金型。 - 【請求項3】 真空焼入れされた金型の表面の熱処理肌
が残存する部位が実質的に無脱炭または無浸炭である請
求項1または2の金型。 - 【請求項4】 真空中で加熱された金型に対して、冷却
ガスを吹き付けて冷却をする焼入れ方法において、冷却
の途中で前記冷却ガスの圧力を高めることを特徴とする
金型の焼入れ方法。 - 【請求項5】 真空中で加熱された金型に対して、冷却
ガスを吹き付けて冷却をする焼入れ方法において、真空
炉に一次冷却ガスを導入して冷却を開始し、冷却の途中
で前記金型がベイナイト変態を開始する前に、圧力を高
めた二次冷却ガスを導入して冷却することを特徴とする
請求項4の金型の焼入れ方法。 - 【請求項6】 真空中で加熱された金型に対して、冷却
ガスを吹き付けて冷却をする焼入れ方法において、真空
炉に1〜4barの一次冷却ガスを導入して炭化物もし
くはトルースタイトが析出する冷却速度よりも速い冷却
速度で650ないし300℃まで冷却し、次いで4〜1
0barの二次冷却ガスを導入してベイナイトの析出を
防止することを特徴とする請求項4の金型の焼入れ方
法。
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