JP2008045200A - 鋼部材の冷却方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】高温熱処理後の歪み発生を従来よりも抑制することができる鋼部材の冷却方法を提供すること。
【解決手段】鋼部材をオーステナイト化温度以上に昇温する熱処理を行った後に上記鋼部材を冷却する方法において、鋼部材の冷却開始から所定の期間は、雰囲気ガスを大気圧よりも低く減圧した状態で冷却する減圧冷却を行う。減圧冷却は、雰囲気ガスを大気圧よりも低く減圧した状態で、該雰囲気ガスを撹拌しながら行うことが好ましい。減圧冷却は、少なくとも、鋼部材の組織変態がすべて完了するまで行うことが好ましい。減圧冷却における雰囲気ガスの減圧状態は、0.1bar〜0.65barの範囲とすることが好ましい。
【選択図】図15

Description

本発明は、鋼部材を高温熱処理した後の冷却方法に関する。
例えば、歯車等の鋼部材は、靱性を維持しつつ表面硬度を高めるための処理として浸炭焼入れ処理が施されることが多い。浸炭焼入れ処理は、鋼部材をオーステナイト化温度以上に加熱した状態で表面の炭素濃度を増大させる浸炭処理を行った後に、焼入れ処理を行って芯部の靱性を確保すると共に、表面硬度を高める処理である。
従来の浸炭焼入れ処理としては、出側に油焼入れ槽を備えた大型の熱処理炉を用いて、長時間浸炭処理した直後に油焼入れする方法がとられていた。焼入れ時の冷却剤を油とする理由は、水の場合よりも比較的緩やかな冷却が行えることによる歪みの抑制を目的としたものである。しかしながら、油焼入れを行っても、上記従来の方法で浸炭焼入れ処理を行った鋼部材は、歪みの発生の問題を解消することが困難であり、高い寸法精度が必要な部材については、浸炭焼入れ後に切削、研削、研磨等の工程が必要となっていた。
また、従来の浸炭焼入れ処理は、上記のごとく大型の熱処理炉を用いた長時間の浸炭処理を必須とするために、処理時間が長く、消費エネルギーも多い。そのため、浸炭焼入れ処理に必要な処理時間の短縮および消費エネルギーの低減、さらには、浸炭焼入れ設備そのものの小型化が望まれていた。
このような背景のもと、浸炭処理後の焼入れ処理として、部品全体に焼入れ処理を行うのではなく局部的に焼入れを行う高周波焼入れ方法(特許文献1参照)を適用することが考えられる。しかしながら、単純に高周波焼入れ処理を適用しただけでは、歪み発生を十分に抑制することができない。これは、浸炭処理直後、焼入れ前の冷却時に生じる歪みによる。
特開平11−131133号公報
本発明は、かかる従来の問題点に鑑みてなされたもので、高温熱処理後の歪み発生を従来よりも抑制することができる鋼部材の冷却方法を提供しようとするものである。
本発明は、鋼部材をオーステナイト化温度以上に昇温する熱処理を行った後に上記鋼部材を冷却する方法において、
上記鋼部材の冷却開始から所定の期間は、雰囲気ガスを大気圧よりも低く減圧した状態で冷却する減圧冷却を行うことを特徴とする鋼部材の冷却方法にある(請求項1)。
本発明の冷却方法では、上記のごとく、鋼部材の冷却開始から所定の期間において、雰囲気ガスを大気圧よりも減圧した状態で冷却する減圧冷却を行う。これにより、雰囲気ガスを大気圧状態で冷却する場合に比べて、鋼部材の歪みの発生を抑制することができる。
すなわち、減圧状態で雰囲気ガスを撹拌する場合には、大気圧状態で雰囲気ガスを撹拌する場合に比べ、循環する雰囲気ガスの風上と風下での冷却効果の差を低減させることができる。つまり、通常大気圧で徐冷する場合、大気圧中の冷却ガスに被冷却部材に接触させただけで熱交換が進み被冷却部材の冷却が開始する。この場合、積極的なガス攪拌または熱によるガス対流により風上と風下が生じ、冷却速度差が生じる。冷却速度差により被冷却部材の温度差が生じ、熱処理歪を発生する。これに対し、冷却ガスを減圧状態とすることによって、風上・風下のいずれであっても、そもそも熱交換速度が遅く、冷却速度差が生じ難い。それ故、冷却ガスを減圧状態とする減圧徐冷を採用した場合には、比較的均一に冷却が進む為、熱処理歪の発生が少ない。また、撹拌を全くしない場合であっても、減圧状態の場合には、大気圧の場合よりも、温度の異なる雰囲気ガスの滞留による冷却効果の差を低減させることができる。
したがって、本発明の冷却方法を用いれば、歪みの発生を従来よりも抑制することができ、寸法精度の厳しい鋼部材の品質をさらに向上させることができる。
そして、この冷却方法は、後述する浸炭処理を前提とした熱処理に限らず、浸炭処理を行わない種々の熱処理の場合における冷却工程を実施する場合に適用することができる。
本発明の冷却方法を減圧冷却工程として利用した鋼部材の熱処理方法として、鋼部材を減圧下の浸炭ガス中において浸炭処理する真空浸炭工程と、
該真空浸炭工程を終えた上記鋼部材を、冷却ガス中において冷却するに当たり、該冷却ガスを大気圧よりも低く減圧した状態で冷却する減圧冷却工程と、
冷却された上記鋼部材の所望部分を高周波加熱した後に水焼入れする高周波焼き入れ工程とを含むことを特徴とする鋼部材の熱処理方法がある。
上記鋼部材の熱処理方法は、浸炭処理工程として上記真空浸炭処理を採用すると共に、焼入れ処理工程として上記高周波焼入れ工程を採用し、かつ、両工程の間に本発明の冷却方法である上記減圧冷却工程を積極的に取り入れた方法である。これによって、従来と同等以上の浸炭焼入れ処理を施すことができると共に、歪み発生を大幅に抑制することができ、さらに従来よりも処理時間を短くすることも可能となる。
即ち、浸炭処理工程としては、鋼部材を減圧下の浸炭ガス中において浸炭処理する真空浸炭工程を行う。この真空浸炭では、高温の浸炭炉の内部を減圧状態に維持しながら比較的少量の浸炭ガスによって浸炭処理を行うことができるので、従来よりも効率よく浸炭処理を行うことができる。
また、焼入れ処理工程としては、鋼部材の所望部分を高周波加熱した後に水焼入れする高周波焼き入れ工程を行う。この高周波焼き入れ工程では、鋼部材全体を加熱するのではなく、高周波加熱の特性を活かして所望部分、つまり、焼入れにより強度向上させたい部分のみを急速に加熱し、その部分を焼入れする。これにより、従来のように鋼部材全体を焼入れ処理する場合よりも、焼入れ処理時の歪みの発生を大幅に抑制することができ、高周波焼き入れ工程前の形状を焼入れ後もほぼ維持することが可能となる。
また、この高周波焼入れ工程では、急冷の冷却剤として水を採用して水焼入れを行う。これにより、従来の油焼入れの場合に比べて冷却能を向上させることができ、焼入れによる強度向上効果を高めることが可能となる。また、この焼入れ能の向上が得られるので、上記真空浸炭工程における浸炭深さ等の浸炭処理の度合いを低下させたとしても、これを上記焼入れ能の向上によって補うことが可能となる。それ故、この高周波焼き入れ工程と上記真空浸炭工程とを組み合わせることによって、上記真空浸炭工程における浸炭処理時間を短縮してより効率化することも可能となる。
一方、たとえ歪み抑制効果の高い上記高周波焼入れ工程を採用しても、その工程の前の鋼部材そのものが歪んでいる場合には、高精度の鋼部材を得ることは困難となる。このような問題を解決するのが真空浸炭工程と高周波焼き入れ工程の間に行う上記減圧冷却工程となる本発明の冷却方法である。
即ち、上記減圧冷却工程、つまり本発明の冷却方法では、真空浸炭工程を終えた高温状態の上記鋼部材を、冷却ガス中において冷却するに当たり、該冷却ガスを大気圧よりも低く減圧した状態で冷却する。これにより、冷却ガスを大気圧状態で冷却する場合に比べて、鋼部材の歪みの発生を抑制することができる。
すなわち、冷却時に冷却ガスを撹拌する場合には、冷却ガスを減圧状態とすることによって、大気圧状態の場合に比べ、循環する冷却ガスの風上と風下での冷却速度の差を低減させることができる。つまり、通常大気圧で徐冷する場合、大気圧中の冷却ガスに被冷却部材に接触させただけで熱交換が進み被冷却部材の冷却が開始する。この場合、積極的なガス攪拌または熱によるガス対流により風上と風下が生じ、冷却速度差が生じる。冷却速度差により被冷却部材の温度差が生じ、熱処理歪を発生する。これに対し、冷却ガスを減圧状態とすることによって、風上・風下のいずれであっても、そもそも熱交換速度が遅く、冷却速度差が生じ難い。それ故、冷却ガスを減圧状態とする減圧徐冷を採用した場合には、比較的均一に冷却が進む為、熱処理歪の発生が少ない。また、撹拌を全くしない場合であっても、減圧状態の場合には、大気圧の場合よりも、温度の異なる冷却ガスの滞留による冷却速度の差を低減させることができる。
このような冷却ガスの減圧による効果を利用することにより、上記減圧冷却工程を施した鋼部材は、歪み発生を抑制することができ、高精度の寸法精度を維持したまま上記高周波焼き入れ工程に進めることができる。そして、これにより、上述した高周波焼き入れ工程によるメリットを活かして、焼入れ後の鋼部材も歪みの少ない高精度のものとすることができる。
したがって、上記熱処理方法を用いれば、歪みの発生を従来よりも大幅に抑制し、効率的に浸炭焼入れの効果を得ることができる。
上述した真空浸炭工程は、上記のごとく、鋼部材を減圧下の浸炭ガス中において浸炭処理する工程である。この場合の減圧状態は、0.001〜0.1barの範囲とすることが好ましい。浸炭時の減圧が0.001bar未満の場合には真空度維持のために高価な設備が必要となるという問題が生じる。一方、0.1barを超える場合には浸炭中にススが発生し、浸炭濃度ムラが生じるという問題が生じるおそれがある。
また、上記浸炭ガスとしては、例えば、アセチレン、プロパン、ブタン、メタン、エチレン、エタン等を適用することができる。
また、上記高周波焼き入れ工程としては、公知の方法を適用できる。
また、上記減圧冷却工程は、真空浸炭工程を終えた高温状態の鋼部材に対して行うが、必ずしも冷却完了まで続ける必要はない。少なくとも歪み発生にほとんど影響がない低温域に入ってからは、上記減圧冷却ではなく、減圧状態を解除した大気圧での冷却、あるいは積極的に大気圧以上に増圧した状態での冷却を行ってもよい。
また、上記減圧冷却中においても、減圧条件を途中で緩めたり、撹拌条件を変更したりすることも可能である。むしろ、歪み発生のおそれが減少する低温域においては、冷却効率を向上できる条件に変更することが工業的には好ましい。
上記減圧冷却の終了時期は、鋼部材の温度または冷却時間によって管理することが可能である。その最適な条件は、鋼部材の種類、一度に処理する量、冷却ガスの種類、冷却ガスの撹拌装置の能力等に応じて変化するので、実験によって管理値を求め、それに従うことが好ましい。
上記減圧冷却の終了時期を温度によって定める場合には、例えば、500℃以下の所定の温度になった時期とすることができる。少なくとも500℃まで歪み発生抑制可能な条件で徐冷すれば、上記の作用効果を十分に発揮することができる。
また、上記減圧冷却は、減圧状態の冷却ガスを撹拌しなくても、大気圧状態の場合と比較すると歪み抑制効果が高くなるが、より好ましくは、適度な撹拌を行って、冷却ガスの滞留を防止するのがよい。
すなわち、上記減圧冷却は、上記冷却ガスを大気圧よりも低く減圧した状態で、該冷却ガスを撹拌しながら行うことが好ましい(請求項2)。これにより、よりいっそう歪み抑制効果を高めることができる。
また、上記減圧冷却は、少なくとも、上記鋼部材の冷却による組織変態が始まる前からすべての組織変態が完了するまで行うことが好ましい(請求項3)。即ち、鋼部材をオーステナイト状態から常温まで冷却する場合には、必ず組織変態を伴うが、その組織変態中に歪みが生じやすい。特に、組織変態中の冷却条件が部位によってばらつけば、歪みが出やすくなる。そのため、上記減圧冷却の期間中に鋼部材の組織変態を完了させることが好ましい。
また、上記減圧冷却における上記冷却ガスの減圧状態は、0.1bar〜0.65barの範囲とすることが好ましい(請求項4)。上記減圧状態を0.1bar未満にするには減圧装置が非常に高価となりすぎるという問題がある。一方、0.65barを超える場合には、冷却ガスの減圧による上記作用効果が少なくなるという問題がある。
そのため、上記減圧冷却における上記冷却ガスの減圧状態は、0.1bar〜0.3barの範囲とすることがより好ましい。特に0.3bar以下とすることによって、上記の減圧による効果を高めることができる。
また、上記減圧冷却中には、上記鋼部材の温度がA1変態点以下となった後に上記冷却ガスの撹拌速度を高める条件で冷却を行うことができる(請求項6)。すなわち、上記減圧冷却は、減圧状態で行うので、大気圧以上の状態で行う場合よりも冷却効率が低下する。そのため、上記鋼部材の温度が歪み発生に影響しないA1変態点以下の温度領域に入ってからは、冷却ガスの撹拌速度を高めることにより冷却効率を少しでも向上させることができる。最も容易な方法としては、減圧冷却工程の初期においては撹拌速度を0または最低限の速度に落としておき、その後、上記鋼部材の温度がA1変態点以下となった後に撹拌速度を高める方法がある。これにより、上記鋼部材の温度がA1変態点以下となった後に冷却能力が向上し、全体の冷却時間を短縮させることができる。また、撹拌速度を高める方法としては、一気に高める方法でもよいが、徐々に高める方法の方がより好ましい。
また、上記減圧冷却中には、上記鋼部材の温度がA1変態点以下となった後に上記冷却ガスの圧力を高める条件で冷却を行うこともできる(請求項7)。この場合には、上記鋼部材の温度が歪み発生に影響しないA1変態点以下の温度領域に入ってから、冷却ガスの圧力増大によって冷却速度を高めることができ、全体の冷却時間を短縮することができる。もちろん、上記の撹拌速度を高める方法と合わせて冷却ガスの圧力を高める方法をとることもできる。
また、この減圧冷却中の圧力増大は、あくまでも大気圧よりも低い範囲で行う。また、圧力増大は、一気に行ってもよいが、徐々に行う方がより好ましい。なお、上述したように、減圧冷却を完了させた後に、大気圧あるいはそれ以上に増圧することは妨げられない。
また、上記減圧冷却では、上記冷却ガスとして、上記真空浸炭工程における上記浸炭ガスと異なる様々な冷却ガスを用いることができる。特に、上記冷却ガスは窒素ガス(N2ガス)であることが好ましい。この場合には、鋼部材の酸化を抑制しつつ冷却することができる。
もちろん、上記冷却ガスとしては、鋼部材に求められる品質に応じて、公知の様々なガスを選択することができる。
また、上記鋼部材は、上記真空浸炭工程及び上記減圧冷却工程後にバナジウム炭窒化物の析出強化もしくはベイナイト組織の変態強化により、機械的強度もしくは硬度を得る非調質鋼であることが好ましい。上記のようないわゆる非調質鋼が、上記熱処理方法の適用による効果を有効に発揮させることができる。
また、上記鋼部材は、上記真空浸炭工程および上記減圧冷却工程後において、浸炭の及ばない部材内部の硬度が、ビッカース硬度Hvの値において50〜150上昇する非調質鋼であることが好ましい。即ち、上記真空浸炭工程および上記減圧冷却工程を行う前における上記鋼部材のビッカース硬度と、これらの工程を行った後の上記鋼部材のビッカース硬度との差が、50〜150Hvとなる非調質鋼を用いることが好ましい。これにより、従来の浸炭用の鋼を従来の方法で浸炭焼入れした場合と同等以上の強度特性を容易に得ることができる。
上記非調質鋼としては、具体的には次のような化学成分を有する鋼を適用できる。
すなわち、上記鋼部材の化学成分が、質量%において、C:0.1〜0.6%、Si:0.1〜0.6%、Mn:0.5〜3.0%、Cr:0.1〜2.0%、Mo:0〜0.3%、V:0〜0.3%、S:0〜0.05%を含有し、残部がFe及び不可避的不純物よりなる非調質鋼(以下、基本鋼という)を用いることができる。
C含有量は、上記のごとく0.1〜0.6%とすることが好ましい。C含有量が0.1%未満の場合には十分な炭窒化物が生成しないという問題があり、一方、0.6%を超える場合には、硬度が高くなり、切削加工性が低下するという問題がある。
また、Si含有量は、0.1〜0.6%とすることが好ましい。Siは焼入層の焼戻軟化抵抗を向上させることにより、歯車のピッチング寿命を向上させる硬化がある。Si含有量が0.1%未満の場合にはその硬化があまり得られない。一方、浸炭性を劣化させることを防止するためにはSi添加量を抑制することが好ましく、その観点からSi含有量を0.6%以下とすることが好ましい。
また、Mn含有量は、0.5〜3.0%とすることが好ましい。Mnは焼入性を向上させるのに有効な元素である。その効果はMn含有量を0.5%以上とすることで得ることができる。一方、Mn含有量が3.0%を超える場合には芯部組織にマルテンサイト組織が生じて歪みが大きくなるおそれがある。
また、Cr含有量は、0.1〜2.0%とすることが好ましい。Cr含有量を0.1%以上とすることによって焼入層の焼戻軟化抵抗を向上させることができる。一方、Cr含有量が2.0%を超える場合には、Cr系炭化物の生成による靱性劣化が生じるおそれがある。
また、Mo含有量は、0〜0.3%とすることが好ましい。Moは添加しなくてもよい。添加すれば焼入層を強靱化して曲げ疲労強度を向上する硬化がある。その硬化を得るには、0.01%以上とすることが好ましい。一方、Mo含有量が0.3%を超えて添加してもその効果が飽和するため、上限は0.3%とすることが好ましい。
また、上記V含有量は0〜0.3%とすることが好ましい。Vは添加しなくてもよいが、添加すれば炭窒化物の析出効果もしくはベイナイト組織の変態強化効果が得られ鋼を強化する。この効果を発揮するには0.01%の添加が必要である。一方、V含有量が0.3%を超えてもその効果が飽和して経済性を損ねるおそれがある。
また、上記S含有量は0〜0.05%とすることが好ましい。Sは含有させなくてもよいが、被削性を向上させる場合には0.005%以上含有させることが好ましい。しかし、0.05%を超えると鍛造性を阻害するため、0.05%以下とすることが好ましい。
さらに好ましい非調質鋼としては、上記鋼部材の化学成分が、質量%において、C:0.22〜0.26%、Si:0.15〜0.35%、Mn:1.40〜1.60%、Cr:0.40〜0.60%、Mo:0〜0.3%、V:0〜0.3%、S:0〜0.05%を含有し、残部がFe及び不可避的不純物よりなる非調質鋼がある。
また、上記鋼部材の化学成分が、質量%において、C:0.11〜0.15%、Si:0.15〜0.35%、Mn:2.10〜2.30%、Cr:0.90〜1.10%、Mo:0〜0.3%、V:0〜0.3%、S:0〜0.05%を含有し、残部がFe及び不可避的不純物よりなる非調質鋼も好適に適用できる。
さらに、上記鋼部材の化学成分が、質量%において、C:0.2〜0.3%、Si:0.2〜0.6%、Mn:1.4〜2.0%、Cr:0.2〜0.6%、Mo:0〜0.4%、V:0.05〜0.25%、S:0〜0.05%を含有し、残部がFe及び不可避的不純物よりなる非調質鋼を用いることもできる。
また、上記鋼部材の化学成分が、質量%において、C:0.2〜0.3%、Si:0.4〜0.6%、Mn:1.4〜2.0%、Cr:0.4〜0.6%、Mo:0〜0.1%、V:0.05〜0.25%、S:0〜0.05%を含有し、残部がFe及び不可避的不純物よりなる非調質鋼を用いることも好ましい。
また、上記鋼部材の化学成分が、質量%において、C:0.2〜0.3%、Si:0.4〜0.6%、Mn:1.4〜2.0%、Cr:0.4〜0.6%、Mo:0.3〜0.4%、V:0.05〜0.25%、S:0〜0.05%を含有し、残部がFe及び不可避的不純物よりなる非調質鋼を用いることも好ましい。
これらの非調質鋼は、上述した基本鋼の化学成分をさらに限定したものであり、各元素の添加による効果がより明確に発揮されるようにしたものである。
即ち、C含有量は、0.22〜0.26%、0.11〜0.15%、又は0.2〜0.3%の範囲にさらに限定することが好ましい。これらの範囲に限定することによって、芯部の強度の確保と靱性及び切削性の低下の抑制効果をより一層確実に得ることができる。
また、Siは、0.15〜0.35%、または0.2〜0.6%、さらには0.4〜0.6%の範囲に限定することがより好ましい。これらの範囲に限定することによって、焼入層の焼戻軟化抵抗の向上効果の確保と浸炭性低下の抑制効果をより一層確実に得ることができる。
また、Mnは、1.40〜1.60%、2.10〜2.30%、又は1.4〜2.0%の範囲にさらに限定することが好ましい。これらの範囲に限定することによって、焼入性及び焼戻軟化抵抗の向上の確保とマルテンサイト組織生成の抑制効果をより一層確実に得ることができる。
また、Crは、0.40〜0.60%、0.90〜1.00%、又は0.2〜〜0.6%、さらには0.4〜0.6%の範囲に限定することが好ましい。これらの範囲に限定することによって、焼入性及び焼戻軟化抵抗の向上の確保とCr系炭化物の生成による靱性劣化の抑制効果をより一層確実に得ることができる。
また、Mo含有量は、0〜0.3%、さらに0〜0.1%、または0.3〜0.4%に限定することが好ましい。この範囲に限定することによって、経済性の低下をより一層抑制することができる。
また、V含有量は、0.01〜0.3%、さらに0.05〜0.25%に限定することが好ましい。この範囲に限定することによって、組織の微細化効果をより一層確実に得ることができる。
なお、上述した非調質鋼に代えて、例えば機械構造用鋼として使用されるS15C、S20C、S35C、S45C、SCM415、SCM420、SCM440、SCr415、SCr420、SCr440、SNCM220等のJIS規格鋼を適用することができることは言うまでもない。
また、上記鋼部材が自動車の駆動系部品である場合には、特に上記熱処理方法が有効である。自動車の駆動系部品としては、例えば自動変速機における歯車、リング状部材、その他の部品があるが、これらは部分的な高強度特性と高い寸法精度の両方が求められる部品である。そのため、上述した優れた熱処理方法を適用することによって、製造工程の合理化、低コスト化を図ることができると共に、製品の高品質化を図ることができる。
次に、鋼部材の発明として、上記本発明の鋼部材の熱処理方法による熱処理を施してなり、最表面の残留応力が200〜1500MPaの圧縮残留応力となっていることを特徴とする鋼部材がある。この鋼部材は、上記の優れた熱処理方法を用いて作製することにより、強度特性および寸法精度に優れたものとなる。そして、特に、高周波加熱した後に水焼入れしているので、通常の浸炭焼入れの場合よりも上記範囲の高い圧縮残留応力を得ることができる。そして、この200〜1500MPaという高い圧縮残留応力により、曲げ疲労強度等が従来よりも優れたものとなる。
(実施例1)
本発明の実施例に係る鋼部材の冷却方法を減圧冷却工程として適用した熱処理方法につき、図1〜図6を用いて説明する。
本例では、自動変速機の部品として用いられるリング状の鋼部材8(リングギア)について、本発明の熱処理方法(本発明方法)および比較のための従来の浸炭焼入れ方法(比較方法)を実施して、歪み発生状況等を評価した。本例において処理する鋼部材8は、図3に示すごとく、筒状の本体部80の内周面に歯面81を備えたものであり、歯面の硬度が高く、また真円度が非常に重要な部品である。
まず、図1に示すごとく、本発明方法におけるヒートパターンAと、比較方法におけるヒートパターンBとを比較する。同図は、横軸に時間を、縦軸に温度を取り、浸炭焼入れ処理中における鋼部材の温度をヒートパターンA、Bとして示したものである。
本発明方法は、同図のヒートパターンAより知られるように、浸炭温度である950℃まで加熱した後、その温度で49分間保持して真空浸炭工程a1を行い、その後、40分かけて150℃以下の温度まで減圧冷却する減圧冷却工程a2を行い、その後、再度焼入れ温度である950℃まで高周波加熱により急速加熱した後水焼入れする高周波焼き入れ工程a3を行うというものである。
一方、比較方法は、同図のヒートパターンBより知られるように、浸炭温度である950℃まで加熱した後、その温度で220分間保持して通常の浸炭工程b1を行い、その後焼入れ温度である850℃に保持した後、油焼入れする焼入れ工程b2を行うというものである。また、比較方法では、油焼入れ時に付着した冷却剤(油)を洗い落とす後洗工程b3と残留応力除去も目的とした焼き戻し工程b4を行うが、その際にも若干の昇温を行う。なお、後述する歪み評価、強度評価、および残留応力評価においては、この焼き戻し工程b4を行った後の状態で行った。
次に、本発明方法を実施するための熱処理設備5と、比較方法を実施するための浸炭焼入れ設備9について、簡単に説明する。
図2(a)に示すごとく、本発明方法を実施するための熱処理設備5は、浸炭焼入れ処理前に鋼部材を洗浄するための前洗槽51と、加熱室521、真空浸炭室522、および減圧冷却室523を備えた真空浸炭徐冷装置52と、高周波焼き入れ機53と、欠陥を検査するための磁気探傷装置54とを備えたものである。
図2(b)に示すごとく、比較方法を実施するための浸炭焼入れ設備9は、浸炭焼入れ処理前に鋼部材を洗浄するための前洗槽91と、加熱・浸炭・拡散を行うための浸炭炉921および焼入れ油槽922とを備えた長大な浸炭炉92と、浸炭焼入れ処理後に鋼部材を洗浄するための後洗槽93と、焼き戻し処理を行うための焼き戻し炉94とを備えたものである。
次に、上記各設備を用いて、それぞれ上記鋼部材8の浸炭焼入れ処理を行い、強度特性、歪み発生状況、および残留応力発生状況についての比較を行った。
本発明方法では、図1のヒートパターンAにも示すごとく、鋼部材を減圧下の浸炭ガス中において浸炭処理する真空浸炭工程a1と、該真空浸炭工程を終えた上記鋼部材を、冷却ガス中において冷却するに当たり、該冷却ガスを大気圧よりも低く減圧した状態で冷却する減圧冷却工程a2と、冷却された上記鋼部材の所望部分を高周波加熱した後に水焼入れする高周波焼き入れ工程a3とを行った。
上記真空浸炭工程a1は、浸炭および拡散処理として950℃×49分の処理行ったが、その際の浸炭室の真空度は0.001bar、浸炭ガスの種類はアセチレンという条件とした。上記減圧冷却工程a2は、冷却ガスは窒素(N2)、減圧状態は0.2bar、冷却ガスの撹拌は有り、減圧冷却工程の期間は浸炭処理直後のオーステナイト化温度以上の温度から150℃以下の温度となるまで、冷却速度は10℃/分という条件とした。高周波焼き入れ工程a3は、高周波加熱によって鋼部材8の内周部である歯面81を、950℃に加熱し、その後水を吹き付けて水焼入れするという条件で行った。
比較方法では、図1のヒートパターンBからも知られるように、浸炭温度である950℃まで加熱した後、その温度で220分間保持して通常の浸炭工程b1を行い、その後焼入れ温度である850℃に保持した後、油焼入れする焼入れ工程b2を行うというものである。なお、比較例では、焼入れ工程b2後に後洗工程を実施し、更に、後洗工程b3後に焼き戻し工程b4を実施した。
また、上記比較方法では、浸炭に適したSCM420(JIS)を素材として用いた。
上記本発明方法では、上記の浸炭に適したSCM420(JIS)に代えて、化学成分が、質量%において、C:0.22〜0.26%、Si:0.15〜0.35%、Mn:1.40〜1.60%、Cr:0.40〜0.60%、Mo:0〜0.3%、V:0〜0.3%、S:0〜0.05%を含有し、残部がFe及び不可避的不純物よりなる非調質鋼、より具体的には、質量%において、C:0.23%、Si:0.22%、Mn:1.45%、Cr:0.46%、Mo:0.17%、V:0.09%、S:0.016%、残部がFe及び不可避的不純物よりなる非調質鋼(試料E1)を素材として用いた。
浸炭焼入れ処理を終えた鋼部材に対して、歯車の歯底815(図3)部分の表面からの距離に対するビッカース硬さ(Hv)を測定し、これを強度評価とした。測定結果を図4に示す。同図は横軸に表面からの距離(mm)を、縦軸にビッカース硬さ(Hv)をとったものである。そして、本発明方法により処理した鋼部材の結果を符号E1、比較方法により処理した鋼部材の結果を符号C1として示した。
同図から知られるように、本発明方法(E1)の場合は、内部に行くにつれて比較方法(C1)の場合よりも若干硬度が低くなるが、最表面ではむしろ比較方法よりも高い硬度が得られた。これらの結果から、本発明方法を適用することにより、従来と同等以上の優れた熱処理を施すことができることがわかる。
また、本発明方法(E1)の場合には、従来と同様の浸炭処理に適した材料を用いた場合には、浸炭時間を大幅に短くした分だけ浸炭深さが浅くなることによる強度低下が考えられる。しかし、本例のように、適用材料の変更と、水焼入れの採用によって、これらの強度的な問題を解消することができた。また、内部強度の従来品並までの向上は、素材の成分改良によって解決できる可能性がある。
次に、浸炭焼入れ処理を終えた鋼部材の寸法を測定することにより歪み発生量を比較した。
寸法の測定は、「BBD」と「BBDだ円」の2種類を行った。「BBD」は、図3に示すごとく、歯面81の谷部分に接触するように所定の直径の鋼球88を配置し、対向する硬球88同士の内径寸法を測定して得られた寸法である。そして、この測定を軸方向3箇所(同図(b)のa位置、b位置及びc位置)において、全周に対して行い、その測定値の平均値(Ave)、最大値(Max)、最小値(Min)を求めた。
次に、軸方向の各測定位置における上記「BBD」の最大値と最小値の差を「BBDだ円(μm)」として求めた。そして、上記と同様に、その測定値の平均値(Ave)、最大値(Max)、最小値(Min)を求めた。
図5には、上記の「BBD」と「BBDだ円」の測定結果を示す。同図左側の欄には、本発明方法の結果として、真空浸炭前、真空浸炭+減圧冷却後、高周波焼き入れ後の3つのタイミングにおける結果を示した。また、同図右側の欄には、比較方法の結果として、浸炭焼入れ前、浸炭焼入れ後2つのタイミングにおける結果を示した。また、各欄に示した表記は、左から図3(b)におけるa位置、b位置、c位置の3箇所についてそれぞれ最大値、最小値平均値をプロットして最大値と最小値を太線で縦に結んだものである。また、3箇所の位置の平均値は細線により結んだ。
同図より知られるごとく、本発明方法を採用すれば、焼入れ後においても歪み発生が抑制されることがわかる。また、その歪み発生の抑制効果は真空浸炭後の減圧徐冷によってすでに得られていることもわかる。
これに対し、比較例は、浸炭焼入れ処理によって大きな歪みが発生していることがわかる。
次に、浸炭焼入れ処理を終えた鋼部材の残留応力を測定し、比較した。測定結果を図6に示す。同図は、横軸に歯底815の表面からの距離をとり、縦軸に残留応力を、引張を+、圧縮を−としてとった。
本発明方法(E1)の場合には、少なくとも最表面から圧縮残留応力状態となっており、一方、比較方法(C1)の場合には、最表面が引張残留応力となっていることがわかる。最表面の残留応力が引張応力である場合には、様々な問題が生じるおそれがあるので、例えば熱処理あるいは表面改質処理を行って引張残留応力を緩和することが必要となる。したがって、本発明の方法は、そのような残留応力を改善するための処理を特に設ける必要がないという効果も得られることがわかる。
(実施例2)
本例では、上記実施例1における減圧冷却工程について、さらに複数種類の方法(試験1〜3)を実施し、歪みの発生状況を把握した。
試験1:
試験1では、図7に示すごとく、上記鋼部材をオーステナイト化温度以上の950℃に昇温する浸炭処理を行った後に、鋼部材を150℃以下まで冷却する。
図1は、横軸に時間、縦軸に温度を取り、鋼部材の温度履歴を示したものである(後述する図8〜図10も同様である)。上記熱処理は、同図A点〜B点の期間が熱処理の期間であり、B点以降が冷却の期間である。そして、試験1では、鋼部材の冷却開始から冷却完了まで、冷却ガスを大気圧よりも低く減圧した状態で冷却する減圧冷却を行った。
減圧冷却の条件は、冷却ガスとしてN2を用い、0.3bar一定の減圧状態とし、冷却ガスの撹拌を行う条件とした。撹拌速度は、冷却に用いた装置における撹拌ファンを定格回転数の550rpm一定で運転して得られる条件とした。
試験2:
試験2では、図8に示すごとく、鋼部材の冷却開始から冷却完了まで、冷却ガスを大気圧よりも低く減圧した状態で冷却する減圧冷却を行ったが、詳細条件を試験1と変えた。すなわち、減圧冷却の条件として、冷却ガスとしてN2を用い、0.3bar一定の減圧状態とした点は試験1と同様であるが、撹拌速度の条件を、最初は撹拌ファンの回転数を250rpm一定に落として運転し、その後、15分後(図8のC点)に550rpm一定に変更するという条件とした。その他は試験1と同様である。
試験3:
試験3では、図9に示すごとく、鋼部材の冷却開始から冷却完了まで、冷却ガスを大気圧よりも低く減圧した状態で冷却する減圧冷却を行ったが、詳細条件を試験1と変えた。すなわち、減圧冷却の条件として、冷却ガスとしてN2を用い、その減圧状態を0.65bar一定とした。その上で、最初は冷却ガスの撹拌を行わず、その後、15分後(図9のC点)に550rpm一定に変更するという条件とした。その他は試験1と同様である。
試験4(比較試験):
試験4では、図10に示すごとく、鋼部材の冷却開始から冷却完了まで、冷却ガスを大気圧のままの状態で冷却した。すなわち、冷却条件は、冷却ガスの圧力は1.0bar(大気圧)一定とし、撹拌条件は、撹拌ファンの回転数を定格より落とした250rpm一定とした。冷却前の熱処理条件は試験1と同様である。
上記の試験1〜3と試験4の冷却方法によって複数の鋼部材8であるリングギアを処理し、その寸法を測定することにより歪み発生量を比較した。
本例で処理したリングギア8は、図3に示すごとく、実施例1と同様に、リング状の本体部80の内周面に歯面81を備えたものであり、その真円度が非常に重要である。そこで、軸方向3箇所(同図(b)のa位置、b位置及びc位置)において、全周のBBD寸法を測定し、それぞれ最大値と最小値の差を「BBDだ円(μm)」として求めた。上記BBD寸法は、図3に示すごとく、歯面81の谷部分に接触するように所定の直径の鋼球88を配置し、対向する硬球88同士の内径寸法を測定して得られた寸法である。そして、このBBDだ円の測定を処理したすべての鋼部材について行い、得られたBBDだ円の平均値(Ave)、最大値(Max)、最小値(Min)を求め、図11中に数値及びグラフを示した。なお、処理した鋼部材の数(n)は、それぞれ、10個〜25個である。
図11より知られるごとく、試験1〜3の場合には、いずれの場合もBBDだ円の値が試験4(比較試験)よりも小さく、歪み抑制効果が非常に高いことがわかる。
(実施例3)
本例は、図12に示すごとく、実施例1と同様の歪み評価を、リング状本体部70の外周側に歯面71を有するリング状の鋼部材7(デフリングギア)に対して行った。この鋼部材7も、自動車の自動変速機に用いられる部品である。
本例で行う本発明方法および比較方法は、いずれも実施例1と同じ方法とし、素材の材質も実施例1と同じとした。
歪みの評価は、鋼部材7の軸方向3箇所(a位置、b位置、c位置)における「OBD」を測定して評価した。「OBD」は、各軸方向位置において、歯面71の谷部分に接触するように所定の直径の鋼球を配置し、対向する硬球同士の外径寸法を測定して得られた寸法である。そして、この測定を周方向4箇所において行い、その平均値を評価値として用いた。得られたOBDの平均値(Ave)、最大値(Max)、最小値(Min)を求め、図12中に数値及びグラフを示した。なお、処理した鋼部材の数(n)は、それぞれ、10個〜25個である。また、本発明方法においては、真空浸炭前、真空浸炭+減圧冷却後、高周波焼入れ後の3つのタイミングにおいて評価した。比較方法においては、浸炭焼入れ前、浸炭焼入れ後の2つのタイミングにおいて評価した。
図12から知られるように、本発明方法を採用すれば、焼入れ後においても歪み発生が抑制されることがわかる。
これに対し、比較方法の場合には、浸炭焼入れ処理によって大きな歪みが発生していることがわかる。
(実施例4)
本例では、実施例1における素材(試料E1)に代えて、化学成分が異なる複数の素材(試料E2〜E4)を用いた歯車(図3)に対して本発明方法を実施した。
試料E2は、化学成分が、質量%において、C:0.11〜0.15%、Si:0.15〜0.35%、Mn:2.10〜2.30%、Cr:0.90〜1.10%、Mo:0〜0.3%、V:0〜0.3%、S:0〜0.05%を含有し、残部がFe及び不可避的不純物よりなる非調質鋼、より具体的には、質量%において、C:0.13%、Si:0.24%、Mn:2.20%、Cr:1.00%、Mo:0.18%、V:0.07%、S:0.018%を含有し、残部がFe及び不可避的不純物よりなる非調質鋼である。
試料E3は、化学組成が質量%において、C:0.2〜0.3%、Si:0.4〜0.6%、Mn:1.4〜2.0%、Cr:0.4〜0.6%、Mo:0〜0.1%、V:0.05〜0.25%、S:0〜0.5%を含有し、残部がFe及び不可避的不純物となるよう開発された開発鋼、より具体的には、質量%において、C:24%、Si:0.5%、Mn:1.8%、Cr:0.5%、Mo:0.03%、V:0.12%、S:0.016%を含有し、残部がFe及び不可避的不純物よりなる開発鋼である。
試料E4は、化学成分が質量%において、C:0.2〜0.3%、Si:0.4〜0.6%、Mn:1.4〜2.0%、Cr:0.4〜0.6%、Mo:0.3〜0.4%、V:0.05〜0.25%、S:0〜0.5%を含有し、残部がFe及び不可避的不純物となるよう開発された開発鋼、より具体的には、質量%において、C:0.24%、Si:0.5%、Mn:1.4%、Cr:0.5%、Mo:0.37%、V:0.12%、S:0.016%を含有し、残部がFe及び不可避的不純物よりなる開発鋼である。
そして、実施例1と同様に、浸炭焼入れ処理を終えて得られた歯車(鋼部材)の歯底815部分の表面からの距離に対するビッカース硬さ(Hv)を測定した。
その測定結果図14に示す。同図は横軸に表面からの距離(mm)を、縦軸にビッカース硬さ(Hv)をとったものである。そして、試料E2よりなる歯車の結果を符号E2、試料E3よりなる歯車の結果を符号E3として示した。また、参考のために、実施例1における本発明例E1と比較例C1も合わせて記載した。
同図から知られるように、本発明方法を適用することによって、材質を上記の試料E2、E3、E4に変更しても、従来と同等以上の優れた熱処理を施すことができることがわかる。
(実施例5)
本例では、図15に示すごとく、実施例1において示した減圧徐冷工程a2として採用可能な減圧徐冷パターンについての例を説明する。
図15は、横軸に時間をとり、第1縦軸に冷却ファンの回転数(a)を、第2縦軸に被処理材の温度(b)を、第3縦軸に冷却ガスの圧力(c)をとったものである。
同図より知られるごとく、本例では、最初の第1冷却ステップP31の間は、冷却ファンの回転数を低めに設定すると共に、冷却ガス圧を大気圧よりも十分に低い減圧状態として減圧徐冷を行った。
次に、第2冷却ステップP32の間は、冷却ファンの回転数を定格よりは十分低いものの上記第1冷却ステップP31の場合よりも若干高くし、さらに、冷却ガス圧も大気圧よりも低いものの上記第1冷却ステップP31の場合よりも若干高い状態に設定し、第1冷却ステップP31よりは若干冷却能力が高い減圧徐冷を行った。本例では、この第2冷却ステップP32の間において、被処理材の温度がいわゆるA1変態点を迎えるようにした。
次に、第3冷却ステップP33の間は、冷却ファンの回転数および冷却ガス圧を十分に高めた急冷条件とした。
以上のように、最初の被処理材が最も高温状態にある第1冷却ステップP31では、冷却ガスの圧力および循環速度(冷却ファンの回転数)を低くする減圧徐冷を行うことによって、冷却歪みの発生を確実に抑えることができる。次に、ある程度被処理材の冷却が進んだ第2冷却ステップP32では、冷却歪みの発生の可能性が低下しているので、若干冷却能力を高めるものの、鋼のA1変態点を超える際の組織変態に伴う歪み発生を抑制すべく、減圧徐冷条件は維持する。これにより、A1変態点を超える際の歪み発生を極力抑えることができる。その後、第3冷却ステップP33では、冷却ガスの圧力および循環速度を高めることによって冷却能力を最大とすることができる。
実施例1における、(a)本発明方法のヒートパターンを示す説明図、(b)比較方法のヒートパターンを示す説明図。 実施例1における、(a)本発明方法を実施する熱処理設備、(b)比較方法を実施する浸炭焼入れ設備を示す説明図。 実施例1にける、(a)鋼部材の平面図、(b)鋼部材の断面図((a)のA−A線矢視断面図)。 実施例1における、浸炭焼入れ後の硬度分布を示す説明図。 実施例1における、歪み発生状況を示す説明図。 実施例1における、残留応力発生状況を示す説明図。 実施例2における、試験1の鋼部材の冷却パターンを示す説明図。 実施例2における、試験2の鋼部材の冷却パターンを示す説明図。 実施例2における、試験3の鋼部材の冷却パターンを示す説明図。 実施例2における、試験4の鋼部材の冷却パターンを示す説明図。 実施例2における、歪み発生状況を示す説明図。 実施例3における、(a)鋼部材の平面図、(b)鋼部材の断面図((a)のA−A線矢視断面図)。 実施例3における、歪み発生状況を示す説明図。 実施例4における、浸炭焼入れ後の硬度分布を示す説明図。 実施例5における、減圧徐冷パターンの具体例を示す説明図。
符号の説明
5 熱処理設備、
7 鋼部材(デフリングギア)、
8 鋼部材(リングギア)

Claims (7)

  1. 鋼部材をオーステナイト化温度以上に昇温する熱処理を行った後に上記鋼部材を冷却する方法において、
    上記鋼部材の冷却開始から所定の期間は、雰囲気ガスを大気圧よりも低く減圧した状態で冷却する減圧冷却を行うことを特徴とする鋼部材の冷却方法。
  2. 請求項1において、上記減圧冷却は、上記雰囲気ガスを大気圧よりも低く減圧した状態で、該雰囲気ガスを撹拌しながら行うことを特徴とする鋼部材の冷却方法。
  3. 請求項1又は2において、上記減圧冷却は、少なくとも、鋼部材の組織変態がすべて完了するまで行うことを特徴とする鋼部材の冷却方法。
  4. 請求項1〜3のいずれか1項において、上記減圧冷却における上記雰囲気ガスの減圧状態は、0.1bar〜0.65barの範囲とすることを特徴とする鋼部材の冷却方法。
  5. 請求項4において、上記減圧冷却における上記雰囲気ガスの減圧状態は、0.1bar〜0.3barの範囲とすることを特徴とする鋼部材の冷却方法。
  6. 請求項1〜5のいずれか1項において、上記減圧冷却中には、上記鋼部材の温度がA1変態点以下となった後に上記雰囲気ガスの撹拌速度を高めた条件で冷却を行うことを特徴とする鋼部材の冷却方法。
  7. 請求項1〜6のいずれか1項において、上記減圧冷却中には、上記鋼部材の温度がA1変態点以下となった後に上記雰囲気ガスの圧力を高めた条件で冷却を行うことを特徴とする鋼部材の冷却方法。
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