JP2000129341A - 低歪み焼入れ方法 - Google Patents

低歪み焼入れ方法

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JP2000129341A
JP2000129341A JP10298832A JP29883298A JP2000129341A JP 2000129341 A JP2000129341 A JP 2000129341A JP 10298832 A JP10298832 A JP 10298832A JP 29883298 A JP29883298 A JP 29883298A JP 2000129341 A JP2000129341 A JP 2000129341A
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cooling
quenched
quenching
cooling gas
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典大 ▲高▼▲崎▼
Norihiro Takasaki
Hideo Aihara
秀雄 相原
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 急冷およびマルテンサイト変態に伴う歪みを
抑制することのできる焼入れ方法を提供する。 【解決手段】 焼入れ炉の内部に配置した被焼入れ部材
を、A変態点より高い温度から冷却用ガスによって
急冷して焼入れをおこなう低歪み焼入れ方法において、
冷却開始後でかつマルテンサイト変態点より高い温度の
時点に、前記冷却ガスの流量と前記焼入れ炉内の前記冷
却ガスの圧力との少なくとも一方を、一時的に低下させ
る。あるいは前述の冷却の際に被冷却部材の設置される
環境を一時的に加熱する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、歪みの発生を抑
制することのできる焼入れ方法に関し、特にステンレス
鋼をガス冷却して焼入れをおこなう方法に関するもので
ある。
【0002】
【従来の技術】マルテンサイト系ステンレス鋼の焼入れ
は、マルテンサイト変態点(Ms 点)以上の高温から急
冷してマルテンサイト変態を生じさせることによりおこ
なうことは周知のとおりである。その場合、急冷による
熱応力歪が生じ、またマルテンサイト変態による膨張に
よっても歪が生じる。これらの熱応力歪および変態歪
は、被焼入れ材の全体に必ずしも均等には生じないの
で、製品の歪みの原因となる。
【0003】高い寸法精度が要求される製品では、焼入
れ後に残る歪みを、後工程で切削もしくは研削すること
により除去しているが、後工程での工数が増大するため
に生産効率を向上させる際の障害になる不都合がある。
特に、マルテンサイト系ステンレス鋼の場合には、硬度
が高いために歪みの是正のための切削もしくは研削に多
く工程を要する。
【0004】従来、焼入れに伴う歪みを除去する方法
が、特開平10−202331号公報に記載されてい
る。この公報に記載された発明は、マルテンサイト変態
点Ms より高い高温から急冷して焼入れをおこなう際
に、Ms 点を挟んで+200℃から−100℃の範囲に
ある時に冷却材中から引き上げて矯正する条件下で空冷
する方法である。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】上記の公報に記載され
た方法では、冷却材による冷却と空気による冷却とを併
用することになるので、冷却途中で冷却のための環境を
変更する必要があるうえに、空冷をおこなう場合には、
歪みの矯正のための条件を設定する必要があるから、焼
入れ作業が複雑化し、それに伴って製品コストが高くな
る可能性がある。また、複数個の製品を同時に一括して
焼入れをおこなう場合、それぞれの被焼入れ品の配置位
置に応じてその温度条件が若干相違しており、特に窒素
ガスなどの不活性ガスでの冷却の場合には、その冷却用
ガスの流動方向における被焼入れ品の位置に応じてその
冷却度合が相違することがあるので、上記の公報に記載
された方法では、冷却用ガスの流動方向における配置位
置が異なる被冷却材ごとに、矯正条件の設定や空冷の開
始タイミングの設定を異ならせる必要があり、複数の製
品を一括して焼き入れる場合には、その作業が特に困難
になる可能性がある。
【0006】この発明は上記の事情を背景としてなされ
たものであり、歪みの発生を抑制し、しかも焼入れ操作
もしくは制御が容易な方法を提供することを目的とする
ものである。
【0007】
【課題を解決するための手段およびその作用】上記の目
的を達成するために、請求項1の発明は、焼入れ炉の内
部に配置した被焼入れ部材を、マルテンサイト変態点よ
り高い温度から冷却用ガスによって急冷して焼入れをお
こなう低歪み焼入れ方法において、冷却開始後でかつマ
ルテンサイト変態点より高い温度の時点に、前記冷却ガ
スの流量と前記焼入れ炉内の前記冷却ガスの圧力との少
なくとも一方を、一時的に低下させることを特徴とする
方法である。
【0008】また、請求項2の発明は、請求項1の構成
に加えて、前記冷却ガスの流量と前記焼入れ炉内の前記
冷却ガスの圧力との少なくとも一方を一時的に低下させ
る際に、前記被焼入れ部材の設置されている環境を加熱
することを特徴とする方法である。
【0009】したがって、請求項1あるいは2の発明の
いずれにおいても、被焼入れ部材を急冷する過程で、そ
の温度の低下が抑制され、その際に被焼入れ部材ごとの
各部の温度のバラツキが是正される。また、焼入れ炉の
内部に複数の被焼入れ部材を配置してある場合には、そ
れらの焼入れ部材同士の間での温度の偏差すなわち冷却
の度合いの相違が是正される。その結果、マルテンサイ
ト変態が開始する時点では、被焼入れ部材の温度の均一
化が図られており、その状態でマルテンサイト変態が開
始するので、各被焼入れ部材に生じる歪みや被焼入れ部
材同士の間の寸法のバラツキが抑制される。
【0010】
【発明の実施の形態】つぎにこの発明を図面を参照して
より具体的に説明する。先ず、焼入れ設備について説明
すると、図1はガスを冷却材とした焼入れ炉1の全体的
に構成を模式的に示す図であり、その炉体2の内部には
チャンバー3が形成されており、そのチャンバー3の内
部には、複数の被焼入れ部材4を搭載することのできる
トレー5が配置されている。そのチャンバー3の長手方
向の両端部には、通気孔6が形成され、またその外周に
は、チャンバー3の内部すなわち被焼入れ部材4の配置
されている環境を加熱するための加熱装置7が取り付け
られている。
【0011】チャンバー3の長手方向の一端側には、チ
ャンバー3の内部から冷却ガスを吸引する冷却ファン8
が配置され、このファン8はモータ9によって駆動され
るように構成されている。これに対してチャンバー3の
他方の端部側には、冷水を流通させて冷却ガスを冷却す
るための冷却用熱交換器10が配置されている。前記フ
ァン8を回転させることにより、炉体2の内部では図1
に矢印で示す方向にガスが流動し、その結果、チャンバ
ー3の内部にガスが流入する直前にそのガスを熱交換器
10によって冷却し、温度の低下したガスを被焼入れ部
材4に対して図1における左側から右側に向けて流動さ
せるように構成されている。
【0012】炉体2には、その内部に冷却ガスとしての
不活性ガスである窒素ガスN2 を供給するための吸気ポ
ート11が形成されており、また、炉体2の内部のガス
圧を調整するためのポンプ12が接続されている。
【0013】そして、前記ファン8の回転数すなわち冷
却ガスの循環流量を制御するために、前記モータ9にイ
ンバータ13が接続されている。また、前記ポンプ12
を制御して炉体2の内部の圧力を調整するための圧力コ
ントローラ14がポンプ12に接続されている。
【0014】図2は上記の焼入れ炉1によって焼入れ処
理される被焼入れ部材4の一例を示す図であり、ここに
示す被焼入れ部材4は金属製であって、円筒状のシリン
ダ部15の一端側に、多角形状のブロック部16が形成
され、そのブロック部16に前記シリンダ部15に連通
する貫通孔17や薄肉の取付け座18などが形成されて
いる。この被焼入れ部材4は、一例としてマルテンサイ
ト系ステンレス鋼によって構成されている。
【0015】図1に示す焼入れ炉1によって上記の被焼
入れ部材4の焼入れをおこなう場合にこの発明の方法を
適用した例をつぎに説明する。被焼入れ部材4は、トレ
ー5上に配列し、その状態で加熱および冷却をおこな
う。加熱する場合、その目標温度は、A変態点以上
の温度であり、一例として1000℃程度である。その
加熱過程では、被焼入れ部材4の全体の温度が等しくな
るように、温度を一定に維持する均熱化工程を入れる。
さらに、加熱の過程では、炉1の内部を真空状態に維持
する。
【0016】冷却は、炉1の内部に窒素ガスなどの冷却
のための不活性ガスを導入し、その内部圧力を百数十kP
a(キロパスカル)ないし数百kPa程度に維持し、その冷
却ガスをファン8によって循環させつつ熱交換器10で
冷却しておこなう。その冷却速度は、要は、パーライト
の発生領域に突入しない程度の速度である。
【0017】上記の急冷は、マルテンサイト変態点Ms
より高く、かつパーライト発生領域より速い冷却速度で
おこない、これに続く工程では、設定温度をマルテンサ
イト変態点Ms より高くするとともに、ファン8を停止
させて均熱化をおこなう。これは、トレー5上の全ての
被焼入れ部材4の温度を、マルテンサイト変態点Ms以
下に突入する以前に等しくするための処理である。この
均熱化のための処理は、更に、炉1の内部圧力を低下さ
せる処理を重畳させておこなうこともできる。あるいは
また、昇温をおこなって、設定温度を一定に維持すると
ともに、内部圧力を低下させ、かつガスの循環を止める
ことによって均熱化処理をおこなってもよい。
【0018】ついで、設定温度を常温もしくは室温程度
に設定して急冷をおこなう。その場合、冷却ガスを導入
して炉1の内部圧力を数百kPaに昇圧し、かつファン8
を駆動として冷却ガスの循環流動を生じさせる。その
後、排気して大気圧まで減圧する。
【0019】このような工程を経て加熱およびその後の
急冷をおこなうと、マルテンサイト変態点Ms 以下の温
度に突入する以前に、冷却ガスの流動方向での上流側と
下流側との被焼入れ部材4の温度がほぼ等しくなり、ま
た各被焼入れ部材4における温度の偏差が是正される。
また同時に、その温度までの急冷に伴う熱応力の偏在が
是正される。その結果、全体の温度がほぼ等しい状態で
マルテンサイト変態が開始することになり、そのために
熱応力やマルテンサイト変態に伴う膨張による歪みが抑
制される。以下、実施例を比較例と共に示す。
【0020】
【実施例1】図3は、図2に示す被焼入れ部材4を焼入
れた際の加熱・冷却サイクルを示す図であり、その被焼
入れ部材4は、トレー5上にマトリックス状もしくはラ
ンダムに配置される。先ず、第1工程として、前記ポン
プ12を駆動して炉1の内部を10−4Torrまで真空引
きする。その場合、設定温度は20℃もしくは常温と
し、またファン8は停止しておく。その時間は約15分
である。つぎに第2工程として、850℃まで加熱す
る。その昇温時間は約30分である。第3工程では、均
熱化のために20分間、850℃に維持する。この第3
工程までの炉1の内部圧力は10−4Torrであり、また
ファン8は停止したままである。
【0021】その後、第4工程では、炉1の内部圧力を
3Torrに昇圧し、かつ1050℃まで加熱昇温する。そ
の場合も、ファン8は停止したままである。またその時
間は約20分である。その後、均熱化のために、圧力お
よびファン8を従前のままとして、60分間、1050
℃に維持する(第5工程)。
【0022】ついで第6工程として、急冷をおこなう。
設定温度は360℃、炉1の内部圧力は300kPa(キ
ロパスカル)とし、ファン8を60Hzで回転させる。そ
の時間は約2分である。その後、ファン8を停止させて
冷却ガスの循環流動を止め、また設定温度を380℃に
設定し、その状態を10分間維持する。この第7工程で
は加熱装置7による入熱がおこなわれ、これは、各被焼
入れ部材4の表面や内部などの各部位の温度差を解消
し、またトレー5上での位置の相違に起因する被焼入れ
部材4同士の温度の相違を是正するための均熱化処理で
ある。これに続けて第8工程として、炉1の内部圧力を
120kPaに低下させ、その状態を20分間維持する。
したがってこの第8工程での均熱化処理は、冷却ガスの
被焼入れ部材4に対する流量の低減(流動の停止)と冷
却ガスの圧力の低減および被焼入れ部材4の設置環境の
昇温を併用した均熱化処理である。
【0023】ついで設定温度を20℃とし、かつ炉1の
内部圧力を200kPaに設定し、さらにファン8を60H
zで回転させて急冷をおこなう。この第9工程を15分
間実行する。その後、炉1の内部圧力を大気圧にまで低
下させるとともに、ファン8を停止させて排気のための
第10工程をおこなう。
【0024】上記の加熱・冷却サイクルを実施した場合
の被焼入れ部材4の温度変化を、図4に示してある。こ
の図4には、トレー5上で冷却ガスの流動方向で上流側
の位置Aに設置した被焼入れ部材4の表面温度と中心部
の温度との変化、およびトレー5上で冷却ガスの流動方
向で下流側の位置Bに設置した被焼入れ部材4の表面温
度と中心部の温度との変化を、加熱終了後の温度変化と
して示してある。ファン8を駆動して冷却ガスを循環さ
せる第6工程である急冷工程を開始すると、冷却ガスの
流動方向で上流側の位置Aにおける被焼入れ部材4が、
下流側の位置Bの焼入れ部材4よりも早く冷却される。
これは、冷却ガスの温度が上流側ほど低いためである。
また、表面温度が中心部の温度より低くなる。これは、
経験的に知られるところと一致する。
【0025】この発明に係る上記の方法では、急冷工程
に続けて均熱化処理がおこなわれるので、被焼入れ部材
4の温度が400℃前後に達した時点で冷却が止まる。
その結果、中心部の温度は若干上昇する傾向を示す。ま
た下流側の位置Bにおける被焼焼入れ部材4の温度がわ
ずか上昇する傾向を示す。炉1の内部の設定温度が38
0℃であって加熱装置7によって入熱され、かつ冷却ガ
スの循環が停止されているので、炉1の内部に滞留して
いる冷却ガスに熱を奪われて、被焼入れ部材4の温度が
その設定温度に向けてゆっくり低下する。その後、炉1
の内部圧力が120kPaに低下させられるので、被冷却
部材4から冷却ガスへの熱伝導率が低下し、最終的に
は、各被焼入れ部材4の温度およびそれぞれの表面温度
および中心部の温度が、設定温度380℃程度にまで低
下し、全体が均一温度になる。
【0026】この状態は、図4に示すように、マルテン
サイト変態点Ms より高い温度であり、またパーライト
が析出する温度領域Pより速い冷却速度である。
【0027】こうしてマルテンサイト変態点Ms より高
い温度で均熱化処理された後、再度急冷される。したが
って各焼入れ部材4における温度の偏りや焼入れ部材4
同士の温度差がない状態で、すなわちトレー5上の焼入
れ部材4の全体の温度が均一化された状態でマルテンサ
イト変態領域に突入するので、均熱化処理以前の急冷に
伴う熱応力の偏在による歪みおよびマルテンサイト変態
に伴う膨張による歪みが解消もしくは抑制される。
【0028】
【実施例2】均熱化処理の内容を上記の実施例1とは異
ならせ、他の条件は実施例1と同様にして焼入れをおこ
なった。すなわち均熱化処理をおこなう第7工程および
第8工程では、加熱装置7による入熱をおこなわず、冷
却ガスの流動の停止(流量の低下)とそれに続く圧力の
低下とをおこなった。
【0029】その場合の被焼入れ部材4の温度変化を図
5に示す。加熱装置7による入熱がないために放熱が進
行するが、マルテンサイト変態点Ms 程度まで温度が低
下した時点では、被焼入れ部材4の全体の温度が近似し
ており、均熱化が図られている。
【0030】
【比較例】1050℃に加熱しかつ均熱化した後、その
温度から20℃まで急冷した。その急冷の際には、ファ
ン8を駆動して冷却ガスを循環させ、また炉1の内部圧
力を300kPaに維持した。したがってこの比較例は、
従来の一般的な真空焼入れである。
【0031】その場合の焼入れ部材4の温度変化を図6
に示す。冷却過程で均熱化のための処理がないので、焼
入れ部材4の温度は、トレー5上の位置によって相違し
ており、また表面温度と中心部の温度とに差があり、そ
のままマルテンサイト変態に突入している。
【0032】上記の実施例1および実施例2ならびに比
較例で得られた被焼入れ部材4について円筒度、真円
度、真直度を測定した。これら円筒度および真円度なら
びに真直度は、図2に示す被焼入れ部材4におけるシリ
ンダ部15についての測定値に基づいて決定した。測定
結果を図7に示す。なお、図7には、各例について熱処
理前と熱処理後との値およびその変化量を、最大値(m
ax)、最小値(min)、平均値(avg)で示して
ある。
【0033】先ず、円筒度について検討すると、加熱装
置7による入熱を伴う均熱化処理をおこなった実施例1
では、比較例によるものよりも、円筒度の悪化の程度が
小さく、また寸法のバラツキが僅かである。また加熱装
置7による入熱を伴わない均熱化処理をおこなう実施例
2では、実施例1によるよりも円筒度およびそのバラツ
キが悪化するが、比較例によるよりも円筒度が改善され
ている。
【0034】つぎに真円度について検討すると、実施例
1で得られた被焼入れ部材4の真円度は、比較例による
よりもバラツキが大幅に改善されている。また実施例2
により得られた被焼入れ部材4の真円度は、実施例1に
よるものと同様に優れており、比較例のものと比べて大
幅に改善されている。
【0035】さらに真直度について検討すると、実施例
1によれば、真直度の悪化が比較例によるよりもかなり
小さく、またそのバラツキも大幅に改善されている。ま
た、実施例2では、真直度が実施例1よりも幾分悪化す
るが、そのバラツキの幅が小さくなっている。これに対
して比較例では、真直度の悪化の程度が大きく、かつそ
のバラツキ幅が大きくなっている。
【0036】総合して判定すると、この発明に係る実施
例1によれば、焼入れに伴う歪みを大幅に改善すること
ができた。また、この発明に係る実施例2では、従来の
方法に比較して焼入れに伴う歪みの改善効果が認めら
れ、実用に供し得る方法である。
【0037】なお、上述した説明では、図2に示す被焼
入れ部材を対象としたが、この発明は各種の形状の金属
部品の焼入れに適用することができる。また、冷却ガス
は窒素ガスに限定されないのであって、冷却ガスは必要
に応じて採用すればよい。さらに、この発明の方法を実
施するための設備は、上記の図1に示す構造のものに限
定されないことは勿論である。そしてこの発明の方法
は、複数の被焼入れ部材を冷却ガスの流動方向に配列し
て焼入れをおこなう場合に適用することにより、上述し
た各種の効果を得ることができるが、この発明の方法
は、同時に多数の部材の焼入れをおこなう場合に限ら
ず、単一部品もしくは製品を焼き入れする場合にも採用
することができる。
【0038】
【発明の効果】以上説明したように請求項1あるいは請
求項2の発明によれば、被焼入れ部材を急冷する過程
で、その温度の低下が抑制され、その際に被焼入れ部材
ごとの各部の温度のバラツキが是正され、また、焼入れ
炉の内部に複数の被焼入れ部材を配置してある場合に
は、それらの焼入れ部材同士の間での温度の偏差すなわ
ち冷却の度合いの相違が是正される。その結果、マルテ
ンサイト変態が開始する時点では、被焼入れ部材の温度
の均一化が図られており、その状態でマルテンサイト変
態が開始するので、各被焼入れ部材に生じる歪みや被焼
入れ部材同士の間の寸法のバラツキを抑制することがで
き、ひいては後工程の歪み除去のための工数を削減して
生産効率の向上や製品コストの低廉化を図ることができ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明の方法を実施する焼入れ設備の一例
を示す模式図である。
【図2】 (A)および(B)は被焼入れ部材の一例を
示す斜視図である。
【図3】 実施例1での加熱・冷却サイクルを示す線図
である。
【図4】 実施例1での被焼入れ部材の温度変化を示す
線図である。
【図5】 実施例2での被焼入れ部材の温度変化を示す
線図である。
【図6】 比較例での被焼入れ部材の温度変化を示す線
図である。
【図7】 実施例1および実施例2ならびに比較例で得
られた被焼入れ部材の円筒度、真円度、真直度の測定結
果を示す図表である。
【符号の説明】
1…焼入れ炉、 2…炉体、 3…チャンバー、 4…
被焼入れ部材、 5…トレー、 7…加熱装置、 8…
冷却ファン、 10…冷却用熱交換器、 12…ポン
プ、 14…圧力コントローラ。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 焼入れ炉の内部に配置した被焼入れ部材
    を、A変態点より高い温度から冷却用ガスによって
    急冷して焼入れをおこなう低歪み焼入れ方法において、 冷却開始後でかつマルテンサイト変態点より高い温度の
    時点に、前記冷却ガスの流量と前記焼入れ炉内の前記冷
    却ガスの圧力との少なくとも一方を、一時的に低下させ
    ることを特徴とする低歪み焼入れ方法。
  2. 【請求項2】 前記冷却ガスの流量と前記焼入れ炉内の
    前記冷却ガスの圧力との少なくとも一方を一時的に低下
    させる際に、前記被焼入れ部材の設置されている環境を
    加熱することを特徴とする請求項1に記載の低歪み焼入
    れ方法。
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