JP4724596B2 - 減圧徐冷装置及び鋼部材の熱処理装置 - Google Patents

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Description

本発明は、高温状態にある鋼部材等の被処理材を徐冷するための徐冷装置、及びこれを備えた鋼部材の熱処理装置に関する。
例えば、加熱された高温の鋼部材等の被処理材を冷却する装置としては、被処理材を収容する冷却室内において、ファンにより冷却ガス(雰囲気ガス)を循環させ、その冷却ガスと被処理材との熱交換によって冷却処理を行う装置がある。
また、冷却ムラによる冷却歪みの発生等を抑制するために、冷却ガスの循環速度を変更したり、循環経路が適正となるように整流板を設けたりする対策をとって、冷却条件がムラのないものとなることを目指したガス冷却式真空熱処理炉が提案されている(特許文献1参照)。
しかしながら、従来のガス冷却式真空熱処理炉では、必ずしも十分に均一な冷却効果が得られず、冷却歪みの出やすい被処理材においては、寸法精度がばらつくという問題が生じることもあった。特に上記特許文献1に記載のガス冷却式真空熱処理炉による冷却は、均一かつ高速な冷却を目的とするものであり、歯車等の寸法精度の厳しい被処理材における冷却歪みを抑制することは困難であった。
また、歯車あるいはリング状の鋼部材は、靱性を維持しつつ表面硬度を高めるための処理として浸炭処理が施されることが多い。浸炭処理は、鋼部材をオーステナイト化温度以上に加熱した状態で表面の炭素濃度を増大させる処理である。従来においては、浸炭処理の直後に油焼き入れ等の焼き入れ処理を行って芯部の靱性を確保し、表面硬度を高める、いわゆる浸炭焼き入れ処理を行うことも多かった。しかしながら、浸炭焼き入れ処理を行った鋼部材は、歪みの発生の問題を解消することが困難である。そのため、寸法精度の厳しい部品に対しては、浸炭処理後徐冷し、その後、局部的に高周波焼き入れを行う方法が開発されてきた(特許文献2参照)。
この浸炭後徐冷と高周波焼き入れの組み合わせを行う場合には、高周波焼き入れ前の寸法精度を高く維持する必要がある。つまり、浸炭処理後の徐冷工程において、鋼部材に歪みを発生させないということが必要である。
ところが、鋼部材をオーステナイト化温度以上の状態から冷却する際に、ゆっくりと冷やす徐冷を行っても、鋼部材に歪みが生じる場合がある。この徐冷時の歪の発生原因は次のように考えられる。すなわち、鋼部材を高温から冷却する場合には、上記のごとく冷却ガス循環させて、被処理材に衝突させる強制冷却を行うことが多いが、その風速を低下させても、風上と風下との間で冷却効果の差が大きくなり、その分歪みが出てしまう。また、強制冷却を停止した場合でも、温度の異なる冷却ガスの滞留が生じることによって冷却効果の差が生まれ、その分歪みが出てしまう。
このような、徐冷による歪みの発生は、特に、歯車その他のリング状の部品においては、真円度や軸方向の寸法精度の低下につながり、製品品質に大きく影響する。
また、歯車その他のリング状部品の浸炭処理に限らず、加熱した被処理材を冷却する際の冷却歪みを抑制する効果を高めることができる徐冷装置の開発は、鋼部材等の熱処理を施す技術分野において強く望まれていた。
また、一方において、冷却歪みの発生可能性が低い場合に徐冷をすることは、冷却時間の増大による生産効率の低下につながってしまう。そのため、最適な徐冷と効率のよい急冷とを適宜切り替えて実施できる実用性の高い徐冷装置の開発が望まれている。
特開2005−29872号公報 特開平11−131133号公報
本発明は、かかる従来の問題点に鑑みてなされたもので、従来よりも冷却歪みの発生を抑制することが可能であると共に、冷却歪み発生可能性が低い場合には冷却効率を向上させることが可能な徐冷装置、及びこの優れた徐冷装置及び浸炭処理装置を含む熱処理装置を提供しようとするものである。
第1の発明は、被処理材を収容した状態で密閉可能な冷却室と、
該冷却室内を減圧する減圧装置と、
上記冷却室内において冷却ガスを循環させると共に、その循環速度を変更可能な冷却ファンと、
上記冷却ガスを冷却するための熱交換器と、
上記冷却ガスの循環経路を切り替える送風ガイドとを有しており、
該送風ガイドの操作により、上記冷却ガスを上記熱交換器に接触させて循環させる急冷モードと、上記冷却ガスを上記熱交換器に接触させることなく循環させる徐冷モードとのいずれかに切替可能に構成されていることを特徴とする減圧徐冷装置にある(請求項1)。
本発明の減圧徐冷装置は、上記構成を具備することによって、優れた冷却歪み抑制効果(徐冷効果)と、冷却歪み発生可能性が低い場合の冷却効率向上効果(急冷効果)の両方を得ることができる。
まず、上記減圧徐冷装置における上記冷却室は、上記減圧装置によって減圧可能であると共に、上記冷却ファンによって冷却ガスの循環速度を変更することもできる。そのため、冷却歪みが非常に出やすい被処理材を処理する場合においても、その冷却歪みの発生を極力抑制することができる。
すなわち、冷却時に冷却ガスを撹拌(循環)する場合には、冷却ガスを減圧状態とすることによって、大気圧状態の場合に比べ、循環する冷却ガスの風上と風下での冷却速度の差を低減させることができる。一方、撹拌を全くしない場合であっても、減圧状態の場合には、大気圧の場合よりも、温度の異なる冷却ガスの滞留による冷却速度の差を低減させることができる。
このような冷却ガスの減圧による効果を利用することにより、冷却歪みが生じやすい被処理材であっても歪み発生を抑制することができ、高精度の寸法精度を維持したまま冷却処理を行うことができる。
また、上記冷却ガスの循環速度を通常の場合よりも低下させることによっても徐冷効果が向上する。そのため、上記の冷却ガスの減圧効果と循環速度低減効果の相乗効果によって、より一層優れた徐冷条件を得ることが可能となる。
さらに、上記減圧徐冷装置においては、上記熱交換器と上記送風ガイドとを有しており、該送風ガイドの操作により、上記冷却ガスを上記熱交換器に接触させて循環させる急冷モードと、上記冷却ガスを上記熱交換器に接触させることなく循環させる徐冷モードとのいずれかに切替可能に構成されている。
これにより、上記徐冷モードを選択した場合には、循環する冷却ガスが熱交換器によって冷やされることがないので、ある程度高温の状態に維持される。そのため、被処理材に対する冷却能自体を抑制し、上述した減圧と循環速度低減の両方または一方との組み合わせによって、徐冷効果をさらに向上させることができる。
また、冷却歪み発生が少ない被処理材を処理する場合、あるいは、冷却歪み発生の危険性が少ない比較的低温域での冷却を行う場合には、上記急冷モードを選択することによって、冷却効率を向上させることができる。すなわち、上記送風ガイドを操作して、冷却ガスを上記熱交換器と接触させて熱交換させることにより、常に、冷却能の高い比較的低温の冷却ガスを被処理材に接触させることができる。これにより、冷却効率の向上を図ることができる。また、特に冷却ガスの循環速度を最大限とすることによって、更なる冷却効率の向上を図ることも可能である。
このように、本発明によれば、従来よりも冷却歪みの発生を抑制することが可能であると共に、冷却歪み発生可能性が低い場合には冷却効率を向上させることが可能な徐冷装置を提供することができる。
第2の発明は、鋼部材よりなる被処理材の浸炭処理を行うための浸炭処理装置と、
該浸炭処理を終えた上記被処理材を冷却するための徐冷装置とを有してなり、
該徐冷装置は、第1の発明の減圧徐冷装置よりなることを特徴とする鋼部材の熱処理装置にある(請求項4)。
本発明の熱処理装置は、特に鋼部材よりなる被処理材を処理するものであって、上記浸炭処理装置を有している。そして、徐冷装置として上述した減圧徐冷装置も有している。そのため、上記熱処理装置は、浸炭処理を上記浸炭処理装置によって実施した高温状態の上記被処理材を、上記減圧徐冷装置を用いて冷却歪みを極力抑えた状態で冷却することができ、寸法精度を悪化させることなく浸炭処理を施すことができる。
そして、例えば、その後に、歪みの生じにくい高周波焼入れと組み合わせることによって、浸炭焼入れ処理全体を、寸法精度を高く維持した状態で実施することができる。
第1の発明の減圧徐冷装置においては、上記冷却室内には、上記被処理材に接触することなくその周囲に上記冷却ガスを通す側方流路と、上記被処理材に接触するよう上記冷却ガスを通す中央流路とを区分する整流板が配設されており、
上記冷却ファンを配設したファン設置ゾーンから送られた上記冷却ガスが、上記側方流路又は上記中央流路を通って、上記ファン設置ゾーンの位置と反対側に位置する折り返しゾーンに送られ、該折り返しゾーンから上記中央流路又は上記側方流路を通って上記ファン設置ゾーンに戻るように構成されており、
上記熱交換器及び上記送風ガイドは、上記折り返しゾーンに配置されていることが好ましい(請求項2)。
この場合には、上記側方流路と上記中央流路とを使ってループ状に冷却ガスを循環させることができる。このとき、上記熱交換器がファン設置ゾーン近傍に配設されている場合には、ファンが吸排する冷却ガスが比較的高速で上記熱交換器と接触して熱交換効率が低下するおそれがある。これに対し、上述したように、上記側方流路および中央流路を挟んで上記ファン設置ゾーンと反対側に位置する上記折り返しゾーン内に上記熱交換器および送風ガイドを設置することによって、流速が整った状態の冷却ガスを穏やかに熱交換器に接触させることができ、効率よく冷却することができる。
また、上記折り返しゾーンを用いることによって、上記熱交換器および送風ガイドの配設が容易となる。
また、上記折り返しゾーンは、上記側方流路と上記中央流路との間を連通させるU字状流路を有しており、上記送風ガイドは、該U字状流路内に揺動支点を有する揺動可能なガイド板よりなり、揺動位置によって上記U字状流路内の循環経路を内周側経路と外周側経路に切り替え可能に構成されており、上記熱交換器は、上記内周側経路又は上記外周側経路のいずれか一方のみに配設されていることが好ましい(請求項3)。
この場合には、上記送風ガイドによる循環経路の切り替えを容易に行うことができ、かつ、熱交換器と冷却ガスとの接触状態の制御を容易に行うことができる。
また、上記第2の発明の鋼部材の熱処理装置においては、上記浸炭処理装置は、上記被処理材を収容して加熱する加熱室と、加熱された上記被処理材を収容して減圧下の浸炭ガス中において浸炭処理する真空浸炭室とを別個に有していることが好ましい(請求項5)。
この場合には、上記真空浸炭室を備えることによって効率のよい所謂真空浸炭処理を行うことができ、さらに、上記真空浸炭室とは別個に上記加熱室を有することによって、浸炭処理前の加熱工程と、加熱後の真空浸炭処理を同時に並行して行うことができ、より効率的な熱処理を行うことができる。
また、上記加熱室、上記真空浸炭室、及び上記減圧徐冷装置の上記冷却室は、それぞれ個別に内部の減圧状態を調整可能であると共に雰囲気ガスの導入を個別に制御可能に構成されており、上記加熱室、上記真空浸炭室、及び上記冷却室を順次移動するように上記被処理材を移動させる搬送装置を設けてあることが好ましい(請求項6)。
この場合には、上記加熱室、上記真空浸炭室、および上記冷却室について、それぞれ個別に内部の減圧状態および雰囲気ガスの導入状態を調整可能であるので、各室にそれぞれ被処理材を装入して最適な処理を並行して行うことが可能となる。そのため、非常に効率よく処理を進めることができる。
また、上記加熱室、上記真空浸炭室、及び上記冷却室を順次移動するように上記被処理材を移動させる搬送装置を設けることによって、効率よく被処理材を移動させることができる。
このような構成を具備することによって、連続真空浸炭徐冷装置として、非常に効率よく真空浸炭処理、およびその後の減圧徐冷処理を連続して進めることができる。
また、上記加熱室の上記搬入口には準備室が連結されており、該準備室は、独自に減圧可能に構成されていることが好ましい(請求項7)。この場合には、加熱室に装入する前の被処理材を上記準備室に収容して、加熱室に装入する際に適した雰囲気状態を得ることにより、さらに高効率化を図ることができる。
また、上記搬送装置は、上記被処理材を複数保持した熱処理治具を搬送可能に構成されていることが好ましい(請求項8)。これにより、安定した搬送状態が得られ、また、複数の被処理材を同時に扱えるのでさらに高効率化を図ることができる。
また、上記被処理材は、リング状の本体部を有するリング状部材であり、該リング状部材の軸心を垂直方向にして上記熱処理治具上に載置して、又は上記リング状部材の軸心を水平方向にして上記熱処理治具に設けた吊り枠に吊した状態で搬送するよう構成することができる(請求項9)。
上記リング状部材は、リング状の本体部の真円度等が重要な場合が多いが、上述した減圧徐冷装置を備えた本発明の熱処理装置を用いることが非常に有効であり、冷却歪みを極力抑えて処理することができる。
また、リング状部材の熱処理治具による支持構造としては、上記のごとく、リング状部材の軸心を垂直方向にして上記熱処理治具上に載置する支持構造と、リング状部材の軸心を水平方向にして上記熱処理治具に設けた吊り枠に吊す支持構造をとることができる。
また、上記被処理材は、上記本体部の外周面又は内周面に歯部を有する歯車部材とすることができる(請求項10)。
歯車部材の場合には、特に寸法精度が厳しく、本発明の熱処理装置を用いることが特に有効である。歯車部材としては、例えば、自動変速機等の部品となるリングギア等がある。
(実施例1)
本発明の実施例に係る減圧徐冷装置につき、図1〜図3を用いて説明する。
本例の減圧徐冷装置1は、図1〜図3に示すごとく、被処理材8を収容した状態で密閉可能な冷却室10と、冷却室12内を減圧する減圧装置(図示略)と、冷却室10内において冷却ガスを循環させると共に、その循環速度を変更可能な冷却ファン11と、上記冷却ガスを冷却するための熱交換器12、13と、上記冷却ガスの循環経路を切り替える送風ガイド15、16とを有している。そして、送風ガイド15、16の操作により、上記冷却ガスを熱交換器12、13に接触させて循環させる急冷モードと、上記冷却ガスを熱交換器12、13に接触させることなく循環させる徐冷モードとのいずれかに切替可能に構成されている。
以下、これを詳説する。
図1、図2に示すごとく、上記減圧徐冷装置1の冷却室10内には、上記被処理材8に接触することなくその周囲に上記冷却ガスを通す側方流路101、102と、上記被処理材8に接触するよう上記冷却ガスを通す中央流路104とを区分する左右一対の整流板141、145が配設されている。すなわち、本例では、正面から見て冷却室10内の両側に設けられた左右一対の側方流路101、102と、左右方向中央の中央通路104とが、上記左右一対の整流板141、145によって仕切られている。この整流板141、145の上端よりも上方側がファン設置ゾーンZ1であり、下端よりも下方側が折り返しゾーンZ2である。
上記整流板141、145は、同図に示すごとく、その下端部142、146が滑らかな曲面状を呈している。そして、折り返しゾーンZ2内には、この一対の下端部142、146に対向するように、一対の円弧状整流板143、147が設けられている。円弧状整流板143、147は、冷却室10内の底部から幅方向中央に近づくにつれて上方に曲がるような曲面形状、つまり、上面側が凹状となる形状を有している。
したがって、上記折り返しゾーンZ2における同図中の右側では、整流板141の下端部142と上記円弧状整流板143とに囲まれるU字状流路が形成され、同様に、折り返しゾーンZ2における同図中の左側では、整流板145の下端部146と上記円弧状整流板147とに囲まれるU字状流路が形成されている。
そして、折り返しゾーンZ2における同図中の右側のU字状流路内には、7つの熱交換部121を2列にして冷却ガス流に略垂直となるよう、整流板141、145に対して斜めに配列した熱交換器12が配設されている。同様に、折り返しゾーンZ2における同図中の左側のU字状流路内には、7つの熱交換部131を2列にして斜めに配列した熱交換器13が配設されている。
また、上記各熱交換器12、13の上方には、それぞれ送風ガイド15、16が設けられている。
同図中右側の送風ガイド15は、第1ガイド板151と第2ガイド板152とを備えており、それぞれ上記U字状流路内の揺動支点C1、C2を中心に揺動するよう構成されている。例えば、揺動支点C1、C2は冷却室10内側に固定されており、上記第2ガイド板152は、上記揺動支点C2を基点にしてV字状となるように支持片153を有している。支持片153には長穴154が設けられており、この長穴154には後述するリフタ105の支持ピン106が挿入されている。
また、第1ガイド板151と第2ガイド板152の揺動支点C1、C2には、それぞれ歯車157、158が設けられており、第2ガイド板152が立設した状態(閉じた状態)から横に寝た状態(開いた状態)に揺動した際、あるいはその逆方向に揺動した際に、上記第1ガイド板151が歯車157、158の噛み合いにより連動して揺動するように構成されている。また、上記第1ガイド板151と第2ガイド板152とは、いずれも曲面形状を呈しており、図1に示す開状態の場合に、両者が一連のスムーズな曲面を有する整流板として機能し、図2に示す閉状態の場合に切り替わった際には、上記整流板141との間の流路を閉止するように構成されている。
同様に、図1、図2中左側の送風ガイド16は、第1ガイド板161と第2ガイド板162とを備えており、それぞれ上記U字状流路内の揺動支点C3、C4を中心に揺動するよう構成されている。上記第2ガイド板162は、上記揺動支点C4を基点にしてV字状となるように支持片163を有している。支持片163には長穴164が設けられており、この長穴164には後述するリフタ105の支持ピン107が挿入されている。
また、第1ガイド板161と第2ガイド板162の揺動支点C3、C4には、それぞれ歯車167、168が設けられており、第2ガイド板162が立設した状態(閉じた状態)から横に寝た状態(開いた状態)に揺動した際、あるいはその逆方向に揺動した際に、上記第1ガイド板161が歯車167、168の噛み合いにより連動して揺動するように構成されている。また、上記第1ガイド板161と第2ガイド板162とは、いずれも曲面形状を呈しており、図1に示す開状態の場合に、両者が一体となってスムーズな曲線の整流板として機能し、図2に示す閉状態の場合に、上記整流板145との間の流路を閉止するように構成されている。
また、図1、図2にしめすごとく、冷却室10の下方には、上記第2ガイド板152、162につながる支持片153、163の長穴154、164に係合する支持ピン106、107を備えたリフタ105が配設されている。このリフタ105を上昇させることによって、送風ガイド15、16が閉じた状態となり、下降させることにより、送風ガイド15、16が開いた状態となるよう構成されている。
また、上記リフタ105は、その上面に、被処理材を搬送するためのチェーンコンベアよりなる搬送装置76を備えている。
また、図3に示すごとく、第1ガイド板151は、多数のスリット部155を有している。これは、上記整流板141の表面において上下方向に立設させた複数の縦整流板19との干渉を避けるためのものである。上述した第1ガイド板161も同様のスリット部を有している(図示略)。
このような構成を有することによって、冷却ファン11を配設したファン設置ゾーンZ1から送られた冷却ガスは、側方流路101、102を通って、ファン設置ゾーンZ1の位置と反対側に位置する折り返しゾーンZ2に送られ、折り返しゾーンZ2から中央流路104を通ってファン設置ゾーンZ1に戻る。ここで、上記折り返しゾーンZ2は、上記のごとく、側方流路101、102と中央流路104との間を連通させるU字状流路を有しており、送風ガイド15、16の揺動位置によって上記U字状流路内の循環経路を内周側経路R2(図1)と外周側経路R1(図2)に切り替え可能である。
本例では、上記の外周側経路R1に相当する位置のみに熱交換器12、13を配設してあるので、図2に示すごとく、送風ガイド15、16を閉状態とした場合のみ、冷却ガスと熱交換器12、13との接触が可能である。上記熱交換器12、13は、図示しない冷媒循環装置に接続されており、上記各熱交換部121、131の内部には、冷媒が循環可能に構成されている。
そのため、上記送風ガイド15、16を閉状態(図2)にした場合には、上記冷却ガスが熱交換器12、13に接触する毎に冷やされて循環する急冷モードとなる。また、上記送風ガイド15、16を開状態(図1)にした場合には、上記冷却ガスが熱交換器12、13と接触することなく、比較的高温状態のまま循環する徐冷モードとなる。
また、上記冷却ファン11は、上述したごとく、上記冷却ガスを循環させる際の循環速度を変更可能に構成されている。具体的には、循環させない状態であるファン回転数0rpmの状態から、最大の循環速度となるファン回転する1500rpmの状態の間で制御可能である。また、本例の冷却ファン11は、下方と側方が開口したハウジング115に収容されており、下方から吸引した冷却ガスを側方に吐出するよう構成されている。
また、冷却室10内を減圧する減圧装置(図示略)は、図3に示すごとく、真空弁109を介して接続されており、冷却室10内の圧力を1Paまで減圧可能に構成されている。
以上のような構成を有するので、本例の減圧徐冷装置1は、優れた冷却歪み抑制効果と、冷却歪み発生可能性が低い場合の冷却効率向上効果の両方を得ることができる。
まず、減圧徐冷装置1における冷却室10は、減圧装置によって減圧可能であると共に、冷却ファン11によって冷却ガスの循環速度を変更することもできる。そのため、冷却歪みが非常に出やすい被処理材を処理する場合においても、その冷却歪みの発生を極力抑制することができる。
たとえば、冷却時に冷却ガスを撹拌(循環)する場合には、冷却ガスを減圧状態とすることによって、大気圧状態の場合に比べ、循環する冷却ガスの風上と風下での冷却速度の差を低減させることができる。一方、撹拌を全くしない場合であっても、減圧状態の場合には、大気圧の場合よりも、温度の異なる冷却ガスの滞留による冷却速度の差を低減させることができる。
このような冷却ガスの減圧による効果を利用することにより、冷却歪みが生じやすい被処理材であっても歪み発生を抑制することができ、高精度の寸法精度を維持したまま冷却処理を行うことができる。
また、上記冷却ガスの循環速度を通常の場合よりも低下させることによっても徐冷効果が向上する。そのため、上記の冷却ガスの減圧効果と循環速度低減効果の相乗効果によって、より一層優れた徐冷条件を得ることが可能となる。
さらに、減圧徐冷装置1においては、熱交換器12、13と送風ガイド15、16とを有しており、送風ガイド15、16の操作により、冷却ガスを熱交換器12、13に接触させて循環させる急冷モードと、冷却ガスを熱交換器12、13に接触させることなく循環させる徐冷モードとのいずれかに切替可能に構成されている。
これにより、上記徐冷モードを選択した場合には、循環する冷却ガスが熱交換器12、13によって冷やされることがないので、ある程度高温の状態に維持される。そのため、被処理材に対する冷却能自体が低下し、上述した減圧と循環速度低減の両方または一方との組み合わせによって、徐冷効果をさらに向上させることができる。
また、冷却歪み発生が少ない被処理材を処理する場合、あるいは、冷却歪み発生の危険性が少ない比較的低温域での冷却を行う場合には、上記急冷モードを選択することによって、冷却効率を向上させることができる。すなわち、上記送風ガイド15、16を操作して、冷却ガスを熱交換器12、13と接触させて熱交換させることにより、常に、冷却能の高い比較的低温の冷却ガスを被処理材に接触させることができる。これにより、冷却効率の向上を図ることができる。また、特に冷却ガスの循環速度を最大限とすることによって、更なる冷却効率の向上を図ることも可能である。
(実施例2)
本例は、図4に示すごとく、実施例1に示した減圧徐冷装置1を、連続真空浸炭処理装置としての熱処理装置2に組み込んだ例である。
すなわち、本例の熱処理装置2は、同図に示すごとく、鋼部材よりなる被処理材8の浸炭処理を行うための浸炭処理装置6と、浸炭処理を終えた上記被処理材8を冷却するための徐冷装置としての上記減圧徐冷装置1を有している。
浸炭処理装置6は、被処理材8を収容して加熱する加熱室4と、加熱された被処理材8を収容して減圧下の浸炭ガス中において浸炭処理する真空浸炭室5とを別個に有している。さらに、本例では、加熱室4の前方には準備室3が連結され、また、加熱室4と真空浸炭室5との間には第1通路45が配置され、真空浸炭室5と冷却室10との間には第2通路55が配置されている。
上記準備室3は、その前方側の搬入口を密閉するする入口扉31を有すると共に、その後方側の搬出口(加熱室4への搬入口)を密閉する準備室シール扉32を有している。
また、加熱室4は、その前方の搬入口を上記準備室シール扉32により密閉可能であると共に、その後方の搬出口(真空浸炭室5の搬入口)を密閉する加熱室シール扉42を有している。さらに、加熱室4には、加熱時の熱が外部へ漏れることを防止する断熱扉411、412を前後に有している。
また、真空浸炭室5は、その前方の搬入口を上記加熱室シール扉42により密閉可能であると共に、その後方の搬出口(冷却室10の搬入口)を冷却室シール扉181によって密閉可能に構成されている。さらに、真空浸炭室5には、加熱時の熱が外部へ漏れることを防止する断熱扉511、512を前後に有している。
また、上記冷却室10は、その前方の搬入口を上記冷却室シール扉181により密閉可能であると共に、その後方の搬出口を出口扉182によって密閉可能に構成されている。
また、各室は、それぞれ個別に内部の減圧状態を調整可能であると共に雰囲気ガスの導入を個別に制御可能に構成されている。
具体的には、準備室3は、真空弁309を介して外部に設けられた減圧装置によって内部を減圧可能に構成されている。
加熱室4は、真空弁409を介して外部に設けられた減圧装置によって内部を減圧可能に構成されている。また、加熱室4には、外部の窒素ガス供給源に接続される窒素ガス導入弁408が設けられている。
真空浸炭室5は、真空弁509を介して外部に設けられた減圧装置によって内部を減圧可能であると共に、浸炭ガス導入弁508を介して外部に設けられた浸炭ガス供給装置から所望の浸炭ガスを導入可能に構成されている。また、真空浸炭室5には、外部の窒素ガス供給源に接続される窒素ガス導入弁507が設けられている。
また、冷却室10は、上述したように、真空弁109を介して外部に設けられた減圧装置によって内部を減圧可能に構成されている。また、冷却室10には、外部の窒素ガス供給源に接続される窒素ガス導入弁108が設けられている。
また、加熱室4は、雰囲気ガスを循環させるファン43を有すると共に、雰囲気ガスを加熱する加熱ヒータ44を備えており、対流加熱ができるように構成されている。なお、加熱室4は、ファン43を運転せずに真空状態にして加熱ヒータ44の輻射熱によって加熱する真空加熱も実施可能となっている。
また、真空浸炭室5は、浸炭室ヒータ54を備え、被処理材8を浸炭に適した温度に加熱できるように構成されている。
また、熱処理装置2は、準備室3(加熱室4)、第1通路45、真空浸炭室5、第2通路55、及び冷却室10を順次移動するように被処理材を移動させる搬送装置72〜76を設けてある。なお、準備室3の前方及び冷却室10の後方には、それぞれこの熱処理装置2への被処理材8の供給ライン及び搬出ラインが連結される(図示略)。
第1通路45、第2通路、及び冷却室10内の搬送装置73、75及び76は、いずれもチェーンコンベア方式のものであり、準備室3と加熱室4の搬送を兼任する搬送装置72は、プッシャー方式、真空浸炭室5の搬送装置74はリフト・アンド・キャリー方式を採用している。
次に、上記構成の熱処理装置2の動作を簡単に説明する。
(被処理材の搬入)
まず、準備室3の入口扉31と準備室シール扉32を閉じた状態で準備室3内に窒素ガスを導入し、大気圧状態とする。
次いで、入口扉31を開いて、図示しない搬入ラインの搬送装置と搬送装置71とを連動させて、被処理材8を準備室内に搬入する。
次いで、入口扉31と準備室シール扉32を閉じた状態で、真空弁309から真空引きを行い、準備室3内を減圧状態とする。
(被処理材の加熱室搬入)
加熱室4は、その前後の準備室シール扉32と加熱室シール扉42とを閉じた状態で内部を真空弁409から真空引きを行い、減圧状態とする。そして、加熱室4と準備室3が略同じ減圧状態となった時点で、準備室シール扉32と断熱扉411を開くとともに、準備室3(加熱室4)の搬送装置72とを用いて被処理材8を加熱室4内に搬入する。そして、準備室シール扉32及び断熱扉411を閉じて、加熱室4の中央部を断熱、密閉状態とする。さらに上記の作動を繰り返し、2セットめの被処理材8を加熱室4へ搬入する。
(被処理材の昇温)
加熱室4の窒素ガス導入弁408を開いて加熱室4内に窒素ガスを導入し、大気圧(600hPa)近くまで復圧し、ファン43で雰囲気ガスを撹拌しながら加熱ヒータ44の熱により被処理材8を対流加熱する。その後、被処理材8の温度が高温域に到達してからは、加熱室4内を真空弁409を介して減圧し、輻射伝熱を利用した真空加熱に切り替える。
(被処理材の浸炭室搬入)
加熱室4及び真空浸炭室5を減圧して同圧にした後に、加熱室4の断熱扉412、加熱室シール扉42、真空浸炭室5の断熱扉511を開けて、搬送装置72、73を用いて被処理材8を運搬し、加熱室4から真空浸炭室5へと移動させる。そして、加熱室シール扉42及び断熱扉511を閉じて、真空浸炭室5の中央部を断熱、密閉状態とする。
(浸炭拡散処理)
被処理材8を浸炭室ヒータ54で加熱し、浸炭処理に適した温度に到達した後、浸炭ガス導入弁508を開けて浸炭ガスを所定の時間導入する。このとき、真空弁509を開いておき、真空浸炭室5の真空状態を維持する。所定の浸炭処理時間が経過して浸炭処理が終了した後、浸炭ガス導入弁508を閉じて拡散処理を行う。
(被処理材の冷却室搬送)
拡散処理終了後、真空浸炭室5と冷却室10内の圧力を同圧にした後、真空浸炭室5の断熱扉512と冷却室シール扉181を開ける。そして、搬送装置74〜76を用いて被処理材8を移動させ、冷却室10内に配置する。その後、冷却室シール扉181が閉じられ、冷却室10内は密閉状態となる。
(被処理材の冷却)
被処理材8の冷却は、上述した減圧徐冷装置1の機能を活かして、様々な方法を実施できる。
一例を挙げると、まず、最初の30分間の処理は、冷却室10内を、上記の被処理材8の挿入時の0hPaの減圧状態から、200hPaまで復圧して、冷却ファン11の回転数を低速の100rpmまで落として運転する。さらに、上述した送風ガイド15、16を開状態(図1)として徐冷モードとする。これにより、非常に優れた徐冷効果を得る。
次いで、窒素ガスを窒素ガス導入弁108から導入して冷却室10内の圧力を600hPaに高めると共に、冷却ファン11の回転数を最大の1500rpmまで高める。さらに、上記送風ガイド15、16を閉状態(図2)として急冷モードとする。これにより、歪みの出にくい温度領域では効率のよい急速冷却を実現する。
(被処理材の取り出し)
被処理材8の冷却が完了した後、冷却室10に窒素ガスを導入して、大気圧状態に復圧する。その後、出口扉182を開け、冷却室10の搬送装置76及び図示しない搬出ラインの搬送装置を連動させて、の冷却室10から被処理材8を搬出する。
以上のように、本例の熱処理装置2は、上述した実施例1の減圧徐冷装置1を浸炭処理装置6と組み合わせて、連続的に真空浸炭処理及びその後の冷却処理を行うことができる連続真空浸炭徐冷装置を構成することができる。
そして、ここで注目すべき点は、減圧徐冷装置1を組み入れているので、冷却初期に優れた徐冷効果が得られ、冷却後半には、効率のよい優れた急冷効果が得られることである。
すなわち、浸炭処理を終えた被処理材8の冷却歪みが出やすい状態では、減圧状態の実現、冷却ファン11の撹拌速度の低減、及び送風ガイド15、16による徐冷モードの選択による優れた徐冷効果を得ることができる。さらには、被処理材8がある程度冷却され、歪みが出にくい状態となった場合には、減圧状態の解除、冷却ファン11の撹拌速度の増加、及び送風ガイド15、16による急冷モードの選択によって、優れた急冷効果が得られる。
このような相反する2つの効果が得られる減圧徐冷装置1を備えることによって、浸炭処理が必要な鋼部材の処理を非常に優れた寸法精度を維持したまま行うことができるのである。なお、その後焼入れ処理を行う場合には、歪みの出にくい高周波焼入れ方法を適用することが好ましく、これにより、上記の優れた寸法精度を維持することが可能である。
次に、本例の熱処理装置2を用いて鋼部材である被処理材を処理する場合のヒートパターンの一例を示す。
図5に示すごとく、本例のヒートパターンは、60分間の昇温パターンP1と60分間の均熱パターンP2と60分間の冷却パターンP3を組み合わせたものである。それぞれ、上述した加熱室4、真空浸炭室5および冷却室10において行う。
図6には、冷却パターンP3をより具体的に詳細に示した。同図は、横軸に時間をとり、第1縦軸に冷却ファン11の回転数(a)を、第2縦軸に被処理材の温度(b)を、第3縦軸に冷却室10内の圧力(冷却ガス圧)(c)をとったものである。さらに、同図には、流路切換状態(d)を示してある。
同図より知られるごとく、本例では、最初の第1冷却ステップP31の間は、上記送風ガイド15、16を開いた状態(図1)に位置させて折り返しゾーンZ2のU字状流路の内周側を冷却ガスの循環路とする徐冷モードを選択し、冷却ファン11の回転数を低めに設定すると共に、冷却ガス圧を大気圧よりも十分に低い減圧状態として減圧徐冷を行った。
次に、第2冷却ステップP32の間は、上記送風ガイド15、16を開いた状態を維持し、冷却ガスの循環路を徐冷モードのままとし、冷却ファン11の回転数を定格よりは十分低いものの上記第1冷却ステップP31の場合よりも若干高くし、さらに、冷却ガス圧も大気圧よりも低いものの上記第1冷却ステップP31の場合よりも若干高めに設定した条件で減圧徐冷する。本例では、この第2冷却ステップP32の間において、被処理材の温度がいわゆるA1変態点を迎えるようにした。
次に、第3冷却ステップP33の間は、上記送風ガイド15、16を閉じた状態(図2)に変更し、折り返しゾーンZ2のU字状流路の外周側を冷却ガスの循環路とする急冷モードとし、冷却ファン11の回転数および冷却ガス圧を十分に高く設定した条件で急冷する。
以上のように、最初の被処理材が最も高温状態にある第1冷却ステップP31では、冷却ガスの圧力(冷却室10の圧力)および循環速度(冷却ファン11の回転数)を低くし、かつ、循環流路も徐冷モードを選択した状態での徐冷を行うことによって、冷却歪みの発生を確実に抑えることができる。次に、ある程度被処理材の冷却が進んだ第2冷却ステップP32では、冷却歪みの発生の可能性が低下しているので、若干冷却能力を高めるものの、鋼のA1変態点を超える際の組織変態に伴う歪み発生を抑制すべく、徐冷条件は維持する。これにより、A1変態点を超える際の歪み発生を極力抑えることができる。その後、第3冷却ステップP33では、冷却ガスの圧力および循環速度を最大にすると共に、循環流路を急冷モードとすることによって冷却能力を最大とすることができる。
次に、上記熱処理装置2によって用いることが可能な熱処理治具および被処理材の支持構造の例について説明する。
第1の例の熱処理治具91は、図7に示すごとく、リング状の本体部810を有するリング状部材81の軸心を垂直方向にして載置する熱処理治具である。同図に示すごとく、熱処理治具91は、多数の空隙910を設けた骨格構造を有しており、冷却ガスが流通可能となっている。また、熱処理治具91は、複数の位置決め突起部912を有しており、各リング状部材81の載置位置を容易に定めることができるように構成されている。
この熱処理治具91は、リング状の本体部810の肉厚が薄い場合、さらに位置決め突起部912と歯面が当接しない内歯歯車の場合に適しており、リング状部材81の自重による変形を回避することができる。
第2の例の熱処理治具92は、図8に示すごとく、リング状部材82の軸心を水平方向にして、熱処理治具92に設けた吊り枠925に吊した状態で搬送するよう構成された熱処理治具である。同図に示すごとく、熱処理治具92の底板部921は、多数の空隙920を設けた骨格構造を有しており、冷却ガスが流通可能となっている。底板部921には、複数の支柱部923が立てられ、さらに支柱部923によって、横枠924および吊り枠925を支持するように構成されている。
この例の熱処理治具92は、リング状部材82のリング状の本体部820の肉厚が比較的厚く、内径側から吊り下げても自重による変形がほとんどない場合、さらに吊り枠925に歯面が当接しない外歯歯車の場合には、積載量を増やすことができ、最適である。
なお、上記熱処理装置2に適用可能な熱処理治具としては、上記2例に限らず、他の形態に変更することもできる。
(実施例3)
本例は、実施例1における減圧徐冷装置1の内部構成を変更した例である。
すなわち、図9、図10に示すごとく、本例の減圧徐冷装置1bは、整流板141b、145bを下方に行くほど両者の間が広くなるように傾斜して設け、その内側面および外側面にそれぞれ縦整流板19bを設けた。
また、同図に示すごとく、冷却ファン11にはハウジングを設けなかったが、冷却ガスを下方中央から吸引し、側方へ吐出するように構成してある。
その他の構成は、実施例1と同様である。
本例の減圧徐冷装置1bによれば、上記のごとく、左右の整流板141b、145bの内側面と外側面の両方に上記縦整流板19bを設けてあるので、さらにスムーズな冷却ガスの循環を実現することができる。
その他は実施例1と同様の作用効果が得られる。
(実施例4)
本例は、実施例1における減圧徐冷装置1の内部構成を変更した例である。
すなわち、図11、図12に示すごとく、本例の減圧徐冷装置1cは、整流板141c、145cを、上端の回転軸140cを中心に揺動可能とし、処理製品に応じて中央流路の間隔を変更できるよう構成した。また、同図に示すごとく、冷却ファン11にはハウジングを設けなかったが、冷却ガスを下方中央から吸引し、側方へ吐出するように構成してある。
その他の構成は、実施例1と同様である。
本例の減圧徐冷装置1cによれば、上記のごとく、左右の整流板141c、145cの位置を変更できるので、処理品に応じて最適な冷却ガス循環路を形成することができる。さらに、冷却ファン11の回転数を変えなくても、左右の整流板141c、145cの位置を変更することによって中央流路104を通る冷却ガスの流速を変更できるので、さらにきめ細かい処理条件を実現することができる。
その他は実施例1と同様の作用効果が得られる。
(実施例5)
本例は、実施例1における減圧徐冷装置1の内部構成を変更した例である。
すなわち、図13、図14に示すごとく、本例の減圧徐冷装置1dは、整流板141d、145dを断面略C字状に構成し、内側に空洞を設けた。また、整流板141d、145dの内側面および外側面には、いずれも縦整流板を設けなかった。
その他の構成は、実施例1と同様である。
本例の減圧徐冷装置1dによれば、上記のごとく、左右の整流板141d、145dの形状を断面略C字状としたことによって、これらの整流板141d、145dと被処理材8との間にスペースを確保しやすくなり、冷却ガスの流れが整い、被処理材を均等に冷却できるという効果を得ることができる。その他は実施例1と同様の作用効果が得られる。
実施例1における、減圧徐冷装置を徐冷モードで使用している状態を示す説明図。 実施例1における、減圧徐冷装置を急冷モードで使用している状態を示す説明図。 実施例1における、減圧徐冷装置の側面から見た構成を示す説明図。 実施例2における、熱処理装置(連続真空浸炭徐冷装置)の構成を示す説明図。 実施例2における、ヒートパターンの概要を示す説明図。 実施例2における、冷却時の冷却ファン回転数、被処理材の温度、および冷却室内の圧力の変化パターンを示す説明図。 実施例2における、熱処理装置によって用いることが可能な熱処理治具および被処理材の支持構造の一例を示す説明図。 実施例2における、熱処理装置によって用いることが可能な熱処理治具および被処理材の支持構造の別例を示す説明図。 実施例3における、減圧徐冷装置の正面から見た構成を示す説明図。 実施例3における、減圧徐冷装置を側面から見た構成を示す説明図。 実施例4における、減圧徐冷装置の正面から見た構成を示す説明図。 実施例4における、減圧徐冷装置を側面から見た構成を示す説明図。 実施例5における、減圧徐冷装置の正面から見た構成を示す説明図。 実施例5における、減圧徐冷装置を側面から見た構成を示す説明図。
符号の説明
1 減圧徐冷装置
10 冷却室
11 冷却ファン
12、13 熱交換器
15、16 送風ガイド
2 熱処理装置
3 準備室
4 加熱室
5 真空浸炭室
6 浸炭処理装置

Claims (10)

  1. 被処理材を収容した状態で密閉可能な冷却室と、
    該冷却室内を減圧する減圧装置と、
    上記冷却室内において冷却ガスを循環させると共に、その循環速度を変更可能な冷却ファンと、
    上記冷却ガスを冷却するための熱交換器と、
    上記冷却ガスの循環経路を切り替える送風ガイドとを有しており、
    該送風ガイドの操作により、上記冷却ガスを上記熱交換器に接触させて循環させる急冷モードと、上記冷却ガスを上記熱交換器に接触させることなく循環させる徐冷モードとのいずれかに切替可能に構成されていることを特徴とする減圧徐冷装置。
  2. 請求項1において、上記冷却室内には、上記被処理材に接触することなくその周囲に上記冷却ガスを通す側方流路と、上記被処理材に接触するよう上記冷却ガスを通す中央流路とを区分する整流板が配設されており、
    上記冷却ファンを配設したファン設置ゾーンから送られた上記冷却ガスが、上記側方流路又は上記中央流路を通って、上記ファン設置ゾーンの位置と反対側に位置する折り返しゾーンに送られ、該折り返しゾーンから上記中央流路又は上記側方流路を通って上記ファン設置ゾーンに戻るように構成されており、
    上記熱交換器及び上記送風ガイドは、上記折り返しゾーンに配置されていることを特徴とする減圧徐冷装置。
  3. 請求項2において、上記折り返しゾーンは、上記側方流路と上記中央流路との間を連通させるU字状流路を有しており、上記送風ガイドは、該U字状流路内に揺動支点を有する揺動可能なガイド板よりなり、揺動位置によって上記U字状流路内の循環経路を内周側経路と外周側経路に切り替え可能に構成されており、上記熱交換器は、上記内周側経路又は上記外周側経路のいずれか一方のみに配設されていることを特徴とする減圧徐冷装置。
  4. 鋼部材よりなる被処理材の浸炭処理を行うための浸炭処理装置と、
    該浸炭処理を終えた上記被処理材を冷却するための徐冷装置とを有してなり、
    該徐冷装置は、請求項1〜3のいずれか1項に記載の減圧徐冷装置よりなることを特徴とする鋼部材の熱処理装置。
  5. 請求項4において、上記浸炭処理装置は、上記被処理材を収容して加熱する加熱室と、加熱された上記被処理材を収容して減圧下の浸炭ガス中において浸炭処理する真空浸炭室とを別個に有していることを特徴とする鋼部材の熱処理装置。
  6. 請求項5において、上記加熱室、上記真空浸炭室、及び上記減圧徐冷装置の上記冷却室は、それぞれ個別に内部の減圧状態を調整可能であると共に雰囲気ガスの導入を個別に制御可能に構成されており、上記加熱室、上記真空浸炭室、及び上記冷却室を順次移動するように上記被処理材を移動させる搬送装置を設けてあることを特徴とする鋼部材の熱処理装置。
  7. 請求項6において、上記加熱室の上記搬入口には準備室が連結されており、該準備室は、独自に減圧可能に構成されていることを特徴とする鋼部材の熱処理装置。
  8. 請求項6又は7において、上記搬送装置は、上記被処理材を複数保持した熱処理治具を搬送可能に構成されていることを特徴とする鋼部材の熱処理装置。
  9. 請求項8において、上記被処理材は、リング状の本体部を有するリング状部材であり、該リング状部材の軸心を垂直方向にして上記熱処理治具上に載置して、又は上記リング状部材の軸心を水平方向にして上記熱処理治具に設けた吊り枠に吊した状態で搬送するよう構成されていることを特徴とする鋼部材の熱処理装置。
  10. 請求項9において、上記被処理材は、上記本体部の外周面又は内周面に歯部を有する歯車部材であることを特徴とする鋼部材の熱処理装置。
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