JP2005009702A - 多室型真空熱処理装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】多室型真空熱処理装置1は、気密チャンバー2の外周に沿って配置された複数の処理セル4、6、10を備え、処理セルの一つを、処理物28を搬入するための真空パージ機能と処理物28を予熱する加熱機能の両方を有する搬入用処理セル4とし、他の処理セルのうちの一つを熱処理後の処理物28を均熱する均熱処理セル10とする。均熱処理セル10の外側に、均熱された処理物28を搬入する焼入処理セル22を配置し、この焼入処理セル22の外側に焼入れを完了した処理物28を外部に搬出する搬出扉54を設ける。
【選択図】 図1
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、金属製の処理物を加熱して真空浸炭等の熱処理を行なう多室型真空熱処理装置に関し、特に、処理物を連続的に熱処理する多室型真空熱処理装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、多室型真空熱処理装置として、気密チャンバーの外周に複数の処理セルを有するものが知られている(特許文献1、図1)。この多室型真空熱処理装置の気密チャンバーは、被処理品を搬送するため、垂直軸の周りに回動可能で且つ該垂直軸を中心とした半径方向に前後に移動する搬送機構を有している。また、前記複数の処理セルは、複数の熱処理用の処理セルと、被処理品の搬入および搬出を行うための真空パージ室から構成されている。これらの処理セルは、気密チャンバーに対して垂直回転軸と略同一軸の同一円周上に配置されている。被処理品は、真空パージ室を経由して、前述の搬送機構により処理セルに搬入され、処理セルにて熱処理を施された後、再度同じ真空パージ室を経由して搬出されるようになっている。
【0003】
【特許文献1】
特開平8−178535号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
上記の従来技術においては、処理物の搬入および搬出を同じ真空パージ室で行っているので、同一熱処理サイクルの処理物を連続的に処理する場合、熱処理を行うために搬入される処理物と、熱処理完了後に搬出される処理物とが同じ真空パージ室を通過することになる。このため、後続の搬入される処理物は、先行する熱処理完了の処理物が搬出されるまで、真空熱処理装置外で待機することとなる。この結果、後続の処理物が搬入されるまでの間、熱処理用の処理セルが空の状態となってしまう。即ち、その間、熱処理が滞って効率的な生産が行われず、生産量が減少する。この待機時間は、通常15〜20分程度であるが、連続稼働の場合、この待機時間が累積して大きなロスタイムとなり、連続稼働の効率を低下させてしまう。
【0005】
上記従来技術において、生産性を向上させたい場合、上記真空パージ室に加熱源を設けて真空パージ機能と同時に処理物を予熱することが考えられるが、この方式では処理完了品の搬出時に処理物の温度が上昇してしまうため、焼き入れされた表面硬度が低下し、不良品となるおそれがある。特に処理品が小さいものの場合には、温度上昇が著しいのでこの傾向が大きい。また、焼入れが油焼入れの場合、油焼入れ後に処理物が加熱されると、処理物に付着している油が飛び散って周辺を汚染するおそれもある。
【0006】
本発明は、以上の点に鑑みてなされたものであり、品質を低下せずに、効率的に連続稼働して生産量を増大させることができる多室型真空熱処理装置を提供することを目的とするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明の多室型真空熱処理装置は、気密チャンバーと、気密チャンバーの外周に沿って配置された複数の処理セルとを備え、気密チャンバー内に処理セルとの間で処理物を移動させる搬送機構を備えた、処理物を処理セル内で熱処理する多室型真空熱処理装置において、複数の処理セルの一つを、処理物搬入のための、真空パージ機能と処理物を予熱する加熱機能の両方を有する搬入用処理セルとし、他の処理セルのうちの一つを熱処理後の処理物を均熱する均熱処理セルとし、均熱処理セルの外側に、均熱された処理物を搬入する焼入処理セルを配置し、焼入処理セルに焼入れを完了した処理物を外部に搬出する搬出扉を設けてなることを特徴とするものである。
【0008】
上記気密チャンバー、均熱処理セルおよび焼入処理セルは、一直線上に配置することが好ましい。また、上記焼入処理セルは、油焼入処理セルであっても、ガス冷却セルであってもよい。
【0009】
【発明の効果】
本発明の多室型真空熱処理装置は、気密チャンバーの外周に沿って配置された複数の処理セルの一つを、処理物搬入のための真空パージ機能と処理物を予熱する加熱機能の両方を有する搬入用処理セルとし、他の処理セルのうちの一つを熱処理後の処理物を均熱する均熱処理セルとし、均熱処理セルの外側に、均熱された処理物を搬入する焼入処理セルを配置し、この焼入処理セルに焼入れを完了した処理物を外部に搬出する搬出扉を設けてなるので、次の効果を奏する。
【0010】
即ち、処理物は搬入用処理セルに搬入され、熱処理後、焼入処理セルから直接外部に搬出されるので、同じ処理セルを経由することがない。従って、先行する処理物のロット(バッチ)の熱処理が完了すると、後続の処理物のロットを直ちに空いた熱処理用の処理セルに搬送して熱処理を行うことが可能となる。これによって、処理物を搬入する際の待機時間がなくなり、効率的に熱処理を行って生産量を増大させることができる。
【0011】
上記気密チャンバー、均熱処理セルおよび焼入処理セルが一直線上に配置されている場合は、処理物を均熱処理完了後、直ちに焼入処理セルへ搬送することができるので、効率的に処理できる。また、この迅速な搬入により処理物の温度が焼入温度から低下することが防止され、処理物の所望の品質を確保することができる。
【0012】
焼入処理セルが油焼入処理セルである場合は、冷却能力が大きく、大きな処理物であっても急速に冷却して所望の表面硬度を得ることができ、大きな冷却速度を必要とする鋼種に対応することができる。
【0013】
焼入処理セルがガス冷却セルである場合は、ガスの比熱が小さいため比較的ゆっくりと焼入れが行われるので、処理物に割れや変形が生じるおそれが少ない。また、焼入れ後、製品に油が付着しておらず、後行程で洗浄する必要がないので一層効率的に生産できる。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、添付図面を参照して本発明の好ましい実施の形態について詳細に説明する。図1は本発明の多室型真空熱処理装置(以下、単に装置という)を概略的に示す平面図である。図2は、図1の装置のII−II線に沿う断面を模式的に示す断面図である。
【0015】
図1および図2に示すように、装置1は、円筒形の気密チャンバー2と、この気密チャンバー2の外周に沿って配設された複数の処理セル4、6、10を有する。気密チャンバー2と処理セル4、6、10は、それぞれ連結部16(16a、16b、16c)で気密チャンバー2と図示しないボルト等により気密に連結されて互いに連通している。各処理セル4、6、10には、開閉可能な断熱性を有する閉鎖扉20(20a、20b、20c)が配置されている。また気密チャンバー2側には各処理セル4、6、10を気密或いは真空状態に維持する、開閉可能な真空扉17が配置されている。気密チャンバー2は、通常、大気圧より低い気圧に保たれている。
【0016】
図1および図2に示された処理セル4、6、10の内、処理セル6は気密加熱処理セルであり、処理セル4は処理物28を搬入する搬入用処理セルであり、処理セル10は熱処理の完了した処理物28を一定の温度に均熱するための均熱処理セルである。
【0017】
ここで重要なことは、均熱処理セル10の外側、すなわち気密チャンバー2と反対側に、処理セルとして焼入処理セル22が連結されている点である。これら、気密チャンバー2、均熱処理セル10、焼入処理セル22は、平面視で見たときに、図1に示すように一直線上に配置されていることが好ましい。
【0018】
次に、各処理セル4、6、10について説明する。まず最初に搬入用処理セル4について説明する。搬入用処理セル4は、図示しない断熱壁により内部が囲まれており、ヒーター24(図2)により内部に搬入された処理物28を、本加熱の前に予備的に加熱することができるようになっている。断熱壁は、例えばセラミックファイバーなどの耐熱材料、断熱材料から構成されていることが好ましい。なお、図示はしていないが、搬入用処理セル4には、温度制御手段が設けられている。また、搬入用処理セル4は、処理物28を搬入するための開閉可能な外部扉34と、前述の閉鎖扉20aを有する。これらの外部扉34と閉鎖扉20aを閉鎖し、さらに、対応する前述の真空扉17を閉鎖することにより、搬入用処理セル4の内部を気密状態に維持することができる。また外部の真空ポンプ(図示せず)に連結されたパイプ18により、内部の空気を排出して真空状態にする真空パージ機能を有する。
【0019】
処理物28の種類としては、たとえば、金属製の歯車、シャフトなどがある。これらの処理物28は、金属製のバスケット30に多数収容されて、一度に処理するロット(バッチ)となっている。このバスケット30は、鋳鋼製のトレー32に載置されて、このトレー32がさらに固定台26に移動可能に載置されている。なお、このバスケット30は、搬入用処理セル4に搬入されてから、熱処理および焼入れを経て搬出されるまで、処理物28を収容した状態で装置1内に載置され、或いは装置1内を移動する。
【0020】
次に、気密チャンバー2について説明する。気密チャンバー2は、前述の如く円筒形であり、内部に搬送機構38が配置されている。この搬送機構38は、気密チャンバー2の中央に位置する垂直軸線40(図2)の周りに気密チャンバー2内で、図示しない回転駆動部により回転可能に配置されている。この搬送機構38は、フォーク式に横方向に伸縮可能になっている。即ち、搬入用処理セル4から搬送機構38に受け渡されたバスケット30は、4つの処理セル6のいずれにも搬入されることが可能になる。
【0021】
次に、気密状態で熱処理を行う4つの処理セル6について説明する。なお、これらの処理セル6は、同じ構成を有している。処理セル6は、搬入用処理セル4と同様に、図示しない断熱壁により内部が囲まれており、ヒーター42により内部が高温に熱せられ、内部に配置された処理物28を加熱するように構成されている。なお、図示はしていないが、処理セル6には、搬入用処理セル4の場合と同様に図示しない温度制御手段が設けられている。
【0022】
これらの処理セル6で加熱される前の処理物28は、前述のごとく、歯車、シャフト等の金属加工部品であって、表面硬化処理を必要とする浸炭未処理品である。処理物28は、断熱壁を兼ねた閉鎖扉20bを開放して、前述の搬送機構38により処理セル6内に載置され、扉20b及び対応する真空扉17が閉鎖される。その後、所定の温度、例えば、約1000°Cまで加熱される。処理セル6は、真空引き機能を有し、加熱の際、真空引きされて処理物の酸化が防止される。
【0023】
次に、均熱処理セル10について説明する。均熱処理セル10の閉鎖扉20c及び対応する真空扉17が解放されて、気密チャンバー2の搬送機構38から処理物28が受け渡される。この均熱処理セル10にはヒーター44(図2)が配置されており、熱処理が完了した処理物28の温度を焼入れ温度で均熱する。即ち、バスケット30に収容された多数の処理物28のすべてが、焼入れに適した同じ温度になるまで均熱される。この均熱処理セル10の上部にはモータ46が配置され、モータ46により駆動されるファン(図示せず)によって、処理物28を強制的に冷却し、短時間で所定の焼入温度で均熱することが可能になっている。
【0024】
次に、焼入処理セル22について説明する。図示の焼入処理セル22は、所謂油焼入処理セルであり、焼入れ用の油が満たされ、この油に前述の加熱された処理物28を投入して焼入れを行うように構成されている。具体的には、均熱処理セル10の仕切壁48および焼入処理セル22の閉鎖扉20dを開いて、焼入処理セル22に処理物28が一旦搬入され、図示しない吊り下げ手段によりバスケット30が吊り下げられる。そしてこの吊り下げ手段が降下して油槽50に投入される。この焼入処理セル22は、両側に取付けられた下向きの攪拌用のモータ52(図1)により油槽50を攪拌して、処理物28をムラなく且つ速やかに冷却するようになっている。
【0025】
均熱処理セル10から焼入処理セル22への処理部28の受け渡しは、焼入処理セル22に配置された図示しない搬送装置によりなされる。この搬送装置は、搬送機構38と同様なフォーク方式、あるいは、処理物28の入ったバスケット30が載置されるトレー32を搬送するための引っ掛けフックを有するチェーン(スネークチェーン方式)としてもよい。またその他の型式として、処理物28を均熱処理セル10から焼入処理セル22に引き込むように駆動されるローラを有するもの(ローラーハース方式)でもよい。この焼入処理セル22の外側には搬出扉54が取り付けられており、焼入れの完了した処理物28は、この搬出扉54を解放してそのまま外部に搬出することができる。
【0026】
この焼入処理セル22は、上記実施形態では、油を使用した油焼入処理セルとして使用されているが、ガスを使用したガス冷却処理セル80(図4)に置き換えることもできる。これについては後述する。
【0027】
なお、各処理セル4、6、10には、真空引きするための図示しない真空弁が設けられ、各加熱処理用の処理室6には必要に応じて不活性ガスあるいは浸炭ガスを導入するガス導入弁(図示せず)および圧力を調整するためのバイパス弁(図示せず)がそれぞれ設けられている。
【0028】
次に、処理物28を熱処理する一連の行程について、図1、図2および図3を参照して説明する。図3は、本発明の装置1で実施される典型的な熱処理の状態を示す熱処理工程図であり、縦軸に温度変化を示し、横軸に時間の経過を示す。図1に示すように、処理物28を収容した搬入前のバスケット30は、固定台26上のトレー32に載置されている。このトレー32は、横方向に移動可能であり、例えば、図示しないプッシャーにより、搬入用処理セル4に向けて押圧されて、外部から、搬入用処理セル4に搬入される。
【0029】
その後、外部扉34が閉鎖されて内部が気密状態に維持される。そして、処理物28の酸化を防止するため酸素を含む空気が排出されて、搬入用処理セル4内は真空とされ、所謂、真空パージがなされる。その後、不活性ガスが一定圧力(大気圧の2/3程度)まで導入される。この後、ヒーター24に通電されて、処理物28の加熱が開始される。予熱室即ち搬入用処理セル4内の温度は約850℃である。この工程は、後続の処理セル6での本加熱に先立つ予熱行程58(図3)となる。
【0030】
一定時間の予熱後、閉鎖扉20a及び真空扉17が解放され、予熱された処理物28は気密チャンバー2内の搬送機構38に受け渡される。そして、搬送機構38が回動及び伸長して4つの処理セル6のうち所定の1つに搬入される。その後、処理セル6内で本加熱がなされる。
【0031】
加熱を開始後、図3に昇温行程60で示すように、徐々に温度が所定の温度まで上昇する。この温度即ち浸炭温度は800℃から1000℃の間、好ましくは930℃に設定されている。この温度は浸炭深さを深くしたい場合は、上記浸炭温度の範囲内で高温が適用され、浅くしたい場合は低温が適用される。すべての処理物28が均一な温度になるまで、この加熱が継続され(均熱行程62)、所定の浸炭温度に達したときに、浸炭ガス、例えば、アセチレンガス等の炭素含有ガス(浸炭ガス)が処理セル6に導入される(浸炭行程64)。
【0032】
そして、さらに所定時間、加熱を継続してガス中の炭素成分が処理物28の表面に進入する。この真空浸炭の時間が長ければ長いほど、炭素成分は処理物の表面から内部に浸透する。必要とされる深さまで浸炭できる時間が経過した後、加熱処理を終了する。次に、拡散と称される処理工程(拡散行程66)に移行し、組織中の炭素が拡散して表面組織の炭素濃度が低下し、所定の値になると真空浸炭処理(真空熱処理)工程が終了する。加熱時間は、処理物のサイズ、材質および量によって変わるが、2時間以上、場合によっては十数時間加熱処理される。
【0033】
加熱処理工程、即ち真空浸炭処理が完了すると、閉鎖扉20b及び真空扉17が開放され、処理物28は、搬送機構38により処理セル6から気密チャンバー2内に引き戻される。次に、搬送機構38が回動及び伸張して均熱処理セル10に搬入される。そして、図3に降温行程68で示すように、均熱処理セル10において急速に焼入温度まで降下される。この焼入温度は、通常830℃から870℃、好ましくは850℃である。浸炭温度と焼入温度の差があるときは、温度降下は、前述のごとくモータ46により駆動されるファンにより強制的に行ってもよいが、温度の差がほとんどない場合は、降温工程68を必要としない。
【0034】
次に、ヒーター44に通電して、処理物28を所定の温度に安定させる均熱行程70が実行される。この均熱工程70も、真空引き後、不活性ガスを導入して大気圧の2/3程度の気圧に保持された状態で行われる。この均熱工程70がなされる理由は、バスケットに収容された大量の処理物28が、降温工程68の間にそれらが配置されている場所により温度差が生じるので、処理物28の温度の均一化を図るために行われる。なお、この降温工程68と均熱工程70は、均熱処理セル10で連続的に行われるので、降温均熱工程とも称される。降温工程68が行われない場合は、均熱工程70のみとなる。
【0035】
温度が安定した後、仕切壁48を解放して、隣接する焼入処理セル22に搬入し、速やかに焼入が行われる(焼入行程72)。焼入工程72では、処理物28が油槽50に投入されて急激に冷却され、金属表面の組織がオーステナイト域からマルテンサイト(炭素を過飽和状態に固溶したα鉄の組織)になるように焼入れがなされる。このときの油槽50の温度は60℃〜150°Cであり、油槽50の沸騰を防ぐために気密油焼入室12内の気圧は高くされている。一定時間焼入れ後、焼入処理セル22の搬出扉54が解放されて処理物28を装置1の外部に取り出し、一連の浸炭焼入処理が完了する。
【0036】
焼入処理セル22が油焼入れでない場合、即ちガス冷却による場合は、前述の如く、油焼入処理セルの代わりにガス冷却セルが使用される。このガス冷却セルについて図4を参照して説明する。図4は、図2の焼入処理セル22に対応するガス冷却セル80の部分を示す断面図である。説明に当たり、前述の部品と同様な部品については同じ参照番号を用いて説明する。図4に示すガス冷却セル80は、均熱処理セル10の側に閉鎖扉20dを有し、外側に搬出扉54を有する。ガス冷却セル80の内部はトレー32が移動可能に配置され、そのトレー32の上にバスケット30が載置されるようになっている。そしてモータ82によりファン84が駆動されるようになっている。
【0037】
このガス冷却セル80を使用して、焼入れを行う場合は、焼入処理セル22が気密状態とされ、酸素を含む空気が排除される。そして、窒素ガス、ヘリウムガス等の不活性ガスが充填されて、モータ82に連結されたファン84により内部のガスが攪拌されて冷却される。これにより、処理物28の焼入れ即ち表面硬化処理が行われる、ガスを使用したこの種の焼入は、ガスの比熱が小さいため比較的ゆっくりと焼入れが行われる。急激に冷却して焼入れを行うと、処理物に、割れや変形が生じる場合にこの方法が採用される。焼入れ後は、搬出扉54から外部に搬出できるのは、油焼入処理セル22の場合と同様である。
【0038】
通常、焼入れに要する時間は、通常、15分から20分程度であるのに対して、真空浸炭に要する時間は、2時間以上要するのが普通である。このため、装置1には、気密加熱室としての処理セル6を多く配置し、焼入れのための焼入処理セル22を少なく配置することによって、焼入処理セル22および均熱処理セル10を遊ばせることなく、効率よく処理セルを使用することができるようになっている。
【0039】
以上説明したように、本発明の装置1では、処理物28を搬入する搬入用処理セル4と、熱処理が完了した処理物28を搬出する焼入処理セル22を別々にしたので、処理物28の搬入、搬出時に、その移動が互いに干渉することが防止される。従って、円滑に熱処理を行うことができ、生産量を増大させることができる。
【0040】
また、気密チャンバー2、均熱処理セル10および焼入処理セル22を一直線上に配置したので、バスケット30の搬送が容易になり効率的なバスケット30の移動が可能となる。その結果、浸炭処理後の温度低下が急激な小物の処理物の場合でも、所定の時間内に焼入処理を行うことができ、所望の高品質の製品を得ることができる。
【0041】
以上、本発明について、詳細に説明したが、上記好ましい実施の形態に限定されるものではなく、種々の変形、変更が可能であることはいうまでもない。例えば、処理セル6は、上記実施形態では同じものが使用されているが、すべての処理セル6を同じ仕様にする必要はなく、温度、真空度、浸炭ガスの種類、加熱方法等異なった仕様にしてもよい。
【0042】
また、均熱処理セル10は、必ずしも搬入用処理セル4の反対側に位置する必要はなく、上記処理セル6のいずれかと置代わった位置でもよい。しかし、その場合でも、気密チャンバー2、均熱処理セル10および焼入処理セル22が、一直線上に配置されていることが重要である。
【0043】
また、気密チャンバー2は、上記実施形態では円筒形として示されているが、円筒形に限定されるものではなく、正方形、正多角形等、種々の形状が考えられる。
【0044】
また、前述の好ましい実施形態において、搬入用処理セル4及び均熱処理セル10は、不活性ガスを導入して大気圧の2/3程度の気圧に保持して加熱する方式(対流加熱方式)としているが、不活性ガスを導入しないで真空状態で加熱するようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の多室型真空熱処理装置を概略的に示す平面図
【図2】図1の多室型真空熱処理装置のII−II線に沿う断面を模式的に示す断面図
【図3】本発明の多室型真空熱処理装置で実施される典型的な熱処理の状態を示す熱処理工程図
【図4】図2の焼入処理セルに対応するガス冷却セルの部分を示す断面図
【符号の説明】
1 多室型真空熱処理装置
2 気密チャンバー
4 搬入用処理セル(処理セル)
6 気密加熱処理セル(処理セル)
10 均熱処理セル(処理セル)
22 油焼入処理セル(処理セル)
28 処理物
38 搬送機構
54 搬出扉
80 ガス冷却セル
Claims (4)
- 気密チャンバーと、該気密チャンバーの外周に沿って配置された複数の処理セルとを備え、前記気密チャンバー内に前記処理セルとの間で処理物を移動させる搬送機構を備えた、前記処理物を前記処理セル内で熱処理する多室型真空熱処理装置において、
前記複数の処理セルの一つを、前記処理物が搬入される、真空パージ機能と前記処理物を予熱する加熱機能の両方を有する搬入用処理セルとし、他の前記処理セルのうちの一つを熱処理後の前記処理物を均熱する均熱処理セルとし、該均熱処理セルの外側に、均熱された前記処理物を搬入する焼入処理セルを配置し、該焼入処理セルに焼入れを完了した前記処理物を外部に搬出する搬出扉を設けてなることを特徴とする多室型真空熱処理装置。 - 前記気密チャンバー、前記均熱処理セルおよび前記焼入処理セルが一直線上に配置されていることを特徴とする請求項1記載の多室型真空熱処理装置。
- 前記焼入処理セルが、油焼入処理セルであることを特徴とする請求項1または2記載の多室型真空熱処理装置。
- 前記焼入処理セルが、ガス冷却セルであることを特徴とする請求項1または2記載の多室型真空熱処理装置。
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