JP4849785B2 - 真空熱処理設備 - Google Patents
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このような状況の中にあって、複数の処理チャンバと搬送ユニットとを有し、被処理品を各処理チャンバと搬送ユニットとの間で受け渡ししながら、熱処理の工程を次々と実行して行くようになした熱処理設備が提案されている。
この熱処理設備の場合、一部の処理チャンバを休止したり稼動したりすることで生産量の変動に対し柔軟に対応することができ、また複数の処理チャンバの内、適宜のものを選択して熱処理工程の一部を実行させることにより、被処理品を異なったヒートパターンで熱処理することができ、多品種少量生産の要請に柔軟に対応できる利点が得られる。
而して被処理品の温度の低下の幅は、搬送ユニットによる搬送時間,被処理品の形状,温度等によって異なるものであってその制御は非常に困難であり、このことが熱処理品質のばらつきを生む原因となっていた。
また本発明の別の目的は、搬送ユニットにより処理チャンバから処理チャンバへの被処理品を搬送する間に被処理品の温度が低下し、更にまたその温度の低下が被処理品の温度その他の条件によって様々にばらつく問題を解決して、安定且つ良好な品質で熱処理を行うことのできる真空熱処理設備を提供することにある。
即ち上記の特許文献に開示のように搬送ユニットを備えたこの種従来の熱処理設備では、搬送ユニットが単に断熱材を有しているのみで、被処理品を積極的に加熱して保温するための機能を備えておらず、このことが熱処理品質を低下せしめる原因となっていたが、この請求項2の熱処理設備は、搬送ユニットが被処理品を保温するためヒータを備えていることから、上記のような不具合を改善して熱処理品質を良好となすことができる。
また処理チャンバの増設も、より容易に且つ自由に行うことができる。
図1において、10Aは処理チャンバとしての浸炭処理チャンバ、10Bは同じ構造の増設された浸炭処理チャンバで、12は同じく処理チャンバとしての焼入処理チャンバである。
これら浸炭処理チャンバ10A,10B及び焼入処理チャンバ12は、図1中左右方向に直線状に一列に配列されている。
この実施形態において、焼入処理チャンバ12は浸炭処理後の被処理品Wを急冷して焼入れを行うためのもので、内部に冷却用の油が収容されている。
この搬送ユニット14は2室構造のものであって、処理チャンバ側の前部に受渡チャンバ18を、また後部に保温チャンバ20を有している。
ここで各浸炭処理チャンバ10A,10Bには、内部を真空排気するための真空排気ダクト(真空排気手段)24が接続されており、また各チャンバ内に浸炭ガスを供給するためのガス供給管26がそれぞれ接続されている。
ここで扉28は、その上側の駆動シリンダ30にて開閉駆動される。
同様にして焼入処理チャンバ12においても同方向に被処理品Wの受渡しのための開口部、具体的にはここでは被処理品Wの挿入のための開口部が設けられていて、その開口部が扉28にて開閉されるようになっている。
この点は他の浸炭処理チャンバ10Bについても同様である。
この走行台車42上には、搬送ユニット14における受渡チャンバ18を保温チャンバ20とともに進退させて、受渡チャンバ18と各処理設備とをドッキングさせ、またこれから離間させるための連結台車46が設けられており、この連結台車46が、エアシリンダ等の進退駆動装置48にて図2中左右方向に微小ストローク進退移動させられるようになっている。
この実施形態において、その受渡機構56は図2(B)に示しているようにスライド部材58,60を有しており、それらスライド部材58,60が図中左右方向にスライド移動することで、被処理品Wを各処理チャンバとの間で、更にはまた保温チャンバとの間で受渡しする。
尚、ここでは受渡機構としてフォーク機構を開示しているが、受渡機構としてはこのようなフォーク機構に限られず、ローラ機構その他とすることも可能である。
図2において62は搬送ユニット14に接続された電気配線コード,搬送ユニット14内部を真空排気する真空排気ダクトなどを含んだ可撓性の配線・配管群で、それぞれがケーブルベアに収納被覆されている。
先ず搬送ユニット14は、上流工程から受台22上に供給された被処理品Wを受渡機構56により受渡チャンバ18内に取り込み、その状態で図3(I)中矢印で示しているように図中右方向に走行して、浸炭処理チャンバ10Aに対向する位置に到り、そこにおいて被処理品Wを浸炭処理チャンバ10Aへと受け渡す。即ち図3(II)に示すように浸炭処理チャンバ10A内に被処理品Wを挿入する。
即ち、搬送ユニット14は先ず進退駆動装置48にて連結台車46を所定微小ストローク浸炭処理チャンバ10A側に前進移動させ、受渡チャンバ18を浸炭処理チャンバ10Aに対してドッキングさせる。
そして受渡チャンバ18内を真空排気して受渡チャンバ18内部を、予め真空状態(厳密には減圧状態)となしてある浸炭処理チャンバ10Aと同程度の真空状態とする。
浸炭処理チャンバ10A内にセットされた被処理品Wは、そこで先ずヒータ36により所定温度まで加熱昇温され、その後にガス供給管26を通じて浸炭処理チャンバ10A内に浸炭ガスが導入されて、その浸炭ガスにより被処理品Wが浸炭処理チャンバ10A内で浸炭処理される。
以上の処理がすんだところで、一旦真空処理チャンバ10Aから離間した搬送ユニット14の受渡チャンバ18が、再び前進移動して浸炭処理チャンバ10Aとドッキングし、更に受渡チャンバ18内部が真空引きされた状態で浸炭処理チャンバ10Aの扉28が開かれて、浸炭処理チャンバ10A内の被処理品Wが受渡チャンバ18内部に引き取られる(受け渡しされる)。
尚、浸炭処理チャンバ10Aにおける浸炭及び拡散処理の際の温度は例えば約950℃程度で、焼入れ温度はそれより少し低い850℃程度の温度である。
従って被処理品Wは浸炭処理チャンバ10Aから取り出されて保温チャンバ20内で保温される際、それらの差分だけ温度低下する。
即ちこの実施形態では搬送ユニット14における保温チャンバ20内で焼入れ温度までの温度降下の工程が実行される。
焼入処理チャンバ12内に挿入された被処理品Wは、そこで油の中に入れられて冷却され、焼入れ処理される。
焼入れ処理された被処理品Wは、図4(IV)に示しているように、焼入処理チャンバ12から図中上方へと排出される。
そこでその他の浸炭処理チャンバ10B、即ち複数の浸炭処理チャンバ10A,10Bを用いることで、焼入処理チャンバ12をフル稼働することが可能であり、これにより浸炭焼入れ処理の効率を大幅に高めることができる。
これにより複数の浸炭処理チャンバ10A,10Bを用いつつ連続して被処理品Wを浸炭処理及び焼入れ処理することができ、生産性を大幅に高めることができる。
或いはまた複数の浸炭処理チャンバ10A,10Bの内の何れかを焼戻し用のチャンバとして用いることで、併せて焼戻し処理も連続して行うことが可能となる。
例えば本発明は被処理品を焼結処理するための設備に対しても、或いはまたその他の熱処理を行うための設備に対しても適用することが可能である等、本発明はその趣旨を逸脱しない範囲において種々変更を加えた形態で構成可能である。
12 焼入処理チャンバ
14 搬送ユニット
18 受渡チャンバ
20 保温チャンバ
34 断熱材
48 進退駆動装置
52 ヒータ
56 受渡機構
W 被処理部材
Claims (3)
- 一連の熱処理工程の一部分を受け持つ同種若しくは異種の処理チャンバを複数有し、被処理品を全ての若しくは一部の処理チャンバ間で搬送ユニットにより搬送して一連の熱処理を完結するようになした真空熱処理設備において、
前記搬送ユニットを前記処理チャンバと分離して独立に構成し、該搬送ユニット全体を走行させて、前記処理チャンバとの間で前記被処理品を受け渡しするようになしてあり、
該搬送ユニットには、該搬送ユニットを前記処理チャンバにドッキングさせる進退移動手段が備えてあるとともに、
該処理チャンバの全部又は一部及び該搬送ユニットは真空排気手段を有するものとなしてあり、
更に該搬送ユニットは前記被処理品を保温する保温チャンバと、前記処理チャンバとの間及び該保温チャンバとの間で該被処理品を受け渡しする受渡チャンバとを有する少なくとも2室構造となしてあって、該受渡チャンバが前記処理チャンバ側の前部に、前記保温チャンバが後部に配置してあり、
それら受渡チャンバと保温チャンバとの間には、開口部と該開口部を開閉する扉が設けてあるとともに
前記受渡チャンバの前記処理チャンバ側の前端部には、開閉扉を備えない開口部と該開口部周りで前記処理チャンバとの間を気密シールするシール手段が設けてあり、
前記保温チャンバは、前記扉の閉状態の下で前記被処理品を格納するスペースを有する独立した閉空間を内部に形成し、該閉空間で該被処理品を保温可能なものとなしてあるとともに
前記受渡チャンバは、前記扉の閉状態の下で前記被処理品を格納するスペースを有する、前記保温チャンバに対して独立した空間を内部に形成するものとなしてあり
且つ該受渡チャンバは、前記扉の閉状態且つ前記処理チャンバに対してドッキング状態の下で真空排気により内部の前記空間を真空状態とし、該真空状態で前記被処理品を受渡し可能となしてあることを特徴とする真空熱処理設備。 - 請求項1において、前記保温チャンバは断熱材と該断熱材にて囲まれた空間内に前記被処理品を加熱することにより保温するためのヒータとを備えており、また前記受渡チャンバには該被処理品を受け渡しするための受渡機構が備えてあることを特徴とする真空熱処理設備。
- 請求項1,2の何れかにおいて、前記複数の処理チャンバは、前記被処理品を前記搬送ユニットとの間で受け渡しするための開口部を同一方向に向けて該受渡方向と直角方向に直線状に配列されており、前記搬送ユニットは該被処理品の受渡用の開口部が該処理チャンバの開口部と対向する向きに設けられていて、該処理チャンバの配列方向に沿って走行するものとなしてあることを特徴とする真空熱処理設備。
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