JP3453990B2 - 連続鋳造ブルームの冷却方法 - Google Patents

連続鋳造ブルームの冷却方法

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JP3453990B2 JP03277196A JP3277196A JP3453990B2 JP 3453990 B2 JP3453990 B2 JP 3453990B2 JP 03277196 A JP03277196 A JP 03277196A JP 3277196 A JP3277196 A JP 3277196A JP 3453990 B2 JP3453990 B2 JP 3453990B2
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Description

【発明の詳細な説明】 【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は鋼を連続鋳造して冷
却する分野に属する技術であって、連続鋳造ブルームの
冷却時に発生するブルームの表面欠陥低減方法に関す
る。 【0002】 【従来の技術】連続鋳造法により鋳造したブルームを冷
却した後、引き続き炉中で加熱された当該ブルームを分
塊圧延してビレットなどを造る場合、該ブルームの成
分、組織、加熱状況及び圧延条件などによっては種々の
割れが起こることはよく知られた事実である。とりわ
け、連続鋳造から加熱炉挿入までの冷却方法が不適正で
あると圧延後の製品に表面欠陥が発生しやすい。この表
面欠陥の発生を防止する技術として、「連続鋳造により
製造されたキルド鋼からなる鋳片を、その表面温度がAr
3 変態点より150 〜50℃高い温度まで冷却時に、冷却媒
体により鋳片内部が赤熱状態で、かつ表面温度がAr1
態点より100 〜400 ℃低い温度となるように急冷した
後、前記鋳片を所定長さに切断し、ついで炉内加熱して
熱間成形することを特徴とする連続鋳片の熱間加工法」
(例えば、特願昭61-311450 )が提案されている。 【0003】 【発明が解決しようとする課題】連続鋳造されたブルー
ムなどの鋳片を冷却して、該ブルームの表面層近傍のマ
クロ組織を観察すると、冷却速度が遅い場合、合金鋼の
化学組成や冷却時のオーステナイトの結晶粒の大きさに
よって異なるものの比較的大きなフェライト粒界を伴う
フェライト・パーライト組織から構成される。表面欠陥
はこれらのフェライト粒界を起点とし伝播拡大する事実
はよく知られている。ブルームなどの連続鋳造鋳片に発
生する表面疵を減少させるには上記の知見から明らかな
ように、フェライト・パーライト結晶粒径を微細にし
て割れ感受性を低減させる、割れの起点になる粗大な
フェライト粒径を形成させないように冷却して組織をベ
イナイトにする(例えば、山川真一郎ら「材料とプロセ
ス」6(1993),p.1188参照)、という方策が考えられる。 【0004】このような観点から提案された技術に前出
の特願昭61-311450 がある。即ち、「連続鋳造により製
造されたキルド鋼からなる鋳片を、その表面温度がAr3
変態点より150 〜50℃高い温度まで冷却時に、冷却媒体
により鋳片内部が赤熱状態で、かつ表面温度がAr1 変態
点より100 〜400 ℃低い温度となるように急冷した後、
前記鋳片を所定長さに切断し、ついで炉内加熱して熱間
成形することを特徴とする連続鋳片の熱間加工法」であ
る。 【0005】ところが前記の冷却方法ではブルームの広
幅、狭幅全周方向にわたり、表面疵を減少させるに十分
な冷却速度と均一冷却が得られないという問題点があ
る。本発明は前記の問題点を解決すべくなされたもの
で、連続鋳造ブルームの冷却時に発生する表面疵の発生
を防止する冷却方法を提供することを目的とする。 【0006】 【課題を解決するための手段】本発明者は連続鋳造によ
り鋳造されたブルームの疵発生低減方法について研究を
重ねた。その結果、従来方法ではブルームの広幅、狭幅
全周方向にわたり、表面疵を減少させるに十分な冷却速
度と均一冷却が得られないことが判明した。そこで発明
者らはさらに詳細に研究した結果、ブルーム表面の冷却
速度とブルームの広幅、狭幅周方向の組織差が冷却後の
疵の発生と密接に影響するという新しい知見を得、本発
明を完成するに至ったものである。 【0007】課題を解決するための本発明の手段は、連
続鋳造により鋳造されたブルームをその表面温度がAr3
変態点より50℃高い温度とAr3 変態点との間の温度範囲
まで冷却し、その後この温度範囲からマルテンサイト変
態終了点(Mf点)以下の温度に10〜300 ℃/sの冷却速度
で冷却することを要旨とする連続鋳造ブルームの冷却方
法である。 【0008】以下、本発明方法について詳細に説明す
る。 【0009】Ar3 変態点より高温における冷却開始温度
と冷却速度の関係を種々の合金鋼について調査した結
果、図1の示す結果を得た。即ち、冷却開始温度が高温
側からAr3 変態点に近ずくほど冷却速度は速くなる。な
お、図1の縦軸の最大冷却速度は、この後に続けて述べ
る第二段階での冷却速度を指している。 【0010】一方、高温の鋼を冷却液中に入れたり、ス
プレーノズルから噴流水などの冷却媒を吹き付けて冷却
する場合、冷却は、次の三つの段階で行われ、冷却速度
は決して一定でない。 【0011】第一段階:鋼が冷却媒の蒸気で包まれる段
階で、冷却速度が最も小さい。 【0012】第二段階:蒸気膜が破れて、沸騰が盛んに
起こる段階で、冷却速度はこの段階が最も大きい。 【0013】第三段階:鋼の温度が冷却媒の沸点よりも
下がった段階で、対流によって熱が奪われる段階で、冷
却速度は小さい。 【0014】前述したように、Ar3 変態点より高温にお
ける冷却開始温度がAr3 変態点に近ずくほど冷却速度が
速くなっていたが、この理由は確かなことは判らない。
しかし、Ar3 変態点より高温における冷却開始温度がAr
3 変態点に近ずくほど上記の第二段階の冷却の寄与が最
も大きくなったのではないかと思われる。冷却速度が大
きくなると冷却後のマクロ結晶粒径も小さくなり、その
組織もベイナイト、マルテンサイトになり疵の起点にな
る薄いフイルム状のフェライトが生成するのを防止す
る。またAlN 等の析出を抑制しブルーム表層部の脆化を
防止する。このような理由により、冷却開始時の表面温
度をAr3 変態点とAr3 変態点より50℃高い温度範囲とし
た。またAr3 変態点より低温になると比較的大きなフェ
ライト粒界を伴うフェライト・パーライト組織になり、
割れが発生しやすくなる。 【0015】一方冷却終了温度をMf温度以下に限定した
理由は、これ以上の温度で冷却を終了すると組織不均一
が起こりやすく、その後、加熱炉に挿入して所定の温度
に加熱した後、分塊圧延すると割れの発生が多くなるか
らである。 【0016】つぎにAr3 変態点より50℃高い温度とAr3
変態点との間の温度範囲からマルテンサイト変態終了点
(Mf点)以下の温度に冷却するときの冷却速度の限定理
由について説明する。 【0017】冷却速度の最小値を10℃/sとしたのは、こ
れ以上の小さな冷却速度であると、割れの起点になるフ
ィルム状のフェライト組織が残存しやすくなり、上記の
効果が十分に得られないためである。 【0018】冷却速度の最大値を300 ℃/sとしたのは、
これ以上の冷却速度であっても構わないが、冷却過多に
よる割れが発生する場合のあることからこれを回避する
ためである。 【0019】前述した冷却条件で鋳造したブルームの広
幅方向から狭幅方向にかけての周方向のマクロ組織の差
異をビッカース硬さ測定で代表させた結果を図2に示し
た。図2に見られる通り冷却速度が速くなるにつれて周
方向の硬度の差が減少した。このことはブルームの冷却
時の結晶粒界への歪み集中を緩和させるものと思われ
る。従って、図2に併示したようにブルームの表面全周
方向の硬度差が小さくなればなるほどブルームの表面疵
の減少に効果をもたらしたものと考えられる。なお、図
2の右縦軸の表面疵の数値は後述の実施例における表1
に比較例に対する割れ指数を示す。 【0020】なお、本発明の“連続鋳造により鋳造され
たブルームをその表面温度がAr3 変態点より50℃高い温
度とAr3 変態点との間の温度範囲になるまで冷却し、そ
の後この温度範囲からマルテンサイト変態終了点(Mf
点)以下の温度に10〜300 ℃/sの冷却速度で冷却するこ
とを特徴とする連続鋳造ブルームの冷却方法”は、水槽
に浸漬して冷却する、スプレーノズルによる噴流水やミ
ストで冷却する、ガスで冷却する、或いは、これらを組
み合わせて冷却する、などいずれの方法を用いても構わ
ない。 【0021】 【発明の実施の形態】図3に示す垂直型連続鋳造機のタ
ンディッシュ1から注湯して鋳型2で鋳造したブルーム
3を切断用トーチ4で所定の長さに切断した後、ブルー
ムクーラー装置5に搬送し、ブルームの表面温度がAr3
変態点より50℃高い温度とAr3 変態点との間の温度範囲
に下がるまでまち、その後この温度範囲からブルームク
ーラー装置5内に設置された冷却用スプレーノズル6か
ら冷却水を噴流して、10〜300℃/sの冷却速度でMf変態
点以下の温度に冷却した後、ブルームをブルームクーラ
ー装置5から取り出して本発明を実施した。 【0022】 【実施例】次に本発明の実施例を表1に示して説明す
る。ところで本発明は鋼の冷却時にフェライト・パーラ
イト変態、ベイナイト変態及びマルテンサイト変態をす
る全ての鋼に対して適用される。従って、図1或いは図
2における諸データは、単に本発明の理解の助けのため
に特定鋼種のデータでもって例示したものであり、この
ことにより本発明が限定されるものではない。表1に示
す冷却開始温度、冷却終了温度、冷却速度の各条件によ
り冷却したときの比較例1のブルームの表面の割れ発生
数を1としたとき、本発明の各実施例の冷却開始温度、
冷却終了温度、冷却速度の各条件とその冷却によるブル
ームの割れ発生指数を表1にまとめて示した。この表1
の結果から、本発明の方法によるブルームの冷却条件で
冷却したブルームの表面の割れは比較例に比して著しく
低減したことが理解される。 【0023】 【表1】 【0024】 【発明の効果】以上説明したように、本発明の冷却方法
により従来発生していたブルーム表面の割れを殆ど発生
することなく連続鋳造によるブルームを冷却することが
可能となった。
【図面の簡単な説明】 【図1】Ar3 変態点より高温における冷却開始温度と冷
却速度の関係を示す説明図である。 【図2】ブルームの広幅から狭幅にかけての周方向の表
層部の硬度の差と冷却速度の関係及びブルームの表面疵
と冷却速度の関係を示す説明図である。 【図3】本発明に用いた装置の概要を示す説明図であ
る。 【符号の説明】 1 タンディシュ 2 鋳型 3 ブルーム 4 切断トーチ 5 ブルームクーラー 6 冷却用ノズル
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平9−99352(JP,A)

Claims (1)

  1. (57)【特許請求の範囲】 【請求項1】 連続鋳造により鋳造されたブルームをそ
    の表面温度がAr3 変態点より50℃高い温度とAr3 変態点
    との間の温度範囲になるまで冷却し、その後この温度範
    囲からマルテンサイト変態終了点(Mf点)以下の温度に
    10〜300 ℃/sの冷却速度で冷却することを特徴とする連
    続鋳造ブルームの冷却方法。
JP03277196A 1996-01-26 1996-01-26 連続鋳造ブルームの冷却方法 Expired - Lifetime JP3453990B2 (ja)

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JP2015193041A (ja) * 2014-03-26 2015-11-05 株式会社神戸製鋼所 ばね鋼の鋳片の冷却方法
JP2015193038A (ja) * 2014-03-26 2015-11-05 株式会社神戸製鋼所 炭素鋼の鋳片の冷却方法
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