JP2971292B2 - 表面疵の少ないオーステナイト系ステンレス鋼の製造法 - Google Patents
表面疵の少ないオーステナイト系ステンレス鋼の製造法Info
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ンレス鋼連続鋳造鋳片の表面割れを防止した、特に、熱
間圧延後にスケールを含有した微少割れ表面疵の少ない
オーステナイト系ステンレス鋼スラブの連続鋳造法に関
するものである。
延した後で問題となる主な表面欠陥の一つに線ヘゲ(ス
リバー)と呼ばれる線状ヘゲ疵がある。この欠陥は多く
の場合、熱延コイルでは発見できない微細なヘゲ疵で、
冷間圧延または製品板でしか顕在化しないため生産上き
わめて大きな問題となっている。表面品質が重要視され
るステンレス鋼では、このような欠陥は致命的であり、
歩留低下の点からも、生産計画の点からも大きな阻害要
因となり大幅なコストアップを招いている。
間加工性が問題で、一般にオーステナイト系ステンレス
鋼の熱間加工性を改善するための諸検討がなされてい
る。すなわち欠陥は熱延圧延時特に鋳造凝固時の旧オー
ステナイト粒界が脆化して発生すると考えられている。
これは、旧オーステナイト粒界には硫黄や酸素が濃化
し、これが熱間圧延時に脆化を促進し、小さな割れが生
じ、ヘゲ疵となっていると推定されている。そのため、
これを防止するには、鋼中の硫黄および酸素含有量を低
減するか、無害化する必要があった。
を防止するには、鋼中の硫黄および酸素の含有量を極力
低減することが重要である。しかし、現実的にはコスト
高になり、含有量低減にも限度があることから、例え
ば、特開昭57−16153号公報にはδ−Fe Ca
l(δフェライト量の計算値)=3(Cr+Mo+1.
5Si+0.5Nb)−2.8(Ni+1/2Mn+1
/2Cu)−84(C+N)−19.8で決まるδ−F
e Calを4.0%以下にする方法、さらに、特開昭
57−127506号公報には連鋳時の溶鋼加熱温度Δ
T(液相線温度と鋳造温度の差)とN値の積に応じて加
熱炉のスラブ加熱温度を調整する方法等がある。
詳細に調査分類すると、疵の中にスケールを含有するも
のと含有しない2種類の疵があることがわかり、従来か
ら熱間加工性を向上させる対策を行うことで、スケール
を含有しない疵は減少するものの、スケールを含有する
特有な微少割れ疵はいぜんとして残存する問題があっ
た。
問題からスラブ熱延後の熱延鋼帯に、スケールを含有し
た微少割れ疵を生じさせない表面疵の少ないオーステナ
イト系ステンレス鋼の製造方法を提供することを目的と
するものである。
テナイト系ステンレス鋼の連続鋳造法で、連続鋳造スラ
ブ表層に生じるオシレーションマーク谷部のNi偏析部
あるいはNi偏析線と呼ばれるNiが濃化した部分を、
モールド下部冷却帯の凝固初期の連続鋳片部位で強冷却
することでδ−Feを残存させることにより、連続鋳造
スラブの鋳込み温度から定温までの熱歪による微少割れ
を防止し続く熱間圧延のための加熱時に生じる熱歪によ
る割れを防止することで、熱間圧延加熱炉内で割れ内部
にスケールを生成することなく、さらには、熱延後の熱
延鋼帯に、スケールを含有した微少割れ疵を生じさせな
い製造方法にある。特に、凝固初期に鋳片表層に存在す
るδ−Feを強冷却することで低温まで残存させ、粒界
脆化を助長させるS,O等の不純物元素を粒界に移動さ
せないように固定させ、加熱によるスケールが成長する
前の鋳片表層を割れないようにすることができる。以
下、本発明について説明する。
のスケール組成は、スラブ加熱炉でスラブ表面に成長す
るスケールと同じ組成である。さらに、スケールを含有
した微少割れ疵の発生は連続鋳造スラブのスラブ厚みが
厚くなるほど(143〜250mm厚)、また、スラブ
巾が広くなるほど(1000〜1600mm)疵発生率
が高くなる。スラブ表面手入れ量を2mmから6mm程
度に深くすると疵発生率は低下し、このことから、スラ
ブの極めて表層部が問題であることが明らかになった。
さらに、コイルエッジから200mm以内に疵は発生す
る特徴があった。
しミクロ調査した結果、連続鋳造スラブサイズのスラブ
厚みが厚くなるほど、また、スラブ巾が広くなるほど単
位断面積当たりの表面に口を開いた割れ個数が増加し、
ヘゲ疵発生傾向と対応した変化を示した。さらに、10
%しゅう酸エッチによる組織調査を行った結果、この割
れは、連続鋳造スラブ表層に生じるオシレーションマー
ク谷部のNi偏析部やNi偏析線というNiが特に濃化
した部分に多く見られ、割れの多いスラブのNi偏析部
にはδ−Feが残存しない特徴があることがわかった。
巾方向の割れと組織についてはスラブ厚が厚くスラブ巾
の広いスラブが、巾エッジ部に割れが多く、エッジ部2
00mmのδ−Feも多く消失していた。
応し、鋳片の表層割れ、さらには、鋳造組織にも対応し
た変化が見られることから冷却条件による組織変化を詳
細に調査した。190mm鋳片厚みでモールド下部冷却
帯の冷却程度を変え、連続鋳造スラブ表面に生じるオシ
レーションマーク谷部のNi偏析部のδ−Feを変化さ
せ線ヘゲ疵の発生率を調べる実験を行った。連続鋳造鋳
片を表面研削手入れすることなく1260℃に加熱後3
mm厚に熱間圧延し、砂鉄を含んだ高圧水で鋼板表面を
メカニカルデスケーリングした後硝フッ酸液で酸洗し、
0.4mm厚に冷間圧延した後でのコイル単位長さ当た
りのヘゲ疵個数とオシレーションマーク谷部のNi偏析
部のδ−Fe残存指数との関係を図1に示す。δ−Fe
の残存指数が高く(δ−Feがより多く残存)なるにし
たがってヘゲ個数は減少する。この実験の途中工程の連
続鋳造鋳片表層を切断研摩した単位長さ当たりの割れ個
数もδ−Fe残存指数が高いものには割れは見られなか
った。
40厚で引き抜き速度0.8m/分のスラブについて比
水量の影響について調べた。図2に示すように湯面から
の距離に応じた比水量の多い鋳片はヘゲ疵発生単位個数
が減少し、しかも、鋳片の組織はδ−Fe残存指数の高
い(δ−Feがより多く残存)することがわかった。
られる。通常、冷却水量はゾーン単位に変更して操業す
るが、境界面積比水量Q以上の水量であれば有効な効果
を得ることができる。巾方向の割れについてはスラブ表
面温度を測定した結果からエッジ部の冷却がより緩冷に
なっており巾方向に均一な冷却を行うことによってエッ
ジ部の鋳片割れやヘゲ疵はなくすことができた。
連続鋳造鋳片の割れが減少する機構については、凝固直
後に生成した高温で安定なδ−Fe相が、その後のゆっ
くりした冷却途中でγ相に変化する。特にオシレーショ
ンマーク谷部のNi偏析部はδ−Fe相からγ相に変化
しやすく、1150℃以下にゆっくり冷却されると容易
にγ相に変化する。δ−Fe相からγ相に変化すると
き、δ−Fe相中に均一に固溶していた不純物元素がγ
相では固溶しないため粒界に析出するようになり粒界が
脆化し熱歪によって粒界割れを生じる。一方、強冷却す
ると不純物元素をよく固溶するδ−Fe相が低温まで存
在するようになり、不純物元素を粒内に固定でき、粒界
割れが防止できる。
する。オシレーションマーク谷部のNi偏析部あるいは
Ni偏析線と呼ばれるNi濃化部分のδ−Feの残存程
度に着目した点についてはδ−Feがゆっくり冷却され
ると容易にγ相に変化するため、強冷却の程度を判定し
やすい。すなわち、δ−Feの残存状態が判定しやす
い。δ−Feがより多く残存している連続鋳造鋳片は表
面割れが減少するため、加熱炉内で割れ部にスケールが
成長することもなく、熱延後の熱延鋼帯でスケールを含
有した微少割れ疵になることもない。
ンレス鋼の成分組成については限定するものでないが、
中でも好ましいのは次のような成分範囲である。以下そ
の構成要件の根拠について述べる。Cは耐食性には低い
ほど良く、耐熱性については多いほど良く0.20%以
下としたい。Siは耐食性の点では多いほど望ましいが
4%を越えると脆化が大きくなる。Mnはオーステナイ
トの安定化には多い方が望ましいが、効果が飽和するの
で4%以下がよい。
て0.06%以下がよい。これを越えると耐食性が劣化
する。Sは従来の熱間圧延時に割れが生じる熱間加工性
においても、さらに連続鋳造鋳片の冷却途中あるいは加
熱途中の割れにも主因となる元素のため、低ければ低い
ほうが望ましく、S0.01%以下がよい。OもSと同
様にヘゲ疵を助長し、低い方が望ましく、精錬法や脱酸
法で低減する。したがってOは0.01%以下がよい。
から15%以上で30%を越えると加工が困難となる。
Niはステンレス鋼としての組成安定化の点で7%以上
がよく、28%を越えると高価になる。Moはステンレ
ス鋼の耐酸性、耐孔食性を高める上で有効で、用途によ
って5%まで選択添加し得る成分である。Cuも耐酸性
に有効で、用途によって3%まで選択添加できる成分で
ある。Nはオーステナイトフォーマーとして有効である
が、0.15%を越えると熱間加工性が劣化する傾向に
ある。下限は0.001%としたいがこれ以下は技術的
に困難である。
によって選択添加する。1%以下としたのはこれを越え
ると脆化する傾向にある。以上の成分組成の他にδ−F
e cal=3(Cr+Mo+1.5Si+0.5N
b)−2.8(Ni+1/2Mn+1/2Cu)−84
(C+N)−19.8で示されるδ−Fe cal
1.5〜4.0%のオーステナイト系ステンレス鋼を対
象とするとよい。次に本発明の実施例について説明をす
る。
304鋼のδ−Fe calが2.5〜4.0%、タン
ディシュ内温度が1490〜1530℃の溶鋼を連続鋳
造装置でオシレーションサイクル150〜250c/
分、オシレーションストローク2〜7mmで連続鋳造す
る際の鋳片厚み143〜250mm、鋳片巾1000〜
1600mm、引き抜き速度0.6〜1.5m/分で冷
却ゾーン毎に面積比水量を変更し、連続鋳造鋳片を製造
した。
察、オシレーションマーク谷部のNi偏析部のδ−Fe
残存程度を観察するとともに1200〜1260℃に2
〜4時間LNG燃焼雰囲気で加熱し、熱間圧延し2.5
〜4mm厚の熱延鋼板を得た。この熱延鋼板を940〜
1000℃で短時間焼鈍するか、焼鈍を省略した後に、
高圧水中に砂鉄粒を混入させて吹き付けるメカニカルデ
スケールを施した後80〜150g/lの硝酸、30〜
200g/lのフッ酸を含有した硝フッ酸水溶液50〜
70℃でスプレー酸洗を行い5〜10μm溶削後の熱延
酸洗板表面に認められるコイル長さ当たりのヘゲ個数を
評価した。
に0.4〜0.7mm厚に冷間圧延した後に光揮焼鈍あ
るいは大気焼鈍後、硝フッ酸酸洗し製品板を製造しヘゲ
疵による合否判定を行った。境界面積比水量より多い比
水量で冷却した強冷却スラブ材では鋳片のオシレーショ
ンマーク谷部のNi偏析部のδ−Fe残存指数も高くδ
−Feが多く残存し、CC鋳片表層の割れ個数も少な
く、熱延・酸洗板に見られるヘゲ疵個数も少なく、製品
板でもヘゲ疵が全く発生せず高歩留の製品が得られた。
ーションマーク谷部のNi偏析部のδ−Fe残存指数も
低くδ−Feの残存は少なく、CC鋳片表層の割れ個数
も多く、熱延酸洗板、製品板でもヘゲ疵が多発し、製品
としては不合格となった。同じスラブで厚手10〜25
mmの熱延を行い熱処理・酸洗し厚板製品を製造した
が、強冷却スラブ材ではヘゲ疵が全く発生しなかった。
一方、強冷却しないスラブではヘゲ疵が多発し不合格に
なるものが多発した。
帯にスケールを含有した微少割れ疵を発生せず冷延鋼帯
コイルでの合格率を安定して95%以上とすることが可
能になり、鋳片の表層手入れ工程、冷延工程でのコイル
グラインダー実施率を減少させることができるとともに
歩留の向上に寄与でき、また、生産計画の点でも問題が
解決した。さらに、冷却速度を増やしてもヘゲ疵が発生
しないことから冷却強度と鋳造速度をバランスさせた高
速鋳造も可能となる。疵防止のこの考え方は、連続鋳造
と熱間圧延を直結したホットチャージ方式やCC−DR
プロセス(連続鋳造−直接圧延プロセス)についても適
用でき、生産性を著しく上昇させることができるのでそ
の工業的効果は大きい。
ションマーク谷部のNi偏析部のδ−Fe残存量を変化
させたスラブについてδ−Fe残存量を指数化しこの指
数と、熱延・酸洗後に確認できる単位長さ当たりのヘゲ
疵個数との対応を示す図
からの距離に応じた面積比水量を変化させた場合のスラ
ブ表面オシレーションマーク谷部のNi偏析部のδ−F
e残存量を指数化したものと、熱延・酸洗後に確認でき
る単位長さ当たりのヘゲ疵個数との関係を示す図であ
る。
Claims (1)
- 【請求項1】 オーステナイト系ステンレス鋼の連続鋳
造法で、連続鋳造スラブ表層に生じるオシレーションマ
ーク谷部のNi濃化部分を、モールド下部冷却帯の凝固
初期の連続鋳片部位で、境界面積比水量Q:K/0.8
×A/1144×(55/S+17)以上の冷却水量で
強冷却することでδ−Feを残存させることにより、連
続鋳造スラブの鋳込み温度から常温までの熱歪による微
少割れと熱間圧延加熱時の熱歪による割れを防止するこ
とを特徴とする表面疵の少ないオーステナイト系ステン
レス鋼の製造方法。ただし、S:湯面からの距離
(m)、A:単位鋳片重さ(kg/m 2 )、K:引き抜
き速度(m/分)、Q:境界面積比水量(リットル/分
・m 2 )
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP13426293A JP2971292B2 (ja) | 1993-06-04 | 1993-06-04 | 表面疵の少ないオーステナイト系ステンレス鋼の製造法 |
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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Publications (2)
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JPH06344079A JPH06344079A (ja) | 1994-12-20 |
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JP13426293A Expired - Fee Related JP2971292B2 (ja) | 1993-06-04 | 1993-06-04 | 表面疵の少ないオーステナイト系ステンレス鋼の製造法 |
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-
1993
- 1993-06-04 JP JP13426293A patent/JP2971292B2/ja not_active Expired - Fee Related
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