JPH1060428A - 希土類付活弗化ハロゲン化バリウム系蛍光体粉末およびその製造法 - Google Patents

希土類付活弗化ハロゲン化バリウム系蛍光体粉末およびその製造法

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JPH1060428A
JPH1060428A JP23727596A JP23727596A JPH1060428A JP H1060428 A JPH1060428 A JP H1060428A JP 23727596 A JP23727596 A JP 23727596A JP 23727596 A JP23727596 A JP 23727596A JP H1060428 A JPH1060428 A JP H1060428A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 放射線像変換方法に用いる希土類付活弗化ハ
ロゲン化バリウム系蛍光体粉末の焼成による製造に際し
て発生しやすい焼結による蛍光体の塊状化を抑制するこ
と。 【解決手段】 希土類付活弗化ハロゲン化バリウム系蛍
光体の粉末であって、その粉末表面が、アルミニウム、
ジルコニウム、チタン、ケイ素、およびバリウムの内の
いずれかの元素の酸化物皮膜により被覆されていること
を特徴とする希土類付活弗化ハロゲン化バリウム系蛍光
体粉末。この酸化物皮膜はアルコキシドを利用して蛍光
体表面に効率的に形成することができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、微粒子状の希土類
付活弗化ハロゲン化バリウム系の輝尽性蛍光体の粒子か
らなる粉体、そしてその蛍光体粉末を有利に製造するの
に適した製造法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来の写真フィルムを用いる放射線写真
法に代わる方法として、輝尽性蛍光体を用いる放射線像
変換方法が開発され、近年では広範囲に利用されてい
る。この方法は、輝尽性蛍光体を含有する放射線像変換
パネル(蓄積性蛍光体シート)を利用するもので、被写
体を透過した、あるいは被検体から発せられた放射線を
該パネルの輝尽性蛍光体に吸収させ、そののちに輝尽性
蛍光体を可視光線、赤外線などの電磁波(励起光)で時
系列的に励起することにより、該輝尽性蛍光体中に蓄積
されている放射線エネルギーを蛍光(輝尽発光光)とし
て放出させ、この蛍光を光電的に読み取って電気信号を
得、次いで得られた電気信号に基づいて被写体あるいは
被検体の放射線画像を可視像として再生するものであ
る。読み取りを終えた該パネルは、残存する画像の消去
が行なわれた後、次の撮影のために備えられる。すなわ
ち、放射線像変換パネルは繰り返し使用することができ
る。
【0003】輝尽性蛍光体は、放射線を照射した後、励
起光を照射すると輝尽発光を示す蛍光体であるが、実用
上では、波長が400〜900nmの範囲にある励起光
によって300〜500nmの波長範囲の輝尽発光を示
す蛍光体が一般的に利用される。そして、従来より放射
線像変換パネルに用いられル輝尽性蛍光体としては、下
記組成式(I): Ba1-xII x FX:aMI ,bLn …(I) (但し、MIIは、Mg、CaおよびSrからなる群より
選ばれる少なくとも一種のアルカリ土類金属を表わし;
Xは、Cl、BrおよびIからなる群より選ばれる少な
くとも一種のハロゲンを表わし;MI は、Li、Na、
K、Rb及びCsからなる群より選ばれる少なくとも一
種のアルカリ金属を表わし;そしてLnはCe、Pr、
Sm、Eu、Gd、Tb、TmおよびYbからなる群よ
り選ばれる少なくとも一種の希土類金属を表わし;そし
て、x、aおよびbは、それぞれ、0≦x≦0.5、0
<a≦0.05、及び0<b≦0.2の条件を満足する
数値である。)で表わされる希土類付活弗化ハロゲン化
バリウム系蛍光体が最も一般的に用いられている。
【0004】放射線像変換方法に用いられる放射線像変
換パネルは、その基本構造として、支持体とその表面に
設けられた輝尽性蛍光体層とからなるものである。ただ
し、蛍光体層が自己支持性である場合には必ずしも支持
体を必要としない。輝尽性蛍光体層は、通常は輝尽性蛍
光体とこれを分散状態で含有支持する結合剤とからな
る。ただし、輝尽性蛍光体層としては、蒸着法や焼結法
によって形成される、結合剤を含まないで輝尽性蛍光体
の凝集体のみから構成されるものが知られている。ま
た、輝尽性蛍光体の凝集体の間隙に高分子物質が含浸さ
れている輝尽性蛍光体層を有する放射線像変換パネルも
知られている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】輝尽性蛍光体を利用す
る放射線像変換方法の利用が進むにつれて、得られる放
射線画像の画質の向上、たとえば、鮮鋭度の向上や粒状
性の向上が更に求められるようになっている。放射線画
像の画質の向上のための手段は種々考えられるが、なか
でも、輝尽性蛍光体の微粒子化と微粒子化された輝尽性
蛍光体の粒径を揃えること、即ち、粒径分布を狭くする
ことが有効である。そして、そのためには、まず蛍光体
粉末の焼成時に発生しやすい焼結による蛍光体粉末の塊
状化を可能な限り抑制しなければならない。
【0006】すなわち、輝尽性蛍光体は一般に、蛍光体
原料を水溶液中で反応させて反応生成物の結晶を得た
後、その反応生成物(蛍光体前駆体)を高温で焼成し、
次いで焼成物を粉砕し、これを篩などを利用して分級す
る方法を利用して製造されている。ただし、この方法で
は蛍光体前駆体の高温焼成工程において、前駆体結晶の
焼結が発生して、得られる蛍光体が塊状物として得られ
やすいという問題があった。この蛍光体の塊状物は、粉
砕により微粒子化されるが、粉砕を過度に行なうと、得
られる蛍光体粒子の特性低下(感度の低下など)が発生
しやすいため、予め焼結の発生を抑制しておくことが望
ましい。そして、従来では、その蛍光体前駆体の焼成工
程における焼結の発生を抑制するために、結晶状の蛍光
体前駆体に酸化アルミニウムや酸化ジルコニウムなどの
焼結防止剤の微粒子を混合して、その表面に点着させ、
その点着された酸化アルミニウムや酸化ジルコニウムの
作用により焼結を抑制するという方法が一般的に利用さ
れていた。上記の蛍光体前駆体結晶への酸化アルミニウ
ムや酸化ジルコニウムの微粒子の混合による点着は、焼
結防止のためにそれなりに有効であるが、蛍光体前駆体
結晶と焼結防止剤微粒子との均一な混合の操作が煩雑に
なる上に、特に焼結防止剤微粒子を多量に添加するよう
な場合には、その均一点着が容易ではないという問題が
ある。
【0007】
【課題を解決するための手段】組成式(I): Ba1-xII x FX:aMI ,bLn …(I) (但し、MIIは、Mg、CaおよびSrからなる群より
選ばれる少なくとも一種のアルカリ土類金属を表わし;
Xは、Cl、BrおよびIからなる群より選ばれる少な
くとも一種のハロゲンを表わし;MI は、Li、Na、
K、Rb及びCsからなる群より選ばれる少なくとも一
種のアルカリ金属を表わし;そしてLnはCe、Pr、
Sm、Eu、Gd、Tb、TmおよびYbからなる群よ
り選ばれる少なくとも一種の希土類金属を表わし;そし
て、x、aおよびbは、それぞれ、0≦x≦0.5、0
<a≦0.05、及び0<b≦0.2の条件を満足する
数値である。)で表わされる希土類付活弗化ハロゲン化
バリウム系蛍光体の粉末であって、その粉末表面が、ア
ルミニウム、ジルコニウム、チタン、ケイ素、およびバ
リウムの内のいずれかの元素の酸化物の皮膜により被覆
されていることを特徴とする希土類付活弗化ハロゲン化
バリウム系蛍光体粉末。
【0008】上記の酸化物被覆蛍光体粉末は、組成式
(I): Ba1-xII x FX:aMI ,bLn …(I) (但し、MII、X、MI 、Ln、そして、x、aおよび
bは、上記と同じ意味を表わす) 表わされる希土類付活弗化ハロゲン化バリウム系蛍光体
の前駆体粉末の表面にアルミニウム、ジルコニウム、チ
タン、ケイ素、およびバリウムの内のいずれかの元素の
アルコキシドを付着させたのち、該アルコキシドを加水
分解させ、次いで該前駆体粉末を焼成することにより得
ることができる。
【0009】
【発明の実施の形態】本発明の希土類付活弗化ハロゲン
化バリウム系蛍光体の製造法の代表的な態様を、以下に
詳しく説明する。
【0010】まず、常法に従って、水系溶媒中で、ハロ
ゲン化バリウム(BaX2 :Xは、組成式(I)に記載
のもの:そして所望により、更にCaX2 、SrX2
あるいはアルカリ金属のハロゲン化物などの添加物)と
希土類元素(組成式(I)のLn)のハロゲン化物、そ
して無機弗化物(弗化アンモニウム、アルカリ金属の弗
化物など)を反応させて、蛍光体前駆体結晶を製造す
る。
【0011】蛍光体前駆体結晶は、特願平8−1310
57号出願明細書に記載したような水と有機溶媒との混
合溶媒中で製造することもできる。すなわち、まず、反
応容器に水と相溶性のある有機溶媒(アルコール系、ケ
トン系、エーテル系、エステル系など)を入れ、この有
機溶媒を20〜80℃に保温する。別に、ハロゲン化バ
リウム(BaX2 :Xは、組成式(I)に記載のもの。
そして、所望により、更にCaX2 、SrX2 、あるい
はアルカリ金属のハロゲン化物などの添加物)と希土類
元素(組成式(I)のLn)のハロゲン化物とを溶解し
た水溶液あるいは水性有機溶媒溶液、そして、無機弗化
物(弗化アンモニウム、アルカリ金属の弗化物など)の
水溶液あるいは水性有機溶媒溶液をそれぞれ用意し、こ
れらを前記の有機溶媒に撹拌下に同時に添加する。この
有機溶媒への蛍光体原料の同時添加により、それらはす
ぐに反応し、蛍光体前駆体結晶が析出する。そして、そ
の反応混合物を上記の温度範囲で更に撹拌して、析出し
た結晶の熟成を行なう。その後、沈殿した結晶を濾過に
より集め、有機溶媒、水性有機溶媒で良く洗ったのち、
結晶を乾燥させることにより目的の蛍光体前駆体結晶を
得ることができる。この蛍光体前駆体結晶の中心粒子径
は10μm以下であることが好ましい。更に好ましい中
心粒子径は、0.1〜8μmである。
【0012】次いで、乾燥させた結晶(蛍光体前駆体結
晶)に、焼成によって、本発明の蛍光体の被覆剤として
用いるアルミニウム、ジルコニウム、チタン、ケイ素、
及びバリウムの内のいずれかの元素の酸化物に容易に変
化する化合物を付着させる。そのような化合物の好まし
い例ととしては、アルミニウム、ジルコニウム、チタ
ン、ケイ素、及びバリウムの内のいずれかの元素のアル
コキシド(例えば、メトキシド、エトキシド、プロポキ
シド、イソプロポキシド、sec−ブトキシドなどの炭
素数1〜6の低級アルキルのオキシド)を挙げることが
できる。蛍光体前駆体結晶への、これらのアルコキシド
の付着のための好ましい方法としては、アルコキシド有
機溶媒溶液中への前駆体結晶の浸漬がある。あるいは、
前駆体結晶にアルコキシド有機溶媒溶液を噴霧してもよ
い。なお、この噴霧を利用してアルコキシド有機溶媒溶
液を前駆体結晶の表面に付着させる場合には、前駆体結
晶表面に均一に噴霧することが望ましい。
【0013】アルコキシドが表面に付着した蛍光体前駆
体結晶は、次いで水との接触により加水分解され、次い
で、常法に従い、焼成される。焼成は、蛍光体前駆体結
晶を、石英ボート、アルミナルツボ、石英ルツボなどの
耐熱性容器に充填し、電気炉の炉芯に入れて焼成を行な
う。焼成温度は400〜1300℃が適当であり、50
0〜1000℃の範囲(特に700〜900℃付近)が
好ましい。焼成時間は、蛍光体原料混合物の充填量、焼
成温度および炉からの取出し温度などによっても異なる
が、一般には0.5〜12時間(特に1〜5時間)が適
当である。焼成雰囲気としては、窒素ガス雰囲気、アル
ゴンガス雰囲気などの中性雰囲気、あるいは少量の水素
ガスを含有する窒素ガス雰囲気、一酸化炭素を含有する
二酸化炭素雰囲気などの弱還元性雰囲気、あるいは微量
酸素導入雰囲気が利用される。
【0014】上記の加水分解によってアルコキシドが分
解して酸化物となるため、粉末表面がアルコキシドの酸
化物の皮膜で均一に被覆され、従って焼結による塊状化
が少ない(例、中心粒子径は10μm以下)弗化ハロゲ
ン化バリウム系輝尽性蛍光体粉末が得られる。所望によ
り、得られた蛍光体粉末を篩などを用いて分級してもよ
い。
【0015】
【実施例】
[実施例1]内部雰囲気を窒素置換したグローブボック
ス中で、アルミニウムトリ−sec−ブトキシド(関東
化学株式会社製)をそれぞれ別に0.52g、1.56
g、2.60g、そして5.20g秤量して、これをs
ec−ブタノールで希釈して300mLのアルミニウム
トリ−sec−ブトキシド溶液を調製した。別に調製し
ておいた中心粒子径が5μmのユーロピウム付活弗化臭
化バリウム(BaFBr:0.001 Eu2+、輝尽性蛍光
体)の前駆体結晶100gを上記のアルミニウムトリ−
sec−ブトキシド溶液(300mL)に添加し、強く
撹拌して、充分に分散させ、アルミニウムトリ−sec
−ブトキシドを表面に吸着した蛍光体前駆体結晶粉末の
懸濁液を得た。
【0016】別に、sec−ブタノール(50mL)
に、それぞれ水を0.54g、1.62g、2.70
g、そして5.40g添加した混合液を調製し、これら
を上記蛍光体前駆体結晶の懸濁液のそれぞれに室温で順
に添加して、アルミニウムトリ−sec−ブトキシドを
加水分解させた。なお、この添加は、懸濁液を撹拌しな
がら、これに混合液をシリンダーポンプを用い、0.1
mL/分の流量で加える方法により行なった。混合液の
添加後、さらに熟成のために室温で1時間撹拌を続け、
次いで吸引濾過を利用して、処理済みの蛍光体前駆体結
晶を分離した。分離した蛍光体前駆体結晶を20g秤量
し、これを850℃の窒素雰囲気中で焼成して表面が酸
化アルミニウムで被覆されたユーロピウム付活弗化臭化
バリウム(BaFBr:0.001 Eu2+)の輝尽性蛍光体
の粉末を得た。
【0017】[実施例2]内部雰囲気を窒素置換したグ
ローブボックス中で、ジルコニウムテトラプロポキシド
(アルドリッチ社製)をそれぞれ別に0.38g、1.
14g、1.90g、そして3.80g秤量して、これ
をプロパノールで希釈して300mLのジルコニウムテ
トラプロポキシド溶液を調製した。別に調製しておいた
中心粒子径が5μmのユーロピウム付活弗化臭化バリウ
ム(BaFBr:0.001 Eu2+、輝尽性蛍光体)の前駆
体結晶100gを上記のジルコニウムテトラプロポキシ
ド溶液(300mL)に添加し、強く撹拌して、充分に
分散させ、ジルコニウムテトラプロポキシドを表面に吸
着した蛍光体前駆体結晶粉末の懸濁液を得た。
【0018】別に、プロパノール(50mL)に、それ
ぞれ水を0.29g、0.88g、1.46g、そして
2.92g添加した混合液を調製し、これらを上記蛍光
体前駆体結晶の懸濁液のそれぞれに室温で順に添加し
て、ジルコニウムテトラプロポキシドを加水分解させ
た。なお、この添加は、懸濁液を撹拌しながら、これに
混合液をシリンダーポンプを用い、0.1mL/分の流
量で加える方法により行なった。混合液の添加後、さら
に熟成のために室温で1時間撹拌を続け、次いで吸引濾
過を利用して、処理済みの蛍光体前駆体結晶を分離し
た。分離した蛍光体前駆体結晶を20g秤量し、これを
850℃の窒素雰囲気中で焼成して表面が酸化ジルコニ
ウムで被覆されたユーロピウム付活弗化臭化バリウム
(BaFBr:0.001 Eu2+)の輝尽性蛍光体の粉末を
得た。
【0019】[実施例3]内部雰囲気を窒素置換したグ
ローブボックス中で、チタンテトライソプロポキシド
(和光純薬株式会社製)を、それぞれ別に0.37g、
1.12g、1.87g、そして3.74g秤量して、
これをイソプロパノールで希釈して300mLのチタン
テトライソプロポキシド溶液を調製した。別に調製して
おいた中心粒子径が5μmのユーロピウム付活弗化臭化
バリウム(BaFBr:0.001 Eu2+、輝尽性蛍光体)
の前駆体結晶100gを上記のチタンテトライソプロポ
キシド溶液(300mL)に添加し、強く撹拌して、充
分に分散させ、チタンテトライソプロポキシドを表面に
吸着した蛍光体前駆体結晶粉末の懸濁液を得た。
【0020】別に、イソプロパノール(50mL)に、
それぞれ水を0.45g、1.35g、2.25g、そ
して4.50g添加した混合液を調製し、これらを上記
蛍光体前駆体結晶の懸濁液のそれぞれに室温で順に添加
して、チタンテトライソプロポキシドを加水分解させ
た。なお、この添加は、懸濁液を撹拌しながら、これに
混合液をシリンダーポンプを用い、0.1mL/分の流
量で加える方法により行なった。混合液の添加後、さら
に熟成のために室温で1時間撹拌を続け、次いで吸引濾
過を利用して、処理済みの蛍光体前駆体結晶を分離し
た。分離した蛍光体前駆体結晶を20g秤量し、これを
850℃の窒素雰囲気中で焼成することにより、表面が
酸化チタンで被覆されたユーロピウム付活弗化臭化バリ
ウム(BaFBr:0.001 Eu2+)の輝尽性蛍光体の粉
末を得た。
【0021】[実施例4]内部雰囲気を窒素置換したグ
ローブボックス中で、テトラエトキシシラン(関東化学
株式会社製)を、それぞれ別に0.36g、1.09
g、1.82g、そして3.64g秤量して、これをエ
タノールで希釈して300mLのテトラエトキシシラン
溶液を調製した。別に調製しておいた中心粒子径が5μ
mのユーロピウム付活弗化臭化バリウム(BaFBr:
0.001 Eu2+、輝尽性蛍光体)の前駆体結晶100gを
上記のテトラエトキシシラン溶液(300mL)に添加
し、強く撹拌して、充分に分散させ、テトラエトキシシ
ランを表面に吸着した蛍光体前駆体結晶粉末の懸濁液を
得た。
【0022】別に、エタノール(50mL)に、それぞ
れ水を、0.60g、1.79g、2.99g、そして
5.98g添加した混合液を調製し、これらを上記蛍光
体前駆体結晶の懸濁液のそれぞれに室温で順に添加し
て、テトラエトキシシラを加水分解させた。なお、この
添加は、懸濁液を撹拌しながら、これに混合液をシリン
ダーポンプを用い、0.1mL/分の流量で加える方法
により行なった。混合液の添加後、さらに熟成のために
室温で1時間撹拌を続け、次いで吸引濾過を利用して、
処理済みの蛍光体前駆体結晶を分離した。分離した蛍光
体前駆体結晶を20g秤量し、これを850℃の窒素雰
囲気中で焼成することにより、表面が酸化けい素で被覆
されたユーロピウム付活弗化臭化バリウム(BaFB
r:0.001 Eu2+)の輝尽性蛍光体の粉末を得た。
【0023】[実施例5]内部雰囲気を窒素置換したグ
ローブボックス中で、金属バリウム2.00gをイソプ
ロパノールに溶解させて、バリウムイソプロポキシドを
含む100mLイソプロパノール溶液を得た。この溶液
を、それぞれ別に4.5mL、13.4mL、22.3
mL、そして44.6mL秤量して、これをイソプロパ
ノールで希釈して300mLのバリウムイソプロポキシ
ド溶液を調製した。別に調製しておいた中心粒子径が5
μmのユーロピウム付活弗化臭化バリウム(BaFB
r:0.001 Eu2+、輝尽性蛍光体)の前駆体結晶100
gを上記のバリウムイソプロポキシド溶液(300m
L)に添加し、強く撹拌して、充分に分散させ、バリウ
ムイソプロポキシドを表面に吸着した蛍光体前駆体結晶
粉末の懸濁液を得た。
【0024】別に、イソプロノール(50mL)に、そ
れぞれ水を、0.12g、0.35g、0.59g、そ
して1.17g添加した混合液を調製し、これらを上記
蛍光体前駆体結晶の懸濁液のそれぞれに室温で順に添加
して、バリウムイソプロポキシドを加水分解させた。な
お、この添加は、懸濁液を撹拌しながら、これに混合液
をシリンダーポンプを用い、0.1mL/分の流量で加
える方法により行なった。混合液の添加後、さらに熟成
のために室温で1時間撹拌を続け、次いで吸引濾過を利
用して、処理済みの蛍光体前駆体結晶を分離した。分離
した蛍光体前駆体結晶を20g秤量し、これを850℃
の窒素雰囲気中で焼成することにより、表面が酸化バリ
ウムで被覆されたユーロピウム付活弗化臭化バリウム
(BaFBr:0.001 Eu2+)の輝尽性蛍光体の粉末を
得た。
【0025】[比較例1]予め調製しておいた中心粒子
径が5μmのユーロピウム付活弗化臭化バリウム(Ba
FBr:0.001 Eu2+、輝尽性蛍光体)の前駆体結晶2
0gに超微粒子状(中心粒子径:約0.02μm)の酸
化アルミニウム0.2gを添加し、充分に混合した。こ
の混合物を850℃の窒素雰囲気中で焼成することによ
り、表面に酸化アルミニウムが点着したユーロピウム付
活弗化臭化バリウム(BaFBr:0.001 Eu2+)の輝
尽性蛍光体の粉末を得た。
【0026】[焼成後の蛍光体粉末の中心粒子径]実施
例1〜5および比較例1において焼成後に得られた蛍光
体粉末の中心粒子径を測定した。その結果を図1に示
す。なお、この図1の横軸は、蛍光体粉末の表面に被覆
もしくは点着されている金属酸化物の量を表わし、その
金属酸化物の量は、実施例では、蛍光体前駆体粒子を浸
漬したアルコキシド溶液中のアルコキシドの全量が蛍光
体前駆体粒子の表面に吸着され、加水分解されたものと
仮定した場合の値である。図1から明らかなように、同
じ酸化物使用量当りで比較すると、本発明に従って、ア
ルコキシドの加水分解を利用して金属酸化物を蛍光体粉
末の表面に付着させた場合、従来の酸化アルミニウムの
超微粒子の使用に比べて、少なくとも同等で、多くは更
に優れた焼結防止効果が達成されていることがわかる。
【0027】[実施例6]前駆体結晶を、中心粒子径が
5μmのセリウム付活弗化臭化バリウム(BaFBr:
0.001 Ce3+、輝尽性蛍光体)に変えた以外は、実施例
1と同一の操作により、表面が酸化アルミニウムで被覆
されたユーロピウム付活弗化臭化バリウム(BaFB
r:0.001 Ce3+)の輝尽性蛍光体の粉末を得た。得ら
れた輝尽性蛍光体は、実施例1の場合と同様に焼結が抑
制されていた。
【0028】[実施例7]前駆体結晶を、中心粒子径が
5μmのセリウム付活弗化臭化バリウム(BaFBr:
0.001 Ce3+、輝尽性蛍光体)に変えた以外は、実施例
2と同一の操作により、表面が酸化ジルコニウムで被覆
されたユーロピウム付活弗化臭化バリウム(BaFB
r:0.001 Ce3+)の輝尽性蛍光体の粉末を得た。得ら
れた輝尽性蛍光体は、実施例2の場合と同様に焼結が抑
制されていた。
【0029】[実施例8]前駆体結晶を、中心粒子径が
5μmのセリウム付活弗化臭化バリウム(BaFBr:
0.001 Ce3+、輝尽性蛍光体)に変えた以外は、実施例
4と同一の操作により、表面が酸化けい素で被覆された
ユーロピウム付活弗化臭化バリウム(BaFBr:0.00
1 Ce3+)の輝尽性蛍光体の粉末を得た。得られた輝尽
性蛍光体は、実施例4の場合と同様に焼結が抑制されて
いた。
【0030】
【発明の効果】希土類付活弗化ハロゲン化バリウム系輝
尽性蛍光体粉末の製造の際の焼結防止剤として、アルミ
ニウム、ジルコニウム、チタン、ケイ素、およびバリウ
ムの内のいずれかの元素のアルコキシドの酸化により得
られる酸化物を、その粉末の表面を被覆するように用い
ることにより、焼成時の蛍光体粒子の焼結を効果的に抑
制することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明および公知の焼結防止剤で処理した同一
粒径の輝尽性蛍光体を焼成したのちの蛍光体粉末の粒径
(中心粒径)の変動を示す図である。

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 組成式(I): Ba1-xII x FX:aMI ,bLn …(I) (但し、MIIは、Mg、CaおよびSrからなる群より
    選ばれる少なくとも一種のアルカリ土類金属を表わし;
    Xは、Cl、BrおよびIからなる群より選ばれる少な
    くとも一種のハロゲンを表わし;MI は、Li、Na、
    K、Rb及びCsからなる群より選ばれる少なくとも一
    種のアルカリ金属を表わし;そしてLnはCe、Pr、
    Sm、Eu、Gd、Tb、TmおよびYbからなる群よ
    り選ばれる少なくとも一種の希土類金属を表わし;そし
    て、x、aおよびbは、それぞれ、0≦x≦0.5、0
    <a≦0.05、及び0<b≦0.2の条件を満足する
    数値である。)で表わされる希土類付活弗化ハロゲン化
    バリウム系蛍光体の粉末であって、その粉末表面が、ア
    ルミニウム、ジルコニウム、チタン、ケイ素、およびバ
    リウムの内のいずれかの元素の酸化物皮膜により被覆さ
    れていることを特徴とする希土類付活弗化ハロゲン化バ
    リウム系蛍光体粉末。
  2. 【請求項2】 蛍光体粉末を被覆している酸化物皮膜が
    酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、もしくは酸化ケ
    イ素の内のいずれかの皮膜である請求項1に記載の希土
    類付活弗化ハロゲン化バリウム系蛍光体粉末。
  3. 【請求項3】 蛍光体粉末の中心粒子径が10μm以下
    である請求項1に記載の希土類付活弗化ハロゲン化バリ
    ウム系蛍光体粉末。
  4. 【請求項4】 組成式(I): Ba1-xII x FX:aMI ,bLn …(I) (但し、MIIは、Mg、CaおよびSrからなる群より
    選ばれる少なくとも一種のアルカリ土類金属を表わし;
    Xは、Cl、BrおよびIからなる群より選ばれる少な
    くとも一種のハロゲンを表わし;MI は、Li、Na、
    K、Rb及びCsからなる群より選ばれる少なくとも一
    種のアルカリ金属を表わし;そしてLnはCe、Pr、
    Sm、Eu、Gd、Tb、TmおよびYbからなる群よ
    り選ばれる少なくとも一種の希土類金属を表わし;そし
    て、x、aおよびbは、それぞれ、0≦x≦0.5、0
    <a≦0.05、及び0<b≦0.2の条件を満足する
    数値である。) 表わされる希土類付活弗化ハロゲン化バリウム系蛍光体
    の前駆体粉末の表面にアルミニウム、ジルコニウム、チ
    タン、ケイ素、およびバリウムの内のいずれかの元素の
    アルコキシドを付着させたのち、該アルコキシドを加水
    分解させ、次いで該前駆体粉末を焼成することを特徴と
    する希土類付活弗化ハロゲン化バリウム系蛍光体粉末の
    製造法。
  5. 【請求項5】 蛍光体前駆体粉末に付着させるアルコキ
    シドが、アルミニウムアルコキシド、ジルコニウムアル
    コキシド、もしくはケイ素アルコキシドの内のいずれか
    である請求項4に記載の希土類付活弗化ハロゲン化バリ
    ウム系蛍光体粉末の製造法。
  6. 【請求項6】 蛍光体前駆体粉末として、その中心粒子
    径が10μm以下の粉末を用いる請求項4に記載の希土
    類付活弗化ハロゲン化バリウム系蛍光体粉末の製造法。
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