JP2003089788A - 輝尽性蛍光体、その製造方法及び放射線画像変換パネル - Google Patents

輝尽性蛍光体、その製造方法及び放射線画像変換パネル

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JP2003089788A
JP2003089788A JP2001283082A JP2001283082A JP2003089788A JP 2003089788 A JP2003089788 A JP 2003089788A JP 2001283082 A JP2001283082 A JP 2001283082A JP 2001283082 A JP2001283082 A JP 2001283082A JP 2003089788 A JP2003089788 A JP 2003089788A
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phosphor
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JP2001283082A
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Hiroyuki Nabeta
博之 鍋田
Hideaki Wakamatsu
秀明 若松
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Konica Minolta Inc
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】 優れた焼結防止効果と蛍光体性能を両立して
有する輝尽性蛍光体の製造方法を提供する。 【解決手段】 下記一般式(1)で表される輝尽性蛍光
体の製造方法であって、下記工程1)〜3)の3つを経
ることを特徴とする輝尽性蛍光体の製造方法。一般式
(1) (Ba1-y2 y)FX:aM1,bLn,cO
(式中、M2はMg、Ca、Sr、Zn、Cd、XはC
l、Br、I、M1はLi、Na、K、Rb、Cs、L
nはCe、Pr、Sm、Euなどの希土類元素、0≦y
≦0.6、0≦a≦0.05、0<b≦0.2、0<c
≦0.1を表す。)工程1) 前記輝尽性蛍光体の前駆
体を液相法により製造する工程;工程2) 得られた前
駆体に対する、粒径2〜50nmの金属酸化物の添加量
W(質量%)を、前記前駆体の平均粒径D(μm)との
関係式で規定した量で添加、混合する工程;工程3)
前記前駆体と金属酸化物の混合物を600℃以上に加熱
する工程;

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は輝尽性蛍光体、その
製造方法、及び前記輝尽性蛍光体を用いた放射線画像変
換パネルに関するものである。
【0002】
【従来の技術】輝尽性蛍光体を利用する放射線画像変換
方法の利用が進むにつれて、得られる放射線画像の画質
の向上、例えば、鮮鋭度や粒状性の向上が更に求められ
るようになってきた。放射線画像の画質の向上の手段の
中で、輝尽性蛍光体の微粒子化と微粒子化された輝尽性
蛍光体の粒径を揃えること、即ち、粒径分布を狭くする
ことは有効である。
【0003】特開平9−291278号、特開平7−2
33369号等で開示されている液相からの輝尽性蛍光
体の製造法は、蛍光体原料溶液の濃度を調整して微粒子
状の輝尽性蛍光体前駆体を得る方法であり、粒径分布の
揃った輝尽性蛍光体粉末の製造法として有効である。
【0004】この方法で得られる輝尽性蛍光体前駆体
は、高温での焼成により初めて輝尽発光性を獲得し、前
駆体から輝尽性蛍光体が製造される。この時、焼成によ
る粒径の増加、いわゆる焼結が起こる場合があり、微粒
子化のためには大きな課題となる。焼結を防ぐために金
属酸化物微粒子、例えばシリカ、アルミナ等の焼結防止
剤を焼成前に前駆体に添加する技術が知られている。特
開平9−291278号、特開平7−233369号で
も焼結防止剤としてアルミナ微粒子を添加した記載があ
る。
【0005】しかしながら上記の焼結防止剤の添加量で
は粒径の増加は抑制できるものの、輝尽発光強度や消去
特性等の蛍光体性能に対して悪い影響を与える場合があ
ることが判明した。そこで優れた焼結防止効果と蛍光体
性能を両立させる技術が要望されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は上記事情に鑑
みてなされたものであり、その第1の目的は、優れた焼
結防止効果と輝尽発光強度、消去特性の改善を全て実現
する輝尽性蛍光体の製造方法を提供することにある。本
発明の第2の目的は、焼結防止され、かつ優れた輝尽発
光強度と消去特性を有する輝尽性蛍光体を提供すること
にある。又、本発明の第3の目的は、前述のようにして
得られた輝尽性蛍光体を包含する放射線画像変換パネル
を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明の上記課題は以下
の構成により達成された。
【0008】1.前記一般式(1)で表される輝尽性蛍
光体の製造方法であって、少なくとも下記工程1)〜
3)の3つを経ることを特徴とする輝尽性蛍光体の製造
方法。
【0009】工程1) 前記輝尽性蛍光体の前駆体を液
相法により製造する工程; 工程2) 工程1)により製造した輝尽性蛍光体前駆体
に対し、粒径2〜50nmの金属酸化物の少なくとも1
種を前記式(1)を満たす添加量W(質量%)で添加、
混合する工程; 工程3) 工程2)の後、輝尽性蛍光体前駆体と金属酸
化物との混合物を600℃以上に加熱する工程; 2.前記金属酸化物の添加量が前記式(2)を満たすこ
とを特徴とする1記載の輝尽性蛍光体の製造方法。
【0010】3.前記金属酸化物がSi、Al、Ti、
及びZrの何れかの酸化物であることを特徴とする1又
は2記載の輝尽性蛍光体の製造方法。
【0011】4.1〜3のいずれか1項記載の輝尽性蛍
光体の製造方法によって得られたことを特徴とする輝尽
性蛍光体。
【0012】5.輝尽性蛍光体を含む蛍光体層を有する
放射線画像変換パネルにおいて、4記載の輝尽性蛍光体
を含むことを特徴とする放射線画像変換パネル。
【0013】本発明者らは上記課題に対し、鋭意検討し
た結果、輝度の低下が過大な焼結防止剤の添加量に起因
していることを突き止め、使用する輝尽性蛍光体の前駆
体の総表面積に対して適当な焼結防止剤量を添加するこ
と、又、使用する輝尽性蛍光体の前駆体の総表面積を代
表する値として、前駆体の粒径と適当な焼結防止剤の添
加量の範囲との間の関係式を確立することで改善できる
ことを見出し、本発明に至ったものである。
【0014】本発明における輝尽性蛍光体の製造方法の
代表的な態様を以下に詳しく説明する。
【0015】本発明は上記一般式(1)で表される輝尽
性蛍光体の製造に対し、少なくとも下記工程1)〜3)
の3つを経ることを特徴とするものである。
【0016】工程1) 前記輝尽性蛍光体の前駆体を液
相法により製造する工程; 工程2) 工程1)により製造した輝尽性蛍光体前駆体
に対し、粒径2〜50nmの金属酸化物の少なくとも1
種を前記式(1)を満たす添加量W(質量%)で添加、
混合する工程; 工程3) 工程2)の後、輝尽性蛍光体前駆体と金属酸
化物との混合物を600℃以上に加熱する工程; 液相法による輝尽性蛍光体前駆体の製造については、特
開平10−140148号に記載された前駆体製造方
法、特開平10−147778号に記載された前駆体製
造装置が好ましく利用できる。ここで輝尽性蛍光体前駆
体とは、輝尽発光性や瞬時発光性をほとんど示さない物
質を言う。例えば、液相法で輝尽性蛍光体の前駆体を製
造する場合には、一般式(1)で表される輝尽性蛍光体
が600℃以上の高温を経ていない状態を言う。又、固
相法における輝尽性蛍光体の前駆体は、輝尽性蛍光体材
料そのもの、又は輝尽性蛍光体材料を混合したもの、又
はこれらの物質が600℃以上の高温を経ていない状態
を言う。
【0017】以下、液相法による前駆体の製造方法を説
明するが、本発明は、液相法により得られた前駆体の焼
成に限らず、固相法により輝尽性蛍光体を製造する際
に、輝尽性蛍光体材料を混合し焼成する場合にも適用で
きる。特に好ましくは、液相法により前駆体を製造する
ことであり、これにより、微粒子化され粒径分布の揃っ
た輝尽性蛍光体の輝尽発光強度を向上させることができ
る。
【0018】本発明では以下の液相合成法により前駆体
を得ることが好ましい。 前駆体製造法:Bal2とLnのハロゲン化物を含み、
一般式(1)のaが0でない場合には更にM1のハロゲ
ン化物を含み、それらが溶解したのち、Bal2濃度が
1(mol/リットル)以上、好ましくは1.35(m
ol/リットル)以上、更に好ましくは3.0(mol
/リットル)以上、4.5(mol/リットル)以下の
水溶液を調製する工程;上記の水溶液を50℃以上溶解
度未満、好ましくは80℃以上の温度に維持しながら、
これらに濃度5(mol/リットル)以上、好ましくは
8(mol/リットル)以上、更に好ましくは10〜1
3(mol/リットル)の無機弗化物(弗化アンモニウ
ムもしくはアルカリ金属の弗化物)の水溶液を添加して
輝尽性蛍光体前駆体結晶の沈澱物を得る工程;そして上
記の前駆体結晶沈澱物を水溶液から分離する工程であ
る。
【0019】蛍光体前駆体から輝尽性蛍光体への製造
は、特に以下の二つの焼成方法により行なうことが好ま
しい。
【0020】焼成方法1 前記輝尽性蛍光体前駆体を少なくとも100ppm以
上、多くとも雰囲気全体に対する還元性成分の体積比よ
りも少ない体積比の酸素を含む雰囲気に晒しながら60
0℃以上に加熱する工程;そして前記工程の後、600
℃以上を保持しながら雰囲気を1000ppm以上(好
ましくは100ppm以上)の酸素を含まない弱還元性
雰囲気に戻した後少なくとも30分間保持してから、1
00ppm以上の酸素を含まない弱還元性雰囲気を保っ
たまま100℃以下まで冷却する工程を有する焼成方法
である。
【0021】焼成方法2 前記輝尽性蛍光体前駆体を、100ppm以上の酸素を
含まない弱還元性雰囲気に晒しながら600℃以上に加
熱する工程;前記工程の後、600℃以上を保持しなが
ら、少なくとも100ppm以上、多くとも雰囲気全体
に対する還元性成分の体積比よりも少ない体積比の酸素
を雰囲気中に導入し、少なくとも1分間保持する工程;
そして前記工程の後、600℃以上を保持しながら雰囲
気を1000ppm以上(好ましくは100ppm以
上)の酸素を含まない弱還元性雰囲気に戻して少なくと
も30分間保った後、1000ppm以上(好ましくは
100ppm以上)の酸素を含まない弱還元性雰囲気を
保持したまま100℃以下まで冷却する工程を有する焼
成方法である。
【0022】以下に輝尽性蛍光体の製造法の詳細につい
て説明する。 (前駆体結晶の沈澱物の作製)最初に、水系媒体にて弗
素化合物以外の原料化合物を溶解させる。即ち、BaX
2(BaBr2、Bal2)とLnのハロゲン化物、そし
て必要により更にM2のハロゲン化物、そして更にM1
ハロゲン化物を水系媒体中に入れ十分に混合し、溶解さ
せて、それらが溶解した水溶液を調製する。ただし、B
aX2(BaBr2、Bal2)濃度が0.25(mol
/リットル)以上になるように、BaX 2(BaBr2
Bal2)濃度と水系溶媒との量比を調整しておく。こ
の時、所望により、少量の酸、無機ハロゲン化物(アン
モニウム塩、K塩、Na塩等)、アンモニア、アルコー
ル、水溶性高分子ポリマー、水不溶性金属酸化物微粒子
粉体などを添加してもよい。この水溶液(反応母液)は
50℃以上に維持される。
【0023】次に、この50℃以上に維持され、攪拌さ
れている水溶液に、無機弗化物(弗化アンモニウム、ア
ルカリ金属の弗化物など)の水溶液をポンプ付きのパイ
プなどを用いて注入する。この注入は、攪拌が特に激し
く実施されている領域部分に行うのが好ましい。この無
機弗化物水溶液の反応母液への注入によって、一般式 (1)に該当する蛍光体前駆体結晶が沈澱する。 (焼結防止剤の添加)次に、上記の蛍光体前駆体結晶
を、濾過、遠心分離などによって溶液から分離し、メタ
ノールなどによって十分に洗浄し、乾燥する。
【0024】本発明では、輝尽性蛍光体前駆体表面を特
定の粒径を有する焼結防止剤で、添加量を制御しながら
処理することを特徴とする。具体的には、工程2)で示
すように、工程1)により製造した輝尽性蛍光体前駆体
に対し、粒径2〜50nmの金属酸化物の少なくとも1
種を前記式(1)を満たす添加量W(質量%)で添加、
混合するものである。
【0025】上記の関係式は、更に0.1<D(μm)
×W(質量%)<1となる範囲であれば、本発明の効果
の上で好ましい。
【0026】本発明では焼結防止剤として金属酸化物を
用いる。金属酸化物は、Si、Al、Ti、Zrの何れ
かの酸化物であることが好ましい。これらの焼結防止剤
は、1種又は2種以上用いても良い。
【0027】焼結防止剤の平均粒径は、2〜50nmで
あることを必要とする。平均粒径が2nm以下の焼結防
止剤は工業的に入手困難であり、又、平均粒径が50n
mを越えると、蛍光体粒子の表面を効果的に被覆するこ
とができず、又、蛍光体層内に均一に存在させることが
難しいため好ましくない。
【0028】本発明に係る焼結防止剤の具体例として
は、例えば、火炎加水分解法やアーク法によるシリカ、
アルミナ、二酸化チタンのような乾式法焼結防止剤のほ
か、ケイ酸ナトリウムのような塩の酸による分解で得ら
れる湿式法焼結防止剤、オルガノゲルの加水分解による
ものなど各種の製造方法によって得られるものを挙げる
ことができる。
【0029】平均粒径が数μm〜数十μmの蛍光体粒子
に対し、適当量の焼結防止剤を混合するには、公知の混
合方法を用いることができ、例えば、ターブラシェーカ
ーミキサー(例えば、シンマルエンタープライゼス社
製)のような混合装置を使用して、焼結防止剤全量に対
して蛍光体粒子を徐々に添加していく混合方法を挙げる
ことができ、蛍光体粒子への均一被覆の観点から好まし
い。
【0030】本発明においては、金属酸化物の添加方法
を上述のようにすることが特徴の一つであるが、焼結防
止効果と蛍光体性能を両立させることを目的として見出
されたものである。
【0031】即ち、添加する金属酸化物の添加量を、輝
尽性蛍光体の前駆体の平均粒径との関係式で規定するこ
とによって、添加量の最適な範囲が決定され、その添加
条件を選ぶことによって焼結防止剤を添加することによ
り生じる輝尽発光強度や消去特性等の蛍光体性能の低下
を改善し、双方の両立を図ることが可能となるものであ
る。以下に、上記の関係式について説明する。
【0032】本発明者らの検討の結果、液相から形成さ
れた前駆体に適した焼結防止剤の量は、従来の固相法と
比べて非常に少ないことが示唆された。この理由は、固
相法においては、蛍光体原料粉体の表面に付着した焼結
防止剤が、焼成中に蛍光体内部に取り込まれることが少
なくないのに対し、液相法では焼成前にあらかじめ形成
された前駆体粒子の表面に若干の焼結防止剤が存在すれ
ば十分であることが考えられる。
【0033】更に検討を進めた結果、使用する前駆体の
総表面積に対して適当な焼結防止剤の量が明らかになっ
た。表面積を求める際の平均粒径の測定結果から、0.
05<D×W<2.0なる関係を満たせば、本発明の課
題に関して十分に対処できることが判明した。このこと
は液相法により粒子径分布の非常に揃った前駆体を形成
できたことにより実現できた。
【0034】輝尽性蛍光体の前駆体の平均粒径としては
電子顕微鏡による直接観察の結果を用いるのが正確であ
るが、本発明ではレーザー回折・散乱式粒度分布測定機
による平均粒径を用いても十分である。レーザー回折・
散乱式粒度分布測定機によれば、短時間に簡便な作業で
平均粒径を求めることができる。 (前駆体結晶の焼成)蛍光体前駆体の結晶粉体を、石英
ポート、アルミナルツボ、石英ルツボなどの耐熱性容器
に充填し、電気炉の炉芯に入れて焼結を避けながら焼成
を行う。ただし電気炉の炉芯は焼成中の雰囲気置換が可
能なものに限られる。又電気炉としては、ロータリーキ
ルン等の移動床式電気炉も好ましく使用できる。
【0035】炉芯に充填された前駆体結晶粉体から、次
の二つの焼成方法により輝尽性蛍光体を製造することが
好ましい。 (焼成方法1の詳細)輝尽性蛍光体前駆体を炉芯に充填
した後、炉芯内の雰囲気を大気から雰囲気全体に対する
還元性成分の体積比よりも少ない体積比の酸素を含む雰
囲気に置換する。この雰囲気置換に先立って炉芯内部の
大気を排出して真空にしても良い。真空吸引には回転式
ポンプ等が利用できる。炉芯を真空にした場合は雰囲気
の置換効率が高くなるという利点がある。真空を経由せ
ずに雰囲気を置換するいわゆる追い出し置換の場合は、
炉芯の容量の少なくとも3倍の体積の雰囲気を注入する
必要がある。
【0036】本発明の、「雰囲気全体に対する還元性成
分の体積比よりも少ない体積比の酸素を含む雰囲気」と
は、還元性成分、酸素の少なくとも2種類の成分を含む
混合ガスを示す。混合ガス取り扱い上の安全性等を考慮
すると、前記二つの成分よりも多くの不活性成分を含む
混合雰囲気であることが好ましい。ここで不活性成分と
は窒素、アルゴンなどであり、還元性成分とは水素など
である。窒素、水素、酸素の混合ガスは、入手のし易さ
やコスト等の点で好ましく利用できる。好ましい窒素、
水素、酸素の混合比は91:5:4で、水素濃度が5%
を超えると、混合ガスが漏洩した場合の安全上好ましく
ない。より好ましい混合比は、水素濃度3%で酸素濃度
が2%である。
【0037】電気炉の炉芯内を上記混合雰囲気に置換し
た後、600℃以上に加熱を行う。このように600℃
以上に加熱することにより、良好な発光特性を得ること
ができ好ましい。加熱開始以降輝尽性蛍光体の取り出し
までの間、炉芯内の混合雰囲気は少なくとも0.1リッ
トル/min以上の流量で流通させることが好ましい。
これにより、炉芯内の雰囲気が置換されるので、炉芯内
で生成される輝尽性蛍光体以外の反応生成物を排出する
ことができる。特に、前記反応生成物にヨウ素が含まれ
る場合には、ヨウ素による輝尽性蛍光体の黄色化、及び
黄色化にともなう輝尽性蛍光体の劣化を防止できる。
【0038】炉芯内の混合雰囲気は、好ましくは1.0
〜5.0リットル/minの流量で流通させることであ
る。又、昇温の速度は、炉芯管の材質や前駆体結晶の充
填量、電気炉の仕様等により異なるが、1〜50℃/m
inが好ましい。
【0039】600℃以上に到達した後、雰囲気を10
00ppm以上(好ましくは100ppm以上)の酸素
を含まない弱還元性雰囲気に戻した後、少なくとも30
分間保持を行う。これにより、輝尽性蛍光体の輝尽発光
特性の低下を防止することができる。この時の温度は、
好ましくは600〜1300℃、より好ましくは700
〜1000℃である。600℃以上とすることにより、
良好な輝尽発光特性が得られ、700℃以上で更に放射
線画像の診断の実用上好ましい輝尽発光特性を得ること
ができる。又、1300℃以下であれば、焼結により大
粒径化することを防止でき、特に1000℃以下であれ
ば、放射線画像の診断の実用上好ましい粒径の輝尽性蛍
光体を得ることができる。更に好ましくは、820℃付
近である。ここで雰囲気の置換は追い出し置換により行
い、新たに導入される弱還元性雰囲気としては、水素濃
度が5%以下、酸素濃度は水素濃度未満、かつ残りの成
分が窒素である混合ガスが好ましい。より好ましくは、
水素濃度は0.1%以上3%以下、酸素濃度は水素濃度
に対して40%以上80%以下、かつ残りの成分が窒素
である混合ガスである。特に、水素が1%、酸素0.6
%、かつ残りの成分が窒素の混合ガスである。水素濃度
は、0.1%以上とすることで還元力を得られ、発光特
性を向上させることができ、5%以下とすることで取り
扱い上好ましく、更に輝尽性蛍光体の結晶自体が還元さ
れてしまうことを防止できる。又、酸素濃度は、水素濃
度に対して約60%をピークに輝尽発光強度を著しく向
上できる。
【0040】昇温中に導入され炉芯内に残留した酸素を
1000ppm未満(好ましくは100ppm未満)ま
で追い出すためには、新たな弱還元性ガスの流量を一時
的に増加させても良い。最初に導入した酸素の量によっ
て置換の効率は変化するが、1%酸素を含んだ雰囲気を
例に示すと、炉芯の容量が10倍以上の体積の新たな弱
還元性ガスを導入した時点で1000ppm未満(好ま
しくは100ppm未満)まで酸素が追い出される。こ
の時から少なくとも30分以上、好ましくは30分から
12時間の間、600℃以上で1000ppm以上(好
ましくは100ppm以上)の酸素を含まない弱還元性
雰囲気が保持される。
【0041】30分以上とすることにより、良好な輝尽
発光特性を示す輝尽性蛍光体を得ることができる。又、
12時間以下とすることにより、加熱による輝尽発光特
性の低下を防止することができる。
【0042】冷却は昇温の場合と同様に行われるが、雰
囲気については1000ppm以上(好ましくは100
ppm以上)の酸素を含まない弱還元性雰囲気が保持さ
れる。上記の焼成によって目的の輝尽性蛍光体が得られ
る。又焼成方法としては、次に記すものを採用しても良
い。 (焼成方法2の詳細)昇温前の炉芯内雰囲気の置換は焼
成方法1の場合と同様に行われる。ただし、置換される
雰囲気は1000ppm以上(好ましくは100ppm
以上)の酸素を含まない弱還元性雰囲気を用いる。弱還
元性雰囲気としては、水素濃度が5%以下、かつ残りの
成分が窒素である混合ガスが好ましい。水素濃度は、
0.1%以上とすることで還元力を得られ、発光特性を
向上させることができ、5%以下とすることで取り扱い
上好ましく、更に輝尽性蛍光体の結晶自体が還元されて
しまうことを防止できる。
【0043】電気炉の炉芯内を上記混合雰囲気に置換し
た後、600℃以上に加熱を行う。このように600℃
以上に加熱することにより、良好な発光特性を得ること
ができ好ましい。加熱開始以降輝尽性蛍光体の取り出し
までの間、炉芯内の混合雰囲気は少なくとも0.1リッ
トル/min以上の流量で流通させることが好ましい。
これにより、炉芯内の雰囲気が置換されるので、炉芯内
で生成される輝尽性蛍光体以外の反応生成物を排出する
ことができる。特に、前記反応生成物にヨウ素が含まれ
る場合には、ヨウ素による輝尽性蛍光体の黄色化、及び
黄色化にともなう輝尽性蛍光体の劣化を防止できる。更
に、好ましくは1.0〜5.0リットル/minであ
る。又、昇温の速度は、炉芯の材質や前駆体結晶の充填
量、電気炉の仕様等により異なるが、1〜50℃/mi
nが好ましい。
【0044】600℃以上に到達した後、雰囲気全体に
対する還元性成分の体積比よりも少ない体積比の酸素を
雰囲気中に導入し、少なくとも1分間保持する。この時
の温度は好ましくは600〜1300℃、より好ましく
は700〜1000℃である。600℃以上とすること
により、良好な輝尽発光特性が得られ、700℃以上で
更に放射線画像の診断の実用上好ましい輝尽発光特性を
得ることができる。又、1300℃以下であれば、焼結
により大粒径化することを防止でき、特に1000℃以
下であれば、放射線画像の診断の実用上好ましい粒径の
輝尽性蛍光体を得ることができる。更に好ましくは、8
20℃付近である。ここで雰囲気の置換は追い出し置換
により行い、新たに導入される弱還元性雰囲気として
は、水素濃度が5%以下、酸素濃度は水素濃度未満、か
つ残りの成分が窒素である混合ガスが好ましい。より好
ましくは、水素濃度は0.1%以上3%以下、酸素濃度
は水素濃度に対して40%以上80%以下、かつ残りの
成分が窒素である混合ガスである。特に、水素が1%、
酸素0.6%、かつ残りの成分が窒素の混合ガスであ
る。水素濃度は、0.1%以上とすることで還元力を得
られ、発光特性を向上させることができ、5%以下とす
ることで取り扱い上好ましく、更に輝尽性蛍光体の結晶
自体が還元されてしまうことを防止できる。又、酸素濃
度は、水素濃度に対して約60%をピークに輝尽発光強
度を著しく向上できる。
【0045】又、昇温中の雰囲気に酸素を混入させても
良く、この場合は水素/窒素混合ガスと酸素ガスの流量
比を操作することで雰囲気の混合比を制御できる。又酸
素の代替として大気をそのまま導入することもできる。
更に酸素/窒素混合ガスと水素/窒素混合ガスの流量比
を調節して用いることもできる。
【0046】所望の窒素、水素、酸素の混合比に置換さ
れるまでは、炉芯の容量の3倍以上の体積の新たな雰囲
気を導入することが好ましい。この時から少なくとも1
分以上、好ましくは1分から1時間の間、600℃以上
で窒素、水素、酸素の混合雰囲気が保持される。
【0047】前記操作の後、再び炉芯内を弱還元性雰囲
気に置換する。炉芯内に残留した酸素を1000ppm
未満(好ましくは100ppm未満)まで追い出すため
には、昇温の時と同じ弱還元性ガスを用いることが好ま
しい。置換の効率を高めるために、弱還元性ガスの流量
を一時的に増加させても良い。炉芯の容量の10倍の体
積の新たな弱還元性ガスを導入した時点で1000pp
m未満(好ましくは100ppm未満)まで酸素が追い
出される。この時から少なくとも30分以上、好ましく
は30分から12時間の間、600℃以上で1000p
pm以上(好ましくは100ppm以上)の酸素を含ま
ない弱還元性雰囲気が保持される。
【0048】30分以上とすることにより、良好な輝尽
発光特性を示す輝尽性蛍光体を得ることができる。又、
12時間以下とすることにより、加熱による輝尽発光特
性の低下を防止することができる。
【0049】本発明においては、冷却は昇温の場合と同
様に行われる。又、上記の焼成によっても目的の輝尽性
蛍光体が得られる。
【0050】本発明では、輝尽性蛍光体表面を親水性微
粒子で処理することが好ましい。用いることのできる親
水性微粒子としては、特に制限はないが、例えば、シリ
カ、アルミナ、酸化チタン等を挙げることができる。こ
れらの親水性微粒子は、1種のみ用いても、或いは2種
以上用いても良い。
【0051】親水性微粒子の平均粒径は、2〜50nm
であることが好ましい。平均粒径が2nm未満の親水性
微粒子は工業的に入手困難であり、又、平均粒径が50
nmを越えると、蛍光体粒子の表面を効果的に被覆する
ことができず、又、蛍光体層内に均一に存在させること
が難しいため好ましくはない。
【0052】本発明に係る親水性微粒子の具体例として
は、例えば、火炎加水分解法やアーク法によるシリカ、
アルミナ、二酸化チタンのような乾式法親水性微粒子の
ほか、ケイ酸ナトリウムのような塩の酸による分解で得
られる湿式法親水性微粒子、オルガノゲルの加水分解に
よるものなど各種の製造方法によって得られるものを挙
げることができる。
【0053】平均粒径が数μm〜数十μmの蛍光体粒子
に対し、適当量の親水性微粒子を混合するには、公知の
混合方法を用いることができ、例えば、ターブラシェー
カーミキサー(例えば、シンマルエンタープライゼス社
製)のような混合装置を使用して、親水性微粒子全量に
対して蛍光体粒子を徐々に添加していく混合方法や、
0.5〜10.0質量%の親水性微粒子分散液中で蛍光
体粒子を撹拌した後、濾過、乾燥する方法等を挙げるこ
とができ、これらの方法は蛍光体粒子への均一被覆の観
点から好ましい。
【0054】又、親水性微粒子を蛍光体塗布液の調製時
に添加するには、予め結合剤、溶剤と混合し、ビーズミ
ルなどでスラリー状に分散した後、添加することが、蛍
光体層内での分布の状態を均一にすることができ好まし
い。親水性微粒子の添加量が0.01〜10質量%であ
ることが好ましく、0.05〜5質量%、更には0.1
〜2質量%が好ましい。10質量%を越えると感度低下
を引き起こし、又0.01質量%より少ないと本発明の
効果を十分に発揮することができない。
【0055】本発明においては、蛍光体粒子表面を表面
処理剤で処理する際に、シランカップリング剤を併用す
ることが好ましい。シランカップリング剤の併用によ
り、蛍光体粒子の輝度低下を防止することができ好まし
い。
【0056】本発明で用いることのできるシランカップ
リング剤としては、特に制限はないが、下記一般式
(2)で表される化合物が好ましい。
【0057】
【化1】
【0058】式中、Rは脂肪族或いは芳香族の炭化水素
基を表し、不飽和基(例えば、ビニル基)を介在してい
てもよいし、R2OR3−、R2COOR3−、R2NHR3
−(R2はアルキル基又はアリール基を表し、R3はアル
キレン基又はアリーレン基を表す)、その他の置換基で
置換されていてもよい。
【0059】又X1、X2、X3は各々脂肪族もしくは芳
香族の炭化水素、アシル基、アミド基、アルコキシ基、
アルキルカルボニルオキシ基、エポキシ基、メルカプト
基又はハロゲン原子を表す。ただし、X1、X2、X3
少なくとも1つは炭化水素以外の基である。又、X1
2、X3は各々加水分解を受ける基であることが好まし
い。
【0060】一般式(2)で表されるシランカップリン
グ剤の具体例としては、例えば、メチルトリメトキシシ
ラン、メチルトリエトキシシラン、ビニルトリアセトキ
シシラン、ビニルトリクロロシラン、ビニルトリエトキ
シシラン、γ−クロロプロピルトリメトキシシラン、γ
−クロロプロピルメチルジクロロシラン、γ−クロロプ
ロピルメチルジメトキシシラン、γ−クロロプロピルメ
チルジエトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキ
シシラン、N−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロ
ピルトリメトキシシラン、N−(β−アミノエチル)−
γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メル
カプトプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプ
ロピルメチルジメトキシシラン、γ−グリシドキシプロ
ピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメ
チルジメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルト
リメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルメチル
ジメトキシシラン、γ−(2−アミノエチル)アミノプ
ロピルトリメトキシシラン、γ−イソシアネートプロピ
ルトリエトキシシラン、γ−(2−アミノエチル)アミ
ノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−アニリノプロ
ピルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、
N−β−(N−ビニルベンジルアミノエチル)−γ−ア
ミノプロピルトリメトキシシラン・塩酸塩及びアミノシ
ラン配合物などが挙げられ、特に、ビニル系、メルカプ
ト系、グリシドキシ系、メタクリロキシ系が好ましく、
特に、シランカップリング剤が、メルカプト基を有して
いることが好ましい。
【0061】蛍光体粒子表面に上記シランカップリング
剤による表面処理を行う方法としては、公知の方法を使
用することができ、例えば、ヘンシェルミキサーを用
い、蛍光体粒子を攪拌混合しながらシランカップリング
剤を滴下又は噴霧する乾式法、スラリー状の蛍光体にシ
ランカップリング剤を滴下しながら攪拌し滴下終了後に
蛍光体を沈澱させ濾過してから蛍光体を乾燥させ残留溶
媒を除去するスラリー法、蛍光体を溶媒に分散させ、こ
れにシランカップリング剤を添加して攪拌した後、溶媒
を蒸発して付着層を形成する方法又はシランカップリン
グ剤を輝尽性蛍光体用塗布分散液に添加する方法などが
挙げられる。
【0062】又、上記シランカップリング剤を蛍光体粒
子表面に付着するに当たっては、表面処理剤の被覆時に
同時に行ってもよい。
【0063】表面処理を施した蛍光体粒子に分級を施し
ても良い。本発明による蛍光体粒子は、液相法の効果に
より粒径分布が優れているが、分級により予期せぬ粗大
粒子や工程から持ち込まれた不純物粒子の混入を阻止で
きる。
【0064】本発明の輝尽性蛍光体の製造方法、及びそ
れにより得られた輝尽性蛍光体を用いて放射線画像変換
パネルを作製することができる。
【0065】以下、本発明の放射線画像変換パネルの上
記した他の構成要素について説明する。はじめに、放射
線画像変換パネルを構成する輝尽性蛍光体層について説
明する。上記輝尽性蛍光体層には、上記の工程1)〜
3)の3つを経て形成された一般式(1)で表される輝
尽性蛍光体が含有される。
【0066】本発明に用いることのできる輝尽性蛍光体
としては、波長が400〜900nmの範囲にある励起
光によって、300〜500nmの波長範囲の輝尽発光
を示す蛍光体が一般的に使用される。
【0067】一般式(1)で表される輝尽性蛍光体のう
ち、ヨウ素を含有する二価ユーロピウム付活アルカリ土
類金属弗化ハロゲン化物系蛍光体は、高輝度の輝尽発光
を示すため好ましく、特に、輝尽性蛍光体がEu付加B
aFI化合物であることが好ましい。
【0068】本発明の放射線画像変換パネルに用いられ
る支持体としては、各種高分子材料、ガラス、金属等が
用いられる。特に、情報記録材料としての取り扱い上、
可撓性のあるシート或いはウェブに加工できるものが好
適であり、この点からいえば、例えば、セルロースアセ
テートフィルム、ポリエステルフィルム、ポリエチレン
テレフタレートフィルム、ポリアミドフィルム、ポリイ
ミドフィルム、トリアセテートフィルム、ポリカーボネ
ートフィルム等のプラスチックフィルム、アルミニウ
ム、鉄、銅、クロム等の金属シート或いは該焼結防止剤
の被覆層を有する金属シートが好ましい。
【0069】又、これら支持体の膜厚は、用いる支持体
の材質等によって異なるが、一般的には3〜1000μ
mであり、取り扱い易さの観点からは、80〜500μ
mであることが好ましい。
【0070】これらの支持体の表面は、滑面であっても
よいし、輝尽性蛍光体層との接着性を向上させる目的
で、マット面としてもよい。
【0071】更に、これら支持体は、輝尽性蛍光体層と
の接着性を向上させる目的で、輝尽性蛍光体層が設けら
れる面に下引層を設けてもよい。
【0072】本発明において、輝尽性蛍光体層に用いら
れる結合剤の例としては、ゼラチン等の蛋白質、デキス
トラン等のポリサッカライド、又はアラビアゴムのよう
な天然高分子物質;及び、ポリビニルブチラール、ポリ
酢酸ビニル、ニトロセルロース、エチルセルロース、塩
化ビニリデン・塩化ビニルコポリマー、ポリアルキル
(メタ)アクリレート、塩化ビニル・酢酸ビニルコポリ
マー、ポリウレタン、セルロースアセテートブチレー
ト、ポリビニルアルコール、線状ポリエステルなどのよ
うな合成高分子物質などにより代表される結合剤を挙げ
ることができる。このような結合剤の中で、特に好まし
いものは、ニトロセルロース、線状ポリエステル、ポリ
アルキル(メタ)アクリレート、ニトロセルロースと線
状ポリエステルとの混合物、ニトロセルロースとポリア
ルキル(メタ)アクリレートとの混合物及びポリウレタ
ンとポリビニルブチラールとの混合物である。尚、これ
らの結合剤は、架橋剤によって架橋されたものであって
もよい。
【0073】塗布液における結合剤と輝尽性蛍光体との
混合比は、目的とする放射線画像変換パネルの特性、蛍
光体の種類によって異なるが、蛍光体に対し1〜20質
量部が好ましく、更には2〜10質量部がより好まし
い。
【0074】輝尽性蛍光体層用塗布液の調製に用いられ
る溶剤の例としては、メタノール、エタノール、イソプ
ロパノール、n−ブタノール等の低級アルコール、アセ
トン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、
シクロヘキサノン等のケトン、酢酸メチル、酢酸エチ
ル、酢酸n−ブチル等の低級脂肪酸と低級アルコールと
のエステル、ジオキサン、エチレングリコールモノエチ
ルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルな
どのエーテル、トリオール、キシロールなどの芳香族化
合物、メチレンクロライド、エチレンクロライドなどの
ハロゲン化炭化水素及びそれらの混合物などが挙げられ
る。
【0075】尚、塗布液には、該塗布液中における蛍光
体の分散性を向上させるための分散剤、又、形成後の輝
尽性蛍光体層中における結合剤と蛍光体との間の結合力
を向上させるための可塑剤などの種々の添加剤が混合さ
れていてもよい。そのような目的に用いられる分散剤の
例としては、フタル酸、ステアリン酸、カプロン酸、親
油性界面活性剤などを挙げることができる。又、可塑剤
の例としては、燐酸トリフェニル、燐酸トリクレジル、
燐酸ジフェニルなどの燐酸エステル;フタル酸ジエチ
ル、フタル酸ジメトキシエチル等のフタル酸エステル;
グリコール酸エチルフタリルエチル、グリコール酸ブチ
ルフタリルブチルなどのグリコール酸エステル;そし
て、トリエチレングリコールとアジピン酸とのポリエス
テル、ジエチレングリコールとコハク酸とのポリエステ
ルなどのポリエチレングリコールと脂肪族二塩基酸との
ポリエステルなどを挙げることができる。又、輝尽性蛍
光体層塗布液中に、輝尽性蛍光体粒子の分散性を向上さ
せる目的で、ステアリン酸、フタル酸、カプロン酸、親
油性界面活性剤などの分散剤を混合してもよい。
【0076】輝尽性蛍光体層用塗布液の調製は、例え
ば、ボールミル、ビーズミル、サンドミル、アトライタ
ー、三本ロールミル、高速インペラー分散機、Kady
ミル、或いは超音波分散機などの分散装置を用いて行な
われる。
【0077】上記のようにして調製された塗布液を、下
塗層の表面上に均一に塗布することにより塗膜を形成す
る。用いることのできる塗布方法としては、通常の塗布
手段、例えば、ドクターブレード、ロールコーター、ナ
イフコーター、コンマコーター、リップコーターなどを
用いることができる。
【0078】又、焼結防止剤分散液の調製においても、
上記の輝尽性蛍光体層の形成で用いると同様の結合剤、
分散剤等を用いることができ、又分散法としても、上述
の分散装置を適宜選択して用いることができる。焼結防
止剤分散液は、輝尽性蛍光体層用塗布液の調製時に添加
することにより、蛍光体層に均一に存在させることがで
きる。
【0079】次いで、形成された塗膜を加熱、乾燥し
て、下塗層上への輝尽性蛍光体層の形成を完了する。輝
尽性蛍光体層の膜厚は、目的とする放射線画像変換パネ
ルの特性、輝尽性蛍光体の種類、結合剤と蛍光体との混
合比などによって異なるが、通常は10〜1000μm
であり、より好ましくは10〜500μmである。
【0080】支持体上に輝尽性蛍光体層が塗設された蛍
光体シートは、所定の大きさに断裁される。断裁に当た
っては、一般のどのような方法でも可能であるが、作業
性、精度の面から化粧断裁機、打ち抜き機等が望まし
い。
【0081】本発明の放射線画像変換パネルには、輝尽
性蛍光体層の表面を物理的、化学的に保護するための保
護膜(保護フィルムともいう)を設けることが好まし
く、それらの構成は目的、用途などに応じて適宜選択す
ることができる。
【0082】本発明の放射線画像変換パネルに設ける保
護層としては、ASTMD−1003に記載の方法によ
り測定したヘイズ率が、5%以上60%未満の励起光吸
収層を備えたポリエステルフィルム、ポリメタクリレー
トフィルム、ニトロセルロースフィルム、セルロースア
セテートフィルム等が使用できるが、ポリエチレンテレ
フタレートフィルムやポリエチレンナフタレートフィル
ム等の延伸加工されたフィルムが、透明性、強さの面で
保護層として好ましく、更には、これらのポリエチレン
テレフタレートフィルムやポリエチレンテレフタレート
フィルム上に金属酸化物、窒化珪素などの薄膜を蒸着し
た蒸着フィルムが防湿性の面からより好ましい。
【0083】保護層で用いるフィルムのヘイズ率は、使
用する樹脂フィルムのヘイズ率を選択することで容易に
調整でき、又任意のヘイズ率を有する樹脂フィルムは工
業的に容易に入手することができる。放射線画像変換パ
ネルの保護フィルムとしては、光学的に透明度の非常に
高いものが想定されている。そのような透明度の高い保
護フィルム材料として、ヘイズ値が2〜3%の範囲にあ
る各種のプラスチックフィルムが市販されている。本発
明の効果を得るために好ましいヘイズ率としては5%以
上60%未満であり、更に好ましくは10%以上50%
未満である。ヘイズ率が5%未満では、画像ムラや線状
ノイズを解消する効果が低く、又60%以上では鮮鋭性
の向上効果が損なわれ、好ましくない。
【0084】本発明において、保護層で用いるフィルム
は、必要とされる防湿性にあわせて、樹脂フィルムや樹
脂フィルムに金属酸化物などを蒸着した蒸着フィルムを
複数枚積層することで最適な防湿性とすることができ、
輝尽性蛍光体の吸湿劣化防止を考慮して、透湿度は少な
くとも50g/m2・day以下であることが好まし
い。樹脂フィルムの積層方法としては、特に制限はな
く、公知のいずれの方法を用いても良い。
【0085】又、積層された樹脂フィルム間に励起光吸
収層を設けることによって、励起光吸収層が物理的な衝
撃や化学的な変質から保護され安定したプレート性能が
長期間維持でき好ましい。又、励起光吸収層は複数箇所
設けてもよいし、積層する為の接着剤層に色剤を含有し
て、励起光吸収層としても良い。
【0086】保護フィルムは、輝尽性蛍光体層に接着層
を介して密着していても良いが、蛍光体面を被覆するよ
うに設けられた構造(以下、封止又は封止構造ともい
う)であることがより好ましい。蛍光体プレートを封止
するに当たっては、公知のいずれの方法でもよいが、防
湿性保護フィルムの蛍光体シートに接する側の最外層樹
脂層を熱融着性を有する樹脂フィルムとすることは、防
湿性保護フィルムが融着可能となり蛍光体シートの封止
作業が効率化される点で、好ましい形態の1つである。
更には、蛍光体シートの上下に防湿性保護フィルムを配
置し、その周縁が前記蛍光体シートの周縁より外側にあ
る領域で、上下の防湿性保護フィルムをインパルスシー
ラー等で加熱、融着して封止構造とすることで、蛍光体
シートの外周部からの水分進入も阻止でき好ましい。
又、更には、支持体面側の防湿性保護フィルムが1層以
上のアルミフィルムをラミネートしてなる積層防湿フィ
ルムとすることで、より確実に水分の進入を低減でき、
又この封止方法は作業的にも容易であり好ましい。上記
インパルスシーラーで加熱融着する方法においては、減
圧環境下で加熱融着することが、蛍光体シートの防湿性
保護フィルム内での位置ずれ防止や大気中の湿気を排除
する意味でより好ましい。
【0087】防湿性保護フィルムの蛍光体面が接する側
の熱融着性を有する最外層の樹脂層と蛍光体面は、接着
していないことが好ましい。ここでいう接着していない
状態とは、微視的には蛍光体面と防湿性保護フィルムと
が点接触していても、光学的、力学的には殆ど蛍光体面
と防湿性保護フィルムは不連続体として扱える状態のこ
とである。又、上記の熱融着性を有する樹脂フィルムと
は、一般に使用されるインパルスシーラーで融着可能な
樹脂フィルムのことで、例えば、エチレン酢酸ビニルコ
ポリマー(EVA)やポリプロピレン(PP)フィル
ム、ポリエチレン(PE)フィルム等を挙げることがで
きるが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0088】
【実施例】以下に、本発明を実施例を挙げて具体的に説
明するが、本発明はこれらの実施態様に限定されるもの
ではない。 (1)輝尽性蛍光体前駆体の合成 輝尽性蛍光体前駆体(PC1)の合成 ユーロピウム付活弗化ヨウ化バリウムの輝尽性蛍光体前
駆体を合成するために、Bal2水溶液(4.2mol
/リットル)2380mlとEul3(0.2mol/
リットル)27mlを反応器に入れた。この反応器中の
反応母液を攪拌しながら83℃で保温した。弗化アンモ
ニウム水溶液(13mol/リットル)200mlを反
応母液中にローラーポンプを用いて添加時間30分で注
入し、沈澱物を生成させた。注入終了後も保温と攪拌を
2時間続けて沈澱物の熟成を行った。次に沈澱物をろ別
後、メタノールにより洗浄した後真空乾燥させてユーロ
ピウム付活弗化ヨウ化バリウムの結晶を得た。平均粒径
の測定にはレーザー回折・散乱式粒度測定装置(セイシ
ン企業製LMS−30)を用いた。その結果、平均粒径
は2.5μmであった。
【0089】輝尽性蛍光体前駆体(PC2)の合成 ユーロピウム付活弗化ヨウ化バリウムの輝尽性蛍光体前
駆体を合成するために、Bal2水溶液(3.6mol
/リットル)2780mlとEul3(0.2mol/
リットル)27mlを反応器に入れた。この反応器中の
反応母液を攪拌しながら93℃で保温した。弗化アンモ
ニウム水溶液(8mol/リットル)322mlを反応
母液中にローラーポンプを用いて添加時間130分で注
入し、沈澱物を生成させた。注入終了後も保温と攪拌を
200分続けて沈澱物の熟成を行った。次に沈澱物をろ
別後、メタノールにより洗浄した後真空乾燥させてユー
ロピウム付活弗化ヨウ化バリウムの結晶を得た。平均粒
径は5.5μmであった。
【0090】輝尽性蛍光体前駆体(PC3)の合成 ユーロピウム付活弗化ヨウ化バリウムの輝尽性蛍光体前
駆体を合成するために、Bal2水溶液(4.2mol
/リットル)2380mlとEul3(0.2mol/
リットル)27mlを反応器に入れた。この反応器中の
反応母液を攪拌しながら93℃で保温した。弗化アンモ
ニウム水溶液(13mol/リットル)200mlを反
応母液中にローラーポンプを用いて添加時間500分で
注入し、沈澱物を生成させた。注入終了後も保温と攪拌
を500分続けて沈澱物の熟成を行った。次に沈澱物を
ろ別後、メタノールにより洗浄した後真空乾燥させてユ
ーロピウム付活弗化ヨウ化バリウムの結晶を得た。平均
粒径は9.5μmであった。
【0091】実施例1 焼成時の焼結により粒子形状の変化、粒子間融着による
粒子サイズ分布の変化を防止するために、前駆体PC1
にアルミナの超微粒子粉体(粒径13nm)を0.00
1質量%添加し、ミキサーで十分攪拌して、前駆体PC
1結晶表面にアルミナの超微粒子粉体を均一に付着させ
た。
【0092】次に、ユーロピウム付活弗化ヨウ化バリウ
ムの結晶粉体とアルミナ超微粒子の混合物を、10リッ
トルの炉芯容積をもつバッチ式ロータリーキルンの石英
製炉芯管に充填し、99%窒素/1%水素の混合ガスを
10リットル/min.の流量で20分間流通させて雰
囲気を置換した。十分に炉芯内雰囲気を置換した後、9
9%窒素/1%水素の混合ガスの流量を2リットル/m
in.に減じ、2rpmの速度で炉芯管を回転させなが
ら、10℃/min.の昇温速度で820℃まで加熱し
た。
【0093】試料温度が820℃に到達した後、温度を
820℃に保ちながら98.4%窒素/1%水素/0.
6%酸素の混合ガスを10リットル/min.の流量で
20分間流通させて雰囲気を置換した。その後98.4
%窒素/1%水素/0.6%酸素の混合ガスの流量を2
リットル/min.に減じ、20分間保持した。
【0094】99%窒素/1%水素混合ガスの流量を1
0リットル/min.の流量で20分間流通させて雰囲
気を置換した。十分に炉芯内雰囲気を置換した後、99
%窒素/1%水素の混合ガスの流量を2リットル/mi
n.に減じ、60分間保持した。その後、99%窒素/
1%水素混合ガスの流量を2リットル/min.に保っ
たまま10℃/min.の降温速度で25℃まで冷却し
た後雰囲気を大気に戻し、生成された酸素ドープ・ユー
ロピウム付活弗化ヨウ化バリウム蛍光体粒子を取り出し
た。
【0095】得られた粉体を篩いにより分級し、平均粒
径2.5μmの蛍光体粒子が得られた。 (2)放射線画像変換パネルの作製 ・放射線画像変換パネル1の作製 (蛍光体の調製)次いで、上記調製した蛍光体粒子の1
00gを、シランカップリング剤(γ−メルカプトプロ
ピルトリメトキシシラン)5.0gを含有するエタノー
ル分散液中に浸してスラリー状とした後、濾過、乳鉢解
砕して、80℃で3時間乾燥した後、分級して平均粒径
2.5μmの蛍光体粒子を調製した。 (蛍光体層塗布液1の調製)上記調製した蛍光体を10
0gとポリエステル樹脂(東洋紡績社製:バイロン63
0 酸価と水酸基価の合計=6.6mgKOH/g)
5.0gとをメチルエチルケトン−トルエン(1:1)
混合溶媒に添加し、プロペラミキサーによって分散し、
粘度25〜30Pa・sとして蛍光体層塗布液1を調製
した。(蛍光体層1の形成、蛍光体シート1の作製)上
記調製した蛍光体層塗布液1を用いて、ドクターブレー
ドにより、厚さ188μmのポリエチレンテレフタレー
ト支持体上に、膜厚が230μmとなるように塗布した
のち、100℃で15分間乾燥させて蛍光体層1を形成
して、蛍光体シート1を作製した。 (防湿性保護フィルムの作製)上記作製した蛍光体シー
トの蛍光体層塗設面側の保護フィルムとして下記構成
(A)のものを使用した。
【0096】構成(A) NY15///VMPET12///VMPET12/
//PET12///CPP20 NY:ナイロン PET:ポリエチレンテレフタレート CPP:キャステングポリプロピレン VMPET:アルミナ蒸着PET(市販品:東洋メタラ
イジング社製) 各樹脂フィルムの後ろに記載の数字は、樹脂層の膜厚
(μm)を示す。
【0097】上記「///」は、ドライラミネーション
接着層で、接着剤層の厚みが3.0μmであることを意
味する。使用したドライラミネーション用の接着剤は、
2液反応型のウレタン系接着剤を用いた。
【0098】又、蛍光体シートの支持体裏面側の保護フ
ィルムは、CPP30μm/アルミフィルム9μm/ポ
リエチレンテレフタレート(PET)188μmの構成
のドライラミネートフィルムとした。又、この場合の接
着剤層の厚みは1.5μmで2液反応型のウレタン系接
着剤を使用した。 (放射線画像変換パネル1の作製)前記作製した蛍光体
シート1を、各々一辺が20cmの正方形に断裁した
後、上記作製した防湿性保護フィルムを用いて、減圧下
で周縁部をインパルスシーラを用いて融着、封止して、
放射線画像変換パネル1(パネル1)を作製した。尚、
融着部から蛍光体シート周縁部までの距離は1mmとな
るように融着した。融着に使用したインパルスシーラー
のヒーターは3mm幅のものを使用した。 (放射線画像変換パネル2〜11の作製)前記同様に、
前駆体PC1にアルミナの超微粒子粉体(粒径13n
m)の添加量を表1に記載のように変更して添加し、ミ
キサーで十分攪拌して、前駆体PC1結晶表面にアルミ
ナの超微粒子粉体を均一に付着させた。
【0099】以下、放射線画像変換パネル1の作製と同
様にして焼成、分級し、得られた蛍光体粒子を用いて放
射線画像変換パネル2〜11を作製した。 (3)放射線画像変換パネルの評価 各放射線画像変換パネルについて、以下に示す方法に従
って輝尽発光量(輝度)、消去特性の測定を行った。結
果を表1に示す。尚、表1では、放射線画像変換パネル
は単にパネルとして表した。 1)輝尽発光量(PSL) 輝度の測定は、各放射線画像変換パネルについて、管電
圧80kVp、200mRのX線を照射した後、パネル
をHe−Neレーザー光(633nm)4.0J/m2
で走査して励起し、蛍光体層から放射される輝尽発光を
光学フィルタ(B−410)を通して受光器(分光感度
S−5の光電子像倍管)で受光して、輝尽発光量(PS
L)を測定した。輝尽発光量(PSL)を相対値で示し
た。この値は大きい方が好ましい。 2)消去特性 上記1)の方法で測定した輝尽発光量(PSL)を初期
PSLとし、その測定対象としたパネルに対し、白色蛍
光灯の光をシャープカット光学フィルタ(SC−46)
を通して400万Lux・秒照射して消去走査を行っ
た。この消去走査を行ったパネルに対し、X線を照射し
ないで、上記1)の方法と同様に再度輝尽発光量(PS
L)を測定し、それを消去後PSLとした。初期PSL
に対する消去後PSLの比(消去後PSL/初期PS
L)を消去値として示した。この値は小さい方が好まし
い。
【0100】
【表1】
【0101】得られた結果から明らかなように、本発明
で規定した前駆体の粒径と、金属酸化物の添加量の関係
式を満たす方法で得られた蛍光体を使用して作製された
放射線画像変換パネル5〜9は輝尽発光量、消去特性共
に優れたものであることが判る。尚、パネル1、2は焼
成後に著しい焼結を示し、分級の収率が低下していた。
【0102】実施例2 前駆体PC2にアルミナの超微粒子粉体(粒径13n
m)の添加量を表2に記載のように変更して添加し、ミ
キサーで十分攪拌して、前駆体PC2結晶表面にアルミ
ナの超微粒子粉体を均一に付着させた。
【0103】以下、実施例1と同様にして焼成、分級
し、得られた蛍光体粒子を用いて放射線画像変換パネル
1a〜11aを作製した。
【0104】得られた放射線画像変換パネル1a〜11
aに対し、実施例1と同様にして評価を行った。得られ
た結果を表2に示す。
【0105】
【表2】
【0106】得られた結果から明らかなように、本発明
で規定した前駆体の粒径と、金属酸化物の添加量の関係
式を満たす方法で得られた蛍光体を使用して作製された
放射線画像変換パネル4a〜8aは輝尽発光量、消去特
性共に優れたものであることが判る。尚、パネル1aは
焼成後に著しい焼結を示し、分級の収率が低下してい
た。
【0107】実施例3 前駆体PC3にアルミナの超微粒子粉体(粒径13n
m)の添加量を表3に記載のように変更して添加し、ミ
キサーで十分攪拌して、前駆体PC3結晶表面にアルミ
ナの超微粒子粉体を均一に付着させた。
【0108】以下、実施例1と同様にして焼成、分級
し、得られた蛍光体粒子を用いて放射線画像変換パネル
1b〜11bを作製した。
【0109】得られた放射線画像変換パネル1b〜11
bに対し、実施例1と同様にして評価を行った。得られ
た結果を表3に示す。
【0110】
【表3】
【0111】得られた結果から明らかなように、本発明
で規定した前駆体の粒径と、金属酸化物の添加量の関係
式を満たす方法で得られた蛍光体を使用して作製された
放射線画像変換パネル3b〜7bは輝尽発光量、消去特
性共に優れたものであることが判る。
【0112】実施例4 前駆体PC2にアルミナの超微粒子粉体(粒径13n
m)と、シリカの超微粒子粉体(粒径13nm)の1:
1の混合物の添加量を表4に記載のように変更して添加
し、ミキサーで十分攪拌して、前駆体PC2結晶表面に
アルミナとシリカの超微粒子粉体を均一に付着させた。
【0113】以下、実施例1と同様にして焼成、分級
し、得られた蛍光体粒子を用いて放射線画像変換パネル
1c〜9cを作製した。
【0114】得られた放射線画像変換パネル1c〜9c
に対し、実施例1と同様にして評価を行った。得られた
結果を表4に示す。
【0115】
【表4】
【0116】得られた結果から明らかなように、本発明
で規定した前駆体の粒径と、金属酸化物の添加量の関係
式を満たす方法で得られた蛍光体を使用して作製された
放射線画像変換パネル3c〜7cは輝尽発光量、消去特
性共に優れたものであることが判る。
【0117】
【発明の効果】本発明の輝尽性蛍光体の製造方法は、金
属酸化物の添加量を、輝尽性蛍光体前駆体の平均粒径と
の関係式で規定した量で添加、混合する工程を経ること
により、優れた焼結防止効果と、輝尽発光強度や消去特
性などの蛍光体性能を全て両立して有する輝尽性蛍光体
を製造することが可能となるなど、顕著に優れた効果を
奏している。又得られた輝尽性蛍光体を用いて作製され
た放射線画像変換パネルは、輝尽発光量や消去特性が充
分であり蛍光体性能への悪影響が少なく、実用に適して
いるといえる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 2G083 AA03 BB01 CC02 DD02 DD11 DD14 EE01 EE02 EE03 EE10 4G076 AA18 AA19 AB02 AB04 BA11 BA42 CA02 CA26 DA11 DA30 4H001 CA04 CF02 XA09 XA12 XA17 XA20 XA30 XA35 XA38 XA48 XA53 XA56 YA03 YA08 YA11 YA19 YA37 YA55 YA58 YA59 YA60 YA62 YA63 YA64 YA65 YA66 YA67 YA68 YA69 YA70

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記一般式(1)で表される輝尽性蛍光
    体の製造方法であって、少なくとも下記工程1)〜3)
    の3つを経ることを特徴とする輝尽性蛍光体の製造方
    法。 一般式(1) (Ba1-y2 y)FX:aM1,bLn,cO (式中、M2:Mg、Ca、Sr、Zn及びCdからな
    る群より選ばれる少なくとも一種のアルカリ土類金属、
    X:Cl、Br及びIからなる群より選ばれる少なくと
    も一種のハロゲン、M1:Li、Na、K、Rb及びC
    sからなる群より選ばれる少なくとも一種のアルカリ金
    属、Ln:Ce、Pr、Sm、Eu、Gd、Tb、T
    m、Dy、Ho、Nd、Er及びYbからなる群より選
    ばれる少なくとも一種の希土類元素を表す。y、a、b
    及びcは、それぞれ0≦y≦0.6、0≦a≦0.0
    5、0<b≦0.2、0<c≦0.1を表す。) 工程1) 前記輝尽性蛍光体の前駆体を液相法により製
    造する工程; 工程2) 工程1)により製造した輝尽性蛍光体前駆体
    に対し、粒径2〜50nmの金属酸化物の少なくとも1
    種を下記式(1)を満たす添加量W(質量%)で添加、
    混合する工程; 式(1) 0.05<D(μm)×W(質量%)<2.0 ただし、Dは輝尽性蛍光体の前駆体の平均粒径(μm)
    である 工程3) 工程2)の後、輝尽性蛍光体前駆体と金属酸
    化物との混合物を600℃以上に加熱する工程;
  2. 【請求項2】 前記金属酸化物の添加量が下記式(2)
    を満たすことを特徴とする請求項1記載の輝尽性蛍光体
    の製造方法。 式(2) 0.1<D(μm)×W(質量%)<1.0
  3. 【請求項3】 前記金属酸化物がSi、Al、Ti、及
    びZrの何れかの酸化物であることを特徴とする請求項
    1又は2記載の輝尽性蛍光体の製造方法。
  4. 【請求項4】 請求項1〜3のいずれか1項記載の輝尽
    性蛍光体の製造方法によって得られたことを特徴とする
    輝尽性蛍光体。
  5. 【請求項5】 輝尽性蛍光体を含む蛍光体層を有する放
    射線画像変換パネルにおいて、請求項4記載の輝尽性蛍
    光体を含むことを特徴とする放射線画像変換パネル。
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