JP2000226577A - 蛍光体 - Google Patents

蛍光体

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JP2000226577A
JP2000226577A JP11029554A JP2955499A JP2000226577A JP 2000226577 A JP2000226577 A JP 2000226577A JP 11029554 A JP11029554 A JP 11029554A JP 2955499 A JP2955499 A JP 2955499A JP 2000226577 A JP2000226577 A JP 2000226577A
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crystal
lanthanide
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Yasuo Shimomura
康夫 下村
Naoto Kijima
直人 木島
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Kasei Optonix Ltd
Mitsubishi Chemical Corp
Original Assignee
Kasei Optonix Ltd
Mitsubishi Chemical Corp
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】室温における輝度を低下させることなく温度消
光を抑制することで、高温での蛍光体輝度を向上させる
こと。 【解決手段】Mnを含有するランタニド酸硫化物蛍光体
において、蛍光体結晶の内部にとりこまれたMnの含有
量が、蛍光体結晶の重量に対して0.01〜15ppm
の範囲内にあり、かつ、酸処理により蛍光体結晶から分
離されるMnの含有量が、蛍光体結晶の重量に対して1
5ppm未満であることを特徴とする蛍光体。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、カラーテレビジョ
ン受像機やカラーコンピューターディスプレイ等に用い
られるカラー陰極線管、フィールドエミッションディス
プレイ、蛍光表示管、エレクトロルミネッセンス方式の
表示装置等に用いられる蛍光体の改良に関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】カラーテレビジョン受像機、カラーコン
ピューターディスプレイ等に用いられるカラー陰極線管
用の赤色蛍光体としては、これまで、ユーロピウム付活
酸硫化イットリウム((Y1-x Eux 2 2 S)が用
いられてきた。この蛍光体に関しては、種々の改良技術
が検討されている。例えば、テルビウム(Tb)添加に
よる輝度向上が特公昭47−13243号公報に記載さ
れ、プラセオジム(Pr)添加による輝度向上がJ.E
lectrochem.Soc.,vol.126(1
979),P305に記載されている。また、Mn添加
による輝度向上が、特公昭47−13244号公報に記
載されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】近年の表示装置の大型
化、高精細化等により、カラー陰極線管に用いられる蛍
光体に関しても、従来にも増して輝度の増大が求められ
ている。そのため、蛍光体励起に用いられる電子線のエ
ネルギー大きくして、蛍光体を明るく発光させる方向に
あり、蛍光体の使用時温度は上昇する傾向にある。ま
た、表示のコントラスト改善のために、蛍光体表面に顔
料を付着させることが一般化し、陰極線管への蛍光体塗
布時の取り扱いやすさの改善のために、有機、無機の化
合物を表面に付着させる技術も広く浸透した。これらの
付着物の影響もあって、蛍光体の使用時温度は、さらに
上昇しやすくなっている。一方、現在広く使用されてい
る赤色蛍光体のユーロピウム付活酸硫化イットリウム
((Y1-x Eux 2 2 S)は、温度消光が特に大き
く、わずかな温度上昇で輝度の大幅な低下が起こるの
で、近年の高性能な陰極線管では、十分な明るさが得ら
れない。しかしながら、従来、この観点から検討された
例はなく、温度消光を抑制する手がかりがなかったのが
現状であった。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記問題
点を解決すべく検討した結果、添加元素としてMnを使
用してそれを蛍光体結晶内部に存在させ、かつ蛍光体表
面に付着するMn化合物を十分少なくすることにより、
室温における輝度を低下させることなく温度消光を抑制
することで、高温での蛍光体輝度を向上させることに成
功し、本発明を完成した。
【0005】すなわち、本発明は、Mnを含有するラン
タニド酸硫化物蛍光体において、蛍光体結晶の内部にと
りこまれたMnの含有量が、蛍光体結晶の重量に対して
0.01〜15ppmの範囲内にあり、かつ、酸処理に
より蛍光体結晶から分離されるMnの含有量が、蛍光体
結晶の重量に対して15ppm未満であることを特徴と
する蛍光体に存する。
【0006】
【発明の実施の形態】本発明は、Mnを結晶内部にごく
微量含有するランタニド酸硫化物蛍光体に関するもので
ある。すなわち、Mnを蛍光体結晶の内部にとりこむこ
とにより、温度消光を抑制する効果が現れる。この結晶
の内部にとりこまれたMnの含有量は、多いほど温度消
光抑制の効果が高いが、多すぎると室温における輝度の
低下が大きい。室温での輝度低下の程度と温度消光抑制
効果の兼ね合いで、蛍光体結晶の内部にとりこまれたM
nの含有量は、蛍光体結晶の重量に対して0.01〜1
5ppmの範囲内にあることが必要である。その中で
も、0.1〜15ppmの範囲内が好ましく、さらに1
〜5ppmの範囲内が特に好ましい。このMnの含有量
が蛍光体結晶の重量に対してすくなすぎると、温度消光
抑制の効果がない。また、Mnの含有量が多くなるにつ
れて、室温における輝度が低下し、温度消光抑制効果も
次第に小さくなってゆくので、結果的に高温でも輝度が
低くなる傾向にある。
【0007】一方、蛍光体結晶の内部にとりこまれなか
ったMn化合物、例えば、蛍光体表面に付着、又は、蛍
光体に混合されたMn化合物、すなわち、酸洗浄その他
の後処理によって蛍光体から分離することのできるMn
化合物は、そのままでも蛍光体に帯黒色の着色を生じさ
せることがあるが、そのままで着色がなくとも蛍光体を
使用するための種々のプロセス、特に加熱工程を経たの
ちには、帯黒色の化合物に変化して、蛍光体に帯黒色の
着色を生じさせる。その結果、可視光に対する粉末の反
射率を低下させる。つまり、蛍光体が励起されたときに
発生する蛍光を吸収して輝度を低下させるので、酸処理
により蛍光体結晶から分離されるMnの含有量は、十分
少なくする必要があり、蛍光体結晶の重量に対して15
ppm未満であることが必要である。これが15ppm
未満であっても、Mn化合物による蛍光体の着色が完全
に無くなるわけではないが、実用上の問題はほとんどな
い。
【0008】本発明において、「蛍光体結晶の内部にと
りこまれたMnの含有量」及び「酸処理により蛍光体結
晶から分離されるMnの含有量」は、次のようにして決
定される。まず、蛍光体中の全Mn量を測定する。実際
には、蛍光体に前処理を施すことなく、そのままで、M
nの定量分析を行う。ついで、「蛍光体結晶の内部にと
りこまれたMnの含有量」を測定する。実際には、蛍光
体に一定の酸処理を施し、蛍光体結晶の内部にとりこま
れなかったMn化合物を取り除いた後に、Mnの定量分
析を行う。しかして、一定の酸処理は、内容積100m
lの容器に、蛍光体10g及び1規定の塩酸30mlを
採り、25℃の温度、500rpmの速度で1時間撹拌
することによって行われる。酸処理後は、処理液から分
離した固体を、200mlの水で、二度に分けて十分洗
浄したものを、定量分析の試料とする。一方、「酸処理
により蛍光体結晶から分離されるMnの含有量」(「外
部Mn量」と称することもある。)は、上記のようにし
て測定された全Mn量から、「蛍光体結晶の内部にとり
こまれたMnの含有量」(「内部Mn量」と称すること
もある。)を差し引くことによって求められる。また、
Mnの定量分析法としては、一定重量の蛍光体を濃塩
酸、濃硫酸等に入れて加熱することで全量を溶解し、そ
の溶液を一定体積とした後、誘導結合プラズマ(IC
P)発光分光分析装置等を用いて、溶液中のMn量を測
定する方法が挙げられる。Mnの定量分析法は、これに
限るものではないが、上述の方法は、精度の良い定量法
の一つである。
【0009】本発明蛍光体の母体化合物は、ランタニド
酸硫化物であって、通常、下記の一般式 (Ln1-x Ln’x22 S で表される。式中、Lnは、Y、Sc、La、Gd及び
Luからなる群の中から選ばれる少なくとも1種のラン
タニド元素(本明細書においては、Y、Scをも含め
「ランタニド」という。)を示す。一方、Ln’は、C
e、Pr、Nd、Sm、Eu、Tb、Dy、Ho、E
r、Tm及びYbからなる群の中から選ばれる少なくと
も1種のランタニド元素を示す。また、xは、通常、1
×10-6≦x≦0.2を満足する数を示す。しかし、L
n’の元素によって、違いがある。例えば、発光イオン
として含まれる元素の場合には、0.001≦x≦0.
2を満足する比較的大きい値のxが選ばれ、また、別の
役割を担う元素の場合には、1×10-6≦x<0.00
1を満足する比較的小さい値のxであっても有効な場合
がある。
【0010】上記一般式で表される母体化合物のうち、
LnをY、Ln’の主成分をEuとし、0.02≦x≦
0.08とした場合に、赤色蛍光体として好ましいもの
が得られる。すなわち、xが下限値0.02より小さい
ときは発光色が白色寄りとなり、xが上限値0.08よ
り大きいときは、濃度消光によって発光強度が小さくな
る。特に、Ln’の第2成分としてTb又はPrを選ん
だ、下記一般式 (Ln1-a-b Eua Ln”b22 S で表されるランタニド酸硫化物の場合に、室温での輝度
の高い赤色蛍光体を得ることができる。すなわち、式中
Ln”が、Tb及びPrからなる群の中から選ばれる少
なくとも1種のランタニド元素の場合、aを0.02≦
a≦0.08の範囲内に調節することで良好な赤色発光
が得られ、bを2×10-6≦b≦1×10 -4の範囲内に
調節することで、室温での輝度を向上させることができ
る。さらに、この蛍光体が、すでに述べたように、蛍光
体結晶の内部にMnをとりこむことで、室温での輝度が
高く、かつ、温度消光を抑制することができ、実用上よ
り好ましい赤色蛍光体を得ることができる。
【0011】さらに、前記母体化合物において、Ln’
の主成分がEuであるときに、Ln’の第2成分として
SmとTb及びPrの少なくとも一方とを選んだ、下記
一般式 (Ln1-a-b-c Eua Ln”b Smc22 S で表されるランタニド酸硫化物の場合に、式中、a、b
及びLn”は、前述の通りに、またcを1×10-4≦c
≦0.01の範囲内に調節することで、Eu濃度を変化
させることなく発光色を調整することができる利点があ
る。なお、以上の各一般式において、酸素量や硫黄量
は、多少の不定比性を有していてもよい。
【0012】本発明のMnを含有するランタニド酸硫化
物蛍光体の製造方法は、所定の種類及び量のランタニド
元素を含有させることができる方法であれば、特に制限
はない。通常、ランタニド酸化物及び熱分解により該酸
化物を生成するランタニド化合物からなる群から選ばれ
た1種以上のランタニド材料並びにMn化合物を含有す
る原料混合物に、熱硫化処理を施すことによって製造す
る。その際重要なことは、加熱過程でMnが蛍光体結晶
の内部に十分とりこまれた酸硫化物を得ることであり、
次いで該酸硫化物から、蛍光体結晶の内部にとりこまれ
なかったMn化合物を、適宜の手段で、十分除去するこ
とである。
【0013】Mn化合物を含有する原料混合物を得る方
法としては、1)Mn化合物を含有する水溶液を、ラン
タニド酸化物等の複数種のランタニド材料の混合物に加
えてペースト状にして良く混合した後、乾燥し、Mn化
合物をランタニド材料混合物に分散付着させる方法(以
下、ペースト法という。)、2)Mn化合物及びランタ
ニド材料を水や酸等に溶解したものを、しゅう酸水溶液
に注いで混合しゅう酸塩を得た後、加熱して酸化物を得
る方法(以下、しゅう酸塩共沈法という。)、3)固体
のMn化合物及びランタニド材料を、直接ボールミル等
の混合機を用いて混合する方法(以下、固体混合法とい
う。)等がある。ペースト法において使用するMn化合
物を含有する水溶液としては、塩化マンガン、硝酸マン
ガン、硫酸マンガン等の水溶液が好ましい。この水溶液
は必ずしも中性である必要はなく、水に不溶性の酸化物
を酸に溶解させた酸性の溶液を用いることもできる。し
ゅう酸塩共沈法に用いるMn化合物も同様に水又は酸に
溶解しやすい化合物が用いられる。固体混合法に用いる
Mn化合物としては、2酸化マンガン、3酸化2マンガ
ン等の酸化物、炭酸マンガン、塩化マンガン、硝酸マン
ガン等が挙げられる。
【0014】熱硫化処理は、ポリ硫化アルカリを主成分
とする融剤共存下での加熱や、硫化水素気流中での加熱
等によって行われるが、工業的規模での実施には、ポリ
硫化アルカリを主成分とする融剤共存下で加熱する方法
が好ましい。ポリ硫化アルカリを主成分とする融剤は、
上記のMn化合物を含有する原料混合物に対して、硫化
作用を及ぼすものであれば特に制限はないが、通常、ポ
リ硫化アルカリの原料となるアルカリ金属塩及び硫黄
を、原料混合物と混合して使用する。アルカリ金属塩と
しては、この種の酸硫化物蛍光体製造に普通使用されて
いるものを使用することができ、アルカリ金属の炭酸
塩、リン酸塩、ホウ酸塩、硫酸塩等、具体的には、炭酸
ナトリウム、リン酸カリウム等が挙げられる。また、目
的蛍光体の粒径、粒度分布等に応じて、適切なものを選
ぶ。実際には、上記の融剤を混合した原料混合物を、ア
ルミナ、石英等の容器に充填して、ふたをし、800℃
〜1400℃の温度に加熱溶融して、熱硫化処理が行わ
れる。この処理後、生成した酸硫化物から水洗処理等に
よって融剤成分を除去する。
【0015】得られた酸硫化物は、上記のような通常の
水洗処理のみでは、蛍光体結晶内部にとりこまれなかっ
たMn化合物をかなり残しており、既述の如く、蛍光体
の可視光に対する反射率を低下させ、蛍光を吸収し、輝
度低下を引き起こす原因となる。従って、本発明では、
この蛍光体結晶内部にとりこまれなかったMn化合物
は、酸洗浄等の処理によって除去するのが好ましい。酸
洗浄処理に用いる酸としては、塩酸、硝酸、硫酸等が挙
げられるが、酸の種類の選択が適切でないと、除去すべ
きMn化合物を十分溶解除去できない場合がある。ま
た、酸の濃度、液の温度、酸との接触時間等にも注意が
必要で、蛍光体自身を溶解させないためには、酸の濃度
は低く、液温も低く、酸との接触時間は短いのが好まし
いが、酸濃度や液温が低すぎたり、酸との接触時間が短
すぎると、溶解させたいMn化合物を溶解できない可能
性があるので注意が必要である。
【0016】本発明の蛍光体は、蛍光体に対して通常施
される表面処理、顔料付着等のすべての処理を行った後
に使用することができる。例えば、Euの発光を利用す
る赤色蛍光体の場合、表示のコントラストを向上するた
めに赤色顔料のベンガラ(Fe23)を蛍光体表面に付
着させて使用することができる。
【0017】Euを発光イオンとした本発明の蛍光体
は、赤色成分の蛍光膜として陰極線管に使用することが
でき、緑と青の成分は、それぞれ公知の蛍光体を用いる
ことができる。このような陰極線管は、上記蛍光体をポ
リビニルアルコール、界面活性剤、水等とともに分散さ
せたスラリーを用いて通常の方法に従ってガラスパネル
の内面に塗布して蛍光面を形成することによって得られ
る。
【0018】本発明の蛍光体は、カラー表示を行う表示
装置全般に適用可能である。 例えば、フィールドエミ
ッションディスプレイ、蛍光表示管、エレクトロルミネ
ッセンス方式の表示素子及びディスプレイ等にも適用可
能である。
【0019】
【実施例】以下、本発明を実施例によって、さらに詳細
に説明する。 (実施例1)イットリウム(Y)、ユーロピウム(E
u)、テルビウム(Tb)のモル比率がY:Eu:Tb
=96.15:3.85:0.00002であるイット
リウム、ユーロピウム、テルビウム共沈酸化物65g
に、1gMn/lの濃度の硝酸マンガン水溶液0.95
ml及び純水50ml添加し、よく混合してペースト状
にし、これを乾燥し、原料混合物とした。得られた原料
混合物中のMnの量は、該混合物の重量に対して、15
ppmであった。
【0020】得られた原料混合物の60gに、融剤の原
料となる下記の材料を加えて十分に混合し、 硫黄 27g 炭酸ナトリウム 13.5g リン酸カリウム 8.1g 得られた混合物をアルミナるつぼに充填し、1200℃
で2時間焼成した。焼成後、得られた焼成物を水で十分
に洗浄し、融剤の除去された酸硫化物を得た。この酸硫
化物10gを、酸で洗浄する処理、すなわち、1規定の
塩酸30mlと共に100ml容器に入れて、室温(2
5℃)、500rpmで、1時間かくはん後、水洗し脱
水する処理を2回行った後、乾燥し、Mnを含有する酸
硫化物蛍光体を得た。
【0021】蛍光体酸硫化物の組成は、(Y0.961481
0.038499Tb0.0000222 Sであった。また、M
nの含有量を、ICP(誘導結合プラズマ)発光分光分
析法により測定したところ、蛍光体結晶の内部にとりこ
まれたMnの含有量(内部Mn量)が、蛍光体結晶の重
量に対して0.2ppmであり、酸処理により蛍光体結
晶から分離されるMnの含有量(外部Mn量:全Mn量
−内部Mn量)が、蛍光体結晶の重量に対して0であっ
た。すなわち、この蛍光体は、その製造の過程で、酸で
洗浄する処理を十分行っているので、さらにMnの含有
量(内部Mn量)を測定するために所定の酸処理を追加
実施しても、Mnの測定値に変化はなかった(全Mn量
=内部Mn量)。
【0022】水ガラス(ケイ酸カリウム)をバインダー
として用いた沈降塗布法により、この蛍光体をスライド
ガラス上に塗布したテストピースを作製し、これに電子
線を照射したときの輝度を測定した結果、比較例1の蛍
光体の30℃における20kV、1μA/cm2の電子
線励起下の輝度を100としたときの、この蛍光体の相
対輝度は、30℃で100、50℃で88、75℃で6
4だった。
【0023】(比較例1)実施例1における硝酸マンガ
ン水溶液の添加を行わない以外は、実施例1と同様にし
て、Mnを含有しない(Y0.961481Eu0.038499Tb
0.0000222 S蛍光体を得た。この蛍光体の30℃
における20kV、1μA/cm2 の電子線励起下の輝
度を100としたときの50℃と75℃における相対輝
度は、それぞれ85、61だった。
【0024】(実施例2〜6)Mn添加量を表−1記載
のように変えた以外は、実施例1と同様にして、Mn添
加量の異なる(Y0.961481Eu0.038499Tb0.00002
22 S蛍光体を得た。これらの蛍光体についても、M
nの含有量を測定し、その結果(内部Mn量及び外部M
n量)を表−1に示したが、外部Mn量はいずれも0で
あった。また、これらの蛍光体について、比較例1の蛍
光体の30℃における20kV、1μA/cm2 の電子
線励起下の輝度を100としたときの、30℃、50
℃、75℃における相対輝度の値も共に、表−1に示
す。
【0025】(比較例2)融剤除去後の酸硫化物の塩酸
洗浄処理を行わないこと以外は、実施例2と同様にし
て、酸洗無(Y0.961481Eu0.038499Tb0.000022
2 S蛍光体を得た。この蛍光体について、Mnの含有
量を測定したところ、内部Mn量及び外部Mn量は、蛍
光体結晶の重量に対して、それぞれ1.0ppm及び1
7.0ppmだった。また、比較例1の蛍光体の30℃
における20kV、1μA/cm2 の電子線励起下の輝
度を100としたときの、この例で得られた蛍光体の3
0℃、50℃、75℃における相対輝度は、それぞれ、
95、83、61だった。
【0026】(比較例3)融剤除去後の酸硫化物の塩酸
洗浄処理を行わないこと以外は、実施例3と同様にし
て、酸洗無(Y0.961481Eu0.038499Tb0.000022
2 S蛍光体を得た。この蛍光体について、Mnの含有
量を測定したところ、内部Mn量及び外部Mn量は、蛍
光体結晶の重量に対して、それぞれ1.5ppm及び5
9.5ppmだった。また、比較例1の蛍光体の30℃
における20kV、1μA/cm2 の電子線励起下の輝
度を100としたときの、この例で得られた蛍光体の3
0℃、50℃、75℃における相対輝度は、それぞれ、
93、83、61だった。
【0027】(実施例8)Tbを含有しない共沈酸化物
を使用したこと以外は、実施例5と同様にして、Tb無
(Y0.9615Eu0.038522 S蛍光体を得た。この蛍
光体について、Mnの含有量を測定したところ、内部M
n量及び外部Mn量は、蛍光体結晶の重量に対して、そ
れぞれ3.0ppm及び0ppmだった。また、比較例
1の蛍光体の30℃における20kV、1μA/cm2
の電子線励起下の輝度を100としたときの、この例で
得られた蛍光体の30℃、50℃、75℃における相対
輝度は、それぞれ、97、85、68だった。
【0028】(比較例4)Tbを含有しない共沈酸化物
を使用したこと以外は、比較例1と同様にして、Tb、
Mn無(Y0.9615Eu0.038522 S蛍光体を得た。
この蛍光体について、比較例1の蛍光体の30℃におけ
る輝度を100としたときの30℃、50℃、75℃に
おけるこの蛍光体の相対輝度は、それぞれ、91、7
7、56だった。
【0029】
【表1】
【0030】実施例1〜7及び比較例1で得られた蛍光
体の相対輝度と内部Mn量との関係を、前者を縦軸にま
た後者を横軸(対数目盛)にグラフ化したのが、図1で
ある。この図から、室温(30℃)では、Mn量がある
量を超えると低下すること、また、高温(50℃及び7
5℃)では、Mn量とともに相対輝度の改善がみられる
が、温度によってその様相を異にすること等がわかる。
【0031】実施例1(Mn添加)及び比較例1(Mn
非添加)で得られた蛍光体を一定速度で昇温したとき
の、温度と相対輝度(比較例1の蛍光体の30℃におけ
る20kV、1μA/cm2 の電子線励起下の輝度を
1.0とした)との関係を、前者を横軸にまた後者を縦
軸にグラフ化したのが、図2である。この図から、Mn
添加によって、温度消光が抑制され(昇温時の輝度維持
率が改善され)ていることがわかる。
【0032】
【発明の効果】本発明の蛍光体をカラー陰極線管に使用
することにより、カラー陰極線管の明るさが向上し、高
精細の表示の見やすさを向上できる。あるいは、励起に
用いる電子線の量を低減して低消費電力の陰極線管を得
られる。また、この蛍光体は、フィールドエミッション
ディスプレイ、蛍光表示管、エレクトロルミネッセンス
方式の表示素子及びディスプレイ等へ応用できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】Mn量による輝度変化のグラフ(横軸:内部M
n量、縦軸:相対輝度)
【図2】昇温時輝度維持率グラフ(横軸:温度、縦軸:
相対輝度)
フロントページの続き (72)発明者 木島 直人 神奈川県横浜市青葉区鴨志田町1000番地 三菱化学株式会社横浜総合研究所内 Fターム(参考) 4G076 AA13 DA11 4H001 CA06 XA08 XA16 XA21 XA25 XA39 XA57 XA64 XA71 YA58 YA59 YA60 YA62 YA63 YA65 YA66 YA67 YA68 YA69 YA70

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】Mnを含有するランタニド酸硫化物蛍光体
    において、蛍光体結晶の内部にとりこまれたMnの含有
    量が、蛍光体結晶の重量に対して0.01〜15ppm
    の範囲内にあり、かつ、酸処理により蛍光体結晶から分
    離されるMnの含有量が、蛍光体結晶の重量に対して1
    5ppm未満であることを特徴とする蛍光体。
  2. 【請求項2】ランタニド酸硫化物が、一般式(Ln1-x
    Ln’x22 Sで表されることを特徴とする請求項
    1に記載の蛍光体。(上記式中、Lnは、Sc、Y、L
    a、Gd及びLuからなる群の中から選ばれる少なくと
    も1種のランタニド元素を示し、Ln’は、Ce、P
    r、Nd、Sm、Eu、Tb、Dy、Ho、Er、Tm
    及びYbからなる群の中から選ばれる少なくとも1種の
    ランタニド元素を示し、xは、1×10-6≦x≦0.2
    を満足する数を示す。)
  3. 【請求項3】ランタニド酸硫化物が、一般式(Ln
    1-a-b Eua Ln”b22 Sで表されることを特徴
    とする請求項1又は2に記載の蛍光体。(上記式中、L
    nは、Sc、Y、La、Gd及びLuからなる群の中か
    ら選ばれる少なくとも1種のランタニド元素を示し、L
    n”は、Tb及びPrからなる群の中から選ばれる少な
    くとも1種のランタニド元素を示し、a及びbは、それ
    ぞれ、0.02≦a≦0.08及び2×10-6≦b≦1
    ×10-4を満足する数を示す。)
  4. 【請求項4】蛍光体結晶の内部にとりこまれたMnの含
    有量が、蛍光体結晶の重量に対して0.1〜15ppm
    の範囲内にあることを特徴とする請求項1ないし3のい
    ずれかに記載の蛍光体。
  5. 【請求項5】蛍光体結晶の内部にとりこまれたMnの含
    有量が、蛍光体結晶の重量に対して1〜5ppmの範囲
    内にあることを特徴とする請求項1ないし4のいずれか
    に記載の蛍光体。
  6. 【請求項6】ランタニド酸化物及び熱分解により該酸化
    物を生成するランタニド化合物からなる群から選ばれた
    複数種のランタニド材料並びにMn化合物を含有する原
    料混合物に、熱硫化処理を施してMnが蛍光体結晶の内
    部にとりこまれた酸硫化物を得、次いで該酸硫化物から
    蛍光体結晶の内部にとりこまれなかったMn化合物を除
    去することを特徴とする請求項1ないし5のいずれかに
    記載の蛍光体の製造方法。
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